JP3205019U - スプルーブッシュ - Google Patents
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Abstract
【課題】射出時間が極めて短い樹脂を射出する場合であっても、金型内に射出される溶融樹脂の温度低下を可及的に抑えることができるスプルーブッシュを提供する。【解決手段】溶融樹脂を金型Kに注入するためのスプルーブッシュS1であって、金型Kに装着され、内部に溶融樹脂の注入方向に沿った収容孔1が形成されたスプルーボディー2と、スプルーボディー2の収容孔1に装着され、内部に溶融樹脂が流れる流路3が形成された流路部材4とを備え、流路部材4の熱伝導率がスプルーボディー2の熱伝導率よりも小さい。流路部材4は、溶融樹脂を射出するノズルNが押し付けられるノズルタッチ部4aを有する。スプルーボディー2の材質が炭素鋼であり、流路部材4の材質が炭素鋼よりも熱伝導率が小さいチタンまたはジルコニアである。【選択図】図4
Description
本考案は、加熱されて溶融状態となった樹脂(以下、溶融樹脂)を金型に注入するためのスプルーブッシュに関する。
図1に示すように、樹脂の射出成形に用いる金型Kには、金型K内に溶融樹脂を注入するためのスプルーブッシュSが取り付けられている。スプルーブッシュSは、射出ノズルNが押し付けられた状態でノズルNから溶融樹脂が射出されることで、溶融樹脂を金型K内に注入するものである。
スプルーブッシュSから金型K内に注入された溶融樹脂は、金型Kに形成されたランナー用凹部RおよびピンポイントゲートブッシュPを介して、キャビティCに充填される。キャビティCに充填された溶融樹脂が冷えて硬化した後、金型Kが開かれ、ランナー用凹部Rからランナーが排出され、キャビティCから成形品が取り出される。その後、金型1が閉じられ、ノズルNからスプルーブッシュSを介して金型K内に溶融樹脂を注入する、というサイクルが繰り返される。
このような射出成型に用いられるスプルーブッシュSとして、本考案者は、先に、図2に示す如きスプルーブッシュSJを開発した(特許文献1参照)。このスプルーブッシュSJは、内部に溶融樹脂の流路11が形成された金属製の流路部材12と、流路部材12の外周に流路11の長手方向に沿ってリング状に形成された断熱層13と、断熱層13を覆って設けられた金属製のスプルーボディー14とを備えている。スプルーブッシュSJは、スプルーボディー14が図1に示す金型Kに装着され、流路11の入口に形成されたノズルタッチ部15に射出ノズルNが押し付けられた状態で、ノズルNから噴射された溶融樹脂を、流路11を通じて金型K内に導く。
かかるスプルーブッシュSJは、内部に溶融樹脂の流路11が形成された流路部材12が断熱層13によってスプルーボディー14から断熱されており、流路部材12の熱容量がスプルーボディー14から熱的に遮断された限定されたものとなっている。このため、金型Kに樹脂を注入する際、流路11を流れる溶融樹脂によって流路部材12が短時間で昇温され、溶融樹脂が高温状態に保たれたまま、高い流動性を維持して金型K内に注入される。よって、成形品に生じるショートショットやウエルドライン等の不具合を抑制できる。
ところで、上述したスプルーブッシュSJにおいては、金属製の流路部材12は確かに断熱層13によってスプルーボディー14から熱的に遮断されているものの、流路11を流れる溶融樹脂によって流路部材12がその熱容量一杯まで加熱されるまでの間は、流路11を流れる溶融樹脂の温度が低下することが避けられない。このため、射出時間が極めて短い樹脂の射出成形においては、流路部材12がその熱容量一杯まで加熱される前に樹脂の射出が終了してしまい、結果として温度が低い樹脂が金型K内に注入され、成形品にショートショットやウエルドライン等の不具合が生じる可能性がある。
