JP3215732B2 - 耐性菌に有効なジベカシン誘導体またはアルベカシン誘導体とそれらの製造法 - Google Patents

耐性菌に有効なジベカシン誘導体またはアルベカシン誘導体とそれらの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グラム陽・陰性菌なら
びに耐性ぶどう球菌を含む耐性菌に広く有効な新規化合
物である2″−アミノ−2″−デオキシジベカシンおよ
び2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシン、または
それらの5−デオキシ誘導体に関する。これら新規化合
物は化学療法剤として細菌感染症の治療に有用である。
更に、本発明は前記の新規化合物の製造法にも関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは、1967年に当時、化学療法
剤として広く用いられていたストレプトマイシンやカナ
マイシンなどのアミノグリコシド抗生物質の耐性機構を
詳しく調べ、それらの抗生物質が耐性菌のつくる種々の
修飾酵素によって不活性化されて耐性となる機構を初め
て明らかにした。そして、これらの修飾酵素で不活性化
されないカナマイシン誘導体を種々合成して、この耐性
機構を証明するのみならず、感染症の治療に有用な化学
療法剤として種々のカナマイシン誘導体を提供すること
に成功した〔H.Umezawa and S. Kondo: “Aminoglycosi
de Antibiotics”ed. by H. Umezawa and I. R. Hoope
r, Springer-Verlag, Berlin. Heidelberg, New York, 267 頁(1982) ; 近藤信一「薬
剤耐性機構の生化学」、三橋進編、27頁、学会出版セン
ター、(1981)〕。
【0003】それらのカナマイシン誘導体の中、3′,
4′−ジデオキシカナマインB(すなわちジベカシン)
〔H. Umezawa et al.,「J. Antibiotics」, 24,485頁(1
971)〕は、1975年以来耐性菌に有効な化学療法剤として
広く使用されている。 また、(S)-1-N-(4−アミノ−2-
ヒドロキシブチリル)ジベカシン(すなわちアルベカシ
ン)〔S. Kondo et al., 「J. Antibiotics」, 26, 41
2 頁(1973)〕は1990年末よりメチシリン耐性ぶどう球菌
(MRSA)感染症の特効薬として使用されている。
【0004】一方、デオキシストレプタミンを含むアミ
ノグリコシド抗生物質で2″位と3″位のいずれもアミ
ノ基である化合物としては、ストレプトマイセス・ホー
フネンシスが生産する次式(A) に示すセルドマイシン・ファクタ−5〔J. B. McAlpine
et al., 「J. Antibiotics」, 30, 39頁(1977)〕のみ
が知られているが、本発明における新規なジベカシンま
たはアルベカシンの2″−アミノ−2″−デオキシ誘導
体とは化学構造および抗菌活性の面で明らかに異なるも
のである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】メチシリン耐性ぶどう
球菌(MRSA)は近年院内感染によって急速に伝播し、重
症な感染症を引き起こすことで問題になっており、その
治療薬の開発が注目されている。アルベカシンの使用が
1年以上経過したけれども、未だMRSAのアルベカシン耐
性菌(最低発育阻止濃度が25μg/ml以上)は臨床的に出
現していない。しかしながら、アルベカシンに軽度の耐
性を示すMRSA(最低発育阻止濃度が6.25−12.5μg/mlの
範囲)が認められたので、本発明者らはそのアルベカシ
ン軽度耐性MRSAの耐性機構を詳しく調べた。その結果、
アルベカシンのMRSAによる耐性機構の主体は2″-OH 基
の燐酸化による酵素的不活性化であることを証明した。
【0006】そこで、本発明者らはこの酵素的燐酸化を
うけにくいジベカシンまたはアルベカシンの誘導体の合
成を企画して研究を行った。本発明の目的は、ジベカシ
ンより化学合成によって得られ、MRSAのみならずグラム
陽・陰性菌に広く有効な抗菌活性をもち、しかも低毒性
であるジベカシンまたはアルベカシン誘導体を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは研究の結
果、燐酸化を受け得るアルベカシンの2″−ヒドロキシ
ル基をアミノ基に変換した新規なアルベカシン誘導体と
して、後記の一般式(I)で表わされる2″−アミノ−
2″−デオキシアルベカシンおよび2″−アミノ−5,
2″−ジデオキシアルベカシンを合成することに成功
し、また2″−ヒドロキシル基をアミノ基に変換した新
規なジベカシン誘導体として後記の一般式(II)で表わさ
れる2″−アミノ−2″−デオキシジベカシンおよび
2″−アミノ−5,2″−ジデオキシジベカシンを合成
することに今回成功した。更に、これらの合成された前
記の2種の新規なアルベカシン誘導体ならびに2種の新
規なジベカシン誘導体はメチシリン耐性ぶどう球菌(MR
SA)の発育を強く阻止するばかりでなく、グラム陽・陰
性菌に広く有効な抗菌活性を示し、しかも哺乳類に低毒
性であることが知見された。
【0008】従って、第1の本発明によると、次の一般
式(I) 〔式中、Rはヒドロキシル基または水素原子を示す〕で
表わされる2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシン
またはその5−デオキシ誘導体、およびそれらの酸付加
塩が提供される。
【0009】一般式(I)の化合物でRがヒドロキシル
基である場合は次式(Ia) で示される2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシン
である。
【0010】一般式(I)の化合物でRが水素原子であ
る場合は次式(Ib) で示される2″−アミノ−5,2″−ジデオキシアルベ
カシンである。
【0011】更に、第2の本発明によると、次の一般式
(II) 〔式中、Rはヒドロキシル基または水素原子を示す〕で
表わされる2″−アミノ−2″−デオキシジベカシンま
たはその5−デオキシ誘導体、およびそれらの酸付加塩
が提供される。
【0012】一般式(II)の化合物でRがヒドロキシル
基である場合は次式(IIa) で示される2″−アミノ−2″−デオキシジベカシンで
ある。
【0013】一般式(II)の化合物でRが水素原子であ
る場合は次式(IIb) で示される2″−アミノ−5,2″−ジデオキシジベカ
シンである。
【0014】本発明によって得られる一般式(I)およ
び(II)で表わされる新規なアルベカシンまたはジベカ
シンの2″−アミノ−2″−デオキシ誘導体、またはそ
れらの5−デオキシ誘導体の理化学的性状を次に示す。
【0015】[1] 2″−アミノ−2″−デオキシア
ルベカシン[化合物Ia] (1) 色および形状:無色粉末 (2) 分子式:C22457 9 (3) マススペクトル(SI-MS) :m/z 552(M+H)+ (4) 融点:155-160 ℃(分解) (5)旋光度:[α]D 20 +86°(c 0.53, H2 O) (6) 紫外部および可視部吸収スペクトル:特異吸収な
し。
【0016】(7) 赤外部吸収スペクトル:3380, 293
0, 1650, 1580, 1470, 1380, 1320,1100, 1020 cm-1 (8) 1 H-NMR スペクトル(D2 O, pD 2):後記の表1に
示した (9)13C-NMR スペクトル(D2 O, pD 2):後記の表2に
示した (10)溶解性:水によく溶ける (11)塩基性、酸性、中性の区別:塩基性物質。
