JP3208336U - 校正試験装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】計測機器を使用する事業者が自ら校正試験を短時間かつ安全に実施することが可能な校正試験装置を提供する。【解決手段】クランプ式電流計の校正試験に用いられる校正試験装置であって、定電流源に接続される入出力端子30、32、34、36と、校正済みの標準電流計により電流が測定される標準電流測定部40と、被校正対象となる被校正クランプ式電流計により電流が測定される複数の被校正電流測定部50a〜50iとを備え、複数の被校正電流測定部は、それぞれ電線が巻回された巻き線形状を有し、かつ、互いに異なる巻き数を有しており、入出力端子、標準電流測定部及び複数の被校正電流測定部は、電気的に直列となるよう接続されている。【選択図】図1
Description
本考案は、主としてクランプ式電流計の校正試験に用いられる校正試験装置に関するものである。
従来、電気回路を切断することなく電線等に流れる電流を測定可能な電流計として、クランプ式電流計(クランプメータ)が広く知られている(特許文献1〜4)。クランプ式電流計100は、図10に示すように、電線102の周囲を包囲可能なクランプ部104と、表示部107及び各種操作を実行可能な操作部108を有する電流計本体106とを備えている。クランプ部104は、電線102を流れる電流による磁界を測定可能に構成されており、電流計本体106は、クランプ部104により測定した磁界を電流に変換して、該変換した電流の値を表示部107に表示するよう構成されている。
このように構成されたクランプ式電流計100によれば、電線102を流れる電流による磁界を測定することにより、電気回路を切断することなく、電線102を流れる電流を間接的に測定することが可能である。
クランプ式電流計100を含め、電気設備の点検等に用いられる計測機器で測定される数値は、通常、真の値(真値)ではなく、大なり小なり誤差を含んでいる。このため、計測機器においては、測定データの信憑性を確認するために、所定の期間毎に、校正試験を実施することが必要である。ここで、校正試験とは、標準器等を用いて、校正対象となる計測機器(被校正機器)が表す値と、その真値との関係、例えば、被校正機器が表す値を真値に補正するための補正値を求めることをいう。このような校正試験は、通常、測定器メーカや校正専門業者等の外部校正機関にて、高精度かつ高価な標準器を用いて実施されている。
しかしながら、外部校正機関にて校正試験を行う場合には、信頼のおける試験成績書及び校正証明書を取得可能であるという利点が存在するものの、校正試験に要する期間が長く、その間、校正対象となっている計測機器を使用することができないため、校正期間中の使用不可台数を考慮した台数を保有する必要があり、機器のコスト及び管理負担が増大するという問題がある。また、外部校正機関による校正費用が発生するため、機器のランニングコストが嵩むという問題もある。
そこで、本考案は、計測機器を使用する事業者(電気設備事業者等)が自ら校正試験を短時間かつ安全に実施することが可能な校正試験装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本考案に係る校正試験装置は、クランプ式電流計の校正試験に用いられる校正試験装置であって、定電流源に接続される入出力端子と、校正済みの標準電流計により電流が測定される標準電流測定部と、被校正対象となる被校正クランプ式電流計により電流が測定される複数の被校正電流測定部とを備え、前記複数の被校正電流測定部は、それぞれ電線が巻回された巻き線形状を有し、かつ、互いに異なる巻き数を有しており、前記入出力端子、前記標準電流測定部及び前記複数の被校正電流測定部は、電気的に直列となるよう接続されていることを特徴とする。
本考案に係る校正試験装置において、前記入出力端子は、二以上の異なる定電流源が接続可能に構成されており、前記校正試験装置は、前記入出力端子に接続された前記二対以上の定電流源から、前記標準電流測定部及び前記複数の被校正電流測定部と電気的に接続される定電流源を選択する定電流源切替部を更に備えることが好ましい。
また、本考案に係る校正試験装置において、前記複数の被校正電流測定部は、各被校正電流測定部に発生する磁界が互いに磁気的に干渉しないよう、隣接する被校正電流測定部同士が互いに異なる方向を向くよう配置されるか、又は、隣接する被校正電流測定部同士が互いに巻き線形状の中心軸が一致しないよう位置をずらして配置されることが好ましい。
さらに、本考案に係る校正試験装置において、前記複数の被校正電流測定部は、巻き数が1の第1被校正電流測定部と、巻き数が2の第2被校正電流測定部と、巻き数が3の第3被校正電流測定部と、巻き数が4の第4被校正電流測定部と、巻き数が6の第5被校正電流測定部と、巻き数が8の第6被校正電流測定部と、巻き数が10の第7被校正電流測定部と、巻き数が20の第8被校正電流測定部と、巻き数が30の第9被校正電流測定部とを備えることが好ましい。
本考案によれば、計測機器を使用する事業者が自ら校正試験を短時間かつ安全に実施することが可能な校正試験装置を提供することができる。
次に、本考案の一実施形態に係る校正試験装置について、図面に基づいて説明する。
本実施形態に係る校正試験装置1は、主としてクランプ式電流計100の校正試験に用いられる巻き線群(後述する第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50i)を有する巻き線群集合装置であって、図1及び図2に示すように、持ち運び可能な筐体10と、筐体10内に設けられた部品配置パネル20とを備えている。
