JP3196996B2 - 酸素濃度検出素子の製造方法 - Google Patents

酸素濃度検出素子の製造方法

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康司 織茂
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば排気ガス中の酸
素濃度等を検出するのに用いて好適な酸素濃度検出素子
の製造方法に関し、特に、ジルコニアチューブ等からな
る素子本体の内面に安定した内側電極を形成するように
した酸素濃度検出素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車等のエンジンにあって
は、空燃比を最適にフィードバック制御するため、排気
管等に酸素センサ(O2 センサ)を取付け、排気ガス中
の酸素濃度を逐一検出するようにしている。
【0003】そこで、図8および図9を参照し従来技術
の酸素濃度検出素子および酸素センサについて述べる。
【0004】図において、1は段付筒状のセンサ本体を
示し、該センサ本体1は、一端側外周におねじ部2Aが
形成され、他端側が筒状の嵌合部2Bとなったホルダ2
と、一端側が該ホルダ2の嵌合部2Bにカシメ部3A,
3A,…により固着され、他端側に環状の段部3B、縮
径部3Cが形成されたキャップ3とからなり、これらは
ステンレス鋼等の金属材料によって形成されている。そ
して、該センサ本体1は後述のジルコニアチューブ5を
排気管(図示せず)内に突出させるべく、ホルダ2のお
ねじ部2Aが排気管に螺着されるようになっている。
【0005】4はセンサ本体1内に配設された絶縁筒体
を示し、該絶縁筒体4はアルミナ等のセラミック材料に
より段付き筒状に形成され、その内周側には後述のコン
タクトプレート11が挿通されている。
【0006】5は酸素濃度検出素子本体を構成するジル
コニアチューブを示し、該ジルコニアチューブ5は図9
にも示す如く、ジルコニア(Zr O2 )の粉体にイット
リア(Y23 )の粉体およびバインダを混合して焼成
することにより断面U字形状をなす固体電解質層として
形成されている。ここで、該ジルコニアチューブ5の基
端側は大径の開口端5Aとなり、先端側は閉塞端5Bと
なっている。そして、ジルコニアチューブ5は図8に示
す如く、開口端5A側がホルダ2の肩部2Cにリング状
のワッシャ6を介して取付けられ、閉塞端5B側がホル
ダ2外に突出している。
【0007】7,8はジルコニアチューブ5の内,外面
にそれぞれ設けられた内側電極、外側電極を示し、該電
極7,8は白金とジルコニアとからなるペースト状の材
料をジルコニアチューブ5の内,外面に塗布することに
より、帯状に伸長して形成されている。
【0008】ここで、内側電極7は図9に示す如く、ジ
ルコニアチューブ5の開口端5A端面まで引出すように
して伸びた引出し部7Aと、該引出し部7Aと接続する
ようにジルコニアチューブ5の閉塞端5B側で内面に塗
布された筒状塗布部7Bとからなり、前記引出し部7A
はコンタクトプレート11と接続されている。また、外
側電極8はホルダ2の肩部2Cにワッシャ6を介して接
続され、アースされるようになっている。
【0009】9は外側電極8の上側からジルコニアチュ
ーブ5の外面に全周に亘ってコーティングされた白金層
を示し、該白金層9はジルコニアチューブ5の内側と外
側との間に生じる酸素濃度の差により、外側電極8と内
側電極7との間に発生する起電力を触媒作用で増幅させ
るものである。そして、このときに発生する起電力は内
側電極7の引出し部7Aからコンタクトプレート11等
を介して外部に検出信号として出力される。
【0010】10は多孔質のスピネル層等からなる保護
層を示し、該保護層10は図9に示す如くジルコニアチ
ューブ5の外面に全周に亘って設けられ、外側電極8の
外側で白金層9等を覆うようになっている。そして、該
保護層10、白金層9および電極7,8がジルコニアチ
ューブ5と共に酸素濃度検出素子を構成している。
【0011】なお、前記白金層9は0.5μm 程度の薄
膜によって形成され、2mm程度の肉厚のジルコニアチュ
ーブ5、20μm 程度の内側電極7,外側電極8および
50μm 程度の保護層10に比較して非常に薄く形成さ
れる。また、図8中では該保護層10および白金層9を