例えば、所謂エンジニアリングプラスチック(LCP、PPS、PEEK、PES等)を射出成形する場合、エンジニアリングプラスチックは耐熱性が高く凝固温度が通常のプラスチックよりも高いため、凝固する前に射出を完了させる必要があり、射出時間が極めて短い(大凡1/100秒〜5/100秒程度)。このように極めて短い射出時間では、流路部材12がその熱容量一杯まで加熱される前に樹脂の射出が終了してしまうため、流路部材12に放熱して温度が低下した樹脂のみが金型K内に注入されることになり、成形品にショートショットやウエルドライン等の不具合が生じ得る。
図3に、上述のスプルーブッシュSJを用いて溶融樹脂を射出した際、流路11の出口16での樹脂温度と時間との関係を示す(シミュレーション)。流路11の入口17での溶融樹脂の温度は摂氏220度である。図3に示すように、流路11の出口16での樹脂温度は、射出開始(0秒)の直後には約120度と低く、1秒程度経過して最高温度である約160度まで上昇している。これは、射出開始から流路部材12が熱容量一杯まで加熱されるまで、1秒程度かかっているためであると考察できる。
従って、このスプルーブッシュSJを用いて、上述したように射出時間が大凡1/100秒〜5/100秒程度と極めて短いエンジニアリングプラスチックを射出成形すると、樹脂が最高温度に到達する前に(流路部材12が熱容量一杯まで加熱される前に)射出が終了することになり、断熱層13を設けた効果が無い。すなわち、射出時間が極めて短い樹脂(例えばエンジニアリングプラスチック等)を射出成形する場合、金型K内に注入される溶融樹脂の温度が低下し、成形品にショートショットやウエルドライン等の不具合が生じ得る。
以上の事情を考慮して創案された本考案の目的は、射出時間が極めて短い樹脂を射出する場合であっても、金型内に射出される溶融樹脂の温度低下を可及的に抑えることができるスプルーブッシュを提供することにある。
上記目的を達成するために創案された本考案によれば、溶融樹脂を金型に注入するためのスプルーブッシュであって、金型に装着され、内部に溶融樹脂の注入方向に沿った収容孔が形成されたスプルーボディーと、スプルーボディーの収容孔に装着され、内部に溶融樹脂が流れる流路が形成された流路部材とを備え、流路部材の熱伝導率がスプルーボディーの熱伝導率よりも小さい、ことを特徴とするスプルーブッシュが提供される。
本考案に係るスプルーブッシュにおいては、流路部材は、溶融樹脂を射出するノズルが押し付けられるノズルタッチ部を有していてもよい。
本考案に係るスプルーブッシュにおいては、スプルーボディーの材質が炭素鋼であり、流路部材の材質が炭素鋼よりも熱伝導率が小さいチタンまたはジルコニアであってもよい。
本考案に係るスプルーブッシュにおいては、流路部材は、溶融樹脂を射出するノズルが押し付けられるノズルタッチ部材と、ノズルタッチ部材に隣接配置された流路本体部材とを有し、ノズルタッチ部材の熱伝導率が流路本体部材の熱伝導率よりも小さいものであってもよい。
本考案に係るスプルーブッシュにおいては、スプルーボディーの材質が炭素鋼であり、流路本体部材の材質が炭素鋼よりも熱伝導率が小さいチタンであり、ノズルタッチ部材の材質がチタンよりも熱伝導率が小さいジルコニアであってもよい。
本考案に係るスプルーブッシュによれば、次のような効果を発揮できる。
(1)本考案に係るスプルーブッシュは、金型に装着されるスプルーボディーと、スプルーボディーに装着された流路部材とを有し、流路部材の熱伝導率がスプルーボディーの熱伝導率よりも小さい。この結果、流路部材の内部に形成された流路を流れる溶融樹脂は、熱伝導率の小さい流路部材によって、熱伝導率の大きいスプルーボディーに対して断熱された状態となる。従って、流路部材の流路を流れる溶融樹脂は、流路に流入した直後から、スプルーボディーを介した金型への放熱が抑えられる。よって、射出時間が極めて短い樹脂(例えばエンジニアリングプラスチック等)を射出する場合であっても、金型内に射出される溶融樹脂の温度低下を可及的に抑えることができる。
