従来より、ベッド上のマットレスには各種形態のシーツが装着されて、使用されているのであるが、かかるシーツの装着は手間の掛かるものであった。例えば、ホテル等で用いられる厚みのある大型マットレスに対して、かかるマットレスを覆うに充分な長さと幅を有する矩形平面形状のシーツを装着する際には、シーツを張るために1組2名の作業者が必要とされているのである。即ち、マットレスの天地若しくは左右(ベッドが設置された部屋の条件等による)の両側に、それぞれ1名の作業者を配置し、両者がシーツを引っ張り合うことにより、シワの発生を防ぎながら、マットレスの下にシーツを折り込み、留めていくのであるが、マットレスの角の部分でのシーツの始末については、シーツ生地が余らないように、横方向に寄せながら、マットレスの下に折り込む等といった作業を2名が連携して行うという手間の掛かるものであり、また綺麗に仕上げるためには、作業者の連携と習熟が必要とされるものであった。
そこで、そのようなマットレスに対してシーツを装着する作業を容易にするために、伸縮する生地をマットレスの側面に当たる部分に採用して、全体として略袋状を呈するようにしたシーツが提案され、使用されてきている。このような伸縮性の素材を採用することによって、マットレスの角部において素材が伸びることによって、シーツの余剰部分を折り込む等といった作業が必要なく、作業性は向上するものの、そのような伸縮性の素材を用いたシーツは、シーツをクリーニング(洗濯)することでシーツが全体的に縮んでしまうと、マットレスに填らなくなる問題があった。また、伸縮性の素材部分とその他の素材部分とで縮み方も違うため、シワが発生して見栄えが悪くなるといった問題も発生し、更に複数種類の生地を使用するために、製造単価が上昇し、生産性も悪化させるものであった。そして、そのような伸縮性の素材を使用したシーツをクリーニングする際に、伸縮する部分が弛むために、ロールアイロナーで仕上げを行ってもシワの発生が避けられず、また工数を掛けて手タタミする必要があった。
また、シーツ全体を伸縮性の素材を用いて形成したマットレス用シーツが用いられることもあるが、そのようなシーツ全体が伸縮性素材で形成されたシーツを洗濯して、仕上げのアイロンがけをする際に、シーツ全体が弛んでしまうために、ロールアイロナーを使用することが出来ず、全面手仕上げする必要があり、非常に手間がかかってしまうこととなる。また、洗濯を繰り返すことで生地が縮んだ際に、マットレスが入らなくなる問題もあり、それに対処するために、伸縮性はあるが縮みにくい素材を用いて製造すると、伸縮性素材を使用しない通常のシーツよりも製造コストが非常に高くなり、毎日シーツを交換するホテルのマットレス用シーツとしては、不向きなものとなる。
ところで、全体として矩形平面形状を呈するマットレス用シーツとして、特許第3702170号公報(特許文献1)や実用新案登録第3046522号公報(特許文献2)、実用新案登録第3197216号公報(特許文献3)には、矩形形状を呈するシーツの一部に袋状の部位を形成して、その袋状部位をマットレスの角部に引っ掛けることで、マットレスに対してシーツを装着する際の作業性を向上させたものが、それぞれ明らかにされている。
しかしながら、上記した袋状部位を形成したシーツにあっても、病院等で用いられる比較的薄手のマットレスであれば、封筒のような袋内に薄い内容物を入れるときのように、シーツの袋状部位にマットレスを収容して、シーツの余剰部分を、単に、マットレスの下側に挟み込むようにしても、角部を気にすることなく、マットレスをシーツで被うことが出来るのであるが、ホテル等で用いられる厚手のマットレスにおいては、封筒に厚みのある物を収容したときのように、角部分が余ってしまうところから、箱を包装するときのようにして、マットレスの角部においてシーツを折り畳んで角を形成する必要があり、そのため、単純に袋状にしただけでは、シーツの装着に熟練した作業者が必要となる問題を解決することは出来ないのである。
しかも、そのように袋状部位を形成したシーツをクリーニングする際においては、洗濯後の脱水を行う際に、袋状部位に液や水が溜まってしまい、かかる袋状部位を形成するための縫製端部に力が集中してしまうこととなるところから、そのような袋状部位よりシーツの破損に繋がるといった問題をも内在するものであった。
ここにおいて、本考案は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、厚手のマットレスに対してシーツの装着を行うに際して、作業に不慣れな1名の作業者でも簡単に且つ容易に装着可能とすると共に、シーツをクリーニングする際の洗濯時や脱水操作時においてシーツの破損が発生しないようにし、またロールアイロナーによるアイロン仕上げを行う際においても、単純な矩形平面形状のシーツと同様な仕上げを可能とするマットレス用シーツを提供することにある。
