JP3162006B2 - 抽出系のシミュレーション方法 - Google Patents

抽出系のシミュレーション方法

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JP3162006B2
JP3162006B2 JP30731597A JP30731597A JP3162006B2 JP 3162006 B2 JP3162006 B2 JP 3162006B2 JP 30731597 A JP30731597 A JP 30731597A JP 30731597 A JP30731597 A JP 30731597A JP 3162006 B2 JP3162006 B2 JP 3162006B2
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吉徳 上田
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    • GPHYSICS
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    • G05BCONTROL OR REGULATING SYSTEMS IN GENERAL; FUNCTIONAL ELEMENTS OF SUCH SYSTEMS; MONITORING OR TESTING ARRANGEMENTS FOR SUCH SYSTEMS OR ELEMENTS
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2つの相の流体を
混合して一方の流体中に含まれる物質を他方の流体中に
抽出する抽出器を含む抽出系の動作をシミュレーション
する抽出系のシミュレーションに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、化学工学プロセスの1つとし
て、2つの相の流体を混合して一方の流体中に含まれる
物質を他方の流体中に抽出する抽出操作がある。そし
て、これらの解析、評価などに際し、コンピュータを利
用したシミュレーションが利用されている。
【0003】例えば、核燃料再処理工場においては、使
用済みの核燃料から核***生成物(FP)を分離し主要
な核種であるウラン及びプルトニウムを回収するため
に、抽出系が利用されている。そして、この核燃料再処
理抽出系のシミュレーションプログラムについては、
[宮地、舛井、「核燃料再処理溶媒抽出工程のための溶
媒抽出シミュレーションコード MIXSETおよび PULCOの
開発」、動燃技法 No.76 p45〜51、1990年12月]等に提
案がある。このようなシミュレーションプログラムの実
行によって、抽出系の模擬が行え、抽出系の解析を行う
ことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、このような解
析には、開発設計、運転試験など各ステップで、多様な
対象範囲やレベルでのものが必要とされる。通常のシミ
ュレーションプログラムは、予定された事象についての
シミュレーションを基本としており、複雑な事象を対象
としかつモデルや解析式等を頻繁に変更することはでき
ない。
【0005】一方、プラント設計・運転方法の解析ツー
ルとしてオブジェクト型のソフトウェアが提案されてい
る。例えば、(株)日本科学技術研修所から販売されて
いる「Object DPS」というソフトウェアがあ
り、このソフトウェアによれば、プロセスの各部分を模
擬するプログラムを比較的容易に互いに組み合わせる機
能を有する[化学工業社「化学工業におけるソフトウェ
ア技術の最近の動向」ケミカルエンジニアリング 臨時
増刊 1995 Vol.40 No.486 1995年11月参照]。
【0006】しかし、このようなオブジェクト型のソフ
トウェアは、具体的な個々のプロセスにそのまま対応で
きるものではない。すなわち、具体的なプロセスに対応
するためには、それぞれのプロセスに応じたプログラム
を構築する必要がある。
【0007】本発明は、オブジェクト型ソフトウェアの
利用を前提として、核燃料再処理における抽出系等に対
応して同プロセスを適切な単位の基本要素毎のプログラ
ムに分割し、それらを組み合わせることで、基本流れ以
外の流れ(異常流れ)を含む広範なシミュレーションを
容易に行うことができる抽出系のシミュレーション方法
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、2つの相の流
体を混合して一方の流体中に含まれる物質を他方の流体
中に抽出する抽出器を含む抽出系の動作をシミュレーシ
ョンする抽出系のシミュレーション方法であって、動作
を基本要素毎に分離して計算するオブジェクト型ソフト
ウェアを利用すると共に、抽出器を構成する基本要素と
して、2つの相の流体の混合及び分離と2つの相の流体
間の物質の移動とを模擬する混合部と、流体の一部の分
流を模擬する分流部と、複数流体の合流を模擬する合流
部とを設け、分流部と合流部を利用して基本流れ以外の
流れが生じた場合のシミュレーションを行うことを特徴
とする。
【0009】このように、本発明では、抽出操作を適切
な単位の基本要素に分割している。従って、モデルや解
析式等の変更に容易に対処することができる。そして、
分流部において、流体の一部を分流し、合流部において
複数の流体を合流することができるため、基本流れ以外
の各種異常流れのシミュレーションを容易に行うことが
できる。
【0010】また、本発明は、上記混合部は、物質収支
計算と、平衡濃度計算に分離して模擬を行うことを特徴
とする。物質収支計算と平衡濃度計算を分離しているた
め、各種条件の設定が容易になる。
【0011】また、本発明は、上記抽出系を構成する基
本要素として、さらに抽出器における分離された流体の
流体流れについての模擬を行うセトラ部と、セトラ部以
降の部分における流体流れについての模擬を行う配管部
と、を設けることを特徴とする。抽出器の流体の流れに
沿った模擬を行うため、抽出器の実際の動作を忠実に再
現できる。
【0012】また、本発明は、上記分流部における分流
比を設定することにより、抽出器内部における基本流れ
以外の流動を模擬する。任意の場所に分流部を設けここ
において基本流れ以外の流れを発生し、この流れを任意
の場所に設けた合流部に流入することで、各種の基本流
れ以外の流れ(異常流動)を模擬することができる。
【0013】また、本発明は、上記抽出器は、ロータの
外側に2相の流体を流入し両者を混合した後、ロータ内
部において遠心分離を行い、外側流体と内側流体をせき
を利用して分離して個別に排出すると共に、流入部分に
オーバーフロー配管を有する遠心抽出器であり、上記基
本流れ以外の流動として、オーバーフロー配管を介して
流体が流出するオーバーフロー状態と、2相の流体が未
分離状態でロータ内部のせきを越えるエントレインメン
ト発生状態と、一旦分離されロータから排出された流体
が再び2相の流体を混合する部分に逆流するリフラック
ス状態の3状態を模擬することを特徴とする。これによ
って、遠心抽出器におけるオーバーフロー状態、エント
レインメント発生状態、リフラックス状態を模擬するこ
とができる。
【0014】また、上記抽出器は、混合を行う部分と重
力による分離を行う部分とからなるミキサセトラ抽出器
であり、上記基本流れ以外の流動として、オーバーフロ
ー配管を介して流体が流出するオーバーフロー状態と、
2相の流体が未分離状態で重力による分離を行う部分か
ら排出されるエントレインメント発生状態と、一旦分離
した流体が再び2相の流体を混合する部分に逆流するリ
フラックス状態の3状態を模擬することを特徴とする。
