JP3163414B2 - 複合耐火被覆用組成物並びに複合耐火被覆層及びその形成方法 - Google Patents

複合耐火被覆用組成物並びに複合耐火被覆層及びその形成方法

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JP3163414B2 JP22804395A JP22804395A JP3163414B2 JP 3163414 B2 JP3163414 B2 JP 3163414B2 JP 22804395 A JP22804395 A JP 22804395A JP 22804395 A JP22804395 A JP 22804395A JP 3163414 B2 JP3163414 B2 JP 3163414B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合耐火被覆用組
成物並びに複合耐火被覆層及びその形成方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来より鉄骨造りの建築物、土木構築物に
おいて、火災時における鉄骨の強度低下を防止するた
め、鉄骨表面に耐火被覆材が被覆されている。このよう
な耐火被覆材の一つである発泡型耐火塗料は、未火災時
においては薄い塗膜であるが、火災時の温度上昇によ
り、塗膜中の成分が反応し、厚みのある発泡炭化断熱層
を形成する。この発泡炭化断熱層により、鉄骨に熱が伝
わるのを遅延させるのと同時に、発泡した時に発生する
不燃性ガスが消火作用を発揮する。
【0003】このような耐火塗料は、非発泡型の厚膜耐
火被覆材に比べて塗膜が薄いために、人目に触れるよう
な部位であっても、目立たず圧迫感を与えるようなこと
がなく、しかも耐火被覆層の施工上、薄い分だけ塗布量
が少なくて済む。
【0004】また、このような耐火塗料は、従来の厚膜
耐火被覆材施工用の高吐出量の圧送装置を必要とせず、
通常の塗料用の塗装機器が使用できることから、施工性
に優れた材料としても有望視されており、施工部位によ
っては現在急速に普及している材料である。
【0005】ところで、発泡型耐火塗料は、いつ起こる
かわからない火災に備えて、常に優れた耐火性能を発揮
できるということが条件とされるが、そのためには塗膜
が変質劣化することなく、できるだけ長期間にわたって
一定の品質を保持する必要がある。従って、特に外気に
さらされる部位等に用いる場合には、塗膜が優れた耐候
性を有していることが要求される。
【0006】しかしながら、これら従来の耐火塗料は、
必須成分として難燃剤、発泡剤等が含まれているが、こ
れらは水に溶解しやすいため、耐火塗料塗膜が降雨にさ
らされる屋外或いは屋内であっても結露の多い部位に使
用される場合には、これらの成分が溶け出して塗膜が変
質するおそれがある。このため、実際に火災が発生した
ときには、本来発泡炭化断熱層を形成すべき各成分の反
応が不十分乃至は全く起こらず、耐火断熱性等を十分発
揮できない場合がある。
【0007】また、屋外屋内共に太陽光線の照射を受け
る部位では、構成成分が紫外線による劣化を受けて、チ
ョーキング或いは塗膜の膨れ、剥がれ等の欠陥を生じ
る。
【0008】これに関し、耐火塗料の塗膜の上にさらに
耐水性・耐候性の良好な塗膜を上塗材として積層する方
法も知られているが、基体である耐火塗料塗膜は、これ
ら上塗材との密着性が不十分であるため、この方法にお
いても耐火塗料塗膜が本来もつ耐火性能を長期にわたっ
て維持することは困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、長
期耐候性に優れた複合耐火被覆層を得ることを主な目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の組成からなる耐
火塗料から形成された塗膜が一定の上塗材との密着性に
優れる結果、長期耐候性に優れた塗膜を提供し得ること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明は、下記の複合耐火被覆用組
成物並びに複合耐火被覆層及びその形成方法に係るもの
である。
