JP3164654U - 高耐食性鉄製部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】自然界の厳しい環境下おいて長期にわたって優れた耐食性を有し、かつ所定の外観を維持することができる高耐食性鉄製部品を提供する。【解決手段】鋼管鉄塔(鉄製構造物)の構成要素として用いられる鉄製のボルト(原部品)Bに耐食性に優れた表面処理を施してなる高耐食性鉄製部品1であり、ボルトBの表面に亜鉛層2を設け、この亜鉛層2の表面にリン酸塩皮膜層3を設け、このリン酸塩皮膜層3の表面に焼成された防錆塗装皮膜層4を設けるように構成した。また、防錆塗装皮膜層4は、複数回の焼成処理により複数層に形成することが好ましい。更に、防錆塗装皮膜層4としては、金属フレーク、タルク、リン酸アルミニウム及びフッ素を含むもので構成することが好ましい。【選択図】図1

Description

本考案は、鉄塔等の鉄製構造物の構成要素として用いられる高耐食性鉄製部品に関する。
鉄塔等の鉄製構造物は、高温多湿、積雪寒冷、酸性雨、潮風、台風等の自然界におけるあらゆる環境下において、長年月にわたる使用に耐え得ることが要求されることから、その構成要素としての構成部材や、これらの構成部材等を連結するボルト、ナット類の連結部品などに対して特に防錆面からの厳しい要求がある。
これに対して、従来においては、構成部材や連結部品等に用いられる鉄製の原部品に対して例えば溶融亜鉛めっきを施すことによる防錆対策がとられてきている。
しかしながら、溶融亜鉛めっきによる防錆対策は、耐食性を向上させる上では一定の効果があるものの、その亜鉛めっき自体の酸化によって白錆等が発生し、時間の経過に伴って外観が損なわれるという問題がある。また、白錆の進行に伴って鉄の赤錆の発生も避けられないという事実がある。
本考案は、上記事情に鑑みてなされたものであり、自然界のあらゆる環境下おいて長期にわたって優れた耐食性を有すると共に、所定の外観を維持することができる高耐食性鉄製部品を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するため請求項1に記載の考案は、鉄製構造物の構成要素として用いられる鉄製の原部品に耐食性に優れた表面処理を施してなる高耐食性鉄製部品であって、前記原部品の表面に亜鉛層を設け、この亜鉛層の表面にリン酸塩皮膜層を設け、このリン酸塩皮膜層の表面に焼成された防錆塗装皮膜層を設けてなることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記防錆塗装皮膜層は、複数回の焼成処理により複数層に形成されていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記防錆塗装皮膜層は、金属フレーク、タルク、リン酸アルミニウム及びフッ素を含むことを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記防錆塗装皮膜層は、金属フレークとしてのアルミフレークが20〜30質量%、タルクが20〜30質量%、リン酸アルミニウムが10〜20質量%、残部がエポキシ樹脂と、フッ素を含む不可避不純物とからなることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記防錆塗装皮膜層における少なくとも最外層は、金属フレーク、タルク、リン酸アルミニウム及びフッ素を含むことを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項2又は5に記載の発明において、前記防錆塗装皮膜層の少なくとも最外層は、金属フレークとしてのアルミフレークが20〜30質量%、タルクが20〜30質量%、リン酸アルミニウムが10〜20質量%、残部がエポキシ樹脂と、フッ素を含む不可避不純物とからなることを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れかに記載の発明において、前記原部品は、前記鉄製構造物の構成部材及び/又は構成部材を連結するために用いられるボルト、ナット、座金等の連結関連部品であることを特徴としている。
