[第1実施形態]
図1において、内視鏡2は、体内に挿入される挿入部10と、挿入部10の基端部分に連設された操作部11と、操作部11に連設されたユニバーサルコード12とを備える。ユニバーサルコード12は、内視鏡2と、内視鏡2で撮影した画像信号を処理するプロセッサ装置(図示せず)、及び内視鏡2に導光される照明光を発光する光源装置(図示せず)とを接続するもので、画像信号や制御信号を送信するための信号ケーブル38(図3参照)や、照明光を導光するライトガイドなどが配設されている。
挿入部10は、先端部13と、先端部13の基端に連設された湾曲自在な湾曲部14と、湾曲部14の基端に連設された可撓性を有する軟性部15とを有する。軟性部15は先端部13を体内の目的の位置に到達させるために数mの長さをもつ。
湾曲部14は、複数個(例えば、16個)の湾曲駒20を直列に連結したものであり、先頭の湾曲駒20は先端部13に固定され、後端の湾曲駒20は軟性部15に固定されている。湾曲駒20には、操作部11から軟性部15を通って湾曲部14へ延びる操作ワイヤ45(図3及び図4参照)が連結されている。
操作ワイヤ45は、上下用及び左右用の2組設けられており、それぞれの操作ワイヤ45の基端側は、操作部11に設けられた上下アングルノブ21及び左右アングルノブ22の操作に連動して回転するプーリに掛け回されている。上下アングルノブ21が回転操作されると、上下用の操作ワイヤ45が押し引きされて湾曲部14が上下方向に湾曲動作し、左右アングルノブ22が回転操作されると、操作ワイヤ45が押し引きされて湾曲部14が左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部13を体内の所望の方向に向けることができる。
操作部11には、鉗子入口23が設けられている。鉗子入口23には、患部の治療に用いられる鉗子やスネアといった処置具が挿通される。鉗子入口23は、挿入部10内に配設された鉗子チャンネル24に接続され、鉗子チャンネル24は、先端部13に設けられた鉗子出口33(図2参照)に接続される。
操作部11には、送気・送水ボタン25および吸引ボタン26が設けられている。送気・送水ボタン25は、エアーや水などの流体を、挿入部10内に設けられた送気・送水チャンネル(図示せず)を通じて、先端部13に設けられた噴射ノズル34(図2参照)から噴射させるために使用される。吸引ボタン26は、体内の液体や生体組織等の被吸引物を、鉗子チャンネル24を通じて吸引する際に操作される。
図2及び図3に示すように、先端部13の先端には、樹脂製の先端キャップ13aが取り付けられており、先端キャップ13aには、観察窓31、照明窓32、鉗子出口33、噴射ノズル34などが設けられている。観察窓31の奥には、体腔内の被観察部位の像光を取り込むための対物光学系35が配されている。対物光学系35は、対物レンズやプリズム35aからなり、対物光学系35の光軸はプリズム35aによって90°屈曲される。撮像素子36は、プリズムから像光が射出する射出面と撮像面が対面するように横置き(撮像面が軸方向と平行な向き)に配置されている。回路基板37は、撮像素子36を実装するとともに、撮像素子36を駆動する駆動回路も実装する。回路基板37には、多芯ケーブルからなる信号ケーブル38が接続されている。信号ケーブル38は、挿入部10からユニバーサルコード12へ延びており、プロセッサ装置に接続される。
照明窓32は、観察窓31を挟んだ両側に設けられ、照明光を被観察部位に向けて照射する。照明窓32の奥には、ライトガイド(図示せず)が配設されており、ライトガイドは、挿入部10からユニバーサルコード12へ延びており、光源装置に接続されている。
先端部13は、対物光学系35、撮像素子36、回路基板37、ライトガイドや鉗子チャンネル24の先端部付近などが取り付けられる、円筒状の金属製の先端部本体41を有している。先端部本体41の先端には、先端キャップ13aが嵌合される。先端部本体41の後端には、先頭の湾曲駒20と接続するための接続部41aを有する。