【0012】1.ビニル系熱可塑性合成樹脂、石油
樹脂、リン系難燃剤、メラミン系化合物、トリアジ
ン系化合物、N−ニトロソ化合物、アゾ化合物、スルホ
ンヒドラジド化合物及びそれらの誘導体からなる分解型
発泡剤の少なくとも1種、多価アルコール系炭化層形
成剤ならびに塩素系可塑剤を含有することを特徴とす
る複合耐火被覆層形成用組成物。
【0013】2.上記1に記載の組成物からなる耐火被
覆層を被塗物上に形成させ、該耐火被覆層上にさらに上
塗材を塗布することを特徴とする複合耐火被覆層の形成
方法。
【0014】3.上塗材が、シリコン変性アクリル樹脂
又はフッ素ウレタン樹脂を主成分とするものである上記
3記載の形成方法。
【0015】4.上記2又は3に記載の形成方法によっ
て形成された複合耐火被覆層。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態と
ともに詳細に説明する。
【0017】ビニル系熱可塑性合成樹脂は、主として複
合耐火被覆層形成用組成物のその他の配合成分を分散さ
せる母体となるものであり、複合耐火被覆層形成用組成
物を層状に維持するための膜形成主要材料となる。
【0018】このようなビニル系熱可塑性合成樹脂とし
ては、上記の機能を有する限り特に制限されず、例えば
ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレンー酢酸ビニル
合成樹脂、酢酸ビニルーベオバ合成樹脂、ビニルトルエ
ンブタジエン、ビニルトルエンアクリレート、ビニルト
ルエンメタクリレート等が挙げられ、これらは単独又は
2種以上併用することができる。
【0019】これらの中でも特に、ビニルトルエンブタ
ジエン、ビニルトルエンアクリレート、ビニルトルエン
メタクリレート等のビニルトルエン系のものが好まし
く、この中でもビニルトルエンブタジエン、ビニルトル
エンアクリレート等がより望ましい。
【0020】また、ビニル系熱可塑性合成樹脂の分子量
は、特に制限されないが、通常は重量平均分子量5万〜
20万程度であれば良い。
【0021】石油樹脂は、公知のものがそのまま使用で
き、市販のものも用いることができる。石油樹脂の種類
としては、例えば石油類のスチームクラッキングにより
エチレン、プロピレン等を製造するエチレンプラントか
ら副生する分解留分のうち、C5留分を原料とする脂肪
族系(C5系)石油樹脂、C9留分を原料とする芳香族系
(C9系)石油樹脂、両者を原料とする脂肪族/芳香族
共重合系(C59系)石油樹脂、高純度のジシクロペン
タジエンを原料とする脂環族系(DCPD系)石油樹脂
等が挙げられる。これらの石油樹脂は、単独又は2種以
上を併用しても良い。これら石油樹脂の中でも、それ自
身耐候性に優れ、さらに上塗材との密着性の良好さから
も、脂環族系(DCPD系)石油樹脂を使用することが
望ましい。
【0022】石油樹脂を配合することにより、特に、こ
の複合耐火被覆層形成用組成物から形成される耐火被覆
層表面に耐候性に優れた上塗材を形成した場合に、優れ
た密着性、耐候性等を発揮する。
【0023】石油樹脂の配合量(固形分)は、用いるビ
ニル系熱可塑性合成樹脂の種類、用いる石油樹脂の種
類、塗膜の使用部位等に応じて適宜変更しても良いが、
通常は上記ビニル系熱可塑性合成樹脂の固形分100重
量部に対し、10〜60重量部程度、好ましくは15〜
45重量部とする。10重量部未満の場合には、耐候性
に優れた上塗材との密着性が不十分となることがあり、
また60重量部を超える場合には発泡炭化断熱層の燃焼
等が生じるおそれがある。
【0024】リン系難燃剤は、主に難燃作用によって発
泡炭化断熱層の燃焼を抑制乃至防止するものであり、こ
の作用を有するものであれば特にその種類は制限されな
い。例えば、トリクレジルホスフェート、ジフェニルク
レジルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェー
ト、トリ(β−クロロエチル)ホスフェート、トリブチ
ルホスフェート、トリ(ジクロロプロピル)ホスフェー
ト、トリフェニルホスフェート、トリ(ジブロモプロピ
ル)ホスフェート、クロロホスホネート、ブロモホスホ
