JP3157758B2 - 無塵衣およびその着用方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は無塵衣およびその着
用方法に関し、特に半導体装置製造や医薬品製造のよう
に高清浄度が要求される環境で使用される無塵衣および
その着用方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、この種の無塵衣としては、この
無塵衣内部からの塵が衿口や袖口から外部に漏洩するの
を防止する必要がある。そのため従来の無塵衣は、実開
昭５６―２３６１３号公報に示すように、その上半身と
下半身とを一体化して結合させ、塵の漏洩個所を少なく
する技術があり、またこの塵の漏洩をさらに抑止するた
めに、実開平２―４２０１９号公報に示すように、前述
の無塵衣に帽子や靴下も結合し一体化させる技術もあ
る。

【０００３】この無塵衣は、図２の正面図のように、上
半身被覆部分１と下半身被覆部分２とを接合部３により
結合し、上半身被覆部分１には外袖５が付けられ、また
この無塵衣の着脱のために、上半身被覆部分１の胸部を
ファスナ４で開閉できる構造となっている。

【０００４】この無塵衣の袖は、一般に一重であり、こ
の無塵衣内部の塵を外部に漏らし難くするため、その袖
の端部がぴったり合うように、絞り構造となっている。
この絞りをつくる方法としては、その袖の端を袋状に折
って縫製し、この袖端の袋部に平ゴムを通す方法、また
その袖の端に伸縮性のあるニット生地を直接縫合する方
法がある。

【０００５】なお、半導体装置製造工程で用いる無塵衣
には、手からの発塵を抑止するため、手袋の着用を併用
している。この手袋を着用する場合は、手袋内部からの
発塵を防止するために、手袋の口の部分を無塵衣の袖口
の中に入れて、手袋の口部分を無塵衣の袖で覆うように
着用して使用している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来例の無塵
衣では、使用する手袋の口部分が手首より大きな手の平
を通さなければならないので、手首の大きさより大きく
なっており、これを着用した状態で手首部に生地の余り
を生ずる。この部分を無塵衣の袖口で覆うと、生地の余
った部分が袖口の中で折り重なり、この傘なったひだの
部分がすき間となり、このすき間から無塵衣内の塵が容
易に外部に漏洩する。そのため従来の無塵衣の袖構造で
は、袖からの塵漏洩を十分抑止することができない問題
がある。

【０００７】また、この塵漏洩を防ぐため、手の大きな
部分（手袋の大きさと手首の大きさがあまり違わない部
分）を無塵衣の袖口で覆えばよいが、この状態で作業を
していると、袖口が自然に手首の細い部分に移動して、
前述の問題が生じてくる。

【０００８】本発明の目的は、袖口から漏洩する人体か
らの塵および手首からの塵を共に防ぐことができるよう
にした無塵衣およびその着用方法を提供することにあ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の無塵衣の構成
は、手首に密着するように作られこの手首からの発塵を
防止する第１の袖口と、この第１の袖口の外側で手袋を
挿入しこの手袋からの発塵を防止する第２の袖口とを有
し、前記内袖と前記外袖の各袖口の絞り度を変え、前記
内袖の袖口の絞り度をきつくし、前記外袖の袖口の絞り
度をゆるくしたことを特徴とする。

【００１０】また、内袖の袖口の伸縮度を±１ｃｍと
し、前記外袖の袖口の伸縮度を±３ｃｍとし、また内袖
と外袖の各袖口の絞り部が平ゴムまたは伸縮性ニット生
地からなり、これら平ゴム、伸縮性ニット生地の素材が
化学繊維または樹脂からなることができる。

【００１１】また本発明の構成は、手首に密着するよう
に絞られこの手首内からの発塵を防止する第１の袖口を
もつ内袖と、この第１の袖口の外側で手袋を挿入しこの
手袋からの発塵を防止する第２の袖口をもつ外袖とを有
し、前記内袖と前記外袖の各袖口の絞り度を変え、前記
内袖の袖口の絞り度をきつく、前記外袖の袖口の絞り度
をゆるくした無塵衣の着用方法において、この無塵衣の
下半身被覆部分を着衣し、内袖、外袖に手を通し、この
手の外側に手袋を装着し、この手袋のすそを前記外袖の
端部を介してこれら外袖と内袖との間に納め、その外袖
の端部を手首部分に位置するよう装着し、前記手袋のす
そがひだ状に折り重ならない部分で外袖口を手首に密着
させるようにすることを特徴とする。

【００１２】本発明の構成によれば、従来の無塵衣の袖
に内袖を取り付けることにより、手首から上の腕、体部
分からの発塵が外部に漏洩するのを抑え、従来の（外）
袖により手や手袋からの発塵が外部に漏洩するのを抑え
ることができる。また、内袖と外袖の絞り度を変え、つ
まり内袖の絞り度をきつくし、外袖の絞り度をゆるくす
ることにより、内袖で無塵衣内の塵を十分に捕集し、塵
の漏洩防止性能を十分に維持し、外袖の手袋脱着にっ必
要なゆとりを十分確保して脱着を容易にすることができ
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
より説明する。図１（ａ）（ｂ）は本発明の一実施形態
の無塵衣の正面図およびその袖部分の拡大正面図であ
る。本実施形態において、上半身被覆部分１と下半身被
覆部分２とを接合部３により結合されているが、これは
低発塵性の生地で人体を覆うことにより、無塵衣の内部
で生ずる人体、衣服の発塵が外部に漏洩することを抑止
している。また、上半身被覆部分１には外袖５が付けら
れ、またこの無塵衣の着脱のために、上半身被覆部分１
の胸部をファスナ４で開閉できるようにして、上下半身
が一体化した無塵衣を着脱し易くしている。