これによって、ミキサセトラにおけるオーバーフロー状
態、エントレインメント発生状態、リフラックス状態を
模擬することができる。
【0015】また、本発明は、上記抽出系は、複数の抽
出器を接続し、多段の抽出を行う抽出系であることを特
徴とする。実際の抽出系は、通常多段で構成される。本
発明により、これをシミュレーションすることができ
る。
【0016】また、本発明は、コンピュータに、2つの
相の流体を混合して一方の流体中に含まれる物質を他方
の流体中に抽出する抽出器を含む抽出系の動作をシミュ
レーションさせる抽出系のシミュレーションプログラム
を記録する媒体であって、動作を基本要素毎に分離して
計算するオブジェクト型ソフトウェアを利用すると共
に、抽出器を構成する基本要素として、2つの相の流体
の混合及び分離と2つの相の流体間の物質の移動とを模
擬する混合部と、流体の一部の分流を模擬する分流部
と、複数流体の合流を模擬する合流部とを設け、分流部
と合流部を利用して基本流れ以外の流れが生じた場合の
シミュレーションをコンピュータに行わせる抽出系のシ
ミュレーションプログラムを記録したことを特徴とす
る。
【0017】すなわち、上述のようなシミュレーション
方法は、コンピュータを用いて行うことが好適であり、
そのプログラムはハードディスクなどに記憶されて実行
される。また、プログラムは、CD−ROMやフロッピ
ーディスクなどの記録媒体に記憶して提供されることが
好適であるが、通信で提供されるようにしてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下
実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0019】「0.概要説明」まず、本実施形態に係るシ
ミュレーション方法は、固定したプロセスを対象とする
のではなく、基礎〜機器/工程の研究開発から、プラン
ト概念構築〜設計、運転試験に至る各ステップで多様な
対象範囲/レベルの解析を柔軟に行えることを目指した
ものであり、特にオブジェクト型の抽出計算プログラム
(以下、適宜コードと呼ぶ)に関する。
【0020】そして、本シミュレーションでは、液流動
異常(基本流れ以外の流れが発生する)時の濃度プロフ
ァイル評価を中心に、多様な動特性評価等を行う。
【0021】本プログラムは、[平衡濃度]計算、[物質
収支]計算、そして[セトラー]、[配管]、[液の分流]、
[液の合流]を模擬する機能を持つ独立した[要素モデル]
からなり、解析事象や工程の形態に応じてこれらを組み
合わせることで様々な現象のシミュレーションが行え
る。[セトラー]、[配管]については、完全混合系、押し
出し流れ系、そして伝達関数による液流動表現を持ち、
これらの組み合わせにより多様な表現が可能である。ま
た[要素モデル]には体積、分流比等の関数表現を組み込
んでいる。
【0022】「1.コードの考え方」抽出工程計算コー
ドとして、MIXSET等がある。これらについては、上述し
た[宮地、舛井、「核燃料再処理溶媒抽出工程のための
溶媒抽出シミュレーションコードMIXSETおよび PULCOの
開発」、動燃技法 No.76 p45〜51、1990年12月1]を参照
されたい。これらは、正常な流れの状態において、主に
U(ウラン)/Pu(プルトニウム)の抽出平衡、Puの
分配反応を扱うものである。一方、抽出工程の評価にお
いては、液流動異常時の濃度プロファイル評価、抽出挙
動の動力学的な扱い、プロセスコントロール検討等、従
来のコードでは対応できないニーズが出てきている。本
コードは、[要素モデル]を組み合わせて様々な事象のシ
ュミレーションを行うものであるが、特に、任意の流路
構成へのフレキシブルな対応に対して強力な機能を発揮
している。現在、[要素モデル]を組み合わせた機器及び
工程モデルとして、通常の状態及び液流動異常時(3種類
の異常事象)を有する系を表現するモデル群を作成して
おり、これらと[要素モデル]に組み込んだ機能と合わせ
て、従来にない機能として以下を可能としている。
【0023】・抽出装置液流動異常時の濃度プロファイ
ル評価 オーバーフロー、エントレインメント、リフラックス発
生時 ・動特性/過渡応答評価(流動形態の表現として完全混合
系/押し出し流れ系/伝達関数表現及びそれらの組み合わ
せによるもの。装置内体積の運転条件による関数表現) 以下の説明において取り扱う物質は、U、Puの抽出に係
わる9成分である。Pu分配についても同様の手法により
適用が可能である。抽出平衡ロジックには暫定的にG.L.
Richardsonらのデータを用いているが、他の抽出平衡デ
ータを用いた場合との比較/検討を行い、必要な変更を
行いながらその信頼性を高めることが好適である。な
お、[抽出平衡]要素モデルが、搭載したロジックを反映
しているかどうかについては、MIXSETと同じ扱いになる
ように設定した条件の下で数値解が一致することを確認
している。
【0024】「2.コード概要」上記1.コードの考え方で
述べたことの実現には、従来科学計算に広く使われてき
た、FORTRAN等の言語では限界がある。よって、オブジ
ェクト型汎用ソフトウェアの一つである、Object-DPS
((株)日科技研製)を用いて本コードを作成している。
オブジェクト型ソフトウェアについては、[化学工業社
「化学工業におけるソフトウェア技術の最近の動向」ケ
ミカルエンジニアリング 臨時増刊 1995Vol.40 No.48
6 1995年11月]を参照されたい。
【0025】オブジェクト型ソフトウェアの大きな特徴
は、機器の構成がグラフィック画面上で行えることとモ
デルが階層構造を持つことである。そして一般には、大
きなプロセス全体を個々の装置モデルの組み合わせで表
現し、画面上で機器構成や仕様、運転操作手順等を変え
てプロセスの特性を評価する。
【0026】本モデルでは、モデルの構成要素として、
抽出装置1台の中で起こる「現象」を最小単位としてお
り、これにより、抽出装置内での諸現象を模擬すること
が可能となる。従って、本コードの核心は、「諸現象を
模擬するための、構成要素単位及びそれらの組み合わせ
によるモデル化」である。この際、できるだけ共通の構
成要素で多くの現象を表現できることを考慮するのは言
うまでもない。
【0027】「2.1.抽出工程計算の要素」図1に、多段
抽出工程計算の構成要素を示す。このように、複数の抽
出器を接続し、ここに2相の流体を反対方向(カウンタ
ーカレント)に順次移動させる。そして、各段における
抽出操作は、物質収支計算と、抽出平衡濃度計算が基本
になる。
【0028】これらをFORTRANやBASIC等の言語でモデル
化する場合は、入力データによる仕様の定義から始ま
り、計算過程、出力までの各ステップ及び関連情報を、
一括してプログラムに数式で記述する。なお当然なが
ら、予めコード設計時に想定された構成仕様範囲(流路
構成、段数等)を越えたモデル化はできない。加えて、
上記1章(1.コードの考え方)で挙げたような異常事象
のモデル化(抽出装置内/装置間の複雑な液の流れの定
義)となると、相当に煩雑になることは容易に想像でき
よう。
【0029】図2に、本コードの概念を示す。このよう
に、物理・化学モデルを記述した要素モデルを評価対象
事象に基づき、これに対応するプロセスモデルを構築す
る。そして、機器仕様/運転条件を定義して、数値解析
を行い解析評価を行う。また、結果に応じて必要な場合
は、物理・化学モデルの検討/修正を行っていく。機器
/工程の構成は、数式による記述から解放されグラフィ
ック画面上で組み立てることになる。 以上より、最小
単位となる要素モデルを適切に作ることで、新規ニーズ
への対応、また、その過程であれこれとモデルを変えて
実験値の解析や未知事象の思考実験を行うことが可能と
