JP3178053B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は使い捨ての紙おむつに
関し、特に、表面シートの股間位置に立体的な尿漏れ防
止用伸縮ギャザーを設けてなる使い捨ておむつに関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】使い捨ておむつに用いられる表面シート
はウエットバック（排せつ物の表面シートを介しての逆
戻り）を減少させるため、ポリプロピレン、ポリエステ
ル等の疎水性繊維からなる不織布が用いられ、これに尿
の透過性を付与するため界面活性剤等の親水化剤を用い
て親水化処理されているのが一般的である。しかし、親
水化処理のため、尿は表面シートの層を伝わっておむつ
の幅方向両端、長手方向両端に達し、にじみ出て漏れと
なる。

【０００３】この尿漏れを防止するために、これまでも
多くの提案がなされているが、本出願人らは漏れを防ぐ
ため、先に特願昭６３−２５３８６９号（特開平２−１
０２６４９号）として、紙おむつ表面材の中央領域を親
水性シートで構成し、隣接する左右両側部を疎水性シー
トで構成することにより、上述した従来のおむつがもつ
漏れ、逆戻りの問題点を改善するおむつを提案した。し
かしこの従来例は、表面シートの股間位置に起立したギ
ャザー構造を有していなかったので、股間からの尿漏れ
防止が十分ではない。

【０００４】一方、立体ギャザーを吸収体の外側に設け
るものが、例えば特開昭６２−２２３３０３号公報など
によって開示されている。このおむつの立体ギャザー
は、図６に示したように概ね、サイドフラップ３０の上
側に、表面シート３１とは別体に立体ギャザー形成のた
めの第２フラップ３２を取付け、その第２フラップを折
り返してループ状になし、且つその折り返し部分の端末
をエンドフラップ位置（腹部、背部）で接着固定すると
共に、前記ループ３３内に伸縮弾性体３４（エラスチッ
クバンド）を伸張状態に接着し、伸縮弾性体の引っ張り
作用で起立するギャザー構造３５を股間位置に設けるも
のである。つまり、おむつ着用時、前記弾性体が収縮し
た状態では第２のフラップの折り返し部を上方に引っ張
り上げるようにしている。しかし、この従来の立体ギャ
ザーは、前記のとおりサイドフラップとは別に幅の広い
第２のフラップが必須であり、この第２フラップ先端部
を製造時に折り返してループ状とし、そのループ内にエ
ラスチックバンドを巻き込み接着する等の複雑な加工処
理作業を要する。そのうえ、前記折り返し部分の端末を
エンドフラップ位置（腹部、背部）で接着しているか
ら、その立体ギャザーの位置と長さは、紙おむつ全長に
対するエンドフラップ接着固定の長さとエラスチック封
入の長さで決ってくるという制約があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】以上の事情に鑑み本発
明者らは、先願たる特願昭６３−２５３８６９号を改良
して、従来よりもさらに尿漏れ防止機能の高いおむつを
簡便な手段で提供しようとするものである。すなわち表
面シートの股間位置に尿漏れ防止機能を備えた立体伸縮
ギャザーを有する使い捨ておむつを、従来の機械的生産
過程を殆ど変更せずに、換言すれば簡易な手段と方法
で、結果的に極めて経済的に製作することが可能なおむ
つを提案することを本発明の第１の課題としている。ま
た前記特開昭６２−２２３３０３号の問題点を改善して
従来のような立体ギャザーを形成する際に複雑な加工処
理を要せず、そのギャザーの位置と長さ及び立ち上がり
高さを簡単に変更調節できる新規なおむつを提案するこ
とを第２の課題とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に本発明は、中央に設ける親水性表面材とその両サイド
に設ける疎水性表面材を重ね合わせ、その間に弾性体を
設置し、この弾性体に沿って中央の表面材を適当な長さ
にカットすることにより、カットした両サイドの部分が
弾性体の伸縮によって起立し、尿漏れを防止する立体伸
縮ギャザーが形成されるようにしたことを要旨とするも
のである。

