JP3199283U - 靴下 - Google Patents
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Abstract
【課題】偏平足や外反母趾・内反小指の有無を問わず、現代人一般に増加している骨盤後傾と猫背に起因する疾病や体調不良を予防・改善できる靴下を提供する。【解決手段】爪先部20に、第一趾と第二趾を収容する内側袋体21と、第三趾から第五趾までの各足趾をそれぞれ収容する袋体22〜24とを有する靴下であって、内側袋体と第三趾用袋体、及び第四趾用袋体と第五趾用袋体の各股部内側には、それぞれ略逆涙滴形の下端部に足裏の中足趾節関節の位置に当接する突起を有し、全体として略L字形を成すように構成したシリコンゴムから成る刺戟体31、32を取り付けて成り、靴下の装用時には装用者の足趾股部に刺戟体が起立した状態で当接する。【選択図】図2
Description
本考案は、靴下に関し、特に、歩行時において、着用者に足の五指を積極的に使うよう促すことにより、身体全体の姿勢を矯正し、以て新陳代謝を改善することのできる靴下に関する。
身体の不適正な姿勢が、腰痛、肩凝り、頭痛、内臓の不調等の症状の原因となることが知られている。日常生活で靴を履いている時間が長い現代人においては、歩行時に足趾をあまり使用しないという実態が、その根本的な原因の一つとなっている。
本来、活動時の人体は骨盤がやや前傾した状態が基本姿勢である。歩行時に脚で前方への推進力を得る際には、足裏の前足部、特に中足骨と趾骨とが屈曲する中足趾節関節(いわゆるMP関節)付近で体重の大半を支持し、次いで足趾のすべてが接地し協調して動くことが自然である。しかし、現代人の多くは、靴により足趾の動きが制約されることに馴化して歩行に足趾をあまり使わなくなっており、その結果、体重が踵に掛かる傾向が生じて、骨盤が後傾しがちとなっている。
骨盤が後傾すると、大腿部の内転筋が活用されにくくなるため、必然的に両脚は内股となって、歩行時には足先が十分に上がらない「摺り足」気味になる。そのため、脹脛のヒラメ筋や太腿から臀部に渡るハムストリング筋群も有効に使われなくなる。その結果、脚部の血流が低調となり、特に女性の場合、足の「冷え」や「むくみ」といった症状の原因となるほか、高齢者の場合、膝痛、股関節痛、腰痛が出るようになる。
また、骨盤後傾によって「猫背」となり、内臓にも影響が出る。全身の筋肉は基本的に表裏一体・左右一対で動くため、背中の筋肉を使わない「猫背」では腹筋群も緩んだ状態となって内臓下垂を生じ、下腹が出てくる原因となる。さらに「猫背」の状態では、呼吸のための筋肉である横隔膜も緩んだ状態となって呼吸が常時浅くなるため、新陳代謝が低下し、様々な体調不良の原因ともなる。かかる「猫背」の弊害は、近年のスマホ等の普及により、一層低年齢化している。
ところで、殊更特別な器具や装具等を用いずに身体の姿勢の矯正を手軽に行うための手段としては、これまでにも特許文献1乃至3のような靴下や足部用サポータが提案されている。たとえば、特許文献1に開示された靴下及びサポータは、着用時に足裏を凹状に湾曲した状態に保つために、第一趾と第五趾を踵部側に引き寄せるための弾性を有する引寄部を設けたことを特徴としている。また、特許文献2に開示されたサポータは、第一趾と第五趾をそれぞれ包む包容部を設けた弾性を有する筒状バンドから構成している。さらに、特許文献3に開示された足のバランス矯正靴下は、第一趾と第五趾及び第二趾から第四趾をそれぞれ嵌入させる袋部を設け、中足趾節関節と中足骨基底部のリスフラン関節を押圧するバンドを設けたことを特徴としている。
特開2008−121177号公報
特開2001−095828号公報
