JP3153511B2 - プリント配線板およびその製造方法 - Google Patents

プリント配線板およびその製造方法

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JP3153511B2 JP18308698A JP18308698A JP3153511B2 JP 3153511 B2 JP3153511 B2 JP 3153511B2 JP 18308698 A JP18308698 A JP 18308698A JP 18308698 A JP18308698 A JP 18308698A JP 3153511 B2 JP3153511 B2 JP 3153511B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント配線板お
よびその製造方法に関する。さらに詳しくは、電子機
器、通信機器などの高周波帯で使用され、主として小型
化が要望されている機器類に用いられるプリント配線板
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高度情報化社会の到来に伴い、通
信手段の革新が著しく、情報伝達はより高速化、高周波
化の傾向にある。携帯電話、自動車電話、ポケットベル
などの移動体通信機器や衛星放送、衛星通信等のニュー
メディアシステムも実用化の段階にあり、徐々に普及し
つつある。
【0003】このような高周波を使用した通信機器に組
み込まれるプリント配線板としては、通常、低比誘電率
の基板が使用される場合が多かった。しかし、例えば移
動体通信機器などの携帯用機器においては、プリント配
線板の小型化が不可欠であったため、比誘電率の高いプ
リント配線板が要望されてきた。なぜなら、回路素子は
概して使用電磁波(伝播電磁波)の波長が長いほど大き
くなり、また、比誘電率εの誘電体中を伝播する電磁
波の波長λは、λ=λ/(ε0.5(真空中の伝
播波長をλとする)となるため、配線板の比誘電率が
大きいほど回路の小型化が図れるからである。他方、高
周波用配線板においては、信号の減衰(伝送損失)を少
なくするために、誘電正接(tanδ)が低い必要があ
った。従って、携帯電話のような移動体通信機器などに
搭載される回路素子のプリント配線板としては、高比誘
電率で、かつ低誘電正接のプリント配線板が要望されて
いる。
【0004】このような高比誘電率で、かつ低誘電正接
のプリント配線板の作成技術は、例えば、特開平2−5
0834号公報、特開平3―5140号公報等に記載さ
れている。
【0005】特開平2−50834号公報には、セラミ
ック繊維と誘電率500以上の粉体を含有する樹脂ワニ
スをガラス布などの基板に含浸させ、得られたプリプレ
グから高誘電率の積層板を得る技術が記載されている。
【0006】また、特開平3−5140号公報には、本
願明細書の図5に示すように、比誘電率の高い無機フィ
ラーを含有するフッ素樹脂をガラスクロス等の基材に含
浸させ、加熱焼成して焼結プリプレグを得、これらの焼
結プリプレグを積層させた後、その最外層に銅箔を配し
た状態でフッ素樹脂の融点以上の温度(380℃)と、
50kgf/cmの面圧にて加圧成形して一体化させ
たプリント配線板が記載されている。
【0007】しかし、上記従来のプリント配線板には、
以下に述べる種々の問題点がある。まず、金属箔とプリ
プレグとの接着性に問題がある。例えば、特開平3―5
140号公報には、40重量%(実質的には約20vol
%)以上の無機フィラーを添加すると、銅箔とフッ素樹
脂との接着性に問題点が生じる旨記載されているよう
に、無機フィラーやセラミック繊維等の高誘電率材料の
配合量を増加させればさせるほど、フッ素樹脂の含有量
が減少し、それによって、フッ素樹脂が元々有している
アンカー効果が低下して、金属箔(例えば、銅箔)とフ
ッ素樹脂との密着力が低下するという問題点がある。さ
らに、プリプレグが複数枚積層された場合では、プリプ
レグ間の密着性が低下し、積層板の十分な剥離強度が保
持されないという問題点がある。
【0008】また、無機粒子フィラーとフッ素樹脂粒子
とからなるプリプレグに特有の問題、すなわち、本来、
異質なものであるため馴染みにくい無機粒子とフッ素樹
脂粒子とを配合することにより配合含浸層内にボイド
(小孔)が発生し、このボイドに起因する、プリント配
線板(あるいは積層板)の金属箔の膨れ、回路短絡、層
間クラック、層間剥離、低いハンダ耐熱性、低い熱衝撃
性等の問題点がある。
【0009】すなわち、フッ素樹脂中に無機フィラーあ
るいはセラミック繊維等を配合した配合層では、互いに
馴染みにくいため、無機フィラー粒子あるいはセラミッ
ク繊維等とフッ素樹脂粒子との間には多くの微空隙が形
成され易くなる。従って、フッ素樹脂中に無機フィラー
が配合された配合層を有するプリプレグにおいては、こ
れらの微空隙が、元々フッ素樹脂粒子間に形成される微
