JP3150355B2 - 複極型三次元電極式電解槽 - Google Patents

複極型三次元電極式電解槽

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JP3150355B2 JP08360991A JP8360991A JP3150355B2 JP 3150355 B2 JP3150355 B2 JP 3150355B2 JP 08360991 A JP08360991 A JP 08360991A JP 8360991 A JP8360991 A JP 8360991A JP 3150355 B2 JP3150355 B2 JP 3150355B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気化学反応特に被処
理水の電気化学的処理を確実に行うことのできる複極型
三次元電極式電解槽に関し、より詳細には微生物を含有
する各種被処理水の該微生物に起因する各種性能劣化を
抑制するために電気化学的処理を行い、あるいはカルキ
臭やカビ臭成分を有することがある上水道から家庭用及
び業務用等として供給される飲料水の電気化学的処理を
行って前記カルキ臭やカビ臭成分を除くために使用され
る三次元電極に前記被処理水が接触することなく電解槽
を通過することのないようにした複極型三次元電極式電
解槽に関する。更に詳細には本発明は、発色現像処理、
漂白処理、漂白定着処理、定着処理、安定化処理及び水
洗処理等の写真感光材料処理工程において使用される写
真処理液、あるいはプール水、製紙洗浄水、熱交換器冷
却水、飲料水、養魚用水及び浴場水等の微生物を含有す
る各種被処理水を電気化学的に処理することにより前記
各被処理水中の微生物の滅菌を効果的に行うために、あ
るいは前記飲料水の味覚の改質を行うために使用される
複極型三次元電極式電解槽に関する。
【0002】
【従来技術】従来から各種用途に多種類の水溶液や他の
物質を溶解していない単独の水が使用されている。これ
らの水溶液等は溶質が適度な養分を提供し、あるいは該
水溶液の液温が繁殖に好ましい比較的高温度であると、
細菌等の微生物が繁殖して該微生物は前記水溶液等に必
要な本来の性能の劣化を起こしたり処理装置内に浮遊し
たり蓄積したりして処理装置の機能を損なうことが多
い。
【0003】例えば写真感光材料は画像露光の後、ペー
パー感光材料処理の場合は、発色現像、漂白定着、水洗
及び/又は安定化の処理工程を経て処理され次いで乾燥
される。そしてこのような写真処理工程においては、発
色現像液、漂白液、漂白定着液、定着液、安定液、水洗
水等の各種写真処理液が使用されているが、前記感光材
料はゼラチン質や各種無機塩類を含有し微生物繁殖に適
した環境を提供するため、前記写真処理液中に混入した
微生物が繁殖して感光材料処理の効率を低下させるとと
もに得られるプリントに色むらが生じたり黴発生等によ
り画像が汚染するという欠点が生じている。この微生物
繁殖による写真処理液の劣化の抑制は、従来から殺菌剤
や防黴剤の投入等により前記微生物を滅菌して性能を賦
活する方法が主流であるが、この方法では添加する防黴
剤が多量に必要となり、かつ該防黴剤が写真処理液や前
記感光材料中に残留し易くなり、感光材料に悪影響を及
ぼすことがある。又前記防黴剤の多くは人体に対して無
害とは言い難く、種々の法規制の下に管理された状態で
なければその使用が困難である。又このように選択した
防黴剤も暫くするとその防黴剤に対する抗菌が発生する
ことになり、再度この抗菌に対して防黴剤を選択すると
いう煩わしい問題が生ずる。
【0004】更に夏季スポーツとして最も一般的な水泳
の人気は衰えることなく、幅広い年齢層の人々に親しま
れており、水泳を楽しむために都市部ではプールが多く
利用されている。このプールに使用されるプール水には
人体に有害な大腸菌や細菌類等の微生物が数多く生息
し、該プール水は利用者の眼や傷などに直接接触して疾
患を生じさせることがあるため、プール水には次亜塩素
酸ソーダ等の薬剤を投入して事前に滅菌を行って疾患の
発生を防止している。しかしながら前記薬剤として滅菌
効果の強い次亜塩素酸や液体塩素等の塩素系試薬が使用
され、該塩素系試薬はそれ自体あるいは分解物が刺激性
を有し、該試薬により殺菌等の効果が生じても、該試薬
による眼の痛みや皮膚のかぶれ等の副作用が発生し、特
に抵抗力の弱い幼児の場合は大きな問題となっている。
又塩素系試薬は分解するため永続使用することができず
毎日のようにプール水に添加を続ける必要があり、かつ
プールに使用されるプール水の量は莫大なものであるた
め、使用する薬剤のコストも大きな負担となっている。
【0005】更に近年の情報化社会の進展により各種紙
類特に高質紙の需要が増大している。この紙類は製紙用
パルプから各種工程を経て製造されるが、この工程中に
製紙前のパルプを洗浄して不要な成分を洗い流す工程が
ある。該パルプは適度な温度に維持されかつ適度な養分
を含むため、黴や細菌等の微生物が繁殖し易くこの黴や
