JP3182978B2 - 永久電流で運転されるマグネット用Nb▲3▼Sn超電導線材およびその製造方法 - Google Patents
永久電流で運転されるマグネット用Nb▲3▼Sn超電導線材およびその製造方法Info
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Description
成素材に用いられるNb3 Sn超電導線材およびその製
造方法に関し、特に安定した高磁場臨界電流特性を備え
たNb3 Sn超電導線材およびその様な線材を得る為の
有用な方法に関するものである。
現象を利用し、電力を消費せずに大電流を流し、コイル
状にして磁場を発生させる超電導マグネットは、核磁気
共鳴(NMR)装置等の各種物性測定装置の他、磁場浮
上列車や核融合装置等への応用が進められている。そし
て上記の様な超電導マグネットの構成素材としては、従
来からNb3 SnやV3 Ga等の超電導線材が使用され
ている。
Nb3 Sn超電導線材は、いわゆるブロンズ法と呼ばれ
る複合加工法によって主に製造されている。上記ブロン
ズ法の一般的方法を、図面を用いて更に詳細に説明す
る。
ビレットケース1(線状母材)にNb線2を埋設した
後、端部を電子ビーム溶接して複合ビレット3(単芯型
複合ビレット)を組み立てる。該複合ビレットを熱間静
水圧押出し等で一体化と減面加工を同時に行ない、さら
に冷間加工によって所定の寸法まで伸線加工する。この
とき、冷間伸線加工により、Cu−Sn合金は著しく加
工硬化するため、加工率30〜60%程度の加工毎に加
工硬化ひずみを除去するための中間焼鈍が伸線工程に必
要となる。その後熱処理(600〜700℃)によっ
て、Cu−Sn合金製線状母材1とNb線2の界面にN
b3 Snを生成させてNb3 Sn超電導線材とする。
多芯型超電導線材の場合は図3に示す様に複数のNb線
2をCu−Sn合金のビレットケース1a製(線状母
材)に埋設して1次多芯ビレット8を構成し、これを複
数本円筒状に束ねて線材群10とし、図4に示す様に、
CuやCu−Sn合金からなる円筒状の外層ケース9
(最外層)に挿入し、単芯型の場合と同様の方法で伸線
して、最終形状において3000〜10000本のNb
線2が含まれた2次多芯ビレット11(複合ビレット)
を構成する。尚2次多芯ビレット11では、前記図4に
示した様に、その中央部に安定化材となる線・棒状の無
酸素銅7(安定化銅)が組み込まれており、前記1次多
芯ビレット8の線材群10と無酸素銅7の間には、Cu
−Sn合金からなる筒状の内部層5、およびNb3 Sn
生成のための拡散熱処理時にSnの拡散バリア層となる
円筒状のNb層またはTa層6が形成されている。この
うち、拡散バリア層6は前記無酸素銅7がSnによって
汚染されることを防ぐ作用を発揮する。最後に、熱処理
によりCu−Sn合金製線状母材1aとNb線2の界面
にNb3 Snを生成させて多芯型Nb3 Sn超電導線材
とする。
導線材は、超電導線材同士の接続を行う場合、Cu−S
n合金を硝酸等で化学的に除去し、露出した超電導フィ
ラメントを直接的に接続させることができるため、容易
でかつ安定に超電導接続が可能であるという特長があ
る。したがって、Nb3 Sn超電導線材は非常に高い磁
場安定度を要求するNMR装置用として、最適の構造を
有している。
用いられる超電導マグネットは、極めて高い精度の磁場
の空間的均一度と時間的安定度が要求される。前者はマ
グネットの設計に依存する課題であり、後者は使用する
超電導線材の性能に大きく依存する事項である。即ち、
磁場の時間的不安定性は、超電導線材中に流れる永久電
流の減衰によって生じるからである。このような現象
は、NbTi超電導線材に比べてより高磁場で使用され
るNb3 Sn線材でより顕著になっている。一般に使用
されるNb3Sn超電導線材における約0.1〜100p
pm /h 程度の減衰は、これまでの応用機器にとっては
それほど問題にならなかったのであるが、特にNMR装
置においてはわずかな減衰であっても、分析機器として
の性能を大きく劣化させることになり、極めて重大な問
題である。
