JP3163355B2 - 建築用板およびその製造方法 - Google Patents
建築用板およびその製造方法Info
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Description
て得られる圧縮木質材よりなる建築用板およびその製造
方法に関する。
建築用板としては、木質材、特に木材の無垢挽板、ある
いは集成材、合板、パーティクルボード、繊維板等の基
板表面に任意塗装や柄模様印刷等が施されたものが広く
用いられている。
とが従来より公知である。従来の圧縮木質材は、木質材
を湿潤状態であるいは水蒸気雰囲気中で加湿加温して高
含水率・高温状態とした後、加熱圧縮して製造されてい
る。
存在する状態で高温の中で加熱圧縮して圧縮木質材を得
るものであり、セルロース、ヘミセルロース、リグニン
等の木材成分を軟化させ、特に非結晶成分であるヘミセ
ルロースおよびリグニンに対しては水分が可塑剤として
大きく作用してそれらの軟化温度をそれぞれ約60℃に
まで低下させ、木質材の可塑性を増大させつつ加熱圧縮
を行うものである。
材に針葉樹材が用いられる場合、春材部と秋材部との比
重差により塗料の吸い込み量に大きな差が生じ、平均し
た塗膜層を形成することができず、色むらを生ずるとい
う問題があった。
管溝が大きく多孔性であるため、塗料の該導管溝部での
ブリッジングや、逆に塗料が陥没することによる発泡や
ピンホール等が発生してしまう。
行う従来技術による場合、木質材の内部に存在する水分
の高蒸気圧力が圧締の解圧時に圧縮状態を復元しようと
する力として働き、更に解圧によるスプリングバック現
象と相まって、圧縮状態を維持することが困難である。
圧縮が容易になされるものの、水分の高蒸気圧力が圧締
の解圧時に一瞬のうちに放出されることによりパンク
(層間剥離)が発生するおそれがある。
圧縮状態を保持しつつ冷却することも考えられるが、生
産性がきわめて低く、コストを大幅に上昇させるので実
際的ではない。
としても、高含水率状態にある木質材全体に亘って圧縮
化されることから、高比重の木質材となってしまう。こ
のことは、圧縮化状態の維持により材積が小さくなり、
製品歩留まりを低下させ、コストを大幅に上昇させるこ
とを意味している。
よる問題点を解決することのできる新規な建築用板およ
びその製造方法を提供することを目的とする。
飽和点以下に含水率調整された木質材の表裏面にそれぞ
れ加熱圧縮により圧縮化された高比重層が設けられた圧
縮木質材を基材とし、該基材の木口縁における高比重層
を除く部分に建築用板同士を結合する結合手段が設けら
れると共に、その少なくとも表面の高比重層の表層部に
樹脂層が設けられ、さらに該樹脂層の表面に着色塗膜層
および表面保護層が順次設けられてなることを特徴とす
る。
は、繊維飽和点以下に含水率調整された木質材を該木質
材の結晶成分であるセルロースの軟化点温度以下であっ
て且つ前記含水率調整後の含水率における非結晶成分の
軟化点温度以上の温度にて加熱圧縮し、その後解圧冷却
することにより、該木質材の表裏面にそれぞれ加熱圧縮
により圧縮化された高比重層を形成し、得られた圧縮木
質材を基材とし、該基材の木口縁における高比重層を除
く部分に建築用板同士を結合する結合手段を形成し、そ
の少なくとも表面の高比重層に樹脂を塗布して硬化させ
ることにより該高比重層の表層部に樹脂層を形成し、該
樹脂層の表面に着色塗装を施して着色塗膜層を形成し、
さらに該着色塗膜層の表面に透明塗料を塗布して表面保
護層を形成することを特徴とする。
いは集成材、単板積層材、合板、パーティクルボード、
繊維板等の加工材が用いられる。
のいずれもが使用可能であり、特に柔らかいもの、低比
重のものが好適に用いられる。
好ましくは35%以下に調整される。このため、木質材
として挽材が用いられる場合、木材を製材前に乾燥した
後挽材とするか、あるいは乾燥せずに挽材とした後に乾
