JP2011179818A - 抵抗比測定器校正用抵抗分圧器装置及び該装置を用いた校正方法 - Google Patents

抵抗比測定器校正用抵抗分圧器装置及び該装置を用いた校正方法 Download PDF

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Kunihisa Kaneko
晋久 金子
Kazuaki Yamazawa
一彰 山澤
Yasuhiko Sakamoto
泰彦 坂本
Jun Tanba
純 丹波
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Abstract

【課題】抵抗比測定ブリッジの校正のためには、直流ブリッジにも交流ブリッジにも用いることができる装置が望まれるが、従来装置では電流依存性や温度依存性があり、正確に校正することができないという問題があった。
【解決手段】
公称値がR/11である抵抗器と、公称値がR/11である単位抵抗素子を11個以上直列接続して各単位抵抗素子両端に端子を有する抵抗分圧器とを少なくとも備え、場合により公称値がRである抵抗器と公称値がRの1/10である抵抗器をさらに備えたものを金属筐体に収納して抵抗分圧器装置とし、これを用いて自己校正及び抵抗比測定器の校正を高精度で行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、抵抗比測定器の高精度な校正に適した抵抗分圧器装置及び該装置を用いた校正方法に関する。
近年、電気抵抗値の精密測定は、電気抵抗標準分野で重要であることは勿論、他の分野でも必要とされている。例えば温度の精密測定には白金抵抗温度計が使われているが、温度測定の分野では精密な温度差の校正が求められ、微小な抵抗値の差異を正確に測定するニーズがある。
温度や電気抵抗の精密測定の分野等では、対となる2つの抵抗器の抵抗値の比を測定する抵抗比測定器(抵抗比測定ブリッジ又はブリッジともいう)が用いられている。抵抗比測定ブリッジは、標準抵抗器の抵抗値と測定対象の抵抗器の抵抗値との比を測定し、表示するものである。抵抗比測定ブリッジは、一般に、リレー等で切り替えを行いブリッジ回路の平衡を取る上位桁の回路と、上位桁のブリッジでは調整しきれない僅かな残差信号を増幅して検出して平衡を取る下位の桁の回路があり、上位桁および下位桁の調整・測定結果を最終的に抵抗比の測定結果とする。このため、抵抗比の精密測定においては、上位桁および下位桁のそれぞれについて適切に線形性(リニアリティ)が保たれていることを確認することが重要である。
従来、ブリッジの種類はおおまかに分けて、抵抗に流す電流が直流電流の場合と交流電流の場合がある。現在までに実用化されているブリッジには、直流専用のものと交流専用のものがある。
直流専用抵抗比測定ブリッジを用いた抵抗比測定の原理は、2つの抵抗器にそれぞれ電流を流して電圧降下が等しくなる平衡条件を実現し、そのときの2つの電流比(すなわち抵抗比の逆数)を知るというものである。通常、一方の電流値は定格値に固定し、もう一方の電流を変化させて平衡条件を実現させる。ブリッジ出力としては平衡条件における電流比(すなわち抵抗比の逆数)が表示され、測定結果として記録される。
交流専用抵抗比測定ブリッジを用いた抵抗比測定の原理は、2つの抵抗器に同一の電流を流し、そのときの2つの電圧降下比(すなわち抵抗比)を知るというものである。ブリッジ出力としては2つの抵抗器における電圧降下の比(すなわち抵抗比)が表示され、測定結果として記録される。
ここで表示された比が、果たしてどれほど正しいかという疑問が、精密測定においては生じる。そこで、それに対する解答の一つとして、「あらかじめ比が校正された抵抗の対(もしくはそれらに同一電流を流して発生させた電圧降下の対)」をブリッジに入力し、表示結果がどの程度正しいかで判断することが考えられる。
さて、ブリッジの正確性を確認するために、標準比としてブリッジに入力する、「あらかじめ比が校正された抵抗の対」を、ブリッジが測定しうるすべての抵抗比の値についてくまなく提供することは困難である。そこで、現実的な方法として、ブリッジの測定レンジをほぼ10点に等分した公称値の抵抗比をもつ、「あらかじめ比が校正された抵抗の対」が実用に供せられている。
設定する電流比を、主として手動により10進数のダイアルを操作して制御し、そして指示させ、ブリッジの電流比(すなわち抵抗比の逆数)の指示値を校正するためには、最大桁の「十一分の十の整数倍((10/11)×n、但しn=0、1、2、・・・)」の比が厳密に実現された抵抗対群を用いる原理が知られている。この原理の長所は、整数nを0から10まで変化させると、各桁のダイヤルの算術的理想値がいずれも0から9のすべての整数値を、いずれかのnに対応して取ることにある。これにより、すべての桁の指示値を、0から9のすべての整数値について校正できる。従来、この原理に基づき実現された、最大桁の「十一分の十の整数倍((10/11)×n、但しn=0、1、2、・・・)」の公称比の抵抗対群を実現する製品が、交流専用ブリッジのためにはある。ただし、実際には原理に忠実に算術的理想値をもった抵抗比を実現することはできないため、下位のほうの桁では必ずしも指示値を0から9のすべての整数値について校正できるとは限らないという限界がある。
また、直流専用ブリッジのためには、さまざまの公称比の抵抗対群を実現するために、ある定格電流で校正した抵抗の接続を直列や並列に組み替える従来技術がある(特許文献1参照)。
また、抵抗分圧器の自己校正の方法は知られている(本発明者による非特許文献1参照)。抵抗分圧器は、自己校正時も比較校正時も、定格電流(例えば1mA)を通電して使用するものである。本発明者らは、電気測定分野における標準分圧器の校正技術を開発してきた(非特許文献1、特許文献2参照)。