省略して図示している。
【0012】11は絶縁筒体4内に配設されたコンタク
トプレートを示し、該コンタクトプレート11は導電性
の金属板を曲げ加工することにより形成され、その一端
側には円板状のコンタクト部11Aが、他端側には外部
に導出されるリード線12と接続された接続部11Bが
それぞれ設けられている。そして、該コンタクトプレー
ト11のコンタクト部11Aはジルコニアチューブ5の
開口端5A端面と絶縁筒体4との間にディスクスプリン
グ13のばね力により挟持され、内側電極7の引出し部
7Aと接続されている。
【0013】14はキャップ3の縮径部3C内に配設さ
れ、リード線12の周囲をシールしているシール部材、
15はジルコニアチューブ5を保護すべく、ホルダ2に
固着されたプロテクタを示し、該プロテクタ15には排
気ガス導入用の長孔15A,15A,…が形成されてい
る。
【0014】従来技術による酸素センサは上述の如き構
成を有するが、次に、前記ジルコニアチューブ5、内側
電極7、外側電極8、白金層9および保護層10からな
る酸素濃度検出素子の製造方法について述べる。
【0015】まず、酸素濃度検出素子本体となるジルコ
ニアチューブ5の成形工程では、予めジルコニア(Zr
2 )の粉体にイットリア(Y23 )の粉体とバイン
ダとを混合し、これを成形型等に充填し焼成(仮焼成)
することにより、基端側が大径の開口端5Aとなり、先
端側が閉塞端5Bとなったジルコニアチューブ5を、断
面U字形状をなす固体電解質層として成形する。
【0016】次に、ジルコニアチューブ5の内面に内側
電極7を形成する内側電極形成工程では、予め白金とジ
ルコニアとを溶剤と共に混合して内側電極7の素材とな
る電極ペーストを調製し、該電極ペーストの一部をジル
コニアチューブ5の内面に帯状に塗布し、内側電極7の
引出し部7Aを形成する。
【0017】そして、その後は塗布具等を用いて前記電
極ペーストをジルコニアチューブ5の閉塞端5B側等に
薄膜状に塗布して付着させ、これによってジルコニアチ
ューブ5の内面に図9に例示するように筒状塗布部7B
を形成する。
【0018】かくして、ジルコニアチューブ5の内面に
内側電極7を形成した後に、ジルコニアチューブ5の外
面に塗布等の手段を用いて外側電極8を形成し、この上
から順次白金層9および保護層10を積層化するように
形成して、ジルコニアチューブ5、内側電極7、外側電
極8、白金層9および保護層10からなる酸素濃度検出
素子を製造する。
【0019】而して、このように構成される従来技術の
酸素濃度検出素子を備えた酸素センサでは、センサ本体
1をおねじ部2Aを介して排気管等に螺着することによ
り、ジルコニアチューブ5の先端側をプロテクタ15と
共に排気管内に突出させ、この排気管内を流れる排気ガ
ス中の酸素濃度を検出する。
【0020】即ち、排気ガスは空気と燃料との混合気を
燃焼させた廃ガスであるから、排気ガス中の酸素濃度は
ジルコニアチューブ5の内側の大気に比較して低下し、
ジルコニアチューブ5の内側と外側とでは酸素濃度に大
きな濃度差が生じる。
【0021】このため、固体電解質からなるジルコニア
チューブ5には内側から外側へと酸素イオンが通り抜け
るようになり、内側電極7と外側電極8との間には起電
力が生じる。そして、この起電力は排気ガス中の酸素濃
度に応じて増減するから、このときの起電力を酸素濃度
の検出信号としてコンタクトプレート11、リード線1
2等を介して外部のコントロールユニット(図示せず)
に出力させ、コントロールユニット側でこの検出信号に
基づいて燃料噴射量等を補正すべく、空燃比をフィード
バック制御するようになっている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術による酸素濃度検出素子では、ジルコニアチュー
ブ5の内面に内側電極7を形成するときに、塗布具等を
用いて内側電極7の素材となる電極ペーストを、ジルコ
ニアチューブ5の閉塞端5B側等に手作業で塗布し、該
ジルコニアチューブ5の内面に電極ペーストを薄膜状に
付着させることによって、内側電極7の筒状塗布部7B
を形成しているに過ぎないから、内側電極7の形成作業
に手間がかかる上に、該内側電極7の筒状塗布部7Bが
作業者の熟練度等に応じて不均一な形状になり易いとい
う問題がある。
【0023】特に、従来技術では、内側電極7の筒状塗
