JP3203754B2 - ダイヤモンドの製造法および製造装置 - Google Patents

ダイヤモンドの製造法および製造装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はダイヤモンドの気相合
成による製造法、及び製造装置に関する。特に高品質の
ダイヤモンドを高速且つ大面積に形成することを可能と
するダイヤモンドの気相合成法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドを気相合成する方法とし
て、原料ガスを分解活性化するための手段により幾多の
ものが知られている。 熱フィラメントCVD法 .. 高温加熱されたフ
ィラメントから熱電子を発生させこれによって原料ガス
を活性化する。 マイクロ波プラズマCVD法 .. マイクロ波プ
ラズマにより原料ガスを活性化する。 DCプラズマCVD法 .. DC熱プラズマを利
用する。 DCア−クプラズマCVD法 .. DCア−クプ
ラズマを利用する。 プラズマジェットCVD法 ..DCやRF熱プラ
ズマト−チを利用する。 バ−ナ−法 .. 酸素アセチレン炎を利用する。 これらの内、ダイヤモンドを高速で合成する技術として
最も有利な方法は、DCプラズマト−チを利用するDC
プラズマジェットCVD法である、と本発明者は考え
る。
【0003】DCプラズマジェットCVD法といっても
多くの提案がなされており、それぞれ長所短所がある。 (1)特開昭64−33096号 プラズマ溶射用のト−チをダイヤモンド合成に利用した
ものである。円柱状の陰極とこれをとり囲む円環状の陽
極との間に直流電圧を印加し、陽極と陰極の間のノズル
に炭素を含むガスと水素ガスとArとを流し、ア−ク放
電を発生させ、形成されるプラズマを放電ガスとともに
ノズルから噴出させ、プラズマジェットを形成する。こ
れは非移行式の内部ア−ク放電を利用するものである。
プラズマ化すべき気体は原料気体であって、炭素を含む
原料気体が陽極と陰極の間を通過する。つまり放電によ
ってプラズマ化する気体と原料気体とが区別されていな
い。これは気体の流速が速くジェットとなっており、し
かも熱プラズマを利用するので成膜の速度が速い。高速
性という点で優れている。
【0004】しかしながら、これはト−チ内部の陽極、
陰極間に炭素含有ガスを流すため電極の表面に炭素が析
出する。このため、ア−ク放電が不安定になり、安定な
放電を長時間維持することができない。また大面積にダ
イヤモンドを形成するという点でもこの装置は未だ不十
分である。電極上への炭素析出の問題を解決するため
に、炭素源ガスやプラズマを不安定にするガスをプラズ
マト−チの内部に流さないようにした方法も提案されて
いる。プラズマト−チには炭素含有ガス以外のガスのみ
を流しプラズマジェットを吹き出させ、これに対して側
方から炭素源ガスを吹き付けるものである。しかしこの
方法もプラズマ流が小さいときは有効であるが、大きな
プラズマ流や、高速のプラズマ流では、次のような問題
があって十分な解決にはならない。即ちプラズマが高速
の流れであるから慣性が大きく、側方からガスを吹き付
けても大きなプラズマ流であると、プラズマの流れの内
部にまで十分に炭素源ガスを入り込ませる事ができな
い。炭素源ガスが有効利用できないのである。
【0005】(2)特開平1−179789号 陰極がト−チの中心にあるが、この陰極自体に穴を穿ち
ここから炭素源ガスを吹き込むようにしている。これは
炭素ガス噴出口がプラズマの中にあるので、やはり噴出
口に炭素が析出し、放電が不安定になるという欠点があ
る。ノズルはもともと狭いので炭素が薄く析出しても電
極間の間隔が著しく不均一になるから放電の状態が変わ
ってくるのである。
【0006】以上説明したように、DCア−クプラズマ
ジェット法は、ダイヤモンドを高速に合成できるという
点では優れており、最高で100μm/hの合成速度を
発揮する。しかしながら、大面積にわたって合成できず
大面積性という点では不十分である。また電極間にカ−
ボンが付着堆積しア−ク放電が不安定になるという欠点
を克服できていない。
【0007】(3)プラズマト−チの大型化、大電力化 大面積のダイヤモンド膜を得るためには、プラズマト−
チを大きくし投入電力を大きくすれば良いはずである。
このような観点からプラズマト−チを大きくする事が試
みられた。しかし、ア−ク放電によってプラズマを生成
しているのであるから、プラズマト−チを大きくすると
電極間のア−ク放電が起こる領域が広くなり、ア−ク放
電を広い範囲にわたって安定させるのが難しいという欠
点がある。またプラズマジェットを維持するために莫大
なガス供給が必要となるのでプラズマト−チの大きさに
は自ら限界があって、あまり大きくする事はできない。
どのように大型化しようとしても2インチ径を越えるダ
イヤモンド形成領域を得る事はできない。
【0008】大電力を投入すると電極が加熱され昇温
し、電極の溶損が生じる。これを避けるため電極内部に
冷却水を通したりシ−スガスを流したりして冷却を行う
が、電極の冷却能力には限界がある。この限界のため投
入電力は規定されてしまう。従ってある程度以上に電力
を大きくする事ができない。このような問題が起こる原
因は、陰極と陽極との間の狭い空隙においてア−ク放電
を発生させているということによる。
【0009】(4)プラズマト−チの複数化(特開平1
−172294号) ひとつのプラズマト−チでは小面積のダイヤモンド形成
しかできない。かといってひとつのプラズマト−チを大
面積化する事も有効でない。とすれば同じ構造のプラズ
マト−チを複数個並べて使えば良い筈である。複数のプ
ラズマト−チを用いこれらから発生したプラズマ流を合
流させており大きいプラズマ流を得る事ができる。例え
ば、特開平1−172294号は同等なプラズマト−チ
を2つ並べて使っている。しかしこのような方法では、
互いに独立したプラズマ流を単に合流させているだけで
あるから、合流したプラズマ流の密度が周縁や内部に於
いて大きく異なり不均一な膜形成しかできない。これら
は単に等価なプラズマト−チを並列に使っているためで
ある。
【0010】(5)移行式プラズマト−チ(特開昭61
−259778号) 以上述べたものは、全てひとつのプラズマト−チの内部
にア−ク放電を起こさせ内部でプラズマ発生させるもの
であった。これらのプラズマト−チで形成されるもの
は、非移行式の内部プラズマジェットという。この方式
のプラズマト−チでは形成するプラズマジェットが超高
温、高速のために、ト−チの陰極、陽極を溶損し、長時
間の連続運転が困難であった。またプラズマ形成ガスと
しては不活性ガスしか使用できず、例えば前述のように
炭素源ガスを用いることができなかった。それでこのよ
うな問題を解決するために複数のプラズマト−チ間でア
−ク放電させる事が考えられた。軸芯の陰極とともにそ
の外側に同心円状に陽極となる第1外套電極、第2外套
電極を有する陰極として使用するプラズマト−チと、陽
極として使用するプラズマト−チとをひとつずつ真空容
器の内部に設置する。そして、個々のプラズマト−チの
陰極と陽極との間に電圧を加えて内部でプラズマ放電を
起こさせる。このプラズマ放電を次のような手順によっ
てト−チ間の外部のプラズマ放電に転化させる。
【0011】(a)陰極として使用するプラズマト−チ
(陰極ト−チと略記)の陽極、陰極間の電圧印加を中止
し、陰極ト−チの陰極−陽極間の放電を停止する。 (b)(a)の操作と同時に陰極ト−チの陰極と、陽極
として使用するプラズマト−チ(陽極ト−チと略記)の
陽極との間に陰極ト−チで陰極−陽極間にかけていた電
圧を加えて、この間に放電を起こす。 (c)陽極ト−チの陰極陽極間の放電を停止する。 (d)以上の操作で最終的には陰極ト−チの陰極と、陽
極ト−チの陽極との間に移行式の外部プラズマジェット
を形成させる。 このようにすると最終的には非移行式の内部プラズマジ
ェットのように狭い電極間で放電するのではなく、陰極
ト−チの陰極の陰極点より発したア−クは陰極ト−チの
第1外套電極及び第2外套電極のノズルを通って、いっ
たんト−チの外に出てヘアピン状のア−ク柱を形成し、
陽極ト−チの第2外套電極の先端を通って第1外套電極
のノズル先端の陽極点に終端する。このようにしてア−
ク柱の始点と終点が確実に固定保護されるためア−ク柱
を長時間にわたって安定に維持することが可能となり、
非移行式のプラズマト−チにおけるプラズマガス速度
と、陽極点の状態変化によって起こるア−ク柱の不安定
化の問題が解決された。
【0012】特開昭61−259778号はもうひとつ
別異の特徴がある。これは極数を3つにしたト−チを提
供しているということである。中心の陰極を囲んで、同
心円状の陽極が2重(第1外套電極及び第2外套電極)
にあり、空間が2重に生ずる。このいずれの空間にもガ
スを流す事ができるようになっている。移行式外部プラ
ズマが確立した後、陰極ト−チでは陰極とこれを囲む内
側の陽極との間に不活性ガスを流して陰極を保護する。
陽極ト−チでは外側の陽極と内側の陽極(これが放電の
陽極となっている)の間に不活性ガスを流して陽極を保
護する。
【0013】このように複数のト−チの間でプラズマジ
ェットを生成する技術が提案されている。はじめに個々
のプラズマト−チの内部で放電を起こさせるのはト−チ
間に放電を発生させるための点灯作用が必要だからであ
る。いきなり陰極ト−チの陰極と陽極ト−チの陽極の間
に電圧を印加しても外部放電は起こらない。移行式外部
放電が起こってしまえば、内部放電は停止させる。外部
放電の持続している間、上記の不活性ガス流によって電
極が保護されるという利点もある。
【0014】(6)特開平2−248397号 これも複数のプラズマト−チ間に外部プラズマを形成す
るものである。これの特徴を列挙する。 (a)2つのプラズマト−チの軸芯が交差するように配
置する。一方のト−チ(陰極ト−チ)の陰極と、他方の
ト−チ(陽極ト−チ)の陽極との間に移行式の外部ア−
クプラズマを発生させる。陰極ト−チの中心軸線の延長
上に基材を置いておき、この上にダイヤモンドを合成す
る。 (b)ひとつのプラズマト−チが同心の3層構造になっ
ている。つまり中心に陰極棒があり、これを同心状に囲