なる。
【0030】以下、要素モデル、モデル構成の考え方、
機器/工程モデルの詳細、解析例を述べる。
【0031】「2.2要素モデルとモデル構造」 (1) 装置モデルの要素 図3に装置を構成する要素モデルと機能を示す。はじめ
に、抽出器内の挙動について簡単に触れる(図3の抽出
装置は遠心抽出器の例である)。水相/有機相は、両サ
イドの供給ラインから抽出器に供給され、ローターとハ
ウジング間のギャップでローターの回転により混合し、
抽出が行われる。両相はローター内で相分離し、各々の
堰よりコレクター部に排出され、隣接ステージに供給さ
れる。抽出器を多段に組むことにより必要な程度までの
分離を行う。
【0032】本モデルでは、要素モデルの連結によって
物質の移動を現す。セトラー/配管では流れの形態及び
体積を定義し、各ホールドアップの変化を算出する。抽
出平衡反応が起きる混合部は、[平衡濃度]及び[物質収
支]を計算する部分に分けてある。これにより、抽出反
応ロジックを変える場合は[平衡濃度]を扱う要素のみに
手を入れればよく、また、液の入出力本数等の装置の仕
様を変える場合は[物質収支]を扱う要素のみに手を入れ
ればよい。これら各要素を液の流れに従って組み立てれ
ば、図3の右にあるような標準的な装置1台のモデルが
構成できる。
【0033】(2) 液流動異常の模擬 図4に液流動異常の模擬を示す。液の流動異常は、液の
一部あるいは全部が、通常の流路とは[別の経路を経る]
事態になることによる。そして[別の経路を経る]とは、
通常の流路から液の一部あるいは全部が[分流し]、到達
先で[合流]するか系外へ出ていくことである。到達先で
[合流]する場合、同一相であれば物質収支のみ保たれ、
異相間あるいは異相を含む場所への[合流]であれば、液
の全部あるいは一部の抽出平衡を経た上で物質収支が保
たれることになる。また、分流器周りでも当然ながら物
質収支が保たれることになる。したがって、[分流]及び
[合流]を行う要素モデルを導入し、これらを適切に組み
合わせることによって、想定する液流動異常事象を模擬
できる。作成した分流器モデルの基本機能は、液の一部
あるいは全部を分流比(0≦分流比≦1)を規定して分流さ
せる(流量を分ける)というものである。合流器について
も基本機能は、入力するストリームを一本にする(質量
流量の和をとる)という機能である。合流時の抽出平衡
には、前述の[平衡濃度]及び[物質収支]計算用要素モデ
ルが使え、それらと分流/合流モデルの組み合わせによ
って模擬する。
【0034】このように、[分流]、[合流]という2つの
機能の要素モデルの追加によって、様々な流動異常を模
擬する。3章(3.モデル内容)では、対象事象によりこ
れらを適切に組み合わせることによって、各流動異常を
模擬している。
【0035】(3) 要素モデル 表1に本コードの要素モデルをまとめて示す。
【0036】
【表1】 本コードでは、各要素モデル(エレメント)に表のような
名前を付けている。これらには、表に示したような機能
を装備したバリエーションがあり、これらは#の部分を
ナンバリングして区別している(一つのエレメントに多
機能を装備せず、基本的に一つのエレメントは単機能と
してシンプルにし、目的に応じて必要機能のエレメント
を使い分けるようにしている。これは、実行時の条件設
定をシンプルにしユーザーの負荷軽減及び設定ミスの可
能性を少なくするためである)。
【0037】(4) 工程モデルの構成 一旦要素モデルを定義すると、後は解析する事象とプロ
セス構成に従って、パソコン画面上で容易に工程を組み
上げることができる。要素モデル[エレメント]のファイ
ルには、各要素の機能を特徴付ける関数が格納されてお
り、境界条件/運転手順/を与えてモデル全体の関数計算
を実行する。よって、モデルの解析式を変更する場合
は、基本的に該当する要素モデル[エレメント]のファイ
ルを修正するのみでよい。
【0038】図5に工程モデルの構成の概念を示す。要
素モデルを組み合わせて装置モデルを、装置モデル及び
要素モデルを組み合わせて工程モデルを、また、複数の
工程モデルや要素モデルを組み合わせて複雑な工程モデ
ルを作成する。このように、要素モデル及び複数要素モ
デルからなる上位モデルを[組み合わせ]て、任意の仕様
の装置、工程モデルを構成して表現する。したがって従
来のコードでは、流路構成や数等にコード設計時の仕様
からくる制限があるが、本モデルでは基本的にそれらの
制約はない。
【0039】また、要素モデル単体での計算も実行でき
る他、抽出装置モデル1台をはじめ、その途中及び上位
のどのモデル単位でも計算が実行でき、モデル構築にあ
たって各段階で実行させ機能を確認しながら作成してい
くことができる。各段階/バリエーションのモデルは必
要に応じてコピーして保存し、単体で実行したり、改造
あるいは新たなモデル構築の[部品]として用いることに
なる。よって、従来コードでの、いわゆる[モデル仕様]
(バンクの数、抽出器の数、流路構成仕様等)という概
念は本システムでは存在しない。いうならば、表1の要
素モデルが本コードの骨格-[共通的な仕様]-であり、こ
れらの組み合わせで模擬できる[モデル仕様] は解析し
ようとする評価対象に対応して存在する、ということが
できる。
【0040】「3.モデル内容」 「3.1.通常型モデル」液が正常に流れている場合のモデ
ルである。後述する流動異常現象モデルのベースとなる
ので初めに述べる。
【0041】「3.1.1.モデル」 (1) 装置モデル 図6に装置モデルを示す。抽出器との対応は図3に示し
た通りである。図6の[M]は混合部であり、要素モデル
(以下エレメントという)EXTRACT#とPULSSTG#を組み合
わせたモデルである。[S]、[P]はセトラー及び配管であ
り、エレメントSETTLER#、PIPP#のいずれかのバリエー
ションを目的に応じて用いる(以下、モデル図中でこれ
らの記号を用いる)。
【0042】ちなみに、通常型モデルにおいてもMIXSET
にない機能としては以下がある。
【0043】・混合部/セトラー/配管部の有機相、水相
体積を関数として表現できること ・段効率を、滞留時間の関数で表現できること ・モデルに配管部を付加することができること ・セトラー及び配管部の液の流動状態として、以下が模
擬できること 「押し出し流れモデル」による表現 「複数の完全混合モデルの連続体」としての表現 「押し出し流れと完全混合の任意の組み合わせ」として
の表現 セトラー/配管部一体として「伝達関数による一次/二次
遅れ」による表現上記の機能は、抽出工程の過渡特性を
解析していく上で重要になるものである。
【0044】(2) 工程モデル 装置モデルを組み合わせて構成する。概念は図5に示し
た通りである。
【0045】(3) 取り扱う物質 本コードで取り扱う物質は、再処理PUREX工程における
次の9成分である。
【0046】 水相成分:HNO3、 UO2(NO3)2,Pu(NO3)4,H2O、 有機相成分:HNO3・TBP,UO2(NO3)2・2TBP,Pu(NO3)4・2TBP TBP,n-dodecane (TBP:リン酸トリブチル、以下TBPと略す。) なお、Pu分配反応については本説明では扱っていない
が、Pu分配反応に関する[化学反応]、[Pu3+、 U4+を含
む抽出平衡]、[物質収支]を計算する[要素モデル]をす
でに開発済であり、これを基に扱えるようにすることが
できる。
【0047】「3.1.2.数学モデル」以下に本モデルの基
礎的な数学モデルを示す。はじめに変数を示す(流量の
場所については、図6参照)。
【0048】ここで、Vaj:混合部水相体積、xi,j:水
相濃度、Voj:混合部有機相体積、yi,j:有機相濃度、A
