JP3152742B2 - パルスチューブ冷凍機 - Google Patents

パルスチューブ冷凍機

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JP3152742B2 JP13252392A JP13252392A JP3152742B2 JP 3152742 B2 JP3152742 B2 JP 3152742B2 JP 13252392 A JP13252392 A JP 13252392A JP 13252392 A JP13252392 A JP 13252392A JP 3152742 B2 JP3152742 B2 JP 3152742B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、パルスチューブ冷凍機
に係り、特に効率の向上を図れるようにしたパルスチュ
ーブ冷凍機に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、構成が比較的簡単で、しかも到達
温度も比較的低い冷凍機としてパルスチューブ冷凍機が
知られている。このパルスチューブ冷凍機には種々のタ
イプがある。何れも基本的には、蓄冷器とパルスチュー
ブとを直列接続してなる寒冷発生器を備え、高圧の冷媒
ガスを蓄冷器を経由させてパルスチューブ内へ導いた後
に逆の経路で排出膨張させることによってパルスチュー
ブ内に寒冷を発生させるようにしている。
【０００３】ところで、このようなパルスチューブ冷凍
機において、寒冷の発生量を増加させるためには、パル
スチューブ内の圧力変動の位相と冷媒ガスの変位の位相
との間に位相差を持たせる必要がある。このようなこと
から、従来のパルスチューブ冷凍機では、位相差を設け
るための系統を設けているものが多い。図８には位相差
を設けるための系統を備えた従来のパルスチューブ冷凍
機が示されている。
【０００４】すなわち、図中１は寒冷発生器を示し、２
は回転型のガス圧縮機を示している。寒冷発生器１は、
蓄冷器３と、この蓄冷器３に対して低温熱交換器４を介
して直列に接続されたパルスチューブ５とで構成されて
いる。
【０００５】蓄冷器３は、断熱材あるいは熱伝導率の低
い金属材で形成された容器６内にステンレス鋼や銅のメ
ッシュなどで形成された蓄冷材７を収容したものとなっ
ている。パルスチューブ５は、断熱材あるいは熱伝導率
の低い金属材でパイプ状に形成されている。
【０００６】蓄冷器３の入口８は、高圧バルブ９および
低圧バルブ１０を介してガス圧縮機２の吐出路１１およ
び吸込路１２に接続されている。高圧バルブ９および低
圧バルブ１０は、それぞれ図示しないバルブ制御器によ
って一定の周期で互いに排他的に開閉制御される。
【０００７】一方、パルスチューブ５の終端部と蓄冷器
３の入口８との間には、これらを通じさせる、いわゆる
ダブルインレット通路用の配管１３が設けてあり、この
配管１３の途中には冷媒ガスの流量を調節するためのバ
ルブ１４が設けられている。パルスチューブ５の終端部
はオリフィスバルブ１５を介してバッファータンク１６
にも通じている。そして、上記のように接続された系内
には、たとえばヘリウムガス等の冷媒ガスが所定圧力に
封入されている。
【０００８】このように構成されたパルスチューブ冷凍
機では、高圧バルブ９と低圧バルブ１０とが交互に開閉
することによってパルスチューブ５内に圧力変動が生
じ、パルスチューブ５内に寒冷が発生する。この寒冷の
一部は低温熱交換器４を介して被冷却物を冷却する。ま
た、残りは冷媒ガスが逆の経路で戻るときに蓄冷材７の
冷却に供される。
【０００９】このとき、バルブ１４およびオリフィスバ
ルブ１５の開度を調節することによって最適な運転状況
を作り出すことができる。すなわち、配管１３，バルブ
１４，オリフィスバルブ１５およびバッファータンク１
６は、前述した位相差の形成に寄与している。
【００１０】しかしながら、上記のように構成された従
来のパルスチューブ冷凍機にあっては、前述した位相差
の調節範囲が高圧バルブ９および低圧バルブ１０の開閉
動作によって制限されるため、位相差を十分に大きくす
ることが困難で、たとえば低温部に膨張ピストンを備
え、このピストンによって強制的に位相差を持たせるよ
うにしたスターリング冷凍機より効率が低いと言う問題
があった。
【００１１】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、従来のパ
ルスチューブ冷凍機にあっては、低温部に可動部を必要
としない利点を備えているが、効率が低いと言う問題が
あった。そこで本発明は、上述した利点を損なうことな
く冷凍効率の向上を図れるパルスチューブ冷凍機を提供
することを目的としている。
【００１２】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るパルスチューブ冷凍機は、入口および
出口を有する蓄冷器と、この蓄冷器の出口に一方の端部
