JP3147023B2 - 動力出力装置およびその制御方法 - Google Patents

動力出力装置およびその制御方法

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  • Control Of Multiple Motors (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動力出力装置およ
びその制御方法に関し、詳しくは、駆動軸に動力を出力
する動力出力装置およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の動力出力装置としては、
車両に搭載される装置であって、原動機の出力軸と電動
機が取り付けられた駆動軸とを電磁継手により電磁的に
結合して原動機の動力を駆動軸に出力するものが提案さ
れている(例えば、特開昭53−133814号公報
等)。この動力出力装置では、電動機により車両の走行
を開始し、電動機の回転数が所定の回転数になったら、
電磁継手へ励磁電流を与えて原動機をクランキングする
と共に原動機への燃料供給や火花点火を行なって原動機
を始動する。原動機が始動した後は、原動機から出力さ
れる動力の一部を電磁継手による電磁的な結合を介して
駆動軸に出力して車両を走行させる。原動機から出力さ
れる動力の残余は、電磁継手の電磁的な結合の滑りに応
じた電力として回生され、走行の開始の際に用いられる
電力としてバッテリに蓄えられたり、電動機の駆動に必
要な電力として用いられる。電動機は、駆動軸に出力す
べき動力が電磁継手を介して出力される動力では不足す
るときに駆動され、この不足分を補う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この動
力出力装置では、原動機や電磁継手,電動機の効率が低
い運転状態により駆動軸に動力を出力する場合が生じる
といった問題があった。前述の動力出力装置を記載する
公報には、原動機や電磁継手,電動機の効率を鑑みた運
転ポイントによる運転については記載されていないた
め、如何なる運転を行なうかによって原動機や電磁継
手,電動機の効率が変化するのはもとより、装置全体の
効率も大きく変化する。限りあるエネルギ資源を有効に
利用するためには、装置全体の効率を鑑みた運転を行な
う必要がある。
【0004】出願人は、既に、電磁継手や電動機の効率
に比して原動機の効率が装置全体の効率に大きく影響す
ることに着目して、原動機の効率をできる限り高くする
よう原動機や電磁継手,電動機の運転ポイントを定めて
制御する動力出力装置を提案している(平成8年特許願
第186736号)。
【0005】しかし、動力出力装置全体の効率には電磁
継手や電動機の効率も影響することから、原動機の効率
の最も高い運転ポイントによって定められる原動機や電
磁継手,電動機の運転ポイントが装置全体の最も効率の
よい運転ポイントとはならない場合もある。
【0006】そこで、本発明の動力出力装置およびその
制御方法は、原動機から出力される動力をトルク変換し
て駆動軸に出力する際の装置全体の効率をより高くする
ことを目的の一つとする。また、本発明の動力出力装置
およびその制御方法は、原動機から出力される動力と蓄
電手段から充放電される電力とをエネルギ変換して目標
動力を駆動軸に出力する際の装置全体の効率をより高く
することを目的の一つとする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の第1ないし第3の動力出力装置および本発明の第
1ないし第4の動力出力装置の制御方法は、上述の目的
の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採っ
た。
【0008】本発明の第1の動力出力装置は、駆動軸に
動力を出力する動力出力装置であって、出力軸を有する
原動機と、前記原動機の出力軸に結合される第1の回転
軸と前記駆動軸に結合される第2の回転軸とを有し、前
記第1の回転軸に入出力される動力と前記第2の回転軸
に入出力される動力とのエネルギ偏差を対応する電気エ
ネルギの入出力により調整するエネルギ調整手段と、前
記駆動軸または前記出力軸と動力のやり取りをする電動
機と、前記駆動軸に出力すべき目標動力を設定する目標
動力設定手段と、前記原動機から出力される動力をトル
ク変換により前記目標動力として前記駆動軸に出力可能
な該原動機,該エネルギ調整手段および該電動機の運転
状態の少なくとも2以上の組合せについて、それぞれ全
損失を演算する損失演算手段と、該演算された各全損失
のうち最も小さな全損失となる運転状態の組合わせを前
記原動機,前記エネルギ調整手段および前記電動機の目
標運転状態として設定する目標運転状態設定手段と、該
設定された目標運転状態で運転されるよう前記原動機,
前記エネルギ調整手段および前記電動機の運転を制御す
る運転制御手段とを備えることを要旨とする。
【0009】この本発明の第1の動力出力装置は、原動
機の出力軸に結合される第1の回転軸と駆動軸に結合さ
れる第2の回転軸とを有するエネルギ調整手段が、第1
の回転軸に入出力される動力と第2の回転軸に入出力さ
れる動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入
出力により調整し、電動機が、駆動軸または原動機の出
力軸と動力のやり取りをする。損失演算手段は、原動機
から出力される動力をトルク変換により目標動力設定手
段により設定された目標動力として駆動軸に出力可能な
原動機,エネルギ調整手段および電動機の運転状態の少
なくとも2以上の組合せについて、それぞれ全損失を演
算する。目標運転状態設定手段は、この演算された各全
損失のうち最も小さな全損失となる運転状態の組合わせ
を原動機,エネルギ調整手段および電動機の目標運転状
態として設定し、運転制御手段は、この設定された目標
運転状態で運転されるよう原動機,エネルギ調整手段お
よび電動機の運転を制御する。ここで、「動力」は、軸
に作用するトルクとその軸の回転数との積の形態で表わ
されるエネルギを意味する。したがって、動力としての
エネルギの大きさが同じでも、トルクと回転数とが異な
れば、動力としての形態が異なるから、異なる動力とな
る。こうした「動力」の意味は、後述する第2の動力出
力装置以降の動力出力装置や第1ないし第3の動力出力
装置の制御方法においても同様である。
【0010】こうした本発明の第1の動力出力装置によ
れば、原動機から出力される動力をトルク変換して駆動
軸に出力する際の全損失の最も小さな運転状態の組み合
わせで原動機,エネルギ調整手段および電動機を運転す
ることができる。この結果、装置全体の効率をより高く
することができる。
【0011】この本発明の第1の動力出力装置におい
て、前記駆動軸の回転数を検出する回転数検出手段を備
え、前記電動機は前記駆動軸と動力のやり取りをする電
動機であり、前記損失演算手段は、前記回転数検出手段
により検出された回転数で回転可能な前記電動機の運転
状態のうち少なくとも2以上のトルクを変数として前記
2以上の組合せを設定する組合せ設定手段と、該設定さ
れた組合せにおける前記原動機,前記エネルギ調整手段
および前記電動機の各損失を演算すると共に該演算され
た各損失を合計して前記全損失とする全損失演算手段と
を備えるものとすることもできる。こうすれば、電動機
が駆動軸と動力のやり取りを行なう構成において、原動
機,エネルギ調整手段および電動機の運転状態の組み合
わせを容易に設定することができ、簡易に全損失を算出
することができる。
【0012】また、本発明の第1の動力出力装置におい
て、前記駆動軸の回転数を検出する回転数検出手段を備
え、前記電動機は前記出力軸と動力のやり取りをする電
動機であり、前記損失演算手段は、前記回転数検出手段
により検出された回転数と前記目標動力とから求められ
る前記駆動軸に出力すべきトルクを出力可能な前記エネ
ルギ調整手段の運転状態のうち前記出力軸の少なくとも
2以上の回転数を変数として前記2以上の組合せを設定
する組合せ設定手段と、該設定された組合せにおける前
記原動機,前記エネルギ調整手段および前記電動機の各
損失を演算すると共に該演算された各損失を合計して前
記全損失とする全損失演算手段とを備えるものとするこ
ともできる。こうすれば、電動機が原動機の出力軸と動
力のやり取りを行なう構成において、原動機,エネルギ
調整手段および電動機の運転状態の組み合わせを容易に
設定することができ、簡易に全損失を算出することがで
きる。
【0013】これら変形例を含め本発明の第1の動力出
力装置において、前記エネルギ調整手段による前記エネ
ルギ偏差の調整に必要な電気エネルギの充放電と、前記
電動機による動力のやり取りに必要な電気エネルギの充
放電とが可能な蓄電手段と、前記蓄電手段を充放電すべ
き目標電力を設定する目標電力設定手段とを備え、前記
損失演算手段は、前記原動機から出力される動力と前記
目標電力とを用いてエネルギ変換により前記目標動力を
前記駆動軸に出力すると共に該目標電力で前記蓄電手段
を充放電可能な該原動機,該エネルギ調整手段および該
電動機の運転状態の少なくとも2以上の組合せについ
て、それぞれ全損失を演算する手段であるものとするこ
ともできる。
【0014】こうすれば、蓄電手段の目標電力による充
放電を伴いながら目標動力を駆動軸に出力する際の全損
失の最も小さな運転状態の組み合わせで原動機,エネル
ギ調整手段および電動機を運転することができる。この
結果、装置全体の効率をより高くすることができる。
【0015】本発明の第2の動力出力装置は、駆動軸に
動力を出力する動力出力装置であって、出力軸を有する
原動機と、前記原動機の出力軸に結合される第1の回転
軸と前記駆動軸に結合される第2の回転軸とを有し、前
記第1の回転軸に入出力される動力と前記第2の回転軸
に入出力される動力とのエネルギ偏差を対応する電気エ
ネルギの入出力により調整するエネルギ調整手段と、前
記駆動軸または前記出力軸と動力のやり取りをする電動
機と、前記駆動軸に出力すべき目標動力を設定する目標
動力設定手段と、前記原動機の運転可能な運転状態の各
損失と、前記エネルギ調整手段の運転可能な運転状態の
各損失と、前記電動機の運転可能な運転状態の各損失と
を記憶する損失記憶手段と、前記原動機から出力される
動力を前記目標動力にトルク変換して前記駆動軸に出力
可能な該原動機,該エネルギ調整手段および該電動機の
運転状態の少なくとも2以上の組合せについて、それぞ
れ前記記憶手段に記憶された各損失から全損失を演算す
る損失演算手段と、該演算された各全損失のうち最も小
さな全損失となる運転状態の組合わせを前記原動機,前