細菌が多量に最終製品中に残存すると、紙類の褪色等の
性能の劣化が生ずる。従ってこの洗浄工程で使用される
莫大な量の洗浄水中には、防黴剤や殺菌剤が含有され最
終製品の性能劣化を極力防止するようにしている。しか
しこの方法では、防黴剤や殺菌剤のコストが高くなるだ
けでなく前記防黴剤や殺菌剤が製品中に残存して黴や細
菌類に起因する性能劣化とは別の性能劣化を来すことが
あるという問題点がある。
【0006】更に近年におけるマンション等の集合住宅
あるいは多数の企業が集合して形成されるビル等の建築
物の増加に伴い、該建築物等に設置される各種冷暖房設
備の設置台数も飛躍的に増加している。このような多数
の冷暖房設備が設置されているマンションやビル等で
は、通常該冷暖房設備の冷却水の熱交換器用設備例えば
クーリングタワーがその屋上に設置されている。この熱
交換器設備の冷却水も長期間使用を継続すると黴や細菌
類等の微生物が繁殖し前記熱交換器の熱交換面に析出し
て熱交換性能を悪化させたり、微生物が塊状に発生して
配管等を閉塞したり熱交換能力を低下させることもあ
る。又多量に発生する微生物の排棄物により配管や機器
に腐食等の重大な問題を引き起こすことがある。
【0007】更に近年の家庭用浴槽の普及や温泉ブーム
から浴場水の使用量が増大しているが、該浴場水は40℃
前後の微生物が最も繁殖し易い液温を有するため、入浴
に使用せずに単に放置しておくだけでも微生物が急速に
繁殖して汚染され、使用を継続できなくなり、入浴を繰
り返すと人体の垢等が浮遊してこの傾向はより顕著にな
る。繁殖した微生物は微小であるため濾過操作では除去
しにくく、特に銭湯などではその使用量が膨大であるた
め、汚染された浴場水の再生を簡単な処理操作で行うこ
とができれば大幅なコストダウンが可能になる。
【0008】更に各種魚類資源として海や川に繁殖して
いる天然の魚類の他に最近では養殖場における養殖魚類
が注目され、養殖魚が市場に数多く供給されている。養
殖場におけるこれら魚類の飼育の際には、養魚用水中に
含まれる細菌や黴等の微生物が魚類を汚染し、あるいは
魚類に付着してその商品価値を低下させる等の悪影響を
抑制するために殺菌剤や防黴剤等の全部又は大部分の微
生物を死滅させるための各種薬剤が前記養魚用水へ多量
に添加され、更に前記薬剤による魚類の損傷を最小限に
抑えるためにビタミン剤等の多量の栄養剤が魚類に投与
され、その上に餌が与えられる。従って養殖場等で飼育
される魚類は餌の量に比較して人工的に投与される各種
薬剤、ビタミン剤の添加が多く、防黴剤や殺菌剤が魚類
の体内に蓄積して人体に有害な各種薬剤で汚染された魚
類が市場に供給されることになる。
【0009】更に飲料水は、貯水池等の水源に貯水され
た水を浄水場で滅菌処理した後、各家庭や飲食店等に上
水道を通して供給される。飲料水の前記滅菌は塩素ガス
による処理が一般的であるが、該塩素処理によると飲料
水の滅菌は比較的良好に行われる反面、残留塩素の影響
により処理された飲料水に異物質が混和したような違和
感が生じて天然の水の有するまろやかさが損なわれると
いう欠点が生ずる。飲料水は人間の健康に直結するもの
で、それに含有される細菌の殺菌や黴の繁殖の防止つま
り微生物の死滅除去は不可欠であり、該殺菌や防黴の方
法としては前述の塩素による方法が主流である。しかし
都市部の水道滅菌はその原水となる河川水、湖水等が各
種有機物等で汚染され微生物の死滅に必要な量以上の塩
素を添加するため、有機ハロゲン化物、次亜塩素酸イオ
ン及び残留塩素等の有効塩素成分を生起するという弊害
を生じている。該塩素法による前記欠点を解消するため
に、塩素法以外の殺菌方法が提案されている。例えば前
記飲料水をオゾン添加処理や活性炭吸着処理することに
より改質する方法が提案されているが、処理すべき飲料
水が例えば浄水場の水である場合には処理量が莫大であ
る。又浄水場で処理しても水道管末端の蛇口に至るまで
に再度微生物が繁殖するという問題がある。
【0010】このように飲料水等の従来の改質処理方法
は、主として塩素法によるものであり、該方法では次亜
塩素酸イオンが生成しあるいは塩素ガスが残留していわ
ゆるカルキ臭が生じ、処理後の飲料水等の味が悪くなる
という欠点があり、このカルキ臭を除去するに該カルキ
臭源である次亜塩素酸イオン(有効塩素)を活性炭等に
吸着させ、かつ活性炭の構成分子である炭素を酸化する
ことで有効塩素を還元処理する方法が使用されている。
しかしこの方法では、活性炭の吸着能力の限界があり、
しばらく使用すると有効塩素分解が生じなくなるという
寿命の点で致命的な欠点があり、又活性炭の交換といっ
た煩雑な操作とコストが必要であるとともに、完全なカ
ルキ臭の除去が達成できないことがある。
【0011】従って前述の通り人体に有害な有機塩素化
合物や飲料水の味を損ない易い次亜塩素酸イオン等を生
じさせ易い塩素処理に代わり得る人体に害がなくかつ天
然水に近い味を有する飲料水の処理方法が要請されてい
る。これらの現象を防止するために従来は防黴剤や沈澱
抑制剤等の各種薬剤を被処理水中に投入したり各種フィ