本考案の請求項1に記載の考案によれば、鉄製の原部品の表面に亜鉛層を設け、この亜鉛層の表面にリン酸塩皮膜層を設け、このリン酸塩皮膜層の表面に焼成してなる防錆塗装皮膜層を設けているので、亜鉛層の表面の活性度をリン酸塩皮膜層によって抑えた上で、防錆塗装皮膜層を付着させることができる。よって、防錆塗装皮膜層を、リン酸塩皮膜層を介して亜鉛層全体に緻密にかつ強固に付着させることができる。
また、防錆塗装皮膜層が緻密にかつ強固に付着することから、水等の腐食要因物質が亜鉛層に達するように浸入するのを当該防錆塗装皮膜層によって極力防止することができる。但し、長期にわたって、水等の腐食要因物質の浸入を完全に防止することは不可能であるが、たとえそのような腐食要因物質が防錆塗装皮膜層を通過したとしても、その腐食要因物質に対してリン酸塩皮膜層により緻密にかつ強固に付着している防錆塗装皮膜層により防錆効果を発揮することになるので、亜鉛層に白錆等が発生するのを更に遅らせることができる。
従って、亜鉛層における白錆等の腐食の発生を長期にわたって防止することができるので、その白錆等の腐食による体積の膨張によって防錆塗装皮膜層に浮きが生じ、当該防錆塗装皮膜層が剥がれるのを長年月にわたって防止することができる。即ち、自然界の風雨等にそのままさらされた状態においても、長期にわたって優れた耐食性を発揮することができると共に、所定の美的外観を維持することができるという顕著な効果を奏する。
請求項2に記載の考案によれば、防錆塗装皮膜層が複数回の焼成処理により複数層に形成されているので、ピンホール等の塗装欠陥の発生を極力防止することができる。従って、亜鉛層への腐食要因物質の浸入をさらに低減することができる。即ち、防錆塗装皮膜層の剥がれを更に長期にわたって防止することができる。
請求項3に記載の考案によれば、防錆塗装皮膜層が金属フレーク、タルク、リン酸アルミニウム及びフッ素を含んでいるので、その金属フレークによる光の反射効果により、太陽光を効率よく反射して、熱や紫外線等による防錆塗装皮膜層の劣化を防止することができる。また、タルク及びフッ素による動摩擦係数の低減効果により、原部品として採用される例えばボルト、ナットの締付トルクの平均値及び当該締付トルクのバラツキを、潤滑剤として推奨される菜種油を用いた場合と遜色ない程度まで下げることができる。即ち、菜種油等の潤滑剤を使用することなく鉄製構造物を効率よく組み立てることができる。なお、リン酸アルミニウムを有していることから、仮に白錆が亜鉛層に発生したとしても、当該リン酸アルミニウムの錆止め効果により、当該白錆の進行を遅らせることができる。
請求項4に記載の考案によれば、防錆塗装皮膜層が、金属フレークとしてのアルミフレークが20〜30質量%、タルクが20〜30質量%、リン酸アルミニウムが10〜20質量%、残部がエポキシ樹脂と、フッ素を含む不可避不純物とからなっているので、アルミフレークによって太陽光を十分効率よく反射することができると共に、エポキシ樹脂によって亜鉛層上のリン酸塩皮膜層に緻密にかつ強固に付着することができる。また、エポキシ樹脂は、アルミフレークを強力に結合するバインダとしても機能することになる。しかも、20〜30質量%含むタルク及び微小のフッ素によって原部品の一例としてのボルト、ナット等の動摩擦係数を十分に低減することができる。また、リン酸アルミニウムを10〜20質量%有していることから、十分な錆止め効果を有する。