また、校正試験装置1は、電流計の校正試験に用いられる構成要素として、図1〜図3に示すように、定電流源2,4に接続される入出力端子30〜36と、校正済みの標準電流計(標準器)6により電流が測定される標準電流測定部40と、被校正クランプ式電流計100により電流が測定される複数の被校正電流測定部(第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50i)と、定電流源2,4を選択する定電流源切替部60とを備えている。これら入出力端子30〜36、標準電流測定部40及び第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iは、電気的に直列となるよう接続されている。
さらに、校正試験装置1は、電圧計の校正試験に用いられる構成要素として、図1に示すように、定電圧源(図示せず)に接続される定電圧源用端子台70と、被校正対象となる被校正電圧計が接続される被校正電圧計用端子台72とを備えている。
筐体10は、図2に示すように、上面が開口された箱体形状を有する筐体本体12と、筐体本体12に着脱自在に取り付けられる蓋体14と、筐体本体12に対する蓋体14の開閉を規制するロック機構16と、筐体本体12の側部に設けられた把持部(取っ手)18とを備えている。蓋体14には、外部機器接続用の電線を収容可能な内ポケット(図示せず)が設けられている。このような筐体10としては、例えばアルミキャリングケース等の種々の公知の筐体を任意に用いることが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
部品配置パネル20は、図1に示すように、筐体本体12の上面を覆うように設けられた板状部材であり、その表面に、入出力端子30〜36及び標準電流測定部40の端子台、第1〜第9被校正電流測定部50a〜50i、電流源切替部60、定電圧源用端子台70及び被校正電圧計用端子台72が取り付けられている。
筐体本体12と部品配置パネル20の裏面との間には、電流源切替部60と標準電流測定部40とを電気的に接続する配線80と、標準電流測定部40と第1被校正電流測定部50aとの間の電線部分82aと、隣接する被校正電流測定部50a〜50i間の電線部分82b〜82iと、第9被校正電流測定部50iと電流源切替部60との間の電線部分82jと、定電圧源用端子台70と被校正電圧計用端子台72との間を電気的に接続する配線84,86とが収容される配線収容空間(図示せず)が形成されている。これら配線80及び電線部分82a〜82jは、その大部分が配線収容空間内に収容されており、図1に示すように、その両端部のみが、部品配置パネル20の貫通孔を介して部品配置パネル20の表面側に露出している。なお、本実施形態では、入出力端子30〜36と電流源切替部60とを接続する配線88a〜88dについては、その全体が部品配置パネル20の表面側に露出されているが、これに限定されず、配線80及び電線部分82a〜82jと同様に配線収容空間内に収容される構成としても良い。ここで、図1に示された白抜きの丸印は、それぞれ、部品配置パネル20に形成された貫通孔を示している。
部品配置パネル20の表面には、図1に示すように、筐体本体12の配線収容空間に収容された配線と、外部機器接続用端子台(入出力端子30〜36及び標準電流測定部40の端子台、定電圧源用端子台70並びに被校正電圧計用端子台72)の機能と、各被校正電流測定部50a〜50iの巻き数とが視覚的に認識できるように、これらの情報が記載されたラミネート加工した部品配置図が貼り付けられている。なお、図1において、配線80及び電線部分82a〜82jを含む太線で示した配線部分は、部品配置図に印字された配線図であり、「定電流源入力A」、「定電流源入力B」及び「定電圧源」の各文字及び各記号と、電流計及び電圧計の記号と、「1ターン」〜「30ターン」、「入力A側」及び「入力B側」の各文字は、部品配置図に印字された文字又は記号である。このように、部品配置図を貼り付けることにより、外部機器を接続する際の接続間違いリスクを低減させることが可能である。
入出力端子30〜36は、図1及び図3に示すように、定電流源2の入力側(+側)及び出力側(−側)が接続される第1入力端子30及び第1出力端子34と、他の定電流源4の入力側(+側)及び出力側(−側)が接続される第2入力端子32及び第2出力端子36とを備えており、2つの異なる定電流源2,4が接続可能に構成されている。
標準電流測定部40は、図1及び図3に示すように、標準電流計6の入力側(+側)が接続される入力端子42と、標準電流計6の出力側(−側)が接続される出力端子44とを備えており、入力端子42及び出力端子44に標準電流計6を接続することにより、該標準電流計6によって一方の定電流源2又は他方の定電流源4から出力される定電流を測定可能に構成されている。非使用時における標準電流測定部40には、図1に示すように、入力端子42と出力端子44とを短絡させる短絡線46が取り付けられている。
第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iは、図1及び図3に示すように、それぞれ電線が巻回された巻き線形状を有し、かつ、互いに異なる巻き数を有している。具体的には、第1被校正電流測定部50aは、巻き数が1となるコイル状に形成されており、第2被校正電流測定部50bは、巻き数が2となるコイル状に形成されており、第3被校正電流測定部50cは、巻き数が3となるコイル状に形成されており、第4被校正電流測定部50dは、巻き数が4となるコイル状に形成されており、第5被校正電流測定部50eは、巻き数が6となるコイル状に形成されており、第6被校正電流測定部50fは、巻き数が8となるコイル状に形成されており、第7被校正電流測定部50gは、巻き数が10となるコイル状に形成されており、第8被校正電流測定部50hは、巻き数が20となるコイル状に形成されており、第9被校正電流測定部50iは、巻き数が30となるコイル状に形成されている。