空隙と共に、成形後も多量のボイド(小孔)としてプリ
プレグ中に残存することとなる。特に、プリプレグを焼
結させた後に積層させる焼結プリプレグ積層体では、焼
結体故にフッ素樹脂の流動性がほとんどないため、生じ
た微空隙中へフッ素樹脂が浸透して微空隙を埋塞するこ
とはほとんど期待できず、しかも、フッ素樹脂粒子中に
無機フィラー粒子が散在しているために、後の成形工程
において配合層全体に均一な成形面圧が伝わらず、効率
よく無機フィラー粒子をフッ素樹脂粒子が被覆すること
ができないなどの理由でボイドが多量に残存する。その
結果、残存ボイド部分に接着媒体(樹脂)が欠如するこ
とにより、密着面のアンカー効果低下がさらに生じる結
果を招き、プリプレグとの間の密着力に対する信頼性が
著しく低下するという問題点がある。
【0010】さらに、プリプレグ中に多くのボイドが残
存する場合、回路短絡等の不具合が二次的に発生する、
あるいは、ハンダ耐熱性に劣るという回路にとっては致
命的な問題が生じる。すなわち、銅箔と銅箔直下のプリ
プレグとの間の密着性(剥離強度)が低下した密着面か
ら雰囲気水やメッキ液等がプリント配線板に侵入し易く
なり(すなわち、吸水性が上がり)、侵入した雰囲気水
やメッキ液等がボイドへ染み込むことにより、回路短絡
等の不具合が二次的に発生するといった問題点がある。
また、スルーホール加工後のメッキ工程で、ホール内壁
からメッキ液がプリント配線板にしみ込み、これにより
隣接するスルーホールとの絶縁性が低下し、ひいては、
回路短絡を招くという問題点があった。また、後工程の
ハンダ付け工程において、侵入したボイド内の気体また
は水がハンダ温度(260℃付近)にて急激に膨張する
ことにより、その部分が白化して外見上見栄えが悪いと
いう問題点や基板内部の破壊が生じる等といった問題
点、すなわち、ハンダ耐熱性に劣るという問題点もあっ
た。
【0011】このように従来技術では、上記問題点が障
害となり、無機フィラーを実質的に最大でも20vol%
程度までしか配合させることができず、剥離強度低下な
どの不具合を生じさせることなく十分に高い比誘電率を
有する配線板を得ることはこれまでできなかった。
【0012】このような欠点を解決するために、特開平
6−132621号公報には、金属箔とプレプリグとの
間にフッ素樹脂シートを挟む方法が開示されている。し
かし、金属箔とフッ素樹脂との間の密着性は改善される
ものの、プリプレグとフッ素樹脂シートとの間の密着性
は十分に改善されるとはいい難く、プリント配線板全体
としてみた場合には、依然として、上記のアンカー効果
の低下とボイドの発生による問題点は十分に解決されて
いるとは言い難いのが実情である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を克服することを目的とするものである。本発明は、高
比誘電率を容易に達成し得るとともに、吸水率が極めて
少なく、優れた剥離強度とハンダ耐熱性とを有するプリ
ント配線板およびその製造方法を提供することを目的と
する。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、プリプレグ積
層体の少なくとも片面側に金属箔を配してなるプリント
配線板であって、該プリプレグ積層体が、基材と該基材
に主としてフッ素樹脂と無機フィラーとを含浸保持させ
た配合含浸層とからなる第1プリプレグの該配合含浸層
上にフッ素樹脂含浸層を有している第2プリプレグを有
し、該フッ素樹脂含浸層の少なくとも片面側が金属箔の
直下に配置されている、プリント配線板に関する。
【0015】好適な実施態様においては、前記プリプレ
グ積層体が、前記第2プリプレグと前記第1プリプレグ
とをそれぞれ1枚またはそれ以上積層してなる多層構造
の積層体であり、該第2プリプレグのフッ素樹脂含浸層
が前記金属箔の直下に配置されている。
【0016】また、好適な実施態様においては、前記プ
リプレグ積層体が、さらに、請求項1または2に記載の
金属箔が配置された積層体を積層している。
【0017】そして、好適な実施態様においては、前記
第1プリプレグの配合含浸層中のフッ素樹脂に対する無
機フィラーの配合比が25〜80vol%であり、より好
ましくは、40〜60vol%である。
【0018】さらに好適な実施態様においては、前記無
機フィラーの粒径が0.5〜5.0μmである。
【0019】また、好適な実施態様においては、前記第
2プリプレグのフッ素樹脂含浸層が、PTFE層または
PFA層である。
【0020】そして、好適な実施態様においては、前記
無機フィラーが、カップリング材により被覆されてい
る。
【0021】本発明は、また、プリプレグ積層体の少な
くとも片面側に金属箔を配してなるプリント配線板であ
って、該プリプレグ積層体が、基材と該基材に主として
フッ素樹脂と無機フィラーとを含浸保持させた配合含浸
層とからなる第1プリプレグの該配合含浸層上にフッ素
樹脂含浸層を有している第2プリプレグを有し、該フッ