布部7Bが図9に示す如く、ジルコニアチューブ5の内
面に不均一な模様をなすように形成されると、ジルコニ
アチューブ5の内面に所定の深さレベルH(例えば、閉
塞端5Bの端面から10mm程度に及ぶ高さレベル)を
もって内側電極7の筒状塗布部7Bを、ジルコニアチュ
ーブ5の内面全周に亘り形成できないという問題があ
る。
【0024】そして、従来技術では、内側電極7の筒状
塗布部7Bが所定の深さレベルHに達していない場合
に、酸素センサとしての特性にバラツキが生じ易く、エ
ンジンの空燃比フィードバック制御を安定して行うこと
が難しいという問題がある。
【0025】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明はジルコニアチューブ等の素子本
体の内面に内側電極を均一な深さレベルをもって安定し
て形成でき、特性のバラツキを効果的に低減できると共
に、電極ペーストの消費量を効果的に低減でき、信頼性
や寿命を確実に向上できるようにした酸素濃度検出素子
の製造方法を提供することを目的としている。
【0026】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1に記載の発明では、基端側が開口端と
なり先端側が閉塞端となった酸素濃度検出素子本体を成
形する成形工程と、内側電極の素材となる電極ペースト
を前記素子本体の内面に付着させるため、前記素子本体
内に電極ペーストを注入する注入工程と、前記素子本体
の内面に付着した電極ペーストを残して前記電極ペース
トを素子本体内から吸上げる吸上げ工程と、該吸上げ工
程の後に前記素子本体の内面に付着した電極ペーストを
均一な膜状に押し広げるため前記素子本体内の電極ペー
ストに向けて気体を吹付ける吹付け工程とを含んでなる
酸素濃度検出素子の製造方法を採用している。
【0027】
【0028】また、請求項に記載した発明によると
前記吹付け工程では、乾燥した気体を前記素子本体の内
面に向けて吹付けるようにしている
【0029】さらに、請求項に記載した発明による
、前記電極ペーストの注入工程に先立って、前記素子
本体の内面に向けて気体を噴出させることにより気体洗
浄を施すようにしている
【0030】
【作用】上記構成により、請求項1に記載の発明では、
酸素濃度検出素子本体内に電極ペーストを注入したとき
に、該電極ペーストを前記素子本体の内面に滲み込ませ
るようにして付着でき、その後の吸上げ工程で素子本体
内から電極ペーストを吸上げるときには、残余の電極ペ
ーストを前記素子本体の内面に付着させた状態で残して
おくことができる。
【0031】この場合、前記吸上げ工程の後に気体の吹
付け工程を実施することにより、このときの気体の吹付
け圧によって、前記素子本体の内面に付着した電極ペー
ストを均一な膜状に押し広げることが可能となり、前記
素子本体の内面に電極ペーストからなる安定した薄膜状
の内側電極を形成できる。
【0032】また、請求項に記載した発明のように、
乾燥した気体を前記素子本体の内面に向けて吹付けるこ
とにより、前記素子本体の内面に付着した電極ペースト
を均一な膜状に押し広げることができると共に、電極ペ
ーストを早期に乾燥させることができ、前記素子本体の
内面に電極ペーストからなる薄膜状の内側電極をより安
定させて形成することができる。
【0033】さらに、請求項に記載した発明のよう
に、前記電極ペーストの注入工程に先立って、前記素子
本体の内面に気体洗浄を施すことにより、前記素子本体
の内面を清浄化した状態で、前記電極ペーストを素子本
体の内面に滲み込ませるようにして付着でき、電極ペー
ストからなる内側電極の付着強度を確実に向上させるこ
とができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1ないし図7に基
づき詳述する。なお、実施例では前述した図8および図
9に示す従来技術と同一の構成要素に同一の符号を付
し、その説明を省略するものとする。
【0035】図中、21は本実施例による酸素濃度検出
素子本体としてのジルコニアチューブを示し、該ジルコ
ニアチューブ21は従来技術で述べたジルコニアチュー
ブ5と同様に、断面U字形状をなす固体電解質層として
形成され、その基端側は大径の開口端21Aとなり、先
端側は閉塞端21Bとなっている。