請求項5に記載の考案によれば、防錆塗装皮膜層が複数層形成されている場合に、その少なくとも最外層が金属フレーク、タルク、リン酸アルミニウム及びフッ素を含むものになっているので、その少なくとも最外層において、太陽光の反射、動摩擦係数の低減等を図ることができる。従って、内方における防錆塗装皮膜層を、防水性、酸素バリア性その他の防錆効果を有する材料によって形成することができるので、太陽光による劣化や、動摩擦係数の低減などを図った上で、原部品の防錆効果を更に高めることができる。
請求項6に記載の考案によれば、防錆塗装皮膜層が複数層形成されている場合に、その少なくとも最外層は、金属フレークとしてのアルミフレークが20〜30質量%、タルクが20〜30質量%、リン酸アルミニウムが10〜20質量%、残部がエポキシ樹脂と、フッ素を含む不可避不純物とからなるものになっているので、その少なくとも最外層において、太陽光の反射機能、エポキシ樹脂によるアルミフレークを結合するのに優れたバインダー等として機能、動摩擦係数を低減する機能を確実に発揮することができる。従って、内方における防錆塗装皮膜層においては、防水性、酸素バリア性その他の防錆上有用な機能を持つ材料を用いて、原部品の防錆効果を更に高めることができる。
請求項7に記載の考案によれば、原部品が鉄製構造物の構成部材及び/又はこれらの構成部材を連結するために用いられるボルト、ナット、座金等の連結関連部品であるので、強度を直接受け持つような構成部材や、そうでない構成部材、あるいは連結関連部品について長期にわたって優れた耐食性及び耐久性を発揮することができ、かつ所定の美観を維持することができる。
本考案の一実施の形態として示した原部品としてのボルトに高耐食性の表面処理を施してなる高耐食性鉄製部品の説明図である。 同高耐食性鉄製部品によって構成された鉄塔の全体を示す正面図である。 同高耐食性鉄製部品によって構成された鉄塔の要部を示す説明図である。 同高耐食性鉄製部品の耐食効果を示す実験結果であり、鋼板に対して行った腐食のサイクル数と腐食減量との関係を示すグラフである。 同高耐食性鉄製部品の耐食効果を示す実験結果であり、ボルト・ナットM16に対して行った腐食のサイクル数と腐食減量との関係を示すグラフである。 同高耐食性鉄製部品の耐食効果を示す実験結果であり、ボルト・ナットM24に対して行った腐食のサイクル数と腐食減量との関係を示すグラフである。 同高耐食性鉄製部品の耐食効果を示す実験結果であり、鋼板を締め付けた状態のボルト・ナットM16に対して行った腐食のサイクル数と腐食減量との関係を示すグラフである。 同高耐食性鉄製部品の耐食効果を示す実験結果であり、鋼板を締め付けた状態のボルト・ナットM24に対して行った腐食のサイクル数と腐食減量との関係を示すグラフである。
以下、本考案の一実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
この実施の形態で示す高耐食性鉄製部品は、図2に示す鉄製構造物としての鋼管鉄塔Tの各構成要素として用いられる鉄製の原部品に高耐食性の表面処理を施してなるものである。
鋼管鉄塔Tは、その基本的構成が複数の主材(構成部材)P1と、複数の腹材(構成部材)P2とからなっている。各主材P1は、主材用鋼管P1aを上下に複数連結したもので構成されている。また、腹材P2は、水平材aや斜材b等に用いられる。
各主材用鋼管P1aは、図3に示すように、端部に溶接等により設けたフランジP1bを介してボルトB、ナットN、座金W等の連結関連部品Aによって連結されるようになっている。また、主材用鋼管P1aには、所定の部位に、腹材P2との連結を図るガセットプレートP1cが溶接等により設けられている。腹材P2は、腹材用鋼管P2aの両端部に継手P2bが溶接等により設けられたものとなっている。
主材P1と腹材P2とは、それぞれに設けたガセットプレートP1cと継手P2bとを、ボルトB、ナットN等の連結関連部品Aで連結することにより、一体化されるようになっている。