j:水相流量、Oj:有機相流量、Afj:水相供給流量、xf
i,j:Afj流の水相濃度、Ofj:有機相供給流量,yfi,j:
Ofj流の有機相濃度、Di,j:分配係数、i:成分記号、
j:段記号である。
【0049】j段におけるi成分について示すと次の通り
となる。
【0050】 Vaj・dxi,j/dt+Voj・dyi,j/dt =Aj-1・xi,j-1+Oj+1・yi,j+1+Afj・xfi,j+Ofj・yfi,j - Aj・xi,j+Oj・yi,j ---- (3.1-1) (混合部の物質収支であり,dt間の入量-出量がホールド
アップ量の変化に等しいことを示す) yi,j = Di,j・xi,j ---- (3.1-2) Di,j = fi(xi,j) ---- (3.1-3) (水相と有機相濃度の抽出平衡関係を示し、水相濃度の
関数として表現する。関数の詳細については[権田、
「Purexプロセス計算コード Rivisec MISET」PNCT 841
-79-26,1979年2月]を参照されたい。
【0051】以上を境界条件(運転条件)を与えて、j段i
成分について解くことにより、各段各成分の濃度が求め
られる。なお、セトラー/配管中では、各々で[増加量=i
n-out]となる。
【0052】「3.1.3.構成要素モデル」 (1) 混合部 PULSSTG、EXTRACTの2つのエレメントからなる(各バリエ
ーションを示す#は以降省略する)。
【0053】PULSSTG:物質収支計算を行う。混合部水
相、有機相体積の関数はここに定義されている。
【0054】EXTRACT:各成分の両相の平衡濃度を計算
する。ここでは、見かけの平衡定数を硝酸根濃度、TBP
体積分率の関数で現す。それらは現バージョンでは暫定
的に、G.L.Rechardsonらのデータを用いている[G.L.Ric
hardson and J.L.Swanson、「Plutonium Partitioning
in the PUREX Process with Hydrazine-StabilizedHydr
oxylamine Nitrate」、HEDL-TME-75-31、1975年]。な
お、これは、RevicedMIXSETの場合と同じである[権田、
「Purexプロセス計算コード Revised MIXSET」、PNCT 8
41-79-26、1979年2月]。ここを書き換えることで、異な
る抽出平衡データを表現できる。
【0055】段効率の関数表現はここに定義されてい
る。
【0056】(2) セトラー エレメントSETTLERにモデリングしている。セトラー部
水相、有機相体積の関数はここに定義されている。
【0057】(3) 配管 エレメントPIPPにモデリングしている。配管部水相,有
機相体積の関数はここに定義されている。
【0058】(4) セトラー/配管の伝達関数による表現 エレメントLTRANSC(二次遅れ)、LTRANSC1(一次遅れ)に
モデリングしている。配管出口の各成分の過渡応答を、
セトラー入り口へのインプット値に対する一次、二次遅
れ系で表す。本関数表現は、伝達関数の結合としてプロ
セス全体の過渡応答を表現する研究のために備えてい
る。
【0059】「3.1.4.装置/工程モデル」設定したΔt間
隔で[in-out]からホールドアップ量を積分していき、過
渡状態を計算する。[in-out]が一定の場合が定常状態と
なる。
【0060】「3.2.オーバーフローモデル」 「3.2.1.オーバーフロー現象」図7に遠心抽出器断面の
模式図を示す。正常な運転状態では水相/有機相は、コ
レクター部を経由して次ステージに流れていくが、本現
象は、水相/有機相の一部あるいは全部が、オーバーフ
ローラインから次ステージに流出する現象である。
【0061】以上の場合、各段の濃度プロファイルは正
常な運転状態の場合に比べて変化する。これまで、この
場合の濃度プロファイルを評価する手段はなかったが、
本モデルはこの評価を行うものである。
【0062】「3.2.2.モデル」以上の現象を要素モデル
の結合で表現すると、図8、9のようなモデルが構成で
きる(抽出器一台分を示す)。図9は定常状態計算用で
ある(定常状態ではセトラー/配管/タンクの体積を考慮
しなくても図8と同じ解となるので、定常状態に注目し
た解析にはこれらを除いたモデルが使える)。 本モデル
では、各分流器の分流比設定を変えることによって、以
下のように事象を表現する(図9参照)。
【0063】分流器(1)でオーバーフローを発生させ
る。オーバーフローの方向は分流器(2)で設定する。オ
ーバーフロー流の混合部での抽出反応が不完全な状態
は、分流器(4)の分流比によりその程度を模擬する。
【0064】このような、一台分の抽出器モデルを連結
して各分流器の分流比を適切に設定することにより、オ
ーバーフローを任意の段(連続段での発生も含む)、方向
で発生させる多段の工程のモデルを定義することができ
る。
【0065】「3.2.3.数学モデル」以下に本モデルの基
礎的な数学モデルを示す。通常型の数学モデルに分流、
合流回りの収支を考慮したものである(後述の2つの流
動異常モデルも同様である)。はじめに変数を示す(流
量の場所については、図9参照)。
【0066】i:成分記号、j:段記号、Vaj:混合部水
相体積、xi,j:混合部水相濃度/抽出器出口水相濃度(通
常ライン)、Voj:混合部有機相体積、yi,j:混合部有機
相濃度/抽出器出口有機相濃度(通常ライン)、Aj:抽出
器水相流量(通常ライン)、Oj:有機相流量(通常ライ
ン)、Di,j:分配係数、W1j:混合部から分流器(1)への
水相流量、B1j:混合部から分流器(1)への有機相流量、
W5j:分流器(4)から混合部への水相流量、B5j:分流器
(4)から混合部への有機相流量、xw5i,j:W5j流の水相濃
度、yb5i,j:B5j流の有機相濃度、W2j:分流器(1)から
合流器●への水相流量、SD1aj:水相分流器(1)の合流器
●への分流比、B2j:分流器(1)から合流器●への有機相
流量、SD1oj:有機相分流器(1)の合流器●への分流比、
W3j:分流器(4)から合流器●への水相流量、xw3i,j:W3
j流の水相濃度、Avj:合流器●から分流器(2)への水相
流量、xavi,j:Avj流の水相濃度、B3j:分流器(4)から
合流器●への有機相流量、yb3i,j:B3j流の有機相濃
度、Ovj:合流器●から分流器(2)への有機相流量、yov
i,j:Ovj流の有機相濃度、Avaj:水相流側への水相オー
バーフロー流量、SD2aj:水相分流器(2)のj+1段側への
分流比、Avoj:有機相流側への水相オーバーフロー流
量、Ovaj:水相流側への有機相オーバーフロー流量、Ov
oj:有機相流側への有機相オーバーフロー流量、SD2o
j:有機相分流器(2)のj-1段側への分流比、W4j:合流器
●から分流器(4)への水相流量、xw4i,j:W4j流の水相濃
度、SD4aj:水相分流器(4)の混合部[M]側への分流比、B
4j:合流器●から分流器(4)への有機相流量、yb4i,j:B
4j流の有機相濃度、SD4oj:有機相分流器(4)の混合部
[M]側への分流比、分流器では濃度変化はなく、合流器
では各相ともマスバランスに対応した濃度となる。した
がって、j段におけるi成分について示すと次の通りとな
る。
【0067】・混合部[M]まわり 通常モデルでの考え方と同様である。
【0068】 Vaj・dxi,j/dt+Voj・dyi,j/dt =Aj-1・xi,j-1+Oj+1・yi,j+1+W5j・xw5i,j+B5j・yw5i,j - W1j・xi,j+B1j・yi,j ---- (3.2-1) (dt間の混合部の物質収支)yi,j = Di,j・xi,j、Di,j =
fi(xi,j) は、同じ抽出系なので、(3.1-2)、(3.1-3)と