そして、本考案は、上記した課題を解決するために、マットレスの上面を覆うに充分な長さと幅を有する矩形平面形状のシーツ素材を用い、該シーツ素材の長さ方向一方の端部を折り返して、該シーツ素材が二重に重なり合った形態の折返し部を形成すると共に、該折返し部のシーツ素材幅方向の両端部において、それぞれ、該折返し部の折目部位からシーツ素材長さ方向に所定距離を隔てた位置より、該シーツ素材長さ方向に延びるように直線的に縫い合わせて、該折返し部を袋状と為す第一の縫着部を形成し、更に該折返し部におけるシーツ素材長さ方向の先端が位置する側の部位に対して、シーツ素材幅方向の両端部からそれぞれ互いに他方の端部側に所定長さに亘って延びるように直線的に縫い合わせて、第二の縫着部を形成したことを特徴とするマットレス用シーツを、その要旨とするものである。
なお、そのような本考案に従うマットレス用シーツの望ましい態様の一つにあっては、前記第一の縫着部のシーツ素材長さ方向における縫い合わせ端部から、前記第二の縫着部の縫い合わせが開始されて、それら第一の縫着部と第二の縫着部とにより、L字が形成されることとなる。
また、かかる本考案に従うマットレス用シーツの好ましい態様の一つにあっては、前記第一の縫着部を形成する縫い合わせが、前記折返し部の折目部位からシーツ素材長さ方向に2〜8cm隔てた位置より開始されることとなり、更に別の好ましい態様の一つによれば、前記第一の縫着部は、前記シーツ素材の長さ方向において15〜25cmの長さとなるように形成されることとなる。
さらに、本考案に従うマットレス用シーツの別の望ましい態様の一つによれば、前記第二の縫着部は、前記シーツ素材の幅方向において10〜25cmの長さとなるように形成されることとなり、更に別の望ましい態様の一つにあっては、前記第二の縫着部は、互いに平行な方向に延びる複数の縫い目によって構成されることとなる。
更にまた、本考案に従うマットレス用シーツあっては、前記シーツ素材は、前記マットレスの上面を覆い、且つ該マットレスの横方向の両端部からそれぞれ該マットレスの下側に充分に回り込み得るサイズの幅と、該マットレスの縦方向の両端部からそれぞれ該マットレスの下側に充分に回り込み得るサイズの長さとを有している。
このように、本考案に従うマットレス用シーツにあっては、マットレスの上面を覆うに充分な長さと幅を有する矩形平面形状のシーツ素材の長さ方向一方の端部を折り返して、かかるシーツ素材が二重に重なり合った形態の折返し部を形成し、かかる折返し部のシーツ素材幅方向の両端部において、それぞれ、折返し部の折目部位からシーツ素材長さ方向に所定距離を隔てた位置より、シーツ素材長さ方向に延びるように、直線的に縫い合わせて、第一の縫着部を形成していることによって、その折返し部が袋状となっているところから、マットレスに対してシーツを装着する際に、マットレスの角部に、そのような袋状の折返し部を嵌め込んで、かかる折返し部とは反対側のシーツ端部を、1人の作業者が引っ張ることで、マットレスへのシーツの装着作業を簡単に実施することが出来ることとなるため、従来の単純な矩形平面形状のシーツを装着する場合のように、2人の作業者を全く必要とせず、単に1人の作業者によって、簡単に装着することが可能となるのである。
しかも、そのような本発明に従うマットレス用シーツにあっては、その袋状の折返し部において、折り返したシーツ素材の長さ方向の先端が位置する側の部位に対して、シーツ素材の幅方向の両端部から、それぞれ互いに他方の端部側に向かって所定長さに亘って延びるように直線的に縫い合わされた第二の縫着部が形成されているところから、袋状の折返し部が、シーツの幅方向の端部部位から開口せずに、それぞれの第二の縫着部の端部部位となるシーツの幅方向中央よりの部分において開口した状態となるため、かかる折返し部をマットレスに嵌め込むときに、シーツが端に寄らずに、シーツを効果的にセンタリングして、マットレスに対して容易に装着することが出来ることとなる。そして、マットレスに嵌め込んだ袋状の折返し部側とは反対側となる、シーツの長さ方向の端部を引くことで、かかる袋状の折返し部がマットレスの角に引っ掛かり、シーツのシワを効果的に延ばしてマットレスに装着することが可能となると共に、マットレスの角部にシーツが引っ掛かる事によって、シーツの角部の形状の崩れが効果的に阻止され得て、その形状保持が有効に為され得るところから、そのような角部において、シーツの余剰部分を綺麗に折りたたんで、有利に処理することが出来るのである。