図4及び図5に示すように、湾曲駒20は、ステンレスなどの金属製であり、複数の湾曲駒20は、各湾曲駒20の回動中心となる、連結ピン43によって連結されている。以下では、説明の都合上、複数の湾曲駒20のうち、湾曲部14の最も先端側に位置するものを湾曲駒20A、湾曲部14の最も基端側に位置するものを湾曲駒20Bとする。湾曲駒20Bは、軟性部15の接続管57Aと連結される。各湾曲駒20は、湾曲駒20Aと湾曲駒20Bとを除いて、先端側と後端側にそれぞれ、連結ピン43が挿通される一対の舌片44が設けられている。舌片44は、先端側において上下に設けられている場合には、後端側では左右に設けられるというように、上下と左右に交互に設けられている。隣接する湾曲駒20は、上下あるいは左右の舌片44同士が連結ピン43を介して連結される。
また、湾曲駒20の内周面には、上下用及び左右用の2組の操作ワイヤ45を湾曲部14内でガイドするワイヤガイド46が形成されている。また、軟性部15内には、操作ワイヤ45をガイドするコイルパイプ47が設けられている。なお、図3及び図4においては、図面の煩雑化を防ぐため、1組の操作ワイヤ45、これらをガイドするワイヤガイド46、及びコイルパイプ47のみを図示しているが、実際は、軸方向に直交する断面を示す図9のように、1組の操作ワイヤ45に対して周方向に約90°ずらした位置にもう1組の操作ワイヤ45と、これらをガイドするワイヤガイド46及びコイルパイプ47が設けられている。
ワイヤガイド46には、2組の操作ワイヤ45が摺動自在に挿通される。操作ワイヤ45の先端は、先端側の湾曲駒20Aにろう付けなどにより固定され、基端側は、操作部11まで延設されて、プーリに取り付けられる。上下アングルノブ21が回転操作されると、上下用の1組の操作ワイヤ45が押し引きされて、各湾曲駒20が、左右の舌片44に取り付けられた連結ピン43を中心に回動し、湾曲部14が上下方向に湾曲する。左右アングルノブ22が回転操作されると、左右用の1組の操作ワイヤ45が押し引きされて、各湾曲駒20が上下の舌片44に取り付けられた連結ピン43を中心に回動し、湾曲部14が左右方向に湾曲する。
湾曲駒20内には、信号ケーブル38、ライトガイド、鉗子チャンネル24、送気・送水チャンネルが挿通されている。湾曲駒20の外周は、ブレード51によって被覆される。ブレード51の端部外周面には、金属リング52が嵌合される。なお、図3及び図4においては、金属リング52はブレード51の基端部のみに設けられているが、ブレード51の先端部に設けてもよい。ブレード51の外周は、筒状に形成されたゴム製の外皮であるアングルゴム53が被せられる。ブレード51は、金属製の複数の素線が編組されて形成される網状体である。ブレード51は、連結された複数の湾曲駒20を被覆することで、各湾曲駒20の姿勢を安定させる。また、アングルゴム53は、その内周面がブレード51と接することで、密着力が向上する。なお、図5及び図6においては、図面の煩雑化を防ぐため、ブレード51、アングルゴム53を省略している。
アングルゴム53の先端側は、先端部13の先端部本体41も被覆する。アングルゴム53の先端は、糸54が巻き付けられて先端部13に固定される。糸54が巻き付けられた箇所は、シール材が塗布されて固められる。また、アングルゴム53の基端側は、軟性部15の先端側まで被覆する。
軟性部15は、ステンレスなどの金属性の条帯を螺旋状に巻き回してなる螺旋管55と、螺旋管55の外周に被せられ、ステンレスなどの金属製の素線をネット状に編組した網状体であるブレード56と、ステンレスなどの金属製であり、ブレード56の両端部外周面に固着された接続管57A,57Bと、ブレード56の外周に押し出し成形により被覆された樹脂製の外皮58とを有する。接続管57Aは軟性部15の先端側に位置し、接続管57Bは軟性部15の基端側に位置する。接続管57Aは湾曲部14に連結され、接続管57Bが操作部11に連結される。接続管57A,57Bは、ブレード56の外周に嵌合されており、一部がブレード56とともに外皮で被覆されている。なお、軟性部15の構成としては、ブレード56をなくし、螺旋管55の外周面に直接外皮58を被覆してもよい。