【0036】22はジルコニアチューブ21の内面に形
成された内側電極を示し、該内側電極22も前記従来技
術で述べた内側電極7とほぼ同様に、引出し部22Aお
よび筒状塗布部22Bからなるものの、該内側電極22
は筒状塗布部22Bが、ジルコニアチューブ21の閉塞
端21B側に少なくとも所定の深さレベルHをもってジ
ルコニアチューブ21の内面全周に亘り均一な薄膜状に
形成されている。
【0037】また、ジルコニアチューブ21の外面には
従来技術のジルコニアチューブ5と同様に、塗布等の手
段を用いて外側電極8が形成され、この上から白金層9
および保護層10が順次積層化するように形成されてい
る。そして、ジルコニアチューブ21は内側電極22、
外側電極8、白金層9および保護層10と共に本実施例
による酸素濃度検出素子(以下、検出素子という)を構
成しているものである。
【0038】本実施例による検出素子は上述の如き構成
を有するもので、その基本的動作については従来技術に
よるものと格別差異はない。
【0039】そこで、本実施例による検出素子の製造方
法について図2ないし図7を参照して詳述する。
【0040】まず、検出素子本体となるジルコニアチュ
ーブ21の成形工程では、ジルコニアの粉体に対してイ
ットリアの粉体とバインダとを混合し、これを成形型等
に充填して仮焼成することにより、図2に示すように基
端側が大径の開口端21Aとなり、先端側が閉塞端21
Bとなったジルコニアチューブ21を、断面U字形状を
なす固体電解質層として成形する。
【0041】次に、ジルコニアチューブ21の内面に内
側電極22を形成する工程では、従来技術と同様に、白
金およびジルコニアを溶剤と共に混合して内側電極22
の素材となる電極ペーストPを予め調製しておく。
【0042】そして、洗浄ノズル23を図3に示すよう
にジルコニアチューブ21内に開口端21A側から挿入
し、該洗浄ノズル23の先端側からジルコニアチューブ
21内に気体としてのエアを噴出させることによって、
ジルコニアチューブ21の内面にエア洗浄を施し、該ジ
ルコニアチューブ21の内面を清浄化する。そして、前
記電極ペーストPの一部をジルコニアチューブ21の内
面に帯状に塗布し、内側電極22の引出し部22Aを形
成する。
【0043】次に、この状態で、図4に示す注入・吸引
装置24により注入工程を実施し、前記電極ペーストP
をジルコニアチューブ21内に所定の深さレベルH以上
の液位をもって注入する。
【0044】ここで、注入・吸引装置24は、電極ペー
ストPを収容したタンク25と、上部側が該タンク25
に電磁弁等の開閉弁26を介して接続され、注入・吸引
装置24の本体部を構成する注入・吸引シリンダ27
と、該シリンダ27内に摺動可能に挿嵌され、駆動手段
(図示せず)により矢示A1 ,A2 方向に駆動されるプ
ランジャ28と、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ
素系弾性樹脂材料によって管状に形成され、前記シリン
ダ27の下部側に電磁弁等の開閉弁29を介して接続さ
れた可撓性ホース30と、上端側が該可撓性ホース30
に継手31を介して接続され、昇降手段(図示せず)に
より矢示B1 ,B2 方向へと上,下に昇降される昇降ノ
ズル32とから大略構成されている。
【0045】そして、図4に示す注入工程では、小径の
開口端32Aとなった昇降ノズル32の下端側をジルコ
ニアチューブ21内に閉塞端5B側に近い位置まで挿入
し、開閉弁26を閉じ開閉弁29を開いた状態でプラン
ジャ28を矢示A1 方向にシリンダ27内へと進入させ
ることにより、該シリンダ27内の電極ペーストPを開
閉弁29および可撓性ホース30等を介して昇降ノズル
32の開口端32Aからジルコニアチューブ21内に注
入する。
【0046】そして、ジルコニアチューブ21内に所定
の深さレベルH以上に亘って電極ペーストPを溜めた状
態で一定時間が経過した後に、次なる吸上げ工程では、
プランジャ28を図5に示す矢示A2 方向に後退させ、
ジルコニアチューブ21内に溜めた電極ペーストPをシ
リンダ27内に吸上げる。
【0047】この場合、吸上げ工程に先立って、予めジ
ルコニアチューブ21内に溜められた電極ペーストPは
その一部が、多孔質状をなすジルコニアチューブ21の
内面側に滲み込むように付着し、吸上げ工程でジルコニ