記エネルギ調整手段および前記電動機の目標運転状態と
して設定する目標運転状態設定手段と、該設定された目
標運転状態で運転されるよう前記原動機,前記エネルギ
調整手段および前記電動機の運転を制御する運転制御手
段とを備えることを要旨とする。
【0016】この本発明の第2の動力出力装置は、原動
機の出力軸に結合される第1の回転軸と駆動軸に結合さ
れる第2の回転軸とを有するエネルギ調整手段が、第1
の回転軸に入出力される動力と第2の回転軸に入出力さ
れる動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入
出力により調整し、電動機が、駆動軸または原動機の出
力軸と動力のやり取りをする。損失記憶手段は、原動機
の運転可能な運転状態の各損失と、エネルギ調整手段の
運転可能な運転状態の各損失と、電動機の運転可能な運
転状態の各損失とを記憶する。損失演算手段は、原動機
から出力される動力を目標動力設定手段により設定され
た駆動軸に出力すべき目標動力にトルク変換して駆動軸
に出力可能な原動機,エネルギ調整手段および電動機の
運転状態の少なくとも2以上の組合せについて、それぞ
れ記憶手段に記憶された各損失から全損失を演算する。
目標運転状態設定手段は、この演算された各全損失のう
ち最も小さな全損失となる運転状態の組合わせを原動
機,エネルギ調整手段および電動機の目標運転状態とし
て設定し、運転制御手段は、この設定された目標運転状
態で運転されるよう原動機,エネルギ調整手段および電
動機の運転を制御する。
【0017】こうした本発明の第2の動力出力装置によ
れば、原動機から出力される動力をトルク変換して駆動
軸に出力する際の全損失の最も小さな運転状態の組み合
わせで原動機,エネルギ調整手段および電動機を運転す
ることができる。この結果、装置全体の効率をより高く
することができる。しかも、原動機やエネルギ調整手
段,電動機の運転可能な運転状態の各損失を記憶してい
るから、全損失を短時間で算出することができる。
【0018】この本発明の第2の動力出力装置におい
て、前記駆動軸の回転数を検出する回転数検出手段を備
え、前記電動機は前記駆動軸と動力のやり取りをする電
動機であり、前記組合せ設定手段は前記回転数検出手段
により検出された回転数で回転可能な前記電動機の運転
状態のうち少なくとも2以上のトルクを変数として前記
2以上の組合せを設定する手段であるものとすることも
できる。こうすれば、電動機が駆動軸と動力のやり取り
を行なう構成において、原動機,エネルギ調整手段およ
び電動機の運転状態の組み合わせを容易に設定すること
ができ、簡易に全損失を算出することができる。
【0019】また、本発明の第2の動力出力装置におい
て、前記駆動軸の回転数を検出する回転数検出手段を備
え、前記電動機は前記出力軸と動力のやり取りをする電
動機であり、前記組合せ設定手段は前記回転数検出手段
により検出された回転数と前記目標動力とから求められ
る前記駆動軸に出力すべきトルクを出力可能な前記エネ
ルギ調整手段の運転状態のうち前記出力軸の少なくとも
2以上の回転数を変数として前記2以上の組合せを設定
する手段であるものとすることもできる。こうすれば、
電動機が原動機の出力軸と動力のやり取りを行なう構成
において、原動機,エネルギ調整手段および電動機の運
転状態の組み合わせを容易に設定することができ、簡易
に全損失を算出することができる。
【0020】こうした変形例を含め本発明の第2の動力
出力装置において、前記エネルギ調整手段による前記エ
ネルギ偏差の調整に必要な電気エネルギの充放電と、前
記電動機による動力のやり取りに必要な電気エネルギの
充放電とが可能な蓄電手段と、前記蓄電手段を充放電す
べき目標電力を設定する目標電力設定手段とを備え、前
記損失演算手段は、前記原動機から出力される動力と前
記目標電力とを用いてエネルギ変換により前記目標動力
を前記駆動軸に出力すると共に該目標電力で前記蓄電手
段を充放電可能な該原動機,該エネルギ調整手段および
該電動機の運転状態の少なくとも2以上の組合せについ
て、それぞれ前記記憶手段に記憶された各損失から全損
失を演算する手段であるものとすることもできる。
【0021】こうすれば、蓄電手段の目標電力による充
放電を伴いながら目標動力を駆動軸に出力する際の全損
失の最も小さな運転状態の組み合わせで原動機,エネル
ギ調整手段および電動機を運転することができる。この
結果、装置全体の効率をより高くすることができる。
【0022】電動機が駆動軸と動力のやり取りを行なう
本発明の第1または第2の動力出力装置において、前記
組合せ設定手段は、前記回転数検出手段により検出され
た回転数で回転可能な前記電動機の運転状態のうち少な
くとも2以上のトルクを順次変数として導出する変数導
出手段と、該導出された変数と前記回転数検出手段によ
り検出された回転数とにより前記電動機の運転状態を設
定する第1運転状態設定手段と、該第1運転状態設定手
段により設定された運転状態で該電動機を運転するのに
必要な電気エネルギを入出力すると共に前記目標動力に
おけるトルクと前記変数との偏差のトルクを出力するよ
うエネルギ調整手段の運転状態を設定する第2運転状態
設定手段と、該第2運転状態設定手段により設定された
運転状態から定まる前記出力軸の回転数とトルクとによ
り前記原動機の運転状態を設定する第3運転状態設定手
段とを備え、前記第1ないし第3運転状態設定手段によ
り設定された各運転状態を前記運転状態の組合せとして
設定する手段であるものとすることもできる。
【0023】また、電動機が原動機の出力軸と動力のや
り取りを行なう本発明の第1または第2の動力出力装置
において、前記組合せ設定手段は、前記回転数検出手段
により検出された回転数と前記目標動力とから求められ
る前記駆動軸に出力すべきトルクを出力可能な前記エネ
ルギ調整手段の運転状態のうち前記出力軸の少なくとも
2以上の回転数を順次変数として導出する変数導出手段
と、該導出された変数と前記駆動軸に出力すべきトルク
とにより前記エネルギ調整手段の運転状態を設定する第
1運転状態設定手段と、該第1運転状態設定手段により
設定された運転状態で該エネルギ調整手段を運転するの
に必要な電気エネルギを入出力するよう前記電動機の運
転状態を設定する第2運転状態設定手段と、該第2運転
状態設定手段により設定された運転状態におけるトルク
と前記駆動軸に出力すべきトルクとの和と、前記変数と
により、前記原動機の運転状態を設定する第3運転状態
設定手段とを備え、前記第1ないし第3運転状態設定手
段により設定された各運転状態を前記運転状態の組合せ
として設定する手段であるものとすることもできる。
【0024】あるいは、電動機が駆動軸と動力のやり取
りを行なうと共に蓄電手段を目標電力で充放電する本発
明の第1または第2の動力出力装置において、前記組合
せ設定手段は、前記回転数検出手段により検出された回
転数で回転可能な前記電動機の運転状態のうち少なくと
も2以上のトルクを順次変数として導出する変数導出手
段と、該導出された変数と前記回転数検出手段により検
出された回転数とにより前記電動機の運転状態を設定す
る第1運転状態設定手段と、該第1運転状態設定手段に
より設定された運転状態で該電動機を運転するのに必要
な電気エネルギと前記目標電力に相当する電気エネルギ
との和を入出力すると共に前記目標動力におけるトルク
と前記変数との偏差のトルクを出力するようエネルギ調
整手段の運転状態を設定する第2運転状態設定手段と、
該第2運転状態設定手段により設定された運転状態から
定まる前記出力軸の回転数とトルクとにより前記原動機
の運転状態を設定する第3運転状態設定手段とを備え、
前記第1ないし第3運転状態設定手段により設定された
各運転状態を前記運転状態の組合せとして設定する手段
であるものとすることもできる。
【0025】さらに、電動機が原動機の出力軸と動力の
やり取りを行なうと共に蓄電手段を目標電力で充放電す
る本発明の第1または第2の動力出力装置において、前
記組合せ設定手段は、前記回転数検出手段により検出さ
れた回転数と前記目標動力とから求められる前記駆動軸
に出力すべきトルクを出力可能な前記エネルギ調整手段
の運転状態のうち前記出力軸の少なくとも2以上の回転
数を順次変数として導出する変数導出手段と、該導出さ
れた変数と前記駆動軸に出力すべきトルクとにより前記
エネルギ調整手段の運転状態を設定する第1運転状態設
定手段と、該第1運転状態設定手段により設定された運
転状態で該エネルギ調整手段を運転するのに必要な電気
エネルギと前記目標電力に相当する電気エネルギとの和
を入出力するよう前記電動機の運転状態を設定する第2
運転状態設定手段と、該第2運転状態設定手段により設
定された運転状態におけるトルクと前記駆動軸に出力す
べきトルクとの和と、前記変数とにより、前記原動機の
運転状態を設定する第3運転状態設定手段とを備え、前
記第1ないし第3運転状態設定手段により設定された各
運転状態を前記運転状態の組合せとして設定する手段で
あるものとすることもできる。
【0026】これらの変数導出手段と第1ないし第3運
転状態設定手段とを備える態様の動力出力装置におい
て、「電動機を運転するのに必要な電気エネルギ」には
電動機の損失も含まれ、「エネルギ調整手段を運転する
のに必要な電気エネルギ」にはエネルギ調整手段の損失
も含まれる。
【0027】こうした変数導出手段と第1ないし第3運
転状態設定手段とを備える態様の動力出力装置によれ
ば、原動機,エネルギ調整手段および電動機の運転状態
の組合せを容易に設定することができる。
【0028】本発明の第3の動力出力装置は、駆動軸に
動力を出力する動力出力装置であって、出力軸を有する
原動機と、前記原動機の出力軸に結合される第1の回転
軸と前記駆動軸に結合される第2の回転軸とを有し、前
記第1の回転軸に入出力される動力と前記第2の回転軸
に入出力される動力とのエネルギ偏差を対応する電気エ
ネルギの入出力により調整するエネルギ調整手段と、前
記駆動軸または前記出力軸と動力のやり取りをする電動
機と、前記原動機から出力される動力をトルク変換して
駆動軸に出力可能な前記原動機,前記エネルギ調整手段
および前記電動機の運転状態の組合せのうち、該原動
機,該エネルギ調整手段および該電動機の各損失の総計
が小さい運転状態の組合せを前記駆動軸に出力すべき各
動力に対応させて記憶する組合せ記憶手段と、前記駆動
軸に出力すべき目標動力を設定する目標動力設定手段
と、該設定された目標動力と前記組合せ記憶手段により
記憶された運転状態の組合せとに基づいて該目標動力に
対応する前記原動機,前記エネルギ調整手段および前記
電動機の運転状態を設定する運転状態設定手段と、該設
定された運転状態で運転されるよう前記原動機,前記エ