んで内外2層の円筒状の陽極(第1外套電極、第2外套
電極)がある。従来は陰極を陽極で囲んだ構造であった
が、ここでは陰極と、内陽極(第1外套電極)、外陽極
(第2外套電極)の3層を持つ構造となっている。内陽
極を単に陽極、外陽極を外套極という事もある。陰極と
第1外套電極の間、第1外套電極と第2外套電極との間
にはガス流路があって、外部に向けてガスを流すことが
できるようになっている。このように3層構造にするの
は、外部放電が持続している時に電極を有効に保護する
ためである。
【0015】移行式の外部放電は陰極ト−チの陰極と、
陽極ト−チの内陽極(第1外套電極)の間で起こってい
る。そこで陰極ト−チでは陰極と第1外套電極の間に不
活性ガスを流し陰極を保護する。陽極ト−チでは第1外
套電極と第2外套電極との間に不活性ガスを流し陽極
(第1外套電極)を保護する。これらは炭素を含まない
ので電極間に炭素が堆積しない。その他のガス流路つま
り陰極ト−チの第1外套電極と第2外套電極との間には
水素ガスを流すと良い。水素ガスは放電を不安定にする
作用がないし、気相反応によって電極に付着物が生ずる
という事もない。そして水素ガスにより電極を冷却する
事ができるのである。
【0016】(c)炭素源ガスは別途ガスノズルからプ
ラズマジェットに吹き付ける。特開平2−248397
号は以上のような工夫をする事によって、電極に炭素が
堆積せず、陰極及び陽極が不活性ガスによって保護さ
れ、長時間の安定放電を可能としている。また、電極間
に流す不活性ガスと水素ガスがプラズマを安定化させ、
電極を冷却させる作用があるので、電極の加熱、消耗を
防ぐ事ができる。電極の消耗が少ないので長時間安定し
てア−ク放電を維持できる。
【0017】本発明者は先にこのような難点を解決でき
るプラズマジェットCVD法を発明した。特願平3−2
25100号である。これはプラズマト−チを複数個対
向させて配置し、これらの幾つかを陰極、他のものを陽
極として用いる。何れも内部に陰極と陽極を持つ独立の
プラズマト−チである。いずれも独立の電源を持ちガス
を流しながら電源からの電圧を極間に印加することによ
り、単独でア−クプラズマを点灯できる。これは非移行
式のア−クプラズマである。点灯した後、個々のア−ク
プラズマを重ね合わせ、或るものを陰極とし、他のもの
を陽極とする。異なるプラズマト−チの間でア−クプラ
ズマが維持される。これが移行式のア−クプラズマであ
る。このような移行式のア−クプラズマが点灯された
後、プラズマト−チを相対的に移動させてア−クプラズ
マの生成領域を拡大する。こうしてプラズマジェットの
大きさを広げることができるので、広い面積の基材に対
して高速でダイヤモンドを被覆できるようになる。優れ
た発明であった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】DCプラズマジェット
CVD法は高速性に優れるが放電が不安定であるという
事を最初に述べた。特開昭61−259778号、特開
平2−248397号は非移行式の内部プラズマジェッ
トに代えて移行式の外部プラズマジェットを用いる事に
より、プラズマア−クの長時間安定性という課題は解決
されている。しかしながら、最初に述べたダイヤモンド
の形成領域を大きくするという大面積化の問題はこれら
によっても解決されない。またプラズマト−チの内部を
炭素によって汚染しないようにするため炭素源ガスを外
部からプラズマジェットに吹き付けるようにしたものは
プラズマジェットの断面積が大きい場合、プラズマジェ
ットの内部にまで炭素源ガスを吹き込めないという問題
があった。
【0019】本発明は、本来高速合成という点では優れ
たプラズマジェットCVD法に於いて、ダイヤモンド合
成の面積を拡げる事を目的とする。つまり高速合成、プ
ラズマの安定性という課題が解決された後も未解決のも
のとして残された大面積性という問題を解決しようとす
るものである。本発明者は、ダイヤモンドのDCプラズ
マジェットCVD法に於いて、高い品質、高い合成速
度、プラズマの長時間安定性などの長所を損なう事なく
ダイヤモンドの形成面積を増大させる方法を鋭意研究し
た。前述の特願平3−225100号は優れた方法であ
るがなお次のような欠点がある。これは先に述べたよう
に、複数の陰極ト−チと、複数の陽極ト−チの間で移行
式のア−クプラズマを形成し、合体合流させた形成領域
が大きいプラズマジェットを形成し、プラズマト−チを
移動、回転させて、移行式のプラズマジェットを拡大す
る方法である。またア−クプラズマの合流点に向けて炭
素を含む原料ガスを引き付けるガス供給ノズルを設け
る。
【0020】これは移行式のア−クプラズマを形成し維
持するために、全てが完全なプラズマト−チを用いる。
このの幾つかを陰極に幾つかを陽極にするのである。同
じプラズマト−チであるから相互に役割を変更すること
もできる。また独立にア−クプラズマを点灯できるとい
う長所がある。しかしながら陰極、陽極ともにプラズマ
ト−チであるから、機構的に複雑で重量も重く、また移
動の領域も制限され、しかも高価になるという欠点があ
った。
【0021】より詳しく欠点を説明する。まず個々のプ
ラズマト−チがその機能上、陰極棒と一つまたは二つの
外套電極を持ち、陰極棒等は冷却機構を必要とする。ま
た陰極点をArでシ−ルするための二重構造としなけれ
ばならない。このような訳でプラズマト−チは重く大き
く高価な装置である。複数のプラズマト−チを対向させ
てこれらの間にア−クプラズマを形成した時、何れも大
がかりなプラズマト−チであると、非常に高価なものに
なる。また口径が大きいのでこれらを対向させるとプラ
ズマト−チの先端を接近させるのが難しい。接近できる
距離に制限がある。また、移行式のア−クプラズマを形
成した後、プラズマト−チを移動させてア−クプラズマ
の領域を拡大できるようにしなければならない。しかし
そうするにはプラズマト−チが大き過ぎて自由度が低
い。すこし動かすだけでとなりのプラズマト−チにぶつ
かる惧れがある。またプラズマト−チを支持し移動させ
るための精度の高い機械的機構が必要である。しかしプ
ラズマト−チが重いので移動機構が高剛性で大がかりな
ものになってしまう。
【0022】またプラズマト−チの間に形成されたア−
クプラズマに対して炭素原料を吹き付けるガス供給ノズ
ルを備えているが、これも移動してプラズマジェットの
形成領域を広げる。この際、プラズマト−チが大きいの
で邪魔になってガス供給ノズルを移動させ難いという難
点がある。ガス供給ノズルの移動の自由度を高めること
が望まれる。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明のダイヤモンド製
造方法は、炭素を含む原料ガスの分解、活性化を、陰極
と陽極の間に直流電圧を印加することによって発生する
DCプラズマによって行い、活性化されたプラズマを基
材に吹きつけることによってダイヤモンドを合成する方
法に於いて、軸心線に関して同心円上に配置された陰極
と陽極とその間に形成されたガス流路とを持ち陰極と陽
極の間にDCア−クプラズマを形成し原料ガスを分解し
活性化することができるプラズマト−チであって陰極と
して使用される1以上の陰極ト−チと、一定方向に向か
ってガスを噴出するノズルを有し陽極として使用され前
記陰極ト−チ以上の数の陽極ノズルと、炭素を含む原料
ガスまたは炭素を含む原料ガスと水素を供給するための
ガス供給ノズルとを有し、該陰極ト−チの先端と該陽極
ノズルの先端との相対位置を可変とし、陰極ト−チの軸
心線と陽極ノズルのガス吹き出し方向が同一直線上に並
ばず平行にもならないように配置し、まず前記の陰極ト
−チの内部の陰極と陽極の間に電圧を印加し、ガス流路
には不活性ガスまたは不活性ガスと水素との混合ガスを
流し、陰極ト−チの内部に非移行式のDCプラズマジェ
ットを発生させ、陽極ノズルに不活性ガスを流し、陽極
ノズルの先端を陰極ト−チから生じているプラズマジェ
ットに接触させた後、陰極ト−チの陽極と陽極ノズルと
を同電位とし陰極ト−チの陰極と陽極ノズルの間に電圧
を印加するようにし、その後陰極ト−チの陽極を陽極ノ
ズルから絶縁し、陰極ト−チ先端と陽極ノズル先端との
間隔を拡げるように陽極ノズルと陰極ト−チを移動さ
せ、陰極ト−チの陰極と陽極ノズルの間に移行式のア−
クプラズマを形成し、さらにひとつまたは複数の陰極ト
−チと、複数の陽極ノズルの間のプラズマジェットを合
流合体させて、均一で大きなプラズマジェットを形成
し、炭素を含む原料ガスあるいは炭素を含む原料ガスと
水素とをガス供給ノズルから前記合流合体させたプラズ
マジェットに向けて供給し、該プラズマジェットの下流
側に置いた基材にプラズマジェットを吹き付けて基材表
面にダイヤモンドを合成する事を特徴とする。
【0024】このように、本発明は移行式のア−クプラ
ズマを形成するために全てをプラズマト−チとするので
はなく、陽極が電圧の印加できる単なるノズルとなって
いる。陰極はプラズマト−チのままである。ア−クプラ
ズマを点灯するためにプラズマト−チの存在が不可欠で
ある。陽極が陽極ノズルとなっており、これはア−クプ
ラズマを独自に点灯しない。これのために独自の電源が
不要である。陽極ノズルを移動する機構が簡略化され
る。
【0025】この他の構成は、前述の特願平3−225
100と同様である。陰極はプラズマト−チであるか
ら、ガスを通し電圧を電極間に引火してア−クプラズマ
を点灯することができる。陽極は単なるノズルであるか
らこれは単独でア−クプラズマを点灯できない。しかし
ガスを出すことと電圧を印加することができるので、陰
極であるプラズマト−チでア−クプラズマを点灯してお
きこれを引火させることができる。こうして陰極である
プラズマト−チと、陽極であるノズルの間に移行式のア
−クプラズマを形成できる。この合流点を目指して、ガ
ス供給ノズルから炭素を含む原料ガスを吹き込み、炭素
を含むプラズマジェットを生成する。
【0026】この後、陰極であるプラズマト−チと、陽
極ノズルを移動させるのであるが、陽極ノズルはプラズ
マト−チに比較して小さく、軽く、細いので、移動機構
が簡略化される。また移動の範囲が制限されないので、