また、かかる本発明に従うマットレス用シーツにあっては、そのような袋状の折返し部を形成する第一の縫着部が、その折返し部の折目部位からシーツ素材長さ方向に所定距離を隔てた位置より縫い始められているところから、袋状の折返し部の底部、即ち折返し部の折目部位から第一の縫着部の縫い始め部分に至る間が、開口部として形成され、そしてこの開口部が、シーツをクリーニングする際の洗濯液の流出口や脱水工程における水抜き穴として機能し、袋状の折返し部に水が溜まってしまうことを効果的に解消乃至は抑制することが出来ることとなるのであり、これによって、クリーニングに際してのシーツの破損を有利に防止することが可能となるのである。
さらに、そのようなマットレス用シーツにあっては、単に、矩形平面形状のシーツ素材の一方の端部を折り返して、かかる折り返した箇所の一部をシーツの長さ方向と幅方向に所定長さだけ縫い合わせて、袋状となるように構成しているのみであるところから、シーツの製造コストを効果的に低減することが出来ると共に、生地(シーツ素材)の洗濯縮みによる影響を受け難いため、通常の1枚物のシーツと同様に、ロールアイロナーでの仕上げを良好に行うことが可能となるのである。
以下、本考案の構成を更に具体的に明らかにするために、本考案の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明することとする。
先ず、本考案に従うマットレス用シーツの一例について、図1には斜視図の形態において、また図2には装着するマットレスと対向する面(裏面)から見た平面図の形態において、それぞれ示されている。それらの図において、シーツ10は、綿、麻等の天然繊維やポリエステル、ナイロン等の化学繊維を材質とする布帛等からなる公知の各種のシーツ素材11を用いて、マットレス30の上面を覆うに充分な大きさの、矩形平面形状とされている。
より詳細には、シーツ10は、公知の各種のシーツ素材11を用いて、全体として矩形の平面形状を呈するように形成されており、そしてその大きさが、ここでは、シーツ10をマットレス30に装着した際に、マットレス30の上面を覆い、マットレス30の横方向(幅方向)の両端部(両側部)と縦方向(長さ方向)の両端部のそれぞれから、マットレス30の下側に充分に回り込み得る幅と長さをそれぞれ有するようなサイズとなるように構成されている。
そして、かかるシーツ10にあっては、その長さ方向(図2において左右方向)の一方の側において、シーツ10を構成するシーツ素材11の長さ方向の一方の端部が、所定長さで折り返されて、該シーツ素材11が二重に重なり合った形態となる折返し部12が、形成されている。更に、そのような折返し部12には、シーツ10幅方向(図2において上下方向)の両端部(両側部)のそれぞれにおいて、折返し部12の折目部位12aからシーツ10の長さ方向に所定距離(s)を隔てた位置より、シーツ10の長さ方向に延びるように、折返し部12を直線的に縫い合わせてなる、所定長さ(L1 )の第一の縫着部14,14が形成されて、かかる折返し部12が袋状となるように構成されている。
このように、折返し部12を袋状と為す第一の縫着部14の縫い始めが、かかる折返し部12の折目部位12aからシーツ10の長さ方向に所定距離(s)を隔てた位置より開始されていることによって、図3及び図4に示される如く、折目部位12aから第一の縫着部14の縫い始め部分までの間の部分が、折返し部12の袋状の内部と通じる開口部18を構成するようになっている。そして、この開口部18は、シーツ10をクリーニング(洗濯)するに際して、洗濯時や脱水時に袋状の折返し部12内に入り込んだ液や水を外部に排出する流出口や水抜き穴として、作用することとなるものである。
なお、折返し部12における折目部位12aから第一の縫着部14の縫い始め部分までの距離(s)は、開口部18が前記した流出口や水抜き穴として作用するに充分な大きさとなる長さであればよく、一般に、2〜8cm程度の長さとされることとなる。更に、第一の縫着部14の縫い合わせ長さ(L1 )は、シーツ10が装着されるマットレス30の厚み等に応じて設定される折返し部12の長さと共に、適宜に決定されるものであるが、一般に、シーツ10の長さ方向において15〜25cm程度とされることとなる。