特表平10―502775号公報 特開2003−21671号公報
T.Endo,Y.Sakamoto 他、「Automated Voltage Divider to Calibrate a 10−V Output of Zener Voltage Standard」,IEEE Transaction on Instrumentation and Measurement,Vol.40,No2,pp333−336(1991)
交流専用ブリッジのための上記製品は、交流回路において比較的正確な分圧比が容易に実現できる誘導分圧器の原理を用いたものであって、励磁された高透磁性芯の2次巻き線の数を適切に選ぶものであった。しかし、誘導分圧器の原理を用いたものは直流ブリッジの校正には使用できないという原理的な欠点がある。また、従来製品の構造及び操作法では、制御変数nを変えたときに正しく((10/11)×n、但しn=0、1、2、・・・)の比を実現できることの根拠は、「誘導分圧器の分圧比は巻き線数に比例する」という原理に全面的に依存していて、実験的に自己校正法により確認することができない構造である。よって精密測定の観点からは不十分であるという問題があった。
一方、従来技術(特許文献1参照)は、内部の抵抗器の抵抗値をベースに公称値を決めるものであり、抵抗比測定ブリッジの校正において、外部の標準抵抗器との比を校正することになるので、内部の抵抗器の抵抗値の温度依存性および電流値依存性が、校正結果に大きな影響を与え、不確かさが大きい。即ち、公称比を変えるごとに、抵抗に流れる電流値が校正時のものと異なるため、抵抗値の電流依存性に起因する不確かさが存在する。ある程度より高い精度での直流ブリッジの校正には適さないという問題がある。そこで、抵抗に流れる電流値が校正時と等しく保てるような抵抗比測定器校正用の抵抗対群を実現する必要がある。
抵抗比測定ブリッジの校正のためには、抵抗比測定ブリッジの線形性を正確に校正する装置が望まれている。また、自己校正が単体内で完結し、維持できる構造を備えるものが望まれている。
抵抗比測定ブリッジの線形性を正確に校正する必要性について以下詳しく説明する。線形性を校正するには、上位桁の(大局的な)リニアリティと下位桁の(局部的な)リニアリティとを校正することが重要である。上位桁の(大局的な)リニアリティの校正は、被校正抵抗測定ブリッジの装置全体としてのリニアリティを確認するものである。なお、このようなリニアリティの校正を評価とも呼ぶ。図1は、公称抵抗比を横軸、被評価抵抗測定ブリッジの表示値を縦軸としたリニアリティの校正を示す図である。理想のリニアリティを示す点線に対して、ブリッジ校正用の抵抗比によるブリッジ表示値は、丸印として図示される。図1のように、装置全体の線形性の校正をすること(上位桁の(大局的な)リニアリティ)は、各公称比における偏差を求めることに相当する。一方、局部リニアリティとは、図1に、所定の公称抵抗比に対する丸印の点を拡大表示して多数の点が集合していることが図示されているように、所定の公称抵抗比に対して被評価抵抗測定ブリッジの表示値の局部的なリニアリティをさす。下位桁の(局部的な)リニアリティの校正は、特に温度差計測の校正において要求される重要な問題と関連する。83K〜962℃の温度範囲では現行の国際温度目盛(ITS−90)における補間計器は白金抵抗温度計であるが、白金抵抗温度計による温度測定では、感温部の白金抵抗素子の電気抵抗を、高精度な抵抗比測定ブリッジを用いて測定する。温度目盛を構築する上で、微小な温度差の議論には不確かさが約0.1ppmの抵抗比測定が要求されるので、測定器である高精度な抵抗比測定ブリッジの線形性がこの程度に担保されている必要がある。このため、安定な抵抗比を実現できる分圧器を実現して、定期的に線形性の確認を容易にする必要がある。
本発明は、これらの問題を解決しようとするものであり、直流ブリッジと交流ブリッジのどちらの校正にも使用できる抵抗分圧器装置を実現することを目的とするものである。また、本発明は、直流ブリッジあるいは交流ブリッジの校正にさきだち、あらかじめ比が校正された抵抗対を構成する抵抗分圧器装置の実現を目的とするものである。また、本発明は、抵抗器分圧器装置を用いて高精度に抵抗比測定器を校正する方法を実現することを目的とするものである。
本発明は、上記目的を達成するために、以下の特徴を有するものである。
本発明の装置は、抵抗比測定器校正用の抵抗分圧器装置であることを特徴とする。本発明の装置は、公称値がR/11である抵抗器(C)と、公称値がR/11である単位抵抗素子を11個以上直列接続して各単位抵抗素子両端に端子を有する抵抗分圧器(A)とを少なくとも備えることを特徴とする。本発明の抵抗分圧器は、公称抵抗値がR/11である単位抵抗素子を12個以上直列接続していることを特徴とする。典型的には、13個である。本発明の上記抵抗器(C)及び上記抵抗分圧器(A)は、両端に電流端子を備える。本発明の装置は、公称値がRである抵抗器(B)を、さらに備えることが好ましい。本発明の装置は、公称値がR/10である抵抗器(D)をさらに備えることが好ましい。また、公称値がRである抵抗器(B)と公称値がR/10である抵抗器を備えてもよい。本発明の装置は、公称値がRの10倍である抵抗器(ただし、mは0又は正負の整数)を備えることを特徴とする。また、mが異なる複数個の、公称値がRの10倍である上記抵抗器(ただし、mは0又は正負の整数)を備えることを特徴とする。また、上記抵抗分圧器(A)の上記単位抵抗素子や、公称値がR/11である抵抗器(C)は、同一の公称値Rの抵抗素子を11個並列接続して作製することができる。また、一般に任意の自然数をiと代数表記すれば、同一の公称値i×(R/11)の抵抗素材をi個並列接続して作製することができる。