ネルギ調整手段および前記電動機の運転を制御する運転
制御手段とを備えることを要旨とする。
【0029】この本発明の第3の動力出力装置は、原動
機の出力軸に結合される第1の回転軸と駆動軸に結合さ
れる第2の回転軸とを有するエネルギ調整手段が、第1
の回転軸に入出力される動力と第2の回転軸に入出力さ
れる動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入
出力により調整し、電動機が、駆動軸または出力軸と動
力のやり取りをする。組合せ記憶手段は、原動機から出
力される動力をトルク変換して駆動軸に出力可能な原動
機,エネルギ調整手段および電動機の運転状態の組合せ
のうち、原動機,エネルギ調整手段および電動機の各損
失の総計が小さい運転状態の組合せを駆動軸に出力すべ
き各動力に対応させて記憶する。運転状態設定手段は、
目標動力設定手段により設定された駆動軸に出力すべき
目標動力と組合せ記憶手段により記憶された運転状態の
組合せとに基づいて、この目標動力に対応する原動機,
エネルギ調整手段および電動機の運転状態を設定し、運
転制御手段は、この設定された運転状態で運転されるよ
う原動機,エネルギ調整手段および電動機の運転を制御
する。
【0030】こうした本発明の第3の動力出力装置によ
れば、原動機から出力される動力をトルク変換して駆動
軸に出力する際の各損失の総計が小さな運転状態の組合
わせで原動機,エネルギ調整手段および電動機を運転す
ることができる。この結果、装置全体の効率をより高く
することができる。しかも、原動機から出力される動力
をトルク変換して駆動軸に出力可能な原動機,エネルギ
調整手段および電動機の運転状態の組合せのうち、原動
機,エネルギ調整手段および電動機の各損失の総計が小
さい運転状態の組合せを駆動軸に出力すべき各動力に対
応させて記憶しており、これに基づいて目標動力に対応
する原動機,エネルギ調整手段および電動機の運転状態
を設定するから、損失計算に要する時間を要することな
く、直ちに各損失の総計が小さな運転状態とすることが
できる。
【0031】この本発明の第3の動力出力装置におい
て、前記エネルギ調整手段による前記エネルギ偏差の調
整に必要な電気エネルギの充放電と、前記電動機による
動力のやり取りに必要な電気エネルギの充放電とが可能
な蓄電手段と、前記蓄電手段を充放電すべき目標電力を
設定する目標電力設定手段とを備え、前記組合せ記憶手
段は、前記原動機から出力される動力を前記蓄電手段の
充放電による電力とをエネルギ変換して駆動軸に出力可
能な前記原動機,前記エネルギ調整手段および前記電動
機の運転状態の組合せのうち、該原動機,該エネルギ調
整手段および該電動機の各損失の総計が小さい運転状態
の組合せを前記駆動軸に出力すべき各動力と前記蓄電手
段の充放電による電力とに対応させて記憶する手段であ
り、前記運転状態設定手段は、前記目標動力設定手段に
より設定された目標動力と前記目標電力設定手段により
設定された目標電力と前記組合せ記憶手段により記憶さ
れた運転状態の組合せとに基づいて、該目標動力と該目
標電力とに対応する前記原動機,前記エネルギ調整手段
および前記電動機の運転状態を設定する手段であるもの
とすることもできる。
【0032】こうすれば、蓄電手段の目標電力による充
放電を伴いながら目標動力を駆動軸に出力する際の各損
失の総計の小さな運転状態の組合わせで原動機,エネル
ギ調整手段および電動機を運転することができる。この
結果、装置全体の効率をより高くすることができる。
【0033】こうした変形例を含め本発明の第1ないし
第3のいずれかの動力出力装置において、前記エネルギ
調整手段は、前記第1の回転軸に結合された第1のロー
タと、前記第2の回転軸に結合され該第1のロータに対
して相対的に回転可能な第2のロータとを有し、該両ロ
ータ間の電磁的な結合を介して該両回転軸間の動力のや
り取りをすると共に、該両ロータ間の電磁的な結合と該
両ロータ間の回転数差とに基づいて電気エネルギを入出
力する対ロータ電動機であるものとすることもできる。
【0034】また、電動機が駆動軸と動力のやり取りを
行なうと共にエネルギ調整手段が対ロータ電動機である
本発明の第1または第2の動力出力装置において、前記
電動機は、前記対ロータ電動機の第2のロータと、該第
2のロータを回転可能なステータとからなるものとする
こともできる。こうすれば、装置の小型化を図ることが
できる。
【0035】あるいは、電動機が原動機の出力軸と動力
のやり取りを行なうと共にエネルギ調整手段が対ロータ
電動機である本発明の第1または第2の動力出力装置に
おいて、前記電動機は、前記対ロータ電動機の第1のロ
ータと、該第1のロータを回転可能なステータとからな
るものとすることもできる。こうすれば、装置の小型化
を図ることができる。
【0036】また、エネルギ調整手段が対ロータ電動機
である本発明の第1ないし第3のいずれかの動力出力装
置において、前記電動機は、第3の回転軸と動力のやり
取りをする電動機であり、前記第3の回転軸と前記出力
軸との機械的な接続と該接続の解除とを行なう第1の接
続手段と、前記第3の回転軸と前記駆動軸との機械的な
接続と該接続の解除とを行なう第2の接続手段とを備
え、前記損失演算手段は、前記第1の接続手段による接
続が解除されると共に前記第2の接続手段による接続が
行なわれる接続状態および/または前記第1の接続手段
による接続が行なわれると共に前記第2の接続手段によ
る接続が解除される接続状態で、前記原動機から出力さ
れる動力をトルク変換により前記目標動力として前記駆
動軸に出力可能な該原動機,該エネルギ調整手段および
該電動機の運転状態の少なくとも2以上の組合せについ
て、それぞれ全損失を演算する手段であり、前記目標運
転状態設定手段は、前記演算された各全損失のうち最も
小さな全損失となる前記接続状態と前記運転状態との組
合わせを前記第1および第2の接続手段の目標接続状態
と前記原動機,前記エネルギ調整手段および前記電動機
の目標運転状態として設定する手段であり、前記運転制
御手段は、前記設定された目標接続状態となるよう前記
第1および第2の接続手段の接続を制御すると共に、前
記設定された目標運転状態で運転されるよう前記原動
機,前記エネルギ調整手段および前記電動機の運転を制
御する手段であるものとすることもできる。
【0037】この態様とすれば、電動機を原動機の出力
軸に取り付ける場合と電動機を駆動軸に取り付ける場合
とを含めて全損失が最小となるよう装置を運転すること
ができる。この結果、更に装置全体の効率を高くするこ
とができる。
【0038】本発明の第1ないし第3のいずれかの動力
出力装置において、前記エネルギ調整手段は、前記第1
の回転軸および前記第2の回転軸と異なる第3の回転軸
を有し、前記3つの回転軸のうちいずれか2つの回転軸
へ入出力される動力を決定したとき、該決定された動力
に基づいて残余の回転軸へ動力を入出力する3軸式動力
入出力手段と、前記第3の回転軸と動力のやり取りをす
る回転軸電動機とを備えるものとすることもできる。
【0039】本発明の第1の動力出力装置の制御方法
は、出力軸を有する原動機と、前記原動機の出力軸に結
合される第1の回転軸と駆動軸に結合される第2の回転
軸とを有し、前記第1の回転軸に入出力される動力と前
記第2の回転軸に入出力される動力とのエネルギ偏差を
対応する電気エネルギの入出力により調整するエネルギ
調整手段と、前記駆動軸または前記出力軸と動力のやり
取りをする電動機とを備え、前記駆動軸に動力を出力す
る動力出力装置の制御方法であって、(a)前記駆動軸
に出力すべき目標動力を設定し、(b)前記原動機から
出力される動力をトルク変換により前記目標動力として
前記駆動軸に出力可能な該原動機,該エネルギ調整手段
および該電動機の運転状態の少なくとも2以上の組合せ
について、それぞれ全損失を演算し、(c)該演算され
た各全損失のうち最も小さな全損失となる運転状態の組
合わせを前記原動機,前記エネルギ調整手段および前記
電動機の目標運転状態として設定し、(d)該設定され
た目標運転状態で運転されるよう前記原動機,前記エネ
ルギ調整手段および前記電動機の運転を制御することを
要旨とする
【0040】この本発明の第1の動力出力装置の制御方
法によれば、原動機から出力される動力をトルク変換し
て駆動軸に出力する際の全損失の最も小さな運転状態の
組み合わせで原動機,エネルギ調整手段および電動機を
運転することができる。この結果、装置全体の効率をよ
り高くすることができる。
【0041】こうした本発明の第1の動力出力装置の制
御方法において、前記動力出力装置は、更に、前記エネ
ルギ調整手段による前記エネルギ偏差の調整に必要な電
気エネルギの充放電と、前記電動機による動力のやり取
りに必要な電気エネルギの充放電とが可能な蓄電手段を
備え、前記ステップ(b)に代えて、(b1)前記蓄電
手段を充放電すべき目標電力を設定し、(b2)前記原
動機から出力される動力と前記目標電力とを用いてエネ
ルギ変換により前記目標動力を前記駆動軸に出力すると
共に該目標電力で前記蓄電手段を充放電可能な該原動
機,該エネルギ調整手段および該電動機の運転状態の少
なくとも2以上の組合せについて、それぞれ全損失を演
算する、ステップを備えるものとすることもできる。
【0042】こうすれば、蓄電手段の目標電力による充
放電を伴いながら目標動力を駆動軸に出力する際の全損
失の最も小さな運転状態の組み合わせで原動機,エネル
ギ調整手段および電動機を運転することができる。この
結果、装置全体の効率をより高くすることができる。
【0043】本発明の第2の動力出力装置の制御方法
は、出力軸を有する原動機と、前記原動機の出力軸に結
合される第1の回転軸と駆動軸に結合される第2の回転
軸とを有し、前記第1の回転軸に入出力される動力と前
記第2の回転軸に入出力される動力とのエネルギ偏差を
対応する電気エネルギの入出力により調整するエネルギ
調整手段と、前記駆動軸または前記出力軸と動力のやり
取りをする電動機と、前記原動機の運転可能な運転状態
の各損失と、前記エネルギ調整手段の運転可能な運転状
態の各損失と、前記電動機の運転可能な運転状態の各損
失とを記憶する損失記憶手段とを備え、前記駆動軸に動
力を出力する動力出力装置の制御方法であって、(a)
前記駆動軸に出力すべき目標動力を設定し、(b)前記
原動機から出力される動力を前記目標動力にトルク変換
して前記駆動軸に出力可能な該原動機,該エネルギ調整
手段および該電動機の運転状態の少なくとも2以上の組
合せについて、それぞれ前記記憶手段に記憶された各損
失から全損失を演算し、(c)該演算された各全損失の
うち最も小さな全損失となる運転状態の組合わせを前記
原動機,前記エネルギ調整手段および前記電動機の目標
