JP3179907B2 - プレコート金属板用塗料およびプレコート金属板 - Google Patents

プレコート金属板用塗料およびプレコート金属板

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JP3179907B2 JP33883292A JP33883292A JP3179907B2 JP 3179907 B2 JP3179907 B2 JP 3179907B2 JP 33883292 A JP33883292 A JP 33883292A JP 33883292 A JP33883292 A JP 33883292A JP 3179907 B2 JP3179907 B2 JP 3179907B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレコート金属板用塗
料およびこの塗料を用いて製造されるプレコート金属板
に関するものであり、以下に説明するこの技術は、例え
ば民生用品用素材や車両の内装材,建築物の内・外装材
などとして有利に用いられるものについての提案であ
る。
【0002】
【従来の技術】プレコート金属板は、加工前の素材金属
板上に、塗料を予め塗装してなる塗装金属板のことであ
り、一般に、溶融亜鉛めっき鋼板,亜鉛とアルミニウム
の合金めっき鋼板,アルミニウムめっき鋼板,ステンレ
ス鋼板などの金属板上に塗料を塗装したものである。
【0003】このようなプレコート金属板は、加工後の
塗装が不要であり、金属製屋根や建・構築物の外壁など
の長期耐候性が求められる部位、あるいは電気機器や車
両の内装,エレベータの内装,室内壁材などとして広く
使用されている。実際に、このプレコート金属板が屋根
や建・構築物の外壁などに使用されるとき、90度ときと
して180 度ものプレス曲げ加工や折り曲げ加工などの成
形加工が施こされるのが普通であり、しかも、この金属
板上の塗膜に対しては、長期の品質保証が要求される。
【0004】そのため、このような長期の塗膜保証が求
められるプレコート金属板では、その上塗(仕上げ)塗
料にフッ素樹脂系塗料を使用するのが普通である。さら
に近年では、市場の要求が厳しさを増しており、このプ
レコート金属板の分野も高性能化の傾向が顕著であり、
塗膜の保証期間が20年以上という長期保証も要求される
ようになってきた。このような要請に対応する塗膜とし
て、促進耐候試験1500時間における色の変化がNBS 色差
(ΔE)で7以下、塩水噴霧試験2000時間において AST
M 8F以上、の性能を示すことが求められている。この
ような品質要求において、特に問題となるプレコート金
属板の部位は、90度あるいは180 度のプレス曲げ加工や
折り曲げ加工などの成形加工を施こす部分である。
【0005】これに対し従来、塗膜に対する上記要求特
性に叶う塗料として、塗料成分中の樹脂成分として、ポ
リフッ化ビニリデンを50重量%以上含有させたフッ素樹
脂系塗料が主として使用されている。
【0006】ところが、ポリフッ化ビニリデン樹脂は、
結晶性の高分子であり加工性に乏しいことから、成形加
工によってプレコート金属板を製造する際に、ポリフッ
化ビニリデン系塗料からなる塗膜は、素材の伸びおよび
割れを克服しきれず、クラックやはがれ等の塗膜欠陥が
生じやすいという問題があった。そのため、ポリフッ化
ビニリデン樹脂は、プレコート金属板用塗料成分中の樹
脂成分として単独では用いられることはほとんどなく、
種々の改良が提案されている。
【0007】例えば、第1に、ポリフッ化ビニリデン樹
脂に、この樹脂と相溶性のある非結晶性の熱可塑性アク
リル樹脂を配合することにより、ポリフッ化ビニリデン
の融点を下げて結晶化を抑制し、プレコート金属板の加
工性を向上させる技術が提案されている(特公昭45−96
62, 特公平3−11266 および特開平2−174977号公報参
照)。第2に、フッ素樹脂系塗料の塗装焼き付け後に室
温近くまで急速に冷却することにより、ポリフッ化ビニ
リデンの結晶化度を低下させ、プレコート金属板の加工
性を向上させる技術が提案されている(特開昭61−1148
46号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術によれ