これら第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iは、同方向に束ねられた電線の束が形成されるよう、巻き線形状に巻回されることにより、巻き数(ターン数)に応じた磁界が発生するよう構成されている。そして、磁界の大きさに比例した電流値が被校正クランプ式電流計100の指示値となるため、第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iにおいて測定される被校正クランプ式電流計100の指示値は、図4の表に示すように、理想的には、定電流源2,4からの出力電流に巻き数を乗じた電流値となる。例えば、定電流源2,4から9Aの定電流を出力した場合には、第1被校正電流測定部50a(巻き数1)においては9Aの電流が測定され、以下同様に、第2被校正電流測定部50b(巻き数2)では18A、第3被校正電流測定部50c(巻き数3)では27A、第4被校正電流測定部50d(巻き数4)では36A、第5被校正電流測定部50e(巻き数6)では54A、第6被校正電流測定部50f(巻き数8)では72A、第7被校正電流測定部50g(巻き数10)では90A、第8被校正電流測定部50h(巻き数20)では180A、第9被校正電流測定部50i(巻き数30)では270Aの電流が測定されることとなる。
本実施形態に係る第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iによれば、例えば3mA〜270Aという非常に広範囲の電流計測を実現することができるため、様々な種類の被校正クランプ式電流計100における全てのレンジに対応することが可能となると共に、数mAの漏れ電流用校正試験から数百Aの負荷電流用の校正試験までの全ての校正試験を実施することが可能となる。なお、図4では、25mA、250mA、1.5A及び10Aの4つの測定レンジを有する定電流源2,4を用いる場合を例として挙げているが、これに限定されるものではない。
第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iは、図1に示すように、各被校正電流測定部50a〜50iに発生する磁界が互いに磁気的に干渉しないよう、隣接する被校正電流測定部同士が互いに異なる方向を向くよう配置されるか、又は、隣接する被校正電流測定部同士が互いに巻き線形状の中心軸が一致しないよう位置をずらして配置されている。具体的には、第1被校正電流測定部50aと第2被校正電流測定部50bとは、互いに異なる方向を向くよう配置されている。第2被校正電流測定部50bと第3被校正電流測定部50cとは、巻き線形状の中心軸が一致しないよう位置をずらして配置されている。第3被校正電流測定部50cと第4被校正電流測定部50dとは、巻き線形状の中心軸が一致しないよう位置をずらして配置されている。第4被校正電流測定部50dと第5被校正電流測定部50eとは、互いに異なる方向を向くよう配置されている。第6被校正電流測定部50fと第7被校正電流測定部50gとは、互いに異なる方向を向くよう配置されている。第7被校正電流測定部50gと第8被校正電流測定部50hとは、巻き線形状の中心軸が一致しないよう位置をずらして配置されている。第8被校正電流測定部50hと第9被校正電流測定部50iとは、互いに異なる方向を向くよう配置されている。
定電流源切替部60は、図1に示すように、ハンドル部62を有しており、該ハンドル部62の操作により、入出力端子30〜36に接続された2つの定電流源2,4から、標準電流測定部40及び第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iと電気的に接続される定電流源を選択可能に構成されている。具体的には、定電流源切替部60は、ハンドル部62の操作により、図5に示すように、第1入力端子30及び第1出力端子34と接続され、第1の定電流源2からの定電流が標準電流測定部40及び第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iに流れる態様と、図6に示すように、第2入力端子32及び第2出力端子36と接続され、第2の定電流源4からの定電流が標準電流測定部40及び第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iに流れる態様とを瞬時に切り替え可能に構成されている。また、定電流源切替部60は、ハンドル部62を中立位置で停止させることにより、標準電流測定部40及び第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iから定電流源2,4を電気的に切り離す操作を実行可能に構成されている。
定電圧源用端子台70は、図1に示すように、定電圧源(図示せず)の入力側(+側)及び出力側(−側)が接続される入力端子及び出力端子を備えている。また、被校正電圧計用端子台72は、被校正対象となる被校正電圧計が定電圧源と並列接続されるよう、被校正電圧計の入力側(+側)及び出力側(−側)が接続される入力端子及び出力端子を備えている。これら定電圧源用端子台70及び被校正電圧計用端子台72は、電圧計の校正試験に用いられる構成であって、電流計の校正試験に用いられる構成(入出力端子30〜36、標準電流測定部40、第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50i及び定電流源切替部60)とは電気的に切り離されている。
[被校正クランプ式電流計100の校正試験]
以上の構成を備える校正試験装置1は、第1入力端子30及び第1出力端子34に第1の定電流源2を接続し、第2入力端子32及び第2出力端子36に第2の定電流源4を接続し、標準電流測定部40に標準電流計6を接続させることで、被校正クランプ式電流計100の校正試験を実行可能に構成されている。
以上の構成を備える校正試験装置1は、第1入力端子30及び第1出力端子34に第1の定電流源2を接続し、第2入力端子32及び第2出力端子36に第2の定電流源4を接続し、標準電流測定部40に標準電流計6を接続させることで、被校正クランプ式電流計100の校正試験を実行可能に構成されている。