同じである。
【0069】 ・分流器(1)まわり:水相 W1j・xi,j = (Aj+W2j)・xi,j ---- (3.2-2) W2j = SD1aj・W1j ---- (3.2-3) ・分流器(1)まわり:有機相 B1j・yi,j = (Oj+B2j)・yi,j ---- (3.2-4) B2j = SD1oj・B1j ---- (3.2-5) ・合流器●まわり:水相 (分流器(1)、 (4)からの合流) W2j・xi,j + W3j・xw3i,j = Avj・xavi,j ---- (3.2-6) (Avjが発生オーバーフロー流の水相分に相当する) ・合流器●まわり:有機相 (分流器(1)、 (4)からの合流) B2j・yi,j + B3j・yb3i,j = Ovj・yovi,j ---- (3.2-7) (Ovjが発生オーバーフロー流の有機相分に相当する) ・分流器(2)まわり:水相 Avj・xavi,j = (Avaj+Avoj)・xavi,j ---- (3.2-8) Avaj = SD2aj・Avj ---- (3.2-9) ・分流器(2)まわり:有機相 Ovj・yovi,j = (Ovaj+Ovoj)・yovi,j ---- (3.2-10) Ovaj = SD2oj・Ovj ---- (3.2-11) ・合流器●まわり:水相 (隣接段からのオーバーフロー流の合流) Avaj-1・xavi,j-1+Avoj+1・xavi,j+1 = W4j・xw4i,j ---- (3.2-12) ・合流器●まわり:有機相 (隣接段からのオーバーフロー流の合流) Ovaj-1・yovi,j-1+Ovoj+1・yovi,j+1 = B4j・yb4i,j ---- (3.2-13) ・分流器(4)まわり:水相 W4j・xw4i,j = (W5j+W3j)・xw4i,j--- (3.2-14) W5j = SD4aj・W4j ---- (3.2-15) ・分流器(4)まわり:有機相 B4j・yb4i,j = (B5j+B3j)・yb4i,j---- (3.2-16) B5j = SD4oj・B4j ---- (3.2-17) 分流の際は濃度は変わらないので、式(3.2-6)、 (3.2-
7)のxw3i,j、 yb3i,jは以下となる。
【0070】 xw3i,j = xw4i,j、 yb3i,j = yb4i,j ---- (3.2-18) 以上より、分流比を定数若しくは以上の式中の変数によ
る関数で与えれば、境界条件(運転条件)から、全段につ
いて、上記各流れの各成分iの濃度が求められる(なおセ
トラー/配管がある場合は、各々で[増加量=in-out]とな
る)。
【0071】また、以上の数学モデルからわかるよう
に、図9に対して分流や合流をさらに加えて流路を複雑
にしても、同様な一連の式が成立し、各段濃度プロファ
イルや分岐した流れの濃度が求められる(図8について
も同じ)。なお、後述の2つの流動異常モデルも同様であ
る。
【0072】「3.2.4.構成要素モデル」混合部の物質収
支/抽出平衡計算、セトラー、配管については当然なが
ら通常型モデルと同じ エレメントが使える。ここで新
たに必要となる要素モデルは、分流、合流のエレメント
である。
【0073】(1) 分流器 図9で説明する 。
【0074】分流器(1):オーバーフローを発生させる
分流器である。この分流比をユーザーが設定し、発生さ
せるオーバーフロー量を定義する。
【0075】分流器(2):有機相流及び水相流側へ流れ
ていくオーバーフロー流の割合を設定する分流器であ
る。この分流比をユーザーが設定し、発生オーバーフロ
ー流の方向と量を定義する。
【0076】分流器(4):隣接段からのオーバーフロー
流の混合部での抽出反応に預かる割合を設定する分流器
である。混合部への分流が抽出反応に預かる部分とな
る。この分流比をユーザーが設定し、混合部で抽出反応
に預る割合を定義する。
【0077】以上の分流器の分流比は、次で設定する。
【0078】 F1 = Fin・D 、 F2 = Fin - F1 ----- (3.2-19) F1:設定方向への流量、Fin:分流器への供給流量、F
2:設定外への流量、D:分流比(-) (0.0≦D≦1.0) (2) 合流器 ストリームが合流する部分に用いており、質量流量を足
し合わせる機能を持つ。
【0079】(3) タンク(図8) 容積が定義されている他は、合流器と同じ機能である。
内部は完全混合モデルである。
【0080】「3.2.5.装置/工程モデル」計算方法は3.1
節通常型モデルと同様である。分流が発生する場所での
分流比のみを新たに定義してやれば、解を求める条件は
満足される。
【0081】「3.3.エントレインメントモデル」 「3.3.1.エントレインメント発生現象」図10にエント
レインメント発生現象の模式図を示す。正常な運転状態
では水相/有機相は、ローター内で互いに分離され両相
出口から排出されるが、本現象は、相分離が不完全で有
機相出口からも水相の一部が、あるいは水相出口からも
有機相の一部が流出する現象である(これらの流出をエ
ントレインメントという。以下、エントレという)。
【0082】以上の場合、各段の濃度プロファイルは正
常な運転状態の場合に比べて変化する。これまでこの場
合の濃度プロファイルを評価する手段なかったが、本モ
デルは、この評価を行うものである。
【0083】「3.3.2.モデル」以上の現象を要素モデル
の結合で表現すると、図11、12のようなモデルが構
築できる(図12は定常状態計算用である)。本モデルで
も、各分流器の分流比設定を変えることによって、以下
のように事象を表現する。
【0084】図中分流器(1)にて、エントレを発生させ
る。エントレが発生すると有機相/水相が同一配管を流
れる。この時、接触面を介してあるいは部分的な混合に
より、両相の一部は抽出反応に預かる。これを模擬する
ために、図中分流器(2)で一部を他相と接触させて抽出
平衡計算を行う。この時の抽出平衡計算は、ミキサー部
を構成する[PULSSTG]、[EXTRACT]が使えるので、それら
を用いている。なお、分流器(2)の設定値を変更するこ
とにより、抽出反応に預かる割合を設定する。
【0085】以上のような一台分の抽出器モデルを連結
して、各分流器の分流比を適切に設定することにより、
エントレを任意の段/相で発生させる多段工程のモデル
を定義することができる。
【0086】「3.3.3.数学モデル」以下に本モデルの基
礎的な数学モデルを示す。はじめに変数を示す(流量の
場所については、図12参照)。
【0087】i:成分記号、j:段記号、Vaj:混合部[M]
水相体積、Voj:混合部[M]有機相体積、Aj:抽出器水相
流量(通常ライン)、Oj:抽出器有機相流量(通常ライ
ン)、Afj:水相供給流量、xfi,j:Afj流の水相濃度、D
i,j:分配係数、Ofj:有機相供給流量、yfi,j:Ofj流の
有機相濃度、W1j:混合部[M]から分流器(1)への水相流
量、xw1i,j:[M]の水相濃度、B1j:混合部[M]から分流
器(1)への有機相流量、yb1i,j:[M]の有機相濃度、Ae
j:分流器(1)から分流器(2)への水相流量、Asmj:分流
器(1)から混合部[Ma]への水相流量、SD1aj:分流器(1)
から分流器(2)への分流比(水相)、Oej:分流器(1)から
分流器(2)への有機相流量、Osmj:分流器(1)から混合部
[Mo]への有機相流量、SD1oj:分流器(1)から分流器(2)
への分流比(有機相)、Aemj:分流器(2)から混合部[Mo]
への水相流量、Aeoj:分流器(2)から合流器●への水相
流量、SD2aj:分流器(2)から混合部[Mo]への分流比(水
相)、Oemj:分流器(2)から混合部[Ma]への有機相流量、