素樹脂含浸層の少なくとも片面側が金属箔の直下に配置
されているプリント配線板の製造方法であって、以下の
工程: (1)基材上に主としてフッ素樹脂と無機フィラーとか
らなる未シンター状態の配合含浸層を備えた第1プリプ
レグの該未シンター状態の配合含浸層上に未シンター状
態のフッ素樹脂含浸層を備えた第2プリプレグの外側に
金属箔を配置する工程;および、(2)該金属箔を配置
した未シンターのプリプレグ積層体を加圧成形して一体
化させる工程:を含む、方法に関する。
【0022】好適な実施態様においては、前記加圧成形
が、50〜200kgf/cmの成形面圧にて行われ
る。
【0023】また、好適な実施態様においては、前記配
合含浸層中のフッ素樹脂に対する無機フィラーの配合比
が25〜80vol%である。より好ましくは、40〜6
0vol%である。
【0024】好適な実施態様においては、前記無機フィ
ラーの粒径が0.5〜5.0μmである。
【0025】さらに好適な実施態様においては、前記フ
ッ素樹脂含浸層が、PTFE層、PFA層である。
【0026】そして、好適な実施態様においては、無機
フィラーが、カップリング材により被覆されている。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明のプリント配線板は、プリ
プレグ積層体の少なくとも片面側に金属箔を配してな
り、該プリプレグ積層体が、基材と該基材に主としてフ
ッ素樹脂と無機フィラーとを含浸保持させた配合含浸層
とからなる第1プリプレグの該配合含浸層上にフッ素樹
脂含浸層を有している第2プリプレグを有し、該フッ素
樹脂含浸層の少なくとも片面側が金属箔の直下に配置さ
れている。
【0028】本願明細書において、「プリント配線板」
とは、絶縁基板の表面および内部に、電気設計に基づく
導体パターンを導電性材料で形成固着したものを意味
し、導体パターンを含む層の数に拘らず、金属箔が片面
のみに備えられた片面板、両面に備えられた両面板、お
よび例えば、4層板、8層板などの多層板のいずれをも
包含する。
【0029】本願明細書において、「第1プリプレグ」
とは、上記の通り、「基材と該基材に主としてフッ素樹
脂と無機フィラーとを含浸保持させた配合含浸層を備え
るプリプレグ」を意味し、「第2プリプレグ」とは、
「第1プリプレグの配合含浸層上にフッ素樹脂含浸層を
備えるプリプレグ」を意味する。
【0030】本願明細書において、「プリプレグ積層
体」は、第2プリプレグのみの単層体を含み、さらに、
金属箔と接着される第2プリプレグと、1以上の第1プ
リプレグおよび/または第2プリプレグとの積層体をも
含む。また、金属箔を少なくとも片面に配したプリプレ
グ積層体(即ち、プリント配線板)を積層した多層構造
の積層板をも含む。
【0031】本発明に用いられる第1および第2プリプ
レグの基材としては、ガラスクロス、セラミックペーパ
ー、不織布等が挙げられる。基材としては誘電率が大き
い材料が好ましいが、一般的に、Eガラスクロスと言わ
れているSiO−Al −CaO系ガラス組成物
繊維が、誘電率が大きく加工性に優れるという点で好適
である。
【0032】本発明に用いられる配合含浸層は、主とし
て無機フィラーとフッ素樹脂との混合液に基材を含浸し
て得られる層であり、無機フィラーが均一に分散された
層であることが好ましい。分散が不均一であると、局部
的な誘電率変動が生ずるからである。「主として」と
は、無機フィラーとフッ素樹脂との馴染み性を向上さ
せ、無機フィラーの均一分散性を高めるために、カップ
リング剤及び/または界面活性剤が含まれていてもよい
ことを意味する。
【0033】本発明に用いられるフッ素樹脂としては、
PTFE(テトラフルオロエチレン樹脂)、PFA(テ
トラフルオロエチレン−フロロアルキルビニルエーテル
共重合樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン−へキ
サフルオロプロピレン共重合樹脂)等が挙げられる。こ
れらの中では、誘電正接が小さい点、および融点が高く
はんだ付け時に溶融しないなどの点でPTFE、PFA
がより好ましい。また、これらのフッ素樹脂を単独で用
いても良いし、組み合わせて用いても良い。
【0034】本発明に用いられる無機フィラーとして
は、高比誘電率で誘電正接が小さいという特性を有する
点でTiO 、チタン酸バリウム、チタン酸ストロン
チウムなどが挙げられる。これらの中ではTiOが好
ましい。これらの無機フィラーは単独で用いても良い
し、組み合わせて用いても良い。
【0035】無機フィラーの含有量は、フッ素樹脂に対
して、25〜80vol%が好ましい。この範囲の含有量
であると、充分に高い誘電率を達成することができると
共に、フッ素樹脂が無機フィラーを充分に被覆すること
ができるため、フッ素樹脂と無機フィラーとの間に形成
される微空隙を極力抑制することができる。無機フィラ
ーの含有量が25vol%未満であると、得られたプリン