【0017】[2] 2″−アミノ−5,2″−ジデオ
キシアルベカシン[化合物Ib] (1) 色および形状:無色粉末 (2) 分子式:C22457 8 (3) マススペクトル(FD-MS) :m/z 536(M+H)+ (4) 融点:196-198 ℃(分解) (5)旋光度:[α]D 20 +92°(c 0.74, H2 O) (6) 紫外部および可視部吸収スペクトル:特異吸収な
し。
【0018】(7) 赤外部吸収スペクトル:3400, 294
0, 1650, 1580, 1460, 1390, 1340,1040 cm-1 (8) 1 H-NMR スペクトル(D2 O, pD 2):表1に示した (9)13C-NMR スペクトル(D2 O, pD 2):表2に示した (10)溶解性:水によく溶ける (11)塩基性、酸性、中性の区別:塩基性物質。
【0019】[3] 2″−アミノ−2″−デオキシジ
ベカシン[化合物IIa] (1) 色および形状:無色粉末 (2) 分子式:C18386 7 (3) マススペクトル(SI-MS) :m/z 451(M+H)+ (4) 融点:129-133 ℃(分解) (5)旋光度:[α]D 20 +122 °(c 0.39, H2 O) (6) 紫外部および可視部吸収スペクトル:特異吸収な
し。
【0020】(7) 赤外部吸収スペクトル:3350, 293
0, 1580, 1480, 1380, 1340, 1120,1020 cm-1 (8) 1 H-NMR スペクトル(D2 O, pD 2):表1に示した (9)13C-NMR スペクトル(D2 O, pD 2):表2に示した (10)溶解性:水によく溶ける (11)塩基性、酸性、中性の区別:塩基性物質。
【0021】[4] 2″−アミノ−5,2″−ジデオ
キシジベカシン[化合物IIb] (1) 色および形状:無色粉末 (2) 分子式:C18386 6 (3) マススペクトル(SI-MS) :m/z 435(M+H)+ (4) 融点:129-131 ℃(分解) (5)旋光度:[α]D 28 +166 °(c 0.51, H2 O) (6) 紫外部および可視部吸収スペクトル:特異吸収な
し。
【0022】(7) 赤外部吸収スペクトル:3350, 294
0, 1590, 1460, 1380, 1340,1100, 1020 cm-1 (8) 1 H-NMR スペクトル(D2 O, pD 2):表1に示した (9)13C-NMR スペクトル(D2 O, pD 2):表2に示した (10)溶解性:水によく溶ける (11)塩基性、酸性、中性の区別:塩基性物質。
【0023】
【0024】
【0025】本発明による一般式(I)で表わされる
2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンおよび2″
−アミノ−5,2″−ジデオキシアルベカシンならびに
一般式(II)に表わされる2″−アミノ−2″−デオキ
シジベカシンおよび2″−アミノ−5,2″−ジデオキ
シジベカシンの酸付加塩としては、塩酸、硫酸、燐酸、
硝酸などの薬学的に許容できる無機酸、リンゴ酸、クエ
ン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸などの薬学的
に許容できる有機酸との塩がある。
【0026】本発明によって得られる新規なジベカシン
またはアルベカシンの2″−アミノ−2″−デオキシ誘
導体、またはそれらの5−デオキシ誘導体の生物学的性
状を次に示す。
【0027】(1)抗菌活性 2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシン(化合物I
a)、2″−アミノ−5,2″−ジデオキシアルベカシ
ン(化合物Ib)、2″−アミノ−2″−デオキシジベ
カシン(化合物IIa)および2″−アミノ−5,2″−
ジデオキシジベカシン(化合物IIb)のミュラー・ヒン
トン寒天培地で倍数希釈法によって測定した(27℃、18
時間培養後)各種細菌(20株)および臨床分離のMRSA
(50株)に対する最低発育阻止濃度(MIC)をそれぞれ表
3および表4に示した。
【0028】
【0029】
【0030】(2)急性毒性 マウス(ICR、4週令、雌)静脈内1回投与による本発明
化合物の50%致死量(LD50,2週間観察)は次のとおり
である。
【0031】 LD50 2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシン >100 mg/kg (化合物Ia) 2″−アミノ−5,2″−ジデオキシアルベカシン 50-100 mg/kg (化合物Ib) 2″−アミノ−2″−デオキシジベカシン(化合物IIa) >100 mg/kg 2″−アミノ−5,2″−ジデオキシジベカシン 50-100 mg/kg (化合物IIb)
【0032】本発明による一般式(I)または(II)の
化合物の生物学的性状の解明によって、本発明の化合物
がメチシリン耐性黄色ぶどう球菌を強く阻止するだけで
なく、緑膿菌を含むグラム陽・陰性菌に広く有効である
抗菌活性をもち且つ毒性の低い化合物であることが証明
された。
【0033】本発明による一般式(I)の化合物および
一般式(II)の化合物またはその酸付加塩は、薬学的に
許容できる慣用の液体又は固体状の担体と組合わせて混
合することによって、該化合物を有効成分として含有す
る抗菌剤組成物に調合できる。一般式(I)または(I
I)で表わされる本発明化合物またはその酸付加塩を有
効成分として含有する抗菌剤組成物は、主として静注等
の注射剤、カプセル剤、錠剤、散剤等の経口剤または軟
膏もしくは直腸投与剤、油脂性座薬、水溶性座薬等の種
々の剤形で使用される。これらの各種製剤は慣用の賦形
剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壌剤、表面活性剤、
滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐
剤、矯味矯臭剤、無痛化剤等を用いて常法により調製で
きる。
【0034】なお、一般的には、第1の本発明による式
(I)で表わされる2″−アミノ−2″−デオキシアル
ベカシンおよび2″−アミノ−5,2″−ジデオキシア
ルベカシン、さらに第2の本発明による式(II)で表わさ
れる2″−アミノ−2″−デオキシジベカシンおよび
2″−アミノ−5,2″−ジデオキシジベカシンは、い
ずれもジベカシンの2″位のヒドロキシル基をアミノ基
に変換し、さらに必要に応じて、1位のアミノ基を(S)-
4−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸でアシル化し、また5
位のヒドロキシル基を水素原子に置換することによって
製造することができる。
【0035】第1の本発明による式(Ia)の2″−アミ
ノ−2″−デオキシアルベカシンの製造法として、第3
の本発明によると、次の一般式(III) 〔式中、Aは加水分解により脱離できるアミノ保護基で
あるアルコキシカルボニル基を示す〕で表わされる3,
2′,6′-N- トリス(アルコキシカルボニル)−ジベ
カシンの1位及び3″位アミノ基を、加水素分解により
脱離できるアミノ保護基であるアラルキルオキシカルボ
ニル基で保護して次の一般式(IV) 〔式中、Aは前記の意味をもち、Bはアラルキルオキシ
カルボニル基を示す〕で表わされる1,3″−N−ビス
(アラルキルオキシカルボニル)-3,2′,6′−N−
トリス(アルコキシカルボニル)−ジベカシンを生成
し、次に、式(IV)の化合物の4″位及び6″位のヒドロ
キシル基2個をヒドロキシル保護基としてのアラルキリ
デン基またはアルキリデン基で保護して次式(V) 〔式中、A及びBは前記の意味をもち、Yはアラルキリ