燥して得られる。加工材を用いる場合にはその製造過程
で繊維飽和点以下に含水率調整される。
を、上下の熱盤の間隔を規制する厚さ規制治具(一般に
ディスタンスバーと呼ばれる)が取り付けられたホット
プレス装置の熱盤間に挿入する。
る厚さ規制治具は、最終的に得ようとする圧縮木質材の
厚みと略同じ厚みを有するものとされ、木質材の圧縮率
が5〜40%、より好ましくは8〜35%となるように
設けられることが好適である。換言すれば、木質材の厚
さの60〜95%、より好ましくは65〜92%の厚さ
を有する厚さ規制治具が好適に用いられる。
両面に対する圧縮化が不十分となり、高比重層として必
要な強度を得ることができない。逆に、圧縮率が40%
を超えると、表裏両面の圧縮化は十分に行われて高比重
層としての必要強度が得られるものの、全体比重が高く
なって重量増を招き、また過大な圧縮率を与えることに
よる材積の減少、すなわち原材料のロスが大きくなるた
めに歩留まりが低下し、コストアップの原因となるので
好ましくない。
使用する木質材の樹種、比重、得ようとする表裏面の硬
度等に応じて任意に選択することができ、その選択され
た圧縮率に対応して厚さ規制治具をセットする。
材の種類、樹種、材自体の比重、柔らかさ等に応じて任
意に設定されるが、一般に圧締時間3〜15分、圧締圧
力5〜25kg/cm2とすることが好ましい。
締は、その熱圧温度を、木質材の結晶成分であるセルロ
ースの軟化点温度以下であって且つ前記含水率調整後の
含水率における非結晶成分(ヘミセルロース、リグニ
ン)の軟化点温度以上の温度として行われる。
縮された木質材は、熱盤の熱が表裏部分に伝わり、該表
裏部分において熱軟化および圧縮力による圧縮化が進行
するが、木質材が繊維飽和点以下の含水率に調整されて
いることから、熱伝達は比較的緩慢な速度で内部に移行
し、従って木質材の表裏部分のみが早期に圧縮化され
る。
化点温度は、樹種によって若干異なるものの、概ね20
0〜250℃であり、しかも木質材の含水率にかかわら
ずほぼ一定している。これに対して、木質材の非結晶成
分であるヘミセルロース、リグニンの軟化点温度は木質
材の含水率によって大きく変化し、絶乾状態におけるヘ
ミセルロースおよびリグニンの軟化点温度はそれぞれ約
180℃、約150℃であるが、木質材の繊維飽和点で
ある35%の含水率においては共に軟化点温度が60℃
付近にまで低下する。従って、繊維飽和点以下に含水率
調整された木質材を用いる本発明において、セルロース
の軟化点以上の温度で熱圧圧締することにより、結晶成
分であるセルロースが熱軟化すると同時に、非結晶成分
であるヘミセルロースおよびリグニンも軟化溶融する。
圧冷却する。先に述べたように、熱圧時においても木質
材自体の温度が全体的に高くなることがないため、その
後の解圧により容易且つ短時間に冷却される。
あるセルロースの軟化点温度以下であって且つ前記含水
率調整後の含水率における非結晶成分(ヘミセルロー
ス、リグニン)の軟化点温度以上の温度とされることか
ら、木質材の木質組織中には繊維質であるセルロースが
熱軟化することなく圧縮変形した状態で残存しており、
熱圧時に軟化溶融したヘミセルロース、リグニンがセル
ロースに対して接着剤として作用するため、熱圧後の解
圧に伴う木質材のスプリングバックが最小限に抑えら
れ、表裏両面に圧縮化された高比重層が形成される。
Z−2007による木材の硬さ試験法において1.5
kgf/mm2以上であることが好ましい。これにより
表面の耐衝撃性が十分なものとなって傷がつきにくくな
り、材自体の曲げ強度を向上させると共に、疎水性、膨
潤率、吸水率の減少により木質材としての寸法安定性を
向上させる。なお、上記試験法による硬さの数値は、そ
の各々の高比重層を研削等により外面に露出させた状態
で測定したものである。
滑性を向上させ、圧縮化された木質材の厚さを均一化さ
せるため、一度熱圧圧締した後に、木質材の材温が高い
うちに、あるいは常温にまで材温を冷却した後に、再度
