JP3185001B2 - プレートコンパクタの起振方法およびその装置 - Google Patents

プレートコンパクタの起振方法およびその装置

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JP3185001B2
JP3185001B2 JP32335192A JP32335192A JP3185001B2 JP 3185001 B2 JP3185001 B2 JP 3185001B2 JP 32335192 A JP32335192 A JP 32335192A JP 32335192 A JP32335192 A JP 32335192A JP 3185001 B2 JP3185001 B2 JP 3185001B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレートコンパクタの
起振方法およびその装置に係り、特に、良好な走行性能
を持ち、かつ、アスファルト合材の押し出し現象のない
プレートコンパクタの起振方法およびその装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】図6は、従来の2軸振動式プレートコン
パクタの側面断面図を示し、図中、iはプレート、j
は、このプレートi上に固定設置されて第1の偏心軸a
および第2の偏心軸bの回転によりプレートに振動を与
える起振体、kは、前記プレートiの上部に防振部材
g,g′を介して固定設置されたベースf上に載置固定
された駆動源、nはこの駆動源kの出力軸に装着された
遠心クラッチ、oは駆動源kの回転動力を前記第2の偏
心軸aに伝達するベルト伝動機構、qはベースfに装着
された操向ハンドルである。駆動源kの回転動力が伝達
される前記第1の偏心軸aと第2の偏心軸bとは、平行
態様に支承されると共に、図示しない歯車機構を介し
て、互いに逆方向に回転可能に連結されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の2軸振
動式プレートコンパクタは、1軸式プレートコンパクタ
に比較して、走行スピードが速いが、やわらかな地盤を
締固めると、極端に作業スピードが低下する。これは、
次のような理由による。
【0004】従来の2軸振動式プレートコンパクタの振
動方式は、図6に示すように、同一回転モーメントの偏
心ウエイトを、同一水平面上にならべ、進行方向に向い
斜め上方と、進行方向と逆向きの斜め下方において、鉛
直方向となす角度φ1 で位相が合うように、同一回転数
で、相互に反対回りで回転させる方法であり、両偏心質
量の位相に対応した起振力Fの関係は、図7に示す如く
なる。すなわち、図7(b)の両偏心質量の各位相の段
階(1〜8)に対応したバネ下の重量の重心に働く重心
を起点とした起振力のベクトルの各段階は、図7(a)
の段階(1〜8)に示す如くなる。したがって、両偏心
質量により、防振部材を隔てて下側に位置するプレート
コンパクタ(以下、本明細書においてはバネ下とい
う。)の重量の重心に加わる起振力Fは、図7の (a)に
示すように、鉛直方向となす角度φはφ1 で、周期的に
直線上を変化する。ここで、起振力Fは垂直方向より角
度φ=φ1 で加わるとし、プレートコンパクタの重量を
Wとすると、図6の力の関係は、図8に示す如くなり、
地盤からプレートへの垂直抗力Nは、 N=W+F cosφ1 となり、最大摩擦力Fm は、 Fm =μN=μ(W+F cosφ1 ) となる。プレートコンパクタが地盤上をすべらない条件
は、 F sinφ1 ≦Fm =μ(W+F cosφ1 ) プレートコンパクタの起振力は、通常、自重の20倍程
度であるから、Wを無視すると、 F sinφ1 ≦Fm =μF cosφ1 すなわち、静止摩擦角度をφm として、 tanφ1 ≦μ= tanφm ∴ φ1 ≦φm を満たせば、プレートコンパクタは、すべらないことと
なる。