(2)このスプルーブッシュは、熱伝導率の小さい流路部材を熱伝導率の大きいスプルーボディーの収容孔に装着した構造であるため、例えば流路の内面に断熱層をコーティングする場合と比べると製造し易く、生産性に優れている。
(1)本考案に係るスプルーブッシュは、金型に装着されるスプルーボディーと、スプルーボディーに装着された流路部材とを有し、流路部材の熱伝導率がスプルーボディーの熱伝導率よりも小さい。この結果、流路部材の内部に形成された流路を流れる溶融樹脂は、熱伝導率の小さい流路部材によって、熱伝導率の大きいスプルーボディーに対して断熱された状態となる。従って、流路部材の流路を流れる溶融樹脂は、流路に流入した直後から、スプルーボディーを介した金型への放熱が抑えられる。よって、射出時間が極めて短い樹脂(例えばエンジニアリングプラスチック等)を射出する場合であっても、金型内に射出される溶融樹脂の温度低下を可及的に抑えることができる。
(2)このスプルーブッシュは、熱伝導率の小さい流路部材を熱伝導率の大きいスプルーボディーの収容孔に装着した構造であるため、例えば流路の内面に断熱層をコーティングする場合と比べると製造し易く、生産性に優れている。
以下に添付図面を参照しながら、本考案の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本考案に直接関係のない要素は図示を省略する。
(金型K)
図1に示すように、樹脂の射出成形に用いる金型Kには、金型K内に溶融樹脂を注入するためのスプルーブッシュS1が、スプルーブッシュSの代わりに取り付けられる。スプルーブッシュS1は、射出ノズルNが押し付けられた状態でノズルNから溶融樹脂が射出されることで、溶融樹脂を金型K内に注入するものである。
図1に示すように、樹脂の射出成形に用いる金型Kには、金型K内に溶融樹脂を注入するためのスプルーブッシュS1が、スプルーブッシュSの代わりに取り付けられる。スプルーブッシュS1は、射出ノズルNが押し付けられた状態でノズルNから溶融樹脂が射出されることで、溶融樹脂を金型K内に注入するものである。
スプルーブッシュS1から金型K内に注入された溶融樹脂は、金型Kに形成されたランナー用凹部RおよびピンポイントゲートブッシュPを介して、キャビティCに充填される。キャビティCに充填された溶融樹脂が冷えて硬化した後、金型Kが開かれ、ランナー用凹部Rからランナーが排出され、キャビティCから成形品が取り出される。その後、金型1が閉じられ、ノズルNからスプルーブッシュSを介して金型K内に溶融樹脂を注入する、というサイクルが繰り返される。
(スプルーブッシュS1の概要)
図4に示すように、本考案の一実施形態に係るスプルーブッシュS1は、金型Kに装着され、内部に溶融樹脂の注入方向に沿った収容孔1が形成されたスプルーボディー2と、スプルーボディー2の収容孔1に装着され、内部に溶融樹脂が流れる流路3が形成された流路部材4とを備え、流路部材4の熱伝導率がスプルーボディー2の熱伝導率よりも小さい、ことを特徴とするものである。以下、本実施形態に係るスプルーブッシュS1の各構成要素について説明する。
図4に示すように、本考案の一実施形態に係るスプルーブッシュS1は、金型Kに装着され、内部に溶融樹脂の注入方向に沿った収容孔1が形成されたスプルーボディー2と、スプルーボディー2の収容孔1に装着され、内部に溶融樹脂が流れる流路3が形成された流路部材4とを備え、流路部材4の熱伝導率がスプルーボディー2の熱伝導率よりも小さい、ことを特徴とするものである。以下、本実施形態に係るスプルーブッシュS1の各構成要素について説明する。
(スプルーボディー2)