が接続されたパルスチューブと、蓄冷器の入口に接続さ
れたガス圧縮機と、このガス圧縮機の吐出口と前記蓄冷
器の入口との間に配置された第１のバルブと、ガス圧縮
機の吸込口と前記蓄冷器の入口との間に配置された第２
のバルブと、パルスチューブの他方の端部とガス圧縮機
の吐出口との間に配置された第３のバルブと、パルスチ
ューブの他方の端部とガス圧縮機の吸込口との間に配置
された第４のバルブと、これら第１乃至第４のバルブを
制御するバルブ制御手段とを有し、バルブ制御手段は第
１および第２のバルブを交互に選択的に開閉して、ガス
圧縮機の吐出口から吐出された高圧冷媒ガスを蓄冷器を
介してパルスチューブに導き、次いで逆の経路でガス圧
縮機の吸込口から圧縮機に吸込ませることにより寒冷を
発生させ、更に第３および第４のバルブを第１および第
２のバルブより進んだ位相で交互に開閉させることを特
徴とする。
【００１３】
【００１４】
【作用】本発明では、第１および第２のバルブの開閉タ
イミングに対して第３および第４のバルブの開閉タイミ
ングを選択することによって、圧力変動の位相と冷媒ガ
スの変位の位相との間の位相差を従来の冷凍機に較べて
容易に大きくでき、この結果、効率を向上させることが
可能になる。
【００１５】
【００１６】
【実施例】以下、図面を参照しながら実施例を説明す
る。
【００１７】図１には本発明の一実施例に係るパルスチ
ューブ冷凍機の概略構成が示されている。なお、この図
では図８と同一要素部分が同一符号で示してある。した
がって、重複する部分の詳しい説明は省略する。この実
施例に係るパルスチューブ冷凍機が従来の冷凍機と異な
る点は、ダブルインレット用の通路構成にある。
【００１８】すなわち、パルスチューブ５の終端部に配
管２１の一端側を接続し、この配管２１の他端側を補助
高圧バルブ２２を介してガス圧縮機２の吐出路１１で、
高圧バルブ９より上流位置、つまり吐出口に接続すると
ともに、補助低圧バルブ２３を介してガス圧縮機２の吸
込路１２で、低圧バルブ１０より下流位置、つまり吸込
口に接続している。
【００１９】そして、高圧バルブ９，低圧バルブ１０，
補助高圧バルブ２２，補助低圧バルブ２３は、図示しな
いバルブ制御器によって、図２に示すように開閉制御さ
れる。この例では、開いている期間と閉じている期間と
が等しく、かつ互いに排他的に開閉するように高圧バル
ブ９と低圧バルブ１０とが制御される。また、補助高圧
バルブ２２と補助低圧バルブ２３とは、高圧バルブ９お
よび低圧バルブ１０と同じ関係で、これらより４５゜位
相の進んだ状態に開閉制御される。
【００２０】このような構成であると、冷凍原理そのも
のは従来の冷凍機と変らないが、図２から明らかなよう
に、補助高圧バルブ２２が開いた後に高圧バルブ９が開
き、補助低圧バルブ２３が開いた後に高圧バルブ９が閉
じると言うように、高圧バルブ９および低圧バルブ１０
の開閉期間に制限されずにパルスチューブ５の終端部を
ガス圧縮機２の吐出口および吸込口に接続することがで
きる。このため、パルスチューブ５内の圧力変動の位相
と冷媒ガスの変位の位相との位相差を従来の冷凍機に較
べて大きくでき、効率を向上させることができる。
【００２１】図３には実施例に係るパルスチューブ冷凍
機と図８に示した従来のパルスチューブ冷凍機との低温
膨張部における仮想ｐ−ｖ線図が示されている。これは
各部の条件を等しくし、かつ本実施例の場合については
図２に示す制御タイミングに基いて計算によって求めた
ものである。そして、図中１点鎖線が従来の冷凍機の特
性を示し、実線が本実施例に係る冷凍機の特性を示して
いる。この図から判るように、本実施例に係る冷凍機で
は、位相差を大きくできるので、ｐ，ｖの変化を大きく
できる。したがって、寒冷発生量を増加でき、効率を向
上させることができる。
【００２２】図４には実施例に係るパルスチューブ冷凍
機と図８に示した従来のパルスチューブ冷凍機との８０
Ｋにおける冷凍能力特性が示されている。横軸は運転周
波数を示している。図中破線が従来の冷凍機の特性を示
し、実線が本実施例に係る冷凍機の特性を示している。
本実施例に係る冷凍機では、寒冷発生量を増加できるの
で、従来の冷凍機に較べて高い冷凍能力特性を発揮して
いる。
【００２３】図５には本発明の別の実施例に係るパルス
チューブ冷凍機が示されている。この図においても図８
と同一要素部分が同一符号で示されている。したがっ
て、重複する部分の詳しい説明は省略する。このパルス
チューブ冷凍機が従来のものと異なる点は、ガス圧縮機
２ａの構成とガス通流系統とにある。
【００２４】ガス圧縮機２ａは、シリンダ３１とピスト
ン３２とで構成された圧縮室３３を備えてなる往復動式
のものである。シリンダ３１の底部壁は閉じられてお
り、ピストンロッド３４は上記底部壁を気密に、かつ摺
動自在に貫通して図示しない駆動装置に連結されてい
る。
【００２５】そして、圧縮室３３は蓄冷器３の入口８に
接続されており、またピストン３２を境にして圧縮室３