熱圧圧締を行うことによる2段階熱圧圧締方式を採用し
てもよい。
圧圧締に用いられるホットプレス装置において同じ厚さ
規制治具を用い、1回目の熱圧圧締後の木質材のスプリ
ングバックによる戻り分を2回目の熱圧圧締で再圧する
ことができる。
いては最終的に得ようとする木質材の厚さよりも厚い厚
さ規制治具を用いて熱圧圧締した後、2回目のホットプ
レス装置において最終的に得ようとする木質材の厚さと
同じ厚さの厚さ規制治具を用いて熱圧圧締することによ
り、スプリングバックによる戻りを抑制するようにして
もよい。
の木質材の表面または表裏面に水を塗布して表層の含水
率調整を行った後に、2回目の熱圧圧締を行うことがで
きる。1回目の熱圧圧締により木質材の表層部は絶乾状
態となるが、このように1回目の熱圧圧締後に水を塗布
して表層部の含水率を高めておくことで、木質材の表層
部に可塑性を付与し、圧縮化を容易にすることができ
る。
縮により圧縮化された高比重層を有する圧縮化材を、必
要に応じてサンディング等を施して厚さ規制を行い、本
発明の建築用板の基材として用いる。
比重層を除く部分に、建築用板同士を結合する結合手段
を形成する。結合手段は本実加工による本実とすること
ができ、基材の相対する両木口縁あるいは四周木口縁に
形成される。
比重層を除く部分において形成されるため、その切削加
工が容易であり、切削刃物の損傷が防止され、摩耗が少
なく寿命が長いものとなる。
面の高比重層に樹脂を塗布する。塗布する樹脂として
は、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビ
ニル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂等
の樹脂またはその変性物を単独であるいは任意混合して
用いられる。また、このような樹脂を塗膜形成要素とし
て得られる塗料を用いてもよい。
重層内に含浸され、加熱または加熱加圧により乾燥硬化
させて、樹脂含浸層を形成する。これにより、高比重層
の安定固着がなされ、表面の疎水性が向上されると共
に、膨潤率および吸水率が減少され、圧縮化率の戻りが
なく、寸法安定性を向上させる。
の表面に、必要に応じてワイヤブラシ掛け、サンダー掛
け等により微細溝を形成することができる。高比重層の
表面に微細溝を形成することにより、高比重層の表面積
の増大を通じて、樹脂の含浸を促進させると共に、その
投錨効果により樹脂含浸層の密着力を向上させる。
し、乾燥して、着色塗膜層を形成する。着色塗料には、
任意着色されたアミノアルキド樹脂塗料、アクリル樹脂
塗料、ウレタン樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料等の透
明または不透明の樹脂塗料を用いることができ、このよ
うな着色塗料を1回塗りまたは任意複数回重ね塗りして
着色塗装を施し、着色塗膜層を形成するものである。
模様印刷を施して意匠性の向上を図ることができる。
回塗りまたは任意複数回重ね塗りして塗布し、乾燥し
て、表面保護層を形成する。透明塗料としては、アミノ
アルキド樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗
料、ポリエステル樹脂塗料等の樹脂塗料を用いることが
できる。透明塗料には、必要に応じて着色剤が添加され
る。また、酸化アルミニウム、炭化珪素、酸化珪素等の
耐摩耗性の鉱物質粒子を添加混合して、表面保護層に耐
摩耗性を付与するようにしてもよい。
率調整された木質材の表裏面にそれぞれ加熱圧縮により
圧縮化された高比重層2、2が設けられた圧縮木質材を
基材とし、該基材の木口縁における高比重層を除く部分
に建築用板同士を結合する結合手段としての雄実6aお
よび雌実6bが設けられると共に、その少なくとも表面
の高比重層の表層部に樹脂層3が設けられ、さらに該樹
脂層の表面に着色塗膜層4および表面保護層5が順次設