図4に示すように、スプルーボディー2は、フランジ部2aと円柱部2bとからなり、図1に示す金型Kに装着され、ボルトやネジ(図示せず)によって金型Kに固定される。スプルーボディー2の材質には、SKD61等の炭素鋼が用いられる。スプルーボディー2のフランジ部2aおよび円柱部2bの中心には、溶融樹脂の注入方向に沿って収容孔1が形成されている。収容孔1は、フランジ部2aに形成された大径孔1aと、それに繋げて円柱部2bに形成された小径孔1bとからなる。収容孔1には、流路部材4が装着される。
図4に示すように、スプルーボディー2は、フランジ部2aと円柱部2bとからなり、図1に示す金型Kに装着され、ボルトやネジ(図示せず)によって金型Kに固定される。スプルーボディー2の材質には、SKD61等の炭素鋼が用いられる。スプルーボディー2のフランジ部2aおよび円柱部2bの中心には、溶融樹脂の注入方向に沿って収容孔1が形成されている。収容孔1は、フランジ部2aに形成された大径孔1aと、それに繋げて円柱部2bに形成された小径孔1bとからなる。収容孔1には、流路部材4が装着される。
(流路部材4)
図4に示すように、流路部材4は、収容孔1の大径孔1aに係合するフランジ状のノズルタッチ部4aと、収容孔1の小径孔1bに係合する円柱状の流路本体部4bとが一体成形されて構成され、ノズルタッチ部4aの下面に塗布された接着剤によって収容孔1に装着される。ノズルタッチ部4aの下面と大径孔1aの底面との接触部の外縁および内縁には、余分な接着剤を収容するための空隙5が形成されている。ノズルタッチ部4aの上面には、図1に示す射出ノズルNが押し付けられる部分に、ノズルNの形状に応じた窪み部6が形成されている。流路部材4の中心には、溶融樹脂が流れる流路3が形成されている。
図4に示すように、流路部材4は、収容孔1の大径孔1aに係合するフランジ状のノズルタッチ部4aと、収容孔1の小径孔1bに係合する円柱状の流路本体部4bとが一体成形されて構成され、ノズルタッチ部4aの下面に塗布された接着剤によって収容孔1に装着される。ノズルタッチ部4aの下面と大径孔1aの底面との接触部の外縁および内縁には、余分な接着剤を収容するための空隙5が形成されている。ノズルタッチ部4aの上面には、図1に示す射出ノズルNが押し付けられる部分に、ノズルNの形状に応じた窪み部6が形成されている。流路部材4の中心には、溶融樹脂が流れる流路3が形成されている。
(熱伝導率)
流路部材4の熱伝導率は、スプルーボディー2の熱伝導率よりも小さい。具体的には、本実施形態では、スプルーボディー2に炭素鋼(SKD61等)を用い、流路部材4にチタン(64チタン等)を用いている。64チタンの熱伝導率は7.5(W/(m・K))、SKD61の熱伝導率は29(W/(m・K))である。なお、流路部材4には、チタンの代わりに、ジルコニア(二酸化ジルコニウム等)を用いてもよい。ジルコニアの熱伝導率は3(W/(m・K))である。流路部材4の材質、スプルーボディー2の材質は、上述したものに限られるとはなく、熱伝導率が「流路部材4」<「スプルーボディー2」を満たせば、様々な材質を用いることができる。
流路部材4の熱伝導率は、スプルーボディー2の熱伝導率よりも小さい。具体的には、本実施形態では、スプルーボディー2に炭素鋼(SKD61等)を用い、流路部材4にチタン(64チタン等)を用いている。64チタンの熱伝導率は7.5(W/(m・K))、SKD61の熱伝導率は29(W/(m・K))である。なお、流路部材4には、チタンの代わりに、ジルコニア(二酸化ジルコニウム等)を用いてもよい。ジルコニアの熱伝導率は3(W/(m・K))である。流路部材4の材質、スプルーボディー2の材質は、上述したものに限られるとはなく、熱伝導率が「流路部材4」<「スプルーボディー2」を満たせば、様々な材質を用いることができる。
(作用・効果)