ト配線板において、所望の比誘電率が達成できない場合
がある。他方で、無機フィラーの含有量が80vol%を
上回ると、フッ素樹脂の溶融温度においても無機フィラ
ーは安定で、互いが焼き付いて融着することがない上、
無機フィラー粒子同士の接触機会が増加するため、得ら
れるプリプレグの結着が不十分になる場合がある。この
場合、無機フィラー粒子同士は融着しないために、プリ
プレグの結着は、専らフッ素樹脂に頼らざるを得なくな
る。しかし、無機フィラー粒子が多すぎるために、フッ
素樹脂が量的に不足してプリプレグの結着は不十分とな
り、かつ、フッ素樹脂が最大限に流動しても無機フィラ
ー粒子を充分に被覆することが出来なくなるため、微空
隙が多量に発生したり、無機フィラーがフッ素樹脂中に
均一分散ができなくなる場合もある。好ましくは、40
〜60vol%である。
【0036】無機フィラーの粒子は、その形状を問わな
いが、例えば、球状、針状等の形状のものが好ましい。
【0037】粒径は、0.5〜5.0μmが好ましい。
このような粒径にすることで、0.2〜0.5μmほど
のフッ素樹脂粒子が充分に無機フィラー粒子の周囲を空
隙をなるべく生じさせることなく被覆することができ、
これにより加圧成形後において、フッ素樹脂粒子と無機
フィラー粒子との間のボイドの形成を少なくすることが
できる。無機フィラーの粒径が0.5μm未満の場合、
フッ素樹脂の周りを無機フィラー粒子が取り囲む機会が
増加し、互いに密着しない無機フィラー粒子同士が接触
することとなるため、フッ素樹脂が流動した場合でも、
接触無機フィラー粒子間へのフッ素樹脂の浸透が困難で
ある、フッ素樹脂の流動量が不十分である等の理由によ
り、フッ素樹脂粒子が充分に無機フィラー粒子を被覆し
得ず、フッ素樹脂と無機フィラー粒子との間に微空隙が
残存し易くなるため好ましくない。5μm以上の場合
は、粒子が大きすぎ沈降しやすくなり、フッ素樹脂と均
一分散ができず、得られる含浸層内部において微視的な
誘電率変動等を生じるため好ましくない。最も好ましく
は、1〜2μmである。
【0038】さらに、無機フィラー粒子としては、特開
平6−132621号公報に記載されるような、平均粒
径5〜100μmの多孔質粒子であっても良い。このよ
うな多孔質粒子は、孔や割れ目などからなる微孔を有
し、これらの微孔に樹脂が一部入り込むことにより樹脂
が無機フィラーを確実に被覆することができるため、粒
子と樹脂との間の微空隙を減少させることができる。
尚、多孔質粒子は、非多孔質粒子と混合して用いてもよ
い。
【0039】また、無機フィラー粒子とフッ素樹脂粒子
との間に微空隙が形成されるのを防止するために、無機
フィラー粒子をフッ素樹脂との相溶性に優れる材料から
なるカップリング材で予め被覆しておいてもよいし、界
面活性剤を添加してもよい。このようなカップリング材
を無機フィラー粒子周囲に予め施したものを使用するこ
とにより、無機フィラー粒子の周囲のフッ素樹脂との密
着性側(馴染み性)が向上し、微空隙が残存するのを極
力防止することができる。
【0040】カップリング材としては、例えば、シラン
系カップリング材が挙げられる。
【0041】界面活性剤としては、例えば、トライトン
Xが挙げられる。
【0042】本発明に用いられる金属箔としては、銅、
アルミニウム、鉄、ステンレス、ニッケル等の金属また
はそれらの合金の箔が挙げられる。これらの中では銅箔
が好ましい。
【0043】本発明に用いられる第2プリプレグのフッ
素樹脂含浸層は、第1プリプレグをフッ素樹脂溶液に含
浸して得られる。フッ素樹脂としては、上述の配合含浸
層に用いられるフッ素樹脂が使用され得るが、特に、P
TFE層、PFA層が好ましい。誘電正接が小さく、か
つ耐熱性に優れるからである。フッ素樹脂含浸層と配合
含浸層とに用いるフッ素樹脂は、同一であってもよく、
異なってもよいが、同一のものが好ましい。
【0044】本発明のプリント配線板は、プリプレグ積
層板の少なくとも片面に金属箔が配置され、その直下に
第2プリプレグのフッ素樹脂含浸層が来るように配置さ
れていればよい。最も単純な構造は、第2プリプレグの
みを有し、その片面または両面に金属箔が備えられてい
るものである。また、両面に金属箔が配置されている場
合、一方の面の金属箔がその直下に第2プリプレグのフ
ッ素樹脂含浸層が来るように配置されていれば、他方の
面の金属箔は、第1プリプレグの配合含浸層と接するよ
うに配置されてもよい。
【0045】プリント配線板のプリプレグ積層体は、プ
リプレグ積層板の少なくとも片面に金属箔が配置され、
その直下に第2プリプレグのフッ素樹脂含浸層が来るよ
うに配置されていれば、この第2プリプレグの金属箔と
接触しない面の下に、第1プリプレグと第2プリプレグ
とを交互に積層させたランダム形の積層板を有してもよ
いし、第1プリプレグのみを数枚積層した後、第2プリ
プレグのみを複数枚積層したブロック形の積層板を有し
ていてもよい。また、片面または両面に金属箔を備えた