デン基またはアルキリデン基を示す〕で表わされる
4″,6″−O−アラルキリデンまたはアルキリデン−
1,3″−N−ビス(アラルキルオキシカルボニル)−
3,2′,6′−N−トリス(アルコキシカルボニル)
−ジベカシンを生成し、式(V) の化合物の2″位ヒドロ
キシル基を酸化剤で酸化して次式(VI)
【0036】〔式中、A、B、Yは前記の意味をもつ〕
で表わされる4″,6″−O−アラルキリデンまたはア
ルキリデン−1,3″−N−ビス(アラルキルオキシカ
ルボニル)−3,2′,6′−N−トリス(アルコキシ
カルボニル)−2″−デオキシ−2″−オキソ−ジベカ
シンを生成し、式(VI)の化合物の2″−オキソ基を酢
酸アンモニウムの存在下に水素化物で還元して2″−ア
ミノ基に変換し、これにより次式(VII ) 〔式中、A、B、Yは前記の意味をもつ〕で表わされる
2″−アミノ−4″,6″−O−アラルキリデンまたは
アルキリデン−1,3″−N−ビス(アラルキルオキシ
カルボニル)−3,2′,6′−N−トリス(アルコキ
シカルボニル)−2″−デオキシジベカシンを生成し、
式(VII)の化合物の2″位アミノ基をアルコキシカルボ
ニル基(A)で保護して次式(VIII) 〔式中、A,B,Yは前記の意味をもつ〕で表わされる
2″−アミノ−4″,6″−O−アラルキリデンまたは
アルキリデン−1,3″−N−ビス(アラルキルオキシ
カルボニル)−3,2′,6′,2″−N−テトラキス
(アルコキシカルボニル)−2″−デオキシジベカシン
を生成し、式(VIII)の化合物の1位及び3″位のアミ
ノ基から加水素分解によりアラルキルオキシカルボニル
基(B)を脱離して次式(IX)
【0037】〔式中、A及びYは前記の意味をもつ〕で
表わされる2″−アミノ−4″,6″−O−アラルキリ
デンまたはアルキリデン−3,2′,6′,2″−N−
テトラキス(アルコキシカルボニル)−2″−デオキシ
ジベカシンを生成し、式(IX)の化合物の1位アミノ基
を次式(X) 〔式中、A′は加水分解により脱離できるアミノ保護基
としてのp−アルコキシ置換ベンジルオキシカルボニル
基またはアルコキシカルボニ基を示す〕で表わされる
(S)−4−(p−アルコキシ置換ベンジルオキシカル
ボニル−またはアルコキシカルボニル−アミノ)−2−
ヒドロキシ酪酸の活性エステルまたは酸ハライドでアシ
ル化させて次式(XI) 〔式中、A,Y及びA′は前記の意味をもつ〕で表わさ
れる1−N−〔(S)−4−(p−アルコキシ置換ベン
ジルオキシカルボニル−またはアルコキシカルボニル−
アミノ)−2−ヒドロキシブチリル〕−2″−アミノ−
4″,6″−O−アラルキリデンまたはアルキリデン−
3,2′,6′,2″−N−テトラキス(アルコキシカ
ルボニル)−2″−デオキシジベカシンを生成させ、さ
らに式(XI)の化合物を加水分解にかけてアルコキシカ
ルボニル基(A)と、p−アルコキシ置換ベンジルオキ
シカルボニル基またはアルコキシカルボニル基(A′)
と、アラルキリデン基またはアルキリデン基(Y)とを
脱離させる各工程より成る、次式(Ia) の2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンの製造法
が提供される。
【0038】第3の本発明の方法において、出発化合物
として用いられる式(III)の3,2′,6′−N−トリ
ス(アルコキシカルボニル)ジベカシンは、特公昭63−
1319号公報または米国特許第4,297,485 号明細書に記載
される方法によって、テトラヒドロフラン又はジメチル
スルホキシドの如き適当な有機溶媒中で亜鉛カチオンの
存在下にアルコキシカルボニル・クロライド又はその均
等な活性エステルをジベカシンに反応させることにより
調製できる。
【0039】式(III)の化合物の1位及び3″位アミノ
基へのアラルキルオキシカルボニル基の導入、式(IV)
の化合物の4″位及び6″位のヒドロキシル基へのアラ
ルキリデン基またはアルキリデン基の導入、式(VII)の
化合物の2″−アミノ基へのアルコキシカルボニル基の
導入、式(VIII)の化合物の1位及び3″位アミノ基か
らの脱保護、また式(XI)の1−N−アシル化化合物か
らの脱保護の諸工程は、糖の化学で慣用されるアミノ基
の保護技術、ヒドロキシル基の保護技術、アミノ保護基
の脱離技術及びヒドロキシル保護基の脱離技術により常
法で行い得る。
【0040】式(V)の化合物の2″位ヒドロキシル基
のオキソ基への酸化は、後記の合成工程チャートAに関
連して説明されるように、フイッツナーモファト酸化法
により酸化剤としてジメチルスルホキシドを用いて行い
得る。また、次式(VI)の化合物の2″−オキソ基のア
ミノ基への変換は、合成工程チャートAで説明されるよ
うに、酢酸アンモニウムの存在下に水素化物で還元する
公知方法で行い得る。
【0041】更に、式(IX)の化合物の1位アミノ基を
式(X)のN−保護−(S)−4−アミノ−2−ヒドロ
キシ酢酸の活性エステルまたは酸ハライドでアシル化さ
せる工程は、特公昭52-33629号公報、米国特許第4,001,
208 号または米国特許第4,297,485 号明細書に記載され
るカナマイシン類の1−N−アシル化方法で実施でき
る。
【0042】更に、第1の本発明による式(Ib)の2″
−アミノ−5,2″−ジデオキシアルベカシンの製造法
として、第4の本発明によると、前出の一般式(VI)の
化合物と一般式(VII)の化合物を経て合成される一般式
(VIII) 〔式中、Aはアルコキシカルボニル基、Bはアラルキル
オキシカルボニル基、Yはアラルキリデン基またはアル
キリデン基を示す〕で表わされる2″−アミノ−4″,
6″−O−アラルキリデンまたはアルキリデン−1,
3″−N−ビス(アラルキルオキシカルボニル)−3,
2′,6′,2″−N−テトラキス(アルコキシカルボ
ニル)−2″−デオキシジベカシンの5位ヒドロキシル
基を公知のデオキシ化法により脱離して次式(XII) 〔式中、A,B,Yは前記の意味をもつ〕で表わされる
2″−アミノ−4″,6″−O−アラルキリデンまたは
アルキリデン−1,3″−N−ビス(アラルキルオキシ
カルボニル)−3,2′,6′,2″−N−テトラキス
(アルコキシカルボニル)−5,2″−ジデオキシジベ
カシンを生成し、式(XII)の化合物の1位及び3″位の
アミノ基からアラルキルオキシカルボニル基(B)を脱
離して次式(XIII)
【0043】〔式中、A及びYは前記の意味をもつ〕で
表わされる2″−アミノ−4″,6″−O−アラルキリ
デンまたはアルキリデン−3,2′,6′,2″−N−
テトラキス(アルコキシカルボニル)−5,2″−ジデ
オキシジベカシンを生成し、次に式(XIII)の化合物の
1位アミノ基を次式(X) 〔式中、A′は加水分解により脱離できるアミノ保護基
としてのp−アルコキシ置換ベンジルオキシカルボニル
基またはアルコキシカルボニル基を示す〕で表わされる
(S)−4−(p−アルコキシ置換ベンジルオキシカル
ボニル−またはアルコキシカルボニル−アミノ)−2−
ヒドロキシ酪酸の活性エステルまたは酸ハライドでアシ
ル化させて次式(XIV) 〔式中、A,Y及びA′は前記の意味をもつ〕で表わさ
れる1−N−〔(S)−4−(p−アルコキシ置換ベン
ジルオキシカルボニル−またはアルコキシカルボニル−
アミノ)−2−ヒドロキシブチリル〕−2″−アミノ−
4″,6″−O−アラルキリデンまたはアルキリデン−
3,2′,6′,2″-N- テトラキス(アルコキシカル
ボニル)−5,2″−ジデオキシジベカシンを生成さ
せ、さらに式(XIV)の化合物を加水分解にかけてアルコ
キシカルボニル基(A)と、p−アルコキシ置換ベンジ
ルオキシカルボニル基またはアルコキシカルボニル基
(A′)と、アラルキリデン基またはアルキリデン基