【0005】ところが、やわらかい地盤の場合、 ・地盤の静摩擦係数μが小さい。 ・地盤の粘性減衰係数cが大きい。 といった特性がある。
【0006】地盤の静摩擦係数μが小さいのでφm も小
さくなり、通常の地盤では、すべらないのに、やわらか
い地盤ですべる可能性がもともと高い。図6に示す従来
の2軸振動式プレートコンパクタでは、起振力Fの斜め
下方に加わるベクトル角度φが常に一定のため、φm
φより小さい場合、起振力が斜め下方に加わると、ほと
んどすべる状態となって、極端に作業スピードが落ちて
しまう結果となる。
【0007】また、やわらかい地盤は粘性減衰係数cが
大きいので、地盤からプレートへの垂直抗力Nの位相が
起振力Fの垂直成分より遅れる。このため、プレートコ
ンパクタを前進方向と逆向きに動かす振動が最大値付近
となった時に、地盤からプレートコンパクタの反力が、
まだ小さな値のため、十分な摩擦力Fm が働かないこと
により、すべりを生じて十分な走行スピードが出ない。
例えば、図7の (a)において、起振力Fが図中の「5」
のときに、地盤からの垂直抗力Nに位相遅れを生じなけ
れば、起振力Fの最大値をFmax として、 N=W+Fmax ・ cosφ1 となるが、φ1 =45°で、45°の位相遅れを生ずるとす
ると、 N=W+Fmax ・ cosφ1 /21/2 となり、位相遅れがない場合に比較して、Nの値が小さ
くなってしまう。これにより、起振力Fの値が大きいの
に、最大摩擦係数Fm が小さな値なので、すべりやすく
なるのである。
【0008】一方、プレートコンパクタは、大型締固め
機械では舗装作業ができないような幅の狭い場所、壁ぎ
わ、マンホールのまわり、のり面等の締固めの他、道路
補修整型で使用されるケースが一般的であるが、その際
に、手まきによるアスファルト合材を締固める場合が多
い。そのような場合に、図6に示すような従来の2軸振
動式プレートコンパクタで作業を行うと、図9に示すよ
うに、プレートの地盤への着地時にバネ下重量が傾いた
状態となり、プレート前部の前側のアスファルト合材が
盛り上がって、いわゆる押し出し現象が発生し、締固め
表面を荒らしてしまうことがある。すなわち、手まきに
よるアスファルト合材Asを、機械Pにより、締固め済路
面As′のように締固め作業を行うと、機械Pが、P′に
示す如く傾き、プレート前部の前側のアスファルト合材
に盛り上がり部Uを形成するものである。これは、次の
ような理由による。
【0009】振動によりプレートが地盤より浮いた状態
になると、防振部材を隔てて上部側に位置するプレート
コンパクタの重量、いわゆるバネ上の重量の影響もなく
はないが、その影響は小とみなすと、バネ下はバネ下重
量の重心まわりに自由に回転できる状態になっていて、
起振装置によって発生するモーメントMt により、バネ
下は、回転運動を開始して、回転による運動エネルギが
蓄積される。この運動エネルギが多量に蓄積され、プレ
ートが着地して、一挙にそのエネルギを仕事に変換した
時に、「アスファルト合材を押し出す」という現象が発
生するものと推定される。
【0010】図10は、従来の2軸振動式プレートコン
パクタについての振動方式の説明図であって、偏心質量
部分をシンボル化した図である。バネ下重量の重心Gの
上方の点cを中心として略等距離の位置に、第1の偏心
軸aおよび第2の偏心軸bを軸間距離Lで平行態様に配
し、それぞれの偏心質量mおよび偏心軸からの距離rを
互いに同一とし、互いに逆方向に回転する角速度をωと
する。プレートコンパクタの作業時にあっては、通常角
速度ωは一定の値である。防振部材より下側の重心Gを
通り、第1の偏心軸aおよび第2の偏心軸bの各偏心重
りの位相の一致する角度φ1 をなす直線EDにより、2
つの偏心軸a,bを結んだ線分abを2との線分に分割
し、第1の偏心軸a側の線分長をL′と定める。第1の
偏心軸aおよび第2の偏心軸bの各偏心重りの位相が一
致した状態から角度θだけ回転するときのバネ下重量の
重心Gのまわりに、偏心軸より加わるモーメントMt