また、上記原部品は、鋼管鉄塔Tにおける鉄製の全ての部品を意味しており、上述したフランジP1b、ガセットプレートP1c等を備えた主材用鋼管P1aや、継手P2b等を備えた腹材用鋼管P2aや、連結関連部品Aなどである。
ここでは、図1に示すように、原部品の一つである鉄製のボルトBに高耐食性の表面処理を施してなるものを高耐食性鉄製部品1として説明する。
即ち、高耐食性鉄製部品1は、ボルトBの表面に亜鉛層2を設け、この亜鉛層2の表面にリン酸塩皮膜層3を設け、このリン酸塩皮膜層3の表面に焼き付けてなる防錆塗装皮膜層4を設けたものとなっている。
亜鉛層2は、溶融亜鉛めっきによりボルトBの表面に付着形成されたものであり、付着質量が450g/m以上になっている。
リン酸塩皮膜層3は、亜鉛層2を有するボルトBを脱脂洗浄後、リン酸亜鉛処理溶液に浸漬することにより形成したものであり、皮膜質量が1.5〜3.5g/mとなっている。このリン酸亜鉛処理溶液の成分は、
亜鉛水溶性化合物(Zn(HPO)が20〜30質量%。、
ニッケル化合物(Ni(HPO)が1〜10質量%。、
マンガン化合物(Mn(HPO)が1〜10質量%。、
ケイフッ化水素酸(HSiF)が1.3質量%。、
リン酸(HPO)が1〜10質量%。、
残部が水(HO)及び不可避不純物となっている。
防錆塗装皮膜層4は、第1の防錆塗装皮膜層4aと、第2の防錆塗装皮膜層4bとにより二層に形成されている。第1の防錆塗装皮膜層4aは、リン酸塩皮膜層3の処理をして水洗してから乾燥させた後に、ディップスピンによって塗料を塗布し所定の温度(例えば190℃)で所定時間(例えば30分間)焼き付けることにより形成されたものであり、塗着質量が150〜200mg/dmとなっている。第2の防錆塗装皮膜層4bについては、第1の防錆塗装皮膜層4aの表面に、同様のディップスピンによる塗布をし、焼付けを行うことにより形成したものであり、塗着質量も同様に150〜200mg/dmとなっている。
また、第1及び第2の防錆塗装皮膜層4a、4bは、その成分が
アルミフレーク(金属フレーク)が20〜30質量%、
タルクが20〜30質量%、
リン酸アルミニウムが10〜20質量%、
残部がエポキシ樹脂と、フッ素を含む不可避不純物とから
なっている。
上記のように構成された高耐食性鉄製部品1によれば、鉄製のボルトBの表面に溶融亜鉛めっきによる亜鉛層2を設け、この亜鉛層2の表面にリン酸塩皮膜層3を設け、このリン酸塩皮膜層3の表面に焼成してなる防錆塗装皮膜層4を設けているので、亜鉛層2の表面の活性度をリン酸塩皮膜層3によって抑えた上で、防錆塗装皮膜層4を付着させることができる。よって、ボルトBの表面全体を亜鉛層2で確実に覆うことができると共に、この亜鉛層2の全体に防錆塗装皮膜層4を緻密にかつ強固に付着させることができる。
また、防錆塗装皮膜層4が緻密にかつ強固に付着することになることから、水等の腐食要因物質が亜鉛層2に浸入するのを当該防錆塗装皮膜層4によって十分に防止することができる。但し、長期にわたって、水等の腐食要因物質の浸入を完全に防止することは不可能であるが、たとえ腐食要因物質が防錆塗装皮膜層4を通過したとしても、その腐食要因物質に対してリン酸塩皮膜層3により緻密にかつ強固に付着している防錆塗装皮膜層4により防錆効果を発揮することになるので、亜鉛層2に白錆等が発生するのを更に遅らせることができる。また、防錆塗装皮膜層4中に10〜20質量%含まれるリン酸アルミニウムは、白錆等の錆に対して錆止め効果を有することから、たとえ白錆等の腐食が発生したとしても、その腐食の進行を抑制することができる。
従って、亜鉛層2における白錆等の腐食を長期にわたって防止することができ、その白錆等による体積の膨張によって防錆塗装皮膜層4に浮きが生じ、当該防錆塗装皮膜層4に剥離が生じるのを長年月にわたって防止することができる。即ち、自然界におけるきびしい環境下にそのままさらされた状態においても、長年月にわたって優れた耐食性を発揮することができると共に、所定の美的外観を維持することができる。