ネート、ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)アミノメチルホスフェート、ジ(ポリオキシエチレ
ン)ヒドロキシメチルホスホネート等の有機リン系化合
物、三塩化リン、五塩化リン等の塩化物、リン酸アンモ
ニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸化合物等が
あげられる。これらの難燃剤は、1種又は2種以上用い
ても良い。これらの中でも、特に、脱水冷却作用及び不
燃性ガス発生作用の両方を合わせ持つがゆえに難燃性に
優れ、後記の発泡剤の配合量を削減できるという利点も
あることから、ポリリン酸アンモニウムを用いるのが好
ましい。
【0025】リン系難燃剤の配合量は、その難燃剤の種
類等によって適宜設定すれば良いが、上記のビニル系熱
可塑性合成樹脂の固形分100重量部に対し、通常20
0〜600重量部程度、好ましくは300〜500重量
部とすれば良い。200重量部より少ない場合には発泡
倍率が低くなり、耐火性能を発揮できない場合がある。
600重量部より多い場合には、発泡炭化断熱層の強度
が低くなり、鉄骨を十分保護できなくなる。発泡剤は、
温度の上昇と共に分解して不燃性ガスを発生し、後記の
多価アルコールの炭化物を発泡多孔質に形成するもので
ある。これらの発泡剤は、かかる発泡作用を有するもの
であれば、公知のものをそのまま使用することができ、
例えばメラミン等のメラミン系化合物、トリヒドラジノ
トリアジン等のトリアジン系化合物、ジニトロソペンタ
メチレンテトラミン、N,N−ジニトロソ−N,N−ジ
メチルテレフタルアミド等のN−ニトロソ化合物、アゾ
ビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド等のア
ゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエ
ンスルホニルヒドラジド、p,p−オキシ−ビス(ベン
ゼンスルホニルヒドラジド)等のスルホンヒドラジド化
合物、或いはこれらの誘導体等が挙げられる。これら
は、単独又は2種以上併用しても良い。これらの中でも
発泡開始温度や取り扱い、入手の容易性等からメラミ
ン、トリヒドラジノトリアジン等が望ましい。
【0026】発泡剤の配合量は、使用する発泡剤の種
類、塗膜の使用部位等によって定めれば良いが、通常は
上記のビニル系熱可塑性合成樹脂の固形分100重量部
に対し、40〜120重量部程度、好ましくは60〜9
0重量部とすれば良い。40重量部未満の場合には発泡
炭化断熱層に空洞が発生することがある。また、120
重量部を上回る場合には発泡倍率が低くなる。
【0027】多価アルコール系炭化層形成剤は、主に温
度の上昇と共に炭化して、前記の発泡剤の効果により炭
化物の発泡多孔質を形成するものである。多価アルコー
ル系炭化層形成剤としては、上記作用を有するものであ
れば特に制限されず、例えばデンプン、カゼイン、ペン
タエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチ
ルプロパン等が挙げられる。この中でも、ジペンタエリ
スリトール等が好ましい。これら多価アルコール系炭化
層形成剤は、1又は2以上使用しても良い。
【0028】多価アルコール系炭化層形成剤の配合量
は、塗膜の使用部位等により適宜変更することができる
が、通常は上記のビニル系熱可塑性合成樹脂の固形分1
00重量部に対し、40〜120重量部程度、好ましく
は60〜90重量部とすれば良い。
【0029】塩素系可塑剤は、特に形成される複合耐火
被覆層の強靱性を向上させるために配合するものであ
り、このような性質を有するものであればその種類は特
に限定されない。例えば、塩素化パラフィン系、塩素化
ポリオレフィン系、塩素化脂肪族エステル等の塩素系可
塑剤を使用することができる。これら塩素系可塑剤は、
単独又は2種以上を併用しても良い。これら塩素系可塑
剤の中のでも、塩素化パラフィンを用いるのが好まし
い。
【0030】塩素系可塑剤の配合量は、用いる部位等に
応じて適宜設定すれば良いが、通常は上記のビニル系熱