ルタを配管途中に設置したりしているが、前記薬剤投入
は前述の通り薬剤の残留による被処理水への悪影響や薬
剤使用のコスト面での問題点が指摘されている。更に添
加薬剤に対する抗菌が暫くすると発生し、次の薬剤を検
討する必要が生ずるという問題点を抱えている。
【0012】このような従来技術の欠点を解消するため
に、本出願人は前記各被処理水を電気化学的に処理する
ことにより該被処理水の滅菌やカルキ臭の除去を行う方
法を提案した(特願平1−326846号、特願平2-236723
号)。この方法による電気化学的処理では薬剤等の被処
理水中への残存を生じさせることなく確実に被処理水の
改質を行うことができる。この電気化学的処理では使用
する電極は特に限定されないが、人体に有害な物質を含
まず、安価であり、細菌類が吸着し易くかつ過電圧が高
く酸素発生等の不必要な反応を抑制する等の理由から炭
素電極を使用することが望ましい。
【0013】
【発明が解決しようとする問題点】電解生成物を得るこ
とを目的とする通常の電解反応では被処理水の一部が電
極に接触せずに電解槽を通過しても前記電解生成物の収
率が低下する程度でさほど問題は生じないが、例えば殺
菌を目的とする飲料水等の被処理水の電気化学的処理で
は被処理水が電極に接触して電気化学的処理が行われず
に電解槽から取り出されると十分に殺菌されていない被
処理水が飲料水として供給されるため、前記被処理水に
電気化学的処理を施す意味が減殺される。通常の短寸円
柱状の三次元電極を円筒状の電解槽本体に収容して成る
三次元電極式電解槽では、前記三次元電極の外径と電解
槽本体の内径を一致させ両者を密着させても完全に被処
理水が両者間を浸透することを防ぐことはできず、被処
理水の一部の電気化学的処理を受けることなく電解槽か
ら取り出されている。
【0014】
【発明の目的】本発明は、前述の従来技術の欠点を解消
し、被処理水の電気化学的処理において該被処理水全体
を三次元電極と接触させることのできる三次元電極式電
解槽を提供することを目的とする。
【0015】
【問題点を解決するための手段】本発明は、電解槽本体
内の1対の給電用電極間に固定床型三次元電極を設置し
前記両給電用電極間に通電しかつ被処理水を通液して該
被処理水の電気化学的処理を行う三次元電極式電解槽に
おいて、前記固定床型三次元電極の周縁全周と前記電解
槽本体内壁全周とのいずれか一方に係合凸部を他方に係
合凹部を形成し、該凸部及び凹部を密着係合させたこと
を特徴とする複極型三次元電極式電解槽であり、この係
合用凹凸部の代わりに前記電解槽本体内壁全周に凸部を
形成し、該凸部を隣接する固定床型三次元電極間に挿入
するようにしてもよい。なお本発明では電極表面上で実
質的な酸化還元反応のような電気化学反応を生起してい
ないことがあるので本発明に係わる槽は電気化学的処理
装置というべきであるが、一般呼称に従って電解槽と称
する。
【0016】以下本発明を詳細に説明する。本発明によ
る電解槽で被処理水の電気化学的処理を行うためには該
被処理水が三次元電極と可能な限り接触し、該電極と接
触せずにあるいは不十分に接触するのみで電解槽から取
り出される被処理水の量をできるだけ少なく可能ならば
零にすることが必要である。前述の通り電極の外径と電
解槽本体の内径を一致させることにより両者を密着させ
ても両者間の間隙を完全に閉塞することはできず、被処
理水の一部が電気化学的処理を受けることなく電解槽か
ら取り出される。本発明ではこれを防止するために固定
床型三次元電極の周縁全周と前記電解槽本体内壁全周と
のいずれか一方に係合凸部を他方に係合凹部を形成し、
該凹部及び凸部を密着係合させる。この係合用凹凸部は
電解槽本体と電極を弾性的に係合させて両者間を間隙を
実質的になくす機能あるいは被処理水の流れを堰き止め
て該被処理水の流れを乱すことにより被処理水と電極と
の接触を促進する機能を有している。又後述する通りこ
の係合用凹凸部に代えて電解槽本体内壁全周に凸部を形
成し、該凸部を隣接する固定床型三次元電極間に挿入す
ることにより、前記被処理水の流れを堰き止めて該被処
理水の流れを乱すようにしてもよい。
【0017】前記凹部及び凸部は三次元電極の周縁ある
いは電解槽本体内壁に切れ目なく好ましくはドーナツ状
に形成することが必要であり、切れ目があるとそこから
被処理水が電極に接触することなく電解槽本体内を流通
するため前記係合用凹凸部を形成する効果が低下するか
効果がなくなる。前記係合用凹部及び凸部の形成箇所は
前述の通り三次元電極の周縁及び電解槽本体の内壁であ
り、製造上の観点から三次元電極の周縁に凹部を電解槽
本体内壁に該凹部と係合する凸部を形成することが望ま
しいが、三次元電極の周縁に凸部を電解槽本体内壁に該
凸部と係合する凹部を形成してもよい。又複数の三次元
電極を使用する場合は隣接する三次元電極間に跨がって
凹部又は凸部を形成してもよい。形成する係合用凹凸部
は1対のみである必要はなく、2対以上としてもよく、
電解槽本体内壁に例えばドーナツ状の凹部とドーナツ状