Oeoj:分流器(2)から合流器●への有機相流量、SD2oj:
分流器(2)から混合部[Ma]への分流比(有機相)、Vmaaj:
[Ma]の水相体積、Vmaoj:[Ma]の有機相体積、W2aj:[M
a]から合流器●への水相流量、xw2ai,j:[Ma]の水相濃
度、B2aj:[Ma]から合流器●への有機相流量、yb2ai,
j:[Ma]の有機相濃度、Vmoaj:[Mo]の水相体積、Vmoo
j:[Mo]の有機相体積、W2oj:[Mo]から合流器●への水
相流量、xw2oi,j:[Mo]の水相濃度、B2oj:[Mo]から合
流器●への有機相流量、yb2oi,j:[Mo]の有機相濃度、x
i,j:抽出器出口水相濃度(通常ライン)、yi,j:抽出器
出口有機相濃度(通常ライン)、j段におけるi成分につい
て示すと次となる。
【0088】 ・混合部[M]まわり Vaj・dxw1i,j/dt+Voj・dyb1i,j/dt=Aj-1・xi,j-1+Oj+1・yi,j+1 +Aenj+1・xeni,j+1+Oenj-1・yeni,j-1+Afj・xfi,j+Ofj・yfi,j - W1j・xw1i,j+B1j・yb1i,j ---- (3.3-1) (dt間の混合部の物質収支) (yi,j = Di,j・xi,j、Di,j = fi(xi,j) は、同じ抽出系なので、(3.1-2) 、 (3.1-3)と同じ関数形) ・分流器(1)まわり:水相 W1j・xw1i,j = (Aej+Asmj)・xw1i,j --- (3.3-2) Aej = SD1aj・W1j ---- (3.3-3) ・分流器(1)まわり:有機相 B1j・yb1i,j = (Oej+Osmj)・yb1i,j ---- (3.3-4) Oej = SD1oj・B1j ---- (3.3-5) ・分流器(2)まわり:水相 Aej・xw1i,j = (Aemj+Aeoj)・xw1i,j ---- (3.3-6) Aemj = SD2aj・Aej ---- (3.3-7) ・分流器(2)まわり:有機相 Oej・yb1i,j = (Oemj+Oeoj)・yb1i,j ---- (3.3-8) Oemj = SD2oj・Oej ---- (3.3-9) ・混合部[Ma]まわり Vmaaj・dxw2ai,j/dt+Vmaoj・dyb2ai,j/dt=Asmj・xw1i,j+Oemj・yb1i,j - W2aj・xw2ai,j+B2aj・yb2ai,j ---- (3.3-10) (yi,j = Di,j・xi,j、Di,j = fi(xi,j) は、同じ抽出系なので、(3.1-2)、(3. 1-3)と同じ関数形) ・混合部[Mo]まわり Vmoaj・dxw2oi,j/dt+Vmooj・dyb2oi,j/dt=Osmj・yb1i,j+Aemj・xw1i,j - W2oj・xw2oi,j+B2oj・yb2oi,j ---- (3.3-11) (yi,j = Di,j・xi,j、Di,j = fi(xi,j) は、同じ抽出系なので、(3.1-2)、(3. 1-3)と同じ関数形) ・合流器●まわり:水相 (分流器(2)、 混合部[Ma]からの合流) W2aj = Aj xw2ai,j = xi,j ---- (3.3-12) B2aj・yb2ai,j +Oeoj・yb1i,j = Oenj・yeni,j ---- (3.3-13) ・合流器●まわり:有機相 (分流器(2)、 混合部[Mo]からの合流) B2oj = Oj、yb2oi,j = yi,j ---- (3.3-14) W2oj・xw2oi,j +Aeoj・xeoi,j = Aenj・xeni,j ---- (3.3-15) 以上より、分流比を定数若しくは以上の式中の変数によ
る関数で与えれば、境界条件(運転条件)から、全段につ
いて、上記各流れの各成分iの濃度が求められる。
【0089】「3.3.4.構成要素モデル」混合部及びエン
トレ流の混合現象における物質収支/抽出平衡計算、セ
トラー、配管については、通常型モデルと同じエレメン
トが使える。分流器の役割は以下である。
【0090】(1) 分流器 図12で説明する。
【0091】分流器(1):エントレを発生させる。この
分流比をユーザーが設定し、発生させるエントレ量を定
義する。
【0092】分流器(2):他相との抽出反応に預かる割
合を定義する。
【0093】分流比の定義は以下である。
【0094】 F1 = Fin・D、F2 = Fin - F1 --- (3.3-16) F1:設定方向への流量、Fin:分流器への供給流量、F
2:設定外への流量、D:分流比(-) (0.0≦D≦1.0) 「3.3.5. 装置/工程モデル」計算方法及び分流/合流器
の追加に係わる考え方は、オーバーフローモデルと同様
である。
【0095】「3.4.リフラックスモデル」 「3.4.1.リフラックス現象」図13に遠心抽出器断面の
模式図を示す。正常な運転状態では水相/有機相は、両
相出口から次ステージに排出されるが、本現象は、コレ
クター部から一部が混合部に再び戻る現象である。 以
上の場合、各段の濃度プロファイルは正常な運転状態の
場合に比べて変化する。これれまで、この場合の濃度プ
ロファイルを評価する手段はなかったが、本モデルはこ
の評価を行うものである。
【0096】「3.4.2.モデル」以上の現象を要素モデル
の結合で表現すると、図14、15のようなモデルが構
築できる(図15は定常状態計算用である)。本モデルで
も、各分流器の分流比設定を変えることによって、以下
のように事象を表現する。
【0097】分流器(1)にて、リフラックスを発生させ
る。また、リフラックス流の混合部での抽出反応に預か
る割合を分流器(2)で定義する。
【0098】このような一台分の抽出器モデルを連結し
て各分流器の分流比を適切に設定することにより、リフ
ラックスを任意の段及び相で発生させる多段工程のモデ
ルを定義することができる。
【0099】「3.4.3.数学モデル」オーバーフロー及び
エントレモデルと同様な考え方で、j段におけるi成分に
ついて以下となる(流量の場所については、図15参
照)。
【0100】i:成分記号、j:段記号、Vaj:混合部[M]
水相体積、Voj:混合部[M]有機相体積、xi,j:抽出器出
口水相濃度、yi,j:抽出器出口有機相濃度、Aj:抽出器
水相流量 Oj:有機相流量 Afj:水相供給流量 xfi,
j:Afj流の水相濃度、Ofj:有機相供給流量、yfi,j:Of
j流の有機相濃度、Di,j:分配係数、Armj:分流器(2)か
ら混合部[M]への水相流量、xrmi,j:Armj流の水相濃
度、Ormj:分流器(2)から混合部[M]への有機相流量、yr
mi,j:Ormj流の有機相濃度、W1j:混合部[M]から分流器
(1)への水相流量、xw1i,j:[M]の水相濃度、B1j:混合
部[M]から分流器(1)への有機相流量、yb1i,j:[M]の有
機相濃度、Arsj:分流器(2)から合流器●への水相流
量、xrsi,j:Arsj流の水相濃度、Fmaj:合流器●から分
流器(1)への水相流量、Orsj:分流器(2)から合流器●へ
の有機相流量、yrsi,j:Orsj流の有機相濃度、Fmoj:合
流器●から分流器(1)への有機相流量、Arj:分流器(1)
から分流器(2)への水相流量、SD1aj:分流器(1)から分
流器(2)への分流比(水相)、Orj:分流器(1)から分流器
(2)への有機相流量、SD1oj:分流器(1)から分流器(2)へ
の分流比(有機相)、SD2aj:分流器(2)から合流器●への
分流比(水相)、SD2oj:分流器(2)から合流器●への分流