図4に示すように、本実施形態に係るスプルーブッシュS1は、金型Kに装着されるスプルーボディー2と、スプルーボディー2内に装着された流路部材4とを有し、流路部材4の熱伝導率がスプルーボディー2の熱伝導率よりも小さい。この結果、流路部材4の内部に形成された流路3を流れる溶融樹脂は、熱伝導率の小さい流路部材4によって、熱伝導率の大きいスプルーボディー2に対して断熱された状態となる。従って、流路部材4の流路3を流れる溶融樹脂は、流路3に流入した直後から、スプルーボディー2を介した金型Kへの放熱が抑えられる。よって、射出時間が極めて短い樹脂(例えばエンジニアリングプラスチック等)を射出する場合であっても、金型K内に射出される溶融樹脂の温度低下を可及的に抑えることができる。
図4に示すように、本実施形態に係るスプルーブッシュS1は、金型Kに装着されるスプルーボディー2と、スプルーボディー2内に装着された流路部材4とを有し、流路部材4の熱伝導率がスプルーボディー2の熱伝導率よりも小さい。この結果、流路部材4の内部に形成された流路3を流れる溶融樹脂は、熱伝導率の小さい流路部材4によって、熱伝導率の大きいスプルーボディー2に対して断熱された状態となる。従って、流路部材4の流路3を流れる溶融樹脂は、流路3に流入した直後から、スプルーボディー2を介した金型Kへの放熱が抑えられる。よって、射出時間が極めて短い樹脂(例えばエンジニアリングプラスチック等)を射出する場合であっても、金型K内に射出される溶融樹脂の温度低下を可及的に抑えることができる。
図5に、本実施形態に係るスプルーブッシュS1を用いて溶融樹脂を射出した際、流路3の出口17での樹脂温度と時間との関係を示す(シミュレーション)。流路3の入口17での溶融樹脂の温度は摂氏220度である。図5に示すように、流路3の出口16での樹脂温度は、射出開始(0秒)の直後から約155度であり、図3の比較例の温度(約120度)よりも高い。これは、流路3を通過する溶融樹脂がスプルーボディー2よりも熱伝導率の小さい流路部材4によってスプルーボディー2に対して断熱され、溶融樹脂の熱がスプルーボディー2を介して金型Kへ放熱され難くなっており、かかる断熱効果は溶融樹脂が流路3に流入した直後から発揮できるためである。
この点を詳述すると、図2および図3に示す比較例においては、流路部材12がその熱容量一杯まで加熱されるまでは、流路11内の溶融樹脂の熱が流路部材12に奪われてしまうため、その間、流路出口16での樹脂温度が本実施形態よりも低くなってしまう。このため、射出時間が大凡1/100秒〜5/100秒程度と極めて短いエンジニアリングプラスチック(LCP、PPS、PEEK、PES等)を射出すると、流路部材12が熱容量一杯まで加熱される前に射出が終了することになり、金型K内に注入される溶融樹脂の温度が低下し、成形品にショートショットやウエルドライン等の不具合が生じ得る。
一方、図4および図5に示す本実施形態においては、流路3が形成された流路部材4自体がスプルーボディー2に対する断熱部材として機能するため、溶融樹脂が流路3に流入した直後から溶融樹脂がスプルーボディー2に対して断熱され、射出開始(0秒)の直後における流路出口16での樹脂温度が比較例よりも高い。よって、射出時間が大凡1/100秒〜5/100秒程度と極めて短いエンジニアリングプラスチック(LCP、PPS、PEEK、PES等)を射出する場合であっても、比較例よりも高い温度の溶融樹脂を金型K内に注入でき、成形品にショートショットやウエルドライン等の不具合が生じる事態を抑制できる。
また、本実施形態に係るスプルーブッシュS1は、図4に示すように、流路部材4(チタン)にノズルタッチ部4aが一体的に成形されており、図1に示す射出ノズルNが押し付けられるノズルタッチ部4a(チタン)の熱伝導率が、スプルーボディー2(炭素鋼)の熱伝導率よりも小さい。よって、ノズルタッチ部4aが射出ノズルNに対する断熱部材として機能することになり、ノズルNの温度低下を抑制できるので、ノズルNからスプルーブッシュS1に注入される溶融樹脂の温度低下を抑えられる。このため、ノズルNからスプルーブッシュS1を介して金型K内に注入される溶融樹脂の温度低下を可及的に抑えることができ、成形品のショートショットやウエルドライン等の不具合を抑制できる。