【０００７】すなわち本発明のおむつは、吸収体が表面
シートと液体不透過性の裏面シートの間に配置されてい
る使い捨ておむつであって、前記吸収体の上面を透水性
シートで被覆し、また前記表面シートを、中央領域に配
置される親水性センター表面材と幅方向両側領域に配置
される疎水性サイド表面材とで構成し、前記センター表
面材の側縁と前記サイド表面材の側縁とを互いに重ね合
わせ、その重ね合わせた側縁間に伸縮弾性体を前記重ね
合わせ部に沿い伸張状態に接着介置させ、かつ前記重ね
合わせ部に沿って前記センター表面材の両側部をスリッ
トカットするとともに前記２つのスリットカット部内側
の領域を前記透水性シートに接合し、また前記センター
表面材の前記スリットカット部の外側の領域を前記透水
性シートに接合されない遊離部として、前記伸縮弾性体
の縮小時に、前記遊離部を弾性的に上方に立ち上げるよ
うにしたことを特徴とするものである。

【０００８】

【実施例】以下本発明おむつの具体的な実施態様を、図
面に基づいて説明する。図１〜図５に示すように、本発
明の使い捨ておむつは、中央領域が親水性である表面シ
ート２と、液不透過性の裏面シート３と、その間に配置
された吸収体１と、股下領域に設ける伸縮弾性体１８，
２４と、おむつの上部両端の止着テープ５とを有してい
る。図１の平面図によくあらわされているように、表面
シート２は、おむつの中央領域に配置される親水性セン
ター表面材１５とおむつの幅方向両側領域に配置される
２枚のサイド表面材１６，１６とからなる。そして股下
領域における親水性センター表面材１５の両側部にスリ
ットカット部１９を設けることにより、おむつ長手方向
に沿って排せつ物の横漏れを防止し得る堰となる立体伸
縮ギャザー６、６を形成させている。

【０００９】以下この点を詳細に説明する。図２に示し
たように、おむつの中心層を構成する吸収体１は、裏面
シート３の中央位置に固定される。前記吸収体１は、マ
ット状をなす吸収性芯体１２とその下側に設けるテイッ
シュ１２ａとからなっている。そしてこの芯体１２の上
側にはこれを覆う様に透水性シート１３（第２表面材）
が配置される。この透水性シート１３の役割については
後述する。

【００１０】前記芯体１２としては、液体吸収力にすぐ
れたフラップパルプ、綿状パルプ、レーヨン等の吸収性
繊維が用いられ、これをテイッシュ１２ａと組合せて２
層あるいはそれ以上の多層にして使用する。また前記芯
体１２を構成する繊維層間に、高吸収性ポリマーを含む
シートあるいはこれに、活性炭、カルボキシメチルセル
ロース、ゼオライトなどを混合した粒状物を必要に応じ
て配置することにより吸収能力を増大させることも可能
である。

【００１１】前述のように芯体１２の上表面には、これ
を覆い隠すように、透水性シート１３（第２表面材）を
少なくとも１枚配置する。このように芯体１２の上にテ
イッシュではなく、強度を有する透水性シートを重ね合
わせた主なる理由は、表面材１５の両側部を立ち上げた
ときに、吸収体は強度が弱いのでこれを露出させないこ
とと、この吸収体に吸収された尿の逆戻りを表面材１３
と１５の２枚によって低減させるためである。なお透水
性シート１３としては、前記した理由から通常使用する
テイッシュペーパーよりも強度を有するものが好まし
く、一例として親水性の不織布、穴あきプラスチックフ
イルムなどが用いられる。

【００１２】吸収体１の平面形状は、図１に示すような
くびれのない長方形状かあるいは中央部両側がくびれ
た、いわゆる砂時計状（図示略）のものが使用される。

【００１３】裏面シート３としては、防水性を有するシ
ート材が用いられ、好ましくは通気性を兼備したシート
材を用いるのがよい。具体的には通気性を備えたポリエ
チレンフイルム、撥水性不織布が用いられる。