また、防錆塗装皮膜層4が2層に形成されているので、ピンホール等の塗装欠陥の発生を極力防止することができる。従って、亜鉛層2への腐食要因物質の浸入をさらに低減することができる。即ち、白錆等の腐食の発生により防錆塗装皮膜層4に剥がれが生じるのをより長期にわたって防止することができる。
更に、防錆塗装皮膜層4が金属フレーク、タルク及びフッ素を含んでいるので、その金属フレークによる光の反射効果により、太陽光を効率よく反射して、熱や紫外線等による防錆塗装皮膜層4の劣化を防止することができる。また、タルク及びフッ素による動摩擦係数の低減効果により、ボルトB、ナットNの締付トルクの平均値及び当該締付トルクのバラツキを、潤滑剤として推奨される菜種油を用いた場合と遜色ない程度まで下げることができるので、菜種油等の潤滑剤を使用することなく鉄製構造物としての鋼管鉄塔Tを効率よく組み立てることができる。
特に、防錆塗装皮膜層4は、金属フレークとしてのアルミフレークが20〜30質量%、タルクが20〜30質量%、リン酸アルミニウムが10〜20質量%、残部がエポキシ樹脂と、フッ素を含む不可避不純物とからなっているので、アルミフレークによって太陽光を十分効率よく反射することができると共に、エポキシ樹脂によってアルミフレークを十分強力に結合することができ、かつリン酸塩皮膜層3を介して亜鉛層2に緻密にかつ強固に付着することができる。また、20〜30質量%含むタルク及び微小のフッ素によってボルトB、ナットNの動摩擦係数を十分に低減することができる。
次に、耐食性に関する実験例を説明する。
(第1実験例)
1.実験の目的
原部品に上述した高耐食性の表面処理を施してなる高耐食性鉄製部品1に対応するものを実施例とし、この実施例と、原部品に従来の表面処理を施した比較例とについて耐食性に関する比較実験を行う。
2.実験方法
JISG0594無機被覆鋼板のサイクル腐食促進試験方法に基づいて腐食促進試験を行う
3.試験片の種類
試験片は、下記の表1に示す通りであり、実施例については実施例1〜5のものを作成し、比較例については比較例1〜5のものを作成した。
実施例1〜5については、溶融亜鉛めっきによる亜鉛層2、リン酸塩皮膜層3、第1の防錆塗装皮膜層4a及び第2の防錆塗装皮膜層4bによる二層の防錆塗装皮膜層4からなる表面処理を表1の「原部品」の欄に記載した「鋼板」、「ボルト・ナット」に施したものである。この実施例の表面処理は、表1の「表面処理」の欄に「高耐食性処理」として示した。
比較例1〜5は、溶融亜鉛めっきの表面処理を表1の「原部品」の欄に記載した「鋼板」、「ボルト・ナット」に施したものである。この比較例の表面処理は、表1の「表面処理」の欄に「溶融亜鉛めっき」として示した。
また、表1の「原部品」の欄に示す「ボルト、ナット」は、六角ボルト、ナットである。「材質」の欄に示す「強5.8」、「強9.8」は、ボルト及びナットの材質を強度区分をもって示したものである。「サイズ」の欄に示す「6×150×60」は、鋼板の厚×縦×横の各寸法をmm単位で示したものである。なお、ボルトのサイズは、JISに基づいて記載している。「試験状態」の欄に示す「単独」とは、試験片を他の試験片と組み合わせることなく単独で試験を行ったことを意味する。また、「ボルト、ナットを螺合」とは、ボルトとナットを螺合した状態で試験を行ったことを意味する。更に、「ボルト、ナットを螺合して鋼板を締付」とは、ボルトとナットについて、鋼板を挟んで締め付けた状態で試験を行ったことを意味する。
Figure 0003164654
4.実験条件
実験条件は、下記の表2に示す通りである。「酸性塩水溶液噴霧工程」から「乾燥工程」を経て「湿潤工程」に至るまでを1サイクルとして192サイクルまで行い、12、24、36、60、96、192の各サイクル経過後の各試験片について調査を行った。