運転状態として設定し、(d)該設定された目標運転状
態で運転されるよう前記原動機,前記エネルギ調整手段
および前記電動機の運転を制御することを要旨とする。
【0044】この本発明の第2の動力出力装置の制御方
法によれば、原動機から出力される動力をトルク変換し
て駆動軸に出力する際の全損失の最も小さな運転状態の
組み合わせで原動機,エネルギ調整手段および電動機を
運転することができる。この結果、装置全体の効率をよ
り高くすることができる。しかも、原動機やエネルギ調
整手段,電動機の運転可能な運転状態の各損失を記憶し
ているから、全損失を短時間で算出することができる。
【0045】こうした本発明の第2の動力出力装置の制
御方法において、前記動力出力装置は、更に、前記エネ
ルギ調整手段による前記エネルギ偏差の調整に必要な電
気エネルギの充放電と、前記電動機による動力のやり取
りに必要な電気エネルギの充放電とが可能な蓄電手段を
備え、前記ステップ(b)に代えて、(b1)前記蓄電
手段を充放電すべき目標電力を設定し、(b2)前記原
動機から出力される動力と前記目標電力とを用いてエネ
ルギ変換により前記目標動力を前記駆動軸に出力すると
共に該目標電力で前記蓄電手段を充放電可能な該原動
機,該エネルギ調整手段および該電動機の運転状態の少
なくとも2以上の組合せについて、それぞれ前記記憶手
段に記憶された各損失から全損失を演算する、ステップ
を備えるものとすることもできる。
【0046】こうすれば、蓄電手段の目標電力による充
放電を伴いながら目標動力を駆動軸に出力する際の全損
失の最も小さな運転状態の組み合わせで原動機,エネル
ギ調整手段および電動機を運転することができる。この
結果、装置全体の効率をより高くすることができる。
【0047】本発明の第3の動力出力装置の制御方法
は、出力軸を有する原動機と、前記原動機の出力軸に結
合される第1の回転軸と駆動軸に結合される第2の回転
軸とを有し、前記第1の回転軸に入出力される動力と前
記第2の回転軸に入出力される動力とのエネルギ偏差を
対応する電気エネルギの入出力により調整するエネルギ
調整手段と、前記駆動軸または前記出力軸と動力のやり
取りをする電動機と、前記原動機から出力される動力を
トルク変換して駆動軸に出力可能な前記原動機,前記エ
ネルギ調整手段および前記電動機の運転状態の組合せの
うち、該原動機,該エネルギ調整手段および該電動機の
各損失の総計が小さい運転状態の組合せを前記駆動軸に
出力すべき各動力に対応させて記憶する組合せ記憶手段
とを備え、前記駆動軸に動力を出力する動力出力装置の
制御方法であって、(a)前記駆動軸に出力すべき目標
動力を設定し、(b)該設定された目標動力と前記組合
せ記憶手段により記憶された運転状態の組合せとに基づ
いて該目標動力に対応する前記原動機,前記エネルギ調
整手段および前記電動機の運転状態を設定し、(c)該
設定された運転状態で運転されるよう前記原動機,前記
エネルギ調整手段および前記電動機の運転を制御するこ
とを要旨とする。
【0048】この本発明の第3の動力出力装置の制御方
法によれば、原動機から出力される動力をトルク変換し
て駆動軸に出力する際の各損失の総計が小さな運転状態
の組合わせで原動機,エネルギ調整手段および電動機を
運転することができる。この結果、装置全体の効率をよ
り高くすることができる。しかも、原動機から出力され
る動力をトルク変換して駆動軸に出力可能な原動機,エ
ネルギ調整手段および電動機の運転状態の組合せのう
ち、原動機,エネルギ調整手段および電動機の各損失の
総計が小さい運転状態の組合せを駆動軸に出力すべき各
動力に対応させて記憶しており、これに基づいて目標動
力に対応する原動機,エネルギ調整手段および電動機の
運転状態を設定するから、損失計算に要する時間を要す
る異なく、直ちに各損失の総計が小さな運転状態とする
ことができる。
【0049】こうした本発明の第3の動力出力装置の制
御方法において、前記動力出力装置は、前記組合せ記憶
手段に代えて、前記エネルギ調整手段による前記エネル
ギ偏差の調整に必要な電気エネルギの充放電と、前記電
動機による動力のやり取りに必要な電気エネルギの充放
電とが可能な蓄電手段と、前記原動機から出力される動
力を前記蓄電手段の充放電による電力とをエネルギ変換
して駆動軸に出力可能な前記原動機,前記エネルギ調整
手段および前記電動機の運転状態の組合せのうち、該原
動機,該エネルギ調整手段および該電動機の各損失の総
計が小さい運転状態の組合せを前記駆動軸に出力すべき
各動力と前記蓄電手段の充放電による電力とに対応させ
て記憶する組合せ記憶手段とを備え、前記ステップ
(b)に代えて、(b1)前記蓄電手段を充放電すべき
目標電力を設定し、(b2)前記設定された目標動力と
前記設定された目標電力と前記組合せ記憶手段により記
憶された運転状態の組合せとに基づいて、該目標動力と
該目標電力とに対応する前記原動機,前記エネルギ調整
手段および前記電動機の運転状態を設定する、ステップ
を備えるものとすることもできる。
【0050】こうすれば、蓄電手段の目標電力による充
放電を伴いながら目標動力を駆動軸に出力する際の各損
失の総計の小さな運転状態の組合わせで原動機,エネル
ギ調整手段および電動機を運転することができる。この
結果、装置全体の効率をより高くすることができる。
【0051】これら本発明の第1ないし第3の動力出力
装置の制御方法において、動力出力装置が備えるエネル
ギ調整手段は、前記第1の回転軸に結合された第1のロ
ータと、前記第2の回転軸に結合され該第1のロータに
対して相対的に回転可能な第2のロータとを有し、該両
ロータ間の電磁的な結合を介して該両回転軸間の動力の
やり取りをすると共に、該両ロータ間の電磁的な結合と
該両ロータ間の回転数差とに基づいて電気エネルギを入
出力する対ロータ電動機であるものとすることもでき
る。また、前記エネルギ調整手段は、前記第1の回転軸
および前記第2の回転軸と異なる第3の回転軸を有し、
前記3つの回転軸のうちいずれか2つの回転軸へ入出力
される動力を決定したとき、該決定された動力に基づい
て残余の回転軸へ動力を入出力する3軸式動力入出力手
段と、前記第3の回転軸と動力のやり取りをする回転軸
電動機とを備えるものとすることもできる。
【0052】本発明の第4の動力出力装置の制御方法
は、出力軸を有する原動機と、前記原動機の出力軸に結
合される第1の回転軸と駆動軸に結合される第2の回転
軸とを有し、前記第1の回転軸に入出力される動力と前
記第2の回転軸に入出力される動力とのエネルギ偏差を
対応する電気エネルギの入出力により調整するエネルギ
調整手段と、第3の回転軸と動力のやり取りをする電動
機と、前記第3の回転軸と前記出力軸との機械的な接続
と該接続の解除とを行なう第1の接続手段と、前記第3
の回転軸と前記駆動軸との機械的な接続と該接続の解除
とを行なう第2の接続手段とを備え、前記駆動軸に動力
を出力する動力出力装置の制御方法であって、(a)前
記駆動軸に出力すべき目標動力を設定し、(b)前記第
1の接続手段による接続が解除されると共に前記第2の
接続手段による接続が行なわれる接続状態および/また
は前記第1の接続手段による接続が行なわれると共に前
記第2の接続手段による接続が解除される接続状態で、
前記原動機から出力される動力をトルク変換により前記
目標動力として前記駆動軸に出力可能な該原動機,該エ
ネルギ調整手段および該電動機の運転状態の少なくとも
2以上の組合せについて、それぞれ全損失を演算し、
(c)該演算された各全損失のうち最も小さな全損失と
なる前記接続状態と前記運転状態との組合わせを前記第
1および第2の接続手段の目標接続状態と前記原動機,
前記エネルギ調整手段および前記電動機の目標運転状態
として設定し、(d)該設定された目標接続状態となる
よう前記第1および第2の接続手段の接続を制御すると
共に、前記設定された目標運転状態で運転されるよう前
記原動機,前記エネルギ調整手段および前記電動機の運
転を制御することを要旨とする。
【0053】この本発明の第4の動力出力装置の制御方
法によれば、電動機を原動機の出力軸に取り付ける場合
と電動機を駆動軸に取り付ける場合とを含めて原動機か
ら出力される動力をトルク変換して駆動軸に出力する際
の全損失の最も小さな接続状態と運転状態との組み合わ
せで第1および第2の接続手段の接続を制御すると共
に、原動機,エネルギ調整手段および電動機を運転する
ことができる。この結果、装置全体の効率をより高くす
ることができる。
【0054】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施例と
しての動力出力装置20の概略構成を示す構成図、図2
は図1の動力出力装置20を組み込んだ車両の概略構成
を示す構成図である。説明の都合上、まず図2を用い
て、車両全体の構成から説明する。
【0055】図2に示すように、この車両には、動力源
であるエンジン50としてガソリンにより運転されるガ
ソリンエンジンが備えられている。このエンジン50
は、吸気系からスロットルバルブ66を介して吸入した
空気と燃料噴射弁51から噴射されたガソリンとの混合
気を燃焼室52に吸入し、この混合気の爆発により押し
下げられるピストン54の運動をクランクシャフト56
の回転運動に変換する。ここで、スロットルバルブ66
はアクチュエータ68により開閉駆動される。点火プラ
グ62は、イグナイタ58からディストリビュータ60
を介して導かれた高電圧によって電気火花を形成し、混
合気はその電気火花によって点火されて爆発燃焼する。
【0056】このエンジン50の運転は、電子制御ユニ
ット(以下、EFIECUと呼ぶ)70により制御され
ている。EFIECU70には、エンジン50の運転状
態を示す種々のセンサが接続されている。例えば、スロ
ットルバルブ66の開度(ポジション)を検出するスロ
ットルバルブポジションセンサ67、エンジン50の負
荷を検出する吸気管負圧センサ72、エンジン50の水
温を検出する水温センサ74、ディストリビュータ60
に設けられクランクシャフト56の回転数と回転角度を
検出する回転数センサ76および回転角度センサ78な
どである。なお、EFIECU70には、この他、例え
ばイグニッションキーの状態STを検出するスタータス
イッチ79なども接続されているが、その他のセンサ,
スイッチなどの図示は省略した。
【0057】エンジン50のクランクシャフト56に
は、後述するクラッチモータ30およびアシストモータ
40を介して駆動軸22が結合されている。駆動軸22
は、ディファレンシャルギヤ24に結合されており、動
力出力装置20からのトルクは最終的に左右の駆動輪2
6,28に伝達される。このクラッチモータ30および
