JP3169304B2 - 個袋入り生理用ナプキン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、三つ折りにして個袋
に入れた生理用ナプキンに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、生理用ナプキンを二つ折りや三つ
折りにして個袋に封入し、需要者へ供給する技術は周知
である。また、ナプキンの前後方向に伸長した弾性体を
バリヤーフラップに取付けてそのフラップに伸縮性向を
付与する技術は、例えば実開平５−９３４３０号公報に
よって公知である。この技術によれば、着用したナプキ
ンが長手方向内側に湾曲すると、フラップが収縮してナ
プキンの肌当接面から立上り、経血の横漏れを防止する
バリヤーを形成する。ちなみに、このように作用するフ
ラップは、使い捨ておむつの技術分野においてもよく知
られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】かかるフラップを有す
るナプキンもまた、二つ折りや三つ折りにして個袋に包
装し、コンパクトな形で需要者に供給することができ
る。ところでナプキンは、局部の柔軟な肌に圧接させる
ものであるから、フラップの伸縮弾性は、肌に喰い込む
ことがないように弱くしておかなければならない。しか
るにナプキンは、吸液性コアの存在によって剛性を帯び
ており、伸縮力の弱いフラップであると、その剛性に負
けて、充分に収縮できない場合がある。そうしたフラッ
プは、ナプキンの肌当接面から十分に立上がることがな
く、したがって経血の横漏れを防止しきれないという問
題を生じる。

【０００４】そこでこの発明は、三つ折りにしたナプキ
ンにおいて、その折曲線がフラップの弾性伸縮部を横切
るようにし、ナプキンを自然状態に置いたときの弾性伸
縮部の収縮を容易にすることで前記問題を解決すること
を課題にしている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明が前記課題を解
決するために、手段とするところは、以下のとおりであ
る。

【０００６】この発明においては、透液性表面シートと
不透液性裏面シートとの間に吸液性コアが介在し、左右
両側にナプキン前後方向に伸縮するバリヤーフラップを
備えた生理用ナプキンの前後両端部を該ナプキン幅方向
に延びる折曲線に沿って前記表面シート側へ折り重ねる
ことにより三つ折りにした個袋入り生理用ナプキンを前
提にしている。

【０００７】かかる前提において、この発明が特徴とす
るところは、前記バリヤーフラップを前記前後方向に伸
長状態にある弾性伸縮部と、該伸縮部の前後各々に位置
する非伸縮部とにより構成し、その伸縮部がナプキン全
長の３７〜７０％を占め、前記折曲線がその伸縮部を横
切っており、前記折曲線が前記伸縮部と非伸縮部との境
界から１０ｍｍ以上離間しており、前記コアの左右側縁
から延出する表面シートおよび裏面シートの少なくとも
一方を含む非伸縮性のサイドフラップを有し、前記バリ
ヤーフラップの前後端部と前記サイドフラップの前後端
部とが熱エンボス加工により熱融着することで接合一体
化して前記非伸縮部を画成し、前記非伸縮部が前記バリ
ヤーフラップ及び前記サイドフラップの他の部よりも剛
性を有していることにある。

【０００８】

【作用】このように構成した生理用ナプキンは、それを
個袋から取出して前後に伸展するとフラップの弾性伸縮
部が収縮しようとする。また、三つ折りにしてあったこ
のナプキンには、折曲線に沿う折り癖がついており、伸
展したナプキンの前後方向の中間部を水平な面上に置い
て手を離すと、前後両端部が各々上向きとなり、いわゆ
る船形を呈する。弾性伸縮部は、その両端部の間におい
て収縮し、ナプキンの肌当接面から起立する。