(Y)とを脱離させる各工程より成る、次式(Ib) の2″−アミノ−5,2″−ジデオキシアルベカシンの
製造法が提供される。
【0044】第4の本発明の方法において、式(VIII)
の化合物の5位ヒドロキシル基の脱離のためのデオキシ
化方法は、後記の合成工程チャートBに関連して説明さ
れるように、5位ヒドロキシル基を先ずジチオカルボネ
ート基に変換し、続いて水素化物で還元する2段階法で
実施するのが便利である。但し、その他の公知のデオキ
シ化方法によることも可能である。
【0045】式(XII)の化合物の1位及び3″位アミノ
基からの脱保護工程、ならびに式(XIV)の1−N−アシ
ル化生成物からの脱保護工程は第3の本発明の方法にお
けると同様に常法で行い得る。
【0046】更に、式(XIII)の化合物の1位アミノ基
を式(X)の酪酸誘導体でアシル化させる工程は、第3
の本発明の方法における対応の工程と同様に実施でき
る。
【0047】第2の本発明による式(IIa)の2″−アミ
ノ−2″−デオキシジベカシンの製造法として、第5の
本発明によると、前出の一般式(III)、(IV)、
(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)の諸化合物を経て
合成される一般式(IX) 〔式中、Aはアルコキシカルボニル基、Yはアラルキリ
デン基またはアルキリデン基を示す〕で表わされる2″
−アミノ−4″,6″−O−アラルキリデンまたはアル
キリデン−3,2′,6′,2″−N−テトラキス(ア
ルコキシカルボニル)−2″−デオキシジベカシンから
アラルキリデンまたはアルキリデン基(Y)とアルコキシ
カルボニル基(A)とを脱離することから成る、式(II
a) の2″−アミノ−2″−デオキシジベカシンの製造法が
提供される。
【0048】第2の本発明による式(IIb)の2″−アミ
ノ−5,2″−ジデオキシジベカシンの製造法として、
第6の本発明によると、前出の一般式(VIII)の化合物
と一般式(XII)の化合物を経て合成される一般式(XII
I) 〔式中、Aはアルコキシカルボニル基、Yはアラルキリ
デン基またはアルキリデン基を示す〕で表わされる2″
−アミノ−4″,6″−O−アラルキリデンまたはアル
キリデン−3,2′,6′,2″−N−テトラキス(ア
ルコキシカルボニル)−5,2″−ジデオキシジベカシ
ンからアラルキリデン基またはアルキリデン基(Y)と
アルコキシカルボニル基(A)とを脱離させることから
成る、式(IIb) の2″−アミノ−5,2″−ジデオキシジベカシンの製
造法が提供される。
【0049】第2の本発明による式(IIa)の2″−アミ
ノ−2″−デオキシジベカシンは、第5の本発明の方法
に示したように製造されるが、本製造法における一般式
(IX)の原料化合物の合成に用い得る一般式(IV)、(V) 、
(VI)、(VII) 、(VIII)のそれぞれの化合物中のアミノ保
護基がA=Bの場合にも適用されることは明白である。
また、式(IIb) の2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ
ジベカシンは、第6の本発明において同様に、一般式(X
III)の原料化合物の合成に用いられる一般式(VIII)、(X
II) の化合物中のアミノ保護基がA=Bであっても良
い。これらの出発原料となる一般式(IV)の化合物中のア
ミノ保護基がA=Bである既知の化合物として、例えば
1,3,2',6',3''-N-ペンタキス(t-ブトキシカルボニル)D
KB〔T. Miyasaka et al., 「J. Antibiotics」, 33巻,
第527 頁(1980)〕を用いることができる。
【0050】第3の本発明の方法において、一般式(II
I)の化合物の好ましい例として3,2′,6′−N−
トリス(t−ブトキシカルボニル)ジベカシン(化合物
IIIa)から出発して式(Ia)の2″−アミノ−2″−デ
オキシアルベカシンを合成する第3の本発明の方法の各
工程の好適な実施法を簡略に表示する合成工程チャート
Aを次に示す。合成工程チャートAでは、Bocはt−
ブトキシカルボニル基を、Zはベンジルオキシカルボニ
ル基を、Phはフェニル基を、PMZはp−メトキシベ
ンジルオキシカルボニル基を表わす( 以下、同様) 。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】第3の本発明の方法の好適な実施法を示す
前記の合成工程チャートAで中間体として得られる式(V
IIIa)の化合物を用いて、第4の本発明の方法において
式(Ib)の2″−アミノ−5,2″−ジデオキシアルベ
カシンを合成する各工程を簡略に例示する合成工程チャ
ートBを次に示す。
【0055】
【0056】
【0057】第3の本発明の方法の好適な実施法を示す
合成工程チャートAで中間体として得られる式(IXa)の
化合物を用いて、第5の本発明の方法において式(IIa)
の2″−アミノ−2″−デオキシジベカシンを合成する
工程を簡略に表示する合成工程チャートCを次に示す。
【0058】
【0059】第の本発明の方法の好適な実施法を示す
前記の合成工程チャートBで中間体として得られる式(X
IIIa)の化合物を用いて、第6の本発明の方法において
式(IIb) の2″−アミノ−5,2″−ジデオキシジベカ
シンを合成する工程を簡略に表示する合成工程チャート
Dを次に示す。
【0060】
【0061】式(Ia)の本発明化合物、すなわち2″−
アミノ−2″−デオキシアルベカシンの製造のための第
3の本発明方法の好適な実施法を表わす合成工程チャー
トAについて次に説明する。
【0062】出発原料として用いられる式(IIIa)の
3,2′,6′−N−トリス(t−ブトキシカルボニ
ル)ジベカシン〔以下では、3,2′,6′−N−トリ
ス(BOC)ジベカシンと略記する〕は特公昭63−1319
号公報又は米国特許第4,297,485号明細書記載の方法に
よってジベカシンを酢酸亜鉛の存在下にt−ブトキシカ
ルボニル・クロライドでアシル化することによって合成
されるジベカシンのアミノ基の部分保護誘導体である。
【0063】合成工程チャートAに示したように、3,
2′,6′−N−トリス(BOC)ジベカシン(IIIa)
の1位および3″位の2個のアミノ基をBOCと異なる
脱離法で脱離できる別のアミノ保護基、例えばアラルキ
ルオキシカルボニル基の一種のベンジルオキシカルボニ
ル基を常法によって保護すると、式(IVa)の化合物、す
なわち1,3″−N−ビス(ベンジルオキシカルボニ
ル)−3,2′,6′−N−トリス(t−ブトキシカル
ボニル)ジベカシンを生成する。続いて、この化合物(I
Va)の4″位と6″位の2個のOH基を、アラルキリデン
基の一例のベンジリデン基で同時に保護すると、式(V
a)の化合物、すなわち4″,6″−O−ベンジリデン
−1,3″−N−ビス(ベンジルオキシカルボニル)-
3,2′,6′−N−トリス(t−ブトキシカルボニ
ル)ジベカシンが生成される。
【0064】この化合物(Va)の2″位のOH基をアミノ
基に変換した。この2″位OH基をアミノ基に変換するの
は、例えば通常のフィッッナーモファト酸化〔B. P. Mu
ndyand M. G. Ellerd, 「Name Reactions and Reagents
in Organic Synthesis」,John Wiley & Sons, New Yo
rk, 162頁(1988)〕によって式(VIa )の2″−ケト誘
導体、すなわち4″,6″−O−ベンジリデン−1,
3″-N- ビス(ベンジルオキシカルボニル)-3,2′,
6′−N−トリス(t- ブトキシカルボニル)-2″−デオ
キシ−2″−オキソジカシンを生成し、続いてこの化
合物(VIa)を既知の還元的アミノ化反応〔例えば、R.