の凸部をそれぞれ別個に形成して三次元電極の対応部分
にそれぞれ凸部と凹部を形成してそれぞれを係合させる
ようにしてもよい。
【0018】本発明における三次元電極式電解槽は、1
又は2以上の三次元電極(誘電体)を両給電用電極間に
絶縁状態で設置し両給電用電極間に通電することにより
前記三次元電極を分極させる複極式三次元電極式電解槽
とする。この電解槽ではその三次元電極が莫大な表面積
を有するため電極表面と写真処理液等の被処理水との接
触面積を増大させることができ、これにより装置サイズ
を小さくし、かつ電気化学的処理の効率を上げることが
できる点で有利である。
【0019】本発明の三次元電極式電解槽の電極は一般
に三次元電極好ましくは多孔質三次元炭素電極と給電用
電極を含み、これらの他に補助電極を設置してもよい。
三次元電極の材質は炭素系材料、白金族金属酸化物被覆
チタン材(寸法安定性電極)、白金被覆チタン材、ニッ
ケル、フェライト等を使用することができる。前記炭素
系材料は、前記被処理水が透過可能な多孔質炭素材料、
例えばフェルト状、織布状、多孔質ブロック状等の形状
を有する活性炭、グラファイト、炭素繊維等の炭素系材
料、あるいは該炭素系材料に貴金属のコーティングを施
した材料から形成されることができる。前述の通りこの
ような材料から成る例えば円板状の1個又は複数個の誘
電体を直流又は交流電場内に置き、両端に設置した平板
状又はエキスパンドメッシュ状やパーフォレーティッド
プレート状等の多孔板体から成る給電用電極間に直流電
圧あるいは交流電圧を印加して前記誘電体を分極させ該
誘電体の一端及び他端にそれぞれ陽極及び陰極を形成さ
せて成る三次元電極を収容した複極型三次元電極式電解
槽とすることが可能である。なお炭素系材料を分極させ
て使用する場合の該炭素系材料(誘電体)はその誘電率
が高いほど分極度が高いので有効に陽陰極が生成し、被
処理水の処理を効率良く行うことができる。従って固定
床として使用する炭素質材料はその体積抵抗率が1×10
-6Ω・cmより大きな材料が好ましい。
【0020】被処理水の電気化学的処理に際しては前記
係合凹凸部を形成して全ての被処理水を前記三次元電極
に接触させるだけでなく、該被処理水がこの三次元電極
に可能な限り接触することが必要である。これを達成す
るためには前記被処理水の前記電極内の滞留時間をなる
べく長く、換言すると被処理水が可能な限り前記電極の
内部に浸透しかつ透過することが必要である。被処理水
を電極内に浸透させ電気化学的反応を生起させるために
は、該電極材料の導体抵抗が小さくかつ広い範囲で電解
反応を生起させるためにその電解反応の過電圧が高いこ
とが望ましい。つまり導体抵抗が小さいと電流が電極全
体に均一に分散でき、過電圧が大きいと表面だけでなく
内部でも所定の反応が生じ易くなるのである。過電圧が
低いと対極に面した電極表面のみで反応が生ずるため多
孔質電極を使用してその反応表面積を広げる意味が減殺
される。前記炭素系材料は前記要件つまり導体抵抗が小
さく過電圧が高いという要件を満足する材料であり、更
に該炭素系材料は毒性が全くなくかつイオンやその水酸
化物を形成しないため飲料水等の体内に摂取される被処
理水の処理用の電極材料として望ましい。又炭素材料は
表面積が莫大であり電解質や微生物あるいは有効塩素成
分が接触する機会が非常に大きくなるとともに吸着能力
も作用して処理効率が大幅に上昇する。更に炭素系材料
は安価であり、他の金属材料極と異なり電解を停止して
も腐食が生じないため、経済的にも操作性の面からも有
利である。
【0021】本発明に係わる電解槽は、電極材料好まし
くは炭素材料の有する通常の耐消耗性で支障の生じない
各種電解反応や電気化学的処理例えば陽極において過激
な酸素ガス発生が起こらない電解反応に使用することが
できる。この電解槽は特に被処理水の滅菌や飲料水中の
カルキ臭除去に有効であり、写真処理液等の各種被処理
水やカルキ臭を有する飲料水を前記炭素電極を使用する
三次元電極式電解槽に供給し該電解槽に直流又は交流電
圧を印加し前記被処理水中の微生物の滅菌処理や飲料水
中のカルキ臭成分の分解を行うことができる。なお上記
微生物には、細菌(バクテリア)、黴、酵母、変形菌、
単細胞の藻類、原生動物、ウイルス等が含まれ、カルキ
臭の主成分は通常塩素又は次亜塩素酸塩である有効塩素
成分である。
【0022】前記被処理水のうち写真処理液は適度の塩
類、ゼラチン等の栄養源を有しかつ適度な温度に維持さ
れるので、前記写真処理液中で黴や細菌等が繁殖し易
く、又製紙洗浄水も同様に適度の養分と適度の温度を有
して微生物の繁殖に最適な環境となっている。更に家庭
用浴槽や銭湯で使用される浴場水は最も微生物の繁殖に
適した35〜45℃の温度に維持されるため僅少量の微生物
が短時間で莫大な数に繁殖する。これら写真処理液等以
外の被処理水も微生物を含む雰囲気に接触して微生物が
該被処理水内に取り込まれ繁殖して、前述した通りの不
都合が生ずることになる。
【0023】前記被処理水を前記三次元電極式電解槽に
供給すると、該被処理水中の微生物は液流動による拡散