アチューブ21内から電極ペーストPを吸上げたときに
も、一部の電極ペーストPは図5に点線で示す如くジル
コニアチューブ21の内面に付着した状態を保つように
なる。
【0048】なお、前述のように吸上げ工程が完了する
と、開閉弁29を閉じると共に開閉弁26を開くことに
より、シリンダ27内にタンク25からの電極ペースト
Pを満たすようにし、次なるジルコニアチューブ21の
注入工程に備える。
【0049】次に、図6に示す気体としてのエアの吹付
け工程では、ジルコニアチューブ21内にエアノズル3
3を閉塞端21B側に近い位置まで挿入し、該エアノズ
ル33の先端33Aから乾燥したエアを噴出させること
により、ジルコニアチューブ21の内面に付着した電極
ペーストPをエアの噴出圧で均一な膜状に押し広げるよ
うにし、ジルコニアチューブ21の内面に電極ペースト
Pを薄膜状に付着させ、これによってジルコニアチュー
ブ21の内面に図7に示す如く内側電極22の筒状塗布
部22Bを形成する。
【0050】そして、ジルコニアチューブ21の内面に
内側電極22を形成した後には、従来技術で述べたと同
様に、ジルコニアチューブ21の外面に塗布等の手段を
用いて外側電極8を形成し、この上から順次白金層9お
よび保護層10を積層化するように形成して、図1に示
す如くジルコニアチューブ21、内側電極22、外側電
極8、白金層9および保護層10からなる検出素子を製
造する。
【0051】かくして、本実施例によれば、図4に示す
注入工程でジルコニアチューブ21内に電極ペーストP
を注入したときに、該電極ペーストPをジルコニアチュ
ーブ21の内面に滲み込ませるようにして付着でき、そ
の後の吸上げ工程でジルコニアチューブ21内から電極
ペーストPを吸上げるときには、該電極ペーストPの一
部をジルコニアチューブ21の内面に付着させた状態で
残しておくことができる。
【0052】この結果、その後の吹付け工程で乾燥した
エアを、ジルコニアチューブ21の内面に向けて吹付け
るときには、ジルコニアチューブ21の内面に付着した
電極ペーストPを均一な膜状に押し広げることができ、
ジルコニアチューブ21の内面に電極ペーストPからな
る内側電極22の筒状塗布部22Bを安定した薄膜状に
形成することができる。
【0053】ここで、本実施例による内側電極22の抵
抗値(常温での内側電極両端間の抵抗値)、検出素子の
内部抵抗(センサ活性時の内,外電極間の抵抗)、起電
力および電極ペーストPの塗布重量について、複数のサ
ンプル品の平均値およびその標準偏差を調べることによ
り、下記の表1(従来品を100とした場合の本実施例
の比率)に示すような結果を得た。
【0054】
【表1】
【0055】そして、本実施例による検出素子では、表
1に示す如く従来品に比較して、抵抗値および内部抵抗
を確実に低下させることができ、電極ペーストPの塗布
重量(消費量)も12%程度まで低減できることが確認
された。また、内,外の酸素濃度差による検出素子の起
電力については僅かに下がっているものの、本実施例の
検出素子では標準偏差が小さくなり、各検出素子毎の起
電力のバラツキを低減できることが分かった。
【0056】さらに、本実施例による検出素子を酸素セ
ンサとして自動車用エンジンに実装し、それぞれの空燃
比A/Fおよび応答性(排気ガス中の酸素濃度が変化す
るときの反応速度)について複数のサンプル品の平均値
およびその標準偏差を調べることにより、下記の表2
(従来品を100とした場合の本実施例の比率)に示す
ような結果を得た。
【0057】
【表2】
【0058】この結果、本実施例による検出素子は、数
時間に及ぶ耐久試験の後にも空燃比A/Fおよび応答性
が初期に比較して実質的に変化することがなく、耐久性
や寿命を向上できると共に、従来品に比較して標準偏差
が小さくなり、各検出素子毎の空燃比A/Fおよび応答
性のバラツキを低減できることが確認された。
【0059】これに対し、従来品の場合には、数時間に
及ぶ耐久試験の後に空燃比A/Fおよび応答性が共に低
下し、各検出素子毎のバラツキ(標準偏差)も大きくな
っている。
【0060】従って、本実施例によれば、図4に示す注
入工程、図5に示す吸上げ工程および図6に示すエアの
吹付け工程を順次実施することによって、ジルコニアチ
ューブ21の内面に電極ペーストPからなる内側電極2
2の筒状塗布部22Bを安定した薄膜状に形成すること