次に、図6〜図10を参照しながら、円筒状部品である湾曲駒20B(第1円筒状部品)と、接続管57A(第2円筒状部品)とを接合して湾曲部14と軟性部15とを連結する構造、及び接合方法について説明する。なお、円筒状部品とは、略円筒状の部品を含む。本実施形態では、湾曲駒20Aと接続管57Aとが、接合用ブッシュ61及び挿入ピン62を用いて接合される。接合用ブッシュ61及び挿入ピン62はステンレスから形成することが好ましい。
湾曲駒20Bは、4個の第1連結用貫通孔63が形成されている。第1連結用貫通孔63は、湾曲駒20の軸方向において同じ位置、且つ周方向において互いに異なる位置に配され、本実施形態では、周方向に90°の等間隔で配されている。第1連結用貫通孔63は、湾曲駒20Bの外周面64aから内周面64bへ貫通する円形状の貫通孔である。また、湾曲駒20Bは、上述したように、先端側に連結用の舌片44が形成される。
接続管57Aは、内周面67bに、湾曲駒20Bの外周面64aが筒心方向から挿入されて嵌合し、この嵌合状態で、第1連結用貫通孔63と連通する位置に配された第2連結用貫通孔68が形成されている。第2連結用貫通孔68は、接続管57Aの軸方向において同じ位置、且つ周方向において互いに異なる位置に配され、本実施形態では、第1連結用貫通孔63と同様に周方向に90°の等間隔で配されている。第2連結用貫通孔68は、接続管57Aの外周面67aから内周面67bへ貫通し、第1連結用貫通孔63の内径R1よりも内径R2(ともに図11(A)参照)が大きい円形状の貫通孔である。
また、接続管57Aは、第2連結用貫通孔68の基端側には、内周面67bの内径が小さくなる段差部67cが形成されている。なお、接続管57Aの外周面67bには、上述したように外皮58が被覆されるが、第1及び2連結用貫通孔63,68に、接合用ブッシュ61及び挿入ピン62が取り付けられるスペースには、被覆されないように外皮58が形成されている。
接続管57Aの内周面67bに湾曲駒20Bの外周面64aが嵌合し、段差部67cに湾曲駒20Bの基端部64cが当接する位置まで押し込まれると、第1及び第2連結用貫通孔63,68の位置が筒心方向に一致する。
図9に示すように、接合用ブッシュ61は、筒心方向が短い円筒形状に形成されており、内周面61aには、挿入ピン62が挿入される。なお、ここでいう円筒形状とは、略円筒形状であることを含む。接合用ブッシュ61は、第1連結用貫通孔63を貫通する貫通部71と、第1連結用貫通孔63の内周面64b側周縁を係止する係止爪72と、第2連結用貫通孔68と嵌合する嵌合部73とが形成され、径方向に弾性変形可能な弾性を有する。連通する第1及び第2連結用貫通孔63,68に取り付けられるとき、接合用ブッシュ61は、係止爪72が形成されている先端側から挿入される。
接合用ブッシュ61は、挿入ピン62の挿入前、係止爪72の最大径DA1が第1連結用貫通孔63の内径R1よりも小さく形成されており、且つ内周面61aが、嵌合部73側の内径r2から係止爪72側の内径r1に向かって内径が次第に減少するテーパーに形成されている。
係止爪72は、挿入方向先端に向かって外径が徐々に縮小するテーパー面72aを有する。また、接合用ブッシュ61は、係止爪72側から嵌合部73側へ向かって筒心方向に切り欠かれる一対の係止爪変位用切欠き74を有する。係止爪変位用切欠き74は、係止爪72の先端から貫通部71の基端付近まで配されており、嵌合部73には形成されていない。この係止爪変位用切欠き74が形成されていることにより、挿入ピン62の挿入時に、接合用ブッシュ61の先端側が径方向に拡大しやすくなっている。