及び移動によって前記電解槽の陽極や陰極に接触しそれ
らの表面で強力な酸化還元反応を受けたり高電位の電流
に接触し、その活動が弱まったり自身が死滅して滅菌が
行われると考えられる。この被処理水が有効塩素成分を
含む飲料水であると、該飲料水が三次元電極に十分接触
することにより前記有効塩素成分が前記三次元電極に接
触して電気化学的に還元分解されて前記飲料水からカル
キ臭が除去される。
【0024】つまり三次元電極との接触により被処理水
中の有効塩素成分の主成分である次亜塩素酸イオンは次
の式に従って塩素イオンと水に分解される。 ClO- + 2 H + + 2 e - → Cl - + H2O 更に被処理水中の残留塩素は三次元電極に接触し次の式
に従って塩素イオンに還元される。 Cl2 + 2 e- → 2 Cl- 本発明の電解槽により好適にカルキ臭が除去される被処
理水としては人体に摂取される飲料水や食品処理水があ
り、飲料水は上水道を流れて家庭や飲食店等の水道の蛇
口から注出される水道水等を含み、食品処理水としては
生鮮食品の洗浄水や豆腐等の含水食品に含有される水等
が含まれる。
【0025】本発明の電解槽を被処理水の滅菌や被処理
水中のカルキ臭除去に使用する場合には、被処理水中の
微生物あるいは有効塩素成分を含む被処理水が電圧が印
加された三次元電極に接触すれば充分であり、両極間に
電流を流して水素及び酸素等のガス発生を伴う実質的な
電解反応を生起させることは必須ではなく、むしろ実質
的な電解反応が生じない低い電位を電極表面に印加する
ことが好ましい。これは第1に酸素ガス発生により炭素
電極の消耗が促進されるからであり、又第2に実質的な
電解反応が生じた場合に被処理水成分にガス発生に起因
する化学的変化を与えてしまい、これにより複雑な作用
が写真処理液等の被処理液に起こることがあり、一定の
処理性能を常に維持することが難しくなるからである。
更に第3に微生物の滅菌等以外のガス発生反応に無駄な
電力を使うことになり不経済でだからであり、又それら
発生ガスが電極表面上を覆ってしまい微生物等が電極表
面と接触する効率も低下させ滅菌効率を悪くすることが
ある。
【0026】従って本発明の電解槽を使用して電気化学
的処理を行う場合には、印加電位を陽極電位が実質的な
酸素発生を伴わず、実際に効率良く処理が行われている
ことを確認するために最小限の電流を流し、僅少量のガ
スを発生させることのできる+0.2 〜+1.2 V(vs.SC
E)、陰極電位が実質的に水素発生を伴わない0〜−1.0
V(vs.SCE)となるようにすることが望ましく、炭素電極
は僅少量の発生酸素ガスによっても消耗するため前記補
助電極を設置してこの消耗を抑制する。このような電解
槽を使用して被処理水の処理を行うと、多くの場合該電
解槽を1回通過させるのみでつまり一過性処理(ワンパ
ス処理)で十分被処理水の処理を行うことができ、操作
効率が向上する。
【0027】前記誘電体として活性炭、グラファイト、
炭素繊維等の炭素系材料を使用しかつ陽極から酸素ガス
を発生させながら被処理水を処理する場合には、前記誘
電体が酸素ガスにより酸化され炭酸ガスとして溶出し易
くなる。前述の補助電極はこの誘電体の溶解を防止する
ためのものであり、該誘電体の陽分極する側に例えばチ
タン等の基材上に白金、酸化イリジウム、酸化ルテニウ
ム等の白金族金属又はその酸化物を被覆し通常不溶性金
属電極として使用され炭素系材料より過電圧特に酸素発
生に対する過電圧の低い多孔質材料から成る補助電極を
接触又は近接状態で設置し、酸素発生が主として該補助
電極上で生ずるようにして炭素電極である誘電体の溶出
を抑制する。
【0028】前記電解槽内を隔膜で区画して陽極室と陰
極室を形成しても、隔膜を使用せずにそのまま通電を行
うこともできるが、隔膜を使用せずかつ電極の極間距離
あるいは誘電体(三次元電極)と電極、又は誘電体相互
の間隔を狭くする場合には短絡防止のため電気絶縁性の
スペーサとして例えば有機高分子材料で作製した網状ス
ペーサ等を両極間あるいは前記誘電体間等に挿入するこ
とができる。又隔膜を使用する場合には流通する被処理
水の移動を妨害しないように多孔質例えばその開口率が
10%以上95%以下好ましくは20%以上80%以下のものを
使用することが望ましく、該隔膜は少なくとも前記被処
理水が透過できる程度の孔径の微細孔を有していなけれ
ばならない。スペーサを使用する際には、その外径が電
解槽本体の内径と等しいドーナツ状の樹脂等を使用して
いるが、前述した被処理水が三次元電極と接触せずに流
通する際にはこのスペーサと電解槽本体間を透過してし
まうことが多い。従って前述の通り該スペーサを前記電
解槽本体内壁に貼着して該電解槽本体の凸部として一体
化することにより前記被処理水の透過を防止するように
することができる。
【0029】なお、本発明に係わる三次元電極式電解槽
では、該電解槽に漏洩電流が生じ該漏洩電流が電解槽か
ら写真処理液等の被処理水を通して他の部材例えば写真
処理槽に流れ込み、該写真処理槽中で好ましくない電気