また、本実施形態に係るスプルーブッシュS1は、熱伝導率の小さい流路部材4を熱伝導率の大きいスプルーボディー2内の収容孔1に装着した構造(2ピース構造)であるため、例えば流路3の内周面に断熱層をコーティングする場合と比べると製造し易く、生産性に優れている。実際上、スプルーブッシュS1の流路3(内径1.5mm〜2.0mm程度)の内周面に、断熱層を高精度でコーティングすることは困難であり、仮に可能であったとしても製造コストは非常に高くなってしまう。一方、本実施形態のスプルーブッシュS1は、熱伝導率の小さい流路部材4を熱伝導率の大きいスプルーボディー2の収容孔1に装着した構造なので、断熱性と生産性とを両立でき、コストパフォーマンスが高い。
(変形実施形態)
図6に、本考案の変形実施形態に係るスプルーブッシュS2を示す。この変形実施形態に係るスプルーブッシュS2は、流路部材4が、溶融樹脂を射出するノズルNが押し付けられるノズルタッチ部材18と、ノズルタッチ部材18に隣接配置された流路本体部材19との2部品からなり、ノズルタッチ部材18の熱伝導率が流路本体部材19の熱伝導率よりも小さい点が前実施形態と相違し、その他は前実施形態と同様の構成となっている。よって、前実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、相違点であるノズルタッチ部材18および流路本体部材19についてのみ説明する。
図6に、本考案の変形実施形態に係るスプルーブッシュS2を示す。この変形実施形態に係るスプルーブッシュS2は、流路部材4が、溶融樹脂を射出するノズルNが押し付けられるノズルタッチ部材18と、ノズルタッチ部材18に隣接配置された流路本体部材19との2部品からなり、ノズルタッチ部材18の熱伝導率が流路本体部材19の熱伝導率よりも小さい点が前実施形態と相違し、その他は前実施形態と同様の構成となっている。よって、前実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、相違点であるノズルタッチ部材18および流路本体部材19についてのみ説明する。
(流路本体部材19)
図6に示すように、流路本体部材19は、収容孔1の大径孔1aに係合するフランジ状の上部19aと、収容孔1の小径孔1bに係合する円柱状の下部19bとが一体成形されて構成されている。かかる流路本体部材19の中心には、溶融樹脂の流路3が形成されている。流路本体部材19は、上部19aの下面に塗布された接着剤によって収容孔1に装着される。上部19aの下面と大径孔1aの底面との接触部の外縁および内縁には、余分な接着剤を収容するための空隙5が形成されている。流路本体部材19の上部19aの上面には、ノズルタッチ部材18が装着される。
図6に示すように、流路本体部材19は、収容孔1の大径孔1aに係合するフランジ状の上部19aと、収容孔1の小径孔1bに係合する円柱状の下部19bとが一体成形されて構成されている。かかる流路本体部材19の中心には、溶融樹脂の流路3が形成されている。流路本体部材19は、上部19aの下面に塗布された接着剤によって収容孔1に装着される。上部19aの下面と大径孔1aの底面との接触部の外縁および内縁には、余分な接着剤を収容するための空隙5が形成されている。流路本体部材19の上部19aの上面には、ノズルタッチ部材18が装着される。
(ノズルタッチ部材18)
図6に示すように、ノズルタッチ部材18は、収容孔1の大径孔1aに係合する円柱状に形成されている。ノズルタッチ部材18の上面には、図1に示す射出ノズルNが押し付けられる部分に、ノズルNの形状に応じた窪み部6が形成されている。ノズルタッチ部材18の中心には、溶融樹脂が流れる流路3が、流路本体部材19の流路3に繋がるように形成されている。ノズルタッチ部材18は、流路本体部材19の上面に接着剤によって装着される。流路本体部材19の上面には、余分な接着剤を収容するための凹部20がリング状に形成されている。