Nb3 Sn生成フィラメントの不均一さから生じる電流
分流や近接効果による磁束クリープがあげられる。前者
は、以下のようにして電流減衰につながることになる。
まず、加工工程でフィラメントの表面に凹凸を生じるこ
とがあり、この結果として局所的にフィラメント断面積
が小さい部分の臨界電流が平均のフィラメント当たりの
臨界電流より小さくなる。このとき臨界電流に余裕のあ
る他のフィラメントに電流が分流し、このとき抵抗が発
生して永久電流の減衰につながる。後者は、超電導フィ
ラメントの間隔が狭い場合、フィラメント間の常伝導部
分にも超電導電子がしみだして弱い超電導部がフィラメ
ント間にも存在する現象であり、この部分の磁束は容易
にクリープして動くことになり、抵抗が発生し、電流減
衰となるものである。
る場合、マグネットを構成する超電導線材にはフープ力
と呼ばれる外向きの力が働く。Nb線2の全体を全てN
b3Snに反応させた場合、このNb3 Snは金属間化
合物で脆いため、ときにはフープ力によりNb3 Snに
割れが発生し、線材ひいてはマグネットの特性を大きく
劣化させることがある。このような劣化を防ぐため、N
b線2の全てを完全にNb3 Sn化させずに、Nb線2
の中央部に延性で強度の高いNb芯を残留させ、周囲の
みNb3 Sn化させる手法を用いている。そしてこのN
b芯の残留量は、一般に線材断面において一様であるこ
とが望ましい。
多芯型Nb3 Sn超電導線材は、線材中央部付近と外周
部ではNb線2の周囲のSn量が大きく異なるため、S
n量の少ない中央部ではNb芯の残留量が多いのに対
し、Sn量の多い外周部ではNb芯が残らず、Nbフィ
ラメントが完全にNb3 Sn化してしまう欠点があっ
た。この欠点は、NMR装置の超電導マグネットにおい
ては永久電流の減衰、すなわち磁場のわずかな減衰(約
0.1〜100ppm /h )として現れることが判明し
た。ところが、上述した如くこの減衰が分析機器として
の性能を大きく劣化させることになり、上記多芯型超電
導線材はNMR装置用超電導線材として若干の問題を有
している。
各Nb3 Sn超電導線材は、600〜700℃程度の熱
処理によって、Nb線2とCu−Sn合金製線状母材1
(または1a)の界面にNb3 Sn化合物を生成させた
後、液体ヘリウム温度に冷却して使用するので、線材中
のNb3 Snはヘリウム温度では圧縮歪がかかってお
り、臨界電流や臨界温度が無歪状態に比べてやや劣化し
た状態にある。
電導線材の有する技術的課題を解決する為になされたも
のであって、その目的は、永久電流の減衰等の問題を生
じることなく、NMR装置用超電導マグネットの素材と
して有用な、永久電流で運転されるマグネット用Nb3
Sn超電導線材、およびその様なNb3 Sn超電導線材
を製造する為の有用な方法を提供することにある。
発明とは、線・棒状の安定化銅、円筒状の拡散バリア
層、円筒状のCu−Sn基合金製内部層、複数のNb線
を埋設したCu−Sn基合金製線状母材を円筒状に複数
束ねた線材群、更に円筒状のCuまたはCu−Sn基合
金製最外層を、半径方向中心側から外側に向かって上記
々載順序で配置して複合ビレットを構成し、該複合ビレ
ットを伸線加工した後、熱処理して前記Cu−Sn基合
金製線状母材と前記Nb線との界面にNb3 Snを生成
させるNb3 Sn超電導線材の製造方法において、下記
(I)および(II) の少なくとも1つの要件を満足する
様にして操業を行なう点に要旨を有する永久電流で運転
されるマグネット用Nb3 Sn超電導線材の製造方法で
ある。また、必要によって、更に、下記(III)の要件を
満足する様にして操業することも好ましい。いずれの方
法によっても、得られたNb3 Sn超電導線材は、超電
導マグネットの構成素材として希望する特性を発揮す
る。
設するNb線を、Nb3 Snを生成させた後の最隣接す
るNb3 Snの間隔Dsが0.5〜1.0μmの範囲内
となる様に構成する。 (II)複合ビレットの最表面から前記線材群最表面まで
の平均距離dout と、拡散バリア層から前記線材群内表
面までの平均距離dinとの比(dout /din)が、1.