本発明の方法は、抵抗比測定ブリッジの抵抗比測定能力を校正する方法であって、抵抗分圧器装置を用いて、上記抵抗器(C)と、上記抵抗分圧器(A)の隣接する単位抵抗素子からなる部分直列要素との抵抗比を求め、該抵抗比を用いて、抵抗比測定ブリッジを校正することを特徴とする。また、本発明の方法では、上記抵抗分圧器(A)の単位抵抗素子群の間の抵抗比を自己校正する時の通電電流と、その自己校正結果を用いて抵抗比測定ブリッジの抵抗比測定能力の校正に供する時の通電公称電流を等しくすることができる。本発明の方法は、抵抗分圧器(A)の単位抵抗素子を12個以上として冗長性を持たせることにより、同一公称比の周りで微小な差を有する異なる複数の抵抗比を求めて、該抵抗比を用いることを特徴とする。
本発明の装置は、公称値がR/11である抵抗器と、公称値がR/11である単位抵抗素子を11個以上直列接続して各単位抵抗素子両端に端子を有する抵抗分圧器とを少なくとも備えるので、「あらかじめ比が校正された抵抗の対」を用いて、抵抗比測定ブリッジを校正することができる。また、本発明の装置は、「定格電流を流した時の比があらかじめ校正された抵抗の対」を用いるという新しい概念に基づくので、抵抗値の絶対値を校正して行う比較的困難な場合と比べて、不確かさを小さくできる。このように、本発明の装置は、所定の抵抗分圧器を備えるので、装置内の要素で必要な抵抗器対の抵抗比の自己校正を行うことができる。特に、各抵抗器や抵抗分圧器の単位抵抗素子の温度係数の変化や電流依存性を合わせ込む設計・実装により高精度にするのが容易である。また同一公称値の抵抗素材の並列接続によるので、比較的容易に作製できる。
本発明の装置は、直流でも交流でもその定格電流で校正できるので、直流抵抗比測定ブリッジと交流抵抗比測定ブリッジのどちらの校正にも使用できる。
本発明の装置においては、自己校正時の定格通電電流と、使用に供する時の定格通電電流を等しくできるので、抵抗値の電流依存性に起因する不確かさが生じないため、より高精度が保証される。また、本発明の装置は、単位抵抗素子を直列接続した抵抗分圧器は、両端に電流端子を備える構造であるので、全単位抵抗素子に通電する電流の大きさを等しく保って校正を行うことができ、抵抗器の抵抗値の電流依存性に起因する抵抗比の不確かさを低減できる。
本発明の抵抗分圧器装置は、抵抗分圧器の電圧端子を2つ選んで適宜構成することで実現する部分直列要素の、抵抗器(例えば、公称値がRの(10の整数乗)倍である抵抗器)に対する公称(抵抗)比を、例えば10/11の整数倍に設定することにより、抵抗比測定器の十進ダイアルの各桁につき0から9までのすべての設定について校正することができる。即ち、本発明の装置による校正により、上位桁の線形性と下位桁の線形性が同時に校正できる効果がある。特に、上位桁の校正のために公知の1/11の算数トリックを利用しているので工数が少なくてよい。さらに、本発明の装置において、抵抗分圧器が、単位抵抗素子を12個以上直列接続している場合は、抵抗分圧器の回路の冗長性により、ほぼ同じ公称値となる回路の組み合わせが複数存在し、下位桁の線形性校正がより高精度となる。
本発明により、例えば温度標準の分野で昨今要求されている20マイクロケルビン(2/100000℃)程度という微小な温度差の測定の信頼性の確認が行えるようになった。
リニアリティの課題を説明するための図。 本発明の第1の実施の形態の抵抗分圧器装置を示す図。 本発明の第1の実施の形態の抵抗分圧器装置の抵抗器(B)を示す図。 本発明の第1の実施の形態の抵抗分圧器装置の抵抗器(C)を示す図。 本発明の第1の実施の形態の抵抗分圧器装置の抵抗分圧器(A)を示す図。 本発明の第1の実施の形態の抵抗分圧器装置の抵抗器(D)を示す図。 本発明の抵抗分圧器装置による抵抗比測定器の線形性校正方法を示す図。 本発明の装置の自己校正手順1の結線を示す図。 本発明の装置の自己校正手順2の結線を示す図。 本発明の装置を用いて抵抗比測定装置の自動測定を示す図。 本発明の装置を用いて抵抗比測定器の直線性を校正する抵抗比を説明する図。 本発明の装置を用いて抵抗比測定器の直線性を校正する校正点を説明する図。 本発明による線形性校正の例を示す図。
本発明の装置は、少なくとも、公称値がR/11である(典型的には四端子の)抵抗器(C)一個と、公称値がR/11である抵抗器(単位抵抗素子とも呼ぶ)を11個以上直列接続した抵抗分圧器(A)とを備えている。さらに、公称値がRの(10の整数乗)倍である少なくとも1個の抵抗器を適宜設けることができる。また、ここで、整数乗倍とは、0倍、正負の整数倍である。即ち、公称値がRである抵抗器(B)や、公称値が(Rの10倍又はRの(1/10)倍)である抵抗器(D)を適宜設けることができる。抵抗器(B)や抵抗器(D)は、典型的には四端子の抵抗器である。なお、公称値とは、使用のための指針となる計器の特性に関する丸めた値又は近似値をいう。公称値(nominal value)は、ISO/IEC指針のなかの「国際計量基本用語集」の定義に準じて用いる。以下、実施の形態について述べる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を図を参照して説明する。図2乃至6は、本実施の形態の抵抗分圧器装置を説明する図である。図2は、本実施の形態の抵抗分圧器装置(全体図)である。図2の抵抗分圧器装置は、抵抗器(B)と抵抗器(C)と抵抗器(D)と抵抗分圧器(A)を備える。複数の単体の抵抗器(B、C、D)を、それぞれ図3、4、6に示し、抵抗分圧器(A)を図5に示す。
図3に示すように、抵抗器(B)は、公称値がRである抵抗器単体であり、2個の電流端子(C1、C2)と、2個の電圧端子(P1、P2)とを備える。