嵌合部73は、最大径DA2が、第1連結用貫通孔63の内径R1よりも大きく、第2連結用貫通孔68の内径R2に合わせて形成され、筒心方向の長さが第2連結用貫通孔68と等しい。これにより、嵌合部73は、第2連結用貫通孔68と嵌合するとともに、第2連結用貫通孔68を貫通する。嵌合部73は、挿入ピン62の挿入前後ともに、最大径DA1が変化しないように形成されている。また、貫通部71は、第1連結用貫通孔63の内径R1と等しい、または若干小さい外径に形成されている。
挿入ピン62は、円柱状の軸部76と、軸部76の挿入方向基端側に形成され、軸部76よりも外径が大きい頭部77とを有する。軸部76の外径RPは、接合用ブッシュ61の嵌合部73側の内径r2と等しく、または若干大きく形成されている。
図10に示すように、貫通部71を第1連結用貫通孔63に貫通させるとともに、嵌合部73を第2連結用貫通孔68に嵌合させて、接合用ブッシュ61を第1及び第2連結用貫通孔63,68に貫通させた状態とする。この貫通状態で、接合用ブッシュ61の基端側から内周面61aに挿入ピン62の軸部76が挿入され、係止爪72が径方向外側に変位し、最大径が第1連結用貫通孔63の内径R1よりも大きくなる。よって、挿入ピン62は、係止爪72と第1連結用貫通孔63の内周面64b側周縁との係止解除を規制する状態を保つことができ、接合用ブッシュ61及び挿入ピン62が湾曲駒20B及び接続管57Aに取り付けられる。なお、図10は、接合用ブッシュ61の係止爪変位用切欠き74に沿った断面であるため、係止爪72が図示されていないが、この状態では、上述したように係止爪72が第1連結用貫通孔63の内周面64b側周縁を係止している(図11(C)に示す状態)。また、図10では省略しているが、湾曲駒20B内には、上述したように、信号ケーブル38、ライトガイド、鉗子チャンネル24、送気・送水チャンネルなどが挿通されている。
接合用ブッシュ61及び挿入ピン62を用いて湾曲駒20Bと接続管57Aとを接合して湾曲部14と軟性部15とを連結する組立工程について説明する。先ず、図11(A)に示すように、接続管57Aの内周面67bに湾曲駒20Bの外周面64aを嵌合させ、湾曲駒20Bの基端部64cを接続管57Aの段差部67cに当接する位置まで押し込む。このとき、第1連結用貫通孔63と、第2連結用貫通孔68との位置をそれぞれ合わせる。また、このとき、湾曲部14及び軟性部15には、操作ワイヤ45、コイルパイプ47等が挿通された状態となっている。
そして、接合用ブッシュ61を、外周面67a側から、連通する第1及び第2連結用貫通孔63,68へ挿入する工程を行う。このとき、係止爪72の最大径DA1は、第1連結用貫通孔63の内径R1より小さいため、容易に通過させることが可能であり、接合用ブッシュ61は、第1及び第2連結用貫通孔63,68を貫通し、且つ嵌合部73が第2連結用貫通孔63に嵌合した状態となる。
図11(B)に示すように、接合用ブッシュ61が第1及び第2連結用貫通孔63,68を貫通した状態で、挿入ピン62の軸部76を内周面61aの基端側から挿入する。上述したように、接合用ブッシュ61の係止爪72が径方向外側に変位し、係止爪72の最大径が第1連結用貫通孔63の内径R1よりも大きくなる。
図11(C)に示すように、挿入ピン62の頭部77が接合用ブッシュ61の基端に当接する位置まで挿入されると、挿入ピン62は、係止爪72と第1連結用貫通孔63の内周面64b側周縁との係止解除を規制する状態を保つことができる。また、このとき、挿入ピン62は内周面61aと嵌合して固定される。以上のようにして、4組の接合用ブッシュ61及び挿入ピン62が湾曲駒20B及び接続管57Aに取り付けられ、両者が接合される。