5〜4.0となる様に構成する。 (III) Cu−Sn基合金製線状母材に複数埋設する各N
b線の軸心部にTa線を埋設した構成とする。
記(I)および(II)の少なくとも1つ要件を満足する様
に操業を行なうことによって、夫々の要件に対応した効
果が発揮されることを見出し、本発明を完成した。尚上
記(I)および(II) の要件は、夫々単独で各要件を満
たす様に操業を行なえばそれに応じた各効果が得られる
のであるが、これらの要件を組合せて操業を行うことも
可能であり、それによって複合的な効果が得られる。ま
た、必要によって、前記(III)の要件を満足する様に
して操業することが好ましいことも判明したのである。
これら各要件(I)〜(III) による作用を更に詳細に説
明する。
Snを生成させた後の最隣接するNb3 Snの間隔Ds
(図1参照)が0.5〜1.0μmの範囲内となる様に
規定している。この様に前記間隔Dsを0.5μm以上
とする理由は、0.5μm未満ではNb3 Snの相互の
間隔が狭くなりすぎ、近接効果が顕著になるためであ
る。即ち、近接効果による電流は磁束クリープされやす
く、このクリープが電流減衰につながるのである。ま
た、前記間隔Dsを1.0μm以下とする理由は、これ
より大きくなるとNb線2の均一加工が困難となるため
である。即ち、加工工程でNb線2の表面に凹凸を生じ
ることがあり、Nb線2の断面積が小さい部分の臨界電
流がNb線2当たりの平均臨界電流より小さくなる。こ
のとき臨界電流に余裕のある他のNb3 Snに電流が分
流し、このとき抵抗が発生して永久電流の減衰につなが
るのである。結局のところ、上記(I)の要件は、前記
間隔Dsを所定の範囲内にすることによって、電流減衰
の原因となる近接効果と電流の分流を低減することがで
きるところに構成上のポイントがある。
(前記2次多芯ビレット11)の最表面から線材群10
の最表面までの平均距離dout と、拡散バリア層6から
前記線材群10の内表面までの平均距離din(図5参
照)との比(dout /din)が、1.5〜4.0となる
様にしている。上記の様に平均距離dout に対する平均
距離dinを適正化することによって、線材断面において
Sn量を制御するものである。これによって、Nb3 S
n生成熱処理中に均一にNb3 Snを生成させることが
でき、Nb芯の残留量を一定にすることができる。尚上
記平均距離dout ,dinを調整する為に、後記実施例に
示す様に線材群10の内周側および/または外周面に、
一部の1次多芯ビレット8の代わりにCu−Sn線材を
介在させることがあるが、この様な場合の平均距離d
out ,dinはこのCu−Sn線材が介在された距離をも
含めた値である。
最外層部と最内層部におけるNb3Sn生成フィラメン
ト内の各残留Nb芯径(RD)の比、RDout /R
Din、と、前記dout /dinとの関係を図6に示す。R
Dout /RDinが1のときに線材の断面における残留N
b芯量が完全に均一とみなせるが、dout /dinを上記
の範囲とすることによって、軸心方向に亘ってほぼ0.
8<RDout /RDin≦1.2の範囲となり、ほぼ一定
となるとみてよい。即ち、dout /dinを1.5〜4.
