JP3156159B2 - Frp補強筋の曲げ加工方法およびその装置 - Google Patents

Frp補強筋の曲げ加工方法およびその装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、土木や建築用の補強筋として、鉄筋に代
えて用いられるFRP補強筋の曲げ加工方法およびその装
置に関する。
〔従来の技術とその課題〕
FRP補強筋は、有機合成繊維を多数本集束し、これを
熱硬化性樹脂で互いに径方向に接着した棒状体からなる
もので、鉄筋に代えて用いることができる。この種のFR
P補強筋は、繊維を接着する樹脂が熱硬化性樹脂である
ことから、従来は、工場の成型生産ラインにおいて、未
硬化状態または半硬化状態でなければ、折り曲げ加工が
できず、また、その形状も成型時に規定された型枠また
はマンドレルによる寸法のものしか得られず、多様な形
状、寸法に対処することは到底困難であった。
また、この種のFRP補強筋は、施工現場で迅速に折り
曲げ加工したい要求があるのに対し、樹脂が硬化した棒
状体を、外部加熱方式で加熱して折り曲げ加工を行なお
うとしても、長時間(約30分)加熱しなければならな
い。
また、外部加熱方式により高温下で、長時間にわたっ
て加熱すると、棒状体の外表面が高温になるので、繊維
の物性を損ない、そのため、棒状体つまり補強筋の機械
的性質が損なわれる。
さらに、この種のFRP棒状体を加熱して折り曲げ加工
を行う場合、棒状体を構成する繊維が特定の物性を有し
ていなければ、短時間の間に加熱して折り曲げ加工を行
っても、やはり、棒状体が折り曲げ加工前に有している
機械的性質を低下させてしまうことを見出した。
この発明は上記問題に鑑みてなされたもので、熱硬化
性樹脂を用いたFRP棒状体を、施工現場等でも迅速に、
かつ、所定の形状に折り曲げ成型することができ、しか
も、FRP棒状体の機械的性質を損なわずに成型すること
ができる加工方法およびその装置を提供することを目的
とする。
〔課題を解決するための手段と作用〕
上記目的を達成するために、この発明の曲げ加工方法
は、まず、FRP補強筋を構成する有機合成繊維が、後述
する機械的性質を有することが前提となる。この有機合
成繊維を熱硬化性樹脂で径方向に互いに接着することに
より予め成形された棒状体を、高周波誘電加熱またはマ
イクロ波加熱によって、所定の温度範囲で加熱し、熱硬
化性樹脂を軟化させる。ついで、熱硬化性樹脂が軟化し
た状態で、棒状体の曲げ加工を行う。
連続繊維を用いた繊維強化樹脂の補強効果は、繊維の
ひきそろえが均一になされているならば、極めて単純化
された複合則に従い、繊維の引張り強度とセメントの付
着力に比例するので、高い引張り強度と弾性率が必要で
ある。
したがって、この発明のFRP補強筋を構成する有機合
成繊維としては、その引張り強度がデニール当たり15g
以上、初期弾性率がデニール当たり300g以上が必要であ
る。好ましくは、引張り強度としてデニール当たり17g
〜30g、初期弾性率として450g〜1000gが好ましい。引張
り強度および初期弾性率が、各々、デニール当たり15g
および300g未満では、コンクリート補強筋としての性能
を十分発揮することができないからである。
また、有機合成繊維の切断伸度は3.5%以上であるこ
とが必要である。切断伸度が3.5%未満であると、棒状
体を加熱して折り曲げ加工する際に、折り曲げ部分に有
機合成繊維の折損や座屈が生じ、そのため、棒状体の機
械的性質を損なうからである。
ところで、従来は、棒状体の折り曲げ半径の下限値
が、棒状体の直径によって定まっていた。これに対し、
この発明の熱硬化性樹脂とポリビニールアルコール(以
下、「PVA」という。)系合成繊維または全芳香族ポリ
エステル系合成繊維を含む繊維からなる棒状体は、高周