図4に示すように、抵抗器(C)は、公称値が(R/11)である抵抗器単体であり、2個の電流端子(C1、C2)と、2個の電圧端子(P1、P2)とを備える。公称値が(R/11)である抵抗器は、例えば公称値R(例えば100Ω)の抵抗素材を11個並列接続したものを用いる。同一公称値の抵抗素材の並列接続によるので、比較的容易に作製できる。例えば、Rが100Ωの場合、100/11(およそ9.09Ω)である。また、例えば、Rの公称値が100Ωであって、公称値がR/11≒9.09Ωの単位抵抗素子は、公称値が 4×(R/11)≒36.363Ω の抵抗素材(例えば、抵抗箔)を4枚並列接続することで作製することができる。即ち、一般に任意の自然数をiと代数表記すれば、同一の公称値i×(R/11)の抵抗素材をi個並列接続して作製することができる。
図5は、公称値が(R/11)である抵抗器を、11個以上直列接続した抵抗分圧器(A)である。公称値が(R/11)である抵抗器は、抵抗分圧器(A)の1単位であるといえるので、「単位抵抗素子」と呼ぶ。単位抵抗素子として、例えば公称値Rの抵抗素材を11個並列接続したものを用いる。また、単位抵抗素子は、公称値が(R/11)である上記抵抗器(C)と同じ構成であるので、抵抗器(C)は、単位抵抗素子1個からなる抵抗器であるといえる。抵抗分圧器の各抵抗器(単位抵抗素子)は、最小数は11個であり、校正の精度を上げるためには、12個以上が求められ、典型的には、13個であり、14個以上であってもよい。11個以上13個以下が、使用上の利便性やコンパクト化の点等で適切である。抵抗分圧器の単位抵抗素子の隣同士をつなぐ節点からは、もれなく電圧端子を引き出し、抵抗分圧器の両端からはそれぞれ電圧端子と電流端子を引き出す。13個直列接続した場合は、14個の電圧端子(P0、P1・・・P13)と、両端2個の電流端子(C1、C2)とを備えている。抵抗分圧器の単位抵抗素子(公称抵抗値が(R/11))の直列接続数を多めに設定するのは、次の理由による。現実の装置において実現される抵抗値には公称値から微少量の偏差がある。そこで、抵抗分圧器の単位抵抗素子(公称抵抗値が(R/11))の直列接続数を多めに設定して冗長性を持たせれば、同じ公称比(n/11)に対しても微妙に異なった既知の抵抗比を抵抗分圧器の部分直列要素から実現できるため、公称比近傍において複数の実験値を検証できるので、公称比近傍の線形性の検証にも適用できるからである。
図6に示すように、抵抗器(D)は、公称値がR/10である抵抗器単体であり、2個の電流端子(C1、C2)と、2個の電圧端子(P1、P2)とを備える。抵抗器(D)として、R/10に替えて、10R等のRの(10の整数乗)倍である抵抗器単体を用いることができる。一例として公称値が(R/10)である抵抗器の場合は、例えば公称値R(例えば100Ω)の抵抗素材を10個並列接続して作製したものを用いる。同一公称値の抵抗素材の並列接続によるので、比較的容易に作製できる。
図2乃至図6で示した抵抗器や抵抗分圧器において、各端子は、典型的にはバインディングポストであって電気的に高絶縁な板(例えば、高絶縁性樹脂板)に取り付けられている。
本実施の形態では、抵抗分圧器(A)及び抵抗器(B、C、D)をセットとして1つの筐体箱に収納した。筐体箱は、金属筐体が望ましく、さらに蓋付きであることが望ましい。また、金属筐体はガード付き4芯リード線2本を引き出せるようにするとよい。また、抵抗分圧器(A)、抵抗器(B、C、D)を個別に校正できるように、個々に取り外しができる構造にすることもできる。上記抵抗器(B、C、D)ならびに抵抗分圧器(A)の間は、電気絶縁を十分に高くすることにより、使用の際に精密電気測定の精度を高く保つことができる。
(校正法)
本実施の形態の抵抗分圧器装置の使用法について説明する。本発明の抵抗分圧器装置は、抵抗比測定ブリッジの線形性を校正するための装置であり、抵抗比測定ブリッジのダイアルの校正に用いる。即ち、本発明の抵抗比測定器校正用抵抗分圧器装置は、次の2つの段階で使用するものである。本発明の装置の自己校正の段階と、自己校正済みの本発明の装置を使って抵抗比測定ブリッジの線形性校正をする段階とからなる。例えば、抵抗分圧器(A)と抵抗器(B)との抵抗比の校正を行う自己校正の段階と、抵抗分圧器(A)と抵抗器(B)との抵抗比が自己校正済みの本発明の装置を使用して抵抗比測定ブリッジの線形性を校正する段階と、からなる。自己校正は、次の2つの手順からなる。自己校正の第1の手順は、抵抗器(C)(R/11が1個)を介在させることで、抵抗分圧器(A)のうちの公称値R/11のすべての単位抵抗素子の互いの抵抗比を校正する手順である。自己校正の第2の手順は、抵抗器(B)(Rが1個)と、抵抗分圧器(A)のうちの隣接する11個の単位抵抗素子を直列接続した部分直列要素(公称抵抗値R)との比を校正する手順である。この2つの抵抗比測定を最高精度の抵抗比測定ブリッジを使って繰り返す手順からなる自己校正を完了すれば、抵抗器(B)(Rが1個)と、抵抗分圧器(A)のうちの隣接する単位抵抗素子を任意の数だけ直列接続した部分直列要素の抵抗との比を知ることができ、これらの組合せの抵抗比の校正結果群が得られる。さらに、抵抗比の範囲を拡張するために、抵抗器(B)の代わりに、公称値がRの10倍や(1/10)倍等の抵抗器(D)を用いることができる。抵抗器B及び抵抗器(D)を、まとめて、公称値Rの(10の整数乗)倍(ただし、ここで整数とは、0と正負の整数を意味する)の値の抵抗器と呼ぶことができる。
(抵抗比測定ブリッジの線形性を校正する方法)