プラズマジェットを大きく拡大するのに最適である。さ
らに、陽極についてはプラズマト−チを用いないので電
源の数を減らすことができる。本発明の方法は、まず陰
極となるべきプラズマト−チ個々の内部で非移行式の放
電を起こさせ、これを特別の操作によってプラズマト−
チと外部の陽極となるべきノズルとの間に存在する外部
の放電とし、外部に移行式のア−クプラズマを作り出す
のである。さらに、陰極ト−チと陽極ノズルを動かすこ
とにより、外部のプラズマジェット生成領域を拡大させ
るという優れて新規な手法を提案している。
【0027】本発明の個々の方法をさらに説明する。本
発明においては非移行式の内部DCア−クプラズマジェ
ットを形成させることのできるひとつまたは複数のプラ
ズマト−チを用いる。これは後に移行式ア−クプラズマ
を形成した時は陰極とするので陰極ト−チと呼ぶことに
する。また単にノズルであって電圧を印加できるもの
を、陰極ト−チに対向して配置する。陽極にするのでこ
れを陽極ノズルと呼ぶことにする。最初は陰極ト−チの
中心軸と陽極ノズルの中心軸とを交差させ、各々のト−
チのノズル先端を近接させて配置する。先ず個々の陰極
ト−チの陰極と陽極間に電圧を印加して、内部に非移行
式のDCア−クプラズマを形成させる。
【0028】次に陰極ト−チと陽極ノズルの間に移行式
のア−クプラズマジェットを形成する。単数または複数
のプラズマト−チと複数の陽極ノズルとの間で移行式の
外部プラズマジェットを形成するには陰極ト−チの数
M、陽極ノズルの数Nにより次の場合がある。 ひとつの陰極ト−チと、2つ以上の陽極ノズルとの間
に移行式の外部ア−クプラズマジェットを形成する方法
(M=1,N≧2)。 2つ以上の陰極ト−チと、これと同数の陽極ノズルと
の間で移行式の外部ア−クプラズマジェットを形成する
方法(M≧2,N=M)。 2以上の陰極ト−チと、陰極ト−チの数より多い数の
陽極ノズルとの間で移行式の外部プラズマジェットを形
成する方法(M≧2、N>M)。 本発明は陰極ト−チ、陽極ノズルの数をM、Nとしたと
き、M+N≧3である。陰極ト−チと陽極ノズルの間に
生ずるプラズマジェットの合流点が2以上になる。合流
点の数が増えると、これらをさらに合体させたプラズマ
ジェットは大面積のものになる。本発明はさらに、陰極
ト−チや陽極ノズルを動かしてプラズマ形成領域を動的
に拡大するという優れて新規な手法を採用する。
【0029】ト−チノズルを動かしてプラズマ形成領域
を拡げる方法としては次のようなものがあり得る。これ
は陰極ト−チが1つで陽極ノズルが複数の場合である
(M=1,N≧2)。 陽極ノズルをその軸心線に沿って、陰極ト−チから遠
ざかる方向へ平行移動させる方法。 陰極ト−チをその軸心線に沿って、陽極ノズルから遠
ざかる方向へ平行移動させる方法。 陽極ノズルをそのノズルが陰極ト−チから遠ざかる方
向へ回転させる方法。 陰極ト−チ、陽極ノズルの中心軸の最初の交差点0か
ら、陰極ト−チ、陽極ノズルの中心軸の延長線が外れる
ようにする。 このような方法があり得るので、このうちひとつ或は複
数のものを組み合わせて用いれば良い。
【0030】又陰極ト−チが2以上ある場合(M≧2)
は前記〜の手法の他に陰極ト−チ間の距離が拡がる
ように陰極ト−チを動かしても良い。あるいは陰極ト−
チを傾けてプラズマジェットの形成領域を拡大するよう
にする事もできる。本発明に於いてはプラズマト−チの
中へ炭素源ガスを通さない。炭素源ガスは別にノズルを
設けて、陰極ト−チから生ずるプラズマジェットと陽極
ノズルから生ずるプラズマジェットの合流点へ吹き付け
るようにしている。前述のように陽極ノズルと陰極ト−
チを平行移動、回転させると当然それらから出るプラズ
マジェットの合流点も変動する。従って常に最適の地点
へ炭素源ガスを吹き込もうとすれば、炭素源ガスの吹き
込みノズルの位置、方向もこれに伴って変化させなけれ
ばならない。そこで本発明に於いてはノズルにも移動機
構を設けるのが望ましい。陽極ノズルやガス供給ノズル
は小型軽量であるから、この移動回転機構は簡略化され
る。また移動の自由度が高い。このようにして大面積の
プラズマジェットを基材に吹き付ける事ができるので大
面積のダイヤモンド合成が可能となる。
【0031】
【作用】特願平3−225100号は、移行式のア−ク
プラズマを生成するために、プラズマト−チを複数用
い、その内幾つかを陰極として、残りを陽極として用い
ていた。個々のプラズマト−チで非移行式のア−クプラ
ズマを形成し、陰極ト−チのア−クと、陽極ト−チのア
−クを接触させたのち、電気回路を切り換えて移行式の
外部ア−クプラズマを形成していた。この方法には先述
のように次の難点がある。 個々のプラズマト−チで非移行式の内部ア−クを発生
させるための電源が必要である。これは直流に高周波を
重畳できる直流電源である。このために設備価格が高価
となる。 プラズマト−チとプラズマト−チの間に外部ア−クプ
ラズマを形成するので、プラズマト−チ自体が一般には
冷却水回路やガス回路を備えていなければならない。こ
のためひとつのプラズマト−チでも大きいものになり、
大きい空間を占有する。
【0032】ひとつでも大きいのに、これを複数個対
向させて、設置し、しかもこれらを大きい自由度を持た
せて動かさなくてはならない。しかしプラズマト−チの
口径が大きいので、移動の自由度が制限され、プラズマ
ト−チの先端が取りうる位置には強い制限が課される。
これはプラズマト−チの先端を移動させてア−クプラズ
マを拡大する場合に重大な障害となる。 陽極ト−チは非移行式のア−クプラズマを発生する必
要があるので、中心の陰極棒の廻りに、同軸状に外套電
極が設けてあり、ジェット吹き出しノズル形状は円形で
しかも一つである。そのため隣り合うふたつの陰極ト−
チからのプラズマジェットをそれらの中間に設置した陽
極ト−チのア−クプラズマと合体させて一つの移行式ア
−クプラズマを形成する際両方の陰極ト−チに均等に接
近していることが必要である。しかし陽極ト−チが大き
いのでバランスを取り難い。 陽極ト−チは非移行式のア−クプラズマを発生させる
必要があるので、軸心にある陰極棒の周りに同軸状に外
套電極が設けてある。陰極ト−チと陽極ト−チの間で移
行式のア−クプラズマを形成するときは、陰極ト−チの
軸心の陰極棒と、陽極ト−チの外套電極の間でア−クプ
ラズマを形成する。このために陽極ト−チでは、外套電
極という形状に制限されてしまう。
【0033】上記のの欠点に対して、本発明では陽極
となるものはもはやプラズマト−チではなく、単なるノ
ズルであるから独自の電源を不要とする。つまり高価で
ある高周波重畳可能な電源の数を減らすことができる。
設備価格を低減できる。 上記のの欠点に対し、本発
明では陽極としてプラズマト−チではなくノズルを用い
るので、構造が簡単である。陽極自体の製造が容易で安
価になる。上記のの欠点に対して、本発明ではプラズ
マト−チに比べてずっと小さい体積の陽極ノズルを用い
るので,空間的移動自由度が大きい。また軽量であるか
ら、陽極ノズルの移動機構が簡略化される。剛性の低い
簡単な構造で足りる。そのため陽極ノズルの移動機構が
安価に製造できる。
【0034】上記のの欠点に対して、本発明では陽極
はプラズマト−チではなく、独自に非移行式のア−クプ
ラズマを生成する必要がないので形状が限定されない。
例えば円形ではなく、矩形断面のノズルでもよい。この
場合ノズルを一方向に拡張した扁平なものとし、引き伸
ばした方向を隣接陰極ト−チの方向に合わせると、陰極
ト−チからア−クプラズマを引火するのに容易になる。
また陽極ノズルの開口数を1ではなく2つにすることも
できる。左右の開口がそれぞれ隣接の陰極ト−チに接近
していると、陰極ト−チからの引火が楽になるし、移行
式のア−クプラズマを形成したときも形成領域が開口の
拡がり分だけ広くなる。つまりア−クプラズマの合体が
容易で、合体したア−クプラズマの体積が大きいのであ
る。
【0035】上記のの欠点に対して、本発明では陽極
では非移行式のア−クプラズマを発生する必要がないの
で、陰極棒、外套電極という同軸構造を取る必要がな
い。例えば陽極点が安定し易い凸状の電極とすることが
できる。外套電極の形状を取る必要がないので、陽極ノ
ズルの冷却のための構造も簡単である。そして本発明で
は陽極点が不活性ガスシ−ルされることが望ましい。
【0036】その他の点では前記の特願平3−2251
00号と同様である。陰極ト−チと陽極ノズルの配置に
ついて説明する。 [1 陰極ト−チがひとつで陽極ノズルが複数である
(M=1,N≧2)場合]この場合は、陰極ト−チの中
心軸線のまわりに、回転対称になるような位置に陽極ノ
ズルを設置すれば良い。そして陽極ノズルのプラズマジ
ェットが出てゆく方向において中心軸線が同一点で交差
するように並べる。このようにすると、陰極ト−チ、陽
極ノズルからのプラズマジェットの合流点の数がN個に
なる。この合流点に向けて炭素源ガス、或はこれに水素
を加えたガスを吹き込むノズルを設ける。ノズルの数は
最も望ましくはN個である。これは静的な位置である
が、本発明ではプラズマジェットの形成領域を拡げるた
めに、陰極ト−チ、陽極ノズル、ガス吹き込みノズルを
プラズマ点火後に移動させる。陰極ト−チ、陽極ノズル
の移動により合流点が変化するから、これに伴ってガス
の吹き込みノズルの位置や方向も変更しなければならな
い。
【0037】M=1、N≧2の例についてより詳しく説
明する。陰極ト−チの軸心線をz軸とし、初期状態での
陰極ト−チ、陽極ノズルの軸心線の交点を原点とする。
陰極ト−チの中心P、陽極ノズルの中心Q1 、Q
2 、...は、OP=g、OQ1 =OQ2 =....=
hとし、∠POQ1 =Θ、2π/N=Φとして、 陰極ト−チ P(0, 0, g) (1) 陽極ノズル Q1 (hsin Θcos Φ,hsin Θsin Φ,hcos Θ) (2) Q2 (hsin Θcos 2Φ,hsin Θsin 2Φ,hcos Θ)(3) ........................ QN (hsin Θ , 0,hcos Θ) (4)
【0038】と書く事ができるし、陰極ト−チ、陽極ノ
ズルの方向を示す単位ベクトルp、q1 、q2 、...