ば、フッ素樹脂系塗料を塗装してなるプレコート金属板
は、製造直後において塗膜の結晶化度は低く、90度ある
いは180 度のプレス曲げや折り曲げなどの成形加工に耐
え得るものである。しかしながら、製造後、期間の経過
に伴いポリフッ化ビニリデンの結晶化が進行し、プレコ
ート金属板の加工性が劣化してゆくといった問題が依然
として残されていた。すなわち、従来技術にかかるプレ
コート金属板では、それの成形加工は、プレコート金属
板製造直後に行う必要があり、しかも、成形加工時に合
わせてプレコート金属板の製造を行わなければならない
という問題があった。さらに、プレコート金属板の製造
時期が成形加工時期に合わなかった場合には、この金属
板を再度焼き付け、急冷処理を施すといった製造上なら
びに生産上の欠点があった。
【0009】本発明の目的は、従来技術が抱えている上
述した各種の問題を克服することにあり、特に、製造後
における経時変化において、製造直後の優れた加工性を
損なうことのないプレコート金属板用として、好適なフ
ッ素樹脂系塗料と、この塗料を金属板上に塗装したプレ
コート金属板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的を
実現するために鋭意研究を重ねた結果、フッ素樹脂系塗
料中のアクリル樹脂成分を熱可塑性と熱硬化性との配合
物とすることにより、製造後における経時変化におい
て、塗膜の結晶化度の増加を有効に抑制できることを見
出し、本発明に想到した。
【0011】すなわち、本発明のプレコート金属板用塗
料は、ポリフッ化ビニリデン (A)とアクリル樹脂 (B)
との混合物からなる樹脂組成物を主成分として含有す
る塗料において、当該アクリル樹脂 (B) が熱可塑性ア
クリル樹脂 (p)と未硬化の熱硬化性アクリル樹脂
(s)の配合物であり、その配合の割合が重量比で
(p):(s)=15:85〜90:10の範囲であって、前記
ポリフッ化ビニリデンと相溶性を有することを特徴とす
るものである。また、この塗料においては、ポリフッ化
ビニリデン (A) とアクリル樹脂 (B) との混合物から
なる上記樹脂組成物は、その混合の割合が重量比で
(A) : (B) =50:50〜90:10の範囲であることを特
徴とする。そして、本発明のプレコート金属板は、鋼板
の少なくとも一方の面に上記塗料を塗布してなる上塗り
塗膜を有することを特徴とするものである。
【0012】
【作用】本発明にかかるプレコート金属板用塗料を用い
ると、長期にわたって優れた加工性を維持することので
きるプレコート金属板を、容易かつ確実に製造すること
ができる。以下に、かかるプレコート金属板用塗料およ
びこの塗料を用いて得られるプレコート金属板について
詳細に説明する。
【0013】図1〜図4は、後述する実施例と比較例に
おいて示すように、金属板の最上面に、上塗り塗料を塗
布したのち焼き付けして得られるプレコート金属板上の
塗膜のX線回折図であり、塗膜の結晶化状態を示すもの
である。これらの図において、Xc は塗膜中の樹脂成分
であるポリフッ化ビニリデンの結晶質部分による回折面
積を示し、Xa は塗膜中の樹脂成分であるポリフッ化ビ
ニリデンとアクリル樹脂の非晶質部分による回折面積を
示す。なお、図1と図2は、後述の比較例1に関する図
であり、図3と図4は実施例2に関する図である。
【0014】図1,図2のX線回折図に示す結果から明
らかなように、アクリル樹脂が熱可塑性樹脂のみから成
る従来のフッ素樹脂系塗料は、それの結晶化度は製造直
後において低く、一方製造後3か月においては非常に高
くなる。このことは、プレコート金属板の加工性の劣化
と一致する結果である。この点、図3および図4に明ら
かなように、本発明のフッ素樹脂系塗料,すなわち塗料
中のアクリル樹脂が熱可塑性と熱硬化性との配合物から
なるフッ素樹脂系塗料から得られる塗膜の結晶化度は、
製造して9か月経過後も製造の直後と同じように低い。
従って、加工性も低下せず、製造してから長期にわたっ
て優れた加工性を維持できることが判る。
【0015】なお、このX線の回折強度試験方法として
は、例えば、ターゲット材がカッパー、フィルターがニ
ッケル、ダイバージェント・スリットが1度、回折X線