F. Borch et al., 「J. Am. Chem. Soc. 」93,2897, (1
971) 〕により2″−NH2 基に変換して達成した。本
発明者らは、この反応によってエカトリアルの2″−NH
2 基が優先して生成することを見出した。この還元的ア
ミノ化反応は化合物(VIa )を酢酸アンモニウムの存在
下に水素化物、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウムで
還元して行われる。
【0065】これにより、式(VIIa)の2″−アミノ誘
導体、すなわち2″−アミノ−4″,6″−O−ベンジ
リデン−1,3″−N−ビス(ベンジルオキシカルボニ
ル)−3,2′,6′−N−トリス(t−ブトキシカル
ボニル)−2″−デオキシジベカシンが生成される。
【0066】続いて、式(VIIa)の化合物の2″−アミ
ノ基をアミノ保護基としてのBOCで保護すると、式(V
IIIa)の化合物、すなわち2″−アミノ−4″,6″−
O−ベンジリデン−1,3″−N−ビス(ベンジルオキ
シカルボニル)−3,2′,6′,2″−N−テトラキ
ス(t−ブトキシカルボニル)−2″−デオキシジベカ
シンを得る。この化合物(VIIIa)の1位および3″位の
ベンジルオキシカルボニル基を加水素分解して除去して
式(IXa)の化合物、すなわち2″−アミノ−4″,6″
−O−ベンジリデン−3,2′,6′,2″−N−テト
ラキス(t- ブトキシカルボニル)−2″−デオキシジベ
カシンを生成する。この化合物(IXa)の1位アミノ基を
優先的に、既知の1−N−アシル化方法によって、p−
メトキシベンジルオキシカルボニル基でアミノ保護され
た(S)−4−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸でアシル化
する。続いて、得られた式(XIa)の1−N−アシル化生
成物をトリフルオロ酢酸などで処理してアミノ保護基と
ヒドロキシ保護基を一挙に除去する。得られた生成物を
弱陽イオン交換樹脂によるカラム・クロマトグラフィー
で精製して、1位のアミノ基のみがアシル化された目的
化合物として式(Ia)の2″−アミノ−2″−デオキシ
アルベカシンを得る。
【0067】合成工程チャートAの各反応工程は後記の
実施例1に詳細に説明される。
【0068】更に、合成工程チャートBについて若干説
明する。前記の合成工程チャートAで示された式(VIII
a)の化合物の5位のOH基を既知のデオキシ化法〔例え
ば、T.Hayashi et al., 「Chem. Pharm. Bull.」26, 17
86, (1978)〕でジチオカルボネート(H3 CSC(=S)O- )と
し、続いて水素化物で還元すると、式(XIIa)の5−デ
オキシ誘導体、すなわち2″−アミノ−2″,6″−O
−ベンジリデン−1,3″−N−ビス(ベンジルオキシ
カルボニル)−3,2′,6′,2″−N−テトラキス
(t−ブトキシカルボニル)−5,2″−ジデオキシジ
ベカシンが生成される。
【0069】式(XIIa)の化合物の1位及び3″位アミ
ノ基から、合成工程チャートAの式(VIIIa)の化合物と
同様に脱ベンジルオキシカルボニル化し、得られた式(X
IIIa)の化合物、すなわち2″−アミノ−4″,6″−
O−ベンジリデン−3,2′,6′,2″−N−テトラ
キス(t−ブトキシカルボニル)−5,2″−ジデオキ
シジベカシンを、p−メトキシベンジルオキシカルボニ
ル基でアミノ基を保護された(S)−4−アミノ−2−
ヒドロキシ酪酸で1−N−アシル化すると、式(XIVa)
の1−N−アシル化生成物が生成される。この(XIVa)
の化合物を脱保護すると、目的化合物として、式(Ib)
の2″−アミノ−5,2″−ジデオキシアルベカシンが
得られる。
【0070】合成工程チャートBの各反応工程は後記の
実施例2に詳細に説明される。
【0071】更に、合成工程チャートCについて説明す
るに、合成工程チャートAに示される式(IXa )の化合
物を常法で脱保護反応にかけると、式(IIa )の2″−
アミノ−2″−デオキシジベカシンが生成される(後記
の実施例3参照)。
【0072】また、合成工程チャートDについて説明す
るに、合成工程チャートBに示される式(XIIIa)の化合
物を常法で脱保護反応にかけると、式(IIb)の2″−ア
ミノ−5,2″−ジデオキシジベカシンが生成される
(後記の実施例4参照)。
【0073】次に実施例を挙げて本発明を説明するが、
これらによって本発明が限定されるものではない。
【0074】実施例1 2″−アミノ−2″−デオキシ
アルベカシン〔化合物Ia〕の合成 (1)4″,6″−O−ベンジリデン−1,3″−N−
ビス(ベンジルオキシカルボニル)−3,2′,6′−
N−トリス(t−ブトキシカルボニル)ジベカシン(化
合物Va):特公昭63−1319号公報または米国特許第4,29
7,485 号明細書記載の3,2′,6′−N−トリス(t
−ブトキシカルボニル)ジベカシン(化合物IIIa)9.02
g(12.0ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド
(DMF)50mlに溶かし、ピリジン10ml、N−(ベンジ
ルオキシカルボニル)コハク酸イミド6.28gを加え、室
温に4時間放置して反応させた(1,3″−アミノ基の
ベンジルオキシカルボニル化)。反応液を減圧濃縮し、
水を加えて生じた沈殿を、水、エーテルで洗浄して、
1,3″−N−ビス(ベンジルオキシカルボニル)−
3,2′,6″−N−トリス(t−ブトキシカルボニ
ル)ジベカシン9.90g(化合物IVa )を得た。FD-MS m/
z 1020 (M+H)+
【0075】この1,3″−N−ビス(ベンジルオキシ
カルボニル)体4.98gをDMFに溶かし、ベンツアルデ
ヒドジメチルアセタール3ml、無水p−トルエンスルホ
ン酸200mg を加え、20mmHg減圧下40℃で1時間加熱攪拌
して反応させた(4″,6″−O−ベンジリデン化)。
反応液にクロロホルム300 mlを加えて抽出し、飽和重曹
水、10%食塩水各50mlで洗浄し、濃縮乾固した。これを
熱テトラヒドロフラン(THF)−酢酸エチルで再沈殿
して表題化合物3.88gを得た。〔α〕D 20+50°(c 1.