波加熱またはマイクロ波加熱で軟化させることにより、
上記折り曲げ半径に制限されることなく、鉄筋の場合と
同様に、曲げ加工ができる。このことは、今まで考えら
れなかった常識を打ち破る事実である。
即ち、棒状体を構成する有機合成繊維としては、前述
の機械的性質や、マイクロ波で軟化させた後、鉄筋と同
程度に、あるいは、棒状体の直径に依る最小限の折り曲
げ半径に制限されることなく、曲げ加工ができるという
点から、PVA系合成繊維または全芳香族ポリエステル系
合成繊維が適することを見い出した。
この発明に用いられるPVA系合成繊維は、重合度1000
〜20000でケン化度98モル%以上のPVAを用いたもので、
湿式、乾湿式、乾式等の紡糸法において特定の条件を用
いることにより得られるものであり、たとえば特開平1
−174531号公報に記載されている方法により製造され
る。もちろん、可塑剤や油剤等を混合したものでもよ
い。
全芳香族ポリエステルとは、一種以上の芳香族ヒドロ
キシ酸の、場合によっては芳香族ジオールおよび/また
は芳香族二酸との縮合による溶融加工可能な芳香族ポリ
エステルであって、存在する各成分の少なくとも一個の
芳香環が重合体主鎖に寄与しているという意味において
全芳香族と称される全芳香族ポリエステルであって、異
方性溶融相を形成しうるいわゆるサーモトロピック液晶
性全芳香族ポリエステルである。この発明では、このよ
うな全芳香族ポリエステルから溶融紡糸され、さらに全
芳香族ポリエステルの融点と融点より50℃低い温度で熱
処理した繊維を有機合成繊維として用いる。
この発明の棒状体は、繊維として上記両繊維を100%
用いたものに限られない。たとえばガラス繊維または炭
素繊維のみで棒状体を構成すると、棒状体の曲げ加工時
に折損等の問題を生じるが、この発明のPVA系繊維また
は/および全芳香族ポリエステル繊維に、ガラス繊維等
を混合するか、あるいは、ガラス繊維を集束体の芯の部
分に配置することにより、棒状体の曲げ加工が可能にな
る。
棒状体において、繊維の占有体積は60%以上が好まし
い。つまり、樹脂の占有体積は40体積%未満であるのが
好ましい。その理由は、複合則から明らかなように、マ
トリックスである樹脂が少ない方が補強材として繊維の
力を発揮して、複合材(棒状体)の引張り強度やヤング
率が高まるからである。この発明において、棒状体にお
ける繊維の占有体積が60%未満の場合には、繊維の強度
やヤング率等の機械的性質が劣る。
なお、この発明の前提となる棒状体自体の引抜き成型
によって製造するには、樹脂が多い方が好ましい。その
理由は、樹脂が多いと、繊維が引抜きノズル内を通過す
る際に、空気のだき込みが抑制され、かつ、円滑に成形
されるからである。しかし、樹脂量が40体積%を越える
と、折曲げ加工時の樹脂ダレや、ふくらみが太くなっ
て、棒状体の形状が変わるので好ましくない。
繊維を接着している熱硬化性樹脂としては、不飽和ポ
リエステル、エポキシ樹脂、水溶性エポキシ樹脂、ビニ
ルエステル樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、フェノー
ル樹脂、尿素系樹脂等を用いたものが好ましい。特に、
耐アルカリ性および取り扱いの点からエポキシ樹脂また
はビニルエステル(エポキシアクリレート)樹脂がより
好ましい。
棒状体の軟化温度は、示差熱分析により求めることが
できる。熱硬化性樹脂を用いたものでも、無定形高分子
の場合と同様、吸熱側へのずれが始まる温度が軟化温
度、即ち、ガラス転移温度である。エポキシ樹脂の軟化
温度は、110℃〜140℃であるが、熱硬化条件により高温
度側に若干シフトするのに対し、上記示差熱分析による
方法で測定して決定される。
この発明によれば、従来、樹脂が半硬化状態の棒状体
でなければ折り曲げ加工ができないとされていたもの