を受光するレシーピングスリットが0.3mm である装置に
て、管電圧40kV,管電流80mAの集中X線ビームを用い、
時定数が1秒、ゴニオメーターのスキャニング・スピー
ドが1度/分の測定条件下で、シンチレーション・カウ
ンターにて回折強度を測定する方法を用いることができ
る。
【0016】このように、本発明のプレコート金属板用
塗料によれば、従来公知の熱硬化性と熱可塑性の2種の
アクリル樹脂を、ポリフッ化ビニリデンと単に混合する
という極めて単純な手段により、熱可塑性アクリル樹脂
のみを混合した従来のフッ素樹脂系塗料では達成できな
かった,プレコート金属板製造後の経時変化による加工
性の劣化を確実に防止することができるようになる。
【0017】ここで、本発明のプレコート金属板用塗料
において用いられるポリフッ化ビニリデンとしては、重
量平均分子量が 400,000以上、融点が 150〜180 ℃のも
のが好ましい。例えば、カイナー500 (日本ペンウォル
ト製、重量平均分子量650,000 、融点 160〜165 ℃)な
どが挙げられる。
【0018】本発明のプレコート金属板用塗料におい
て、混合されるアクリル樹脂の品質は、従来の塗料およ
びその塗膜が有する優れた特性を損なうことのないもの
でなければならない。具体的には、ポリフッ化ビニリ
デンと相溶性があること、ポリフッ化ビニリデンの結
晶化を抑制し、焼き付けして形成する塗膜の加工性を向
上できること、焼き付けして形成した塗膜の加工性が
製造後の経時において劣化しないこと、などが要求され
る。
【0019】すなわち、ポリフッ化ビニリデンと相溶性
のあるアクリル樹脂を混合するとともに、これらを主成
分とする塗料を金属板上に塗装し焼き付けて塗膜を形成
したとき、この塗膜中における高分子のミクロな形態が
長時間にわたって維持できるようにする必要があるから
である。
【0020】ところが、従来のフッ素樹脂系塗料は、主
成分であるポリフッ化ビニリデンおよびアクリル樹脂が
熱可塑性のものであることから、この塗料を塗装して焼
き付けたのちに形成した塗膜中における高分子の分子レ
ベルでの形態は、経時的に変化し、その結果、従来のフ
ッ素樹脂系塗料を用いて製造したプレコート金属板は、
製造後の時間の経過とともに次第に加工性が劣化してし
まうのである。
【0021】この点、本発明のプレコート金属板用塗料
では、熱硬化性アクリル樹脂をフッ素樹脂系塗料中に混
合したので、プレコート金属板の製造直後における塗膜
の加工性が長期にわたり保持されることになる。ここ
で、該熱硬化性アクリル樹脂は架橋性の高分子であり、
それ自体は加工性に乏しい性質を有するものである。そ
のため、フッ素樹脂系塗料中のアクリル樹脂成分全体を
この熱硬化性アクリル樹脂に置き換えることは好ましく
ない。従って、本発明では、従来のフッ素樹脂系塗料中
のアクリル樹脂成分の一部を熱硬化性アクリル樹脂に代
えることにより、熱可塑性アクリル樹脂と熱硬化性アク
リル樹脂との混合物としているのである。すなわち、こ
の熱可塑性アクリル樹脂と熱硬化性アクリル樹脂の配合
割合は、重量比で、15:85〜90:10の範囲が望ましく、
より望ましくは、40:60〜85:15の範囲とする。
【0022】上記熱可塑性アクリル樹脂としては、その
重合単位の70重量%以上が炭素数3〜12の(メタ)アク
リル酸アルキルエステルモノマー、例えば(メタ)アク
リル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)ア
クリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メ
タ)アクリル酸アミル,(メタ)アクリル酸オクチルな
どのなかから選ばれる1種または2種以上のモノマーで
構成され、重量平均分子量が40,000〜300,000 のものが
好適である。さらに望ましくは、熱可塑性アクリル樹脂
を構成する重合単位の50重量%以上がメタアクリル酸メ
チルであるようなものが好適である。
【0023】一方、熱可塑性アクリル樹脂の重合単位の
30重量%以下を構成するモノマーとしては、上記アクリ
ル系モノマーと共重合可能なものであればよい。このよ
うなモノマーとしては、例えば、スチレンやビニルトル