可塑性合成樹脂の固形分100重量部に対し、50〜1
70重量部程度、好ましくは70〜130重量部とすれ
ば良い。50重量部未満の場合には、発泡が不十分とな
り、170重量部を超える場合には塗膜が柔らかくなり
すぎる傾向がある。
【0031】本発明組成物は、これらの成分の他、本発
明の効果を低減させない範囲内で必要に応じて、二酸化
チタン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、酸
化亜鉛、粘土、クレー、シラス、マイカ、ガラス繊維、
ガラスフレーク、珪砂、寒水石等の充填材、ベンゼン、
トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤(希釈用溶
剤)、エチレングリコール等の乾燥調整剤、有機ベント
ナイト、アマイドワックス、ひまし油等の粘性調整剤、
シリコーンオイル等の消泡剤等の各種添加剤を配合する
こともできる。
【0032】本発明組成物は、前記の各成分を均一に混
合できればその配合順序は特に制限されないが、特にビ
ニル系熱可塑性合成樹脂に分解型発泡剤及び多価アルコ
ール系炭化層形成剤を混合した後、石油樹脂及び希釈用
溶剤を混合し、次いで塩素系可塑剤を混合することが望
ましい。
【0033】具体的には、例えば混合攪拌タンク内にビ
ニル系熱可塑性合成樹脂を投入し、ディソルバー等によ
り混合攪拌しながら分解型発泡剤及び多価アルコール系
炭化層形成剤を配合して均一分散させた後、石油樹脂及
び希釈用溶剤を混合し、次いで塩素系可塑剤を混合す
る。このような方法により、石油樹脂のもつ流動性を有
効に利用して溶剤の配合量を低減させることができる。
【0034】本発明の複合耐火被覆層は、鉄骨等の被塗
物上に、上記の複合耐火被覆層形成用組成物から形成さ
れた耐火被覆層の表面に、さらに長期耐候性に優れる上
塗材を塗付することにより形成される。
【0035】上記耐火被覆層は、前記組成物をはけ塗
り、スプレー、ローラー等の公知の塗工方法により塗布
し、乾燥させることにより得られる。塗膜の膜厚は、使
用する部位、被塗物の種類・形状等に応じて適宜定めれ
ば良いが、通常は0.3〜3mm程度とすれば良い。但
し、本発明組成物は、その組成によっては3mm以上の
厚塗りも可能である。
【0036】また、被塗物としては、特に制限されず、
鉄、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属材料或いは金
属に亜鉛メッキ等の金属メッキ処理を施した材料、コン
クリート、モルタル等の無機硬化体、その他プラスチッ
クス、木材等の実質的にあらゆるものに適用できる。
【0037】長期耐候性に優れる上塗材としては、JIS
A 6909-1995 「建築用仕上塗材」6.20耐候性試験B法に
おける耐候形1種から3種の性能を有するものであれば
特には限定されず、例えばシリコン変性アクリル樹脂、
フッ素含有ウレタン樹脂を主体とするものが、塗膜が汚
染しにくいという点から望ましい。
【0038】
【発明の効果】本発明組成物によれば、石油樹脂を含む
特定組成から構成されているので、その耐火被覆層が上
塗材との密着性に優れ、耐火性、断熱性等の耐火塗料と
しての本来の機能を長期にわたって維持することができ
る。
【0039】また、上記耐火被覆層は、乾燥収縮による
クラックが発生しにくく、数mmの厚膜でも形成させる
ことが可能である。
【0040】さらに、本発明組成物は、チクソトロピッ
ク性に優れ、厚吹きしても塗膜が垂れることがなく、実
質的にあらゆる部位に厚塗りすることができる。また、
ポンプ圧送時にも、圧送しやすい粘性を示し、取り扱い
性、施工性等にも優れている。
【0041】このような特徴をもつ本発明組成物は、主
に土木、建築構造物において、火災発生時における温度
上昇による構造物の強度低下を防止する耐火被覆材分野
に有用である。
【0042】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴をより明確にする。なお、本実施例における試験方法
は、以下の通りである。
【0043】 耐火性能試験 JIS K 1304「建築構造部分の耐火試験方法」の「4.