アシストモータ40は、制御装置80により制御されて
いる。制御装置80の構成は後で詳述するが、内部には
制御CPUが備えられており、シフトレバー82に設け
られたシフトポジションセンサ84やアクセルペダル6
4に設けられたアクセルペダルポジションセンサ64
a,ブレーキペダル65に設けられたブレーキペダルポ
ジションセンサ65aなども接続されている。また、制
御装置80は、上述したEFIECU70と通信によ
り、種々の情報をやり取りしている。これらの情報のや
り取りを含む制御については、後述する。
【0058】図1に示すように、実施例の動力出力装置
20は、大きくは、エンジン50と、エンジン50のク
ランクシャフト56にアウタロータ32が結合されると
共に駆動軸22にインナロータ34が結合されたクラッ
チモータ30と、駆動軸22に結合されたロータ42を
有するアシストモータ40と、クラッチモータ30およ
びアシストモータ40を駆動制御する制御装置80とか
ら構成されている。
【0059】クラッチモータ30は、図1に示すよう
に、アウタロータ32の内周面に永久磁石35を備え、
インナロータ34に形成されたスロットに三相のコイル
36を巻回する同期電動機として構成されている。この
三相コイル36への電力は、スリップリング38を介し
て供給される。インナロータ34において三相コイル3
6用のスロットおよびティースを形成する部分は、無方
向性電磁鋼板の薄板を積層することで構成されている。
なお、クランクシャフト56には、その回転角度θeを
検出するレゾルバ39が設けられているが、このレゾル
バ39は、ディストリビュータ60に設けられた回転角
度センサ78と兼用することも可能である。
【0060】他方、アシストモータ40も同期電動機と
して構成されているが、回転磁界を形成する三相コイル
44は、ケース45に固定されたステータ43に巻回さ
れている。このステータ43も、無方向性電磁鋼板の薄
板を積層することで形成されている。ロータ42の外周
面には、複数個の永久磁石46が設けられている。アシ
ストモータ40では、この永久磁石46により磁界と三
相コイル44が形成する磁界との相互作用により、ロー
タ42が回転する。ロータ42が機械的に結合された軸
は、動力出力装置20のトルクの出力軸である駆動軸2
2であり、駆動軸22には、その回転角度θdを検出す
るレゾルバ48が設けられている。また、駆動軸22
は、ケース45に設けられたベアリング49により軸支
されている。
【0061】係るクラッチモータ30とアシストモータ
40とは、クラッチモータ30のインナロータ34がア
シストモータ40のロータ42、延いては駆動軸22に
機械的に結合されている。したがって、エンジン50と
両モータ30,40との関係を簡略に言えば、エンジン
50からクランクシャフト56に出力された軸トルクが
クラッチモータ30のアウタロータ32およびインナロ
ータ34を介して駆動軸22に出力され、アシストモー
タ40からのトルクがこれに加減算されるということに
なる。
【0062】アシストモータ40は、通常の永久磁石型
三相同期モータとして構成されているが、クラッチモー
タ30は、永久磁石35を有するアウタロータ32も三
相コイル36を備えたインナロータ34も、共に回転す
るよう構成されている。そこで、クラッチモータ30の
構成の詳細について、さらに説明する。クラッチモータ
30のアウタロータ32はクランクシャフト56に、イ
ンナロータ34は駆動軸22に結合されており、アウタ
ロータ32に永久磁石35が設けられていることは既に
説明した。この永久磁石35は、実施例では8個(N極
が4個でS極が4個)設けられており、アウタロータ3
2の内周面に貼付されている。その磁化方向はクラッチ
モータ30の軸中心に向かう方向であり、一つおきに磁
極の方向は逆向きになっている。この永久磁石35と僅
かなギャップにより対向するインナロータ34の三相コ
イル36は、インナロータ34に設けられた計12個の
スロット(図示せず)に巻回されており、各コイルに通
電すると、スロットを隔てるティースを通る磁束を形成
する。各コイルに三相交流を流すと、この磁界は回転す
る。三相コイル36の各々は、スリップリング38から
電力の供給を受けるよう接続されている。このスリップ
リング38は、駆動軸22に固定された回転リング38
aとブラシ38bとから構成されている。なお、三相
(U,V,W相)の電流をやり取りするために、スリッ
プリング38には三相分の回転リング38aとブラシ3
8bとが用意されている。
【0063】隣接する一組の永久磁石35が形成する磁
界と、インナロータ34に設けられた三相コイル36が
形成する回転磁界との相互作用により、アウタロータ3
2とインナロータ34とは種々の振る舞いを示す。通常
は、三相コイル36に流す三相交流の周波数は、クラン
クシャフト56に直結されたアウタロータ32の回転数
とインナロータ34の回転数との偏差の4倍の周波数と
している。
【0064】次に、クラッチモータ30およびアシスト
モータ40を駆動制御する制御装置80について説明す
る。制御装置80は、クラッチモータ30を駆動する第
1の駆動回路91と、アシストモータ40を駆動する第
2の駆動回路92と、両駆動回路91,92を制御する
制御CPU90と、二次電池であるバッテリ94とから
構成されている。制御CPU90は、1チップマイクロ
プロセッサであり、内部に、ワーク用のRAM90a、
処理プログラムを記憶したROM90b、入出力ポート
(図示せず)およびEFIECU70と通信を行なうシ
リアル通信ポート(図示せず)を備える。この制御CP
U90には、レゾルバ39からのエンジン50の回転角
度θe、レゾルバ48からの駆動軸22の回転角度θ
d、アクセルペダルポジションセンサ64aからのアク
セルペダルポジション(アクセルペダル64の踏込量)
AP、ブレーキペダルポジションセンサ65aからのブ
レーキペダルポジション(ブレーキペダル65の踏込
量)BP、シフトポジションセンサ84からのシフトポ
ジションSP、第1の駆動回路91に設けられた2つの
電流検出器95,96からのクラッチ電流値Iuc,I
vc、第2の駆動回路に設けられた2つの電流検出器9
7,98からのアシスト電流値Iua,Iva、残容量
検出器99からのバッテリ94の残容量BRMなどが、入
力ポートを介して入力されている。なお、残容量検出器
99は、バッテリ94の電解液の比重またはバッテリ9
4の全体の重量を測定して残容量を検出するものや、充
電・放電の電流値と時間を演算して残容量を検出するも
のや、バッテリの端子間を瞬間的にショートさせて電流
を流し内部抵抗を測ることにより残容量を検出するもの
などが知られている。
【0065】また、制御CPU90からは、第1の駆動
回路91に設けられたスイッチング素子である6個のト
ランジスタTr1ないしTr6を駆動する制御信号SW
1と、第2の駆動回路92に設けられたスイッチング素
子としての6個のトランジスタTr11ないしTr16
を駆動する制御信号SW2とが出力されている。第1の
駆動回路91内の6個のトランジスタTr1ないしTr
6は、トランジスタインバータを構成しており、それぞ
れ、一対の電源ラインL1,L2に対してソース側とシ
ンク側となるよう2個ずつペアで配置され、その接続点
に、クラッチモータ30の三相コイル(UVW)36の
各々が、スリップリング38を介して接続されている。
電源ラインL1,L2は、バッテリ94のプラス側とマ
イナス側に、それぞれ接続されているから、制御CPU
90により対をなすトランジスタTr1ないしTr6の
オン時間の割合を制御信号SW1により順次制御し、各
コイル36に流れる電流を、PWM制御によって擬似的
な正弦波にすると、三相コイル36により、回転磁界が
形成される。
【0066】他方、第2の駆動回路92の6個のトラン
ジスタTr11ないしTr16も、トランジスタインバ
ータを構成しており、それぞれ、第1の駆動回路91と
同様に配置されていて、対をなすトランジスタの接続点
は、アシストモータ40の三相コイル44の各々に接続
されている。従って、制御CPU90により対をなすト
ランジスタTr11ないしTr16のオン時間を制御信
号SW2により順次制御し、各コイル44に流れる電流
を、PWM制御によって擬似的な正弦波にすると、三相
コイル44により、回転磁界が形成される。
【0067】以上構成を説明した第1実施例の動力出力
装置20の動作について説明する。第1実施例の動力出
力装置20の動作原理、特にトルク変換の原理は以下の
通りである。エンジン50がEFIECU70により運
転され、エンジン50の回転数Neが値N1で回転して
いるとする。このとき、制御装置80がスリップリング
38を介してクラッチモータ30の三相コイル36に何
等電流を流していないとすれば、即ち第1の駆動回路9
1のトランジスタTr1,3,5をオフとしトランジス
タTr2,4,6をオンとした状態であれば、三相コイ
ル36には何等の電流も流れないから、クラッチモータ
30のアウタロータ32とインナロータ34とは電磁的
に全く結合されていない状態となり、エンジン50のク
ランクシャフト56は空回りしている状態となる。
【0068】制御装置80の制御CPU90が制御信号
SW1を出力してトランジスタをオンオフ制御すると、
エンジン50のクランクシャフト56の回転数Neと駆
動軸22の回転数Ndとの偏差(言い換えれば、クラッ
チモータ30におけるアウタロータ32とインナロータ
34の回転数差Nc(Ne−Nd))に応じて、クラッ
チモータ30の三相コイル36に電流が流れ、クラッチ
モータ30は発電機として機能し、電流が第1の駆動回
路91を介して回生され、バッテリ94が充電される。
このとき、アウタロータ32とインナロータ34とは滑
りが存在する電磁的な結合状態となり、インナロータ3
4は、エンジン50の回転数Ne(クランクシャフト5
6の回転数)より低い回転数Ndで回転する。この状態
で、回生される電気エネルギと等しいエネルギがアシス
トモータ40で消費されるように、制御CPU90が第
2の駆動回路92を制御すると、アシストモータ40の
三相コイル44に電流が流れ、アシストモータ40にお
いてトルクが発生する。
【0069】図3に照らせば、エンジン50の回転数N
eが値N1でトルクTeが値T1の運転ポイントP1で
運転しているときに、クラッチモータ30で値T1のト
ルクを駆動軸22に伝達すると共に領域G1で表わされ
るエネルギを回生し、この回生されたエネルギを領域G
2で表わされるエネルギとしてアシストモータ40に供
給することにより、値N2の回転数で回転する駆動軸2
2に値T2のトルクを出力することができる。
【0070】次に、エンジン50の回転数Neが値N2