プリプレグ積層体(すなわち、プリント配線板)が間に
積層されていても良い。
【0046】これらのなかでは、第2プリプレグの金属
箔と接しない側のフッ素樹脂含浸層に第1プリプレグの
みを数枚積層させた構成が、高誘電率を達成するという
観点で好ましい。第2プリプレグは、フッ素樹脂含浸層
を備えるため、樹脂特性に起因したアンカー効果が期待
でき、プリプレグ間の密着性を向上させるが、その反
面、低誘電率のフッ素樹脂がプリプレグ中に多く存在す
ることとなるため、高誘電率が達成し難いという側面が
ある。従って、積層体の積層形態は、要望される誘電率
に応じて適宜選択される。
【0047】積層体の積層枚数は、特に限定されない
が、プリプレグの厚みを60〜80μm程度にした場
合、40枚〜60枚までが好ましい。積層体の厚みは、
最大でも3〜5mm程度となるよう設定するのが好まし
い。
【0048】本発明のプリント配線板の例を、図1〜4
に基づいて説明する。
【0049】図1は、基材1と基材1を無機フィラーと
フッ素樹脂との配合液に含浸して得られる配合含浸層2
とを有する第1プリプレグ3を表し、図2は、第1プリ
プレグ3の配合含浸層2上にフッ素樹脂含浸層4を有す
る第2プリプレグ5を表す。
【0050】図3は、上表面に銅箔6、その直下にフッ
素樹脂含浸層4を有する第2プリプレグ5、その下に第
1プリプレグ3を3枚積層し、さらに、第2プリプレグ
5を積層し、この第2プリプレグ5の下面側のフッ素樹
脂含浸層4に銅箔6を備えたプリント配線板7である。
【0051】さらに、プリント配線板を多層板とするこ
とができる。多層板は、例えば上記で得られた片面また
は両面に金属箔を備えるプリント配線板を内層板として
用い、その内層板の上下両側に上記第1及び/又は第2
プリプレグを重ね、上下の最外層に銅箔を配置すること
により得られる。例えば、銅箔は厚さ18μm程度と
し、成形温度370℃、成形面圧50kgf/cm
て10分間加熱することにより行う。内層板の上下に積
層されるプリプレグ数は、特に限定されないが、12枚
程が好ましい。必要以上に多くなりすぎると、寸法制御
等の加工上の問題が生じる場合がある。尚、プリプレグ
の積層形態は、特に限定されないが、第1プリプレグを
主とした構成が誘電率の点で好ましい。具体的には、例
えば、図4は、上表面に銅箔6、その直下にフッ素樹脂
含浸層4を有する第2プリプレグ5、その下に第1プリ
プレグ3を1枚積層し、その下に第2プリプレグ5を1
枚積層し、さらに、図1のプリント配線板7’、その下
に第2プリプレグ5を1枚積層し、その下に第1プリプ
レグ3を1枚、及び第2プリプレグ5を積層し、この第
2プリプレグ5の下面側のフッ素樹脂含浸層4に銅箔6
を備えた、多層型のプリント配線板7である。
【0052】本発明のプリント配線板の製造方法は、以
下の工程: (1)基材上に主としてフッ素樹脂と無機フィラーとか
らなる未シンター状態の配合含浸層を備えた第1プリプ
レグの該未シンター状態の配合含浸層上に未シンター状
態のフッ素樹脂含浸層を備えた第2プリプレグの外側に
金属箔を配置する工程;および、(2)該金属箔を配置
した未シンターのプリプレグ積層体を加圧成形して一体
化させる工程:を含む。
【0053】本発明の製造方法の特徴は、第1プリプレ
グの無機フィラー含有フッ素樹脂層(すなわち、配合含
浸層)および第2プリプレグのフッ素樹脂含浸層は、加
圧成形前において、未シンター状態である。
【0054】本願明細書において、「未シンター状態」
とは、フッ素樹脂が焼成工程を経ていない状態(共存す
る水分や界面活性剤を除去するための加熱工程におい
て、未焼結樹脂の状態)、および、焼成工程を経る場合
であってもフッ素樹脂が完全に焼結に至っていない樹脂
状態(焼成工程を経た未シンター状態)を含む。ここ
で、「焼成工程」とは、フッ素樹脂が焼結し得る温度
(焼結可能温度)にて、フッ素樹脂を加熱する工程を意
味する。
【0055】第2プリプレグのフッ素樹脂含浸層は、フ
ッ素樹脂の流動性を高く保つため、未シンター状態とす
るのが好ましい。上層の金属箔(例えば銅箔)との良好
な密着を確保し、かつ下層の未シンター状態の配合含浸
層表面の微空隙へ該フッ素樹脂含浸層の樹脂を良好に浸
透させ、含浸保持させて該表面に微空隙を残存させずに
高い密着を達成する(すなわち、アンカー効果を高め
る)ためである。第2プリプレグのフッ素樹脂含浸層
は、焼成工程を経た未シンター状態でもよいが、樹脂の
流動性が不十分となり、銅箔との密着性にやや劣った
り、配合層表面に微空隙等が残存する場合がある。
【0056】第1プリプレグおよび第2プリプレグのそ
れぞれにおいて、完全に焼結された場合は、樹脂の流動
性が極端に低下し、銅箔との密着性が保持できなくなる
だけでなく、配合層表面に微空隙が多数残存するため、
好ましくない。
【0057】以下、具体的に本発明の製造方法の1例を
説明する。
【0058】(第1プリプレグの作成)まず、ガラスク