以上のように、接合用ブッシュ61が第1及び第2連結用貫通孔63,68を貫通した状態で、接合用ブッシュ61の内周面61aに挿入ピン62を挿入するという容易な組立作業で、湾曲部14と軟性部15とを連結させることができる。また、接合用ブッシュ61及び挿入ピン62が湾曲駒20B及び接続管57Aに取り付けられたとき、接続管57Aの外周面67a側に挿入ピン62の頭部77が突出し、湾曲駒20Bの内周面64b側に係止爪72が突出した状態となるが、これら係止爪72及び頭部77の寸法を抑えることで、接合用ブッシュ61及び挿入ピン62周辺の取り付けスペースを小さくして挿入部10のさらなる細径化を図ることができる。
一方、メンテナンスや修理のため、湾曲部14と軟性部15との分解作業を行うときは、先ず、アングルゴム53の位置をずらし、接合用ブッシュ61及び挿入ピン62を露呈させる状態にする。そして工具などを用いて頭部77を把持して挿入ピン62を引き抜き、続いて接合用ブッシュ61を取り外す。なお、接合用ブッシュ61の取り外しには、図12に示すような治具78を用いることが好ましい。この治具78は、先端部78aの外径が接合用ブッシュ61の嵌合部73側の内径r2に合わせた大きさに形成されており、先端部78aの基端側には、接合用ブッシュ61の先端に形成されたテーパー面72aと合わせて形成されたテーパー面78bが形成されている。
図12(A)に示すように、接合用ブッシュ61が第1及び第2連結用貫通孔63,68を貫通した状態で、治具78の先端部78aを内周面61aの基端側から挿入する。接合用ブッシュ61は、弾性を有するため、治具78の先端部78aは、内周面61aを通過して接合用ブッシュ61の先端側まで挿入される。図12(B)に示すように、先端部78aのテーパー面78bを接合用ブッシュ61のテーパー面72aに合わせると、係止爪72の外径が縮小した状態を保ち、接合用ブッシュ61を第1及び第2連結用貫通孔63,68から容易に取り外すことができる。
このように、接合用ブッシュ61及び挿入ピン62を取り外して湾曲駒20Bと接続管57Aとの接合を解除し、分離することができる。挿入ピン62は、湾曲駒20B及び接続管57Aに直接接触していないため、引き抜き作業の際、湾曲駒20B及び接続管57Aを傷付けることがない。また、接合用ブッシュ61は、係止爪72の外径が縮小した状態で湾曲駒20B及び接続管57Aから取り外すことができる。このため、部品に傷をつけることを防ぎ、簡単に分解作業を行うことができる。そして、各部品のメンテナンス又は修理後、湾曲部14や軟性部15の大部分を再利用することができる。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、係止爪72の最大径DA1が第1連結用貫通孔63の内径R1よりも小さく形成された接合用ブッシュ61を使用する例を上げたが、第2実施形態では、第1連結用貫通孔63の内径R1よりも大きく形成された外径の係止爪を有し、径方向に縮小して第1及び第2連結用貫通孔63,68に挿入可能になる接合用ブッシュ及びこの接合用ブッシュに挿入される挿入ピンを使用する。その他の構成は第1実施形態と同一であり、同一構成部材には、同一符号を付して重複した説明を省略している。
図13〜図15を参照しながら、接合用ブッシュ81及び挿入ピン82を使用し、湾曲駒20Bと、接続管57Aとを接合して湾曲部14と軟性部15とを連結する構造、及び接合方法について説明する。なお、湾曲駒20B及び接続管57Aは、上記第1実施形態と同様の構成である。
図13に示すように、接合用ブッシュ81は、筒心方向が短い円筒形状に形成されており、内周面81aには、挿入ピン82が挿入される。なお、ここでいう円筒形状とは、略円筒形状であることを含む。接合用ブッシュ81は、第1連結用貫通孔63を貫通する貫通部83と、第1連結用貫通孔63の内周面64b側周縁を係止する係止爪84と、第2連結用貫通孔68と嵌合する嵌合部85とが形成され、径方向に弾性変形可能な弾性を有する。連通する第1及び第2連結用貫通孔63,68に取り付けられるとき、接合用ブッシュ81は、係止爪84が形成されている先端側から挿入される。