でトルクTeが値T2の運転ポイントP2で運転されて
おり、駆動軸22の回転数Ndが値N2より大きな値N
1で回転している場合を考える。この状態では、クラッ
チモータ30のインナロータ34は、アウタロータ32
に対して回転数差Nc(Ne−Nd)の絶対値で示され
る回転数で駆動軸22の回転方向に回転するから、クラ
ッチモータ30は、通常のモータとして機能し、バッテ
リ94からの電力により駆動軸22に回転エネルギを与
える。一方、制御CPU90によりアシストモータ40
により電力を回生するよう第2の駆動回路92を制御す
ると、アシストモータ40のロータ42とステータ43
との間の滑りにより三相コイル44に回生電流が流れ
る。ここで、アシストモータ40により回生される電力
がクラッチモータ30により消費されるよう制御CPU
90により第1および第2の駆動回路91,92を制御
すれば、クラッチモータ30を、バッテリ94に蓄えら
れた電力を用いることなく駆動することができる。
【0071】図3に照らせば、クランクシャフト56の
回転数Neが値N2でトルクTeが値T2の運転ポイン
トP2で運転しているときに、領域G1と領域G3との
和として表わされるエネルギをクラッチモータ30に供
給して駆動軸22に値T2のトルクを出力すると共に、
クラッチモータ30に供給するエネルギを領域G2と領
域G3との和として表わされるエネルギとしてアシスト
モータ40から回生して賄うことにより、値N1の回転
数で回転する駆動軸22に値T1のトルクを出力するこ
とができる。
【0072】なお、第1実施例の動力出力装置20で
は、こうしたエンジン50から出力される動力のすべて
をトルク変換して駆動軸22に出力する動作の他に、エ
ンジン50から出力される動力(トルクTeと回転数N
eとの積)を駆動軸22に要求される動力(トルクTd
と回転数Ndとの積)より大きくして余剰の電気エネル
ギを見い出し、バッテリ94の充電を伴う動作とした
り、逆にエンジン50から出力される動力を駆動軸22
に要求される動力より小さくして電気エネルギが不足す
るものし、バッテリ94から放電を伴う動作とすること
もできる。
【0073】次に、実施例の動力出力装置20における
トルク制御について図4に例示するトルク制御ルーチン
に基づき具体的に説明する。トルク制御ルーチンは、動
力出力装置が起動されてから所定時間毎(例えば、20
msec毎)に繰り返し実行される。本ルーチンが実行
されると、制御装置80の制御CPU90は、まず、駆
動軸22の回転数Ndを読み込む処理を実行する(ステ
ップS100)。駆動軸22の回転数Ndは、レゾルバ
48により検出される駆動軸22の回転角度θdから求
めることができる。
【0074】続いて、アクセルペダルポジションセンサ
64aにより検出されるアクセルペダル64の踏込量で
あるアクセルペダルポジションAPを読み込む処理を行
なう(ステップS102)。アクセルペダル64は運転
者が出力トルクが足りないと感じたときに踏み込まれる
ものであり、したがって、アクセルペダルポジションA
Pの値は運転者の欲している出力トルク(すなわち、駆
動軸22に出力すべきトルク)に対応するものである。
次に、読み込んだアクセルペダルポジションAPと駆動
軸22の回転数Ndとに基づいてTd*を導出する処理
を行なう(ステップS104)。実施例では、各アクセ
ルペダルポジションAPと回転数Ndとの組み合わせに
対して対応するトルク指令値Td*を定め、これを予め
マップとしてROM90bに記憶しておき、駆動軸22
の回転数NdとアクセルペダルポジションAPが読み込
まれると、ROM90bに記憶したマップを参照して対
応するトルク指令値Td*を導出するものとした。な
お、このマップの一例を図5に示す。そして、こうして
導き出したトルク指令値Td*と読み込まれた駆動軸2
2の回転数Ndとから、駆動軸22に出力すべきエネル
ギPdを計算(Pd=Nd×Td*)により求める(ス
テップS106)。
【0075】次に、残容量検出器99により検出される
バッテリ94の残容量BRMを読み込み(ステップS10
8)、読み込んだ残容量BRMを閾値L1および閾値H1
と比較する(ステップS109)。ここで、閾値L1お
よび閾値H1は、バッテリ94の状態の適正範囲を定め
る下限値および上限値であり、バッテリ94の特性等に
よって定められるものである。バッテリ94の残容量B
RMが閾値L1未満のときには、バッテリ94の充電が必
要と判断し、充放電電力Pbに充電電力Pbiを設定し
(ステップS110)、残容量BRMが閾値L1以上閾値
H1以下のときには、バッテリ94の状態は適正範囲に
あり充放電は不要と判断し、充放電電力Pbに値0を設
定し(ステップS112)、残容量BRMが閾値H1より
大きいときには、バッテリ94の放電が必要と判断し
て、充放電電力Pbに放電電力Pboを設定する(ステ
ップS114)。ここで、充電電力Pbiや放電電力P
boは、予め設定された電力としてもよく、バッテリ9
4の残容量BRMに応じて定めるものとしてもよい。な
お、実施例では、充電電力Pbiを正の値の電力とし、
放電電力Pboを負の値の電力としているから、充放電
電力Pbはバッテリ94を充電するよう設定されるとき
には正の値となり、逆にバッテリ94からの放電を伴う
よう設定されるときには負の値となる。
【0076】そして、駆動軸22の回転数Ndやトルク
指令値Td*,充放電電力Pbに基づいて、充放電電力
Pbによるバッテリ94の充放電を伴いながら駆動軸2
2にトルク指令値Td*のトルクを出力するよう、か
つ、エンジン50,クラッチモータ30およびアシスト
モータ40の全損失が最小となるようエンジン50の目
標回転数Ne*および目標トルクTe*,クラッチモー
タ30のトルク指令値Tc*,アシストモータ40のト
ルク指令値Ta*を設定し(ステップS116)、クラ
ッチモータ30,アシストモータ40およびエンジン5
0の各制御を行なう(ステップS118ないしS12
2)。
【0077】ステップS116の各指令値の設定処理
は、図6および図7に例示する指令値設定ルーチンによ
り行なわれる。以下、この指令値設定ルーチンに基づき
各指令値が設定される様子について説明する。本ルーチ
ンが実行されると、制御装置80の制御CPU90は、
まず、駆動軸22の回転数Ndをアシストモータ40の
回転数Naに設定する(ステップS130)。続いて、
設定した回転数Naでアシストモータ40が運転可能な
トルクTaの範囲について1Nm毎のトルクの値を配列
X(i)として設定する(ステップS132)。通常、
モータは、力行動作と回生動作とを含めて回転数とトル
クにより運転可能な範囲の最大値および最小値が特性曲
線として与えられるから、回転数が与えられれば、可能
なトルクの範囲は特性曲線から上限値および下限値とし
て求められる。実施例では、この下限値から上限値の範
囲について1Nmを間隔として配列X(i)を設定する
のである。なお、配列X(i)を設定する際のトルクの
間隔として、実施例では1Nmとしたが、この値に限定
されるものではなく如何なる値としてもよい。
【0078】そして、図6に示すように、配列X(i)
の数だけステップS134ないしS164の処理を繰り
返す。以下、i番目の配列X(i)のときの処理を代表
して説明する。制御装置80の制御CPU90は、ま
ず、配列X(i)が値0以上か否かを判定する(ステッ
プS134)。配列X(i)は、前述したようにアシス
トモータ40の運転可能なトルクであるから、アシスト
モータ40を回生駆動する場合には負の値となり、力行
駆動するときには正の値となる。
【0079】配列X(i)が値0以上のとき、即ちアシ
ストモータ40が力行駆動されるトルクのときには、制
御装置80の制御CPU90は、まず、配列X(i)と
回転数Naとにより力行駆動されるアシストモータ40
の損失Saを導出する処理を行なう(ステップS14
0)。実施例では、各回転数NaとトルクTaとによっ
てアシストモータ40を駆動したときの損失Saを実験
などにより予め求めてマップとしてROM90bに記憶
しておき、回転数NaとトルクTaとが与えられたとき
に、ROM90bに記憶したマップから損失Saを導出
するものとした。なお、マップにより導出する手法に代
えて、理論式や実験式などにより算出するものとしても
よい。続いて、アシストモータ40により消費される電
力Paを次式(1)により算出すると共に(ステップS
141)、クラッチモータ30のトルクTc(i)を次
式(2)により算出する(ステップS142)。クラッ
チモータ30のトルクTc(i)が式(2)で算出でき
るのは、駆動軸22に出力すべきトルクTd*が、クラ
ッチモータ30のトルクTcとアシストモータ40のト
ルクTaとの和となるからである。
【0080】 Pa=X(i)×Na+Sa …(1) Tc(i)=Td*−X(i) …(2)
【0081】次に、クラッチモータ30により回生され
る電力からクラッチモータ30の損失Scを減じたもの
がアシストモータ40により消費される電力Paと充放
電電力Pb(正の値のときが充電で、負の値のときが放
電)との和に等しくなるようクラッチモータ30の回転
数Ncと損失Scとを計算する(ステップS143)。
即ち、次式(3)および式(4)が成立するようにクラ
ッチモータ30の回転数Ncと損失Scとを計算するの
である。クラッチモータ30の損失Scは、アシストモ
ータ40の損失Saを導出したときと同様に、各回転数
NcとトルクTcとによってクラッチモータ30を駆動
したときの損失Scを実験などにより予め求めてマップ
としてROM90bに記憶しておき、回転数Ncとトル
クTcとが与えられたときに、ROM90bに記憶した
マップから損失Scを導出するものとしたが、こうした
マップにより導出する手法に代えて、理論式や実験式な
どにより算出するものとしてもよいのは言うまでもな
い。なお、このステップS143の処理では、式(3)
に回転数Ncと損失Scが含まれ、式(4)の損失Sc
は回転数Ncに基づいてマップにより導出されるから、
回転数Ncを順次変化させて式(4)により各回転数N
cに対応する損失Scを求め、各回転数Ncと損失Sc
とを式(3)に代入してこれが成立する回転数Ncと損
失Scとを求める処理となる。
【0082】 Pa+Pb=Tc(i)×Nc−Sc …(3) Sc=fsc1(Tc(i),Nc) …(4)
【0083】続いて、算出したトルクTc(i)と駆動
軸22の回転数Ndとクラッチモータ30の回転数Nc
とにより次式(5)および式(6)によりエンジン50
のトルクTe(i)と回転数Ne(i)とを算出する
(ステップS144)。ここで、式(5)のようにエン
ジン50のトルクTeにクラッチモータ30のトルクT