を、予め成形されて樹脂が硬化した棒状体を内部加熱に
より軟化させることで、迅速かつ容易に、しかも、物性
の劣化を招くことなく、曲げ加工できるようになった。
曲げ加工温度が熱硬化性樹脂の軟化開始温度よりも低
い場合は、曲げにくく容易に曲がらず、ひび割れや座屈
が起こり、曲げ部分の強度が低下する。また、200℃よ
りも高い場合には、有機合成繊維自体の強度が低下し、
かつ、樹脂が分解して、樹脂と繊維との接着性を損なう
ので、棒状体の強度が低下する。
この発明者らは、FRP棒状体の内部加熱方式について
鋭意研究した結果、周波数が10MHz〜50MHz、好ましくは
35MHz〜42MHzで、その出力が0.5Kw〜100Kw好ましくは1K
w〜7Kwの高周波誘電加熱、あるいは、周波数が2000MHz
〜3000MHz好ましくは2450MHz程度で、その出力が0.5Kw
〜10Kw好ましくは1Kw〜3Kwであるマイクロ波加熱が好ま
しく、これらの内部加熱方式によれば、その加熱時間が
5分以下で十分内部まで可塑化した柔軟なFRP棒状体が
得られることを見い出した。棒状体の直径および断面形
状、表面の粗さなどにもよるが、4分以下好ましくは2
分以下の加熱で軟化することを見い出した。
通常、熱風や熱輻射等の加熱では、棒状体を内部まで
加熱するのに加熱時間が長くなり、施工現場で扱うこと
ができない。たとえば、3mm〜50mmの直径を有する単一
素線や単一素線を多数本束にして集合した棒状体、ある
いは、撚線状とした棒状体では、加熱するのに、50分〜
100分程度かかる。しかも、表面部分と内部との温度が
大きくなるので、表面の樹脂および繊維が加熱により劣
化し、そのため、曲げることがむずかしく、FRP棒状体
の機械的性質が極端に低下するので好ましくない。
棒状体の曲げ工程では、熱硬化性樹脂が軟化した状態
で棒状体を金型に沿わせて曲げるとともに、この金型に
沿わせた状態で棒状体を冷却するのが好ましい。その理
由は、棒状体を所定の形状に曲げても、棒状体の温度が
高いと、棒状体の形状が安定せず、扱いにくいうえ、使
用できないからである。したがって、加熱した棒状体を
金型に沿わせて曲げた状態のまま冷却することで、所定
の形状の棒状体が迅速に得られる。
このように、この発明によれば、加工が容易かつ迅速
になるとともに、棒状体の機械的性質を保持できる。
つぎに、曲げ加工装置について説明する。
この発明の曲げ加工装置は、棒状体を加熱する高周波
誘電加熱装置またはマイクロ波加熱装置と、加熱した棒
状体を所定の形状に成型する成型装置とからなる。上記
成型装置は固定型と移動型とを備え、それぞれの型に冷
却水を流す冷却水通路が形成されている。上記固定型
は、ベースに固定されており、この固定型には棒状体に
おける曲げ加工部の曲率半径の小さい内側を沿わせる。
上記移動型はベースにスライド自在に取り付けられ、棒
状体における曲げ加工部の曲率半径の大きい外側を押圧
する。
棒状体は2つの型の間で押圧された状態のままで冷却
されるので、前述のように、所定の形状の棒状体を迅速
に得ることができる。
〔実施例〕
以下、この発明の曲げ加工装置の実施例を図面にした
がって説明する。
曲げ加工装置は、第1図の高周波加熱装置10または第
3図のマイクロ波加熱装置20と、第4図または第7図の
成型装置30とから構成される。上記第1図または第3図
の加熱装置10,20は、有機合成繊維を含む繊維の束を熱
硬化性樹脂で互いに径方向に接着してなる棒状体50を内
部加熱するものである。上記第4図または第7図の成型
装置30は、加熱された棒状体50を所定の形状に成型する
ものである。
まず、第1図の高周波加熱装置10について説明する。
11は高周波発振子の端末で、棒状体50の長さ方向に多
数配置されている。各高周波発振子の端末11は、ON・OF
Fスイッチ12を介して、高周波発振器13に接続されてお