被校正クランプ式電流計100は、従来のクランプ式電流計100と同様に、図10に示すように、第1〜第9被校正電流測定部50a〜50iの中から選択される1つの電線束の周囲を包囲可能なクランプ部104と、表示部107及び各種操作を実行可能な操作部108を有する電流計本体106とを備えている。クランプ部104は、電線束(第1〜第9被校正電流測定部50a〜50i)を流れる電流による磁界を測定可能に構成されており、電流計本体106は、クランプ部104により測定した磁界を電流に変換して、該変換した電流の値を表示部107に表示するよう構成されている。なお、クランプ式電流計は、一般的に、漏れ電流を計測する微小電流用と、交流回路の負荷電流を計測する交流大電流用と、直流回路の電流を計測する直流電流計測用とに分類されており、多くの場合、これら3種類のうちの2種類を兼用している。例えば、直流・交流両用のクランプ式電流計では、電流検出センサ(ホール素子)が更に設けられており、操作部108による回路の切替え選択により、交流電流の測定と直流電流の測定を切替可能に構成されている。また、交流負荷電流・交流漏れ電流両用のクランプ式電流計では、操作部108によるレンジの切替え選択により、交流負荷電流の測定と交流漏れ電流の測定を切替可能に構成されている。以下、本実施形態においては、被校正クランプ式電流計100として、直流・交流両用のクランプ式電流計と、交流負荷電流・交流漏れ電流両用のクランプ式電流計との2種類のクランプ式電流計を例に挙げて説明するが、これらのクランプ式電流計に限定されず、種々のクランプ式電流計の校正試験に用いることが可能である。
第1の定電流源2及び第2の定電流源4は、互いに異なる種類の定電流源が用いられる。例えば、被校正クランプ式電流計100が直流・交流両用のクランプ式電流計である場合には、第1の定電流源2として、交流電流を変動なく出力可能な交流定電流発生器を使用し、第2の定電流源4として、直流電流を変動なく出力可能な直流定電流発生器を使用することができる。この場合において、交流定電流発生器としては、既存の受変電設備用保護継電器(方向性地絡継電器)試験器を好適に用いることができ、また、直流定電流発生器としては、既存の直流安定化電源を好適に用いることができる。
また、被校正クランプ式電流計100が交流負荷電流・交流漏れ電流両用のクランプ式電流計である場合には、第1の定電流源2として、交流大電流を変動なく出力可能な交流定電流発生器を使用し、第2の定電流源4として、交流微小電流を変動なく出力可能な交流定電流発生器を使用することができる。この場合において、最大10A程度の電流を出力可能な零相電流出力端子と、それよりも低い最大250mA程度の電流を出力可能な零相電圧(電流)出力端子とを有する既存の受変電設備用保護継電器(方向性地絡継電器)試験器を用い、零相電流出力端子を第1の定電流源2として利用し、零相電圧(電流)出力端子を第2の定電流源4として利用すると、1台の受変電設備用保護継電器(方向性地絡継電器)試験器のみで交流大電流と交流微小電流との双方を切り替えて出力することが可能となるため、好ましい。
標準電流計6は、信頼のおける外部校正機関により校正を受け、試験成績書、校正証明書及びトレーサビリティ体系図を得た電流計であり、例えば、直流電圧、交流電圧、直流電流、交流電流及び抵抗等のレンジを有するデジタルマルチメータ(DMM)を好適に用いることができる。ここで、トレーサビリティとは、「ある測定結果が必要な精度を満たすために、その測定機器の校正手段が、国際標準や国家標準などに対する連続した比較校正の流れの中に位置づけられていること」をいい、「元をたどれば国家標準につながること」を意味している。なお、以下、本実施形態では、標準電流計6としてデジタルマルチメータを用いる場合を例に挙げて説明するが、これに限定されず、種々の標準器を用いることが可能である。例えば、校正済みのクランプ式電流計を標準器として用い、該校正済みのクランプ式電流計によって標準電流測定部40に装着された短絡線46に流れる電流を計測する構成としても良い。
そして、これら第1の定電流源2、第2の定電流源4及び標準電流計6を本実施形態に係る校正試験装置1に接続させた状態において、定電流源切替部60によって一方の定電流源を選択し、該定電流源の電源をONすることで、選択された定電流源から出力された電流が標準電流測定部40、標準電流計6及び第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iを通って定電流源に戻る閉回路が形成される。本実施形態に係る電流計の校正試験では、当該閉回路が形成された状態において、被校正対象となる被校正クランプ式電流計100によって第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iの各電流値を測定し、該測定値と標準電流計6との比較照合を行うことで、被校正クランプ式電流計100の校正及び良否判定を行う。なお、校正試験とは、既述のとおり、標準電流計6を用いて、被校正クランプ式電流計100が表す値と、その真値との関係、例えば、被校正クランプ式電流計100が表す値を真値に補正するための補正値や、「被校正クランプ式電流計100の指示値が○○Aの時の真値(校正値)は○○A」等の関係を求めることをいう。