「加熱等級;付図」」に規定する標準加熱曲線に基づ
き、電気炉にて試験片の一面を加熱昇温し、熱間圧延鋼
板の裏面温度が600℃に達した時点での経過時間
(分)により評価した。また、その試験片について、乾
燥塗膜に対する発泡倍率の測定及び発泡層の状態(外
観)を評価した。
【0044】 塗膜物性試験 各試験片をJIS K 5400「塗料一般試験方法」の「9.8
「促進耐候性試験」」に規定するサンシャインカーボン
アーク灯式耐候性試験機にて、350時間促進試験をし
た後、試験片表面の塗膜の状態を肉眼による観察によっ
て評価した。
【0045】続いて、試験後の試験片をJIS K 5400「塗
料一般試験方法」の「9.4「耐湿潤繰り返し性」」に
基づき、10サイクル試験を行った。1サイクルの内容
は、20℃の清水中18時間、大気中20℃で3時間静
置、及び大気中50℃で3時間静置とした。このように
試験を行った後、試験片表面の塗膜の状態を肉眼による
観察によって評価した。これらの試験の評価方法は、日
本塗料検査協会発行の「塗膜の評価基準(1970)」
中、「ふくれの評価」及び「われの評価」に基づいて行
った。
【0046】 総合評価 長期耐候性に優れた複合耐火被覆層として使用できるも
のを○、使用できないものを×として示した。
【0047】実施例1 混合攪拌タンク中に、ビニル系熱可塑性樹脂としてビニ
ルトルエンアクリレート樹脂溶液を固形分換算で100
重量部投入し、ディゾルバーにて混合攪拌しながら、発
泡剤としてメラミン80重量部、炭化層形成剤としてジ
ペンタエリスリトール85重量部及び充填剤として二酸
化チタン120重量部を投入し、均一に分散させた。さ
らに、脂環族炭化水素系石油樹脂40重量部及び希釈用
溶剤(キシレン)300重量部を投入し、均一になるま
で十分に混合した後、ポリリン酸アンモニウム400重
量部を配合し、さらに可塑剤として塩素化パラフィン9
0重量部加えて混合し、複合耐火被覆用組成物を得た。
なお、用いた原料及びその配合は、表1及び表2にも示
す。
【0048】上記組成物を300mm×300mm×9mm
(A)及び150mm×300mm×2.3mm(B)の熱間
圧延鋼板を基材として、それぞれ塗布量3.0kg/m2
してスプレーにて吹き付け塗装し、5日間乾燥養生し
た。さらに、上塗材としてシリコン変性アクリル樹脂系
塗料(「弾性リリカタイトエナメル」エスケー化研
(株)製)を塗布量0.12kg/m2で塗装し、1週間乾
燥養生した。
【0049】得られた試験片Aについては耐火性能試
験、試験片Bについては塗膜物性試験に供した。その結
果を表4に示す。
【0050】以上の結果、上記で得られた被覆層は、上
塗材との密着性に優れるため、ふくれ、われを生じるこ
となく、さらに耐火性においても発泡炭化断熱層の状態
に異常はなく、発泡倍率も高く、耐火時間65分と優れ
た性能を示した。
【0051】実施例2〜3 表1に示す原料を用い、表2に示す配合とした以外は、
実施例1と同様にして複合耐火被覆層形成用組成物を製
造し、被膜層を形成させ、各試験を行った。その結果を
表4に示す。表4に示すように、得られた被膜層は実施
例1のものと同様に長期耐候性に優れ、優れた耐火性能
を示した。
【0052】実施例4〜6 表1に示す原料を用い、表2に示す配合とした以外は、
実施例1と同様にして複合耐火被覆層形成用組成物を製
造した。
【0053】次いで、上塗材としてフッ素ウレタン樹脂
系塗料(「弾性フッソロン」エスケー化研(株)製)を
使用(塗布量0.12kg/m2)したほかは、実施例1と
同様にして被膜層を得た。
【0054】得られた被膜層について、実施例1と同様
の試験を行った。その結果を表4に示す。表4に示すよ
うに、得られた被膜層は実施例1のものと同様に長期耐
候性に優れ、優れた耐火性能を示した。
【0055】比較例1 表1に示す原料を用い、表3に示す配合とした以外は、
実施例1と同様にして組成物を製造し、被膜層を形成さ
せ、各試験を行った。その結果を表5に示す。表5に示
すように、得られた被膜層は、石油樹脂が配合されてい