り、棒状体50の加熱長さに見合った数だけスイッチ12を
ON状態にすることで、棒状体50の加熱長さが調節され
る。また、高周波発振器13には、たとえば200Vの電源
(図示せず)から5KVAの電力が供給される。
上記高周波発振器の端末11は、固定加熱板14または可
動加熱板15に取り付けられている。可動加熱板15は、第
2図のように、棒状体50の径方向Rに移動可能で、図示
しないリンク機構を介して、足踏みによる入力が径方向
Rに移動して、種々の形状、寸法の棒状体50に圧接する
ようになっている。なお、棒状体50は、矢印A方向か
ら、一対の加熱板14,15の間に挿入される。
第1図において、上記高周波発振子の端末11には、温
度センサ16が取り付けられている。この温度センサ16は
棒状体50の表面に接しており、棒状体50の表面の温度を
測定して、温度信号cを制御器17に出力する。制御器17
は、棒状体の加熱温度が設定温度に達したときに、電源
から高周波発振器13への電力供給を停止させる制御信号
dを出力するものである。
なお、第2図には、丸棒状の棒状体50が記載されてい
るが、棒状体50は矩形状であっても加熱できることはい
うまでもない。
この高周波加熱装置10は、直径6mm程度の棒状体50で
あれば、30秒以下、場合によっては15秒以下で、棒状体
50を180℃まで昇温して軟化させることができる。
つぎに、第3図のマイクロ波加熱装置20について説明
する。
第3図において、金属製のキャビティ21には棒状体50
を挿入する窓22が設けられている。上記窓22には、棒状
体50の線径Dに応じて、窓22をシールするシールリング
23が装着されている。
上記キャビティ21の上部には、マグネトロン24および
スターラ25が設けられている。マグネトロン24はアンテ
ナ26からマイクロ波Mを放射するものである。スターラ
25は回転して、棒状体50の加熱が均一に行われるように
する。
棒状体50の上方には、遮断板27が設けられている。こ
の遮断板27はマイクロ波Mを遮断して、加熱される棒状
体50の長さを調節するものである。
マイクロ波Mの照射時間は、棒状体50の軟化温度範囲
などから予め求めた検量線に基づき設定される。
マイクロ波加熱装置20では、出力により異なるが、線
径6mm程度の棒状体50であれば、2分程度、場合によっ
ては1分程度で、棒状体50が180℃まで昇温して軟化す
る。軟化した棒状体50は、後述する成型装置30で曲げ加
工される。
なお、マイクロ波による加熱よりも高周波による加熱
のほうが作業性および安全性が優れている。
つぎに、第4図および第5図の成型装置30について説
明する。
第4図において、ベース31には固定型32が固定されて
いるとともに、3つに分割された移動型33,34,35が、棒
状体50の径方向Rにスライド移動自在に取り付けられて
いる。上記固定径32は棒状体50における曲げ加工部51の
曲率半径の小さい内側52を沿わせるものである。一方、
上記移動型33〜35は、棒状体50における曲げ加工部51の
曲率半径の大きい外側53を押圧するものである。
上記移動型33〜35には、第5図のように、段付きボル
ト36が下方から固定さている。この段付きボルト36の頭
部36aおよび軸部36bが縦断面凸形状の溝37に案内され
て、移動型33〜35が第4図の径方向Rにスライド移動自
在になっている。移動型33〜35は、図示しないリンク機
構を介して、足踏による入力で固定型32側に移動して、
棒状体50の側面を押圧する。なお、移動型35は、棒状体
50の軸方向Sにも移動できるようになっている。
上記両金型32〜35には、第5図に示すように、冷却水
を流す冷却水通路38が形成されている。この冷却水通路
38には、第4図の導入管39Aから冷却水が導入され、冷
却水が冷却水通路38(第5図)を通って導出管39Bから