ができ、検出素子としての特性(抵抗値、内部抵抗およ
び起電力等)のバラツキを確実に低減できると共に、酸
素センサとしてエンジンに実装した場合の特性(空燃比
A/Fおよび応答性等)のバラツキも効果的に低減する
ことができる。
【0061】この場合、前記電極ペーストPの注入工程
に先立って、図3に示す如くジルコニアチューブ21の
内面にエア洗浄を施すことにより、ジルコニアチューブ
21の内面を清浄化した状態で、電極ペーストPをジル
コニアチューブ21の内面に滲み込ませるようにして付
着でき、電極ペーストPからなる内側電極22の付着強
度を確実に向上させることができる。
【0062】また、図5に示す吸上げ工程では、ジルコ
ニアチューブ21内に所定の深さレベルH以上に亘って
電極ペーストPを溜めた状態で一定時間が経過した後
に、ジルコニアチューブ21内に溜めた電極ペーストP
をシリンダ27内に吸上げることにより、電極ペースト
Pを余分に消費することなく、内側電極22の筒状塗布
部22Bを、ジルコニアチューブ21の内面に少なくと
も所定の深さレベルHをもって均一に形成でき、電極ペ
ーストPの塗布重量(消費量)を効果的に低減すること
ができる。
【0063】さらに、図6に示す吹付け工程では、乾燥
したエアをジルコニアチューブ21の内面に向けて吹付
けることにより、ジルコニアチューブ21の内面に付着
した電極ペーストPを均一な膜状に押し広げることがで
きると共に、電極ペーストPを早期に乾燥させることが
でき、ジルコニアチューブ21の内面に電極ペーストP
からなるより安定した薄膜状の内側電極22を形成でき
る。そして、酸素濃度検出素子としての信頼性を高める
ことができると共に、耐久性や寿命を確実に向上できる
等、種々の効果を奏する。
【0064】なお、前記実施例では、電極ペーストPの
注入工程に先立って、内側電極22の引出し部22Aを
形成する前に、図3に示す如くジルコニアチューブ21
の内面にエア洗浄を施すものとして述べたが、本発明は
これに限るものではなく、例えば電極ペーストPの注入
工程に先立って、エア以外の気体をジルコニアチューブ
21の内面に噴射させて洗浄作業を行うようにしてもよ
い。
【0065】また、前記実施例では、図6に示す吹付け
工程で、乾燥したエアをジルコニアチューブ21の内面
に向けて吹付けるものとして述べたが、本発明はこれに
限るものではなく、例えばエア以外の高圧気体をジルコ
ニアチューブ21の内面に噴射させ、このときの気体圧
力により、ジルコニアチューブ21の内面に沿って電極
ペーストPを均一な膜状に押し広げるようにしてもよ
い。
【0066】さらに、前記実施例では、電極ペーストP
の注入・吸引装置24に設ける開閉弁26,29を電磁
弁によって構成するものとして述べたが、これに替え
て、例えば開閉弁26,29をパイロットエア圧等で
開,閉されるパイロット式開閉弁等で構成してもよい。
【0067】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1の発明によ
れば、素子本体内に電極ペーストを注入する注入工程の
後に、前記素子本体内から電極ペーストを吸上げる吸上
げ工程と、前記素子本体内に残った電極ペーストに向け
て気体を吹付ける吹付け工程とを実施するようにしたか
ら、前記注入工程で電極ペーストを前記素子本体の内面
に滲み込ませるようにして付着でき、その後の吸上げ工
程で素子本体内から電極ペーストを吸上げたときにも、
一部の電極ペーストを前記素子本体の内面に付着させた
状態で確実に残しておくことができる。従って、ジルコ
ニアチューブ等の素子本体の内面に内側電極を所定の深
さレベルをもって安定して形成でき、特性のバラツキを
効果的に低減できると共に、電極ペーストの消費量を効
果的に低減でき、信頼性や寿命を確実に向上させること
ができる。
【0068】この場合、前記吸上げ工程の後に吹付け工
程を実施し、前記素子本体の内面に向けて気体圧を吹付
けることにより、前記素子本体の内面に付着した電極ペ
ーストを均一な膜状に押し広げることができ、素子本体
の内面に電極ペーストからなる安定した薄膜状の内側電
極を均一な深さレベルをもって形成できる。また、酸素
濃度検出素子としての特性のバラツキを効果的に低減で
き、信頼性や寿命を確実に向上できる上に、電極ペース