ないため、塗膜物性試験において塗膜の脹れの大きさが
4mm以上(平均径)であり、ふくれの総合面積が全体
の0.5%以下である8ーVLの評価となり、長期耐候
性が不十分であることが判明した。
【0056】比較例2 表1に示す原料を用い、表3に示す配合とした以外は、
実施例1と同様にして組成物を製造し、被膜層を形成さ
せ、各試験を行った。その結果を表5に示す。表5に示
すように、塗膜物性試験においては特に問題なかった
が、スチレンーメタクリル酸アルキルエステルーアクリ
ル酸アルキルエステル共重合樹脂という非ビニル系のも
のしか使用していないため、発泡炭化層の脱落等がみら
れ、耐火性能に劣ることがわかった。
【0057】比較例3 表1に示す原料を用い、表3に示す配合とした以外は、
実施例1と同様にして組成物を製造し、被膜層を形成さ
せ、各試験を行った。その結果を表5に示す。表5に示
すように、ビニル系熱可塑性樹脂を用いずに石油樹脂の
みを単独で用いたため、塗膜物性試験において塗膜のふ
くれの大きさが4mm以上(平均径)であり、ふくれの
総合面積が全体の11〜30%である2ーVLの評価と
なり、長期耐候性が不十分であることが判明した。ま
た、発泡炭化層の燃焼灰化等が認められ、耐火性能にお
いても不十分であった。
【0058】比較例4 表1に示す原料を用い、表3に示す配合とした以外は、
実施例1と同様にして組成物を製造し、被膜層を形成さ
せ、各試験を行った。その結果を表5に示す。表5に示
すように、石油樹脂が配合されていないため、塗膜物性
試験において塗膜の脹れの大きさが4mm以上(平均
径)であり、ふくれの総合面積が全体の0.5%以下で
ある8ーVLの評価となり、長期耐候性が不十分である
ことが判明した。また、耐火時間の低下、発泡炭化層の
発泡倍率の低下等がみられ、耐火性能においても不十分
であった。
【0059】比較例5 表1に示す原料を用い、表3に示す配合とした以外は、
実施例1と同様にして組成物を製造し、被膜層を形成さ
せ、各試験を行った。その結果を表5に示す。表5に示
すように、塗膜物性試験においては特に問題なかった
が、スチレンーメタクリル酸アルキルエステルーアクリ
ル酸アルキルエステル共重合樹脂という非ビニル系のも
のを石油樹脂と併用したため、発泡炭化層の脱落等がみ
られ、耐火性能に劣ることがわかった。
【0060】比較例6 表1に示す原料を用い、表3に示す配合とした以外は、
実施例1と同様にして組成物を製造し、被膜層を形成さ
せ、各試験を行った。その結果を表5に示す。表5に示
すように、石油樹脂の配合量が少ないため、塗膜物性試
験において塗膜のふくれの大きさが0.2〜0.5mm
以上(平均径)であり、脹れの総合面積が全体の0.5
%以下である8ーSの評価となり、長期耐候性が不十分
であることが判明した。
【0061】比較例7 表1に示す原料を用い、表3に示す配合とした以外は、
実施例1と同様にして組成物を製造し、被膜層を形成さ
せ、各試験を行った。その結果を表5に示す。表5に示
すように、石油樹脂の配合量が多いため、発泡炭化層の
脱落等がみられ、耐火性能に劣ることがわかった。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 元木 英男 大阪府茨木市清水1丁目25番10号 エス ケー化研株式会社 研究所内 (72)発明者 大内 富夫 東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿 島建設株式会社 技術研究所内 (72)発明者 宮本 圭一 東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿 島建設株式会社 技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭51−86569(JP,A) 特開 昭53−110639(JP,A) 特開 平4−117467(JP,A) 特開 昭57−177073(JP,A) 特公 昭34−10932(JP,B1) 特表 平4−504135(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 1/00 - 201/10