cを代入するのは、エンジン50の負荷トルクがクラッ
チモータ30のトルクTcになるからである。また、式
(6)のようにエンジン50の回転数Neが計算される
のは、クラッチモータ30の回転数Ncがクランクシャ
フト56の回転数Neと駆動軸22の回転数Ndとの偏
差(Nc=Ne−Nd)となるからである。
【0084】Te(i)=Tc(i) …(5) Ne(i)=Nd+Nc …(6)
【0085】そして、求めたトルクTe(i)と回転数
Ne(i)との運転ポイントでエンジン50を運転した
ときの損失Seを導出する処理を行なう(ステップS1
45)。この損失Seの導出は、アシストモータ40の
損失Saやクラッチモータ30の損失Scの導出と同様
に、各回転数NeとトルクTeとによってエンジン50
を運転したときの損失Seを実験などにより予め求めて
マップとしてROM90bに記憶しておき、回転数Ne
とトルクTeとが与えられたときに、ROM90bに記
憶したマップから損失Seを導出するものとした。な
お、こうしたマップにより導出する手法に代えて、理論
式や実験式などにより算出するものとしてもよい。
【0086】こうしてアシストモータ40,クラッチモ
ータ30およびエンジン50の各損失Sa,Sc,Se
を求めると、これらの和をとって配列X(i)のときの
全損失St(i)を算出し(ステップS160)、配列
カウンタiをインクリメントして(ステップS16
2)、インクリメントした配列カウンタiに対応する配
列X(i)が存在するか否かを判定する(ステップS1
64)。こうして配列カウンタiをインクリメントする
ことにより配列X(i)のすべてについてステップS1
34ないしS164の処理を行なうのである。
【0087】一方、ステップS134で配列X(i)が
負の値であると判定されたとき、即ちアシストモータ4
0が回生駆動されるトルクのときには、制御装置80の
制御CPU90は、まず、配列X(i)と回転数Naと
により回生駆動されるアシストモータ40の損失Saを
導出する処理を行なう(ステップS150)。この処理
も、アシストモータ40が力行駆動されるときと同様
に、予めROM90bに記憶されたマップから損失Sa
を導出するものとした。続いて、アシストモータ40に
より回生される電力Paを次式(7)により算出すると
共に(ステップS151)、クラッチモータ30のトル
クTc(i)を上式(2)により算出する(ステップS
152)。式(7)の右辺第1項に負符号が付してある
のは、配列X(i)が負であるから、負符号を加えて電
力Paを正の値として取り扱うためである。
【0088】 Pa=−X(i)×Na−Sa …(7)
【0089】次に、クラッチモータ30により消費され
る電力とクラッチモータ30の損失Scとの和がアシス
トモータ40により回生される電力Paと充放電電力P
bとの差とに等しくなるようクラッチモータ30の回転
数Ncと損失Scとを計算する(ステップS153)。
即ち、次式(8)および式(9)が成立するようにクラ
ッチモータ30の回転数Ncと損失Scとを計算するの
である。式(8)および式(9)の式(3)および式
(4)に対する相違は、配列X(i)が負の値であるに
も拘わらずアシストモータ40により回生される電力P
aを正の値として用いたこと、クラッチモータ30が力
行駆動されることに基づく。なお、力行駆動されるクラ
ッチモータ30の損失Scも、クラッチモータ30が回
生駆動されるときと同様に、予めROM90bに記憶さ
れたマップから導出するものとした。また、このステッ
プS153の処理では、ステップS143の処理と同様
に、式(8)に回転数Ncと損失Scが含まれ、式
(9)の損失Scは回転数Ncに基づいてマップにより
導出されるから、回転数Ncを順次変化させて式(9)
により各回転数Ncに対応する損失Scを求め、各回転
数Ncと損失Scとを式(8)に代入してこれが成立す
る回転数Ncと損失Scとを求める処理となる。
【0090】 Pa−Pb=−Tc(i)×Nc+Sc …(8) Sc=fsc2(Tc(i),Nc) …(9)
【0091】続いて、算出したトルクTc(i)と駆動
軸22の回転数Ndとクラッチモータ30の回転数Nc
とにより次式(5)および式(6)によりエンジン50
のトルクTe(i)と回転数Ne(i)とを算出し(ス
テップS154)、ステップS145と同一の処理によ
り、算出したトルクTe(i)と回転数Ne(i)との
運転ポイントでエンジン50を運転したときの損失Se
を導出する処理を行なう(ステップS155)。
【0092】そして、求めたアシストモータ40,クラ
ッチモータ30およびエンジン50の各損失Sa,S
c,Seの和をとって配列X(i)のときの全損失St
(i)の算出(ステップS160)、配列カウンタiの
インクリメント(ステップS162)、インクリメント
した配列カウンタiに対応する配列X(i)の存在の確
認(ステップS164)の各処理を行なう。
【0093】こうしてすべての配列X(i)についてス
テップS134ないしS164の処理を終えて、ステッ
プS164で配列X(i)の存在が否定されると、制御
装置80の制御CPU90は、算出した全損失St
(i)のうち最も小さなものの配列カウンタiを決定し
(ステップS166)、この決定された配列カウンタi
における回転数Ne(i)およびトルクTe(i)をエ
ンジン50の目標回転数Ne*および目標トルクTe*
に設定すると共にトルクTc(i)をクラッチモータ3
0のトルク指令値Tc*に設定し、更に、配列X(i)
をアシストモータ40のトルク指令値Ta*に設定する
(ステップS168)。このように設定することによ
り、装置全体の損失が最も小さな状態で、即ち装置全体
の効率が最も高い状態で、充放電電力Pbによるバッテ
リ94の充放電を伴いながらトルク指令値Td*のトル
クを駆動軸22に出力することができる。
【0094】次に、図4のステップS118ないしS1
22のクラッチモータ30,アシストモータ40および
エンジン50の各制御について説明する。実施例では、
図示の都合上、クラッチモータ30,アシストモータ4
0およびエンジン50の各制御をトルク制御ルーチンの
別々のステップとして記載したが、実際には、これらの
制御はこのルーチンとは別個独立にかつ総合的に行なわ
れる。例えば、制御CPU90が割り込み処理を利用し
て、クラッチモータ30とアシストモータ40の制御を
本ルーチンとは異なるタイミングで平行して実行すると
共に、通信によりEFIECU70に指示を送信して、
EFIECU70によりエンジン50の制御も平行して
行なわせるのである。
【0095】クラッチモータ30の制御(図4のステッ
プS118)は、図8に例示するクラッチモータ制御ル
ーチンによってなされる。このルーチンが実行される
と、制御装置80の制御CPU90は、まず、駆動軸2
2の回転角度θdをレゾルバ48から、エンジン50の
クランクシャフト56の回転角度θeをレゾルバ39か
ら入力する処理を行ない(ステップS170,S17
1)、クラッチモータ30の電気角θcを両軸の回転角
度θe,θdから求める処理を行なう(ステップS17
2)。実施例では、クラッチモータ30として4極対の
同期電動機を用いているから、θc=4(θe−θd)
を演算することになる。
【0096】次に、電流検出器95,96により、クラ
ッチモータ30の三相コイル36のU相とV相に流れて
いる電流Iuc,Ivcを検出する処理を行なう(ステ
ップS173)。電流はU,V,Wの三相に流れている
が、その総和はゼロなので、二つの相に流れる電流を測
定すれば足りる。こうして得られた三相の電流を用いて
座標変換(三相−二相変換)を行なう(ステップS17
4)。座標変換は、永久磁石型の同期電動機のd軸,q
軸の電流値に変換することであり、次式(10)を演算
することにより行なわれる。ここで座標変換を行なうの
は、永久磁石型の同期電動機においては、d軸及びq軸
の電流が、トルクを制御する上で本質的な量だからであ
る。もとより、三相のまま制御することも可能である。
【0097】
【数1】
【0098】次に、2軸の電流値に変換した後、クラッ
チモータ30におけるトルク指令値Tc*から求められ
る各軸の電流指令値Idc*,Iqc*と実際各軸に流
れた電流Idc,Iqcと偏差を求め、各軸の電圧指令
値Vdc,Vqcを求める処理を行なう(ステップS1
76)。即ち、まず以下の式(11)の演算を行ない、
次に次式(12)の演算を行なうのである。ここで、K
p1,2及びKi1,2は、各々係数である。これらの
係数は、適用するモータの特性に適合するよう調整され
る。なお、電圧指令値Vdc,Vqcは、電流指令値I
*との偏差△Iに比例する部分(式(12)右辺第1
項)と偏差△Iのi回分の過去の累積分(右辺第2項)
とから求められる。
【0099】
【数2】
【0100】
【数3】
【0101】その後、こうして求めた電圧指令値をステ
ップS174で行なった変換の逆変換に相当する座標変
換(二相−三相変換)を行ない(ステップS178)、
実際に三相コイル36に印加する電圧Vuc,Vvc,
Vwcを求める処理を行なう。各電圧は、次式(13)
により求める。
【0102】
【数4】
【0103】実際の電圧制御は、第1の駆動回路91の
トランジスタTr1ないしTr6のオンオフ時間により
なされるから、式(13)によって求めた各電圧指令値
となるよう各トランジスタTr1ないしTr6のオン時
間をPWM制御する(ステップS179)。
【0104】なお、クラッチモータ30の制御は、トル
ク指令値Tc*の符号を駆動軸22にクランクシャフト
56の回転方向に正のトルクが作用するときを正とする
と、正の値のトルク指令値Tc*が設定されても、エン
ジン50の回転数Neが駆動軸22の回転数Ndより大
きいとき(正の値の回転数差Nc(Ne−Nd)が生じ
るとき)には、回転数差Ncに応じた回生電流を発生さ
せる回生制御がなされ、回転数Neが回転数Ndより小
さいとき(負の値の回転数差Nc(Ne−Nd)が生じ
るとき)には、クランクシャフト56に対して相対的に
回転数差Ncの絶対値で示される回転数で駆動軸22の
回転方向に回転する力行制御がなされる。クラッチモー
タ30の回生制御と力行制御は、トルク指令値Tc*が
正の値であれば、共にアウタロータ32に取り付けられ
た永久磁石35と、インナロータ34の三相コイル36
に流れる電流により生じる回転磁界とにより正の値のト
ルクが駆動軸22に作用するよう第1の駆動回路91の
トランジスタTr1ないしTr6を制御するものである
から、同一のスイッチング制御となる。即ち、トルク指
令値Tc*の符号が同じであれば、クラッチモータ30
の制御が回生制御であっても力行制御であっても同じス
イッチング制御となる。したがって、図8のクラッチモ