【００１４】前述のように表面シート２は、おむつの中
央領域に配置されるセンター表面材１５とおむつの幅方
向両側領域に配置されるサイド表面材１６，１６とで構
成されているが、センター表面材１５は、図１に示すよ
うにおむつの縦方向の長さ一杯の長さを備える長方形に
形成されている。このセンター表面材１５としては、通
常、乾式不織布が用いられるが、疎水性不織布（例えば
ポリプロピレン・スパンボンド不織布）の中央領域を界
面活性剤などにより親水化処理をしたものを用いること
もできる。一方、おむつの幅方向両側領域に配置される
サイド表面材１６としては、左右いずれかの側縁にレッ
グホール用の凹欠部を形成したセンター表面材と等長の
疎水性素材が用いられる。この疎水性素材としては、例
えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなど
の合成繊維よりなる親水化処理のされていないスパンボ
ンド不織布、メルトブロー不織布などが好適であるが、
もちろんこれに限定するものではない。

【００１５】中央領域に配置されるセンター表面材１５
と、その両側に配置されるサイド表面材１６，１６と
は、互いに隣接する側縁同士をラップさせ（重ね合せ）
てそのラップ部１７，１７をホットメルト接着剤または
ヒートシール法により部分的に接着固定してもよいし、
あるいはセンター表面材１５とサイド表面材１６とを重
ね合わせ、その間に接着剤を塗布した伸縮弾性体（例え
ばエラスチックバンド等）１８を伸張状態に介置させる
ことにより表面材相互を接着してもよい。

【００１６】なお３２０ｍｍ幅の使い捨ておむつにおい
て、本実施例では、前記センター表面材のシート幅を１
７０ｍｍ、サイド表面材のシート幅を１１５ｍｍ、両表
面材のラップ幅は４０ｍｍに設定している。そのラップ
幅は、２種類の表面材１５と１６とが互いに十分な強度
で接合されれば４０ｍｍ以下でもよく、ラップ幅に特に
制限はないが、前記の通りこの部分に複数本のエラスチ
ックバンド１８を平行に介置することを考慮して、好ま
しくは２０ｍｍ以上のラップ幅で重なり合うようにする
のがよい。また２種類の表面材をラップさせるに当り、
図示の実施例ではセンター表面材１５の上にサイド表面
材１６を重ねているが、その逆でも差し支えない。

【００１７】前記センター表面材１５の両側部には、前
記エラスチックバンド１８に沿ってスリットカット部１
９，１９を形成する。そして図２に示す通り、このセン
ター表面材１５のスリットカット部間すなわち前記２つ
のスリットカット部内側の適当領域を前記透水性シート
１３にホットメルト接着剤等を用いて部分的に接着する
一方、前記スリットカット部１９の外側の部分すなわち
前記センター表面材１５の前記スリットカット部１９の
外側の領域を前記透水性シート１３に接合されない遊離
部（非接着部）２０に形成する。図１において、斜線部
は表面シート接着部を表し、白抜き部は表面シート遊離
部を表している。

【００１８】このようにすることにより、前記ラップ部
１７の内部に貼合わせられたエラスチックバンド１８が
縮小したとき、前記遊離部を弾性的に上方に立ち上げ
て、おむつの長手方向に沿って横漏れを防止し得る堰と
なる立体的な伸縮ギャザー６を形成するのである。なお
前記スリットカット部１９の位置と長さは、図５（Ａ）
〜（Ｂ）に例示するように簡単に変更、調節することが
できる。図５（Ａ）と図５（Ｂ）とを比べるとカットす
る位置が異なり、図５（Ｂ）の方がギャザーの立ち上が
り高さが高い。