ロス等の基材を、主としてPTFE等のフッ素樹脂とT
iO等の無機フィラーとからなるディスパージョン中
にディッピング法にて浸漬含浸する(工程A)。ディス
パージョンに使用する溶媒は、水が好ましい。また、必
要に応じて、所望の界面活性剤を添加してもよい。次い
で、得られた含浸物を引き上げ、100℃付近の温度に
て乾燥して脱水を行い(工程B)、続いて、280℃〜
310℃の温度にてべーキングして界面活性剤を除去す
る(工程C)。そして、所望の樹脂含浸率になるまで上
記工程A〜Cを繰り返し行い、第1プリプレグを得る。
【0059】ここで、「樹脂含浸率」とは、第1プリプ
レグの重量から基材の重量を減じた値(すなわち、基材
に浸透付着したフッ素樹脂および基材表面に層形成した
フッ素樹脂の総量)をプリプレグの重量で除した値に1
00を乗じて算出した値である。第1プリプレグの樹脂
含浸率は、プリント配線板の用途の他、種々の要因を考
慮して、適宜決定すればよいが、通常、50重量%〜9
5重量%である。樹脂含浸率が50重量%未満である
と、主に密着に寄与するフッ素樹脂量が不足するため、
プリプレグ同士の密着性が低下する場合がある。95重
量%を上回ると、得られるプリプレグの機械的強度が低
下し、寸法安定性が悪くなるなどの理由で、実装上実現
できない場合がある。尚、樹脂含浸率は、フッ素樹脂水
性ディスパージョンにおけるフッ素樹脂と無機フィラー
の配合比の変更、上記浸漬回数などの変更により調節で
きる。
【0060】(第2プリプレグの作成)第2プリプレグ
は、以下の方法で作成される。上記で得られた第1プリ
プレグを、PTFE等のフッ素樹脂のみからなるディス
パージョン中にディッピング法にて浸漬含浸する(工程
A’)。ディスパージョンに使用する溶媒は、水が好ま
しい。また、必要に応じて、所望の界面活性剤を添加し
てもよい。次いで、上記の工程BおよびCと同様の工程
をそれぞれ順に施して、第2プリプレグを得る。この
際、A’〜C工程を繰り返し行ってもよいが、1回〜2
回程度が好ましい。フッ素樹脂含浸層の割合が高くなる
と、プリプレグの誘電率の低下を招く虞があるためであ
る。
【0061】他方、第2プリプレグの作成時に、第2プ
リプレグの最上層であり、金属箔(例えば、銅箔)の直
下に配置されるフッ素樹脂層を含浸層とすることによ
り、ただ単にフッ素樹脂フィルムを銅箔直下に配した場
合と比較して、フッ素樹脂層と、その下層のプリプレグ
との密着性(剥離強度)を著しく向上させることができ
る。第2プリプレグのフッ素樹脂層を含浸層とすること
により、すなわち、第1プリプレグをフッ素樹脂ディス
パージョンに含浸することにより、第1プリプレグの未
シンター状態の配合含浸層の微空隙内にフッ素樹脂が流
動して入り込んだり、フッ素樹脂が浸透することにより
堅固な接着がなされフッ素樹脂のアンカー効果が高めら
れるからである。
【0062】(プリント配線板の作成)上記で得られた
第2プリプレグを最外層とし、この第2プリプレグのフ
ッ素樹脂含浸層の上面側に金属箔を配置し、例えば、下
面側に第1プリプレグを3枚配置し、さらに第3番目の
第1プリプレグの下面側に第2プリプレグを配置し、そ
の外側の面に金属箔を配置した後、加圧成形(工程D)
して一体化させると、図3に記載された本発明の積層板
が得られる。
【0063】加圧成形(工程D)の面圧は、使用する樹
脂の材質に応じて変わり得るが、50kgf/cm
200kgf/cmが好ましく、最も好ましくは、1
00〜150kgf/cmである。50kgf/cm
未満の面圧では、プリプレグ中に存在する微空隙を完
全に除去することができない場合がある。また、200
kgf/cmを上回る面圧の場合では、成形時にプリ
プレグから樹脂が食み出すなどして寸法に悪影響を与え
る場合がある。成形時間(成形温度での保持時間)は、
適宜決定されるが、30分〜80分程度が好ましい。
【0064】さらに、このように得た積層板に、孔明
け、無電解メッキの後、パターン形成等の後工程を施
し、金属パターンを設けたプリント配線板(片面板およ
び両面板)を得ることができる。
【0065】パターン形成は、剥離現象型ホトレジス
ト、溶剤現象型ホトレジストなど を用いて行われ得
る。例えば、積層板の金属箔の表面にアルカリ現象型ホ
トレジスト層を形成し、その上から、ホトマスクを介し
てパターン状に露光し、次いでホトレジストの未露光部
分を溶解除去して金属箔を部分的に露光し、その後金属
箔の露出部をエッチングなどにより除去し、さらに、ホ
トレジストの露光部を溶解除去すれば、ホトレジストの
露光パターンに対応する金属パターンを有するプリント
配線板を得ることができる。
【0066】
【実施例】(実施例1:無機フィラーの配合比が60
%、フッ素樹脂含浸層がPTFE含浸層のプリント配線
板の作成) (第1プリプレグの作成:図1)平均粒径1.0μm、
比重4.9のTiO粒子を適量の界面活性剤トライト
ンXの存在下、平均粒径0.2〜0.5μm、比重2.