エン, (メタ)アクリロニトリル, 塩化ビニルなどが挙
げられる。
【0024】上記熱硬化性アクリル樹脂としては、例え
ば、水酸基やカルボキシ基,グリシジル基,臭素あるい
はヨウ素の活性ハロゲン,イソシアナート基などの架橋
性反応基を有するアクリル樹脂と、アルキル化メラミン
やポリオール,ポリアミン,ポリアミド,ポリオキシラ
ンなどの硬化剤とから構成され、平均分子量が 1,000〜
20,000であるものでよい。
【0025】ポリフッ化ビニリデンと単一の熱可塑性ア
クリル樹脂を主成分とする従来のフッ素樹脂系塗料に対
し、本発明では、この熱可塑性アクリル樹脂に代えて、
熱可塑性のもの(p)と熱硬化性のもの(s)との2種
が重量比で15:85〜90:10の範囲で配合してなる上述し
たようなアクリル樹脂(B)を、ポリフッ化ビニリデン
(A)に対して(A):(B)=50:50〜90:10の割合
で混合する。この理由は、比率(A)/(B) が0〜1では長
期耐候性に問題が生じ、一方、比率(A)/(B) が9以上で
は焼き付け塗膜の結晶化度が高くなり加工性が劣化する
からである。すなわち、本発明のプレコート金属板用塗
料の主成分樹脂は、低架橋構造の樹脂であり、硬すぎる
こともなく、かつ軟らかすぎることもない性質を有する
ものである。
【0026】なお、本発明のプレコート金属板用塗料
は、以上の必須成分以外に無機質骨材や有機質骨材,着
色顔料,体質顔料,溶剤および添加剤などを必要に応じ
て配合することができる。
【0027】上記無機質骨材としては、例えば、ガラス
ビーズやガラス繊維,アルミナ繊維,アルミナ粒子,シ
リカ,焼成シリカなどが挙げられる。上記有機質骨材と
しては、例えば、ポリアクリロニトリルビーズやベンゾ
グアナミンビーズ,ナイロンビーズなどが挙げられる。
上記着色顔料としては、例えば、酸化チタンやカーボン
ブラック,酸化鉄,クロム酸鉛,金属粉末(Al,Cu ),
焼成顔料(コバルトブルー,グリーン),パール顔料な
どが挙げられる。上記体質顔料としては、例えば、炭酸
カルシウムやクレイ,タルク,三酸化アンチモン,硫酸
バリウム,カオリンなどが挙げられる。上記溶剤として
は、例えば、トルエンやキシレン,酢酸エチル,酢酸ブ
チル,セロソルブ系溶剤,メチルイソブチルケトン,メ
チルエチルケトン,ジイソブチルケトン,イソホロン,
シクロヘキサノンなどが挙げられる。
【0028】次に、以上説明したようなプレコート金属
板用塗料を用い、プレコート金属板を製造する方法につ
いて説明する。まず、一般に、金属板は、塗装を施す前
に脱脂処理が施され、場合によってはさらに酸洗いや電
解酸洗いなどの化学的研磨がされたのち、クローメート
処理やリン酸処理などの化成皮膜処理が施される。ここ
に、この金属板としては、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板
や亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板,アルミニウムめ
っき鋼板,冷間圧延鋼板,ステンレス鋼板,アルミニウ
ム板などが用いられる。
【0029】次の工程は、化成皮膜を形成した金属板上
にプレコート金属板用塗料を塗装する工程である。この
工程では、前記プレコート金属板用塗料を化成皮膜上に
直接塗装することができるが、プレコート金属板の耐蝕
性や塗膜の密着性などの性能を向上させるためには、塗
装金属板に通常用いられている下塗り塗料、例えば、金
属顔料を含む、エポキシ樹脂系やポリエステル系,ポリ
ウレタン系などの下塗り塗料を塗装して焼き付けた上に
塗装することが望ましい。
【0030】このプレコート金属板用塗料の塗装時にお
ける粘度は、プレコート金属板に用いられる通常の塗料
と同程度の粘度でよく、例えば、ロールコートの場合、
フォードカップ#4(25℃)で40〜180 秒であることが
好ましい。
【0031】このプレコート金属板用塗料の塗装方法
は、特に限定されるものではなく、従来の溶剤型塗料の
塗装に用いられている方法、例えば、はけ塗りやタンポ
塗り,ロールコート,スプレー塗装などの方法を用いる
ことができる。なかでも、本発明のようなプレコート金
属板の塗装においては、ロールコート法が最も好適な方
法である。
【0032】次の工程は、金属板上に塗装した塗膜を焼