３とは反対側に形成された背面室３５は配管３６および
流量調整用のバルブ３７を介してバッファータンク１６
に通じている。
【００２６】このような構成であると、ピストン３２が
図中上方に向け往動し、圧縮室３３内の容積が小さくな
ると、圧縮された冷媒ガスが、一方においては蓄冷器３
内を通ってパルスチューブ５内へ流れ込み、他方におい
ては配管１３を介してパルスチューブ５内およびバッフ
ァータンク１６内へ流れ込む。このとき、バッファータ
ンク１６内の一部の冷媒ガスは配管３６を介して背面室
３５内へと流れる。また、ピストン３２が図中下方に向
け復動すると、パルスチューブ５内の冷媒ガスは、一方
においては蓄冷器３内を通って圧縮室３３内に流れ込
み、他方においては配管１３を介して圧縮室３３内に流
れ込む。このとき、背面室３５内の冷媒ガスが配管３６
を介してバッファータンク１６内に流れ、バッファータ
ンク１６内の冷媒ガスが配管１３内とパルスチューブ５
内へ流れる。このような冷媒ガスの流れに伴ってパルス
チューブ５内に圧力変動が生じ、寒冷が発生する。
【００２７】この寒冷発生量は、図８に示される従来の
冷凍機に較べてはるかに多い。これは上記構成を採用す
ることによって位相差を大きくできるものと思われる
が、定かではない。したがって、ここでは実験を行った
ときの条件および実験データを記載するに止めておく。
【００２８】すなわち、実験に用いた冷凍機は次のよう
なものである。ガス圧縮機２ａは内径６０mm，ストロー
ク１５〜３０mm、蓄冷器３は軸方向長さ１００mmで内径
３４mmおよび２８mmの２種類、パルスチューブ５は内径
１５mm, 軸方向長さ１５０mm、バッファータンク１６は
内容積が１０００ccである。
【００２９】このような条件を備えたパルスチューブ冷
凍機について、運転周波数と到達温度との関係を調べた
ところ図６に示す結果が得られた。また、８０Ｋにおけ
る成績係数（＝８０Ｋにおける冷凍能力／冷凍機への入
力）を求めたところ図７に示す結果が得られた。両図に
おいて、破線は図８に示す従来の冷凍機の特性を示し、
実線が本実施例に係る冷凍機の特性を示している。これ
らの図から判るように、本実施例に係る冷凍機において
は寒冷発生量を大幅に増加させることができ、効率を向
上させることができる。
【００３０】なお、本発明は上述した実施例に限定され
るものではない。すなわち、上述した各実施例は、本発
明をオリフィスバルブやバッファータンクを備えたもの
に適用した例であるが、このようなものを備えていない
パルスチューブ冷凍機にも適用できることは勿論であ
る。また、上述した各実施例では、冷却ステージを１段
だけ有したパルスチューブ冷凍機に本発明を適用してい
るが、２段または複数段の冷却ステージを備えたパルス
チューブ冷凍機にも適用できる。
【００３１】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
効率の高いパルスチューブ冷凍機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例に係るパルスチューブ冷凍機
の概略構成図
【図２】同冷凍機に組込まれた４つのバルブの開閉制御
の一例を示す図
【図３】同冷凍機の仮想ｐ−ｖ特性を従来の冷凍機のそ
れと比較して示す図
【図４】同冷凍機の８０Ｋにおける冷凍能力特性を従来
の冷凍機のそれと比較して示す図
【図５】本発明の別の実施例に係るパルスチューブ冷凍
機の概略構成図
【図６】同冷凍機の到達温度特性を従来の冷凍機のそれ
と比較して示す図
【図７】同冷凍機の８０Ｋにおける成績係数特性を従来
の冷凍機のそれと比較して示す図
【図８】従来のパルスチューブ冷凍機の概略構成図
【符号の説明】
１…寒冷発生器 ２，２ａ…ガス圧
縮機 ３…蓄冷器 ４…低温熱交換器 ５…パルスチューブ ９…高圧バルブ １０…低圧バルブ １１…吐出路 １２…吸込路 １３…配管 １４…調節バルブ １５…オリフィス
バルブ １６…バッファータンク ２２…補助高圧バ
ルブ ２３…補助低圧バルブ ３１…シリンダ ３２…ピストン ３３…圧縮室 ３４…ピストンロッド ３５…背面室 ３６…配管 ３７…バルブ
フロントページの続き (72)発明者 松原 洋一 千葉県船橋市大穴北２−３−３ (56)参考文献 特開 平２−298764（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−13058（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−151467（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−194365（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−282161（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) F25B 9/00 311