接合用ブッシュ81は、係止爪84の最大径DB1が第1連結用貫通孔63の内径R1よりも大きく形成されており、且つ先端から基端まで周方向に分離する分離用切欠き86が形成されている。また、接合用ブッシュ81の内周面81aは、先端から基端まで内径rが一定に形成されている。接合用ブッシュ81の弾性により分離用切欠き86が周方向に狭めることで、接合用ブッシュ81は径方向に縮小させることができる。これにより、第1及び第2連結用貫通孔63,68が連通した状態で、接合用ブッシュ81が第2連結用貫通孔68から挿入される際に、分離用切欠き86により係止爪84の最大径が第1連結用貫通孔63の内径R1よりも小さくなり、係止爪84が第1及び第2連結用貫通孔63,68を通過する。また、係止爪84は、挿入方向先端に向かって外径が徐々に縮小するテーパー面84aを有する。
また、接合用ブッシュ81は、分離用切欠き86と筒心対称な位置に、先端から筒心方向に切り欠かれた切り欠き87を有する。切り欠き87は、係止爪84の先端から貫通部83の途中まで配されており、嵌合部85には形成されていない。この切り欠き87が形成されていることにより、第1及び第2連結用貫通孔63,68に取り付けられるとき、係止爪84の最大径が縮小する方向に変形しやすくなっている。
嵌合部85は、最大径DB2が、第1連結用貫通孔63の内径R1よりも大きく、第2連結用貫通孔68の内径R2に合わせて形成され、筒心方向の長さが第2連結用貫通孔68に等しい。これにより、嵌合部85は、第2連結用貫通孔68と嵌合するとともに、第2連結用貫通孔68を貫通する。また、貫通部83は、第1連結用貫通孔63の内径R1と等しい、または若干小さい外径に形成されている。
挿入ピン82は、円柱状の軸部88と、軸部88の挿入方向基端側に形成され、軸部88よりも外径が大きい頭部89とを有する。軸部88の外径RPは、接合用ブッシュ81の内周面81aの内径rと等しく、または若干大きく形成されている。
貫通部83を第1連結用貫通孔63に貫通させるとともに、嵌合部85を第2連結用貫通孔68に嵌合させて、接合用ブッシュ81を第1及び第2連結用貫通孔63,68に貫通させた状態とする。この貫通状態で、接合用ブッシュ81の基端側から内周面81aに挿入ピン82の軸部88が挿入され、分離用切欠き86を周方向に狭める弾性変形ができなくなるので、接合用ブッシュ81は径方向に縮小しない。よって、挿入ピン82は、係止爪84と第1連結用貫通孔63の内周面64b側周縁との係止解除を規制する状態を保つことができ、接合用ブッシュ81及び挿入ピン82が湾曲駒20B及び接続管57Aに取り付けられる。
接合用ブッシュ81及び挿入ピン82を用いて湾曲駒20Bと接続管57Aとを接合して湾曲部14と軟性部15とを連結する組立工程について説明する。先ず、図14(A)に示すように、接続管57Aの内周面67bに湾曲駒20Bの外周面64aを嵌合させ、第1連結用貫通孔63と、第2連結用貫通孔68との位置をそれぞれ合わせる。
そして、接合用ブッシュ81を、外周面67a側から、連通する第1及び第2連結用貫通孔63,68へそれぞれ挿入する工程を行う。このとき、係止爪84の最大径DB1は、第1連結用貫通孔63の内径R1より大きいため、係止爪84のテーパー面84aが第1連結用貫通孔63の周縁と当接する。図14(B)に示すように、接合用ブッシュ81をさらに押し込んでいくと、テーパー面84aが第1連結用貫通孔63の周縁からの押圧を受けることにより接合用ブッシュ81が弾性変形して分離用切欠き86が周方向に狭まるため、第1連結用貫通孔63の内径R1よりも係止爪84の最大径が小さくなり、第1連結用貫通孔63の周縁を乗り越えて、係止爪84が第1及び第2連結用貫通孔63,68を通過することができる。