化学反応を誘起したり、写真処理槽の壁面を電気化学的
に腐食させ壁面構成材料を溶出させることがあるため、
電解槽内の陽陰極が相対しない電極背面部及び/又は前
記電解槽の出入口配管内に、前記被処理水より導電性の
高い部材をその一端を接地可能なように設置して前記漏
洩電流を遮断することができる。前述の説明では本発明
の電解槽を主として滅菌用及び有効塩素成分除去用とし
て説明したが、本電解槽の用途はこれらの限定されるも
のではなく通常の電解反応にも使用することができる。
【0030】次に添付図面に基づいて本発明に係わる三
次元電極式電解槽の好ましい例を説明するが、本発明の
電解槽は、これらの電解槽に限定されるものではない。
図1は、本発明に係わる三次元電極式電解槽である固定
床型複極式電解槽の一例を示す概略縦断面図である。
【0031】上下にフランジ1を有する円筒形の電解槽
本体2の内部下端近傍及び上端近傍にはそれぞれメッシ
ュ状の給電用陽極3と給電用陰極4が設けられている。
電解槽本体2は、長期間の使用又は再度の使用にも耐え
得る電気絶縁材料で形成することが好ましく、特に合成
樹脂であるポリエピクロルヒドリン、ポリビニルメタク
リレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化エチレン、フェノール−ホルムアルデヒ
ド樹脂等が好ましく使用できる。正の直流電圧を与える
前記陽極3は、例えば炭素材(例えば活性炭、炭、コー
クス、石炭等)、グラファイト材(例えば炭素繊維、カ
ーボンクロス、グラファイト等)、炭素複合材(例えば
炭素に金属を粉状で混ぜ焼結したもの等)、活性炭素繊
維不織布、又はこれに白金、白金、パラジウムやニッケ
ルを担持させた材料、更に寸法安定性電極 (白金族酸化
物被覆チタン材) 、白金被覆チタン材、ニッケル材、ス
テンレス材、鉄材等から形成される。又前記給電用陽極
3に対向し負の直流電圧を与える給電用陰極4は、例え
ば白金、ステンレス、チタン、ニッケル、銅、ハステロ
イ、グラファイト、炭素材、軟鋼あるいは白金族金属を
コーティングした金属材料等から形成されている。
【0032】前記両給電用電極3、4間には複数個の図
示の例では三次元電極を構成する3個の短寸円柱状の固
定床5、5a、5が積層され、中央の固定床5aの周縁
部中央にはその全周に亘ってドーナツ状の係合用凹部6
が形成されている。前記電解槽本体2内壁の前記係合用
凹部6に対応する箇所には同形の係合用凸部7が形成さ
れ、両凹凸部6、7は互いに密着状態で係合している。
前記固定床5、5a間及び該固定床5、5aと前記両給
電用電極3、4間に4枚のメッシュ状隔膜又はスペーサ
ー8が挟持されている。隔膜を使用する場合には該隔膜
として織布、素焼板、粒子焼結ブラスチック、多孔板、
イオン交換膜等が用いられ、スペーサーとして電気絶縁
性材料で製作された織布、多孔板、網、棒状材等が使用
される。このような構成から成る電解槽に下方から矢印
で示すように被処理水を供給しながら両給電用電極3、
4間に電圧を掛けると、前記各固定床5、5aが図示の
如く下面が正に上面が負に分極して各固定床5、5aの
上面に多孔質三次元陽極が形成され、前記被処理水はこ
の多孔質三次元陽極に接触して細菌類の滅菌が行われ、
あるいはカビ臭成分が分解又は他の化合物に変換され除
去されて被処理水の改質が行われその後前記電解槽の上
方から取り出され、飲料水等として所定の用途に使用さ
れる。この処理の際に仮に各固定床5、5aと電解槽本
体2内壁間に若干の間隙が生じて下方から供給された被
処理水が再下方の固定床5と電解槽本体2内壁間の間隙
を前記固定床5と接触せずに上昇しても中央の固定床5
aに達した際に前記係合用凸部7に接触して液流の方向
が変化して前記固定床5a中に浸透し該中央の固定床5
a及び最上方の固定床5に接触し電気化学的処理を受け
た後、電解槽から取り出される。従って固定床5、5a
と電解槽本体2間の間隙のみを上昇して固定床5、5a
に接触することなく電解槽本体2外へ取り出される被処
理水がなくなり従って被処理水全部が電気化学的処理を
受けて例えば該被処理水の滅菌がほぼ完全に行われ細菌
が全て死滅した被処理水を飲料水等として供給すること
ができる。
【0033】図2は、本発明に係わる複極型固定床式電
解槽の他の例を示すもので、該電解槽は図1の電解槽の
改良であり、図1の電解槽と同一部材には同一符号を付
して説明を省略する。電解槽本体2a内壁の中央やや下
方には、図1の係合用凸部7と同一形状の係合用凸部7
aが形成され、中央の固定床5bの下端周縁部にはドー
ナツ状の切欠6aが又最下方の固定床5cの上端周縁部
にはドーナツ状の切欠6bが形成され、両切欠6a、6
bにより係合用凹部6cが構成されている。前記係合用
凸部7aの高さは前記両切欠6a、6bの高さとそれら
の間隔の合計に等しく、中央の固定床5bと最下方の固
定床5cは前記電解槽本体2aの前記係合用凸部6cに
係合している。
【0034】このような構成から成る電解槽に図1の場
合と同様に下方から矢印で示すように被処理水を供給し