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】入口および出口を有する蓄冷器と、 前記蓄冷器の出口に一方の端部が接続されたパルスチュ
    ーブと、 前記蓄冷器の入口に接続されたガス圧縮機と、 前記ガス圧縮機の吐出口と前記蓄冷器の入口との間に配
    置された第１のバルブと、 前記ガス圧縮機の吸込口と前記蓄冷器の入口との間に配
    置された第２のバルブと、 前記パルスチューブの他方の端部と前記ガス圧縮機の吐
    出口との間に配置された第３のバルブと、 前記パルスチューブの他方の端部と前記ガス圧縮機の吸
    込口との間に配置された第４のバルブと、 前記第１および第２のバルブを交互に選択的に開閉し
    て、前記ガス圧縮機の吐出口から吐出された高圧冷媒ガ
    スを前記蓄冷器を介して前記パルスチューブに導き、次
    いで逆の経路で前記ガス圧縮機の吸込口から前記圧縮機
    に吸込ませることにより寒冷を発生させ、更に前記第３
    および第４のバルブを前記第１および第２のバルブより
    進んだ位相で交互に開閉させるバルブ制御手段とを具備
    してなることを特徴とするパルスチューブ冷凍機。
  2. 【請求項２】前記パルスチューブの他方の端部に接続さ
    れたバッファータンクを更に具備することを特徴とする
    請求項１に記載のパルスチューブ冷凍機。
  3. 【請求項３】前記パルスチューブの他方の端部と前記バ
    ッファータンクとの間に介在するオリフィスを更に具備
    することを特徴とする請求項２に記載のパルスチューブ
    冷凍機。
JP13252392A 1992-05-25 1992-05-25 パルスチューブ冷凍機 Expired - Lifetime JP3152742B2 (ja)

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Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13252392A JP3152742B2 (ja) 1992-05-25 1992-05-25 パルスチューブ冷凍機
US08/065,900 US5335505A (en) 1992-05-25 1993-05-25 Pulse tube refrigerator
US08/252,270 US5412952A (en) 1992-05-25 1994-06-01 Pulse tube refrigerator

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Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13252392A JP3152742B2 (ja) 1992-05-25 1992-05-25 パルスチューブ冷凍機

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JPH05322340A JPH05322340A (ja) 1993-12-07
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6356516B2 (en) 1994-01-14 2002-03-12 Fujitsu Limited Magneto-optical recording medium and reproducing method for information recorded on the medium

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6356516B2 (en) 1994-01-14 2002-03-12 Fujitsu Limited Magneto-optical recording medium and reproducing method for information recorded on the medium

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JPH05322340A (ja) 1993-12-07

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