けられてなることを特徴とする本発明の建築用板1が得
られる(図1)。樹脂層3、着色塗膜層4および表面保
護層5は表裏の高比重層2、2の表層部にそれぞれ形成
してもよいことは勿論である。
なく、木質材の表裏面およびその厚さ方向の中心にそれ
ぞれ高比重層が形成されるため、軽量でありながら曲げ
強度、表面平滑性、表面硬度の向上がなされ、また表裏
のバランスが保たれることから反りやねじれを発生させ
ることのない建築用板が得られる。
重層は、木質材の結晶成分であるセルロースが軟化さ
れ、また非結晶成分であるヘミセルロース、リグニンが
軟化溶融された後に圧縮されて高比重に硬化して形成さ
れるものであるため、疎水性の被膜となり、圧縮化によ
る親水性の低減と相まって、膨潤率および吸水率を減少
させることができ、木質材の寸法安定性を大幅に向上さ
せる。
部に樹脂層が形成されることにより、高比重層が安定的
に固着され、寸法安定性をさらに向上させる。
層により意匠性の向上が図られると共に、表面保護層に
より疎水性の向上、膨潤率および吸水率の低下を図り、
長さおよび厚さ方向の膨張収縮を抑制し、寸法安定性を
さらに向上させる。
段が表裏の高比重層を除く基材木口縁部分に形成される
ため、結合手段を形成する際に切削刃物を損傷させるこ
とがなく、摩耗も少なく済むため寿命が長いものとな
る。
である。
Claims (2)
- 【請求項1】繊維飽和点以下に含水率調整された木質材
の表裏面にそれぞれ加熱圧縮により圧縮化された高比重
層が設けられた圧縮木質材を基材とし、該基材の木口縁
における高比重層を除く部分に建築用板同士を結合する
結合手段が設けられると共に、その少なくとも表面の高
比重層の表層部に樹脂層が設けられ、さらに該樹脂層の
表面に着色塗膜層および表面保護層が順次設けられてな
ることを特徴とする建築用板。 - 【請求項2】繊維飽和点以下に含水率調整された木質材
を該木質材の結晶成分であるセルロースの軟化点温度以
下であって且つ前記含水率調整後の含水率における非結
晶成分の軟化点温度以上の温度にて加熱圧縮し、その後
解圧冷却することにより、該木質材の表裏面にそれぞれ
加熱圧縮により圧縮化された高比重層を形成し、得られ
た圧縮木質材を基材とし、該基材の木口縁における高比
重層を除く部分に建築用板同士を結合する結合手段を形
成し、その少なくとも表面の高比重層に樹脂を塗布して
硬化させることにより該高比重層の表層部に樹脂層を形
成し、該樹脂層の表面に着色塗装を施して着色塗膜層を
形成し、さらに該着色塗膜層の表面に透明塗料を塗布し
て表面保護層を形成することを特徴とする建築用板の製
造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP13093696A JP3163355B2 (ja) | 1996-04-27 | 1996-04-27 | 建築用板およびその製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JPH09290410A JPH09290410A (ja) | 1997-11-11 |
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Country | Link |
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---|---|---|---|---|
JP4775307B2 (ja) * | 2007-04-24 | 2011-09-21 | パナソニック電工株式会社 | 床材の表面仕上げ方法 |
-
1996
- 1996-04-27 JP JP13093696A patent/JP3163355B2/ja not_active Expired - Fee Related
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