排出される。
つぎに曲げ加工工程について説明する。
予め、移動型33〜35を固定型32から遠ざかる方向に移
動させておく。第1図または第3図の加熱装置10,20で
加熱された棒状体50の加熱部分を手で曲げた後、第4図
の固定型32と移動型33〜35の間に挿入する。ついで、棒
状体50の両端部54を手で持って、棒状体50を軸方向Sに
引張る。これにより棒状体50は、曲げ加工部51の曲率半
径の小さい内側52が固定型32に沿って、所定の形状にな
る。その後、移動型33〜35を固定型32側に押し付けると
ともに、冷却水通路38(第5図)に冷却水を流して、金
型32〜35を介して、棒状体50を冷却する。こうして、第
6図のように、くの字状に曲げ加工された棒状体50が得
られる。
上記構成において、第5図の成型装置30は、両金型32
〜35に冷却水を流す冷却水通路38が形成されているの
で、棒状体50を両金型32〜35に沿わせて曲げたままの状
態で、棒状体50を冷却することができる。そのため、棒
状体50が早く冷却されるので、後に変形が生じないか
ら、所定の形状の棒状体50が迅速に得られる。
ところで、第4図の内側の固定型32をベース31に移動
自在に設け、外側の移動型33〜35を固定することも考え
られる。しかし、棒状体50を曲げて金型32〜35に沿わせ
るには、棒状体50を内側から押して外側の移動型33〜35
に沿わせるよりも、棒状体50の両端部54を引張って内側
の固定型32に押し付けるほうが容易であることから、内
側の固定型32を移動自在にすると、棒状体50を固定型32
に沿わせた状態で、この棒状体50とともに固定型32を押
圧移動させなければならず、作業性が悪くなる。これに
対し、この発明の成型装置30は、外側の移動型33〜35を
移動自在にしたので、押圧時には移動型33〜35のみを移
動させればよいから、作業性が良い。
第7図は成型装置30の変形例を示す。
この成型装置30は、第8図のように、ループ状に折り
返した形状の棒状体50を成型するものである。第7図の
成型装置30は、移動型34A,34Bが矢印F方向に移動自在
になっている。また、固定型32および移動型34A,34Bに
は、図示しない冷却水通路が形成されている。固定型32
の冷却水通路には、ベース31に形成された導入管(図示
せず)から冷却水が導入される。なお、その他の構成は
第4図の成型装置30と同様であり、同一部分または相当
部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
〔試験例〕
以下、この発明の曲げ加工方法について、試験例およ
び比較例を示して、その効果を明瞭にする。
以下の例で棒状体を構成する繊維の物性およびその製
造方法は次のとおりである。
供試繊維1(PVA繊維): 供試繊維1として、重合度4500、ケン化度99.9モル%
のPVA水溶液から湿式紡糸することにより、PVA繊維を得
る。供試繊維1は、単繊維繊度1.8デニール、引張り強
度18.5g/デニール、初期弾性率460g/デニール、切断伸
度4.8%である。
供試繊維2(全芳香族ポリエステル繊維): 供試繊維2は、P−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロ
キシ−2−ナフトエ酸との共重合体からなる溶融液晶ポ
リマーを用い溶融紡糸して防止原糸1500デニールで300
フィラメントを得、これを更に290℃で24時間空気中で
熱処理を行って得た全芳香族ポリエステル繊維である。
供試繊維2は、単繊維繊度5デニール、引張り強度24.5
g/デニール、初期弾性率650g/デニール、破断伸度3.8%
である。
供試繊維3(芳香族ポリアミド繊維): 供試繊維3は東レデュポン社製のケブラー(登録商
標)49を用いた。供試繊維3は繊維直径12μm、密度1.