は、 陰極ト−チ p(0, 0, −1) (5) 陽極ノズル q1 (−sin Θcos Φ,−sin Θsin Φ,−cos Θ) (6) q2 (−sin Θcos 2Φ,−sin Θsin 2Φ,−cos Θ)(7) .......................... qN (−sin Θ, 0, −cos Θ) (8) となる。初期状態に於いては原点Oに対して、ト−チ、
ノズルの位置ベクトルと方向ベクトルは当然のことであ
るが反平行である。
【0039】[2 陰極ト−チが複数で陽極ノズルも複
数の場合(M≧2、N≧2)]陰極ト−チも陽極ノズル
も複数である場合は、両者を2つの向き合う仮想円錐の
母線に沿って並べるようにすれば良い。そして2つの仮
想円錐の頂点が一致するようにすれば良いのである。但
しM=Nであれば陰極ト−チを含む鉛直面が陽極ノズル
を含む鉛直面に重ならないようにした方が良い。つまり
N個の陰極ト−チとN個の陽極ノズルを、φ=2π/2
N=π/Nとして、θを陰極ト−チのz軸に対する傾斜
角として、
【0040】 第1陰極ト−チP1 (gsin θcos φ,gsin θsin φ,gcos θ) (9) 第1陽極ノズルQ1 (hsin Θcos 2φ,hsin Θsin 2φ,hcos Θ)(10) 第2陰極ト−チP2 (gsin θcos 3φ,gsin θsin 3φ,gcos θ)(11) 第2陽極ノズルQ2 (hsin Θcos 4φ,hsin Θsin 4φ,hcos Θ)(12) というように並べる。M≠Nである場合であっても両者
が比較的大きい最大公約数を持つ時は対称性を持つよう
にする事ができる。
【0041】このようなプラズマト−チの配置により、
まず個々の陰極ト−チ内部で非移行式ア−クプラズマを
発生させる。ついで陰極ト−チの陰極と、外部の陽極ノ
ズルの電極の間に電圧を印加して、前記の非移行式ア−
クプラズマを陰極ト−チと陽極ノズルの間の外部のプラ
ズマジェットに転化させる。移行式のプラズマジェット
である。これが点灯してしまうと次にはト−チを移動さ
せプラズマジェットの形成領域を拡げる。この方法とし
ては、様々のものがあり得る。たとえば、
【0042】陽極ノズルを軸心線に沿って陰極ト−チ
から遠ざかる方向へ平行移動させる。 陰極ト−チを軸心線に沿って陽極ノズルから遠ざかる
方向へ平行移動させる。 陽極ノズルの軸心線を傾けて軸心線の延長線が陰極ト
−チのノズル先端から遠ざかるようにする。 陽極ノズルの軸心線が交差点Oから横に外れる方向に
陽極ノズルを回転する。というようなモ−ドがあり得
る。これらのモ−ドのひとつ或はふたつを組み合わせて
用いプラズマ形成領域を拡げる事ができる。
【0043】の移動モ−ドは、陽極ノズルをそのまま
原点O(プラズマの交差点)から遠ざけるもので、
(2)〜(4)式に於いて、hを増加するものである。
の移動モ−ドは、陰極ト−チをそのまま原点Oから遠
ざけるもので(1)式に於いてgを増すものである。
の移動モ−ドは陽極ノズルを平行移動するのでなく(位
置は変えず)方向ベクトルを変えるもので(6)〜
(8)式に於いてΘを減ずるものである。の移動モ−
ドは方向ベクトルの式の中のΦ、2Φ、...などを変
化させる。Φ→Φ+ε、2Φ→2Φ+εというように回
転させる。もちろんこれとともにΘを減ずる方向にして
も良い。
【0044】又陰極ト−チが2以上ある場合(M≧2)
は前述〜の手法の他に陰極ト−チ間の距離が拡がる
ように陰極ト−チを動かすことができる。この移動モ−
ドは陰極ト−チを並べる仮想円錐を相似形に大きくする
ものである。(9)式において、gsin θcos φ→gsi
n θcos φ×α、gsin θsin φ→gsin θsin φ×α
を、α(α>1)倍変化させるものである。また陰極ト
−チを傾けてプラズマジェット形成領域を拡大すること
もできる。この場合は、陰極ト−チを並べる仮想円錐の
頂角を小さくするように変化させるものである。この場
合は(9)〜(12)式において、陰極ト−チの軸心の
交差点はZ軸方向に−βだけ移動させ、同時にZ軸とト
−チの軸心との傾斜角θを減する方向に変化させるもの
である。
【0045】プラズマジェットの形成領域を制御するた
めの方法としては、上記のト−チの移動回転の他に、 (イ)個々の陰極プラズマト−チ、陽極ノズルのノズル
形状 (ロ)陰極プラズマト−チ、陽極ノズルのノズルから噴
出させるプラズマガスの流量 (ハ)プラズマガスの組成 (ニ)プラズマの維持電力 (ホ)プラズマ形成圧力 (ヘ)炭素源ガスを吹き付けるガス供給ノズルの形状、
先端の位置、ガス流量 といったパラメ−タを変化させる方法がある。
【0046】
【実施例】
〔実施例1〕(M=1,N=3の場合) 図1は本発明を実施するためのDCプラズマジェットC
VD装置の概略断面図である。但しプラズマト−チ、ノ
ズルの部分は相互の関係を分かりやすく示すために斜視
図となっている。プラズマト−チ1は内部に同心円状に
陰極、陽極を有し非移行式のア−ク放電を起こしてプラ
ズマを生ずることができる。背面からガスを導入しこれ
を放電によって励起してプラズマとし前方の狭いノズル
から噴出しプラズマジェットとするものである。これ
は、移行式のプラズマジェットを形成した時は陰極とし
て使用する。そこでプラズマト−チ1を分かり易く陰極
ト−チ1と略称する。陰極ト−チ1の内部には不活性ガ
ス、水素ガスのみを通す事とし炭素源ガスを通さない。
陰極ト−チの軸心線に関して回転対称の位置に3つの電
極となりうるノズル2、3、4が設けられる。これは中
心に電極棒がありこれを囲む筒体を持つ。単純なノズル
である。ガスを筒体と電極の間に吹き込むことができ
る。プラズマト−チではないので独自にア−クプラズマ
を点灯することができない。移行式ア−クプラズマを形
成する時は陽極となるから、単に陽極ノズルということ
にする。陽極としてプラズマト−チを使わず、単にノズ
ルを使用したのが本発明の特徴である。
【0047】ガス供給ノズル5、6、7は炭素源ガス又
は炭素源ガスと水素ガスの混合ガスをプラズマジェット
の中に供給するためのノズルである。これらは陰極ト−
チ1、陽極ノズル2、3、4からのプラズマジェットの
合流点にめがけて炭素源ガスなどを吹き付ける。このた
め合流点の手前にガス供給ノズル5、6、7の終端が位
置している。つまりト−チ1、ノズル2の合流点、ト−
チ1、ノズル3の合流点、ト−チ1、ノズル4の合流点
に対してそれぞれガス供給ノズル5、6、7が対応して
いる。これらのプラズマト−チの間に移行式外部ア−ク
プラズマ8が形成される。これら陰極ト−チ1、陽極ノ
ズル2〜4、ガス供給ノズル5〜7は真空容器9の内部
にある。これは真空排気口10があってここから真空排
気できる。真空容器9の内部でプラズマト−チの下方に
は冷却支持台11があり、この上にダイヤモンドを形成
すべき基材12を戴置する。高温のプラズマジェットフ
レ−ム8′が基材に入射するのでこれを冷却する必要が
ある。冷却支持台11の内部に水を通して冷却するよう
になっている。
【0048】この例では陰極ト−チ1がz軸上にあり、
陽極ノズル2、3、4はz軸のまわりに120°ずつの
中心角をなして回転対称の位置に並んでいる。鉛直軸に
対する陽極ノズルの傾角Θは90°〜60°程度であ
る。図2はΘ=90°として、これらト−チ、ノズルを
側面から見た図である。但し中心の陰極ト−チは縦断面
図で示している。図3は陽極ノズルを横断して示す断面
図と電気回路図である。陽極ノズル3つは同じものであ
る。陰極ト−チは構造が複雑であるから、陽極ノズルに
比べて体積、重量ともに大きい。
【0049】陰極ト−チ1は円柱状で3つの電極が同心
円状に配置されている。外から第2外套電極(陽極)1
3、第1外套電極(陽極)14、陰極棒15である。こ
れらは絶縁体によって互いに絶縁されている。陰極棒1
5はW製で、外套電極13、14は銅製である。これら
は実際には2重壁になっており冷却水を間に流して冷却
できるようにしている。陰極棒15は根元の部分が冷却
される。第1外套電極14、第2外套電極13の先端は
縮径し狭い開口となっている。陰極棒15と第1外套電
極14の間の空間へガスを吹き込む第1ガス導入口16
が背後の絶縁体を貫いて設けられる。第1外套電極14
と第2外套電極13の間の空間へガスを吹き込む第2ガ
ス導入口17が同様に設けられる。これらを通してガス
18、19がト−チ内部へ導入される。これらはプラズ
マを生成するためのガスである。
【0050】陽極ノズル2、3、4はより単純な同一の
構造を持つ。陽極ノズル2は後方の絶縁部材20とこれ
によって同心状に支持される筒体21、陽極棒22を有
する。絶縁部材20を貫くガス導入口23からプラズマ
生成用のガス25が導入される。陽極ノズル3は後方の
絶縁部材27とこれによって同心状に支持される筒体2
8、陽極棒29を有する。絶縁部材27を貫くガス導入
口30からプラズマ生成用のガス32が導入される。陽
極ノズル4は後方の絶縁部材34とこれによって同心状
に支持される筒体35、陽極棒36を有する。絶縁部材
34を貫くガス導入口37からプラズマ生成用のガス3
9が導入される。
【0051】陽極ノズル2、3、4については陽極棒は
銅製で22、29、36には内部に冷媒の流路が設けら
れ、先端の部分も冷却されている。これは電圧が印加さ
れ、移行式のア−クプラズマを生成するので強く発熱す
るのである。外部の筒体21、28,35等は高融点金
属やセラミックスを用いれは、冷却の必要がなく、構造
を簡略化できる。もちろん銅製とし、先端を冷却して用
いることもできる。これらは接地電位であるかまたは浮
動電位とする。陰極ト−チであるプラズマト−チ、陽極
とするノズル2、3、4に於いて、プラズマを生成する
ためには、陰極と外套電極の間、あるいは陽極棒と筒体
の間ににガスを流さなくてはならない。これは不活性ガ
ス(Ar、Ne、He、Kr)か、これと水素との混合
ガスとする。炭素源ガスはプラズマト−チの内部に流さ
ない。
【0052】陰極ト−チ1は電源41を有する。これは
直流を生じうる電源であるが、ア−ク駆動時には直流に
高周波を重畳した電圧を生ずることができる電源であ
る。高周波を加えるのはプラズマが立ち易くするもので
ある。陽極ノズルは独自の電源を持たない。陰極ト−チ
1の電源41は直流あるいは直流に高周波を重畳した電
源であるから、正極と負極の区別がある。負極はスイッ
チ44を介して陰極棒15に接続される。正極はスイッ
チ42を介して第2外套電極13に、スイッチ43を介
して第1外套電極14に接続される。陽極である外套電
極が2重になっているのは、内部ア−クプラズマを励起
した後、これを外部ア−クプラズマに転化させる際、こ
れを確実に行うためと、ガスを流す事によって電極を保
護する際に便利だからである。このため2つの陽極はス
イッチ42、43の切り換えにより択一的に電圧が印加
される。
【0053】陽極ノズル2、3、4は独自の電源を持た
ず、スイッチ52、53、51を介して、電源41の正
極に接続される。図示していないがこの他に、陰極ト−
チ1、陽極ノズル2、3、4、ガス供給ノズル5、6、
7を支持しこれを移動または回転する機構がある。
【0054】以上の構成に於いてその操作を説明する。
はじめにプラズマト−チである陰極ト−チ1で非移行式
の内部ア−クプラズマを点灯し、次にこれを外部の陽極
ノズル2、3、4との間に拡大し移行式の外部プラズマ
に転換する。操作の詳細は以下のようである。 (1)真空容器9に於いて、冷却支持台11に基材12
を戴置し熱伝導が十分に行えるようしっかりと固定して
おく。そして冷却支持台11は真空容器9の下方へ下げ
ておく。内部を1×10-3Torr以下の高真空に引