トの消費量を効果的に低減でき、コストダウンを図るこ
とができる。
【0069】また、請求項に記載した発明のように、
吹付け工程では乾燥した気体を前記素子本体の内面に向
けて吹付けることにより、前記素子本体の内面に付着し
た電極ペーストを均一な膜状に押し広げることができる
と共に、電極ペーストを早期に乾燥させることができ、
前記素子本体の内面に電極ペーストからなる薄膜状の内
側電極をより安定させて形成することができる。
【0070】さらに、請求項に記載した発明のよう
に、前記電極ペーストの注入工程に先立って、前記素子
本体の内面に気体洗浄を施すことにより、前記素子本体
の内面を清浄化した状態で、前記電極ペーストを素子本
体の内面に滲み込ませるようにして付着でき、電極ペー
ストからなる内側電極の付着強度を確実に向上させるこ
とができる。なお、気体としてエアを用いる場合には、
コストが極めて低いこと、製品の使用環境と同じである
ために耐食性等の検討を必要としないこと等の種々の効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による酸素濃度検出素子を拡大
して示す縦断面図である。
【図2】成形工程によって成形されたジルコニアチュー
ブを示す縦断面図である。
【図3】エアによる洗浄工程を示すジルコニアチューブ
の縦断面図である。
【図4】電極ペーストの注入工程を示す注入・吸引装置
およびジルコニアチューブ等の縦断面図である。
【図5】電極ペーストの吸上げ工程を示す注入・吸引装
置およびジルコニアチューブ等の縦断面図である。
【図6】エアの吹付け工程を示すジルコニアチューブの
縦断面図である。
【図7】ジルコニアチューブの内面に内側電極を形成し
た状態を示す縦断面図である。
【図8】従来技術による酸素センサを示す縦断面図であ
る。
【図9】図8中のジルコニアチューブ、内側電極および
外側電極等を拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
8 外側電極 9 白金層 10 保護層 21 ジルコニアチューブ(酸素濃度検出素子本体) 21A 開口端 21B 閉塞端 22 内側電極 22A 引出し部 22B 筒状塗布部 23 洗浄ノズル 24 注入・吸引装置 25 タンク 27 注入・吸引シリンダ 28 プランジャ 30 可撓性ホース 32 昇降ノズル 33 エアノズル P 電極ペースト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野塚 準二 神奈川県厚木市恩名1370番地 株式会社 ユニシアジェックス内 (56)参考文献 特開 平4−323549(JP,A) 特開 平5−54899(JP,A) 特開 平6−32645(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/409 G01N 27/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基端側が開口端となり先端側が閉塞端と
    なった酸素濃度検出素子本体を成形する成形工程と 側電極の素材となる電極ペーストを前記素子本体の内
    面に付着させるため、前記素子本体内に電極ペーストを
    注入する注入工程と 記素子本体の内面に付着した電極ペーストを残して、
    前記素子本体内から電極ペーストを吸上げる吸上げ工程
    該吸上げ工程の後に前記素子本体の内面に付着した電極
    ペーストを均一な膜状に押し広げるため前記素子本体内
    の電極ペーストに向けて気体を吹付ける吹付け工程と
    含んでなる酸素濃度検出素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記吹付け工程では、乾燥した気体を前
    記素子本体の内面に向け吹付けてなる請求項に記載の
    酸素濃度検出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記電極ペーストの注入工程に先立っ
    て、前記素子本体の内面に向けて気体を噴出させること
    により気体洗浄を施してなる請求項1または2に記載の
    酸素濃度検出素子の製造方法。
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