本実施の形態の装置を用いて抵抗比測定ブリッジの線形性を校正する方法を、図7を参照して説明する。図7は、抵抗比測定ブリッジ(3)と抵抗器(B)(2)と抵抗分圧器(A)(1)の結線を示す図である。抵抗器(B、C、D)は、高安定な抵抗素子を使用して製作した四端子抵抗器である。また、抵抗分圧器(A)は、単位抵抗素子を直列に接続した抵抗分圧器ではあるが、2つの電流端子と、異なる2つの電圧端子に配線を行うことで、四端子抵抗器とみなすことができる。
抵抗分圧器において、単位抵抗素子の数が13個の場合には、14=14×13/2=91通りの四端子抵抗Ri,jが実現できる。Ri,jは、j番目の電圧端子とi番目の電圧端子との間の抵抗値であり、i,jは電圧端子の番号を表す。
図7において、抵抗比測定ブリッジ(3)は、校正対象の抵抗比測定ブリッジであり、公称抵抗比Ri,j/Rの測定を行うことで校正される。図7の抵抗器(B)の四端子抵抗器は公称抵抗値Rである。図7の抵抗分圧器(A)は、14箇所の電圧端子のどの対に、抵抗比測定ブリッジ(3)からの導線の電圧端子対を接続するかにより、91通りの公称抵抗値Ri,jが実現できる。なお、実際の抵抗比Ri,j/Rは自己校正であらかじめ校正済みである。
図7に、「4−wire」と図示されている2系統の導線のうち、1系統は抵抗比測定ブリッジの2つのポート(すなわち、電流端子が2個と電圧端子が2個の計4個の外部接続端子と、場合によってはさらにガード端子を加えたものが一つの組を構成するもの)のうちの一方のポート(Rsポート)と、抵抗器(B)(Rが1個)の4端子を四端子法で結線する。他の1系統は、他方のポート(Rxポート)と、抵抗分圧器(A)の中から選択した部分直列要素を四端子法で結線する。つまり導線の2つの電圧端子は抵抗分圧器(A)の中から選んだ電圧端子(例えばP0,P1・・・・)と電圧端子(例えばP0,P1・・・P13等)に結線する。ここで、抵抗分圧器の単位抵抗素子の数が13個の場合で説明する。抵抗器(B)と抵抗分圧器(A)を図7のように結線した状態で、校正対象の抵抗比測定ブリッジ(3)に、抵抗比Ri,j/Rを測定させるのであるが、これらの抵抗比Ri,j/Rの実際の値(通常は、n/11から微小に隔たっている)は、自己校正法により既知となっている。これらの抵抗比を抵抗比測定ブリッジ(3)で測定した時の指示値(ダイアル)と、自己校正により知り得ている実際の抵抗比Ri,j/Rの値とを比較することで、抵抗比測定ブリッジ(3)の指示値(ダイアル)がどのような偏差を含んでいて、どのように補正して用いるべきかが分かるので、抵抗比測定ブリッジ(3)のダイアルを校正することができる。校正対象の抵抗比測定ブリッジ(3)に測定させる抵抗比Ri,j/Rは、結線する対象の、抵抗分圧器(A)の電圧端子を適切に選んで変えることで、公称値n/11においてnを0から13まで1刻みで振ることができる。したがって、背景技術の項で述べた公知の原理により、校正対象の抵抗比測定ブリッジ(3)上位のすべての桁と下位のほとんどの桁の指示値を、0から9のすべての整数値について校正できる。
なお、抵抗分圧器(A)及び抵抗器(B)(Rが1個)の四端子抵抗の比Ri,j/R(91通り)は、高安定な抵抗器を使用しているので安定である。このことを利用し、あらかじめ自己校正により91通りの公称値Ri,j/Rの抵抗比のそれぞれの値を校正しておけば、抵抗比測定ブリッジの線形性の校正に使用できる。
(自己校正について)
自己校正の手順について、図8、9を参照して説明する。図8は、自己校正手順1での結線を示す図である。図8において、抵抗比測定ブリッジ(5)は、抵抗分圧器(A)(1)の自己校正に使うための、最高精度の抵抗比測定ブリッジであり、抵抗比Ri,j/(R/11)の校正に使用する。図8の四端子抵抗器(C)(4)は、公称抵抗値R/11である。図8の抵抗分圧器(A)(1)は、14箇所の電圧端子のどの対に、ブリッジからの導線の電圧端子対を結線するかにより、13通りの公称抵抗値Ri,j(i=j+1; j=0,1,・・・,13)が実現できるものである。図9は、自己校正手順2での結線を示す図である。図9において、抵抗比測定ブリッジ(5)は、抵抗分圧器(A)(1)の自己校正に使うための、最高精度の抵抗比測定ブリッジであり、抵抗比Ri,j/Rの校正に使用する。図9の四端子抵抗器(B)は公称抵抗値Rである。抵抗分圧器(A)(1)は、14箇所の電圧端子のどの対に、ブリッジからの導線の電圧端子対を結線するかにより、3通りで同じ公称抵抗値R(i=j+11; j=0,1,2)が実現できる。
抵抗比の公称値Ri,j/Rを決めるために以下の手順で測定を行って自己校正をする。
(手順1)
抵抗分圧器(A)の(i=j+1)となるiとjとの対で実現される公称抵抗値R/11のすべての場合について、抵抗器(C)(公称値R/11)との比(ほぼ1)であるRi,j/(R/11)を順次測定する。例えば、図8のように、最高精度の抵抗比測定ブリッジ(5)を用意し、抵抗比測定ブリッジ(5)の2つのポートのうちの一方のポートと、抵抗器(C)(公称値がR/11である抵抗器1個)の4端子とを結線する。他方のポートは、抵抗分圧器(A)と四端子法で結線する。その際、導線の電圧端子対は、抵抗分圧器(A)の端子P0と端子P1の対、端子P1と端子P2の対、端子P2と端子P3の対・・・、端子P12と端子P13の対、のように結線して、抵抗比Ri,j/(R/11)を順次測定する。この測定において、抵抗器(C)には一定の定格電流を通電し、抵抗分圧器(A)にも、上記定格電流とほぼ等しい一定の定格電流を通電する。ここで、ほぼ等しいとは、実質的に等しくするという意味であり、交流抵抗比ブリッジを用いる場合はいかに等しくしようとしても、抵抗器Cの電源は、抵抗分圧器Aと別電源であることから、原理的に全く等しくすることはできないので、ほぼ等しいという表現をする。また、代表的な直流抵抗比ブリッジを用いる場合は、ブリッジが、2つの抵抗器に流す電流の比を抵抗比の逆数になるように自動調整するから、2つの抵抗の比が厳密に1になっていない分だけ、2つの電流も厳密に等しくはならない。いずれにしても、これらは公称1:1の抵抗比の校正なので、例えば抵抗比測定ブリッジにつなぐ2つの抵抗器の結線を置換することで仮に抵抗比測定ブリッジの測定に偏差が含まれていてもそれを算出して補正できるなど、高精度な校正が比較的簡単である。順次測定が終了すれば、抵抗分圧器(A)の各単位抵抗素子の抵抗値Ri,j(ただしi=j+1)と、抵抗器(C)(公称値R/11)の抵抗値との比をすべて知ることができる。なお、抵抗分圧器(A)の各単位抵抗素子で隣接する任意の数nを直列接続したもの(以下「部分直列要素」と呼ぶ。)について、抵抗器(C)との抵抗比(この公称抵抗比はn、ただし n=0,1,2,・・・,11,・・・)は、計算で求めることができる。