く。陰極ト−チ1の内外のガス導入路16、17からA
rガスを陰極ト−チ1の内部に供給する。スイッチ4
3、44を閉じる。スイッチ51、52、53は開いて
いる。
【0055】(2)真空容器9内の圧力が600Tor
rになったら陰極ト−チ1のプラズマ形成用電源41を
動作させる。陰極ト−チ1の陰極棒15と第1外套電極
14の間に電圧が印加されるので、これらの間に非移行
式内部プラズマが形成される。これは電極間距離が短い
ので容易に点灯する。 (3)次にスイッチ42を閉じ、スイッチ43を開く。
これにより陽極電圧は第2外套電極13に移る。従って
内部プラズマは陰極棒15と第2外套電極13の間に発
生するようになる。つまり内部プラズマであるが、これ
が外部へ転化し易いように外側へ移動させたのである。
この段階では陰極ト−チ1のみに非移行式ア−クプラズ
マが形成されている。 (4)陽極ノズル2、3、4は独自の電源をもたず、プ
ラズマト−チの構造をしていないので自らア−クプラズ
マを点灯できない。しかしこの陽極棒には電圧を加える
ことができ内部にガスを通すことができるので、陰極ト
−チ1のア−クプラズマを引火させることができる。そ
こで先ず、陽極ノズル2、3、4のガス導入口23、3
0、37からプラズマ生成用のガス25、32、39を
導入しておく。
【0056】(5)次に移行式の外部ア−クプラズマの
形成動作に移る。まず陰極ト−チ1と、陽極ノズル2と
の間に移行式ア−クプラズマを形成する。電源41の出
力を上げてゆき、陰極トーチ1のアークプラズマを大き
くする。陽極ノズル2へのArの供給を一旦停止し、ス
イッチ52を閉じる。陽極ノズル2の陽極棒22と陰極
ト−チ1の第2外套電極13の電位が同一になる。つま
り陰極ト−チ1の陰極棒15と陽極ノズル2の陽極棒2
2の間に電圧が掛かる。必要であれば陽極ノズル2を陰
極ト−チ1にさらに接近させる。そして、陽極ノズルに
Arを再び供給する。この動作で陽極ノズル2の陽極棒
22と、陰極ト−チ1の陰極棒15の間にア−クプラズ
マが発生する。つまり陽極ノズル2にア−クプラズマが
引火したのである。こうして陰極ト−チ1と陽極ノズル
2の間に移行式のア−クプラズマが生ずる。 (6)スイッチ53を接続し同様の動作を、陽極ノズル
3に対して行う。電源41の出力を上げてゆき、陽極ノ
ズル3へのArの供給を一旦停止する。スイッチ53を
閉じることにより陰極ト−チ1の第2外套電極13と、
陽極ノズル3の陽極棒29が同電位になる。また陽極ノ
ズル3を、陰極ト−チ1の先端にさらに近付ける。この
動作で陽極ノズル3の陽極棒29と、陰極ト−チ1の陰
極棒15の間にア−クプラズマが発生する。
【0057】(7)スイッチ51を閉じ、同様の動作を
3番目の陽極ノズル4に対して繰り返す。51を閉じる
と、陰極ト−チ1の陰極棒15と、陽極ノズル4の陽極
棒36の間に電圧が掛かる。同様の作用で、陽極ノズル
4の陽極棒36と、陰極ト−チ1の陰極棒15の間に移
行式のア−クプラズマが生成する。こうして陰極ト−チ
1と、全ての陽極ノズル2、3、4の間に移行式のア−
クプラズマが発生する。本発明ではア−クプラズマを点
灯するのは陰極ト−チだけで、他の陽極ノズルはこれを
引火するようにする。この時は4つのア−クプラズマが
存在することになる。陰極ト−チ1と陽極ノズル2の間
の外部ア−クプラズマ、陰極ト−チ1と陽極ノズル3の
間の外部ア−クプラズマ、陰極ト−チ1と陽極ノズル4
の間の外部ア−クプラズマ、陰極ト−チ1内部の陰極棒
15と第2外套電極13との間の内部ア−クプラズマで
ある。
【0058】(8)外部ア−クプラズマが点灯してしま
えば、第4の陰極ト−チ1の内部でのア−クプラズマは
不要である。そこでスイッチ42を切って、第2外套電
極13に電圧が印加されないようにする。電圧がないの
で、第2外套電極13と陰極棒14の間の内部ア−クプ
ラズマが消える。こうして3つの外部ア−クプラズマが
残る。このように最後まで、第2外套電極と陰極棒の間
の内部ア−クプラズマを残しておくほうが、陰極トーチ
の陰極と陽極ノズルの陽極棒との間で移行式の外部アー
クプラズマと形成する際にア−クプラズマを安定に保持
しやすい。しかし、最初に陽極ノズル2と、陰極ト−チ
1の間に外部ア−クプラズマが発生した時、これが安定
であれば、この段階でスイッチ42を切り内部ア−クプ
ラズマを消して置いても良い。外部ア−クプラズマによ
っても、つぎつぎと他の陽極ノズルと、陰極ト−チの間
に外部ア−クプラズマを点火できる。
【0059】(9)こうして3本の陽極ノズルと、1本
の陰極ト−チとの間に3つの外部ア−クプラズマが形成
された事になる。これらは陽極ノズル2、3、4の陽極
棒22、29、36と、陰極ト−チ1の陰極棒15との
間に形成される移行式外部ア−クプラズマである。以上
の(1)〜(9)の操作によって、陰極ト−チと3つの
陽極ノズルの間に、移行式の外部ア−クプラズマジェッ
トを広い範囲に渡って形成することができる。これをさ
らに拡げるために
【0060】(10)本発明ではプラズマト−チを平行
移動或は回転させる。これを図4によって説明する。図
4(a)は初期状態を示す。上下方向にz軸を取って述
べる。陰極ト−チはz軸に沿い下向きに設定される。陽
極ノズルの中心軸線はz軸に対して同一点Oで交わりz
軸に対して90°をなす(Θ=90°)。さらに隣接陽
極ノズルの中心軸線のなす角は120°である。(Φ=
120°) (イ)これを図4(b)に示すように陰極ト−チ1が、
交差点Oから遠ざかる方向に平行移動させる。 (ロ)或は図4(b)に示すように3つの陽極ノズル
2、3、4が交差点Oから遠ざかる方向に平行移動させ
る。 (ハ)又は図4(c)に示すように3つの陽極ノズルを
傾けてそれぞれのノズル先端がO点から離れるようにす
る。しかもノズルはxy平面上あるいはxy平面より下
方に向くように動かす。
【0061】つまり陽極ノズルの初期状態の単位ベクト
ルは、 (−cos (2πi/3),−sin (2πi/3),0) i=1,2,3 (13) と書く事ができるが、これを、方向ベクトルuが、 (−cos (2πi/3+δ),−sin (2πi/3+δ),−ε) (14) となるように変化させる。すなわち、単位ベクトルが、 u/|u| というように変化させるのである。δ、εは微少量であ
り、各ト−チについて同じ値でなくても良い。これはト
−チの中心軸が一点に相会しない。
【0062】(ニ)或は図示していないが、3つの陽極
ノズルのノズル先端を下げるようにする。これは、方向
ベクトルvが、 (−cos (2πi/3),−sin (2πi/3),−ε) (15) すなわち単位ベクトルが、 v/|v| によって表現することができる。ノズルの中心軸の延長
線がO点より下の一点に収束する。このようにして陰極
ト−チ、陽極ノズルから発生し合流、合体した外部プラ
ズマジェットの形成領域を動的な手段によって拡大する
事ができる。
【0063】炭素源ガス又は炭素源ガスと水素の混合ガ
スは図1に示すように陰陽ト−チのプラズマジェットの
合流点に向けて開口するガス供給ノズル5、6、7から
供給される。前記に(イ)〜(ニ)の操作によってプラ
ズマの形成範囲が変動するから、プラズマジェットの合
流点も変動している。そこでガス供給ノズル5、6、7
の位置、方向もこれに随伴して変化させる。常に陰極ト
−チ、陽極ノズルからのア−クプラズマジェットの合流
点めがけて炭素源ガスなどを吹き込むようにする。
【0064】(11)真空容器内の圧力を200Tor
r程度に減圧する。 (12)陰極ト−チ1の第1、第2外套電極14、13
の間のガス流路19へAr:H2 =1:1の混合ガスを
流す。 (13)先述のように冷却支持台11はその上にMo基
材12を熱伝導が十分に行えるように予めしっかりと固
着しており、真空容器内下部に下げてある。この冷却支
持台11を徐々に上げてゆく。そしてア−クプラズマジ
ェットのフレ−ムの中に基材が入るようにする。図示し
ていないがMo基材12には熱電対が埋め込んであり、
これによって基材12の温度を測定する。 (14)冷却支持台11の位置とプラズマ形成電力と真
空容器内の反応圧力とを調節して、基材12がプラズマ
フレ−ムの中に入り且つ基材表面の温度が700℃〜1
200℃の範囲に入るようにする。
【0065】(15)次にガス供給ノズル5、6、7か
ら炭素源ガスとしてメタン(CH4 )ガスを導入した。
各ト−チから供給されたガスも含めて全反応ガス中に占
める炭素原子数の水素原子数に対する比率は10%以下
であるのが望ましい。炭素源ガスに酸素ガスを加えても
良い。この場合、酸素原子数を炭素原子数に対して50
%以下とする時、全反応ガス中に於いて炭素原子数の水
素原子数に対する割合を20%まで高めることができ
る。つまり酸素ガスの添加によって合成ダイヤ中に含ま
れる非ダイヤ炭素の除去能力を上げることができるので
原料ガス中の炭素原子の量をより高くする事ができるの
である。炭素源ガス中に於ける炭素原子の割合がこれら
の値を越えて増加すると、基材の上に形成されるものに
は非ダイヤモンド成分が多く含まれるようになる。ダイ
ヤモンドとしての品質が低下するので望ましくない。
【0066】一例として表1に示す条件でダイヤモンド
合成を行った。陰極ト−チの陰極棒と第1外套電極の間
の空間には7L/minの流量で、Arガスのみを流し
た。前記のように第1、第2外套電極の間にはAr、H
2 を12L/minの割りで流した。陽極ノズルにはA
rのみを2L/minの割合で流している。ガス供給ノ
ズル5,6、7にはCH4 ガスを0.15L/minで
流している。このようにして直径3インチの基材の上
に、150μm/hrを超す成長速度でダイヤモンドを
合成することができた。膜厚分布は10%以下であっ
た。ラマン分光法による評価では合成されたダイヤモン
ドは非ダイヤ炭素成分を殆ど含まない高品質のダイヤで
あることが確認された。優れた品質のダイヤモンドが高
速で、かつ大面積の形成領域に渡って均一に合成ができ
るという事が分かった。
【0067】
【表1】
【0068】〔実施例2〕(M=2,N=2の場合) 図5によって第2の実施例を説明する。プラズマト−チ
54、55と、ノズル56,57を対向して設けたもの
である。54、55は非移行式内部ア−クプラズマジェ
ットを形成できるプラズマト−チである。プラズマを放
電ガスとともにノズルから噴出させる事によりガス流型
のプラズマジェットを形成することができる。この実施
例では移行式ア−クプラズマを形成した時、プラズマト
−チ54、55を陰極として使用する。そこでこれらを
簡単に陰極ト−チ54、55と呼ぶ。56、57はノズ
ル状でガスを吹き出すことができ、しかも電圧を印加で
きる電極となっている。移行式ア−クプラズマを生成し
た時は陽極として使用する。そこでこれらを簡単に陽極
ノズル56、57と呼ぶ。陽極ノズルは陰極ト−チより
も小さく、軽く、移動容易である。これを支持出力移動
させる機構は陰極ト−チを支持するものに比べて簡略化
される。しかも陽極ノズルは独自の電源を不要とする。
ガス供給ノズル58、59は炭素源ガス又は炭素源ガス
と水素の混合ガスを供給するノズルである。陰極ト−チ
54、55と陽極ノズル58、59の間に生ずる外部ア
−クプラズマジェットの合流部に向けてガス供給ノズル
58、59は前記のガスを吹き付ける。
【0069】これらのプラズマト−チ54、55、陽極
ノズル56、57、ガス供給ノズル58、59は真空容
器61の上方に設けられる。この真空容器61は真空排
気口62を有しここから真空排気できるようになってい
る。ダイヤモンドの合成は減圧又は常圧で行う。真空容