具体的には、まず、定電流源切替部60を入力A側に切り換えて第1の定電流源2と接続させると共に、標準電流計6を第1の定電流源2に適合したレンジに切り換える。次に、第1の定電流源2の電源スイッチを入れ、電流出力可変ボリュームをまわし、出力電流目標値(例えば5.4A)を校正試験装置1へ流す。この状態において、被校正クランプ式電流計100を第1被校正電流測定部50aにクランプさせ、標準電流計6と被校正クランプ式電流計100の指示値を同時に読み取る。なお、これら標準電流計6と被校正クランプ式電流計100が指示値ホールド機能を有する場合には、指示値をホールドさせた後に第1の定電流源2の電源スイッチを切り、当該指示値ホールド機能を有していない場合には、指示値を控えた上で第1の定電流源2の電源スイッチを切る。続いて、再度第1の定電流源2の電源スイッチを入れ、電流出力可変ボリュームをまわし、次の出力電流目標値(例えば9A)を校正試験装置1へ流す。この状態において、被校正クランプ式電流計100を第1被校正電流測定部50aにクランプさせ、標準電流計6と被校正クランプ式電流計100の指示値を同時に読み取る。また、この出力電流を維持したまま、第2被校正電流測定部50b〜〜第9被校正電流測定部50iについても同様に被校正クランプ式電流計100をクランプさせ、標準電流計6と被校正クランプ式電流計100の指示値を同時に読み取る。なお、出力電流目標値や、その出力電流目標値について測定する被校正電流測定部については、必要な校正試験に応じて任意に設定することが可能である。
そして、これら読み取った値に基づき、被校正クランプ式電流計100が表す値と、その真値との関係を測定毎に求める。具体的には、図7に示すように、まず、標準電流計6(標準器)の指示値を読み取り(S1)、この標準電流計6(標準器)の指示値に、外部校正機関から発行された試験成績書に記載された、標準電流計6の補正値(真値との差)を加算することで、第1の定電流源2から出力された電流の真値を求める(S2)。例えば、図9に示す「出力電流目標値」が「5.4A」の例の場合においては、標準電流計6の指示値((A)欄の値)が「5.4118A」で、標準電流計6の補正値((B)欄の値)が「−0.0010A」であるため、第1の定電流源2から出力された電流の真値((C)欄の値)は、「5.4108A」となる。
次に、当該算出された真値に、第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iの巻き数X(本実施形態では、X=1,2,3,4,6,8,10,20,30)を乗じることで、第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iにおける電線束の合計電流値の真値をそれぞれ測定毎に特定する(S3)。そして、第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iにおける電線束の合計電流値の真値から、第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iにおける被校正クランプ式電流計100の指示値をそれぞれ差し引くことにより、被校正クランプ式電流計100が表す値とその真値との差、すなわち、被校正クランプ式電流計100が表す値を真値に補正するための補正値をそれぞれ測定毎に特定する(S4)。例えば、図9に示す「出力電流目標値」が「5.4A」の例の場合においては、上述のとおり第1の定電流源2から出力された定電流の真値((C)欄の値)は「5.4108A」であり、第1被校正電流測定部50aにおける巻き数((D)欄の値)は「1」であるため、第1被校正電流測定部50aにおける電流の真値((E)欄の値)は、そのまま「5.4108A」となる。そして、当該真値「5.4108A」から被校正クランプ式電流計100の指示値「5.43A」((F)欄の値)を差し引くことにより、「−0.0192A」という補正値を特定する。これにより、被校正クランプ式電流計100について、「出力電流目標値が5.4Aの時の補正値は−0.0192A」又は「指示値が5.43Aの時の真値(校正値)は5.4108A」という校正結果を得ることができる。
また、本実施形態に係る校正試験では、被校正クランプ式電流計100の良否判定を併せて実施することが可能である。具体的には、図8に示すように、上述のS1〜S3の工程と同様の工程により、第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iにおける電線束の合計電流値の真値をそれぞれ測定毎に特定する(S1´〜S3´)。次に、被校正クランプ式電流計100の指示値と、被校正クランプ式電流計100の製造メーカが定めた測定確度(誤差範囲)とに基づき、被校正クランプ式電流計100の指示値に対する誤差範囲を特定する(S4´)。そして、第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iにおける電線束の合計電流値の真値((E)欄の値)が、当該特定した被校正クランプ式電流計100の指示値に対する誤差範囲に収まっているか否かを判定する(S5´)。この結果、当該合計電流値の真値が当該誤差範囲に収まっている場合には、当該被校正クランプ式電流計100は、製造メーカが定めた規格に適合した正常な機器であるといえるため、「良品」(「良」)であると判定する。一方、当該合計電流値の真値が当該誤差範囲に収まっていない場合には、当該被校正クランプ式電流計100は、製造メーカが定めた規格に適合していない異常な機器であるといえるため、「不良品」(「否」)であると判定する。当該判定を全ての採取数値データについて行い、全て「良」と判定された被校正クランプ式電流計100については、総合判定「良」と判定し、1つでも「否」と判定された被校正クランプ式電流計100については、総合判定「否」と判定する。以上の工程(S1´〜S5´)により、被校正クランプ式電流計100が表す値とその真値との関係の特定だけでなく、被校正クランプ式電流計100の良否判定も併せて行うことができる。
以上の自主校正試験の結果(記録表)の一例を図9に示す。図9に示す記録表において、左欄は、第1の定電流源2からの試験電流(出力電流目標値)であり、本実施形態では、5.4Aと9Aの2種類の電流について記録している。また、図9において、(A)欄は、標準電流計6の指示値で、(F)欄は、被校正クランプ式電流計100の指示値である。(B)欄は、外部校正機関から発行された試験成績書に記載された、標準電流計6の補正値(真値との差)であり、(C)欄は、第1の定電流源2から出力された電流の真値((A)欄の数値+(B)欄の数値)である。(D)欄は、第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iの巻き数X(本実施形態では、X=1,2,3,4,6,8,10,20,30)であり、(E)欄は、第1の定電流源2から出力された定電流の真値に巻き数Xを乗じることで得られた、第1被校正電流測定部50a〜第9被校正電流測定部50iにおける電線束の合計電流値の真値、すなわち、(F)欄に掲載された被校正クランプ式電流計100の指示値の真値である。