なお、公称1:1の校正の測定法について、説明する。直流抵抗比測定ブリッジを用いる方法と交流抵抗比測定ブリッジを用いる方法では、具体的な測定法の例として、抵抗分圧器(A)の1単位抵抗素子と抵抗器(C)とを抵抗比測定ブリッッジに設けられている2つのポートにそれぞれ四端子法で結線し、抵抗比測定ブリッジが指示する1の近傍の値を高精度に記録し、それを繰り返す方法がある。そのほかの具体的な測定法の例として、定格値が等しい電流を各々に通電した抵抗分圧器(A)の1単位抵抗素子と抵抗器(C)の、2つの抵抗器間で対応する電圧端子の間を、一方は短絡線で、もう一方は電圧計で結線して電圧計により0Vに近い微小電圧差を測定し、それを繰り返す方法がある。
(手順2)
抵抗分圧器(A)の(i=j+11)となるiとjの対について、抵抗器(B)(公称値R)との比(ほぼ1)であるRi,j/Rを順次測定する。例えば、図9のように、最高精度の抵抗比測定ブリッジ(5)を用意し、抵抗比測定ブリッジ(5)の2つのポートのうちの一方のポートと、抵抗器(B)(2)(公称値がRである抵抗器1個)とを四端子法で結線する。他方のポートと、抵抗分圧器(A)(1)とを四端子法で結線する。このとき、導線の抵抗分圧器(A)(1)側の電流端子対は通常のように抵抗分圧器(A)(1)の電流端子対に結線するが、電圧端子対は、端子P0と端子P11の対に、また端子P1と端子P12の対に、そしてまた端子P2と端子P13の対に、のように接続を繰り返す。そして、これら複数の接続で実現された、四端子抵抗器である部分直列要素の、抵抗器(B)(公称値R)に対する比Ri,j/Rを順次測定する。この測定において、抵抗分圧器(A)のn=11の部分直列要素(隣接する11個の単位抵抗素子の直列接続からなるもの)に注目すると、その公称抵抗値はRであるから、この手順は、本発明の実施の形態の装置の、公称値がRである抵抗器(B)との抵抗比の校正である。これは、公称1:1の校正なので、高精度な校正が比較的簡単である。
これらの測定結果から、計算により、全てのi、j(ただしi>j)の組み合わせの公称値Ri,j/Rの測定値をそれぞれについて求める。即ち、手順1の抵抗分圧器(A)内の各単位抵抗素子同士の比の計算結果を用いることにより、公称値がRである抵抗器(B)と、抵抗分圧器(A)内の各単位抵抗素子で隣接する任意の数nを直列接続したもの(公称抵抗値が(R/11)×n))との、抵抗比は、計算で求まる。なお、三段論法により、抵抗器(B)と抵抗器(C)との抵抗比も、計算で求まる。
手順1及び2の校正を済ませると、抵抗器(B)と、抵抗値が各種の値(公称抵抗値が(R/11)×n)である抵抗分圧器(A)の部分直列要素との比が、求まっているので、これらを対で用いることで、公称比が(n/11、但し n=0,1,2,・・・,11,・・・)であって自己校正済みの抵抗対が、提供されたことになる。該抵抗対を用いて、抵抗比測定ブリッジを校正することができる。
以上の手順の自己校正や抵抗比ブリッジの線形性校正に際しては、図10のように、コンピュータ制御の低熱起電力スキャナとの組み合わせで、抵抗比測定ブリッジの測定を自動測定で行うことができる。
(本装置の自己校正及びブリッジの直線性校正の実施例)
自己校正について、公称値Rが100Ωの場合を示す。上記手順1のように、抵抗分圧器(A)の各単位抵抗素子(公称抵抗値100/11Ω)と、抵抗器(C)(公称抵抗値100/11Ω)の抵抗比(公称100/11:100/11=1:1)を校正する。次に、上記手順2のように、抵抗分圧器(A)の、0番端子と11番端子間、1番端子と12番端子間、及び2番端子と13番端子間(公称抵抗値1100/11Ω(=100Ω))と、抵抗器(B)(公称抵抗値100Ω)(又は抵抗器(D)(公称値がRの1/10で、10Ω))との抵抗比を校正する。もしさらに、いずれかの抵抗器の抵抗値を抵抗標準を用いて校正すれば、抵抗分圧器(A)の単位抵抗素子すべてと、他の抵抗器の抵抗値も校正したことになる。
次に、自己校正済みの抵抗比を用いて、ブリッジの直線性を校正する。図11の中央欄「0番端子との間の抵抗値/Ω」は、各端子番号の端子と0番端子との間の公称抵抗値(単位はΩ)の例を小数点以下2桁で丸めて示している。1番端子と0番端子との間の公称抵抗値(単位はΩ)は、100/11=9.09、2番端子と0番端子との間の公称抵抗値(単位はΩ)は、200/11=18.18となる。図11の右欄「10Ωとの比」は、抵抗分圧器(A)の各端子番号の端子と0番端子との間の公称抵抗値(単位はΩ)と、抵抗器(D)(公称抵抗値10Ω)との公称抵抗比を小数点以下9桁で丸めて示したもので、左欄に示すパラメータを0から9まで全て振れば、各ダイアル(桁)が0から9のすべての値を示すことを示している。例えば、小数点下第2桁に注目して右欄を最上行の第0番から下に向かって第10番目まで眺めると、その値は、0、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9と変わっていて、0から9までのすべての整数が現れることがわかる。したがって、公称抵抗比が(n/11、但し n=0,1,2,・・・,11,・・・)について、その実際の抵抗比が自己校正済みの抵抗対が提供されることにより、ブリッジの直線性が各ダイアル(桁)の全値域(すなわち、0から9までのすべての整数)について校正できる。