比(有機相)、 ・混合部[M]まわり Vaj・dxw1i,j/dt+Vbj・dyb1i,j/dt=Aj-1・xi,j-1+Oj+1・yi,j+1 +Armj・xrmi,j+Ormj・yrmi,j+Afj・xfi,j+Ofj・yfi,j - W1j・xw1i,j+B1j・yb1i,j ---- (3.4-1) (yi,j = Di,j・xi,j、Di,j = fi(xi,j) は、同じ抽出系なので、(3.1-2)、 ( 3.1-3)と同じ関数形) ・合流器●まわり:水相 (分流器(2)、 混合部[M]からの合流) W1j・xw1i,j + Arsj・xrsi,j = Fmaj・xi,j ---- (3.4-2) ・合流器●まわり:水相 (分流器(2)、 混合部[M]からの合流) B1j・yb1i,j + Orsj・yrsi,j = Fmoj・yi,j ---- (3.4-3) ・分流器(1)まわり:水相 Fmaj・xi,j = (Arj+Aj)・xi,j ---- (3.4-4) Arj = SD1aj・Fmaj ---- (3.4-5) ・分流器(1)まわり:有機相 Fmoj・yi,j = (Orj+Oj)・yi,j ---- (3.4-6) Orj = SD1oj・Fmoj ---- (3.4-7) ・分流器(2)まわり:水相 Arj・xi,j = (Arsj+Armj)・xi,j ---- (3.4-8) Arsj = SD2aj・Arj ---- (3.4-9) ・分流器(2)まわり:有機相 Orj・yi,j = (Orsj+Ormj)・yi,j ---- (3.4-10) Orsj = SD2oj・Orj ---- (3.4-11) ここで、 xi,j = xrmi,j 、yi,j = yrmi,j、xi,j = xrsi,j、yi,j = yrsi,j ---- (3.4-12) 以上より、分流比を定数若しくは以上の式中の変数によ
る関数で与えれば、境界条件(運転条件)から、全段につ
いて、上記各流れの各成分iの濃度が求められる。
【0101】「3.4.4構成要素モデル」混合部の物質収
支/抽出平衡計算、セトラー、配管については、通常型
モデルと同じ エレメントが使える。
【0102】分流器の役割は以下である。
【0103】(1) 分流器 分流器(1):リフラックスを発生させる。設定する分流
比によりリフラックス量を定義する。
【0104】分流器(2):この分流比を設定して、混合
部で抽出に預かる流量を定義する。
【0105】「3.4.5装置/工程モデル」計算方法及び分
流/合流器の追加に係わる考え方は、これまでのモデル
と同様である。
【0106】「4.解析例」オーバーフローが発生した際
の濃度プロファイル(定常状態)を解析する。
【0107】「4.1.対象プロセス」図16に解析対象と
する工程及び運転条件を示す。有機相の流入Oinは、流
量:182.943[l/hr]、HNO3濃度:2.51
68×10-2[mol/l]、U濃度:42.191[g/
l]、TBP濃度:全TBPが30[vol%]であり、水
相の流入Ainは、流量:164.000[l/hr]、HN
3濃度:2.0×10- 2[mol/l]である。また、抽出
装置は、12段である。
【0108】「4.2.モデル」上記の解析のため、オーバ
ーフロー型抽出装置モデルを12段組み合わせたモデルを
用いる。
【0109】「4.3.正常な流動状態の場合」はじめに比
較の基準として、オーバーフローが発生しない状態での
濃度プロファイルを求める。この計算は、本モデルにお
いても、各分流器の設定値の適切な組み合せにより可能
である。
【0110】(1)分流比の設定 正常な流れとするには以下のように設定する(図9参
照)。
【0111】・分流器(1):オーバーフロー側(W2j及び
B2j側)への分流比 D=0.0 (オーバーフロー発生無し) ・分流器(2)及び(4):オーバーフロー流が発生しないの
で、分流比Dの値は何であっても 影響ない(何もする必
要がない)。
【0112】以上で、正常な流れの12段の抽出工程とな
る。
【0113】(2)外部からの供給条件の設定 有機相、水相の供給流量を設定する。
【0114】本モデルでは、上記の単位は[mol/h]であ
るので、図16の条件を各成分について[mol/h]に換算
した値を設定する。
【0115】(3)結果 図17〜20に各段の濃度プロファイルを示す。これら
には、同条件でのMIXSETの計算結果もあわせて示す。こ
のように、U濃度、HNO3濃度共に、本コードによる
計算結果と、MIXSETの計算結果はきわめてよく一
致している。表2に、バンク(プロセス)全体/各段の
物質収支を示す。プロセス全体の物質収支及び各段の物
質収支は満足しており(すなわち、定常状態でU、HN
3各成分について入量−出量≒0.0であること。収
束解なので、0.0ちょうどにはならない)、また、両
コードとも収束の程度は同じである(HNO3について
は、本コードの方が収束の程度がよい)。
【0116】
【表2】 以上より、本コードにおける抽出平衡計算ロジックの搭
載は正常になされており、合流器や分流器を組み合わせ
た抽出工程評価に適用できるものであるということが言
える。
【0117】「4.4. オーバーフロー発生時」全段で同
一量の発生を模擬し、計算のケースは次のとおりであ
る。オーバーフロー流は、混合部で全て抽出平衡に達す
るとする。
【0118】
【表3】 ケース オーハ゛ーフロー発生量(g/l) オーハ゛ーフロー流の方向 オーハ゛ーフロー流の組成 (各段から) ──────────────────────────────────── A 16.0 全て水相方向 供給流量のO/Aと同じ B 同上 両方向(1/2ずつ) 同上 C 同上 全て有機相方向 同上 ──────────────────────────────────── (O/A : 有機相流量/水相流量) 外部からの供給流量は、正常な流動状況の場合と同じで
ある。よって、正常な流動状況のモデルに対して、分流
比の設定を変更すればオーバーフロー現象が模擬でき
る。
【0119】(1)分流比の設定 オーバーフローを発生させる分流器(図9、分流器
(1))は、有機相8.4g/l、水相7.6g/l(0
/Aと同じ比率)が各々B2j,W2jへ流れるように分流比
を設定する。オーバーフロー流を分配する分流器(図
9、分流器(2))は、ケースAは全て図9における右側
へ、ケースCは図9における左側へ、ケースBは両方向
等分となるように設定する。分流器(4)(図9)は、全
て混合部[M]へ流れるように設定する。
【0120】(2)結果及び考察 図21、22に各段のウラン(U)濃度プロファイルの
変化を、流動状態正常時(図中Normal)と比較して示
す。
【0121】これらから、以下がわかる。
【0122】・U濃度は、流動状態正常時に比べて、オ
ーバーフロー流が有機相側に流れる(ケースC)と上昇
し、水相側に流れる(ケースA)と低下する。
【0123】・両側にオーバーフローが発生する場合
(ケースB)は、濃度プロファイルは殆ど変化しない。
【0124】以上の現象は定性的には次のように考えら
れ、その傾向は妥当なものである。
【0125】・ケースCの場合、有機相についてはオー
バーフロー流及び通常流とも本来の方向に流れており、
これは両者の和が通常流路で流れる場合と同じである。
一方、水相については、本来図21、22では左側に流
れるべき流量の一部が逆方向に戻ることになる。水相U
濃度は左側の方が高いため正常の場合に比べ高U濃度の
水相が後段に供給される傾向となり、U濃度が上昇する
方向となる。
【0126】・ケースAの場合は以上と逆で、水相流側
は通常流、オーバーフロー流とも正常な方向へ流れる
が、有機相の一部が通常と逆方向に戻ることによる。
【0127】・ケースBでは両者の効果が打ち消す方向
に働き、濃度変化は少ない。
【0128】数値解については、物質の移動と抽出反応
の組み合わせ事象であるので、前述のように抽出平衡ロ