【０００９】

【実施例】この発明に係る生理用ナプキンの詳細を添付
の図面を参照して説明すると、以下のとおりである。

【００１０】図１、２は、三つ折りにして個袋２に封入
した生理用ナプキン１の斜視図と、個袋２から取出し、
水平に伸展した生理用ナプキン１の平面図である。ナプ
キン１は、熱可塑性合成繊維の不織布からなる透液性表
面シート３と、熱可塑性合成樹脂フィルムからなる不透
液性裏面シート４と、これら両シート３，４間に介在す
る吸液性コア５とからなり、両シート３，４は、コア５
の周縁から延出する部分が水密に接合して非伸縮性の上
下エンドフラップ６と左右サイドフラップ８とを画成し
ている。サイドフラップ８において表面シート３の肌接
触面にはそこから着用者の肌に向かって立上ることが可
能な弾性伸縮性を有する後記中間部２４を備えたバリヤ
ーフラップ１０がある。

【００１１】ナプキン１は、長手方向をほぼ三等分する
仮想線１２，１３に沿い、表面シート２を内側にして前
後（図の上下）両端部１４，１５を折り重ねることによ
り三つ折りにしてあり、そのナプキン１が仮想線で示す
個袋２（図１参照）に封入してある。個袋２のフラップ
２７を矢印Ａ方向へ開くとナプキン１を簡単に摘み出す
ことができる。

【００１２】バリヤーフラップ１０は、熱可塑性合成繊
維でできた不透液性または撥水性の縦長の不織布を二つ
に折り重ねて画成した側縁１９の内側に弾性部材２０を
伸長状態で貼着したものであって、自由状態の側縁１９
と、線状に塗布したホットメルト接着剤１７でフラップ
８に固定され、側縁１９に対向する側縁１９Ａと、フラ
ップ８に固定されて非伸縮性を示す前後端部２２，２３
と、それら両端部２２，２３間に介在する伸縮性の中間
部２４とからなる。前後端部２２，２３は、フラップ８
とバリヤーフラップ１０とを熱エンボス加工により熱融
着させて剛性を高め、弾性部材２０がそこに存在してい
ても収縮することがないようにしてある。

【００１３】図２から明らかなように、ナプキン１を三
つ折りにするための折曲線１２，１３は、バリヤーフラ
ップ１０をその中間部２４において横切るが、その横切
る位置を好ましくは直近の前後端部２２，２３の内端２
２Ａまたは２３Ａから１０ｍｍ以上離間させておく。

【００１４】図３は、図２のＸ−Ｘ線断面図である。水
平に伸展したナプキン１では、フラップ１０の中間部２
４が伸長して平坦な状態にあり、フラップ８に重なって
いる。

【００１５】図４は、個袋２から摘み出したナプキン１
を水平な面上に置いたときの斜視図である。ナプキン１
には、三つ折りにしてあったときの折り癖がついてお
り、折曲線１２，１３間の部分１６を水平に置くと、ナ
プキン端部１４，１５が折曲線１２，１３から立上り、
ナプキン１は、いわゆる船形を呈する。この状態にある
ナプキン１では、フラップ１０の前後端部２２，２３の
内端２２Ａ，２３Ａ間の直線距離が水平に伸展したとき
のナプキン１（図２参照）のそれよりも短くなり、フラ
ップ１０の中間部２４は、その短くなった分だけ収縮す
るとともに、側縁１９とその近傍がナプキン１の肌当接
面から立上る。

【００１６】図５は、図４のＹ−Ｙ線端面図である。フ
ラップ１０は、その中間部２４において側縁１９とその
近傍とが立上ることによって、経血の横漏れを防止する
バリヤーを形成している。図では、側縁１９が外側に位
置し、対向する側縁１９Ａが内側に位置するように構成
してあるが、側縁１９が内側に位置するようにしてもよ
い。また、中間部２４の前後方向の長さは、ナプキン１
全長の３７〜７０％、より好ましくは４０〜６５％にす
る。その全長は、３７％未満であると三つ折りのための
折曲線１２，１３の間隔にほぼ等しくなるか、またはそ
れ以下となり、ナプキン１を折曲することによる効果が
殆ど、または全く得られない。一方、その全長が７０％
より大きいと、それを十分に収縮させるために弾性部材
２０を比較的高い伸長率でフラップ１０に貼着すること
が必要になる。さもないと、ナプキン１を図４の状態に
置いたときに、中間部２４は中だるみの状態となり、立
上らない場合を生ずることがある。しかし、伸長率を高
めることは、弾性部材２０が柔軟性を失うことにつなが
り、局部への刺激を強めることになるから好ましくな
い。