13−2.22、比誘電率2.1のPTFE(四フッ化
エチレン樹脂)中に配合比約60vol%で均一に混合し
て水性ディスパージョンを得た。このディスパージョン
を厚み60μmのEガラスクロス 1(商品名#108
クロス/(株)有沢製作所製)にディッピング法により
含浸させ、次いで、約100℃で乾燥して脱水し、次い
で305℃でべーキングして界面活性剤を除去し、Eガ
ラスクロス上に未シンター状態の配合含浸層2を形成し
た。続いて、上記各工程を3回繰り返し、約80μmの
粒子含有PTFE層を有する第1プリプレグ3を得た。
この時の樹脂含浸率は、65%であった。
【0067】(第2プリプレグの作成:図2)次に、得
られた第1プリプレグに所定のPTFE樹脂のみの水性
ディスパージョンをディッピング法により含浸させ、次
いで、100℃にて脱水後、305℃にてべーキングし
て界面活性剤を除去し、第1プリプレグの配合含浸層上
に未シンター状態のPTFE含浸層3を形成し、最終的
に樹脂含浸率70%で厚み100μmの第2プリプレグ
5を得た。
【0068】(プリント配線板の作成)次いで、この第
1プリプレグを8枚積層させ、その両外側に第2プリプ
レグと、その両外側に厚み18μmの銅箔4を設置し、
次いで焼成温度370℃、成形面圧50kgf/cm
の成形条件で60分間焼成および加圧成形し、Hタイプ
の両面板であるプリント配線板を得た。得られたプリン
ト配線板は、図3において、さらに第1プリプレグが5
枚積層されたものである。
【0069】(実施例2:フッ素樹脂含浸層がPFA含
浸層であるプリント配線板の作成)実施例1で作成した
第1プリプレグ上に、比誘電率2.1、比重2.12−
2.17のPFA樹脂(融点300〜310℃)のみの
水性ディスパージョンをディッピング法により含浸さ
せ、約100℃にて脱水後、370℃にてべーキングし
て界面活性剤を除去し、第1プリプレグ上に未シンター
状態のPFA含浸層を形成し、最終的に厚み95μmの
第2プリプレグを得た。
【0070】次いで、実施例1で得た第1プリプレグ
を、実施例1と同様8枚積層させ、その両外側にこの第
2プリプレグを配置し、その両外側に銅箔を設置し、次
いで焼成温度370℃、成形面圧50kgf/cm
成形条件で60分間焼成および加圧成形し、Fタイプの
両面板であるプリント配線板を得た。
【0071】(実施例3)成形面圧:100kgf/c
の場合 成形面圧を100kgf/cmにしたこと以外は実施
例1と同様にして、プリント配線板を得た。
【0072】(比較例1)第1プリプレグが焼結された
場合 界面活性剤を除去した後、370℃で5分間焼成してE
ガラスクロスに焼結状態の配合含浸層を形成したこと以
外は実施例1と同様に第1プリプレグを得た。
【0073】この第1プリプレグを10枚積層させ、そ
の両外側にこの第2プリプレグを配置し、その両外側に
銅箔を設置し、次いで焼成温度370℃、成形面圧50
kgf/cmの成形条件で60分間焼成および加圧成
形し、プリント配線板を得た。
【0074】(比較例2)第1プリプレグのみ、圧力5
0kgf/cmの場合 実施例1で得た第1プレプレグを10枚積層させ、その
両外側に銅箔を設置し、次いで焼成温度370℃、圧力
50kgf/cmの成形条件で60分間焼成および加
圧成形し、プリント配線板を得た。
【0075】(比較例3)TiO粒子とPTFEとの
配合比を20vol%としたこと以外は実施例1と同様に
各プリプレグを作成し、プリント配線板を得た。
【0076】実施例1〜3および比較例1〜3で得られ
た、それぞれのプリント配線板の比誘電率、誘電正接、
吸水率、Cu箔剥離強度、およびハンダ耐熱性をそれぞ
れ以下の測定方法に従って測定した。結果を表1に示し
た。
【0077】(測定方法) 1.比誘電率および誘電正接 得られた配線板の比誘電率および誘電正接は、JIS C 64
81の試験方法5.12に従って測定した。 2.吸水率(wt%) 得られた配線板の吸水率は、JIS C 6481の試験方法5.
14に従って測定した。 3.銅箔剥離強度(kgf/cm) 得られた配線板の銅箔剥離強度は、JIS C 6481の試験
方法5.7に従って測定した。 4.ハンダ耐熱性 得られた配線板のハンダ耐熱性は、JIS C 6481(5.5
ハンダ耐熱性)に基づく試料を作成し、その試料をプレ
ッシャークッカ処理後、260℃のハンダ槽に1分間浸
し、引き上げた後試料の表面状態を観察しながら白点を
計数した。ここで、白点が0〜5個の場合を良とし、6
〜10個は可、11個以上は不可とした。
【0078】
【表1】
【0079】表1からわかるように、実施例1〜3にお
いて得られたプリント配線板は、いずれも、優れた高比
誘電率を達成しつつ、吸水率が低く、かつ銅箔剥離強度
およびハンダ耐熱性に優れていた。これに対し、比較例
1では、比誘電率は高い値を得ているが、吸水率が著し
く高く、また銅箔剥離強度、ハンダ耐熱性ともに劣って
いた。比較例2には、比誘電率は高いが、銅箔剥離強度
が著しく劣り、さらに吸水率、ハンダ耐熱性ともに劣っ
ていた。比較例3では、吸水率やハンダ耐性は優れる
が、比誘電率が十分に高まっていないため、小型化を要
望されるプリント配線板としては不適であった。
【0080】
【発明の効果】本発明のプリント配線板は、プリプレグ
積層体が、基材と該基材に主としてフッ素樹脂と無機フ
ィラーとを含浸保持させた配合含浸層とからなる第1プ
リプレグの該配合含浸層上にフッ素樹脂含浸層を有して
いる第2プリプレグを有し、この第2プリプラグのフッ
素樹脂含浸層の少なくとも片面側が金属箔の直下に配置
されているため、高含有率の無機フィラーに起因して高
比誘電率のプリント配線板が実現できるのみならず、フ
ッ素樹脂含浸層を介在させることにより、そのアンカー
作用により金属箔とプリプレグとの間の密着性に優れる
プリント配線板が提供され得る。また、主として銅箔と
その直下のプリプレグとの間から侵入する雰囲気水に起
因する吸水率を大幅に低くすることができ、ひいてはハ
ンダ耐熱性をも向上させることができる。
【0081】また、配合含浸層中のフッ素樹脂に対する
無機フィラーの配合比を25〜80vol%とする、ある