図6に示すように、ノズルタッチ部材18は、収容孔1の大径孔1aに係合する円柱状に形成されている。ノズルタッチ部材18の上面には、図1に示す射出ノズルNが押し付けられる部分に、ノズルNの形状に応じた窪み部6が形成されている。ノズルタッチ部材18の中心には、溶融樹脂が流れる流路3が、流路本体部材19の流路3に繋がるように形成されている。ノズルタッチ部材18は、流路本体部材19の上面に接着剤によって装着される。流路本体部材19の上面には、余分な接着剤を収容するための凹部20がリング状に形成されている。
(熱伝導率)
この変形実施形態に係るスプルーブッシュS2においては、スプルーボディー2の熱伝導率よりも流路本体部材19の熱伝導率が小さく、流路本体部材19の熱伝導率よりもノズルタッチ部材18の熱伝導率が小さい。具体的には、スプルーボディー2が炭素鋼(SKD61等)であり、流路本体部材19が炭素鋼よりも熱伝導率が小さいチタン(64チタン等)であり、ノズルタッチ部材18がチタンよりも熱伝導率が小さいジルコニア(二酸化ジルコニウム等)である。SKD61の熱伝導率は29(W/(m・K))、64チタンの熱伝導率は7.5(W/(m・K))、ジルコニアの熱伝導率は3(W/(m・K))である。ノズルタッチ部材18、流路本体部材19、スプルーボディー2の材質は、上述したものに限られることはなく、熱伝導率が「ノズルタッチ部材18」<「流路本体部材19」<「スプルーボディー2」を満たせば、様々な材質を用いることができる。
この変形実施形態に係るスプルーブッシュS2においては、スプルーボディー2の熱伝導率よりも流路本体部材19の熱伝導率が小さく、流路本体部材19の熱伝導率よりもノズルタッチ部材18の熱伝導率が小さい。具体的には、スプルーボディー2が炭素鋼(SKD61等)であり、流路本体部材19が炭素鋼よりも熱伝導率が小さいチタン(64チタン等)であり、ノズルタッチ部材18がチタンよりも熱伝導率が小さいジルコニア(二酸化ジルコニウム等)である。SKD61の熱伝導率は29(W/(m・K))、64チタンの熱伝導率は7.5(W/(m・K))、ジルコニアの熱伝導率は3(W/(m・K))である。ノズルタッチ部材18、流路本体部材19、スプルーボディー2の材質は、上述したものに限られることはなく、熱伝導率が「ノズルタッチ部材18」<「流路本体部材19」<「スプルーボディー2」を満たせば、様々な材質を用いることができる。
(作用・効果)
図6に示すように、変形実施形態に係るスプルーブッシュS2は、金型Kに装着されるスプルーボディー2と、スプルーボディー2内に装着された流路部材4とから成り、流路部材4がノズルタッチ部材18と流路本体部材19とから構成され、熱伝導率の大小関係が、「ノズルタッチ部材18」<「流路本体部材19」<「スプルーボディー2」となっている。
図6に示すように、変形実施形態に係るスプルーブッシュS2は、金型Kに装着されるスプルーボディー2と、スプルーボディー2内に装着された流路部材4とから成り、流路部材4がノズルタッチ部材18と流路本体部材19とから構成され、熱伝導率の大小関係が、「ノズルタッチ部材18」<「流路本体部材19」<「スプルーボディー2」となっている。
流路部材4(ノズルタッチ部材18および流路本体部材19)の熱伝導率がスプルーボディー2の熱伝導率よりも小さいため、流路部材4の内部に形成された流路3を流れる溶融樹脂は、熱伝導率の小さい流路部材4によって、熱伝導率の大きいスプルーボディー2に対して断熱された状態となる。従って、流路部材4の流路3を流れる溶融樹脂は、流路3に流入した直後から、スプルーボディー2を介した金型Kへの放熱が抑えられる。よって、射出時間が極めて短い樹脂(例えばエンジニアリングプラスチック等)を射出する場合であっても、金型K内に射出される溶融樹脂の温度低下を可及的に抑えることができる。