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレ
    ン−酢酸ビニル合成樹脂、酢酸ビニル−ベオバ合成樹
    脂、ビニルトルエンブタジエン、ビニルトルエンアクリ
    レート及びビニルトルエンメタクリレートからなるビニ
    ル系熱可塑性合成樹脂の単独又は2種以上(固形分)1
    00重量部に対して、石油樹脂10〜60重量部、
    リン系難燃剤200〜600重量部、メラミン系化合
    物、トリアジン系化合物、N−ニトロソ化合物、アゾ化
    合物、スルホンヒドラジド化合物及びそれらの誘導体か
    らなる分解型発泡剤の少なくとも1種40〜120重量
    部、 多価アルコール系炭化層形成剤40〜120重量部なら
    びに塩素系可塑剤50〜170重量部を含有する複合
    耐火被覆層形成用組成物。
  2. 【請求項2】ビニル系熱可塑性合成樹脂が、ビニルトル
    エンブタジエン、ビニルトルエンアクリレート及びビニ
    ルトルエンメタクリレートからなるビニルトルエン系合
    成樹脂の単独又は2種以上である請求項1記載の組成
    物。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の組成物からなる耐
    火被覆層を被塗物上に形成させ、該耐火被覆層上にさら
    に上塗材を塗布することを特徴とする複合耐火被覆層の
    形成方法。
  4. 【請求項4】上塗材が、シリコン変性アクリル樹脂又は
    フッ素ウレタン樹脂を主成分とするものである請求項3
    記載の形成方法。
  5. 【請求項5】請求項3又は4に記載の形成方法によって
    形成された複合耐火被覆層。
  6. 【請求項6】ビニルトルエンブタジエン、ビニルトルエ
    ンアクリレート及びビニルトルエンメタクリレートから
    なるビニルトルエン系合成樹脂の単独又は2種以上(固
    形分)100重量部に対して、脂環族炭化水素系石油樹
    脂(固形分)10〜60重量部、ポリリン酸アンモニウ
    ム200〜600重量部、メラミン40〜120重量
    部、ジペンタエリスリトール40〜120重量部及び塩
    素化パラフィン50〜170重量部を含有する複合耐火
    被覆層形成用組成物。
  7. 【請求項7】請求項6記載の組成物からなる耐火被覆層
    を被塗物上に形成させ、該耐火被覆層上にさらに上塗材
    を塗布することを特徴とする複合耐火被覆層の形成方
    法。
  8. 【請求項8】上塗材が、シリコン変性アクリル樹脂又は
    フッ素ウレタン樹脂を主成分とするものである請求項7
    記載の形成方法。
  9. 【請求項9】請求項7又は8に記載の形成方法によって
    形成された複合耐火被覆層。
  10. 【請求項10】ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレ
    ン−酢酸ビニル合成樹脂、酢酸ビニル−ベオバ合成樹
    脂、ビニルトルエンブタジエン、ビニルトルエンアクリ
    レート及びビニルトルエンメタクリレートからなるビニ
    ル系熱可塑性合成樹脂の単独又は2種以上(固形分)1
    00重量部に分解型発泡剤40〜120重量部及び多価
    アルコール系炭化層形成剤40〜120重量部を混合し
    た後、石油樹脂10〜60重量部及び希釈用溶剤を混合
    し、次いでリン系難燃剤200〜600重量部を混合
    し、さらに塩素系可塑剤50〜170重量部を混合する
    ことを特徴とする複合耐火被覆層形成用組成物の製造方
    法。
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