0とすることによって、Nb3 Sn生成熱処理後に線材
断面における残留量が一様に等しいNb芯を有するNb
3 Sn超電導線材ができることを示している。
るのは、上述した理由の他、下記の理由による。まず、
dout /dinが4.0より大きい場合、降伏応力が小さ
いためにNb3 Snに割れがはいりやすく、永久電流の
減衰が生じやすいことによる。また、1.5より小さく
なると実質的に臨界電流が低くなり、一般的な12Tの
磁場を発生するマグネットの運転電流(例:100A)
に近くなり、磁束流による抵抗が発生することがあるか
らである。
要件を設定することによって、実質的に降伏応力が高く
なり、Nb3 Snに割れがはいる限界歪が高くなるので
好ましい。即ち、本発明のNb3 Sn超電導線材を用い
たNMR用超電導マグネットは、フープ力に対しても許
容度が大きくなり、永久電流の減衰が生じることなく安
定に運転することができるという効果が発揮される。
u−Sn合金製線状母材1aに複数埋設する各Nb線2
の軸芯部にTa線12を埋設した1次多芯材8aを、2
次多芯ビレット11(複合ビレット)に組み込んで操業
を行なうものである。上記のように各Nb線2の軸心部
にTa線を埋設することにより、どの様な熱処理を施し
た後においても線材断面全体において一様なTa芯を確
保できるところに構成上のポイントがある。即ち、上記
(III) の要件を採用すれば、Taの降伏応力の方がNb
の降伏応力よりも大きいので、得られるNb3 Sn超電
導線材は、実質的に降伏応力が高くなり、Nb3 Sn超
電導線材に割れがはいる限界歪が高くなる効果をもつ。
即ち、本発明による上記の様なNb3 Sn超電導線材を
用いたNMR装置用超電導マグネットは、フープ力に対
しても許容度が大きくなり、永久電流の減衰が生じるこ
となく安定に運転することができる。更に、Taを導入
することにより、残留熱歪が小さくなるために、臨界温
度が高くなるという効果も得られる。また15Tをこえ
る磁場を発生させる超電導マグネットでは、上述のフー
プ力が更に大きくなるため、Taの埋設による高強度化
はNMR装置用超電導マグネットだけでなく、その他の
装置の高磁場マグネット用線材としても有効である。
(または1a)、内部層5および外最層9は、純Cu−
Sn合金が一般的に用いられるが、Cu−Snに第3元
素または第4元素を添加した合金を用いても同様の効果
が得られる。本発明では、これらを一括してCu−Sn
基合金としている。
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいず
れも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
Sn合金製線状母材1aに直径17mmの孔明加工を7カ
所行い、ここに外径17mmのNb線2を埋設して、前記
図1に示した様な1次多芯ビレット8を組立て、50%
毎に600℃1時間の中間焼鈍を行いながら、外径1.
8mmまで伸線加工した。このとき、1次多芯ビレット8
は、Nb線2の間隔が異なるものを5種類作製した。
に示した様に、2次多芯ビレット11(複合ビレット)
に組み立てた。ここで中心部の3層構造部材は、外径4
0mm,内径35mmのCu−13%Sn合金パイプ(内部
層5)に、外径35mm,内径32mmのTaパイプ(拡散
バリア層6)および外径32mmの無酸素銅(安定化銅
7)を挿入した複合材を外径18mmまで縮径加工したも
ので、以下これをTaバリア安定化部材と呼ぶ。
5mm,内径55mmのCu−13%Sn合金パイプ(最外
層9)を配し、両者の間隙に、前述した外径1.8mmま
で伸線しNb線2の間隔が同じ1次多芯ビレット8を8
34本挿入し(線材群10)、複合ビレット11をNb
間隔毎に5種類組立てた。そしてすべての複合ビレット
を加工率50%毎に600℃1時間の中間焼鈍を行いな
がら、外径0.8mmまで伸線加工した。得られた線材に
は、50mmピッチのツイスト加工を行い仕上げた。これ
らの線材に、700℃で50時間のNb3 Sn生成熱処
理を施し、12Tでの臨界電流を磁場の履歴が(1)0
T→12Tの場合の臨界電流Ic1と、(2)0T→1
4T→12Tの場合の臨界電流Ic2で測定した。更
に、線材を外径45mm,内径38mmの小コイルにしたと