器61の下方には基材64を戴置した冷却支持台63が
ある。これの内部には冷却水が循環し基材64を強制的
に冷却するようになっている。陰極ト−チ54、55は
上方から斜め下向きに固定されており、中心軸の延長線
は同一点Oで交わる。しかもこれらは交差点Oを通る鉛
直線(z軸とする)に関して反対側にある。陽極ノズル
56、57は前記の交差点Oを通る基材面と平行な直線
上に相対して設置されている。陽極ノズル56、57を
含む鉛直面と陰極ト−チ54、55を含む鉛直面とが9
0°の角度をなしている。陽極ノズルの存在する軸をx
軸とする。
【0070】陰極ト−チ54、55の位置は、交差点と
ト−チの中心の距離をgとして、 54(0, gsin Θ, gcos Θ) (16) 55(0,−gsin Θ, gcos Θ) (17) というふうに表現することができる。陰極ト−チ54、
55のノズルの向きを示す単位ベクトルは、 54→(0,−sin Θ,−cos Θ) (18) 55→(0,sin Θ,−cos Θ) (19) によって表現できる。
【0071】陽極ノズル56、57の位置は 56(+h, 0, 0) (20) 57(−h, 0, 0) (21) というふうに表現できる。hは陽極ノズル56、57の
中心と交差点Oとの距離である。陽極ノズル56、57
のノズルの向きを示す単位ベクトルは、 56→(−1, 0, 0) (22) 57→(+1, 0, 0) (23) と書ける。
【0072】図6は図5に示したプラズマト−チ、ノズ
ルの断面図及びこれらプラズマト−チ、ノズルに接続さ
れる電気回路図を示す。ふたつのト−チ54、55およ
びふたつのノズル56、57はそれぞれ同一の構造を持
つ。陰極ト−チは独自の電源を持つが、陽極ノズルは電
源を持たない。陰極ト−チ54は外から同心円状に第2
外套電極65、第1外套電極66、陰極棒67を有す
る。陰極棒67は中心にあってW製の棒である。これは
根元の部分を水冷するようになっている。外套電極6
5、66は陽極として用いられる。3つの電極は互いに
絶縁されている。第2外套電極65、第1外套電極66
は二重壁になっていて冷却水を通すことができる。
【0073】中央の陰極棒67と第1外套電極66によ
って囲まれる空間へプラズマ形成ガスを導入するための
ガス導入口68が設けられる。第1外套電極66と第2
外套電極65の間の空間へプラズマ形成ガスを導入する
ためのガス導入口69が設けられる。ガス導入口68、
69からプラズマ形成ガス70、71が電極間に導入さ
れる。第2の陰極ト−チ55も同様である。外側から第
2外套電極72、第1外套電極73、陰極棒74、ガス
導入口75、76を有する。そしてガス導入口75、7
6からプラズマ形成ガス77、78が電極間に導入され
る。
【0074】陽極ノズル56は、絶縁材79によって、
筒体80と陽極棒81が同心状に支持される。絶縁材7
9を貫いてガス導入口82があり、筒体80と陽極棒8
1で挟まれる空間にプラズマ形成ガス84を導入するよ
うになっている。陽極ノズル57も同様に絶縁材86に
よって、筒体87と陽極棒88が同心状に支持される。
絶縁材86を貫くガス導入口89があり、ここからプラ
ズマ形成ガス91が、筒体87と陽極棒88で囲まれる
空間に導入される。陽極ノズルは、電源を単独で持たな
い。また筒体80、87は接地するか浮動電位とする。
筒体と陽極棒の間でア−クプラズマを生成することはな
い。
【0075】第1の陰極ト−チ54には直流電源93が
設けてある。これは直流に高周波を重畳できるようにな
っているが、単に直流電源という。これの負極が陰極棒
67に接続される。正極はスイッチ94を介して第1外
套電極66に接続される。正極はさらにスイッチ105
を介して第2外套電極65に接続される。第2の陰極ト
−チ55にも直流電源96が設けてある。これの負極は
陰極棒74に接続してある。正極はスイッチ97を介し
て第1外套電極73に、スイッチ106を介して第2外
套電極72に接続される。第1の陽極ノズル56の陽極
棒81はスイッチ100を介して第1陰極ト−チの電源
93の正極に接続される。第2の陽極ノズル57の陽極
棒88はスイッチ103を介して第2陰極ト−チの電源
96の正極に接続される。
【0076】最初に二つの陰極ト−チ54、55で内部
ア−クプラズマを発生させる。此のときは陰極棒67、
74を保護するため、陰極棒と第1外套電極66、73
の間に不活性ガス(Ar、He、Ne、Kr)を流す。
次いで外部アークプラズマを発生させる。この時は、第
1外套電極66、73と第2外套電極65、72の間に
ガスを流す。但し陰極ト−チ54、55では移行式の外
部ア−クプラズマを形成した後で不活性ガスと水素ガス
の混合ガスを第1外套電極と第2外套電極の間に流す。
陽極ノズル56、57では不活性ガスを流す。いずれの
場合でも炭素源ガスはト−チ54、55、ノズル56、
57内に流さない。
【0077】以上の構成に於いてその操作を説明する。 (1)冷却支持台63の上に5インチ径のMo基材64
をしっかりと固定する。これは熱伝導が十分に行われて
基材64を十分冷却できるようにするためである。そし
てプラズマが発生し安定するまで冷却支持台63は下方
へ下げておく。基材に埋め込んだ熱電対(図示せず)に
よって基材64の温度をモニタする事ができる。 (2)真空容器61を閉じて内部を1×10-3Torr
以下の高真空に引く。陰極ト−チ54、55の全てのガ
ス導入口68、69、75、76からArガスをト−チ
内流路に導入する。
【0078】(3)スイッチ94、97を投入する。ス
イッチ100、103、105、106は開いたままで
ある。 (4)真空容器内の圧力が600Torrになったら、
直流電源93を動作させ、第1陰極ト−チ54の陰極棒
67と第1外套電極66の間に非移行式内部ア−クプラ
ズマを点灯する。 (5)スイッチ105を入れ、スイッチ94を切る。こ
れによって内部ア−クプラズマが第1陰極ト−チ54の
陰極棒67と第2外套電極65との間へ移る。内部放電
であるが範囲を拡げたのである。
【0079】(6)次に同様の動作を第2の陰極ト−チ
55に於いても行う。つまり電源96を動作させて、陰
極棒74と第1外套電極73の間に内部ア−クプラズマ
を点灯する。ついでスイッチ106を入れ、スイッチ9
7を切って、陰極棒74と第2外套電極72との間の内
部ア−クプラズマとする。つまり内方で点灯してこれを
外方へ移すのである。電極間の距離の長い第2外套電極
−陰極棒間で最初から放電を誘起するのは難しいので、
まず第1外套電極−陰極棒間で内部ア−クプラズマを作
り出す。これを外方へ移すのは簡単にゆく。
【0080】(7)続いて陰極ト−チと陽極ノズルの間
に外部ア−クプラズマを形成するのであるが、これもひ
とつずつ順に実行する。次のようにして陰極ト−チ54
と陽極ノズル56の間に移行式外部ア−クプラズマを形
成する。第1陽極ノズルにArガスを流しておく。直流
電源93の出力を徐々に上げ陰極ト−チ54のア−クプ
ラズマを大きくする。陽極ノズルへのArの供給を一旦
停止し、スイッチ100を閉じる。第1陽極ノズル56
の陽極棒81と、第1陰極ト−チ54の第2外套電極6
5が同電位になる。陰極棒67と,第1陽極ノズルの陽
極棒81の間に電圧が掛かる。必要であれば第1陽極ノ
ズル56と、第1陰極ト−チ54をさらに接近させる。
そして陽極ノズルへArを再び供給して、この操作で第
1陽極ノズル56の陽極棒81と、第1陰極ト−チ54
の陰極棒67の間に移行式のア−クプラズマが発生す
る。もともと第1陽極ノズルには内部のア−クプラズマ
が存在しないが、陰極ト−チの内部ア−クプラズマによ
り、外部ア−クプラズマを発生できる。
【0081】(8)次に第2陰極ト−チ55と第2陽極
ノズル57の間に移行式の外部ア−クプラズマを形成す
る。手順は前のものと同じである。第2陽極ノズル57
にArガスを流す。直流電源96の出力を徐々に上げ陰
極ト−チ55の内部ア−クプラズマを大きくする。陽極
ノズルへのArの供給を一旦停止し、スイッチ103を
閉じる。第2陽極ノズル57の陽極棒88と、第2陰極
ト−チ55の第2外套電極72が同電位になる。陰極棒
73と、第2陽極ノズルの陽極棒88の間に電圧が掛か
る。必要であれば第2陽極ノズル57と、第2陰極ト−
チ55をさらに接近させる。そして再び陽極ノズルへA
rを供給する。この操作で、第2陽極ノズル57の陽極
棒88と、第2陰極ト−チ55の陰極棒74の間に移行
式のア−クプラズマが発生する。 (9)この状態で陰極ト−チ54、55では内部ア−ク
プラズマが残っている。移行式ア−クプラズマができた
ので、この内部ア−クプラズマは不要である。スイッチ
105、106を切る。陰極ト−チ54、55の内部ア
−クプラズマは消える。こうして、陰極ト−チ54の陰
極棒67と、陽極ノズル56の陽極棒81の間、陰極ト
−チ55の陰極棒74と陽極ノズル5っの陽極棒88の
間に、移行式ア−クプラズマが生成できたことになる。
【0082】(10)2つの陽極ノズルと2つの陰極ト
ーチを接近させて、位置を調節しながら2つの陽極ノズ
ルを各々2つの陰極トーチの中間で等距離となるように
する。そして電源93と電源96の負荷電圧を同じに保
ち、スイッチ107を閉じる。この操作により、2つの
陰極ト−チ54、55と2つの陽極ノズル56、57の
間に4つの外部ア−クプラズマジェットを形成させるこ
とができる。但し、以上の操作の際には、電源93、9
6の出力を調整して個々の回路を流れる電流によって形
成される移行式の外部ア−クプラズマのバランスを取
り、安定放電を維持する工夫をしなければならない。
【0083】(11)こうして2つの陰極ト−チ、2つ
の陽極ノズル間で間で広い外部ア−クプラズマジェット
領域を形成できる。本発明ではさらに進んで、これをも
っと広く拡大する。図7に示すように各々のプラズマト
−チ、ノズルを平行移動或は回転させるのである。図7
(a)は初期状態を示す。これは先に述べたのと同じ
で、2つのプラズマト−チ、2つの陽極ノズルの中心軸
の延長線は一点Oで交わる。2つの陰極ト−チはyz平
面上に対称にある。2つの陽極ノズルはx軸上に対向し
て存在する。ト−チの移動回転のモ−ドを図7(b)に
示す。
【0084】(イ)陰極ト−チ54、55をx軸と平行
な軸の回りに回転させ、軸心線の延長線が原点Oより下
にくるようにする。つまり(18)、(19)のかわり
にト−チ54、55のノズル方向を示す単位ベクトルは
(△>0として) 54→(0, −sin (Θ−△), −cos (Θ−△)) (24) 55→(0, sin (Θ−△), −cos (Θ−△)) (25) というふうに表現できる。両ト−チの軸心線の交差点は
原点Oより下で z=gcos Θ−gcos (Θ−△) (26) の点になる。
【0085】(ロ)陽極ノズル56、57の位置を軸心
線に沿って後方に平行移動させる。(20)(21)のかわ
りに陽極ノズルの位置はH>hとして 56(H, 0, 0) (27) 57(−H, 0, 0) (28) と書くことができる。
【0086】(ハ)陰極ト−チ54、55を軸心線に沿
って後退させる。これは図7(b)には示していない。
(16)、(17)式のかわりにG>gとしてト−チ54、
55の位置を 54(0, Gsin Θ, Gcos Θ) (29) 55(0, −Gsin Θ, Gcos Θ) (30) と書く事ができる。
【0086】(ニ)陽極ノズル56、57の軸心線がx
軸からずれるようにこれらを少し回転させる。(22)、
(23)のかわりにこれらト−チノズルの単位ベクトルを 56→(−cos ε, sin ε, 0) (31) 57→(cos ε, −sin ε, 0) (32) と書く事ができる。これも図7(b)には示していな