計算する。 Mt =−mrω2 cos θ×L′ cosφ1 +mrω2 cos θ×
(L−L′) cosφ1+mrω2 sin θ×(L′ sinφ1
+h/ cosφ1 )+mrω2 sin θ×{(L−L′) sin
φ1 −h/ cosφ1 ) =mrω2 (L−2L′) cosφ1 cosθ+mrω2 L sin
φ1 sinθ モーメントMt は、変数 cosθとその他の定数を含む第
1項および変数 sinθとその他の定数を含む第2項に分
けられる。
【0011】図11の(a),(b) は、角度θおよび図7の
(b)に示す各位相の段階に対応したcosθ, sinθの値
を示す。厳密にいうと、地盤の条件、バネ上の条件その
他により多少変わるが、概略、図7の (a)中の数字の7
→8→1→2→3の段階の間、プレートが空中にあると
想定される。その間に着目して、図11の(a),(b) を見
ると、 cosθはすべてプラス側にあり、 sinθは当初
(7の段階)はマイナスの最大値だが、中間段階(1の
段階)では0となり、最終段階(3の段階)ではプラス
の最大値となって、原点に関して点対称となっている。
すなわち、前記モーメントMt の式は、7→8→1→2
→3の段階の間に、第1項はすべてプラスで、回転に関
する運動エネルギの蓄積に寄与するが、第2項は、前半
の段階で蓄積された回転による運動エネルギが後半の段
階で打ち消されるようになっているので、回転に関する
運動エネルギの蓄積にほとんど寄与しないことがわか
る。したがって、図7の (a)のように、2つの等しい偏
心質量が、プレートコンパクタの前後方向のほぼ中央位
置に水平になるように配置されている場合、モーメント
t の式における第1項の定数項mrω2 (L−2L′)
の値が大きく、プレートが地盤から離れている間に、プ
レートのバネ下重量の重心まわりの回転による運動エネ
ルギが多く蓄積され、プレートの着地時に一挙にエネル
ギが仕事に変換されてアスファルト合材を押し出す現象
が発生すると想定される。
【0012】本発明は、上記した従来技術の有する問題
点を解決し、やわらかい地盤を締固める場合でも、走行
スピードが極端に落ちることがなく、かつ、通常の締固
め地盤における作業でも、より走行スピードを速め得る
ようにすると共に、締固めの際、アスファルト合材の押
し出し現象の発生を防止し得るプレートコンパクタの起
振方法およびその装置をを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの手段として、本発明は、偏心軸を回転させることに
より、プレートに振動を与える起振装置を有し、この振
動によりプレートコンパクタを移動させながら地盤の締
固めを行うに当り、起振体によって、防振部材より下側
の重量の重心に働く重心を起点とした力のベクトルの終
点の軌跡を、長径がプレートコンパクタの進行方向とは
逆の斜め下方から進行方向の斜め上方になるように傾斜
した楕円状の形状に沿い、かつ、この楕円状の形状の上
側ではプレートコンパクタの進行方向と同一方向で、楕
円形状の下側では進行方向と逆方向となるような回転方
向に循環させることを特徴とするプレートコンパクタの
起振方法を構成した。また、防振部材を隔てて下側に位
置させて、駆動源の回転動力が伝達される駆動偏心軸
と、1以上の従動偏心軸を支承し、この従動偏心軸の1
つが前記駆動偏心軸に伝動機構を介して互いに逆方向に
回転可能に連結され、前記各偏心軸を回転させることに
より、プレートに振動を与えるプレートコンパクタの起
振装置において、起振体によって、防振部材より下側の
重量の重心に働く重心を起点とした力のベクトルの終点
の軌跡を、長径がプレートコンパクタの進行方向とは逆
の斜め下方から進行方向の斜め上方になるように傾斜し
た楕円状の形状に循環させ、かつ、循環の回転方向を、
この楕円状の形状の上側ではプレートコンパクタの進行
方向と同一方向で、楕円形状の下側では進行方向と逆方
向となるような振動系を備えることを特徴とするプレー