流路部材4がノズルタッチ部材18とこれとは別部品の流路本体部材19から成り、ノズルタッチ部材18の熱伝導率が流路本体部材19の熱伝導率よりも小さいため、ノズルタッチ部材18の熱伝導率が流路本体部材19の熱伝導率と等しい前実施形態(図4参照)と比べて、ノズルタッチ部材18に押し付けられる射出ノズルNの温度低下を抑制でき、ノズルNからスプルーブッシュS2に射出される溶融樹脂の温度低下を抑えられる。この結果、金型K内に注入される溶融樹脂の温度低下を更に抑えることができ、成形品のショートショットやウエルドライン等の不具合を一層抑制できる。
ノズルタッチ部材18を流路本体部材19の上面に接着することで、流路本体部材19の上面に形成された凹部20内の空間の少なくとも一部には、余分な接着剤(例えばエポキシ樹脂系の熱硬化性接着剤)が収容された状態となっている。ここで、凹部20は、流路3を囲むようにリング状(ドーナッツ状)に形成されており、凹部20に収容された接着剤は、樹脂断熱層として機能し、凹部20内の空気の部分は、空気断熱層として機能する。よって、ノズルNに対する断熱機能は向上する。その他、この変形実施形態の基本的な作用・効果は、前実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上、添付図面を参照しつつ本考案の好適な実施形態について説明したが、本考案は上述した各実施形態に限定されないことは勿論であり、実用新案登録請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本考案の技術的範囲に属することは言うまでもない。
本考案は、溶融樹脂を金型に注入するためのスプルーブッシュに利用できる。
S1 スプルーブッシュ
1 収容孔
2 スプルーボディー
3 流路
4 流路部材
4a ノズルタッチ部
4b 流路本体部
K 金型
N ノズル
S2 スプルーブッシュ
18 ノズルタッチ部材
19 流路本体部材
1 収容孔
2 スプルーボディー
3 流路
4 流路部材
4a ノズルタッチ部
4b 流路本体部
K 金型
N ノズル
S2 スプルーブッシュ
18 ノズルタッチ部材
19 流路本体部材
Claims (5)
- 溶融樹脂を金型に注入するためのスプルーブッシュであって、
金型に装着され、内部に溶融樹脂の注入方向に沿った収容孔が形成されたスプルーボディーと、
該スプルーボディーの収容孔に装着され、内部に溶融樹脂が流れる流路が形成された流路部材とを備え、
該流路部材の熱伝導率が前記スプルーボディーの熱伝導率よりも小さい、
ことを特徴とするスプルーブッシュ。 - 前記流路部材は、溶融樹脂を射出するノズルが押し付けられるノズルタッチ部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のスプルーブッシュ。
- 前記スプルーボディーの材質が炭素鋼であり、前記流路部材の材質が炭素鋼よりも熱伝導率が小さいチタンまたはジルコニアである、ことを特徴とする請求項1または2に記載のスプルーブッシュ。
- 前記流路部材は、溶融樹脂を射出するノズルが押し付けられるノズルタッチ部材と、該ノズルタッチ部材に隣接配置された流路本体部材とを有し、前記ノズルタッチ部材の熱伝導率が前記流路本体部材の熱伝導率よりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のスプルーブッシュ。
- 前記スプルーボディーの材質が炭素鋼であり、前記流路本体部材の材質が炭素鋼よりも熱伝導率が小さいチタンであり、前記ノズルタッチ部材の材質がチタンよりも熱伝導率が小さいジルコニアである、ことを特徴とする請求項4に記載のスプルーブッシュ。
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