なお、被校正クランプ式電流計100が2種類の機能を兼用するもの(例えば、直流・交流両用のクランプ式電流計や交流負荷電流・交流漏れ電流両用のクランプ式電流計)である場合には、第1の定電流源2を用いた一方の機能に関する校正試験が完了した後、定電流源切替部60を入力B側に切り換えて第2の定電流源4と接続させると共に、標準電流計6を第2の定電流源4に適合したレンジに切り換え、上述した工程と同様の工程により、他方の機能に関する校正試験を実行する。以上の工程により、1台の被校正クランプ式電流計100に対する校正試験が完了する。
以上のとおり、本実施形態に係る校正試験装置1は、定電流源2,4に接続される入出力端子30〜36と、校正済みの標準電流計6により電流が測定される標準電流測定部40と、被校正対象となる被校正クランプ式電流計100により電流が測定される複数の被校正電流測定部50a〜50iとを備え、複数の被校正電流測定部50a〜50iが、それぞれ電線が巻回された巻き線形状を有し、かつ、互いに異なる巻き数を有しており、入出力端子30〜36、標準電流測定部40及び複数の被校正電流測定部50a〜50iが、電気的に直列となるよう接続されている。
このような校正試験装置1によれば、定電流を発生可能な既存の発生器と、校正済みの標準電流計を用意するだけで、計測機器を使用する事業者(電気設備事業者等)が自ら校正試験を短時間かつ安全に実施することが可能である。そして、このように自主校正試験が可能となることにより、外部校正機関による校正費用を削減することが可能となると共に、校正期間の短縮化を図ることが可能となるため、外部校正機関に校正を依頼する場合や高価な校正試験装置を購入する場合と比較して、校正試験に関連するコスト等を削減することが可能となる。
また、本実施形態に係る校正試験装置1は、上述のとおり、入出力端子30〜36に接続された二対以上の定電流源2,4から、標準電流測定部40及び複数の被校正電流測定部50a〜50iと電気的に接続される定電流源を選択する定電流源切替部60を備えている。
このような校正試験装置1によれば、直流・交流両用のクランプ式電流計や交流負荷電流・交流漏れ電流両用のクランプ式電流計の校正試験等、異なる2種類の発生器を使用する必要がある校正試験において、都度の発生器の接続替えが不要となるため、校正試験時間の短縮及び作業効率の向上を図ることができると共に、接続間違いリスクの低減や、感電リスクの排除等の有利な作用効果を得ることができる。すなわち、異なる2種類の発生器を使用する必要がある校正試験においては、通常、発生器を停止させ、停電確認後に発生器の接続替え等を行い、再度発生器の電源を入れて校正試験を再開するという処置を、1台の被校正機器に対して複数回繰り返して実行する必要がある。しかしながら、発生器の最大出力は、交流電圧1000V、交流電流10A、直流電圧160V、直流電流14.4A程度であるため、接続間違えによる発生器、標準器及び被校正機器等の焼損及び故障リスクがあると共に、発生器の停止忘れによる感電リスクがある。これらのリスクは、機器の接続替えを頻繁に行う工程に存在しており、慎重になることから、試験時間が長期化すると共に、試験員の精神的負担が大きいという問題が生じ得る。これに対し、本実施形態に係る校正試験装置1では、校正試験前に、第1の定電流源2及び第2の定電流源4からの出力2回路と、標準電流計6への入力1回路の合計3回路、電線の本数では6本のみを接続するだけで良く、校正試験終了までの間、接続替えが発生しないため、上述の問題を一挙に解決することが可能となる。
さらに、本実施形態に係る校正試験装置1は、上述のとおり、隣接する被校正電流測定部50a〜50i同士が互いに異なる方向を向くよう配置されるか、又は、隣接する被校正電流測定部50a〜50i同士が互いに巻き線形状の中心軸が一致しないよう位置をずらして配置されている。クランプ式電流計は、磁界の大きさを電流の大きさに換算指示する仕組みであるため、複数の被校正電流測定部50a〜50iにそれぞれ発生する磁界が他の被校正電流測定部50a〜50iと磁気的に干渉してしまうと、クランプ式電流計の指示値が本来の電流値と異なる値となるおそれがあるが、本実施形態に係る校正試験装置1によれば、上述した構成を備えることにより、各被校正電流測定部50a〜50iにおける磁気的な干渉を排除することが可能となる。
またさらに、本実施形態に係る校正試験装置1は、巻き数が1の第1被校正電流測定部50aと、巻き数が2の第2被校正電流測定部50bと、巻き数が3の第3被校正電流測定部50cと、巻き数が4の第4被校正電流測定部50dと、巻き数が6の第5被校正電流測定部50eと、巻き数が8の第6被校正電流測定部50fと、巻き数が10の第7被校正電流測定部50gと、巻き数が20の第8被校正電流測定部50hと、巻き数が30の第9被校正電流測定部50iとを備えている。このような構成を備える校正試験装置1によれば、図4に示すように、例えば3mA〜270Aという非常に広範囲の電流計測を実現することができるため、様々な種類の被校正クランプ式電流計100における全てのレンジに対応することが可能となると共に、数mAの漏れ電流用校正試験から数百Aの負荷電流用の校正試験までの全ての校正試験を実施することが可能となる。
以上、本実施形態に係る校正試験装置1を用いた被校正クランプ式電流計100の校正試験について説明したが、本実施形態に係る校正試験装置1では、被校正クランプ式電流計100の校正試験に加え、ELBテスタ等の校正試験や、デジタルマルチメータ等の校正試験を行うことも可能である。