い。このような2つのト−チ、2つのノズルの移動回転
のひとつ或は2つ以上の組み合わせを行うことにより外
部ア−クプラズマジェットの形成領域を著しく拡大する
事ができる。
【0087】(12)プラズマト−チを移動回転させて
陰極ト−チ、陽極ノズル間に生ずるア−クプラズマの形
成領域を拡大した後、ガス供給ノズル58、59の位置
を変えて、前述のア−クプラズマの合流点に向けてガス
を噴出できるようにする。ト−チを移すと合流点が変わ
るので、このような調整が必要になる。 (13)陰極ト−チ54、55の、第2、第1外套電極
間を隔てるガス流路69、76にAr:H2 =1:1の
混合ガスを流す。またガス流路68、75にはArのみ
を流しており、これは陰極棒67、74を保護する作用
もある。陽極ノズル56、57の方はガス導入口82、
89に不活性ガス(ここではAr)を流している。これ
も陽極棒を保護する作用もある。
【0088】(14)真空容器内の圧力を200Tor
r程度にまで減圧する。外部ア−クプラズマジェットが
安定して発生しているので、それまで下げていた冷却支
持台63を上昇させる。そして外部ア−クプラズマジェ
ットのフレ−ムの中に基材64が入るようにする。熱電
対の出力を監視しながら、基材表面温度が700℃〜1
200℃の範囲に入るように、冷却支持台63の高さ、
プラズマ形成電力、反応圧力を調整する。冷却支持台6
3の位置はNC制御される。ダイヤモンド膜ガス成長し
てゆくと厚みが増してゆきア−クプラズマジェットに対
する基材の高さが変化する。これは望ましくないので,
冷却支持台をNC制御によって連続的に動かして、プラ
ズマジェットに対する基材の相対的な位置を常に一定に
なるように保つ。これも成長速度が速いのでこのような
ことが問題になるのである。
【0089】(15)ガス供給ノズル58、59から、
炭素源ガスとしてメタンCH4 をア−クプラズマジェッ
トに向けて噴出する。このような手順により、表2に示
すような条件で5インチφのMo基材の上に100μm
/hrを超す成長速度でダイヤモンドを合成する事がで
きた。5インチφであるにも拘らず得られたダイヤモン
ドの膜厚分布は15%以内であった。優れて均一性が高
いという事が分かる。ラマン分光法による評価では合成
されたダイヤモンドは非ダイヤ炭素成分を殆ど含まない
高品質のダイヤであることが確認されている。実施例1
と同様に、高品質のダイヤモンドが高速でかつ大面積の
形成領域で合成できるということが分かった。
【0090】
【表2】
【0091】これまで陽極ノズルは単純な円筒として説
明したが、円筒に限らない。また開口もひとつとしてい
るが開口は2つ以上あっても良い。図8、図9に扁平な
陽極ノズルの例を示す。円形であるより扁平の方が、隣
接する二つの陰極ト−チとの間で、移行式ア−クプラズ
マを形成しやすい。またそのア−クプラズマがより広い
面積を持つ。図8は斜視図、図9は横断面図である。角
型扁平の陽極ノズルである。筒体の先端は2つの開口と
なっている。陽極棒は先端が凹部になっている。ふたつ
の突部ができるがこれは陽極点を安定化させる作用があ
る。また陽極棒内部は冷却水ガスが通りこれを冷却して
いる。ア−クプラズマジェット法によるダイヤモンドの
合成においては、基材への入熱が大きく、基材を如何に
効率良く冷却するかが課題であり、合成時の表面温度は
適正範囲があるので、基材冷却能力により、入熱量が規
定される。即ち、ア−クプラズマの強度も制限される。
ア−クプラズマの強度が高い程、原料ガスの活性化能力
が高く、高速合成に有利である。従来は、冷却支持台の
上に基材を熱伝達が良好なように接触を良くして設置し
ていたが、少なくとも一面の境界面が存在し、冷却能向
上に限度があった。本発明では、基材そのものを冷却支
持台の一構成物として、基材が直接冷媒で冷却できる工
夫を施したもので、著しく冷却能を向上させることを可
能とし、ア−クプラズマの強度増大が可能となった。具
体的には、実施例1の装置で支持台をこの方式に変える
ことでプラズマの電力が30KWから42KWまで同じ
基材温度を保ち、投入可能で合成速度を約50%高める
ことができた。
【0092】
【発明の効果】
(1)本発明のダイヤモンド製造法、装置によると、ひ
とつまたは複数のプラズマト−チと複数の陽極ノズルの
間で3以上の移行式の外部ア−クプラズマジェットを形
成し、これらを合流合体させることで大きなプラズマジ
ェットを形成している。 (2)本発明はこのような静的手段によるプラズマ形成
領域の拡大だけでなく、動的手段によってさらに広く拡
大する。外部ア−クプラズマジェットを陰極ト−チ、陽
極ノズル間に形成した後、これらト−チを互いに遠ざか
る方向へ平行移動したり、中心軸線の延長線が一点で交
差しないように回転したりする。これによってより広い
ア−クプラズマジェット形成領域を得る事ができる。
【0093】(3)炭素源ガスをプラズマト−チに通す
と炭素が付着して放電が不安定になる。従来法はこの点
で失敗していたのである。本発明では、プラズマト−チ
に通すのは不活性ガスか水素ガスだけであり、炭素源ガ
スは通さない。炭素源ガスは別のガス供給ノズルから外
部プラズマジェットの合流点に向けて噴射している。こ
のため長時間安定してプラズマジェットを維持すること
ができる。 (5)ガス供給ノズルは、1対の陰極ト−チ、陽極ノズ
ルのプラズマジェットの合流点にめがけてガスを供給す
る。これは未だプラズマジェットの断面積が小さいの
で、この内部まで均一に炭素源ガスを送り込む事ができ
る。こうして大面積の基材に均一にダイヤモンド合成を
することができるようになった。
【0094】(6)本発明の方法は柔軟性に富み、陰極
ト−チ、陽極ノズルの数を増やす事により、いくらでも
ア−クプラズマジェットの形成領域を拡げる事ができ
る。 (7)本発明は、高速合成が可能であるというプラズマ
ジェット法の最大利点を損なう事なく、大面積の基材の
上へ均一なダイヤモンド膜を合成させる事ができる。こ
れが最大の長所である。
【0095】(8)移行式の外部ア−クプラズマを形成
するために陰極となるもの、陽極となるものが必要であ
る。前述の特願平3−225100号は何れもプラズマ
ト−チを用いていたから、装置が大掛かりになり、移動
機構の負担が大きく、電源の数も多くて、製造コストが
高く、またプラズマト−チの移動範囲が限定されるとい
う難点があった。しかし本発明では陽極とするものは単
なるノズルである。これは軽量で小さく安価に製造でき
る。移動機構が単純化され、移動の範囲が広くなり、自
由度も高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ひとつの陰極ト−チ、3つの陽極ノズルを用い
た本発明の第1の実施例を示すダイヤモンド製造装置の
概略図。
【図2】図1のプラズマト−チの内、陰極ト−チのみを
縦断面図として示すプラズマト−チの側面図。
【図3】図1のプラズマト−チの陽極ノズルの断面図と
これらト−チに電力を供給する電源との間の電気回路
図。
【図4】図1〜図3の装置に於いて、陰極ト−チと陽極
ノズルの間で移行式の外部ア−クプラズマを形成した
後、陰極ト−チと陽極ノズルを移動回転させてア−クプ
ラズマ形成領域を拡大する方法を示す斜視図。(a)は
初期状態、(b)はト−チ、ノズルを軸方向に遠ざかる
方向に平行移動した状態、(c)は陽極ノズルを回転さ
せ中心軸の延長が一点で交差しないようにした状態を示
す。
【図5】ふたつの陰極ト−チ、ふたつの陽極ノズルを用
いた本発明の第2の実施例を示すダイヤモンド製造装置
の概略図。
【図6】図5の装置に於いて、プラズマト−チ、ノズル
の断面図とこれらト−チに電力を供給する電源との間の
電気回路図。
【図7】図5〜図6の装置に於いて陰極ト−チと陽極ノ
ズルの間で移行式外部ア−クプラズマを形成した後、プ
ラズマト−チを移動回転させてア−クプラズマ形成領域
を拡大する方法を示す斜視図。(a)は初期状態、
(b)は陽極ノズルを後退させたり、陰極ト−チを回転
させたりした状態を示す。
【図8】他の例に掛かる陽極ノズルの斜視図。
【図9】同じ陽極ノズルの横断面図。
【図10】本発明で用いる基材の冷却支持機構の例を示
す縦断面図。
【符号の説明】
1 陰極ト−チ 2 陽極ノズル 3 陽極ノズル 4 陽極ノズル 5 ガス供給ノズル 6 ガス供給ノズル 7 ガス供給ノズル 8 移行式外部ア−ク 8′ プラズマジェットフレ−ム 9 真空容器 10 真空排気口 11 冷却支持台 12 基材 13 第2外套電極 14 第1外套電極 15 陰極棒 16 プラズマ形成ガス導入口 17 プラズマ形成ガス導入口 18 プラズマ形成ガス 19 プラズマ形成ガス 20 絶縁部材 21 筒体 22 陽極棒 23 プラズマ形成ガス導入口 25 プラズマ形成ガス 27 絶縁部材 28 筒体 29 陽極棒 30 プラズマ形成ガス導入口 32 プラズマ形成ガス 34 絶縁部材 35 筒体 36 陽極棒 37 プラズマ形成ガス導入口 39 プラズマ形成ガス 41 直流電源 42 スイッチ 43 スイッチ 44 スイッチ 51 スイッチ 52 スイッチ 53 スイッチ 54 陰極ト−チ 55 陰極ト−チ 56 陽極ノズル 57 陽極ノズル 58 ガス供給ノズル 59 ガス供給ノズル 60 移行式外部ア−ク 60′プラズマジェットフレ−ム 61 真空容器 62 真空排気口 63 冷却支持台 64 基材 65 第2外套電極 66 第1外套電極 67 陰極棒 68 プラズマ形成ガス導入口 69 プラズマ形成ガス導入口 70 プラズマ形成ガス 71 プラズマ形成ガス 72 第2外套電極 73 第1外套電極 74 陰極棒 75 プラズマ形成ガス導入口 76 プラズマ形成ガス導入口 77 プラズマ形成ガス 78 プラズマ形成ガス 79 絶縁部材 80 筒体 81 陽極棒 82 プラズマ形成ガス導入口 84 プラズマ形成ガス 86 絶縁部材 87 筒体 88 陽極棒 89 プラズマ形成ガス導入口 91 プラズマ形成ガス 93 直流電源 94 スイッチ 96 直流電源 97 スイッチ 100 スイッチ 103 スイッチ 105 スイッチ 106 スイッチ 107 スイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−87689(JP,A) 特開 平1−164796(JP,A) 特開 平1−172294(JP,A) 特開 平5−148087(JP,A) 特開 平5−213694(JP,A) 特開 平2−248397(JP,A) 特開 昭51−18342(JP,A) 米国特許3714390(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C30B 1/00 - 35/00 EPAT(QUESTEL) WPI(DIALOG)

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸心線に関して同心円上に配置された陰
    極と陽極とその間に形成されたガス流路とを持ち陰極と
    陽極の間にDCアークプラズマを形成し原料ガスを分解
    し活性化することができるプラズマトーチであって陰極
    として使用される1以上の陰極トーチと、一定方向に向
    かってガスを噴出するノズルを有し陽極として使用され
    前記陰極トーチ以上の複数の陽極ノズルと、炭素を含む
    原料ガスまたは炭素を含む原料ガスと水素を供給するた
    めのガス供給ノズルとを有し、該陰極トーチの先端と該
    陽極ノズルの先端との相対位置を可変とし、陰極トーチ