きの12Tでの永久電流の減衰を調べた。これらの結果
を最隣接するNb3 Snの間隔と共に表1に示す。
において、Ic1/Ic2が1をこえる場合が、近接効
果が生じていることを示すから、試料No. 1の比較例に
おける大きな電流減衰は、この効果が原因であると推察
される。また、試料No. 5の比較例における大きな電流
減衰を調べるために、試料のCu−Sn合金部を硝酸で
除去し、フィラメントを走査電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、数10μmの周期で凹凸が観察された。これに対
し、本発明の要件を満足する試料No. 2〜4のものは電
流減衰が小さく、NMR装置用Nb3 Sn超電導線材と
して極めて優れた特性を示していた。
た。該Taバリア安定化部材の外側に実施例1と同様
に、外径65mm,内径55mmのCu−13%Sn合金パ
イプ(最外層9)を配し、両者の間隙に実施例1と同様
に作成した外径1.8mmの1次多芯ビレット8を834
本挿入した、2次多芯ビレット11を組立てた。このと
きに、Taパイプ(拡散バリア層6)と最内層Nb3 S
nフィラメント群間の平均距離をdinを調節するため
に、中心側の1次多芯ビレット8を直径1.8mmのブロ
ンズ合金線と入れ替えた複合ビレットを6種類組立て
た。すべてのビレットを加工率50%毎に600℃1時
間の中間焼鈍を行いながら、外径0.8mmまで伸線加工
した。得られた線材には、50mmピッチのツイスト加工
を行い仕上げた。
3 Sn生成熱処理を施し、12Tでの臨界電流Icと、
線材を外径45mm,内径38mmの小コイルにしたときの
12Tでの永久電流の減衰を調べた。また、4.2Kで
の引張試験を行い、0.2%耐力を求めた。これらの結
果を表2に示す。尚このとき、最隣接するNb3 Snの
間隔Dsはすべて0.8μmとした。さらに、各試料断
面を研磨し、最外層部と最内層部のNb3 Snフィラメ
ント内の残留Nb芯径(RD)を走査型電子顕微鏡で観
察し、最外層部と最内層部のRDの比(RDout /RD
in)を、dout/dinとの関係で図6にまとめた。
時のTaパイプ(拡散バリア6)と、線材群10の内表
面までの平均距離であり、dout は2次多芯ビレット1
1組立時のCu−13%Sn合金パイプ(最外層9)の
厚さ(5.3mm)である。これらの結果から明らかな様
に、(dout /din)を適切な範囲に調整すること(N
o. 8〜10)は、電流減衰を小さくする上で効果的で
あることがわかる。
Ta線12を挿入したNbとTaからなる複合体を作製
する一方、Cu−13%Snの組成をもつ外径65mmの
Cu−Sn合金製線状母材1aに直径17mmの孔明加工
を7カ所行ない、ここに前記複合体を挿入して,図7に
示す様な1次多芯ビレット8aを組立てた。この1次多
芯ビレット8aを、加工率50%毎に600℃1時間の
中間焼鈍を行いながら、外径0.3mmまで伸線加工し
た。また比較材として、同様に7カ所に孔明加工したC
u−Sn合金円柱に外径17mmのNb棒を挿入して、同
じ加工工程にて外径0.3mmまで伸線した試料も準備し
た。
間熱処理し、12T、4.2Kで引張応力下で臨界電流
(Ic)を測定した。また、両試料の臨界温度(Tc)
抵抗法で測定した。図8に引張応力下での臨界電流測定
結果を示す。引張応力がない状態での臨界電流は、本発
明材が66Aであるのに対し、比較材が73Aであっ
た。このTcの減少は、Taの挿入により生成するNb
3 Sn化合物の量が減少したためであり、化合物層あた
りのIcは同等以上である。しかし図8に示す様に、臨
界電流が極大値をもつ歪が比較材が0.27%であるの
に対し、本発明材は0.18%であった。これは熱処理
後の残留熱歪が小さくなっていることを示している。ま
た、臨界温度(抵抗0)は比較材が17.2Kであるの
に対し、本発明材は17.5Kであった。
Ta線12を埋設したNbとTaからなる複合体を作製
した。一方、Cu−13%Snの組成をもつ外径65mm
のCu−Sn合金製線状母材1aに直径17mmの孔明加
工を7カ所行ない、ここに前記複合体を挿入して1次多
芯ビレット8aを組立てた。これを加工率50%毎に6
00℃1時間の中間焼鈍を行いながら、外径1.8mmま
で伸線加工した。また、比較材として、同様に7カ所孔