ながら両給電用電極3、4間に電圧を掛けると、前記各
固定床5、5b、5cが図示の如く分極して多孔質三次
元陽極が形成され、図1の場合と同様に被処理水の処理
が行われる。この処理の際に仮に各固定床5、5b及び
5cと電解槽本体2a内壁間に若干の間隙が生じていて
も、供給された被処理水は前記係合用凸部7aに接触し
て液流の方向が変化して中央の固定床5b中に浸透し該
中央の固定床5b及び最上方の固定床5に接触し電気化
学的処理を受ける。従って全ての被処理水が少なくとも
固定床5、5b、5cのいずれかに接触するため、例え
ば本電解槽を被処理水の滅菌に使用すると被処理水中の
細菌が全て固定床5、5b、5cのいずれかに接触して
該被処理水の滅菌がほぼ完全に行われ細菌が全て死滅し
た被処理水を飲料水等として供給することができる。
【0035】図3は、本発明に係わる複極型三次元電極
式電解槽の他の例を示すもので、該電解槽は図1の電解
槽の改良であり、図1の電解槽と同一部材には同一符号
を付して説明を省略する。電解槽本体2b内壁には、図
1の係合用凸部7と同一形状の2個の係合用凸部7bが
離間して形成され、前記電解槽本体2b内には、図1の
固定床5又は5aと同一形状の3個の固定床が、下から
固定床5a−固定床5−固定床5aの順に積層され、上
方及び下方の固定床5aに形成されたそれぞれの係合用
凹部6が前記係合用凸部7bに係合している。9は、陽
分極する各固定床5、5aの給電用陰極4側に密着状態
で設置されたメッシュ状の不溶性金属材料である。設置
されている。
【0036】このような構成から成る電解槽に図1の場
合と同様に下方から矢印で示すように被処理水を供給し
ながら両給電用電極3、4間に電圧を掛けると、前記各
固定床5、5aが図示の如く分極して多孔質三次元陽極
が形成され、図1の場合と同様に被処理水の処理が行わ
れ、かつ2個の係合用凹部7bの存在により同様に全部
の被処理水が固定床5、5aに接触して該被処理水の滅
菌がほぼ完全に行われ細菌が全て死滅した被処理水を飲
料水等として供給することができる。特に図3の電解槽
では係合用凸部7bが2個形成されているため、被処理
水と固定床との接触が更に完璧に行われる。
【0037】図4は、本発明に係わる複極型三次元電極
式電解槽の他の例を示すもので、該電解槽は図3の電解
槽の改良であり、図3の電解槽と同一部材には同一符号
を付して説明を省略する。電解槽本体2c内には、3個
の固定床5d、5、5eが上から順に収容され、最上方
の固定床5dにはその周縁に断面形状が凹状である係合
用凹部6dが、又対応する電解槽本体2c内壁には係合
用凸部7cがそれぞれ形成されている。又最下方の固定
床5eにはその周縁に断面形状が凸状である係合用凸部
6dが、又対応する電解槽本体2c内壁には7dがそれ
ぞれ形成されている。このような構成から成る電解槽に
図3の場合と同様に下方から矢印で示すように被処理水
を供給しながら両給電用電極3、4間に電圧を掛ける
と、前記各固定床5d、5、5eが図示の如く分極して
多孔質三次元陽極が形成され、図3の場合と同様に被処
理水の処理が行われ、かつ2個の係合用凹部7c、7d
の存在により同様に全部の被処理水が固定床5d、5、
5eに接触して該被処理水の滅菌がほぼ完全に行われ細
菌が全て死滅した被処理水を飲料水等として供給するこ
とができる。特に図4の電解槽では係合用凸部7c、7
dが電解槽本体2cと固定床5eの両者に形成されてい
るため、被処理水と固定床との接触が更に完璧に行われ
る。
【0038】図5は、本発明に係わる複極型三次元電極
式電解槽の他の例を示すもので、該電解槽は図2の電解
槽の改良であり、図2の電解槽と同一部材には同一符号
を付して説明を省略する。電解槽本体2d内には、3個
の固定床5、5、5が収容され、給電用陽極3及び最上
方の固定床5間、最上方及び中間の固定床5間、及び最
下方の固定床5と給電用陰極4間にはスペーサ8が位置
している。中間の固定床5と最下方の固定床5間に対応
する前記電解槽本体2dの内壁には前記スペーサと同一
形状のドーナツ状部材が接着等で固定されて凸部7eが
形成され、該凸部7eは中間の固定床5と最下方の固定
床5間に挿入されている。このような構成から成る電解
槽に図2の場合と同様に被処理水の処理を行うと、被処
理水が前記凸部7eに接触して液流が乱されて被処理水
全体が固定床5に接触して改質処理が十分に行われる。
【0039】
【実施例】以下に本発明に係わる炭素電極式電解槽を使
用する被処理水処理の実施例を記載するが、該実施例は
本発明を限定するものではない。
【0040】実施例1 透明な硬質ポリ塩化ビニル樹脂製の高さ50mm、内径50
mmの図1に示した電解槽を使用して試験用被処理水の
処理を行った。該電解槽内には、炭素繊維から成る開孔
率60%で直径49mm、厚さ10mmの固定床3個を、各固
定床の下面に直径49mm、厚さ1mmでチタン板に白金
を被覆して成る補助電極を密着設置した状態で収容し
た。中央の固定床には断面の縦が3.0 mmで横が4.0 m