トコンパクタの起振装置を構成すると共に、駆動偏心軸
と、これに対して逆方向に回転する従動偏心軸とのそれ
ぞれの偏心モーメントを異ならせ、かつ、偏心モーメン
トの大きい方の偏心軸の回転方向を、偏心軸の上側でプ
レートコンパクタの進行方向と同一方向で、偏心軸の下
側でプレートコンパクタの進行方向と逆方向となるよう
に設定して構成し、さらに、防振部材を隔ててより下側
の重量の重心を通り、駆動偏心軸と、これに対して逆方
向に回転する従動偏心軸との2つの偏心軸の偏心重りの
位相の一致する角度をなす直線により、前記2つの偏心
軸を結んだ線分を2つの線分に分割したとき、前記2つ
の偏心軸の偏心モーメントの割合を、互いに、遠い方の
線分長に略等しい割合として構成した。
【0014】
【作用】上記の手段により、地盤がやわらかいため、静
摩擦係数が小さく、静止摩擦角度(φm )が小さくなっ
たとしても、バネ下重量の重心Gに働く起振力Fが、楕
円形状に循環するので、少なくとも、起振力Fが垂直方
向となす角度(φ)が、楕円形状の下側のある一定の範
囲で必ず、静止摩擦角度(φm )と同等ないしそれ以下
(φ≦φm )となり、その範囲では地盤を確実にグリッ
プする。地盤からプレートへの垂直抗力Nの大きさは、
プレートが地盤に接触している間は、プレートコンパク
タの重量Wの値をFの値と比較して十分小とみなして、
Wの値を無視すると、ほぼ力Fの垂直成分の増減に応じ
た値で推移する。ただし、やわらかい地盤は、一般的に
粘性減衰係数cが大きいため、垂直抗力Nの位相は起振
力Fの垂直成分の位相より遅れる。しかし、やわらかい
地盤においても、力Fが、楕円形状に循環するので、垂
直抗力Nの位相が遅れても、プレートが、振動で地盤を
後方に蹴るタイミングに合わせて、垂直抗力Nがむしろ
大きくなる傾向となる。したがって、すべりにくくな
る。
【0015】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面を参照して詳
細に説明する。図1は、本発明を実施した2軸振動式プ
レートコンパクタの側面断面図である。プレートiの上
部に、防振部材g,g′を介してベースmが固定設置さ
れ、このベースf上に載置固定された駆動源kの回転動
力をベルト伝動機構oにより第2の偏心軸(駆動偏心
軸)Bに伝達する。第1の偏心軸(従動偏心軸)Aは、
図示しない歯車機構を介して、第2の偏心軸Bと互いに
逆方向に回転可能に連結されている。駆動偏心軸Bと従
動偏心軸Aの回転により起振体jを構成し、プレートi
に振動を与える。このとき、駆動偏心軸Bと、これに対
して逆方向に回転する従動偏心軸Aとは、それぞれの偏
心モーメントを異ならせて構成し、進行方向に向い斜め
上方と、進行方向と逆向きの斜め下方において、鉛直方
向となす角度φ1 で位相が合うように、同一回転数で、
相互に反対回りで回転させ、偏心モーメントの大きい方
の偏心軸の回転方向を、偏心軸の上側でプレートコンパ
クタの進行方向と同一方向で、偏心軸の下側でプレート
コンパクタの進行方向と逆方向となるように設定してい
る。
【0016】両偏心質量の位相に対応した起振力の関係
は、図2に示す如くなる。すなわち、図2(b)の両偏
心質量の各位相の段階(1〜8)に対応したバネ下の重
量の重心に働く重心を起点とした起振力のベクトルの段
階は、図2(a)の段階(1〜8)に示す如くなる。し
たがって、ベクトルの終点の軌跡は、長径がプレートコ
ンパクタの進行方向とは逆の斜め下方から進行方向の斜
め上方となるように傾斜した楕円状の形状に循環し、か
つ、循環の回転方向を、この楕円状の形状の上側ではプ
レートコンパクタの進行方向と同一方向で、楕円形状の
下側では進行方向と逆方向となる。この場合、2つの偏
心軸の偏心モーメントの大きさの割合は、次のようにし
ている。バネ下の重量の重心Gを通り、偏心軸Aと、こ
れに対して逆方向に回転する偏心軸Bとの2つの偏心軸
の偏心重りの位相の一致する角度をなす直線により、前
記2つの偏心軸を結んだ線分を2つの線分に分割したと