明加工したCu・Sn合金円柱に外径17mmのNb棒を
挿入して、同じ加工工程にて外径1.8mmまで伸線した
1次多芯ビレット8(図3参照)を準備した。
3%Sn合金パイプ(内部層5)に、外径35mm,内径
32mmのTaパイプ(拡散バリア層6)を挿入し、さら
に外径32mmの無酸素銅(安定化材)を挿入したTaバ
リア安定化部材を組立て、外径18mmまで縮径加工し
た。
5mm,内径55mmのCu−13%Sn合金パイプ(最外
層9)を配し、両者の間隙に上記1次多芯ビレット8a
を834本挿入し(線材群10)、複合ビレット11を
組立てた。また、比較材についても同様に複合ビレット
11を組み立てた。両ビレットを加工率50%毎に60
0℃1時間の中間焼鈍を行いながら、外径0.8mmまで
伸線加工した。
ト加工を行い仕上げた。これらの線材に700℃で50
時間のNb3 Sn生成熱処理を施し、12Tでの臨界電
流Icと、線材を外径45mm,内径38mmの小コイルに
したときの12Tでの永久電流の減衰を調べた。また、
4.2Kでの0.2%耐力も調べた。これらの結果を表
3に示した。
いものの、電流減衰が小さく、NMR装置用Nb3 Sn
超電導線材として極めて優れた特性を有することがわか
る。また、機械的強度も高いことから、更に高磁場の発
生に用いる超電導線材にも使用できる。
場安定度のきわめて優れた永久電流で運転される超電導
マグネットの構成素材となり得るNb3 Sn超電導線材
が実現でき、これによって分析、医療等の幅広い分野に
おける機器の性能向上が期待できる。
の図である。
を示す図である。
を示す図である。
面を示す図である。
る為の図である。
を示すグラフである。
レット8aの断面を示す図である。
すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 線・棒状の安定化銅、円筒状の拡散バリ
ア層、円筒状のCu−Sn基合金製内部層、複数のNb
線を埋設したCu−Sn基合金製線状母材を円筒状に複
数束ねた線材群、更に円筒状のCuまたはCu−Sn基
合金製最外層を、半径方向中心側から外側に向かって上
記々載順序で配置して複合ビレットを構成し、該複合ビ
レットを伸線加工した後、熱処理して前記Cu−Sn基
合金製線状母材と前記Nb線との界面にNb3 Snを生
成させるNb3 Sn超電導線材の製造方法において、下
記(I)および(II) の少なくとも1つの要件を満足す
る様にして操業を行なうことを特徴とする永久電流で運
転されるマグネット用Nb3 Sn超電導線材の製造方
法。 (I)Cu−Sn基合金製線状母材中に埋設するNb線
を、Nb3 Snを生成させた後の最隣接するNb3 Sn
の間隔Dsが0.5〜1.0μmの範囲内となる様に構
成する。 (II)複合ビレットの最表面から前記線材群最表面まで
の平均距離dout と、拡散バリア層から前記線材群内表
面までの平均距離dinとの比(dout /din)が、1.
5〜4.0となる様に構成する。 - 【請求項2】 更に、下記(III)の要件を満足する様に
して操業する請求項1に記載の製造方法。 (III)Cu−Sn基合金製線状母材に複数埋設する各N
b線の軸心部にTa線を埋設した構成とする。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法によって
得られたNb3 Sn超電導線材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10959493A JP3182978B2 (ja) | 1993-05-11 | 1993-05-11 | 永久電流で運転されるマグネット用Nb▲3▼Sn超電導線材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10959493A JP3182978B2 (ja) | 1993-05-11 | 1993-05-11 | 永久電流で運転されるマグネット用Nb▲3▼Sn超電導線材およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06325643A JPH06325643A (ja) | 1994-11-25 |
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