【００１４】ここで本発明の特徴となる袖部分の構造を
説明する。外袖５は上半身被覆部分１の中で、特に袖の
部分である。また外袖５に縫合部６を介して内袖８を取
り付けて２重の袖構造とすることにより、無塵衣の内部
塵を内袖８とその絞り部９とで捕集するものである。

【００１５】また図１（ｂ）のように、手１１の外側に
手袋１２を装着し、この手袋１２のすそは袖の端７を介
してその内部空間１０内に収める。そして袖の絞り部９
が手首の細い部分に位置するように、袖の端７は手首の
手の平のすぐ下の部分に位置するように、装着すること
により、手袋１２のすそがひだ状に折り重ならない部分
で袖口を手首に密着させることができる。さらに、外袖
５の内側には、内側の絞り部９および手袋１２のすそが
あるので、これらがストッパとなって外袖５の絞り部７
がずれない構造となっている。

【００１６】本実施形態において、外袖５、内袖８は、
上半身被覆部分１、下半身被覆部分２は低発塵性の生地
で作製される。内袖８の端部９は袖と手首との隙間を極
力小さくし、手首にぴったりと密着できるようにするた
め、その袖の内径は手首に対して±１ｃｍ程度の伸縮度
を必要とし、また外袖５の端部７は手袋１２のすそを収
納する必要があるため、内袖８より絞り度を緩くする
が、過度のゆとりがないように、その伸縮度は手首に対
し±３ｃｍ程度の伸縮度としている。

【００１７】なお、こにような伸縮度を得るため、袖端
の絞り部７，９には、平ゴムまたは伸縮性ニット生地を
用いている。その際平ゴムは、絞り部７，９を各々袋状
に折って縫製した後に、その袋部の中に通して用いてい
る。また、伸縮性ニット生地は袖端の絞り部７，９に直
接縫合される。これら平ゴム、伸縮性ニット生地の素材
は、低発塵性の化学繊維または樹脂が使用され、これら
平ゴム、伸縮性ニット生地の幅は、装着感を損わず、か
つ手首との密着度を高めるように、２〜５ｃｍが望まし
い。

【００１８】さらに、内袖端９と外袖端７との距離は３
〜５ｃｍ程度が望ましいが、それは外袖５と内袖８との
間の空間１０を、手袋１２の装着が困難にならない範囲
で小さくするためである。この空間１０を小さくするこ
とで、手首の露出が少なくなり、また手や手袋からの塵
が溜りにくくなり、また塵が溜る余剰空間をなくしてい
る。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように本発明の構成によれ
ば、袖構造を内袖・外袖の二重構造にして、内袖で身体
からの発塵を抑え、外袖で手や手袋内部からの発塵が衣
服の外に漏洩するのを防止するようにしたため、内部か
らの塵の袖外への漏洩を抑止できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態の無塵衣の正面図、その手
首部分の拡大正面図である。

【図２】従来例の無塵衣の正面図である。

【符号の説明】

１ 上半身被覆部分 ２ 下半身被覆部分 ３ 結合部 ４ ファスナ ５ 外袖（第２の袖） ６ 袖縫合部分 ７ 外袖端の絞り部 ８ 内袖（第１の袖） ９ 内袖端の絞り部 １０ 外、内袖間の空間 １１ 手 １２ 手袋

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A41D 13/00 - 13/02 A41D 27/10

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 手首に密着するように絞られこの手首内
   からの発塵を防止する第１の袖口をもつ内袖と、この第
   １の袖口の外側で手袋を挿入しこの手袋からの発塵を防
   止する第２の袖口をもつ外袖とを有し、前記内袖と前記
   外袖の各袖口の絞り度を変え、前記内袖の袖口の絞り度
   をきつく、前記外袖の袖口の絞り度をゆるくしたことを
   特徴とする無塵衣。
2. 【請求項２】 内袖の袖口の伸縮度を±１ｃｍとし、外
   袖の袖口の伸縮度を±３ｃｍとした請求項１記載の無塵
   衣。
3. 【請求項３】 内袖と外袖の各袖口の絞り部が平ゴムま
   たは伸縮性ニット生地からなり、これら平ゴム、伸縮性
   ニット生地の素材が化学繊維または樹脂からなる請求項
   １記載の無塵衣。
4. 【請求項４】 手首に密着するように絞られこの手首内
   からの発塵を防止する第１の袖口をもつ内袖と、この第
   １の袖口の外側で手袋を挿入しこの手袋からの発塵を防
   止する第２の袖口をもつ外袖とを有し、前記内袖と前記
   外袖の各袖口の絞り度を変え、前記内袖の袖口の絞り度
   をきつく、前記外袖の袖口の絞り度をゆるくした無塵衣
   の着用方法において、この無塵衣の下半身被覆部分を着
   衣し、前記内袖、外袖に手を通し、この手の外側に手袋
   を装着し、この手袋のすそを前記外袖の端部を介してこ
   れら外袖と内袖との間に納め、その外袖の端部を手首部
   分に位置するよう装着し、前記手袋のすそがひだ状に折
   り重ならない部分で外袖口を手首に密着させるようにし
   たことを特徴とする無塵衣の着用方法。