Figure 0003164654
5.実験の評価方法
実験は、12、24、36、60、96、192の各サイクルについて、表1の「数」の欄に示す3、2又は1の各数量の試験片を用意し、各サイクル経過後の各数量の試験片について、主として(イ)外観観察、(ロ)腐食減量、(ハ)密着性試験(実施例1のみ)を調査することによって行った。
上記「(ロ)腐食減量」については、12、24、36、60、96、192の各サイクル後の質量と、腐食生成物を除去した後の質量の差により求めた。ボルト及びナットについては、螺合状態を解除した後に、腐食減量を求めた。この腐食生成物除去方法は、JISZ2371参考表1に準拠している。即ち、酸化クロム(VI)(CrO)200gに蒸留水を加えて1000mlにしたものに、80℃×1分間浸漬させる方法を用いている。
一方、上記「(ハ)密着性試験」は、JISK5600−5−6の付着性(クロスカット法)を用いて行った。
6.実験結果
(イ)外観観察
実施例1〜5については、192サイクルに至るまで、白錆等の発生が認められなかった。一方、比較例1a〜5a及び比較例1b〜5bについては、12サイクル経過した時点で白錆が認められ、サイクルの増加に伴って、白錆が増加することが確認できた。
(ロ)腐食減量
腐食原料に関する実験結果を示すと、図4〜図8に示すようになる。実施例1〜3については、図4〜図6に示すように、192サイクルに至るまで腐食減量がほぼ零であり、比較例1〜3に比べて極めて高い耐食性を有していることがわかる。また、試験片に締付力をかけた状態の実施例4、5では、図7及び図8に示すように、腐食サイクルの増加に伴って、腐食減量が増加する傾向がみられるが、その腐食減量の値は比較例4、5に比べて小さなものであった。
(ハ)密着性試験
密着性試験については、実施例1でのみ行った。この結果、192サイク経過後においても、塗装皮膜の剥離を確認できなかった。
7.結論
以上より、実施例1〜5は、比較例1〜5に比べて、耐食性及び美観の維持において極めて優れていることが確認できた。また、実施例1から、防錆塗装皮膜層の母材への密着性も極めて優れていることが確認できた。
なお、その他の確認事項として、12サイクルから192サイクルまでの各サイクル経過後において、各ボルトの引張強さを測定した。この結果、引張強さに関しては、何れのボルトも強度の低下が確認されず、実施例2〜5と、比較例2〜5との間で有意差が認められなかった。
(第2実験例)
一方、ボルトの締付トルクに関する実験を、上記高耐食性鉄製部品1としてのボルトの実施例(潤滑油無し)と、溶融亜鉛めっきのみを施したボルトの比較例(潤滑油として菜種油を使用)とを用いて行った。
1.実験結果
実験結果は、表3に示す通りである。
Figure 0003164654
上記表3に示す締付トルクは、
締付トルク=Kmin×Fx×σy×As×d/安全率…(1)
により算出することができる。
ここで、
Kmin:トルク係数
Fx=(降伏締付軸力)/(降伏軸力)
σy:降伏点(又は耐力)
As:ねじの有効断面積
d:ねじの呼び径
安全率=1.1
である。
上記Kmin及びFxは、実験により求めたものである。ここで、Kminについては、実験データのうちの最小値を選択した。これにより、実施例のKminは0.13となり、比較例のKminは0.11となった。また、Fxについては、実験データから平均値を計算して求めた。これにより、Fxは、実施例においても比較例においてもほぼ同等の0.7となった。
2.結論
この実験の結果、実施例の締付トルクは、その平均値を表3に示すように比較してみると、菜種油を潤滑剤として使用した比較例の締付トルクより若干大きくなるものの、当該比較例の締付トルクと遜色ない値となることが明らかになった。なお、表3には示していないが、実施例の締付トルクのバラツキについても、比較例の締付トルクのバラツキより若干大きくなるものの、当該比較例と遜色ない程度まで低下することが確認ができた。