図12は、抵抗比測定ブリッジを用いて行った場合の測定結果を大局的に眺めるために通常用いているグラフの座標軸を用いており、横に抵抗比測定ブリッジが指示する比の値の軸を、縦に測定値の軸をとっている。そして、この座標の上に上記の公称抵抗比(n/11、但し n=0,1,2,・・・,11,・・・)すなわち本方法で抵抗比測定ブリッジを校正した場合に理想的な校正結果として測定されるであろう点をドットでプロットして表示したものであり、各ドットの縦(すなわち横に等しい)座標が整数値からずらされていることを表している。このように、ここで示した全ての校正点で校正を行えば、抵抗比測定ブリッジの全てのダイアルについて全ての指示可能な値(0,1,2、・・・,9)に設定して直線性校正を行うことができる。
上記の実施例は、必要な抵抗比の自己校正を済ませた抵抗分圧器(A)と抵抗器(D)の組を用いて抵抗比測定ブリッジの校正を行った例である。手順2で、抵抗器(B)ではなく抵抗器(D)を用いてもよい。抵抗器(D)(公称値がRの(10の整数乗)倍)を用いる線形性校正では、抵抗器(D)と抵抗器(B)(公称値がR)との抵抗比(例えば、公称比1:10)は、比較的容易に高精度で校正できることを利用する。上記実施例の自己校正で得た自己校正済みの抵抗対に加えて、抵抗器(D)が加わることにより、抵抗器(D)の公称値が(Rの1/10倍)の場合、該抵抗器(D)と抵抗分圧器(A)の単位抵抗素子群を用いて、公称比が((10/11)×n、ただし、n=0,1,2,・・・,11,・・・)の抵抗対も、提供される。これを用いて、抵抗比測定ブリッジの校正レンジの広い校正をすることができる。
図13は、本実施の形態の装置を用いて、抵抗比Ri,j/Rを校正することでその値を知った後、本来の目的である抵抗比測定ブリッジの線形性を校正した実施例を示したものである。図13のグラフは、横軸には、本発明の方法で抵抗比測定ブリッジを校正したときに入力した抵抗比の公称値(nominal input resistance ratio in bridge calibration)をとり、縦軸には、校正の結果知りえた被校正抵抗比ブリッジの指示値の偏差(deviation of bridge reading from the reference ratio value)を拡大した尺度でとっている。そして、この座標の上に公称抵抗比(n/11、但しn=1,2,・・・,12)について繰り返し測定した結果をプロットしたものである。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、第1の実施の形態で示した抵抗器(D)を備えない点を除いて、第1の実施の形態と同様の構造を備える。即ち、第2の実施の形態の抵抗分圧器装置は、抵抗器(B)と抵抗器(C)と抵抗分圧器(A)を備える。本実施の形態の抵抗分圧器装置を使用して、第1の実施の形態と同様に、自己校正を行い、自己校正済みの本発明の装置を使って抵抗比測定ブリッジの線形性校正をする。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、第1の実施の形態で示した抵抗器(B)を備えない点を除いて、第1の実施の形態と同様の構造を備える。第3の実施の形態は、特に説明をしない事項については、基本的に第1の実施の形態と同様である。即ち、第3の実施の形態の抵抗分圧器装置は、抵抗器(C)と抵抗器(D)と抵抗分圧器(A)を備える。抵抗器(C)は、図4に示すように、公称値が(R/11)である抵抗器1個であり、抵抗器(D)は、図6に示すように、公称値がR/10等のRの(10の整数乗)倍である抵抗器1個である。抵抗分圧器(A)は、図5に示すように、公称値が(R/11)である単位抵抗素子を11個以上直列接続した抵抗分圧器である。
本実施の形態の抵抗分圧器装置を用いて、第1の実施の形態と同様に、自己校正を行い、自己校正済みの本装置を用いて、抵抗比測定ブリッジの線形性を校正する。
まず、本実施の形態では、第1の実施の形態における抵抗器(B)の使用の代わりに、自己校正の手順2において、抵抗分圧器(A)の(i=j+11)となるiとjの対について、抵抗器(D)(公称値がRの(10の整数乗)倍)との比であるRi,j/(Rの(10の整数乗)倍)を順次測定する。
次に自己校正した本実施の形態の装置を用いて、抵抗比測定ブリッジの線形性を校正する。図7の配線図において、抵抗器(B)の代わりに抵抗器(D)と結線して、抵抗器(D)と抵抗分圧器(A)の部分直列要素との抵抗比を用いて、測定ブリッジを校正する。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態は、第1の実施の形態で示した抵抗器Bと抵抗器Dを備えない点を除いて、第1の実施の形態と同様の構造を備える。装置として、抵抗器Bや抵抗器Dを備えずに別体でよく、別体であって公称値が上記に述べた抵抗器Bや抵抗器Dに等しいものを用いても、別形態で同じ効果が得られる。
さらに、抵抗器Bと抵抗器Dを備えず、かつ同等の別体品も用意せず、抵抗分圧器(A)と抵抗器(C)の二つからなる形態で自己校正すれば、公称 n、n=1、2、・・・、11、・・・の比の測定能力について、抵抗比測定用ブリッジの校正が高精度に実施できる。この場合、「10進数を11で割って得られるトリック」を用いていないため小数点以下各桁の公称表示値を0から9までのすべての整数にわたって変化させることは必ずしも期待できないが、大局的な線形性の校正は行うことができ、また抵抗分圧器(A)の単位抵抗素子の数に冗長性をもたせることで、それら大局的校正の公称値(n、n=1、2、・・・、11、・・・)周りの局所的な線形性校正も行うことができる。