[ELBテスタ等の校正試験]
ELBテスタ(漏電遮断器テスタ)等の校正試験を行うためには、まず、第1入力端子30及び第1出力端子34に校正対象となるELBテスタを接続させると共に、標準電流測定部40に標準電流計6を接続させる。その後、ELBテスタから電流を出力させ、この電流を標準電流計6により測定する。そして、ELBテスタの出力指示値と、標準電流計6の指示値との比較照合を行い、上述した被校正クランプ式電流計100の校正試験と同様に、ELBテスタが表す値とその真値との関係を求めると共に、ELBテスタの測定確度を加味して良否判定を行う。これにより、ELBテスタについても校正試験を実施することが可能である。
ELBテスタ(漏電遮断器テスタ)等の校正試験を行うためには、まず、第1入力端子30及び第1出力端子34に校正対象となるELBテスタを接続させると共に、標準電流測定部40に標準電流計6を接続させる。その後、ELBテスタから電流を出力させ、この電流を標準電流計6により測定する。そして、ELBテスタの出力指示値と、標準電流計6の指示値との比較照合を行い、上述した被校正クランプ式電流計100の校正試験と同様に、ELBテスタが表す値とその真値との関係を求めると共に、ELBテスタの測定確度を加味して良否判定を行う。これにより、ELBテスタについても校正試験を実施することが可能である。
[デジタルマルチメータ等の電流校正試験]
デジタルマルチメータ等の交流電流レンジ及び直流電流レンジの校正試験を行うためには、被校正クランプ式電流計100の校正試験と同様に外部機器を接続させた後、校正対象となるデジタルマルチメータを標準電流計6に直列接続させる。その後、被校正クランプ式電流計100の校正試験と同様に発生器から定電流を出力させ、この電流を標準電流計6と校正対象となるデジタルマルチメータとの双方において同時に測定する。そして、校正対象となるデジタルマルチメータの出力指示値と、標準電流計6の指示値との比較照合を行い、上述した被校正クランプ式電流計100の校正試験と同様に、校正対象となるデジタルマルチメータが表す値とその真値との関係を求めると共に、校正対象となるデジタルマルチメータの測定確度を加味して良否判定を行う。これにより、デジタルマルチメータについても電流校正試験を実施することが可能である。なお、定電流源が校正済みの発生器である場合には、標準電流計6を用いずに、定電流源の出力指示値と、校正対象となるデジタルマルチメータの出力指示値との比較照合により校正を行う構成としても良い。
デジタルマルチメータ等の交流電流レンジ及び直流電流レンジの校正試験を行うためには、被校正クランプ式電流計100の校正試験と同様に外部機器を接続させた後、校正対象となるデジタルマルチメータを標準電流計6に直列接続させる。その後、被校正クランプ式電流計100の校正試験と同様に発生器から定電流を出力させ、この電流を標準電流計6と校正対象となるデジタルマルチメータとの双方において同時に測定する。そして、校正対象となるデジタルマルチメータの出力指示値と、標準電流計6の指示値との比較照合を行い、上述した被校正クランプ式電流計100の校正試験と同様に、校正対象となるデジタルマルチメータが表す値とその真値との関係を求めると共に、校正対象となるデジタルマルチメータの測定確度を加味して良否判定を行う。これにより、デジタルマルチメータについても電流校正試験を実施することが可能である。なお、定電流源が校正済みの発生器である場合には、標準電流計6を用いずに、定電流源の出力指示値と、校正対象となるデジタルマルチメータの出力指示値との比較照合により校正を行う構成としても良い。
[デジタルマルチメータ等の電圧校正試験]
デジタルマルチメータ等の交流電圧レンジ及び直流電圧レンジの校正試験を行うためには、まず、定電圧源用端子台70に定電圧源を接続させると共に、定電圧源と並列となるように、被校正電圧計用端子台72に、校正済みの標準電圧計(デジタルマルチメータ等)と、校正対象となるデジタルマルチメータとを並列接続させる。この定電圧源としては、上述した被校正クランプ式電流計100の校正試験と同様に、既存の受変電設備用保護継電器(方向性地絡継電器)試験器及び直流安定化電源を用いることができる。その後、定電圧源により電圧を印加し、この電圧を標準電圧計と校正対象となるデジタルマルチメータとの双方において同時に測定する。そして、校正対象となるデジタルマルチメータの出力指示値と、標準電圧計の指示値との比較照合を行い、上述した被校正クランプ式電流計100の校正試験と概ね同様に、校正対象となるデジタルマルチメータが表す値とその真値との関係を求めると共に、校正対象となるデジタルマルチメータの測定確度を加味して良否判定を行う。これにより、デジタルマルチメータに関する電圧校正試験を実施することが可能である。なお、定電圧源が校正済みの発生器である場合には、標準電圧計を用いずに、定電圧源の出力指示値と、校正対象となるデジタルマルチメータの出力指示値との比較照合により校正を行う構成としても良い。
デジタルマルチメータ等の交流電圧レンジ及び直流電圧レンジの校正試験を行うためには、まず、定電圧源用端子台70に定電圧源を接続させると共に、定電圧源と並列となるように、被校正電圧計用端子台72に、校正済みの標準電圧計(デジタルマルチメータ等)と、校正対象となるデジタルマルチメータとを並列接続させる。この定電圧源としては、上述した被校正クランプ式電流計100の校正試験と同様に、既存の受変電設備用保護継電器(方向性地絡継電器)試験器及び直流安定化電源を用いることができる。その後、定電圧源により電圧を印加し、この電圧を標準電圧計と校正対象となるデジタルマルチメータとの双方において同時に測定する。そして、校正対象となるデジタルマルチメータの出力指示値と、標準電圧計の指示値との比較照合を行い、上述した被校正クランプ式電流計100の校正試験と概ね同様に、校正対象となるデジタルマルチメータが表す値とその真値との関係を求めると共に、校正対象となるデジタルマルチメータの測定確度を加味して良否判定を行う。これにより、デジタルマルチメータに関する電圧校正試験を実施することが可能である。なお、定電圧源が校正済みの発生器である場合には、標準電圧計を用いずに、定電圧源の出力指示値と、校正対象となるデジタルマルチメータの出力指示値との比較照合により校正を行う構成としても良い。