特開2003−299685号公報
しかし、これら先行技術はいずれも偏平足や外反母趾・内反小指の矯正を主眼とするものであって、足趾の積極的な使用を促して前述の骨盤後傾に起因する問題を解決するものではない。これらは、却って足趾の動きを制限する効果を有するため、偏平足等の矯正の効果はあっても、むしろ骨盤後傾とそれによる猫背を促進するおそれがあるという問題がある。また、バンド等の弾性体により足を強制的に締め付けるため、装着時に違和感を生じ、構造も複雑で高コストとなるという問題もある。
本願考案は、先行技術のかかる問題を解決するとともに、従前の一般的な靴下の構造に最小限の改良を加えることで、偏平足や外反母趾・内反小指の有無を問わず、現代人一般に増加している骨盤後傾と猫背に起因する疾病や体調不良を予防・改善できる靴下を提供することを課題とするものである。
前記の課題を解決するために、本願考案の請求項1に記載した靴下は、爪先部に、第一趾と第二趾を収容する内側袋体と、第三趾から第五趾までの各足趾をそれぞれ収容する袋体とを有する靴下であって、少なくとも内側袋体と第三趾用袋体、及び第四趾用袋体と第五趾用袋体の各股部内側の2箇所に刺戟体を有することを特徴とする。
骨盤後傾の問題を無理なく手軽に解決するためには、足趾を積極的な使用を促すことが効果的である。図1の足骨の骨格図に示す如く、人間の足趾は、第一趾(拇趾)と第二から第四趾の4つの指とでは趾骨の個数が違い、構造が異なる。そのため、第一趾とその他の指の動きは連携しにくく、特に「内股」状態では、第二趾から第四趾の動きは一体となって低調となりがちである。一方、骨盤が後傾して内股傾向にある人間の場合、体重は踵のほか、五指のうち第一趾に掛かりがちとなっており、歩行時には第一趾は活発に動くことになる。
請求項1に記載の靴下は、爪先部が第一趾(拇趾)と第二趾とを収容する内側袋体と、第三趾から第五趾までの各足趾をそれぞれ収容する袋体とを有しているため、内側袋体内の第一趾とともに第二趾が積極的に動くこととなる。これにより、第三趾から第四趾の動きも第二趾の動きにつられて活発化し、必然的に足の五指すべてを使う状態が促される。
また、内側袋体により第一趾と第二趾が束ねられて動くため、通常の状態ではひとまとめでしか動かない第二趾から第四趾の、特に第二趾と第三趾が別々に動くこととなり、着用者に足趾の一つ一つを意識するように促し、足趾を積極的に使用するように仕向けることができる。
さらに、本靴下は、少なくとも内側袋体と第三趾用袋体、及び第四趾用袋体と第五趾用袋体の各股部内側の2箇所にそれぞれ刺戟体を有する。該刺戟体は、靴下の着用時に、第二趾と第三趾の股部、第四趾と第五趾の股部に常時挟まれて各足趾の付け根部分を拡張させる形となる。着用者にとっては、足趾の付け根部分が異物により常時刺戟される状態となる。
人体には多種の反射が備わっているが、その機能からは、自律神経系を介して内臓筋を収縮させたり腺の分泌を促進したりする内臓反射(自律神経反射)と、骨格筋を収縮させる体性反射とに大別される。木槌で膝蓋腱を叩くと下腿が跳ね上がる膝蓋腱反射は代表的な体性反射の一つであるが、人体はその足趾の付け根である指股の部分に刺戟を受けると、無意識に足趾を曲げて丸めるという体性反射を示すことが医学的・経験的に知られている。
本考案に係る靴下に設けた前記刺戟体は、この足趾の体性反射を利用して、着用者に足趾を常に曲げて丸めさせ、いわば足の五趾で地面又は床面を掴むような状態とさせることを目的とするものである。
本考案に係る靴下に設けた前記刺戟体は、この足趾の体性反射を利用して、着用者に足趾を常に曲げて丸めさせ、いわば足の五趾で地面又は床面を掴むような状態とさせることを目的とするものである。