45、引張り強度21.5g/dr(280kg/mm2)、弾性率996g/dr
(13000kg/mm2)、破断伸度2.3%である。
試験例1,2、比較例1〜5 棒状体を構成する繊維として上記供試繊維1〜3のい
ずれかを用い、該繊維の引揃え集合体を結合する熱硬化
性樹脂としてエポキシ樹脂(油化シェル(株)製:エピ
コート(登録商標)828)を用いた。つまり、まず、所
定本数のヤーンを集束し、これを樹脂浴中に導いて、こ
の樹脂を含浸させ、成型ノズルを通す。ついで、樹脂硬
化温度180℃の熱輻射型の炉にて硬化させ、冷却する製
造工程で直径6mmの断面円形の棒状体を得た。棒状体の
繊維含有体積%は60%〜65%になるように調節した。試
験例1,2、比較例1〜5の供試繊維は、第9図に示すと
おりである。
得られたFRP棒状体を、それぞれ、下記の加熱機で第
9図の加熱条件により加熱し、加熱した直後に第4図に
示す成型装置にて曲げ、第6図に示す形状に加工し、そ
の加工性を判定した。
加熱機A(高周波誘電加熱機): パール工業社製の高周波ウェルダT−2000型を加熱機
Aとして用い、加熱条件として電圧200V、OSCFREQ38.8M
Hz、入力5.3KVA、出力3KWで加熱時間を変えた。
加熱機B(マイクロ波加熱機): ナショナルNE−300の電子レンジを改造したものを加
熱機Bとして用い、入力電圧100V、定格消費電力930W、
発振周波数245MHz、出力500Wの条件で加熱し、加熱時間
を変えた。
加熱機C(熱風式加熱機): 所定温度に設定できる熱風循環式の加熱炉を加熱Cと
して用い、所定温度で加熱時間を変えた。
第4図の成型装置の曲げ部分の曲率半径は、棒状体50
の線径の1.5倍、つまり9mmとなるようにセットし、冷却
した。
条件および得られた結果を第9図に示す。
第9図において、曲げ加工性の判定基準は、つきのと
おりである。
◎:棒状体の変色がなく、容易に曲げられる柔軟性を
有し、曲げ部分に異常が認められなかったもの。
○:棒状体の変色はないが、成型装置にセットする際
に柔軟性が若干少なく、曲げ部分の外側が白化したり、
内側にしわ状のものがみられたもの。
△:棒状体に変色が発生し、樹脂の柔軟性がなくな
り、接着性が劣化して、曲げ部分の層間にはくり現象が
認められたもの。
×:棒状体の樹脂の柔軟性がなく、含有繊維の折損が
発生し、全く曲げ加工ができないもの。
第9図について、説明を加える。
比較例1は、加熱機Aで高周波加熱を20分間行った
が、棒状体が柔らかくならず、全く曲げ加工できなかっ
た。これは、芳香族ポリアミド繊維を供試繊維3とする
棒状体を用いているためであると推測される。なお、20
分経過前にも、全く柔らかくならなかった。
比較例2,4は、熱風式加熱機を加熱機Cとして用いて
いるため、6分程度の加熱時間では、棒状体が内部まで
十分昇温せず、十分な曲げ加工性が得られないなどの欠
点が見られた。
一方、比較例3,5のように、熱風式加熱機を加熱機C
として用い、20分間加熱すると、若干曲げ易くなるもの
の、外部加熱方式であるため、棒状体の表面が高温にな
り過ぎて、樹脂の変色やロッドの残存強力(加工前後の
ロッドの引張り強度の比率)が著しく低下するなどの欠
点が見られた。
試験例3,4 試験例1,2で得た線径6mmの棒状体を、試験例1で用い
た高周波誘電加熱機Aを用いて、加熱時間を各々1分に
し、他の加熱条件を試験例1と全く同一条件に設定して
加熱した。棒状体を加熱した直後に、第7図の成型装置
30で成型した。なお、第8図の棒状体50のだ円部分の長
径は3cm、短径は1.8cmであった。
この場合も、棒状体は曲げ加工性が良く、曲げ部分に
も異常が見られないなど全く問題がなかった。
上記第8図の棒状体は、第10図のように、ステンレス
製のクランプ型41にはめ込むことができ、締結金具42に
よって容易に締結することができた。
〔発明の効果〕
以上説明したように、この発明の曲げ加工方法によれ
ば、予め成形された棒状体を、施行現場において、必要
な形状、寸法に、迅速かつ容易に折り曲げ加工すること
ができる。しかも、上記棒状体の機械的性質は劣化しな
い。なお、工場においても同様の効果が得られることは
いうまでもない。