2,DMF)。
【0076】(2)2″−アミノ−4″,6″−O−ベ
ンジリデン−1,3″−N−ビス(ベンジルオキシカル
ボニル)−3,2′,6′,2″−N−テトラキス(t
−ブトキシカルボニル)−2″−デオキシジベカシン
(化合物VIIIa ):前項(1)で得られた化合物2.95g
を無水ジメチルスルホキシド(DMSO)13mlに溶か
し、ピリジニウムトリフルオロアセテート250mg を加え
た溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド1.68gをベ
ンゼン19mlに溶かした溶液を加え、室温で一晩攪拌して
酸化反応を行った。反応液にシュウ酸2水和物 685mgを
2.5mlのジオキサンに溶かして滴下し、室温で30分攪拌
した。生じた沈殿を濾去し、濾液にクロロホルム 180ml
を加えて抽出し、飽和重曹水(100ml)、10%食塩水(200
ml)で洗浄後濃縮乾固して2″−ケト体〔詳しくは、
4″,6″−O−ベンジリデン−1,3″−N−ビス
(ベンジルオキシカルボニル)−3,2′,6′−N−
トリス(t−ブトキシカルボニル)−2″−デオキシ−
2″−オキソジベカシン〕(化合物VIa)3.35gを得
た。
【0077】これを無水メタノール 100mlに溶かし、酢
酸アンモニウム 3.7g、続いてシアノ水素化ホウ素ナト
リウム 673mgを加え、室温で一晩攪拌して還元的アミノ
化反応を行った。反応液にクロロホルム 300mlを加えて
抽出し、水、飽和重曹水、10%食塩水各 100mlで洗浄
し、濃縮した後、シリカゲル・カラム(ワコーゲルC-30
0 、和光純薬工業製、直径40mm、高さ70cm)で精製し、
初めにクロロホルム−メタノール(40:1)、続いて
(20:1)で溶出し、2″−アミノ体〔詳しくは、2″
−アミノ−4″,6″−O−ベンジリデン−1,3″−
N−ビス(ベンジルオキシカルボニル)−3,2′,
6′−N−トリス(t−ブトキシカルボニル)−2″−
デオキシジベカシン〕(化合物VIIa)(シリカゲル・薄
層クロマトでクロロホルム−メタノール20:1で展開し
てRf 0.16 を示す)を含む分画を集め、濃縮乾燥した(7
75mg)。
【0078】これをTHF−メタノール混液(1:1)26ml
に溶かし、トリエチルアミン 0.1ml、ジ−t−ブチルジ
カルボネート 0.3mlを加え、室温で一晩放置した(2″
−アミノ基のt−ブトキシカルボニル化反応)。反応液
を濃縮乾固し、シリカゲル・カラム(直径22mm、高さ18
cm、クロロホルムメタノール20:1で展開)で精製し、
表題化合物 752mgを得た。FD-MS m/z 1207 (M+H)+
〔α〕D 20+33°(c 1,CHCl3 )。
【0079】(3)2″−アミノ−4″,6″−O−ベ
ンジリデン−3,2′,6′,2″−N−テトラキス
(t−ブトキシカルボニル)−2″−デオキシジベカシ
ン(化合物IXa):前項(2)で得られた化合物 730mgを
88%ギ酸−メタノール混液(1:19)40mlに溶かし、アル
ゴン気流中10%パラジウム−炭素1.45gを加え、加水素
分解して(2時間)1位及び3″位のアミノ基からベン
ジルオキシカルボニル基を除去した。反応液を濾過し濃
縮乾固して表題化合物491 mgを得た。
【0080】(4)2″−アミノ−2″−デオキシアル
ベカシン(化合物Ia):前項(3)で得られた化合物 2
46mgをTHF 6mlに溶かし、得られた溶液にトリエチ
ルアミン35μlを加え、更にその溶液に対して、THF
(1.4ml)中(S)−4−(p−メトキシベンジルオキシカ
ルボニルアミノ)−2−ヒドロキシ酪酸81mgにN−ヒド
ロキシコハク酸イミド33mg、ジシクロヘキシルカルボジ
イミド61mgを加えることにより調製した活性エステルの
溶液を加えた。その反応混合物を5−20℃で一晩反応し
た。少量の不溶物を濾去した後、濾液を濃縮乾固した。
残渣をクロロホルム6mlに溶解し、飽和重曹水、10%食
塩水各2mlで洗浄した後、濃縮乾固(269mg)し、シリカ
ゲル・カラム(直径22mm、高さ36cm、初めクロロホル
ム、続いてクロロホルム−メタノール20:1で展開)で
精製し縮合生成物として1−N−〔(S)−4−(p−
メトキシベンジルオキシカルボニルアミノ)−2−ヒド
ロキシブチリル〕−2″−アミノ−4″,6″−O−ベ
ンジリデン−3,2′,6′,2″−N−テトラキス
(t−ブトキシカルボニル)−2″−デオキシジベカシ
ン(化合物XIa)139mg を得た。
【0081】これを90%トリフルオロ酢酸 2.8mlに溶か
し、室温に1時間放置してベンジリデン基の除去とt−
ブトキシカルボニル基の除去とp−メトキシベンジルオ
キシカルボニル基の除去とを行った(脱保護)後、反応
液を濃縮乾固しエーテル洗浄(9ml)した。残渣を少量
の水に溶かしアンバーライトCG−50(NH4 + 型、25ml、
米国ローム・アンド・ハース社)のカラムに通過吸着さ
せ、水洗(40ml)後、0.1-1.5Mのアンモニア水でグラジ
エント溶出して精製し、本発明における目的化合物であ
る2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシン38mgを得
た。
【0082】実施例2 2″−アミノ−5,2″−ジデ
オキシアルベカシン〔化合物Ib〕の合成 (1)2″−アミノ−4″,6″−O−ベンジリデン−
1,3″−N−ビス(ベンジルオキシカルボニル)−
3,2′,6′,2″−N−テトラキス(t−ブトキシ
カルボニル)−5,2″−ジデオキシジベカシン(化合
物XIIa):実施例1(2)で得られた化合物(VIIIa)
184mgをDMSO 1.6mlに溶かし、二硫化炭素 0.8mlを
加え、15℃で激しく攪拌しながら8M NaOH 0.6ml を滴加
し、続いて室温で30分攪拌したのちヨウ化メチル 1.6ml
を滴加しさらに2時間攪拌した。反応液を濃縮乾固し、
残渣をクロロホルム15mlに溶かし、水洗(15ml)して濃
縮乾固し、シリカゲル・カラム(直径22mm、高さ25cm、
初めクロロホルム、続いてクロロホルム−メタノール5
0:1で展開)で精製して、前記化合物の5−O−(メ
チルチオ)チオカルボニル誘導体 123mgを得た。FD-MS
m/z 1297(M+H)+
【0083】この5−O−(メチルチオ)チオカルボニ
ル誘導体 180mgをトルエン4mlに溶かし、水素化トリブ
チルスズ0.18ml、α,α′−アゾビスイソブチロニトリ
ル5mgを加え、アルゴン気流中 110℃で50分間加熱して
反応させた。ヘキサンを加えて生じる沈殿を遠心分離
し、これをシリカゲル・カラム(直径16mm、高さ17cm、
初めクロロホルム、続いてクロロホルム−メタノール5
0:1で展開)で精製して表題化合物 154mgを得た。FD-
MS m/z 1191(M+ )、〔α〕D 20+37°(c 1.3,CHC
l3 )。
【0084】(2)2″−アミノ−4″,6″−O−ベ
ンジリデン−3,2′,6′,2″−N−テトラキス
(t−ブトキシカルボニル)−5,2″−ジデオキシジ
ベカシン(化合物XIIIa):前項(1) で得られた化合物
149mgを88%ギ酸−メタノール混液(1:19)11.2mlに溶
かし、アルゴン中10%パラジウム炭素 520mgを加え、加