骨盤後傾により猫背となった状態では体重は踵に掛かりがちとなるために、特に歩行時には足趾の先端が上方に反り返って浮き上り気味となり、これが足趾があまり使われない原因となる。この状態は、整体の分野では「浮き指」と呼ばれ、特に第五趾(小指)が浮き指だと両脚は内股となり、歩行時には足先が十分に上がらない「摺り足」気味となって、前述のような様々な問題を生じる。
本考案の靴下は、刺戟体が指股の部分に与える刺戟によって、着用者が無意識に足趾を丸める体性反射を起こすことで浮き指を防止する。第二趾と第三趾の股部に接する刺戟体は、第二趾と第三趾の股部を拡張するとともに、第三趾を体性反射により無意識に丸めさせる。これにより、内側袋体内で第一趾に束ねられた第二趾と連動して第三趾の動きもより活発化し、歩行時の趾先の接地が促されて積極的に使用されるようになる。また、第四趾と第五趾の股部に接する刺戟体により股部を拡張された第五趾は、やはり体性反射によって無意識に丸めさせられて接地するので、前述の両脚の内股傾向や摺り足気味の歩き方を改善する。
なお、第三趾と第四趾の股部にも刺戟体を設けても良いが、股部の拡張が大きくなり過ぎると履物を履いた際に足趾への圧迫が大きくなり刺戟が強くなり過ぎるおそれがあり、また、体性反射により足趾を積極的に接地させるという目的においては、刺戟体は二箇所で十分な効果を発揮する。
次に、請求項2に記載した考案は、請求項1に記載した靴下であって、前記刺戟体を略逆涙滴形のシリコンゴムとし、靴下の着用時には各刺戟体が着用者の足趾股部に起立した状態で当接させることを特徴とする。
刺戟体の材質が硬すぎると刺戟が強すぎて着用者が痛みを感じるため、適度な弾性を有し衛生上の問題も小さいシリコンゴムが好適である。また、健常な足は履物の中で前方から見て五本の足趾が上方に緩いアーチを描くことを考慮すれば、刺戟体の形状は上端が太く下端が細い逆涙滴形とし、靴下の着用時に容易かつ確実に足趾の股部に当接するよう、各袋体の股部の内側に起立する形で接地することが好ましい。
最後に請求項3に記載した考案は、請求項2に記載した靴下であって、前記刺戟体の下端部に足裏の中足趾節関節の位置に当接する突起を有し、全体として略L字形を成すように構成したことを特徴とする。具体的には、略逆涙滴形の下端部分を踵方向に屈曲延長させ、その先端に小さな突起を設けるものである。
該突起は、足趾の股部後方の足骨の中足趾節関節を上方に向けて押し上げる形で足裏に刺戟を与える。中足趾節関節は足趾の最基部であって歩行時には最も大きく屈曲する関節のため、この部位への刺戟による体性反射は、前述の足趾を丸めさせる効果をさらに増加させる。また、刺戟体の形状を略L字形とすることにより、靴下着用時に刺戟体が足趾の股部にフィットし易くなり、着用中に刺戟体が趾股から脱落することも防がれる。
本考案に係る靴下は、着用者に足趾を使用させるように促すことで自然に骨盤後傾を改善し、姿勢の矯正、筋力の維持、新陳代謝の向上を図る効果を有する。足趾の第一趾と第二趾の動きを強制的に同期させて五本の足趾の動き全体の協調を図るとともに、刺戟体による体性反射で足趾を無意識に丸めさせて趾先を接地させることにより、次第に足趾の力が強化される。これにより、歩行時や運動時における身体の重心軸の保持能力が高まるので、特に筋力の低下した高齢者等の転倒事故の防止にも繋がるという効果が期待できる。また、従来の靴下の製造工程において実現可能な指袋付靴下の内面に刺戟体を接着等で付加するだけで実現できるため、低コストで提供可能という利点を有するものである。