また、請求項(2)の曲げ加工方法またはこの発明の
曲げ加工装置によれば、内部加熱により加熱した棒状体
を、金型に沿わせて曲げた状態のままで冷却するから、
所定の形状の棒状体がより一層迅速かつ容易に得られ
る。
特に、この発明の曲げ加工装置によれば、棒状体にお
ける曲げ加工部の曲率半径の小さい内側を固定型に沿わ
せるので、棒状体の金型への装着が容易になるから、作
業性が良い。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明にかかる高周波誘電加熱装置の一実施
例を示す概略構成図、第2図は加熱部分の断面図、第3
図はマイクロ波加熱装置を示す概略構成図、第4図はこ
の発明にかかる成型装置の第1実施例を示す概略平面
図、第5図は同断面図、第6図は得られる棒状体の形状
を示す平面図、第7図は成型装置の第2実施例を示す平
面図、第8図は得られる棒状体の形状を示す平面図、第
9図は試験例および比較例を示す図表、第10図は得られ
た棒状体を用いたクランプ装置である。 10……高周波加熱装置、20……マイクロ波加熱装置、30
……成型装置、31……ベース、32……固定型、33〜35,3
4A,34B……移動型、38……冷却水通路、50……棒状体、
51……曲げ加工部、52……曲率半径の小さい内側、53…
…曲率半径の大きい外側。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 馬屋原 光郎 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株 式会社クラレ内 (72)発明者 服部 純雄 大阪府大阪市北区梅田1丁目12番39号 株式会社クラレ内 (72)発明者 田中 裕一 新潟県上越市大字中田原1番地 株式会 社有沢製作所内 (56)参考文献 特開 平2−133347(JP,A) 特開 昭60−135231(JP,A) 特開 昭59−42919(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】引張り強度が15g/デニール以上、切断伸度
    が3.5%以上、初期弾性率が300g/デニール以上の有機合
    成繊維を含む繊維の束を熱硬化性樹脂で互いに径方向に
    接着することにより予め成形された棒状体を、高周波誘
    電加熱またはマイクロ波加熱によって、上記熱硬化性樹
    脂の軟化温度以上でかつ200℃以下の温度において所定
    時間加熱を行う加熱工程と、この加熱工程により上記熱
    硬化性樹脂が軟化した状態で上記棒状体を所定の形状に
    曲げる曲げ工程を備えたFRP補強筋の曲げ加工方法。
  2. 【請求項2】請求項(1)において、上記曲げ工程は、
    上記加熱工程により上記熱硬化性樹脂が軟化した状態で
    上記棒状体を金型に沿わせて曲げるとともに、この金型
    に沿わせた状態で上記棒状体を冷却するFRP補強筋の曲
    げ加工方法。
  3. 【請求項3】請求項(1)もしくは(2)において、上
    記有機合成繊維がポリビニルアルコール系合成繊維であ
    るFRP補強筋の曲げ加工方法。
  4. 【請求項4】請求項(1)もしくは(2)において、上
    記有機合成繊維が全芳香族ポリエステル系合成繊維であ
    るFRP補強筋の曲げ加工方法。
  5. 【請求項5】有機合成繊維を含む繊維の束を熱硬化性樹
    脂で互いに径方向に接着することにより予め成形された
    棒状体を加熱する高周波誘電加熱装置またはマイクロ波
    加熱装置と、上記棒状体を所定の形状に成型する成型装
    置とからなる曲げ加工装置であって、 上記成型装置は、ベースに固定され、上記棒状体におけ
    る曲げ加工部の曲率半径の小さい内側を沿わせる固定型
    と、上記ベースにスライド自在に取り付けられ、上記棒
    状体における曲げ加工部の曲率半径の大きい外側を押圧
    する移動型とを有し、上記固定型および移動型には、冷
    却水を流す冷却水通路が形成されている曲げ加工装置。
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