水素分解して(2.5時間)1位および3″位のアミノ基か
らベンジルオキシカルボニル基を除去した。反応液を濾
過し濃縮乾固して表題化合物96mgを得た。FD-MS m/z 92
3(M+H)+
【0085】(3)2″−アミノ−5,2″−ジデオキ
シアルベカシン(化合物Ib):前項(2)で得られた化
合物93mgをTHF 3mlに溶かし、その溶液へトリエチ
ルアミン15μlを加え、こうして得られた溶液に、TH
F(1.2ml)中4−(p−メトキシベンジルオキシカルボ
ニルアミノ)−2−ヒドロキシ酪酸37mgにN−ヒドロキ
シコハク酸イミド15mg、ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド28mgを加えることにより調製した活性エステルの溶液
を加えた。その反応混合物を、−15−20℃で一晩反応し
た。少量の不溶物を濾去した後、濾液を濃縮乾固した。
残渣をクロロホルム6mlに溶解し、飽和重曹水、10%食
塩水各2mlで洗浄した後、濃縮乾固(100mg)しシリカゲ
ル・カラム(直径16mm、高さ25cm、クロロホルム−メタ
ノール30:1で展開)で精製し縮合生成物として1−N
−〔(S)−4−(p−メトキシベンジルオキシカルボ
ニルアミノ)−2−ヒドロキシブチリル〕−2″−アミ
ノ−4″,6″−O−ベンジリデン−3,2′,6′,
2″−N−テトラキス(t-ブトキシカルボニル)−5,
2″−ジデオキシジベカシン(化合物XIVa)81mgを得
た。
【0086】これを90%トリフルオロ酢酸 1.8mlに溶か
し、室温に1時間放置した後、反応液を濃縮乾固しエー
テル洗浄(9ml)した。残渣を少量の水に溶かしアンバ
ーライトCG−50(NH4 + 型、18ml)のカラムに通過吸着
させ、水洗(40ml)後、0.1-1.5Mのアンモニア水でグラ
ジエント溶出して精製し、本発明における目的化合物で
ある2″−アミノ−5,2″−ジデオキシアルベカシン
27mgを得た。
【0087】実施例3 2″−アミノ−2″−デオキシ
ジベカシン〔化合物IIa 〕の合成 実施例1 (3)記載の2″−アミノ−4″,6″−O−ベ
ンジリデン−3,2′,6′,2″−N−テトラキス
(t−ブトキシカルボニル)−2″−デオキシジベカシ
ン(化合物IXa)38mgを、実施例1(4)記載と同様に
90%トリフルオロ酢酸で脱保護し、且つアンバーライト
CG−50で精製して、目的化合物である2″−アミノ−
2″−デオキシジベカシン16mgを得た。
【0088】実施例4 2″−アミノ−5,2″−ジデ
オキシジベカシン〔化合物IIb 〕の合成 実施例2 (2)記載の2″−アミノ−4″,6″−O−ベ
ンジリデン−3,2′,6′,2″−N−テトラキス
(t−ブトキシカルボニル)−5,2″−ジデオキシジ
ベカシン(化合物XIIIa )61mgを、実施例1(4)記載
と同様に、90%トリフルオロ酢酸で脱保護し、且つアン
バーライトCG−50で精製して、目的化合物である2″−
アミノ−5,2″−ジデオキシジベカシン21mgを得た。
【0089】
【発明の効果】次の一般式(I)および(II)
【0090】〔式中、いずれもRがOH基または水素原子
である〕で表わされる新規化合物である2″−アミノ−
2″−デオキシアルベカシン、2″−アミノ−5,2″
−ジデオキシアルベカシン、2″−アミノ−2″−デオ
キシジベカシンおよび2″−アミノ−5,2″−ジデオ
キシジベカシンを合成した。これらの新規化合物および
それぞれの酸付加塩は、メチシリン耐性黄色ぶどう球菌
のみならずグラム陽・陰性菌に広く抗菌活性を有するの
で、細菌感染症の化学療法剤として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五味 修一 東京都大田区上池台3丁目17番17号 ア イビーハイツ202 (72)発明者 田村 淳 神奈川県横浜市港北区日吉本町3丁目40 番30号 緑風荘404 (72)発明者 池田 洋子 東京都中野区東中野1丁目32番1号 サ ンクス東中野A−209 (72)発明者 池田 大四郎 東京都渋谷区代々木5丁目29番8号 代々木コーポラス107 (72)発明者 竹内 富雄 東京都品川区東五反田5丁目1番11号 ニユーフジマンシヨン701 (56)参考文献 特開 昭63−39891(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 15/234 A61K 31/7036 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(I) 〔式中、Rはヒドロキシル基または水素原子を示す〕で
    表わされる2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシン
    またはその5−デオキシ誘導体、およびそれらの酸付加
    塩。
  2. 【請求項2】 2″−アミノ−2″−デオキシアルベカ
    シン〔一般式(I)のRがヒドロキシル基の場合〕であ
    る請求項1記載の化合物、およびその酸付加塩。
  3. 【請求項3】 2″−アミノ−5,2″−ジデオキシア
    ルベカシン〔一般式(I)のRが水素原子の場合〕であ
    る請求項1記載の化合物、およびその酸付加塩。
  4. 【請求項4】 次の一般式(II) 〔式中、Rはヒドロキシル基または水素原子を示す〕で
    表わされる2″−アミノ−2″−デオキシジベカシンま
    たはその5−デオキシ誘導体、およびそれらの酸付加
    塩。
  5. 【請求項5】 2″−アミノ−2″−デオキシジベカシ
    ン〔一般式(II)のRがヒドロキシル基の場合〕である請
    求項4記載の化合物、およびその酸付加塩。
  6. 【請求項6】 2″−アミノ−5,2″−ジデオキシジ
    ベカシン〔一般式(II)のRが水素原子の場合〕である
    請求項4記載の化合物、およびその酸付加塩。
  7. 【請求項7】 一般式(III) 〔式中、Aは加水分解により脱離できるアミノ保護基で
    あるアルコキシカルボニル基を示す〕で表わされる3,
    2′,6′-N- トリス(アルコキシカルボニル)−ジベ
    カシンの1位及び3″位アミノ基を、加水素分解により
    脱離できるアミノ保護基であるアラルキルオキシカルボ
    ニル基で保護して次の一般式(IV) 〔式中、Aは前記の意味をもち、Bはアラルキルオキシ
    カルボニル基を示す〕で表わされる1,3″-N- ビス
    (アラルキルオキシカルボニル)−3,2′,6′−N
    −トリス(アルコキシカルボニル)−ジベカシンを生成
    し、次に、式(IV)の化合物の4″位及び6″位のヒド
    ロキシル基2個をヒドロキシル保護基としてのアラルキ
    リデン基またはアルキリデン基で保護して次式(V) 〔式中、A及びBは前記の意味をもち、Yはアラルキリ
    デン基またはアルキリデン基を示す〕で表わされる
    4″,6″−O−アラルキリデンまたはアルキリデン−
    1,3″−N−ビス(アラルキルオキシカルボニル)-
    3,2′,6′−N−トリス(アルコキシカルボニル)
    −ジベカシンを生成し、式(V)の化合物の2″位ヒド
    ロキシル基を酸化剤で酸化して次式(VI) 〔式中、A、B、Yは前記の意味をもつ〕で表わされる