き、前記2つの偏心軸の偏心モーメントの割合を、互い
に、遠い方の線分長に略等しい割合とする。
【0017】図1は、偏心軸AとBが同一水平面上にあ
る実施例であり、図3の偏心軸Bを、B′の位置に一致
させた一例である。図3および図4は、偏心軸A,Bが
同一水平面上にある場合もない場合も含め、一般化し
て、偏心質量部分をシンボル化して表現した実施例であ
って、偏心軸Aと偏心軸Bの偏心重りの位相の一致する
方向の角度をなし、バネ下重量の重心Gを通る直線DE
が、2つの偏心軸のBよりもA寄りにある場合が、図3
であり、直線DEが、2つの偏心軸のAよりもB寄りに
ある場合が、図4である。
【0018】前述の通り、プレートコンパクタによるア
スファルト合材の締固め作業において、プレートが振動
により、地盤から離れた後の着地時に、バネ下重量の重
心まわりの回転運動による運動エネルギが多量に蓄積さ
れていると、その運動エネルギが、一挙に、着地時に、
「アスファルト合材を押し出す」という仕事に変換さ
れ、締固め面に悪影響を及ぼす。まず、図3の実施例
は、バネ下重量が同図中の斜線部内に設定されている場
合であり、この場合について、説明を行う。図3につい
ても、図1と同様に、偏心軸Aと偏心軸Bは、歯車等に
より動力伝達が行われており、互いに逆方向に、かつ図
3に示す方向に角速度ωで回転している。偏心軸Aに
は、大きさをMの偏心質量が偏心中心Aから距離Rで付
いており、偏心軸Bには、大きさをmの偏心質量が偏心
中心Bから距離rで付いている。かつ、MR>mrの関
係が成立している。また、バネ下重量の重心を通り、駆
動偏心軸と、これに対して逆方向に回転する従動偏心軸
との2つの偏心軸の位相の一致する角度をなす直線によ
り、前記2つの偏心軸を結んだ線分を2つの線分に分割
したとき、前記2つの偏心軸の偏心モーメントの割合
を、互いに、遠い方の線分長に略等しい割合となってお
り、これは、図3中の記号を利用すると、 MR/mr≒(L−L′)/L′ の式に置き換わる。次に、図4の実施例は、バネ下重量
が同図中の斜線部内に設定されている場合であり、この
場合についても、以下に説明を行う。図4についても、
軸Aと偏心軸Bは、歯車等により動力伝達が行われてお
り、互いに逆方向に、かつ図4に示す方向に角速度ωで
回転している。偏心軸Aには、大きさをMの偏心質量が
偏心中心Aから距離Rで付いており、偏心軸Bには、大
きさをmの偏心質量が偏心中心Bから距離rで付いてい
る。かつ、MR<mrの関係が成立している。また、バ
ネ下重量の重心を通り、駆動偏心軸と、これに対して逆
方向に回転する従動偏心軸との2つの偏心軸の位相の一
致する角度をなす直線により、前記2つの偏心軸を結ん
だ線分を2つの線分に分割したとき、前記2つの偏心軸
の偏心モーメントの割合を、互いに、遠い方の線分長に
略等しい割合となっており、これは、図4中の記号を使
用すると、 MR/mr≒(L−L′)/L′ の式に置き換わる。
【0019】図3におけるバネ下の重量の重心Gに働く
起振力Fと、そのまわりのモーメントMt を計算する。
【0020】バネ下の重量の重心Gに加わる起振力Fを
図3のX座標成分FX とY座標成分FY に分ける。 FX =−MRω2 sinθ+mrω2 sinθ=−(MR−
mr)ω2 sinθ FY =MRω2 cosθ+mrω2 cosθ=(MR+m
r)ω2 cosθ 両式より、 FX 2 /{(MR−mr)ω2 2 +FY 2 /{(MR
+mr)ω2 2 =1 …式1 これにより、バネ下の重量の重心Gに加わる起振力F
は、重心Gを起点とした力のベクトルとして、その終点
の軌跡が、長径がプレートコンパクタの進行方向とは逆
の斜め下方から進行方向の斜め上方になるように傾斜し
た楕円状の形状に沿い、かつ、この楕円状の形状の上側
ではプレートコンパクタの進行方向と同一方向で、楕円
形状の下側では進行方向と逆方向となるような回転方向
に循環する図2の (a)に示す振動系をとることがわか
る。