図15(A)に示すように、係止爪84が第1連結用貫通孔63の周縁を乗り越えると、接合用ブッシュ81は、第1及び第2連結用貫通孔63,68を貫通し、嵌合部85が第2連結用貫通孔63に嵌合し、且つ係止爪84が第1連結用貫通孔63の内周面64b側周縁を係止した状態となる。
図15(B)に示すように、接合用ブッシュ81が第1及び第2連結用貫通孔63,68を貫通した状態で、挿入ピン82の軸部88を内周面81aの基端側から挿入する。挿入ピン62の頭部77が接合用ブッシュ81の基端に当接する位置まで挿入されると、挿入ピン82は、係止爪84と第1連結用貫通孔63の内周面64b側周縁との係止解除を規制する状態を保つことができる。また、このとき、挿入ピン82は内周面81aと嵌合して固定される。以上のようにして、4組の接合用ブッシュ81及び挿入ピン82が湾曲駒20B及び接続管57Aに取り付けられ、両者が接合される。
以上のように、接合用ブッシュ81が第1及び第2連結用貫通孔63,68を貫通した状態で、接合用ブッシュ81の内周面81aに挿入ピン82を挿入するという容易な組立作業で、湾曲部14と軟性部15とを連結させることができる。また、上記第1実施形態と同様に、係止爪84及び頭部89の寸法を抑えることで、接合用ブッシュ81及び挿入ピン82周辺の取り付けスペースを小さくして挿入部10のさらなる細径化を図ることができる。
一方、メンテナンスや修理のため、湾曲部14と軟性部15との分解作業を行うときは、先ず、アングルゴム53の位置をずらし、接合用ブッシュ81及び挿入ピン82を露呈させる状態にする。そして工具などを用いて頭部89を把持して挿入ピン82を引き抜き、続いて接合用ブッシュ81を取り外す。なお、接合用ブッシュ81の取り外しには、上記第1実施形態と同様の治具78を用いることが好ましい。そして、治具78の先端部78aを内周面81aの基端側から先端側へ挿入する。上記第1実施形態と同様に、先端部78aのテーパー面78bを接合用ブッシュ81のテーパー面84aに合わせると、係止爪84の外径が縮小した状態を保ち、接合用ブッシュ84を第1及び第2連結用貫通孔63,68から容易に取り外すことができる。上記第1実施形態と同様に、接合用ブッシュ81及び挿入ピン82を容易に取り外して湾曲駒20Bと接続管57Aとの接合を解除し、分離することができるため、部品に傷をつけることを防ぎ、簡単に分解作業を行うことができる。
[第3実施形態]
上記第1及び第2実施形態では、湾曲駒及び接続管を接合用ブッシュ及び挿入ピンで接合させて湾曲部と軟性部とを連結する内視鏡挿入部を例に上げたが、第3実施形態では、先端部本体と、最も先端側の湾曲駒とを接合させて先端部と湾曲部とを連結する内視鏡挿入部について説明する。その他の構成は第1実施形態と同一であり、同一構成部材には、同一符号を付して重複した説明を省略している。
図16〜図18を参照しながら、先端部91と湾曲部92とを有する内視鏡挿入部90で、先端部本体93(第1円筒状部品)と、最も先端側に位置する湾曲駒94(第2円筒状部品)とを接合して先端部91と湾曲部92とを連結する構造、及び接合方法について説明する。本実施形態では、接合用ブッシュ96及び挿入ピン97を用いて先端部本体93と湾曲駒94とが接合される。なお、図16〜図18では、ブレード51、アングルゴム53、糸54などを省略している。先端部本体93及び湾曲駒94は、上記第1実施形態と同様に金属製である。
先端部本体93の基端に設けられた接続部93aには、2個の第1連結用貫通孔98が形成されている。第1連結用貫通孔98は、湾曲駒20の軸方向において同じ位置、且つ周方向において互いに異なる位置に配されている。第1連結用貫通孔98は、接続部93aの外周面93bから内周面93cへ貫通する円形状の貫通孔である。