    4″,6″−O−アラルキリデンまたはアルキリデン−
    1,3″−N−ビス(アラルキルオキシカルボニル)−
    3,2′,6′−N−トリス(アルコキシカルボニル)
    −2″−デオキシ−2″−オキソ−ジベカシンを生成
    し、式(VI)の化合物の2″−オキソ基を酢酸アンモニ
    ウムの存在下に水素化物で還元して2″−アミノ基に変
    換し、これにより次式(VII) 〔式中、A、B、Yは前記の意味をもつ〕で表わされる
    2″−アミノ−4″,6″−O−アラルキリデンまたは
    アルキリデン−1,3″−N−ビス(アラルキルオキシ
    カルボニル)−3,2′,6′−N−トリス(アルコキ
    シカルボニル)−2″−デオキシジベカシンを生成し、
    式(VII )の化合物の2″位アミノ基をアルコキシカル
    ボニル基(A)で保護して次式(VIII) 〔式中、A、B、Yは前記の意味をもつ〕で表わされる
    2″−アミノ−4″,6″−O−アラルキリデンまたはア
    ルキリデン−1,3″−N−ビス(アラルキルオキシカ
    ルボニル)−3,2′,6′,2″−N−テトラキス
    (アルコキシカルボニル)−2″−デオキシジベカシン
    を生成し、式(VIII)の化合物の1位及び3″位のアミ
    ノ基から加水素分解によりアラルキルオキシカルボニル
    基(B)を脱離して次式(IX) 〔式中、A及びYは前記の意味をもつ〕で表わされる
    2″−アミノ−4″,6″−O−アラルキリデンまたは
    アルキリデン−3,2′,6′,2″−N−テトラキス
    (アルコキシカルボニル)−2″−デオキシジベカシン
    を生成し、式(IX)の化合物の1位アミノ基を次式
    (X) 〔式中、A´は加水分解により脱離できるアミノ保護基
    としてのp−アルコキシ置換ベンジルオキシカルボニル
    基またはアルコキシカルボニル基を示す〕で表わされる
    (S)−4−(p−アルコキシ置換ベンジルオキシカル
    ボニル−またはアルコキシカルボニル−アミノ)−2−
    ヒドロキシ酪酸の活性エステルまたは酸ハライドでアシ
    ル化させて次式(XI) 〔式中、A、Y及びA′は前記の意味をもつ〕で表わさ
    れる1−N−〔(S)−4−(p−アルコキシ置換ベン
    ジルオキシカルボニル−またはアルコキシカルボニル−
    アミノ)−2−ヒドロキシブチリル〕−2″−アミノ−
    4″,6″−O−アラルキリデンまたはアルキリデン−
    3,2′,6′,2″−N−テトラキス(アルコキシカ
    ルボニル)−2″−デオキシジベカシンを生成させ、さ
    らに式(XI)の化合物を加水分解にかけてアルコキシカ
    ルボニル基(A)と、p−アルコキシ置換ベンジルオキ
    シカルボニル基またはアルコキシカルボニル基(A´)
    と、アラルキリデン基またはアルキリデン基(Y)とを
    脱離させる各工程より成る、次式(Ia ) の2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンの製造
    法。
  8. 【請求項8】 一般式(VIII) 〔式中、Aはアルコキシカルボニル基、Bはアラルキル
    オキシカルボニル基、Yはアラルキリデン基またはアル
    キリデン基を示す〕で表わされる2″−アミノ−4″,
    6″−O−アラルキリデンまたはアルキリデン−1,
    3″−N−ビス(アラルキルオキシカルボニル)−3,
    2′,6′,2″−N−テトラキス(アルコキシカルボ
    ニル)−2″−デオキシジベカシンの5位ヒドロキシ基
    を公知のデオキシ化法により脱離して次式(XII) 〔式中、A、B、Yは前記の意味をもつ〕で表わされる
    2″−アミノ−4″,6″−O−アラルキリデンまたは
    アルキリデン−1,3″−N−ビス(アラルキルオキシ
    カルボニル)−3,2′,6′,2″−N−テトラキス
    (アルコキシカルボニル)−5,2″−ジデオキシジベ
    カシンを生成し、式(XII)の化合物の1位及び3″位の
    アミノ基からアラルキルオキシカルボニル基(B)を脱
    離して次式(XIII) 〔式中、A及びYは前記の意味をもつ〕で表わされる
    2″−アミノ−4″,6″−O−アラルキリデンまたは
    アルキリデン−3,2′,6′,2″−N−テトラキス
    (アルコキシカルボニル)−5,2″−ジデオキシジベ
    カシンを生成し、次に式(XIII)の化合物の1位アミノ
    基を次式(X) 〔式中、A′は加水分解により脱離できるアミノ保護基
    としてのp−アルコキシ置換ベンジルオキシカルボニル
    基またはアルコキシカルボニル基を示す〕で表わされる
    (S)−4−(p−アルコキシ置換ベンジルオキシカル
    ボニル−またはアルコキシカルボニル−アミノ)−2−
    ヒドロキシ酪酸の活性エステルまたは酸ハライドでアシ
    ル化させて次式(XIV) 〔式中、A、Y及びA′は前記の意味をもつ〕で表わさ
    れる1−N−〔(S)−4−(p−アルコキシ置換ベン
    ジルオキシカルボニル−またはアルコキシカルボニル−
    アミノ)−2−ヒドロキシブチリル〕−2″−アミノ−
    4″,6″−O−アラルキリデンまたはアルキリデン−
    3,2′,6′,2″−N−テトラキス(アルコキシカ
    ルボニル)−5,2″−ジデオキシジベカシンを生成さ
    せ、さらに式(XIV)の化合物を加水分解にかけてアルコ
    キシカルボニル基(A)と、p-アルコキシ置換ベンジル
    オキシカルボニル基またはアルコキシカルボニル基
    (A')と、アラルキリデン基またはアルキリデン基
    (Y)とを脱離させる各工程より成る、次式(Ib) の2″−アミノ−5,2″−ジデオキシアルベカシンの
    製造法。
  9. 【請求項9】 一般式(IX) 〔式中、Aはアルコキシカルボニル基、Yはアラルキル
    デン基またはアルキリデン基を示す〕で表わされる2″
    −アミノ−4″,6″−O−アラルキリデンまたはアル
    キリデン−3,2′,6′,2″−N−テトラキス(ア
    ルコキシカルボニル)−2″−デオキシジベカシンから
    アラルキリデン基またはアルキリデン基(Y)とアルコ
    キシカルボニル基(A)とを脱離することから成る、式
    (IIa) の2″−アミノ−2″−デオキシジベカシンの製造法。
  10. 【請求項10】 一般式(XIII) 〔式中、Aはアルコキシカルボニル基、Yはアラルキリ
    デン基またはアルキリデン基を示す〕で表わされる2″
    −アミノ−4″,6″−O−アラルキリデンまたはアル
    キリデン−3,2′,6′,2″−N−テトラキス(ア
    ルコキシカルボニル)−5,2″−ジデオキシジベカシ
    ンからアラルキリデン基またはアルキリデン基(Y)と
    アルコキシカルボニル基(A) とを脱離することから成
    る、式(IIb) の2″−アミノ−5,2″−ジデオキシジベカシンの製
    造法。
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