また、そのように第一の縫着部14によって縫い合わされて袋状となっている折返し部12におけるシーツ素材長さ方向の先端、即ち、折返し部12における折目部位12aとは反対側の端部12bにおいては、シーツ10幅方向の両端部からそれぞれ互いに他方の端部側に向かって、かかる折返し部12を幅方向に直線的に縫い合わせてなる第二の縫着部16が、所定長さ(L2 )をもって形成されている。なお、かかる第二の縫着部16の縫い合わせ長さ(L2 )は、シーツ10の大きさや装着されるマットレス30の厚さによって、適宜設定されることとなるが、望ましくは、シーツ10の幅方向において10〜25cm程度の長さとなるように、設定されることとなる。また、そのような第二の縫着部16は、ここでは、前記した第一の縫着部14のシーツ10長さ方向の縫い合わせ端部から第二の縫着部16の縫い合わせが開始されており、それら第一の縫着部14と第二の縫着部16によって、L字の縫い目が形成されるようになっている。
このように、第一の縫着部14と第二の縫着部16によって袋状となるように形成された折返し部12は、図3に示されるように、シーツ10の長さ方向において、折目部位12aとは反対側の端部12bが、シーツ10の幅方向両端部位から第二の縫着部16,16の縫い合わせ長さ分だけ内側の部位において、開口して、マットレス30の一方の端部が入り込み得る大きさの開口部20となるように、構成されている。
そして、このようなマットレス用シーツ10をマットレス30に装着する際には、図5や図6に示される如く、マットレス30の長さ方向の一方の端部を袋状の折返し部12の開口部位から該折返し部12内に嵌め込み、シーツ10の折返し部12が形成されている側とは反対側の端部22を、図5及び図6において白抜きの矢印で示されるシーツ10の長さ方向に引っ張ることにより、左右の第二の縫着部16,16にてマットレス30の横方向への移動を規制しつつ、マットレス30の一方の端部を折返し部12の袋状内部に深く入り込ませ、そして、折返し部12の折目部位12aにマットレス30の角部24が当接されるようにして、マットレス30に対してシーツ10が装着されるようにされることとなる。
次いで、シーツ10の端部22側においてマットレス30からはみ出した部分を、図7及び図8に示されるように、マットレス30においてシーツ10の折返し部12が嵌め込まれた側の端部とは反対側となる端部側面34に沿って、かかるシーツ10の端部22がマットレス30の下側に回り込むように折り返す。即ち、図8に示される白抜きの矢印のように、シーツ10の端部22側の余剰部分を、マットレス30の側面34の上側の辺34aと下側の辺34bにて折目が形成されるようにして、マットレス30の下側へと折り返して、マットレス30にて固定するようにするのである。
さらに、シーツ10の幅方向の両側部においてマットレス30からはみ出した部分を、図9や図10に示されるように、マットレス30の幅方向のそれぞれの端面36,36に沿って、マットレス30の下側に回り込むように折り返す。ここでは、シーツ10の長さ方向の端部22を折り返した際と同様にして、シーツ10の幅方向の余剰部分を、図10に示される白抜きの矢印のように、マットレス30の幅方向の側面36の上側の辺36aと下側の辺36bにて折目が形成されるようにして、シーツ10の幅方向の端部26がマットレス30の下側に回り込むように折り返して、かかる端部26をマットレス30にて固定するようにするのである。
従って、このような本考案に従うマットレス用シーツ10によれば、マットレス30に対してシーツ10を装着する際に、袋状とされた折返し部12をマットレス30の一方の端部に嵌め込んで、折返し部12とは反対側のシーツ端部22を、1人の作業者が引っ張ることだけで、シーツ10の一方の端部をマットレス30に対して固定することが出来ることとなるところから、マットレス30へのシーツ10の装着作業を行う際に、従来のように2人の作業者によってシーツの両端を引っ張り合う必要がなく、1人の作業者によって、簡単に且つ容易に装着することが可能となるのである。
しかも、かかるシーツ10にあっては、その袋状の折返し部12におけるシーツ10の幅方向両端部位にそれぞれ第二の縫着部16,16が形成されて、袋状の折返し部12の開口部20がシーツ10の幅方向中央寄りに設けられているため、図5に示される如く、シーツ10の端部を白抜き矢印の方向に引張して、マットレス30に装着させる際に、かかるマットレス30に対して、シーツ10を効果的にセンタリングして、マットレス30に容易に装着することが出来ることとなるのである。更に、マットレス30に嵌め込んだ袋状の折返し部12側とは反対側となる、シーツ10の長さ方向のシーツ端部22を引くことで、折返し部12の折目部位12aがマットレス30の角部24に当接して、固定されるようになるため、シーツ10のシワを効果的に延ばしてマットレス30に装着することが出来ることとなるのである。また、そのようにマットレス30の角部24にシーツ10が当接されて引っ掛かることによって、シーツ10の余剰部分を折りたたむための角が形よく形成されることとなるため、そのような角部24において、シーツ10の余剰部分を折りたたみ、綺麗に仕上げることが出来るのである。