(第5の実施の形態)
上記の各実施の形態で示した抵抗器の組み合わせの他に、他の公称値の抵抗器を用いることができる。例えば、抵抗分圧器(A)と、抵抗器(C)と、mが異なる複数個の、公称値がRの10倍である上記抵抗器(ただし、mは0又は正負の整数)とを、備える抵抗分圧器装置とする。本実施の形態では、公称値がRの抵抗器との比が校正されていて、公称値が百倍又は百分の一等の抵抗器を、さらに組み合わせることができ、これらの抵抗器を用意して適宜選択することにより、抵抗比測定器の校正レンジを変えて、柔軟性のある校正を実現できる。
(第6の実施の形態)
本発明の抵抗分圧器装置を構成する抵抗器の抵抗値の温度依存性は、限りなく小さい方がよいが、現実的に製作可能な抵抗器には必ず温度依存性が存在する。本実施の形態では、温度依存性をより小さくするための構成を提供する。抵抗分圧器装置の使用温度付近における各抵抗器の温度係数を揃えるようにする。抵抗分圧器(A)及び抵抗器(B、C、D)について、次のような実装上の工夫をすることが望ましい。そして、温度依存性を減少させることにより、各抵抗素子の抵抗値の不確かさよりも小さい不確かさで、抵抗比Ri,j/R等を維持できる。例えば、各抵抗器及び抵抗分圧器を構成する抵抗素子の温度係数を小さくすることが好ましい。また、温度係数(抵抗値の温度による偏微分の、抵抗値に対する相対量)をほぼ同じ値に揃えることにより、抵抗比の精度を向上させることができる。各抵抗素子を同じ材料で構成することにより温度係数を揃えることができる。また、抵抗器と抵抗分圧器を、1つの筐体に収めて等温に保つことにより温度変化の影響を除くことができる。このように、各抵抗器の温度依存性を揃えることにより、自己校正において得られる抵抗値の比(抵抗対)の温度依存性を、抵抗値そのものの温度依存性に比べて小さくすることができる。
上記実施の形態を適宜組み合わせて用いることができ、上記実施の形態等で示した例は、発明を理解しやすくするために記載したものであり、この形態に限定されるものではない。
産業界において、温度や電気抵抗の精密測定等の分野で用いる抵抗比測定ブリッジを、高精度で校正することが要求されているので、本発明を適用することは有用である。

Claims (14)

  1. 抵抗比測定器校正用の抵抗分圧器装置であって、
    公称値がR/11である抵抗器と、
    公称値がR/11である単位抵抗素子を11個以上直列接続して各単位抵抗素子両端に端子を有する抵抗分圧器と、
    を少なくとも備えることを特徴とする抵抗分圧器装置。
  2. 上記抵抗分圧器は、上記単位抵抗素子を12個以上直列接続していることを特徴とする請求項1記載の抵抗分圧器装置。
  3. 上記抵抗器及び上記抵抗分圧器は、両端に電流端子を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の抵抗分圧器装置。
  4. 公称値がRである抵抗器を、備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の抵抗分圧器装置。
  5. 公称値がR/10である抵抗器を、備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の抵抗分圧器装置。
  6. 公称値がRの10倍である抵抗器(ただし、mは0又は正負の整数)を、さらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の抵抗分圧器装置。
  7. mが異なる複数個の、公称値がRの10倍である上記抵抗器(ただし、mは0又は正負の整数)を、さらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の抵抗分圧器装置。
  8. 上記抵抗分圧器の上記単位抵抗素子は、公称値Rの抵抗素子を11個並列接続してなることを特徴とする請求項1記載の抵抗分圧器装置。
  9. 上記公称値がR/11である抵抗器は、公称値Rの抵抗素子を11個並列接続してなることを特徴とする請求項1項記載の抵抗分圧器装置。
  10. 上記抵抗分圧器の上記単位抵抗素子は、任意の自然数をiと代数表記して公称値i×(R/11)の抵抗素材をi個並列接続してなることを特徴とする請求項1記載の抵抗分圧器装置。
  11. 上記公称値がR/11である抵抗器は、任意の自然数をiと代数表記して公称値i×(R/11)の抵抗素材をi個並列接続してなることを特徴とする請求項1記載の抵抗分圧器装置。
  12. 抵抗比測定器を校正する方法であって、
    公称値がR/11である抵抗器と、公称値がR/11である単位抵抗素子を11個以上直列接続して各単位抵抗素子両端に端子を有する抵抗分圧器とを少なくとも備える抵抗分圧器装置を用いて、
    上記抵抗器と、上記抵抗分圧器の隣接する単位抵抗素子からなる部分直列要素との抵抗比を求め、該抵抗比を用いて、抵抗比測定器を校正することを特徴とする校正方法。
  13. 自己校正時の通電電流と、使用に供する時の通電電流が等しいことを特徴とする請求項12記載の校正方法。
  14. 上記抵抗分圧器の単位抵抗素子を12個以上として冗長性を持たせることにより、同一公称比の周りで微小な差を有する異なる複数の抵抗比を求めて、該抵抗比を用いることを特徴とする請求項12記載の校正方法。
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