ジックが正常に要素モデルに搭載されていること、及び
プロセス全体と分流及び合流器まわりの物質収支をとっ
た計算を行っているので妥当なものであるといえる。
【0129】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
オブジェクト型ソフトウェアの利用を前提として、抽出
器内の挙動を適切な単位に分割して要素モデルを作成し
ているため、モデルや解析式等の変更に容易に対処する
ことができる。そして、分流部において、流体の一部を
分流し、合流部において複数の流体を合流することがで
きるため、基本流れ以外の各種異常流れのシミュレーシ
ョンを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 多段抽出工程計算の要素を示す図である。
【図2】 本コードの概念を示す図である。
【図3】 装置の構成要素モデルを示す図である。
【図4】 液流動異常の模擬を示す図である。
【図5】 工程の構成を示す図である。
【図6】 抽出装置モデル(通常型)を示す図である。
【図7】 遠心抽出器断面を示す図である。
【図8】 オーバーフロー型のモデルを示す図である。
【図9】 オーバーフロー型(定常状態計算用)のモデ
ルを示す図である。
【図10】 エントレ現象を示す図である。
【図11】 エントレ型のモデルを示す図である。
【図12】 エントレ型(定常状態計算用)のモデルを
示す図である。
【図13】 リフラックス現象を示す図である。
【図14】 リフラックス型のモデルを示す図である。
【図15】 リフラックス型(定常状態計算用)のモデ
ルを示す図である。
【図16】 解析対象条件を示す図である。
【図17】 有機相U濃度(正常な流動状態時)を示す
図である。
【図18】 水相U濃度(正常な流動状態時)を示す図
である。
【図19】 有機相HNO3濃度(正常な流動状態時)
を示す図である。
【図20】 水相のHNO3濃度(正常な流動状態時)
を示す図である。
【図21】 オーバーフローによる濃度変化(水相U濃
度)を示す図である。
【図22】 オーバーフローによる濃度変化(有機相U
濃度)を示す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−204178(JP,A) 特開 平7−262171(JP,A) 特開 平7−219630(JP,A) 上田吉徳、外1名、「核燃量再処理抽 出プロセス計算コードへの Objec t DPS の適用(その1)、ケミカ ルエンジニヤイリング、1998年3月、第 43巻、第3号、p.65−73 加瀬健、外3名、「オブジェクト型抽 出工程シミュレーションコードの開 発」、サイクル機構技報、1999年9月、 第4号、p.27−35 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06F 19/00 110 B01D 11/04 G21C 19/42 JICSTファイル(JOIS)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの相の流体を混合して一方の流体中
    に含まれる物質を他方の流体中に抽出する抽出器を含む
    抽出系の動作をシミュレーションする抽出系のシミュレ
    ーション方法であって、 動作を基本要素毎に分離して計算するオブジェクト型ソ
    フトウェアを利用すると共に、 抽出器を構成する基本要素として、2つの相の流体の混
    合及び分離と2つの相の流体間の物質の移動とを模擬す
    る混合部と、流体の一部の分流を模擬する分流部と、複
    数流体の合流を模擬する合流部とを設け、 分流部と合流部を利用して基本流れ以外の流れが生じた
    場合のシミュレーションを行うことを特徴とする抽出系
    のシミュレーション方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法であって、 上記混合部は、物質収支計算と、平衡濃度計算に分離し
    て模擬を行うことを特徴とする抽出系のシミュレーショ
    ン方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法におい
    て、 上記抽出系を構成する基本要素として、さらに抽出器に
    おける分離された流体の流体流れについての模擬を行う
    セトラ部と、このセトラ部以降の部分における流体流れ
    についての模擬を行う配管部と、 を設けることを特徴とする抽出系のシミュレーション方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1つに記載の方
    法において、 上記分流部における分流比を設定することにより、抽出
    器内部における基本流れ以外の流動を模擬することを特
    徴とする抽出系のシミュレーション方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の方法において、 上記抽出器は、ロータの外側に2相の流体を流入し両者
    を混合した後、ロータ内部において遠心分離を行い、外
    側流体と内側流体をせきを利用して分離して個別に排出
    すると共に、流入部分にオーバーフロー配管を有する遠
    心抽出器であり、 上記基本流れ以外の流動として、オーバーフロー配管を
    介して流体が流出するオーバーフロー状態と、2相の流
    体が未分離状態でロータ内部のせきを越えるエントレイ
    ンメント発生状態と、一旦分離されロータから排出され
    た流体が再び2相の流体を混合する部分に逆流するリフ
    ラックス状態の3状態を模擬することを特徴とする抽出
    系のシミュレーション方法。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の方法において、 上記抽出器は、混合を行う部分と重力による分離を行う
    部分とからなるミキサセトラ抽出器であり、 上記基本流れ以外の流動として、オーバーフロー配管を
    介して流体が流出するオーバーフロー状態と、2相の流
    体が未分離状態で重力による分離を行う部分から排出さ
    れるエントレインメント発生状態と、一旦分離した流体
    が再び2相の流体を混合する部分に逆流するリフラック
    ス状態の3状態を模擬することを特徴とする抽出系のシ
    ミュレーション方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1つに記載の方
    法において、 上記抽出系は、複数の抽出器を接続し、多段の抽出を行
    う抽出系であることを特徴とする抽出系のシミュレーシ
    ョン方法。
  8. 【請求項8】 コンピュータに、2つの相の流体を混合
    して一方の流体中に含まれる物質を他方の流体中に抽出
    する抽出器を含む抽出系の動作をシミュレーションさせ
    る抽出系のシミュレーションプログラムを記録する媒体
    であって、 動作を基本要素毎に分離して計算するオブジェクト型ソ
    フトウェアを利用すると共に、 抽出器を構成する基本要素として、2つの相の流体の混
    合及び分離と2つの相の流体間の物質の移動とを模擬す
    る混合部と、流体の一部の分流を模擬する分流部と、複
    数流体の合流を模擬する合流部とを設け、 分流部と合流部を利用して基本流れ以外の流れが生じた
    場合のシミュレーションをコンピュータに行わせる抽出
    系のシミュレーションプログラムを記録した媒体。
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