また、そのようなシーツ10には、その袋状の折返し部12の折目部位12aの両側部に開口部18が形成されているところから、そのような開口部18が、シーツ10をクリーニングする際の洗濯工程や脱水工程において流出口や水抜き穴として機能して、折返し部12に洗濯液や水が溜まってしまうことが効果的に解消乃至は抑制され得、以てクリーニングに際してのシーツ10の破損を有利に防止することが可能となるのである。
さらに、シーツ10は、単に、矩形平面形状のシーツ素材の一方の端部を折り返して、その折り返した箇所の側部と端部をシーツの長さ方向と幅方向に所定長さだけ縫い合わせて形成される第一の逢着部14と第二の逢着部16によって、かかる折返し部12が袋状となるように構成されているのみであるところから、シーツ10の製造コストを効果的に低減することが出来ると共に、生地(シーツ素材)の洗濯縮みによる影響を受け難いため、通常の1枚物のシーツと同様に、ロールアイロナーでの仕上げを良好に行うことが可能となる特徴も有している。
以上、本考案の代表的な実施形態の一つについて詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本考案は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、前述の実施形態においては、シーツ10の大きさが、マットレス30の上面を覆い、マットレス30の横方向(幅方向)の両端部と縦方向(長さ方向)の両端部のそれぞれから、マットレス30の下側に充分に回り込み得る幅と長さを有するサイズとされていたが、シーツ10の幅方向にあっては、マットレス30の下側まで回り込むことなく、マットレス30の側面を覆い得る程度の大きさとされていても何等差し支えない。即ち、シーツ10をマットレス30に装着する際に、折返し部12をマットレス30の長手方向の一方の側に嵌め込んで、折返し部12が形成されている側とはシーツ10の長さ方向反対側の端部22を引っ張ることにより、シーツ10のシワを伸ばした状態で、かかる端部22をマットレス30の下側に回り込ませて、シーツ10をマットレス30に対して固定出来るようになっておれば、充分なのである。
また、袋状とされた折返し部12は、例示の実施形態においては、その袋状の内側にマットレス30の一方の端部の全体が入り込むように、換言すれば、折返し部12がマットレス30の端部の下側にまで回り込むように嵌め込まれて、シーツ10がマットレス30の長手方向一方の端部に対して引っ掛かり、外れないようになる大きさとされていたが、そのように折返し部12の袋状内部にマットレス30の端部が下側まで完全に入り込まないような大きさとされてもよい。例えば、シーツ10の折返し部12が形成された側とは反対側の端部22を引っ張った際に、折返し部12がマットレス30の一方の端部におけるマットレス上面側の角部或いは下面側の角部に引っ掛かり、マットレス30からシーツ10が外れてしまうことを阻止し得る程度の大きさに折返し部12が形成されていても、何等差し支えない。
さらに、上記した実施形態においては、第一の縫着部14の縫い合わせ端部から第二の逢着部16の縫い合わせが開始されて、第一の縫着部14と第二の逢着部16とによりL字の縫目が形成されていたが、それら第一の縫着部14の縫い合わせ端部と第二の逢着部16の縫い合わせ開始位置を離して、それぞれの縫目を形成するようにしてもよい。
更にまた、第二の縫着部16は、折返し部12の端部12bの両側部に対して、それぞれ、シーツ10の幅方向に直線的に縫い合わせる縫目によって形成されることとなるが、それを、互いに平行な方向に延びる複数の縫目によって、構成することも可能である。このように、複数の縫目によって第二の逢着部16を構成することで、シーツ10を引っ張ったときに、マットレス30に対するセンタリングを有効に行い得るようにすると共に、縫目に作用する力を効果的に分散して、第二の逢着部16の縫目がほつれてしまうようなことを、有利に抑制することが出来ることとなる。
その他、一々列挙はしないが、本考案は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本考案の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本考案の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。