【0021】やわらかな地盤の摩擦係数は、一般的に、
小さいので静止摩擦角度φm が小さくなるが、上記のよ
うに、力Fが、楕円形状に循環するので、少なくとも、
力Fが垂直方向となす角度φが図2の (a)における楕円
形状の下側にある一定の範囲で必ず、φ≦φm となり、
その範囲では地盤を確実にグリップする。したがって、
プレートが地盤を蹴る時に常にすべる状態ということが
なくなり、走行スピードが極端に落ちるということがな
くなる。
【0022】地盤からプレートへの垂直抗力Nの大きさ
は、プレートが地盤に接触している間は、プレートコン
パクタの重量Wの値をFの値と比較して十分小とみなし
て、Wの値を無視すると、ほぼ力Fの垂直成分の増減に
応じた値で推移する。ただし、やわらかい地盤は、一般
的に粘性減衰係数cが大きいため、垂直抗力Nの位相は
起振力Fの垂直成分の位相より遅れる。しかし、力F
が、図2の (a)のように、楕円形状に循環するので、例
えば図2の (a)において、力Fが「5」の時のNの値が
「4」の時の力Fの垂直成分の値となったりして、最大
摩擦力が大きくなり、すべりにくくなる。なお、位相遅
れが、図2の (a)において、力Fが「6′」の時(力F
の水平成分の最大値の時)に、Nの値が「4′」の時の
力Fの垂直成分となるように、循環楕円の形状がなって
いれば、最大の推進力の時に、最大の摩擦力が発揮さ
れ、理想的なことになる。このことから、本発明に係る
起振方法およびその装置を適用することにより、優れた
走行性能が得られることがわかる。
【0023】次に、プレートコンパクタによるアスファ
ルト合材の締固めにおいて、合材の押し出しに係わるモ
ーメントMt について計算する。 Mt =−MRω2 cosθ・L′ cosφ1 +mrω2 cosθ・(L−L′) cosφ1 +MRω2 sinθ・(L′ sinφ1 +h/ cosφ1 )−mrω2 sinθ・p =ω2 cosφ1 ・{−MRL′+mr(L−L′)} cosθ +ω2 ・{MR(L′ sinφ1 +h/ cosφ1 )−mrp} sinθ …式2 この式の第1項は、 MR/mr≒(L−L′)/L′ …式3 を満足する条件により、ほぼ0である。これにより、締
固め表面を荒らすプレートによる合材の押し出し現象を
防止できる。その理由を以下に述べる。
【0024】厳密にいうと、地盤の条件、バネ上の条件
その他により多少変わるが、図4の場合も、力Fの各段
階は、概略、図2でいうと、数字の7→8→1→2→3
の段階の間、プレートが空中にあると想定される。その
間に着目して、図11の(a),(b) を見ると、 cosθはす
べてプラス側にあり、 sinθは当初(7の段階)はマイ
ナスの最大値だが、中間段階(1の段階)では0とな
り、最終段階(3の段階)ではプラスの最大値となっ
て、原点に関して点対称となっている。すなわち、前記
モーメントMt の式は、7→8→1→2→3の段階の間
に、第1項はすべてプラスで、回転に関する運動エネル
ギの蓄積に寄与するが、第2項は、前半の段階で蓄積さ
れた回転による運動エネルギが後半の段階で打ち消され
るようになっているので、回転に関する運動エネルギの
蓄積にほとんど寄与しないことがわかる。また、式2の
第1項は、式3の関係で、ほぼ0であり、ほとんど回転
による運動エネルギの蓄積がなされない。式2の第2項
については、式3の関係より、 p={(L−L′)/L′}(L′ sinφ1 +h/ cosφ1 ) …式4 となれば、第2項も0となり、Mt が常に0となって、
理想的ではあるが、式2の第2項は sinθの項であり、
前記課題の欄で詳細に説明したように、プレートが地盤
より離れた後の着地時におけるバネ下重心まわりの回転
運動による運動エネルギ蓄積に、ほとんど寄与しない。
したがって、着地時にプレートの先端部による急な大き
な仕事(衝突)に影響をあまりおよぼさない。よって、
式4は、これが成立しなくても、式3が成立すれば、ア
スファルト合材の押し出し現象は発生しない。例えば、