【００１９】なお、図中２１、２１で示すものは、前記
サイド表面材１６，１６及び裏面シート３の幅方向両側
縁を切り欠いて形成したレッグホール用の凹欠部であ
り、この凹欠部２１，２１の内側縁に沿うように、レッ
グギャザー２３，２３を形成する伸縮弾性体（例えばエ
ラスチックバンド等）２４を伸張状態に接着するのであ
る。このレッグギャザー２３はおむつの着用時、使用者
の脚回りに接触して、シール状態を保持する。

【００２０】図３と図４は、本発明たる使い捨ておむつ
の製造方法の概略を示した説明図である。上図からも明
かなように、裏面シート３の上に透水性シートで被覆し
たおむつの中心層を構成する吸収体１と、レッグギャザ
ー２３，２３を形成する伸縮弾性体２４とを接着した
後、これらの上に、前述したように、親水性のセンター
表面材１５と疎水性のサイド表面材１６を重ね合わせそ
の重合せた間にエラスチックバンド１８を伸張状態に接
着してなる表面シート２を貼り重ねる。なお、親水性の
センター表面材１５のラップ部１７側近には、予め、そ
のラップ部に沿って間欠的にスリットカットを施すこと
によりスリットカット部１９を設けておくものである。

【００２１】

【発明の効果】以上述べたように、本発明のおむつによ
れば、親水性センター表面材と疎水性サイド表面材を重
ね合わせ、その間に弾性体を設置し、この弾性体に沿っ
て中央の表面材を適当な長さにスリットカットするだけ
で、カットした両サイドの遊離部分が弾性体の伸縮によ
って起立し、尿漏れを防止する立体伸縮ギャザーが簡単
に形成することができる。また芯体の上に実質的に表面
材を２枚に重ね合わせることにより上側の表面材を立ち
上げたときに吸収性芯体を露出させず、かつ表面材が厚
くなるためにこの芯体に吸収された尿の逆戻りを低減さ
せることが可能となる。従って従来のものよりもさらに
尿漏れ防止機能の高いおむつを提供できる。更に前記ス
リットカット部の位置、長さにより立体伸縮ギャザーの
立ち上がり方や立ち上がり場所、立ち上がりの高さを簡
単に調節できる点ですぐれた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明おむつの一例を示す平面図。

【図２】同上Ａ−Ａ線に沿う断面図

【図３】本発明おむつの製造方法を概略的に示す説明
図。

【図４】同上分解図。

【図５】スリット位置を変えた本発明おむつの他の例を
示す平面図。

【図６】従来品の断面図。

【符号の説明】

１ 吸収体 ２ 表面シート ３ 裏面シート ４ サイドフラップ ５ 止着テープ ６ 立体伸縮ギャザー １２ マット状芯体 １３ 透水性シート １５ センター表面材 １６ サイド表面材 １７ ラップ部 １８ 伸縮弾性体 １９ スリットカット部 ２０ 遊離部 ２１ 凹欠部 ２３ レッグギャザー ２４ 伸縮弾性体 ３０ サイドフラップ ３１ 表面シート ３２ 第２フラップ ３３ ループ ３４ 伸縮弾性体 ３５ 立体伸縮ギャザー

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸収体が表面シートと液体不透過性の裏
   面シートの間に配置されている使い捨ておむつにおい
   て、 前記吸収体の上面を透水性シートで被覆し、また前記表
   面シートを、中央領域に配置される親水性センター表面
   材と幅方向両側領域に配置される疎水性サイド表面材と
   で構成し、前記センター表面材の側縁と前記サイド表面
   材の側縁とを互いに重ね合わせ、その重ね合わせた側縁
   間に伸縮弾性体を前記重ね合わせ部に沿い伸張状態に接
   着介置させ、かつ前記重ね合わせ部に沿って前記センタ
   ー表面材の両側部をスリットカットするとともに前記２
   つのスリットカット部内側の領域を前記透水性シートに
   接合し、また前記センター表面材の前記スリットカット
   部の外側の領域を前記透水性シートに接合されない遊離
   部として、前記伸縮弾性体の縮小時に、前記遊離部を弾
   性的に上方に立ち上げるようにしたことを特徴とする使
   い捨ておむつ。