以下、本考案の実施形態について図を用いて説明する。図2は、本考案の一実施形態に係る靴下の右足用を上方(足甲側)から見た平面図であり、図3は、下方(足裏側)から見た底面図である。なお、実施形態では、請求項3に記載した略逆L字形の刺戟体を適用している。また、左足用は対照に表されるためいずれも図示は省略する。
靴下1は、足部11と下腿部12とから成る筒状の胴部10と、足部11の先端に形成した爪先部20とから成り、爪先部20は、第一趾(拇趾)と第二趾を収容する内側袋体21と第三趾から第五趾をそれぞれ収容する各袋体22、23、24に成形されて成る。胴部10の裏面中間部には、一般的な靴下と同様に踵袋13を設けており、装着時にはここに踵が位置する。なお、本実施例では、下腿部12の上端外周及び踵袋13の周囲に、生地の織り方を変えるか、あるいはゴム糸を織り込む等の方法により伸縮部を設け、肌への密着性を高めている。
図4は、刺戟体31、32の拡大図である。左図は請求項2に記載した略逆涙滴形の刺戟体の側面図及び平面図であり、右図は実施形態に適用した略L字形の刺戟体の側面図及び平面図であり、左図の刺戟体の下端を踵方向に屈曲させた腕部33とし、その先端に突起34を設けている。
図5は、本実施形態に係る靴下1を着用した状態の足部を趾骨の位置を含めて表した該略平面図であり、図6は、足部と下腿部をA−Aのラインで側面視した概略断面図、図7は、足部と下腿部を前方から見た正面図である。内側袋体21と第三趾用袋体22、及び第四趾用袋体23と第五趾用袋体24の各股部内側には、逆涙滴形のシリコンゴムから成る内側の刺戟体31と外側の刺戟体32をそれぞれ設けている。靴下1の素材や生地の織り方は一般的な靴下と同様であって良いが、各袋体は足趾に対して十分な伸縮性を有するものとし、図6に示す如く、靴下の着用時には、刺戟体31、32が各足趾の股部に起立した状態で当接するとともに、略L字形に屈曲した腕部33が足裏に回り込み、その先端の突起34が中足趾節関節を下方から押し上げる形で足裏に刺戟を与えるのである。
以上、本考案の実施形態について図面を参照しつつ説明したが、本考案は、必ずしも上述した構成にのみ限定されるものではなく、本考案の目的を達成し、効果を有する範囲内において、適宜変更実施することが可能なものであり、本考案の技術的思想の範囲内に属する限り、それらは本考案の技術的範囲に属する。
本考案に係る靴下は、日常生活で通常の靴下に代えて常用することにより、起立時・歩行時に自然に足趾の使用を促して骨盤後傾を改善できるため、不適切な姿勢による各種疾患や体調不良の予防に利用可能である。
1 靴下
10 胴部
11 足部
12 下腿部
13 踵袋
20 爪先部
21 内側袋体
22 第三趾用袋体
23 第四趾用袋体
24 第五趾用袋体
30 中足趾節関節の位置
31 刺戟体(内側)
32 刺戟体(外側)
33 腕部
34 突起
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Claims (3)
- 爪先部に、第一趾と第二趾を収容する内側袋体と、第三趾から第五趾までの各足趾をそれぞれ収容する袋体とを有する靴下であって、少なくとも内側袋体と第三趾用袋体、及び第四趾用袋体と第五趾用袋体の各股部内側の2箇所に刺戟体を有することを特徴とする靴下。
- 前記刺戟体は、略逆涙滴形のシリコンゴムであって、靴下の装用時には各刺戟体が装用者の足趾股部に起立した状態で当接することを特徴とする、請求項1に記載の靴下。
- 前記刺戟体は、さらに下端部に足裏の中足趾節関節の位置に当接する突起を有し、全体として略L字形を成すように構成したことを特徴とする、請求項2に記載の靴下。
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