式3を満足すれば、図5すなわち図1のように図3のB
の位置をB′の位置としても、実用上ほとんど問題な
い。
【0025】一方、図4のように、バネ下の重量の重心
位置Gが、図の斜線の範囲内にあるように設定した場合
については、前述の如く、各偏心軸の偏心モーメントを
MR〈mrとして、各偏心軸を角速度ωで、図3とは逆
方向に回転させる。これにより、式1が同様に成立し
て、バネ下重量の重心位置に加わる力はFは、楕円形状
に循環し、しかも重心Gに働く、重心Gを起点とした力
のベクトルの終点の軌跡が、長径がプレートコンパクタ
の進行方向とは逆の斜め下方から進行方向の斜め上方に
なるように傾斜した楕円状の形状に沿い、かつ、この楕
円状の形状の上側ではプレートコンパクタの進行方向と
同一方向で、楕円形状の下側では進行方向と逆方向とな
る図2の (a)に示す振動系をとることがわかる。したが
って、図3の場合と同様に、優れた走行性能が得られ
る。式2も、図3の場合と同様に成立し、式4が成立す
れば最も良いが、これが成立しなくても、2つの偏心軸
の偏心モーメントの割合を式3のように設定さえすれ
ば、プレートが地盤より離れた後の着地時に重心まわり
の回転運動による運動エネルギが蓄積されておらず、ア
スファルト合材の押し出し現象等の締固め路面に悪影響
を及ぼす現象は、発生しない。
【0026】なお、バネ下重量の重心を基点とした起振
力Fのベクトルの終点の軌跡は、正確な楕円でなくても
良く、楕円に近似した楕円状の形状でさえあれば構わな
い。また、本実施例においては、2軸振動式のプレート
コンパクタに限って説明したが、2軸を越える例えば4
軸その他の多軸の場合でも、本発明の要旨を逸脱しない
範囲において有効であり、前記した要件を備えさせるこ
とにより、同様の効果を奏し得る。
【0027】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明に係るプ
レートコンパクタの起振方法およびその装置によれば、
やわらかい地盤を締固める場合でも、バネ下重量の重心
Gに働く力Fが、楕円形状に循環するので、少なくと
も、力Fが垂直方向となす角度(φ)が、楕円形状の下
側のある一定の範囲で必ず、静止摩擦角度φm と同等な
いしそれ以下(φ≦φm )となり、その範囲では地盤を
確実にグリップする。したがって、走行スピードが極端
に落ちることがない。地盤からプレートへの垂直抗力N
の大きさは、プレートが地盤に接触している間は、プレ
ートコンパクタの重量Wの値をFの値と比較して十分小
とみなして、Wの値を無視すると、ほぼ力Fの垂直成分
の増減に応じた値で推移する。ただし、やわらかい地盤
は、一般的に粘性減衰係数cが大きいため、垂直抗力N
の位相は起振力Fの垂直成分の位相より遅れる。しか
し、力Fが、楕円形状に循環するので、最大摩擦力が大
きくなり、すべりにくくなる。したがって、本発明に係
る起振方法およびその装置を適用することにより、優れ
た走行性能が得られるものである。また、アスファルト
合材の締固めの際、プレートが地盤より離れた後の着地
時にバネ下重量の重心Gのまわりの回転運動による運動
エネルギが蓄積されていないので、アスファルト合材の
押し出し現象の発生を防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施した2軸振動式プレートコンパク
タの側面断面図である。
【図2】(a), (b)は、本発明を実施した2軸振動式プレ
ートコンパクタにおける防振部材より下側の重量の重心
に偏心軸によって加わる力の解析図であり、2つの偏心
質量の (b)の各位相の段階に対応した起振力のベクトル
を (a)に示す。
【図3】本発明を実施した2軸振動式プレートコンパク
タにおける振動方式の偏心質量部分をシンボル化した説
明図である。
【図4】本発明を実施した2軸振動式プレートコンパク
タにおける振動方式の偏心質量部分をシンボル化した説
明図である。
【図5】本発明を実施した2軸振動式プレートコンパク