き付け硬化する処理である。この焼き付け硬化は、260
℃付近の温度にて15〜180 秒間加熱して、金属板温度を
100 ℃以上, 好ましくは160 ℃以上に到達せしめること
によって行われる。この理由は、焼き付け時間が15秒未
満では樹脂成分の硬化が不十分であり、一方、焼き付け
時間が180 秒を超えると樹脂成分の硬化が過剰となり、
いずれの場合も塗料本来の性能を発揮することができな
いからである。
【0033】この焼き付け硬化における加熱方式は、特
に限定されるものではなく、例えば、対流加熱方式や放
射加熱方式などの外部加熱方式、あるいは高周波などに
よる内部加熱方式などから、任意の方式を選択すること
ができる。
【0034】加熱焼き付け後の冷却方式は、特開昭61−
114846号公報記載の急冷方法で行ってもよいが、もう少
し緩やかな条件で行ってもよく、例えば、水道水などに
よるシャワー方式やディップ方式で冷却してもよい。
【0035】このようにして金属板上に形成される塗膜
の膜厚は、焼き付け硬化後で5〜80μm,好ましくは10
〜50μmの範囲である。なお、最終の塗装膜厚を厚くし
たい場合には、この塗装−焼き付け硬化処理を1回以上
繰り返せばよい。
【0036】
【実施例】
(実施例および比較例)上塗り塗料の調整 表1の配合割合にしたがって、以下の方法にて各種上塗
り塗料を調製した。すなわち、ポリフッ化ビニリデン,
顔料および溶剤をそれぞれ、別々の容器に入れて攪拌し
ながら、熱可塑性アクリル樹脂,熱硬化性アクリル樹脂
(A,B)およびその他の成分からなる配合物中に均一
に混合し、各種上塗り塗料を調製した。
【0037】
【表1】
【0038】表1における上塗り塗料中の各種成分は、
具体的には以下のとおりである。 *1:PVDF ポリフッ化ビニリデン (カイナー500 、日本ペンウォルト製、重量平均分子
量:650,000 、融点:160 〜165 ℃) *2:PVDF ポリフッ化ビニリデン (NEOFLON VP-850、ダイキン工業製、重量平均分子量:
600,000 、融点:160 〜165 ℃) *3:熱可塑性アクリル樹脂 塗料用アクリル樹脂、重量平均分子量:55,000、ガラス
転移点:85℃ *4:熱硬化性アクリル樹脂A,B A・・水酸基価:34mgKOH/g 、重量平均分子量:7,000
、硬化剤:メチル化メラミン B・・水酸基価:22mgKOH/g 、重量平均分子量:11,00
0、硬化剤:ブチル化メラミン *5:顔料 顔料組成・・酸化チタン:3wt%、焼成ブラウン:49wt
%、焼成ブラック:43wt%、三酸化アンチモン:5wt% *6:パール顔料 フォスタフロン TF-9205、ヘキストジャパン製 *7:ガラス繊維 マイクログラスサーフェストランド REV-9、日本板硝子
製 *8:溶剤 溶剤組成・・イソホロン:98wt%、メチルイソブチルケ
トン:2wt%
【0039】試験片の作製 まず、金属板の塗装面を脱脂処理し、次いでリン酸処理
を施して塗膜を形成する金属板上に化成皮膜を形成し
た。次に、化成皮膜を形成したこの金属板上に、下塗り
塗料としてエポキシ樹脂系塗料(商品名:プレカラープ
ライマーF−1、日本油脂製)をバーコーターを用いて
乾燥塗膜の厚さが5μmになるように塗布し、到達板温
度 210℃で乾燥硬化した。次に、下塗り塗料を塗装した
金属板上に、表1の各種上塗り塗料を、バーコーターを
用いて乾燥塗膜の厚さが30μmになるように塗布し、到
達板温度 250℃で乾燥硬化させ、次いで水道水を張った
水槽にこの塗装金属板を浸漬して冷却し、試験片を作製
した。このようにして作製した試験片を、以下に示す試
験方法および評価方法により評価した。
【0040】試験方法および評価方法 (1) 加工性 各試験の経時において、25℃の室内にて各試験片の加工
性を試験した。加工される試験片と同一の金属板を、試
験片の内側に挟み込み(表2中の1T,2T〜6Tは、
1枚,2枚〜6枚の金属板を挟み込むこと)、試験片を
180 度折り曲げ、この折り曲げた試験片の先端を10倍の
ルーペで観察して評価した。観察した結果、塗膜に割れ
目の生じない加工レベルを表2に示した。なお、この加
工性の合格レベルは、0T〜2Tである。 (2) 密着性試験 作製直後の各試験片を、常態のまま,ならびに沸騰水2