    の軸心線と陽極ノズルのガス吹き出し方向が同一直線上
    に並ばず平行にもならないように配置し、まず前記の陰
    極トーチの内部の陰極と陽極の間に電圧を印加し、ガス
    流路には不活性ガスまたはと不活性ガスと水素の混合ガ
    スを流し、陰極トーチの内部に非移行式のDCプラズマ
    ジェットを発生させ、陽極ノズルに不活性ガスを流し、
    陽極ノズルの先端を陰極トーチから生じているプラズマ
    ジェットに接触させた後、陰極トーチの陽極と陽極ノズ
    ルとを同電位とし陰極トーチ陰極と陽極ノズルの間に電
    圧を印加するようにし、その後陰極トーチの陽極を陽極
    ノズルから絶縁し、陰極トーチの陰極と陽極ノズルの間
    で移行式の外部アークプラズマを形成し、その後陰極ト
    ーチ先端と陽極ノズル先端との間隔を拡げるように陽極
    ノズルと陰極トーチを移動させてアークプラズマの形成
    領域を拡大し、さらにひとつまたは複数の陰極トーチ
    と、複数の陽極ノズルの間のプラズマジェットを合流合
    体させて、均一で大きなプラズマジェットを形成し、炭
    素を含む原料ガスあるいは炭素を含む原料ガスと水素と
    をガス供給ノズルから前記合流合体させたプラズマジェ
    ットに向けて供給し、該プラズマジェットの下流側に置
    いた基材にプラズマジェットを吹き付けて基材表面にダ
    イヤモンドを合成することを特徴とするダイヤモンドの
    製造法。
  2. 【請求項2】 炭素を含む原料ガスあるいは炭素を含む
    原料ガスと水素とを陰極トーチからのプラズマジェット
    と、陽極ノズルからのプラズマの合流部に吹き付け、合
    体合流させたプラズマジェットの下流側に置いた基材に
    プラズマジェットを吹き付けて基材表面にダイヤモンド
    を合成する事を特徴とする請求項1に記載のダイヤモン
    ドの製造法。
  3. 【請求項3】 陰極トーチから発生するプラズマジェッ
    トと陽極ノズルから発生するプラズマとの合流部に向け
    て炭素を含む原料ガスまたは炭素を含む原料ガスと水素
    の混合ガスを吹き付けるガス供給ノズルが、位置可変で
    あって、プラズマジェットとプラズマの合流部の位置変
    動に伴ってガス噴出口を移動できるようにした事を特徴
    とする請求項1に記載のダイヤモンドの製造法。
  4. 【請求項4】 陰極トーチおよび陽極ノズルが平行移
    動、あるいは平行移動と回転移動が可能であって、初め
    は陰極トーチの軸心線の延長線と陽極ノズルのガス吹き
    出し方向の延長線を交差させ陰極トーチの先端と陽極ノ
    ズルの先端を近接させるように配置し、陰極トーチのプ
    ラズマを点灯させ、陽極ノズル先端をプラズマに接触さ
    せて陰極トーチと陽極ノズルの間に移行式のプラズマジ
    ェットを形成した後、陰極トーチおよび陽極ノズルを交
    差点から遠ざかるように平行移動させるか、または陰極
    トーチの軸心線の延長線と陽極ノズルのガス吹き出し方
    向の延長線が交差しなくなる方向へ陽極ノズルおよび陰
    極トーチを回転移動させて、陰極トーチと陽極ノズルの
    間に形成されるプラズマジェットの領域を拡大する事を
    特徴とする請求項1、2または3に記載のダイヤモンド
    製造法。
  5. 【請求項5】 陰極トーチの数がひとつで、陽極ノズル
    が複数個あり、陰極トーチの軸心線の延長線上に基材の
    表面が位置しており、複数の陽極ノズルは前記陰極トー
    チの延長線に関して回転対称の位置に配置されており、
    陽極ノズルのガス吹き出し方向の延長線が前記の陰極ト
    ーチの軸心線の延長線の近傍を通るようになっており、
    陰極トーチと陽極ノズルの間に生ずる移行式アークプラ
    ズマジェットは、陰極トーチの何れかに記載のダイヤモ
    ンドの製造法。
  6. 【請求項6】 陰極トーチが複数で、陽極ノズルも複数
    であり、陰極トーチの軸心線の延長線が一点で交差する
    ことができ、陽極ノズルのガス吹き出し方向の延長線が
    前記の点で交差することができ、しかも前記の点を通る
    ある直線に関して、陰極トーチの分布および陽極ノズル
    の分布が回転対称であり、前記交差点と陰極トーチの距
    離は等しく、前記交差点と陽極ノズルの距離も等しくし
    たことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のダイ
    ヤモンドの製造法。
  7. 【請求項7】 陰極トーチの数が複数で、陽極ノズルの
    数も複数であり、陰極トーチと陽極ノズルの間に移行式
    の外部プラズマジェットを形成した後、複数の陰極トー
    チの軸心間距離を拡げたり、陰極トーチを傾斜させたり
    して、陰極トーチと陽極ノズルの間に形成した外部プラ
    ズマジェットの形成領域を拡大するようにすることを特
    徴とする請求項1〜6の何れかに記載のダイヤモンドの
    製造法。
  8. 【請求項8】 ダイヤモンドをその上に被覆させるべき
    基材は、その被覆面と、冷媒シール面以外の一部もしく
    は全部が直接冷媒によって冷却されており、被覆面にダ
    イヤモンドを合成することを特徴とする請求項1〜7の
    何れかに記載のダイヤモンドの製造法。
  9. 【請求項9】 ダイヤモンドをその上に被覆させるべき
    基材を取り付ける冷却支持台が、NC制御で少なくとも
    面と垂直な方向に移動可能となっており、基材表面での
    ダイヤモンドの成長に従って、ダイヤモンドの成長全面
    が、プラズマジェットに対して、ダイヤモンドの成長方
    向で実質的に同じ位置を保持できるように基材支持台の
    位置を制御してダイヤモンドを合成する事を特徴とする
    請求項1〜8の何れかに記載のダイヤモンドの製造法。
  10. 【請求項10】 炭素を含む原料ガスを供給するガス供
    給ノズルから酸素源ガスを同時に供給することを特徴と
    する請求項1〜9に記載のダイヤモンド製造法。
  11. 【請求項11】 内部を真空に引くことのできる真空容
    器と、該真空容器の内部を真空に引くための真空排気装
    置と、真空容器の内部に設置され基材を支持するための
    支持台と、真空容器の内部に設けられ中心軸の廻りに同
    心円状の陰極とひとつ以上の陽極と該電極間にガスを導
    入するガス導入口を有し、電極間の隙間にプラズマ形成
    ガスを流し電極間に直流電圧を加えることによってプラ
    ズマジェットを発生することができ陰極として使用され
    るプラズマトーチであるひとつ以上の陰極トーチと、ガ
    ス噴出口を有し陽極として使用され、前記陰極トーチと
    同数かまたはそれ以上の複数の陽極ノズルと、陰極トー
    チの陽極と陰極の間に直流電圧またはプラズマ点灯時に
    は直流電圧に高周波電圧を重畳させたものを印加するた
    めの電源と、プラズマトーチおよび複数の陽極ノズルと
    該電源を接続する接続線と、接続線とプラズマトーチの
    陰極と陽極との間および接続線と陽極ノズルとの間に設
    けられる複数のスイッチを含み、スイッチの切り替えに
    より陰極トーチの一番外側の陽極と陰極の間に非移行式
    アークプラズマを形成できるようにし、引き続いて陰極
    トーチの陰極と外部電極である陽極ノズルとの間で移行
    式の外部プラズマアークを形成できるようにし、さらに
    陰極トーチの陰極と複数の陽極ノズルの間で形成された
    複数の外部アークプラズマを合体できるようにしてある
    ことを特徴とするダイヤモンドの製造装置。
  12. 【請求項12】 内部を真空に引くことのできる真空容
    器と、該真空容器の内部を真空に引くための真空排気装
    置と、真空容器の内部に設置され基材を支持するための
    支持台と、真空容器の内部に設けられ中心軸の廻りに同
    心円状の陰極とひとつ以上の陽極と該電極間にガスを導
    入するガス導入口を有し、電極間の隙間にプラズマ形成
    ガスを流し電極間に直流電圧を加えることによってプラ
    ズマジェットを発生することができ陰極として使用され
    るプラズマトーチであるひとつ以上の陰極トーチと、該
    陰極トーチを移動させるための移動機構と、ガス噴出口
    を有し陽極として使用され、前記陰極トーチと同数かま
    たはそれ以上の複数の陽極ノズルと、該陽極ノズルを移
    動させるための移動機構と、陰極トーチの陽極と陰極の
    間に直流電圧またはプラズマ点灯時には直流電圧に高周
    波電圧を重畳させたものを印加するための電源と、陰極
    トーチと陽極ノズルの間に炭素含有ガスまたは炭素含有
    ガスと水素を原料ガスとして吹き込むための複数のノズ
    ルと、ノズルを移動させるための移動機構と、プラズマ
    トーチおよび複数の陽極ノズルと該電源を接続する接続
    線と、接続線とプラズマトーチの陰極と陽極との間およ
    び接続線と陽極ノズルとの間に設けられる複数のスイッ
    チを含み、スイッチの切り替えにより陰極トーチの一番
    外側の陽極と陰極の間に非移行式アークプラズマを形成
    できるようにし、引き続いて陰極トーチの陰極と外部電
    極である陽極ノズルとの間で移行式の外部プラズマアー
    クを形成できるようにし、さらに陰極トーチの陰極と複
    数の陽極ノズルの間で形成された複数の外部アークプラ
    ズマを合体させた後、陰極トーチ及び陽極ノズルを平行
    移動あるいは傾斜や回転をさせることによりプラズマジ
    ェットの生成領域を変動させることができるようにした
    ことを特徴とするダイヤモンドの製造装置。
  13. 【請求項13】 基材を支持する支持台から垂直に立て
    た軸を中心線として、複数の陰極トーチを、その軸心線
    と中心線とのなす角が45度以下でありかつ中心線に関
    して回転対称の位置に配置し、陰極トーチと同数の陽極
    ノズルをそのガス吹き出し方向が中心線となす角が45
    度〜110度をなしかつ中心軸に関して回転対称でしか
    も陰極トーチの中間の位置に配置してあり、隣合う二つ
    の陰極トーチと両者の中間の位置にあるひとつの陽極ノ
    ズルとの間で移行式のアークプラズマジェットを形成す
    ることを特徴とする請求項11または12に記載のダイ
    ヤモンドの製造装置。
  14. 【請求項14】 陽極ノズルが内部の電極と、外部の円
    筒部と、両者の間にガスを導入するガス吹き出し口とよ
    りなり、電極は冷媒によって冷却されており、外部の円
    筒部はアース電位または浮動電位であり、内部の電極は
    陽極として機能し、内部の陽極は不活性ガスによって真
    空容器の雰囲気から遮断される構造であることを特徴と
    する請求項11〜13の何れかに記載のダイヤモンドの
    製造装置。
  15. 【請求項15】 陽極ノズルが、偏平な角型の開口を有
    する矩形断面の偏平な筒体と、その内部に設けられる偏
    平で前面が凹型である電極とよりなり、前記筒体の開口
    が2つ以上である事を特徴とする請求項11〜14の何
    れかに記載のダイヤモンドの製造装置。
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