タにおける振動方式の説明図である。
【図6】従来の2軸振動式プレートコンパクタの側面断
面図である。
【図7】(a), (b)は、従来の2軸振動式プレートコンパ
クタにおける防振部材より下側の重量の重心に偏心軸に
よって加わる起振力の解析図であり、2つの偏心質量の
(b)の各位相の段階に対応した起振力のベクトルを (a)
に示す。
【図8】垂直抗力と最大摩擦力の関係説明図である。
【図9】従来のプレートコンパクタによるアスファルト
合材の押し出し現象を説明するための状態図である。
【図10】従来の2軸振動式プレートコンパクタにおけ
る振動方式の説明図である。
【図11】(a), (b)は、それぞれ、 cosθ, sinθのθ
の値に対応する関数値を示す図である。ただし、( )
内の数字は、図1 (b)と図7 (b)の偏心質量の各位相段
階の数字である。
【符号の説明】
A 第1の偏心軸 B 第2の偏心軸 G 防振部材より下側の重量の重心 i プレート j 起振体 k 駆動源 g,g′ 防振部材 f ベース n 遠心クラッチ o ベルト伝動機構

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 偏心軸を回転させることにより、プレー
    トに振動を与える起振装置を有し、この振動によりプレ
    ートコンパクタを移動させながら地盤の締固めを行うに
    当り、起振体によって、防振部材より下側の重量の重心
    に働く重心を起点とした力のベクトルの終点の軌跡を、
    長径がプレートコンパクタの進行方向とは逆の斜め下方
    から進行方向の斜め上方になるように傾斜した楕円状の
    形状に沿い、かつ、この楕円状の形状の上側ではプレー
    トコンパクタの進行方向と同一方向で、楕円形状の下側
    では進行方向と逆方向となるような回転方向に循環させ
    ることを特徴とするプレートコンパクタの起振方法。
  2. 【請求項2】 防振部材を隔てて下側に位置させて、駆
    動源の回転動力が伝達される駆動偏心軸と、1以上の従
    動偏心軸を支承し、この従動偏心軸の1つが前記駆動偏
    心軸に伝動機構を介して互いに逆方向に回転可能に連結
    され、前記各偏心軸を回転させることにより、プレート
    に振動を与えるプレートコンパクタの起振装置におい
    て、起振体によって、防振部材より下側の重量の重心に
    働く重心を起点とした力のベクトルの終点の軌跡を、長
    径がプレートコンパクタの進行方向とは逆の斜め下方か
    ら進行方向の斜め上方になるように傾斜した楕円状の形
    状に循環させ、かつ、循環の回転方向を、この楕円状の
    形状の上側ではプレートコンパクタの進行方向と同一方
    向で、楕円形状の下側では進行方向と逆方向となるよう
    な振動系を備えることを特徴とするプレートコンパクタ
    の起振装置。
  3. 【請求項3】 駆動偏心軸と、これに対して逆方向に回
    転する従動偏心軸とのそれぞれの偏心モーメントを異な
    らせ、かつ、偏心モーメントの大きい方の偏心軸の回転
    方向を、偏心軸の上側でプレートコンパクタの進行方向
    と同一方向で、偏心軸の下側でプレートコンパクタの進
    行方向と逆方向となるように設定した請求項2に記載の
    プレートコンパクタの起振装置。
  4. 【請求項4】 防振部材より下側の重量の重心を通り、
    駆動偏心軸と、これに対して逆方向に回転する従動偏心
    軸との2つの偏心軸の偏心重りの位相の一致する角度を
    なす直線により、前記2つの偏心軸を結んだ線分を2つ
    の線分に分割したとき、前記2つの偏心軸の偏心モーメ
    ントの割合を、互いに、遠い方の線分長に略等しい割合
    とした請求項3に記載のプレートコンパクタの起振装
    置。
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