本実施形態に係る校正試験装置1を用いた上述の各校正試験は、(1)トレーサビリティが確立された標準器を使用する、(2)校正の方法などを明確にした手順書がある、(3)教育訓練を受け、技能のある者が校正する等を条件とすることが好ましい。また、これらの条件をクリアするため、自主校正方法を明記したマニュアルを作成することが好ましい。当該マニュアルにより、定期的に外部校正された標準器があれば、有効な自主校正試験を行うことが可能となる。
本考案に係る校正試験装置1は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本考案の技術思想を逸脱しない範囲内において種々の改変を行なうことができる。
例えば、上述の実施形態では、標準電流計6を用いて被校正クランプ式電流計100の校正試験を行うものとして説明したが、これに限定されず、定電流源が校正済みの発生器である場合には、標準電流計6を用いずに、定電流源の出力指示値と、被校正クランプ式電流計100の出力指示値との比較照合により校正を行っても良い。
上述の実施形態では、2種類の定電流源2,4が接続され、定電流源切替部60によって切り替える構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、3種類以上の定電流源が接続され、定電流源切替部によって切り替える構成としても良い。また、定電流源切替部を排し、1種類の定電流源のみが接続される構成としても良い。
上述の実施形態では、隣接する被校正電流測定部50a〜50i同士が互いに異なる方向を向くよう配置されるか、又は、隣接する被校正電流測定部50a〜50i同士が互いに巻き線形状の中心軸が一致しないよう位置をずらして配置されるものとして説明したが、これに限定されず、被校正電流測定部50a〜50iは、任意の向き及び位置に配置することが可能である。この際、磁気的に干渉しない程度に互いに離間して配置されることが好ましい。
上述の実施形態では、巻き数が1の第1被校正電流測定部50aと、巻き数が2の第2被校正電流測定部50bと、巻き数が3の第3被校正電流測定部50cと、巻き数が4の第4被校正電流測定部50dと、巻き数が6の第5被校正電流測定部50eと、巻き数が8の第6被校正電流測定部50fと、巻き数が10の第7被校正電流測定部50gと、巻き数が20の第8被校正電流測定部50hと、巻き数が30の第9被校正電流測定部50iとを備えるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、被校正電流測定部の設置数及びそれらの巻き数は、任意に設定することが可能である。
上述の実施形態では、電圧計の校正試験に用いられる構成要素として、定電圧源用端子台70及び被校正電圧計用端子台72を備えるものとして説明したが、これに限定されず、これら定電圧源用端子台70及び被校正電圧計用端子台72が設けられない構成としても良い。
上述の実施形態では、部品配置パネル20の表面に部品配置図が貼り付けられるものとして説明したが、これに限定されず、部品配置図が貼り付けられない構成としても良い。
1 校正試験装置、2,4 定電流源、6 標準電流計、30 第1入力端子(入出力端子)、32 第2入力端子(入出力端子)、34 第1出力端子(入出力端子)、36 第2出力端子(入出力端子)、40 標準電流測定部、50a〜50i 被校正電流測定部、60 定電流源切替部、100 クランプ式電流計
Claims (4)
- クランプ式電流計の校正試験に用いられる校正試験装置であって、
定電流源に接続される入出力端子と、
校正済みの標準電流計により電流が測定される標準電流測定部と、
被校正対象となる被校正クランプ式電流計により電流が測定される複数の被校正電流測定部と
を備え、
前記複数の被校正電流測定部は、それぞれ電線が巻回された巻き線形状を有し、かつ、互いに異なる巻き数を有しており、
前記入出力端子、前記標準電流測定部及び前記複数の被校正電流測定部は、電気的に直列となるよう接続されている
ことを特徴とする校正試験装置。 - 前記入出力端子は、二以上の異なる定電流源が接続可能に構成されており、
前記校正試験装置は、前記入出力端子に接続された前記二対以上の定電流源から、前記標準電流測定部及び前記複数の被校正電流測定部と電気的に接続される定電流源を選択する定電流源切替部を更に備える
ことを特徴とする請求項1に記載の校正試験装置。 - 前記複数の被校正電流測定部は、各被校正電流測定部に発生する磁界が互いに磁気的に干渉しないよう、隣接する被校正電流測定部同士が互いに異なる方向を向くよう配置されるか、又は、隣接する被校正電流測定部同士が互いに巻き線形状の中心軸が一致しないよう位置をずらして配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の校正試験装置。 - 前記複数の被校正電流測定部は、巻き数が1の第1被校正電流測定部と、巻き数が2の第2被校正電流測定部と、巻き数が3の第3被校正電流測定部と、巻き数が4の第4被校正電流測定部と、巻き数が6の第5被校正電流測定部と、巻き数が8の第6被校正電流測定部と、巻き数が10の第7被校正電流測定部と、巻き数が20の第8被校正電流測定部と、巻き数が30の第9被校正電流測定部とを備える
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の校正試験装置。
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