mであるドーナツ状の係合用凹部を形成し、かつ電解槽
本体の対応箇所には硬質ポリ塩化ビニル樹脂製の同一形
状のドーナツ状の係合用凸部を貼りつけ、前記係合用凹
部及び凸部を係合させた。これらの固定床を、開孔率85
%で直径50mm、厚さ1mmのポリエチレン樹脂製スペ
ーサ4枚で挟み込んだ。
【0041】水道水に細菌を添加して細菌数を750 個/
ミリリットルになるように調製した試験用被処理水を準
備した。この被処理水の供給量を2.5 リットル/分に、
初期電圧値を20.0Vに、電流値を60mAにそれぞれ固定
し、該電解条件下で被処理水処理を行い、電解槽から取
り出された被処理水中の細菌数を測定したところ76個/
ミリリットルに減少していた。
【0042】比較例1 実施例1の中央の固定床を上下の固定床と同一の係合用
凹部のない固定床とし電解槽本体も内壁が平滑な円筒状
としたこと以外は実施例1と同一条件で被処理水処理を
行ったところ、電解槽から取り出された被処理水中の細
菌数は103 個/ミリリットルであった。
【0043】実施例1及び比較例1から係合用凹凸部を
形成した実施例1の電解槽を使用すると、処理後の被処
理水中の細菌数が減少し、全ての被処理水が固定床周辺
を流れることなくまんべんなく固定床内部を流れている
ことが判った。
【0044】
【発明の効果】本発明の三次元電極式電解槽は、固定床
型三次元電極の周縁全周と電解槽本体内壁全周とのいず
れか一方に係合凸部を他方に係合凹部を形成し、該凸部
及び凹部を密着係合させたことを特徴とする複極型三次
元電極式電解槽である(請求項1)。
【0045】本発明の三次元電極式電解槽では、通常短
寸円柱状である固定床型三次元電極と該固定床が接触す
る電解槽本体の内壁間を固定床に接触することなく電解
槽本体を通過して処理されない被処理水を、前記係合用
凸部に接触させることによりその流れを乱し前記固定床
に接触させて、全ての被処理水をまんべんなく電気化学
的に処理するようにしている。被処理水の一部が固定床
に接触することなく電解槽を通過すると、特に被処理水
中の細菌の滅菌等を目的とする電気化学的処理の場合に
は、細菌の全てが死滅しないため処理を行うことの意味
が減殺される。これに対し本発明では、前述の通り係合
用凹凸部により被処理水の全てが固定床に接触して処理
され、細菌の滅菌等を目的とする電気化学的処理の場合
にも効率良く処理を行うことが可能になる。
【0046】本発明の電解槽は、前記係合用凹凸部に代
えて、電解槽本体内壁にドーナツ状等の凸部を形成して
該凸部を隣接する固定床間に挿入してもよく(請求項
2)、この構造によっても被処理水全体を固定床に接触
させて改質処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる三次元電極式電解槽である固定
床型複極式電解槽の一例を示す概略縦断面図である。
【図2】本発明に係わる三次元電極式電解槽である固定
床型複極式電解槽の第2の例を示す概略縦断面図であ
る。
【図3】本発明に係わる三次元電極式電解槽である固定
床型複極式電解槽の第3の例を示す概略縦断面図であ
る。
【図4】本発明に係わる三次元電極式電解槽である固定
床型複極式電解槽の第4の例を示す概略縦断面図であ
る。
【図5】本発明に係わる三次元電極式電解槽である固定
床型複極式電解槽の第5の例を示す概略縦断面図であ
る。
【符号の説明】
2、2a、2b、2c・・・電解槽本体 3・・・給電
用陽極 4・・・給電用陰極 5、5a、5b、5c、
5d、5e・・・固定床(三次元電極) 6、6c、6
d・・・係合用凹部 6a、6b・・・切欠 7、7
a、7b、7c、7d・・・係合用凸部 7e・・・凸
部 8・・・スペーサ 9・・・不溶性金属材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/46 - 1/48 C25B 9/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解槽本体内の1対の給電用電極間に固
    定床型三次元電極を設置し前記両給電用電極間に通電し
    かつ被処理水を通液して該被処理水の電気化学的処理を
    行う三次元電極式電解槽において、前記固定床型三次元
    電極の周縁全周と前記電解槽本体内壁全周とのいずれか
    一方に係合凸部を他方に係合凹部を形成し、該凸部及び
    凹部を密着係合させたことを特徴とする複極型三次元電
    極式電解槽。
  2. 【請求項2】 電解槽本体内の1対の給電用電極間に複
    数の固定床型三次元電極を設置し前記両給電用電極間に
    通電しかつ被処理水を通液して該被処理水の電気化学的
    処理を行う三次元電極式電解槽において、前記電解槽本
    体内壁全周に凸部を形成し、該凸部を隣接する固定床型
    三次元電極間に挿入したことを特徴とする複極型三次元
    電極式電解槽。
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