以上の第1及び第2実験例により、上述した実施の形態で示した高耐食性鉄製部品1の耐食性、美観の維持、ボルトBの締付トルクの低減等に関する優れた効果を確認することができた。
なお、上記実施の形態においては、図1に示すように、溶融亜鉛めっきによる亜鉛層2、リン酸塩皮膜層3、第1の防錆塗装皮膜層4a及び第2の防錆塗装皮膜層4bによる二層の防錆塗装皮膜層4からなる表面処理をボルトBに施してなる高耐食性鉄製部品1の例を示したが、その表面処理をフランジP1b、ガセットプレートP1c等を備えた主材用鋼管P1aや、継手P2b等を備えた腹材用鋼管P2aや、その他の原部品に施すことによって高耐食性鉄製部品を構成するようにしてもよい。
また、第1及び第2の防錆塗装皮膜層4a、4bについては、同等の成分を有するもので構成した例を示したが、最外層に位置する第2の防錆塗装皮膜層4bについては、アルミフレーク、タルク、エポキシ樹脂、フッ素等の上述した成分を有するものを用い、内側の層である第1の防錆塗装皮膜層4aについては、耐透水性や酸素バリア性等を有し防錆効果を更に高めた材料によって構成してもよい。この場合には、太陽光による劣化や、動摩擦係数を低減するなどの効果を奏する上に、ボルトB等の鉄製の原部品の防錆効果をより高めることができる利点がある。
また、防錆塗装皮膜層4については、一層のもので構成してもよく、また三層以上の複数層のもので構成してもよいことはいうまでもない。
1 高耐食性鉄製部品
2 亜鉛層
3 リン酸塩皮膜層
4 防錆塗装皮膜層
4a 第1の防錆塗装皮膜層
4b 第2の防錆塗装皮膜層
A 連結関連部品
B ボルト(原部品)
P1 主材(構成部材)
P2 腹材(構成部材)
T 鋼管鉄塔(鉄製構造物)

Claims (7)

  1. 鉄製構造物の構成要素として用いられる鉄製の原部品に耐食性に優れた表面処理を施してなる高耐食性鉄製部品であって、
    前記原部品の表面に亜鉛層を設け、この亜鉛層の表面にリン酸塩皮膜層を設け、このリン酸塩皮膜層の表面に焼成された防錆塗装皮膜層を設けてなることを特徴とする高耐食性鉄製部品。
  2. 前記防錆塗装皮膜層は、複数回の焼成処理により複数層に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高耐食性鉄製部品。
  3. 前記防錆塗装皮膜層は、金属フレーク、タルク、リン酸アルミニウム及びフッ素を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の高耐食性鉄製部品。
  4. 前記防錆塗装皮膜層は、金属フレークとしてのアルミフレークが20〜30質量%、タルクが20〜30質量%、リン酸アルミニウムが10〜20質量%、残部がエポキシ樹脂と、フッ素を含む不可避不純物とからなることを特徴とする請求項1〜3に記載の高耐食性鉄製部品。
  5. 前記防錆塗装皮膜層の少なくとも最外層は、金属フレーク、タルク、リン酸アルミニウム及びフッ素を含むことを特徴とする請求項2に記載の高耐食性鉄製部品。
  6. 前記防錆塗装皮膜層の少なくとも最外層は、金属フレークとしてのアルミフレークが20〜30質量%、タルクが20〜30質量%、リン酸アルミニウムが10〜20質量%、残部がエポキシ樹脂と、フッ素を含む不可避不純物とからなることを特徴とする請求項2又は5に記載の高耐食性鉄製部品。
  7. 前記原部品は、前記鉄製構造物の構成部材及び/又は構成部材を連結するために用いられるボルト、ナット、座金等の連結関連部品であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の高耐食性鉄製部品。
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