湾曲駒94は、内周面94bに、先端部本体93の外周面93bが筒心方向から挿入されて嵌合し、この嵌合状態で、第1連結用貫通孔98と連通する位置に配された2個の第2連結用貫通孔100が形成されている。第2連結用貫通孔100は、湾曲駒94の筒心方向において同じ位置、且つ周方向において互いに異なる位置に配されている。第1及び第2連結用貫通孔98,100は、ともに周方向に180°の等間隔で配されている。第2連結用貫通孔100は、湾曲駒94の外周面94aから内周面94bへ貫通し、第1連結用貫通孔98よりも内径が大きい円形状の貫通孔である。
図17に示すように、接合用ブッシュ96及び挿入ピン97は、上記第2実施形態の接合用ブッシュ81及び挿入ピン82と同様に形成されている。接合用ブッシュ96は、第1連結用貫通孔98を貫通する貫通部101と、第1連結用貫通孔98の内周面93c側周縁を係止する係止爪102と、第2連結用貫通孔100と嵌合する嵌合部103とが形成され、径方向に弾性変形可能な弾性を有する。また、接合用ブッシュ96は、係止爪102の最大径が第1連結用貫通孔98の内径よりも大きく形成されており、且つ先端から基端まで周方向に分離する分離用切欠き104が形成されている。これにより、上記第2実施形態と同様に、第1及び第2連結用貫通孔98,100が連通した状態で、第2連結用貫通孔100から挿入される際に、分離用切欠き104により係止爪102の最大径が第1連結用貫通孔98の内径よりも小さくなり、係止爪102が第1及び第2連結用貫通孔98,100を通過することができる。挿入ピン82は、円柱状の軸部106と、軸部106の挿入方向基端側に形成され、軸部106よりも外径が大きい頭部107とを有する。
貫通部101を第1連結用貫通孔98に貫通させるとともに、嵌合部103を第2連結用貫通孔100に嵌合させて、接合用ブッシュ96を第1及び第2連結用貫通孔98,100に貫通させた状態とする。この貫通状態で、接合用ブッシュ96の基端側から内周面に挿入ピン97の軸部106が挿入され、分離用切欠き104を周方向に狭める弾性変形ができなくなるので、接合用ブッシュ96は径方向に縮小しない。よって、挿入ピン97は、係止爪102と第1連結用貫通孔98の内周面93c側周縁との係止解除を規制する状態を保つことができ、接合用ブッシュ96及び挿入ピン97が先端部本体93と湾曲駒94に取り付けられ、両者を接合することができる。
なお、上記第3実施形態では、上記第2実施形態の接合用ブッシュ81及び挿入ピン82と同様に形成された接合用ブッシュ96及び挿入ピン97を用いて、先端部本体93と湾曲駒94とを接合する例を上げているが、当然、上記第1実施形態の接合用ブッシュ61及び挿入ピン62と同様に形成された接合用ブッシュ及び挿入ピンを用いて、上記第1実施形態の接合方法と同様に先端部本体93と湾曲駒94とを接合してもよい。
なお、上記第1及び第2実施形態では、接合用ブッシュ及び挿入ピンを4個ずつ、上記第2実施形態では、接合用ブッシュ及び挿入ピンを2個ずつ等間隔で離間して取り付けて第1及び第2円筒状部品を接合させているが、本発明はこれに限らず、複数個の接合用ブッシュ及び挿入ピンを等間隔で離間して取り付けるように、第1及び第2連結用貫通孔を適宜配置すればよい。
また、上記各実施形態では、先端側に位置する円筒状部品を第1円筒状部品とし、基端側に位置する円筒状部品を第2円筒状部品とする例を上げたが、本発明はこれに限るものではなく、基端側に位置する円筒状部品を第1円筒状部品、先端側に位置する円筒状部品を第2円筒状部品としてもよい。この場合、先端側に位置する第2円筒状部品の内周面に基端側に位置する第1円筒状部品の外周面が嵌合し、上記各実施形態と同様の接合用ブッシュ及び挿入ピンを使用して両者を接合する。
上記各実施形態では、接合用ブッシュをステンレスから形成しているが、本発明はこれに限らず、黄銅、アルミなどステンレス以外の金属でもよく、プラスチックなどの樹脂材料から形成してもよい。
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、矛盾しない範囲で相互に組み合わせて実施することが可能である。