【００１７】このようにナプキン１に折り癖をつけてバ
リヤーフラップ１０の中間部２４を収縮させれば、中間
部２４の収縮力が吸液性コア５の剛性に比べて弱くても
効果的なバリヤーを確実に形成することができる。言い
方を替えると、フラップ１０は、その収縮力を適度に弱
くして着用者の局部への当接をソフトにし、着用感を向
上させることができる。

【００１８】この発明に係る個袋入り生理用ナプキン１
では、表裏面シート３，４やコア５などの各部材に当該
分野の慣用素材を使うことができる。各部材の接合や固
定にはホットメルト接着剤などを使用する接着技術や熱
融着の技術を利用することができ、熱エンボス加工に代
えて接着技術を利用することもできる。フラップ１０
は、ゴムシートや伸縮性不織布でつくることにより、弾
性部材２０の使用を省いたり、弾性部材２０の貼着を中
間部２４だけに限定することもできる。

【００１９】なお、図示していないが、ナプキン１の折
曲線１２，１３に沿って少なくともコア５にその上面か
ら断面形が凹状（好ましくはＶ字状）の圧搾条溝を設
け、これにより、バリヤーフラップ１０の収縮性を更に
容易にするとともに、経血が該各条溝を越えて前後端部
１４，１５へはあまり浸透拡散しないようにすることが
できる。なおまた、前記両圧搾条溝を連結する長さ方向
の圧搾条溝を中間部１６の少なくとも中心部に設けるこ
とで、そうした機能を更に増大させることができる。

【００２０】

【発明の効果】この発明に係る個袋入り生理用ナプキン
は、バリヤーフラップの伸縮部を横切る折曲線に沿って
三つ折りにしてあるから、ナプキンにその折り癖がつく
とフラップの伸縮部は収縮が容易となり経血の横漏れを
防止するバリヤーを確実に形成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】個袋入りナプキンの斜視図。

【図２】伸展したナプキンの部分破断平面図。

【図３】図２のＸ−Ｘ線端面図。

【図４】水平面上に置いたナプキンの斜視図。

【図５】図４のＹ−Ｙ線端面図。

【符号の説明】

１ 生理用ナプキン ２ 個袋 ３ 表面シート ４ 裏面シート ５ 吸液性コア １２ 折曲線 １３ 折曲線 ２２ 前端部 ２３ 後端部 ２４ 中間部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】透液性表面シートと不透液性裏面シートと
   の間に吸液性コアが介在し、左右両側にナプキン前後方
   向に伸縮可能なバリヤーフラップを備えた生理用ナプキ
   ンの前後両端部を該ナプキン幅方向に延びる折曲線に沿
   って前記表面シート側へ折り重ねることにより三つ折り
   にした個袋入り生理用ナプキンにおいて、 前記バリヤーフラップを前記前後方向に伸長状態にある
   弾性伸縮部と、該伸縮部の前後各々に位置する非伸縮部
   とにより構成し、その伸縮部がナプキン全長の３７〜７
   ０％を占め、前記折曲線がその伸縮部を横切っており、 前記折曲線が前記伸縮部と非伸縮部との境界から１０ｍ
   ｍ以上離間しており、 前記コアの左右側縁から延出する表面シートおよび裏面
   シートの少なくとも一方を含む非伸縮性のサイドフラッ
   プを有し、前記バリヤーフラップの前後端部と前記サイ
   ドフラップの前後端部とが熱エンボス加工により熱融着
   することで接合一体化して前記非伸縮部を画成し、前記
   非伸縮部が前記バリヤーフラップ及び前記サイドフラッ
   プの他の部よりも剛性を有している ことを特徴とする前
   記個袋入り生理用ナプキン。