いは無機フィラーの粒径を0.5〜5μmとすることに
より、フッ素樹脂粒子が充分に無機フィラー粒子の周囲
を被覆することができ、かつ均一分散できるので、フッ
素樹脂粒子と無機フィラー粒子との間に微空隙が形成さ
れ難くすることができる。
【0082】本発明の製造方法によれば、基材上に主と
してフッ素樹脂と無機フィラーとからなる未シンター状
態の配合含浸層を備えた第1プリプレグの該未シンター
状態の配合含浸層上に未シンター状態のフッ素樹脂含浸
層を備えた第2プリプレグの外側に金属箔を配置し、該
金属箔を配置した未シンターのプリプレグ積層体を加圧
成形して一体化させることを特徴とするので、樹脂の流
動性を高く保つことができ、上層の銅箔との良好な密着
を確保し、かつ下層の半焼結配合層表面の微空隙へ該フ
ッ素樹脂含浸層の樹脂を良好に浸透させ、含浸保持させ
て該表面に微空隙を残存させずに高い密着を達成するこ
とができる。
【0083】さらに、成形面圧を50〜200kgf/
cmと、比較的高い面圧で加圧成形することにより、
成形時にプリプレグから樹脂が食み出すの不具合を生じ
させずに、プリプレグ配合含浸層中の微空隙等を完全に
消失させ得、かつプリプレグ間、およびプリプレグと銅
箔と間の密着強度を一層向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1プリプレグを示す図である。
【図2】 第2プリプレグを示す図である。
【図3】 本発明のプリント両面配線板の好適例を示す
図である。
【図4】 本発明のプリント多層配線板の好適例を示す
図である。
【図5】 従来のプリント配線板を示す図である。
【符号の説明】
1.基材 2.配合含浸層 3.第1プリプレグ 4.フッ素樹脂含浸層 5.第2プリプレグ 6.銅箔 7.プリント配線板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−92537(JP,A) 特開 平4−125140(JP,A) 特開 平3−5140(JP,A) 特開 平6−132621(JP,A) 特開 平2−11651(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 1/03 630 B32B 15/08

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プリプレグ積層体の少なくとも片面側に
    金属箔を配してなるプリント配線板であって、 該プリプレグ積層体が、基材と該基材に主としてフッ素
    樹脂と無機フィラーとを含浸保持させた配合含浸層とか
    らなる第1プリプレグの該配合含浸層上に含浸形成した
    フッ素樹脂含浸層を有している第2プリプレグを有し、
    金属箔に接するように該第2プリプレグが配置されて
    おり、 該無機フィラーが、二酸化チタン、チタン酸バリウム、
    およびチタン酸ストロンチウムでなる群から選択される
    少なくとも1種であり、 該配合含浸層中のフッ素樹脂に対する無機フィラーの配
    合比が25〜80vol%であり、 該プリプレグ積層体と金属箔とが、焼成および加圧成形
    により一体化されている、 プリント配線板。
  2. 【請求項2】 前記プリプレグ積層体が、前記第2プリ
    プレグと前記第1プリプレグとをそれぞれ1枚またはそ
    れ以上積層してなる積層体であり、該第2プリプレグの
    フッ素樹脂含浸層が前記金属箔に接するように配置され
    ている、請求項1に記載のプリント配線板。
  3. 【請求項3】 前記プリプレグ積層体が、さらに、請求
    項1または2に記載の金属箔が配置された積層体を積層
    している多層構造の積層体である、請求項1または2に
    記載のプリント配線板。
  4. 【請求項4】 前記無機フィラーの粒径が0.5〜5.
    0μmである、請求項1ないしいずれかの項に記載の
    プリント配線板。
  5. 【請求項5】 前記第2プリプレグのフッ素樹脂含浸層
    が、PTFE層またはPFA層である、請求項1ないし
    いずれかの項に記載のプリント配線板。
  6. 【請求項6】 前記無機フィラーが、カップリング材に
    より被覆されている、請求項1ないしいずれかの項に
    記載のプリント配線板。
  7. 【請求項7】 プリプレグ積層体の少なくとも片面側に
    金属箔を配してなるプリント配線板の製造方法であっ
    (1) 基材上に主としてフッ素樹脂と無機フィラーと
    含浸保持させた未シンター状態の配合含浸層を備えた第
    1プリプレグを形成する工程であって;該無機フィラー
    が、二酸化チタン、チタン酸バリウム、およびチタン酸
    ストロンチウムでなる群から選択される少なくとも1種
    であり;該配合含浸層が、フッ素樹脂と無機フィラーと
    を、該フッ素樹脂に対する無機フィラーの配合比が25
    〜80vol%となるように含浸保持させることにより形
    成される、工程、 (2)該第1プリプレグの 配合含浸層上に未シンター状
    態のフッ素樹脂含浸層を含浸形成して、第2プリプレグ
    を得る工程、 (3)該金属箔に接するように該第2プリプレグを配置
    する工程、および (4) 該金属箔を配置した未シンターのプリプレグ積層
    体を100kgf/cm 〜150kgf/cm の成
    形面圧にて、焼成および加圧成形して一体化させる工
    を含む製造方法。
  8. 【請求項8】 前記無機フィラーの粒径が0.5〜5.
    0μmである、請求項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記フッ素樹脂含浸層が、PTFE層
    たはPFA層である、請求項7または8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 無機フィラーが、カップリング材によ
    り被覆されている、請求項ないしのいずれかの項に
    記載の方法。
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