時間浸漬後の状態にて、上記(1) の加工性試験を行い
(1T〜3Tまで実施)、折り曲げた試験片の先端部に
セロハンテープを圧着して強制剥離し、塗膜状態を以下
の基準により評価した。 ◎:全く異常なし ○:極わずかに塗膜
剥離したもの ●:わずかに塗膜剥離したもの △:かなり塗膜剥離
したもの ×:著しく塗膜剥離したもの (3) 耐候性試験 JIS B 7752「紫外線カーボンアーク燈式耐候性試験機」
に規定された紫外線カーボンアーク燈促進耐候試験機
(スガ試験機製)を用い、試験片に対して5000時間の照
射試験を行った。試験終了後、試験片の60度鏡面光沢度
を光沢計(スガ試験機製)を用いて測定し、初期光沢に
対する光沢保持率を求めて耐候性を評価した。
【0041】評価結果 試験片の評価結果を表2,表3および表4に示す。これ
らの表に示す結果から明らかなように、本発明のプレコ
ート金属板は、従来のフッ素樹脂塗装金属板に比較し
て、その長期耐候性においていささかも劣ることなく、
塗膜密着性に優れ、かつ製造してから長期にわたって優
れた加工性を維持することができることを確認した。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明のプレコート
金属板用塗料は、塗料中のアクリル樹脂が熱可塑性樹脂
と熱硬化性樹脂との配合物にて構成されているので、そ
の塗膜の結晶化度は、長期において変化することなく低
い。したがって、本発明のプレコート金属板用塗料によ
れば、製造してから長期にわたって優れた加工性を維持
することができる安定した品質のプレコート金属板を容
易かつ確実に提供することができる。これにより、プレ
コート金属板の加工時期に影響されることなく、長期の
耐久性を保証することができる。その結果、少量多品種
的な製造をまとめて行うことができるようになり、プレ
コート金属板の生産性を大幅に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のプレコート金属板用塗料を用いて得られ
る塗膜の製造直後のX線回折測定結果を示す図である。
【図2】従来のプレコート金属板用塗料を用いて得られ
る塗膜の製造後3か月におけるX線回折測定結果を示す
図である。
【図3】本発明のプレコート金属板用塗料を用いて得ら
れる塗膜の製造直後のX線回折測定結果を示す図であ
る。
【図4】本発明のプレコート金属板用塗料を用いて得ら
れる塗膜の製造後9か月におけるX線回折測定結果を示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 127/06 C09D 133/04 - 133/16 B05D 7/14 - 7/18 B32B 15/08 102

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリフッ化ビニリデン (A) とアクリル樹
    脂 (B) との混合物からなる樹脂組成物を主成分として
    含有する塗料において、当該アクリル樹脂 (B) が熱可
    塑性アクリル樹脂 (p)と未硬化の熱硬化性アクリル樹
    脂 (s)の配合物であり、その配合の割合が重量比で
    (p):(s)=15:85〜90:10の範囲であって、前記
    ポリフッ化ビニリデンと相溶性を有することを特徴とす
    るプレコート金属板用塗料。
  2. 【請求項2】 ポリフッ化ビニリデン(A)とアクリル
    樹脂(B)との混合物からなる上記樹脂組成物は、その
    混合の割合が重量比で(A):(B)=50:50〜90:10
    の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のプレコ
    ート金属板用塗料。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の塗料を塗布してなるプ
    レコート金属板であって、金属板の少なくとも一方の面
    に前記塗料による上塗り塗膜を有することを特徴とする
    プレコート金属板。
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