ータ制御ルーチンで回生制御と力行制御のいずれも行な
うことができる。また、トルク指令値Tc*が負の値の
とき、即ち駆動軸22を制動しているときや車両を後進
させているときは、ステップS172のクラッチモータ
30の電気角θcの変化の方向が逆になるから、この際
の制御も図8のクラッチモータ制御ルーチンにより行な
うことができる。
【0105】次に、アシストモータ40の制御(図4の
ステップS120)について図9に例示するアシストモ
ータ制御ルーチンに基づき説明する。アシストモータ制
御ルーチンでは、制御CPU90は、まず、駆動軸22
の回転角度θdをレゾルバ48を用いて検出し(ステッ
プS180)、続いて、アシストモータ40の電気角θ
aを駆動軸22の回転角度θdから求める処理を行なう
(ステップS181)。実施例では、アシストモータ4
0にも4極対の同期電動機を用いているから、θa=4
θdを演算することになる。そして、アシストモータ4
0の各相電流を電流検出器97,98を用いて検出する
処理(ステップS182)を行なう。その後、クラッチ
モータ30と同様の座標変換(ステップS184)およ
び電圧指令値Vda,Vqaの演算を行ない(ステップ
S186)、更に電圧指令値の逆座標変換(ステップS
188)を行なって、アシストモータ40の第2の駆動
回路92のトランジスタTr11ないしTr16のオン
オフ制御時間を求め、PWM制御を行なう(ステップS
189)。これらの処理は、クラッチモータ30につい
て行なったものと全く同一である。
【0106】ここで、アシストモータ40のトルク指令
値Ta*は、アシストモータ40が力行駆動されるか回
生駆動されるかにより正の値となったり負の値となった
りする。しかし、アシストモータ40の力行制御と回生
制御は、クラッチモータ30の制御と同様に、共に図9
のアシストモータ制御ルーチンで行なうことができる。
また、駆動軸22がクランクシャフト56の回転方向と
逆向きに回転しているときも同様である。なお、アシス
トモータ40のトルク指令値Ta*の符号は、駆動軸2
2にクランクシャフト56の回転方向に正のトルクが作
用するときを正とした。
【0107】次に、エンジン50の制御(図4のステッ
プS122)について説明する。エンジン50は、図6
および図7の指令値設定ルーチンにより設定された目標
回転数Ne*とと目標トルクTe*とにより表わされる
運転ポイントで定常運転状態となるようその回転数Ne
とトルクTeとが制御される。具体的には、エンジン5
0が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とで表わされ
る運転ポイントで運転されるよう、制御CPU90から
通信により目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受
信したEFIECU70によってスロットルバルブ66
の開度制御,燃料噴射弁51からの燃料噴射制御および
点火プラグ62による点火制御が行なわれると共に、制
御装置80の制御CPU90によりエンジン50の負荷
トルクとしてのクラッチモータ30のトルクTcを制御
が行なわれるのである。エンジン50は、その負荷トル
クにより出力トルクTeと回転数Neとが変化するか
ら、EFIECU70による制御だけでは目標トルクT
e*および目標回転数Ne*の運転ポイントで運転する
ことはできず、負荷トルクを与えるクラッチモータ30
のトルクTcの制御も必要となるからである。なお、ク
ラッチモータ30のトルクTcの制御は、前述したクラ
ッチモータ30の制御で説明した。
【0108】こうしたクラッチモータ30,アシストモ
ータ40およびエンジン50の各制御によりクラッチモ
ータ30,アシストモータ40およびエンジン50は設
定された指令値で運転される。
【0109】以上説明した第1実施例の動力出力装置2
0によれば、充放電電力Pbによるバッテリ94の充放
電を伴いながらトルク指令値Td*のトルクを駆動軸2
2に出力することが可能なクラッチモータ30,アシス
トモータ40およびエンジン50の運転状態のうち、各
損失の総計である全損失が最も小さな運転状態となるよ
うクラッチモータ30,アシストモータ40およびエン
ジン50を運転するから、装置全体の効率をより高くす
ることができる。しかも、クラッチモータ30,アシス
トモータ40およびエンジン50の各損失をそれぞれR
OM90bに記憶した回転数とトルクと損失との関係を
示すマップから導出するものとしたから、複雑な損失計
算をする必要がなく、短時間で全損失が最も小さな運転
状態を各指令値に設定することができる。
【0110】第1実施例の動力出力装置20では、バッ
テリ94を充放電電力Pbにより充放電するものとした
が、バッテリ94の充放電を考慮しないものとしてもよ
い。この場合、バッテリ94の残容量BRMが閾値L1以
上閾値H1以下の状態、即ち充放電電力Pbに値0が設
定された状態と同様の制御となる。こうすれば、トルク
指令値Td*のトルクを駆動軸22に出力することが可
能なクラッチモータ30,アシストモータ40およびエ
ンジン50の運転状態のうち、各損失の総計である全損
失が最も小さな運転状態となるようクラッチモータ3
0,アシストモータ40およびエンジン50を運転する
ことができる。
【0111】第1実施例の動力出力装置20では、クラ
ッチモータ30,アシストモータ40およびエンジン5
0の各損失をそれぞれROM90bに記憶した回転数と
トルクと損失との関係を示すマップから導出するものと
したが、それぞれの損失を理論式や実験式などにより算
出するものとしてもよい。
【0112】第1実施例の動力出力装置20では、すべ
ての配列X(i)におけるクラッチモータ30,アシス
トモータ40およびエンジン50の各損失を導出すると
共にこれらの和をとって全損失St(i)を求め、更に
すべての全損失St(i)のうち最も小さなものの配列
カウンタiを決定し、その配列カウンタiに対応するト
ルクTe(i)等により各指令値(Te*,Ne*,T
c*,Ta*)を設定したが、駆動軸22の回転数Nd
と駆動軸22に出力すべきエネルギPdとバッテリ94
の充放電電力Pbと全損失が最も小さな各指令値(Te
*,Ne*,Tc*,Ta*)とを予めマップとしてR
OM90bに記憶しておき、回転数NdとエネルギPd
と充放電電力Pbとが与えられたら、このマップから各
指令値(Te*,Ne*,Tc*,Ta*)を導出する
ものとしてもよい。この場合のトルク制御ルーチンを図
10に例示する。マップを用いて各指令値(Te*,N
e*,Tc*,Ta*)を導出する処理(ステップS2
16)を除いて図4のトルク制御ルーチンと同一であ
る。こうすれば、クラッチモータ30やアシストモータ
40、エンジン50の各損失を導出したり、これらの和
をとって全損失を算出したり、更にすべての全損失のう
ち最も小さなものを選出するなどといった処理が不要と
なるから、極めて短時間で容易に各指令値(Te*,N
e*,Tc*,Ta*)を設定することができる。
【0113】また、第1実施例の動力出力装置20で
は、クラッチモータ30とアシストモータ40とをそれ
ぞれ別個に駆動軸22に取り付けたが、図11に例示す
る変形例の動力出力装置20Aのように、クラッチモー
タとアシストモータとが一体となるよう構成してもよ
い。この変形例の動力出力装置20Aの構成について以
下に簡単に説明する。図示するように、変形例の動力出
力装置20Aのクラッチモータ30Aは、クランクシャ
フト56に結合したインナロータ34Aと、駆動軸22
に結合したアウタロータ32Aとから構成され、インナ
ロータ34Aには三相コイル36Aが取り付けられてお
り、アウタロータ32Aには永久磁石35Aがその外周
面側の磁極と内周面側の磁極とが異なるよう嵌め込まれ
ている。なお、図示しないが、永久磁石35Aの外周面
側の磁極と内周面側の磁極との間には、非磁性体により
構成された部材が嵌挿されている。一方、アシストモー
タ40Aは、このクラッチモータ30Aのアウタロータ
32Aと、三相コイル44が取り付けられたステータ4
3とから構成される。すなわち、クラッチモータ30A
のアウタロータ32Aがアシストモータ40Aのロータ
を兼ねる構成となっている。なお、クランクシャフト5
6に結合したインナロータ34Aに三相コイル36Aが
取り付けられているから、クラッチモータ30Aの三相
コイル36Aに電力を供給するスリップリング38は、
クランクシャフト56に取り付けられている。
【0114】この変形例の動力出力装置20Aでは、ア
ウタロータ32Aに嵌め込まれた永久磁石35Aの内周
面側の磁極に対してインナロータ34Aの三相コイル3
6Aに印加する電圧を制御することにより、クラッチモ
ータ30とアシストモータ40とを駆動軸22に別個に
取り付けた前述の動力出力装置20のクラッチモータ3
0と同様に動作する。また、アウタロータ32Aに嵌め
込まれた永久磁石35Aの外周面側の磁極に対してステ
ータ43の三相コイル44に印加する電圧を制御するこ
とにより実施例の動力出力装置20のアシストモータ4
0と同様に動作する。したがって、変形例の動力出力装
置20Aは、上述した実施例の動力出力装置20が行な
うすべての動作について同様に動作する。
【0115】こうした変形例の動力出力装置20Aによ
れば、アウタロータ32Aがクラッチモータ30Aのロ
ータの一方とアシストモータ40Aのロータとを兼ねる
から、動力出力装置の小型化および軽量化を図ることが
できる。
【0116】また、第1実施例の動力出力装置20で
は、アシストモータ40を駆動軸22に取り付けたが、
図12の変形例の動力出力装置20Bに示すように、ア
シストモータ40をエンジン50とクラッチモータ30
との間のクランクシャフト56に取り付けてもよい。こ
うした変形例の動力出力装置20は次のように動作す
る。今、エンジン50が、図3のトルクと回転数とによ
り表わされる出力エネルギ一定の曲線上の回転数Neが
値N1でトルクTeが値T1の運転ポイントP1で運転
されており、駆動軸22が値N2の回転数Ndの回転数
で回転しているとする。クランクシャフト56に取り付
けられたアシストモータ40からクランクシャフト56
にトルクTa(Ta=T2−T1)を出力すれば、図3
の領域G2と領域G3の和で表わされるエネルギがクラ
ンクシャフト56に与えられて、クランクシャフト56
のトルクは値T2(T1+Ta)となる。一方、クラッ
チモータ30のトルクTcを値T2として制御すれば、
駆動軸22にこのトルクTc(T1+Ta)が出力され
ると共に、エンジン50の回転数Neと駆動軸22の回
転数Ndとの回転数差Ncに基づく電力(領域G1と領
域G3との和で表わされるエネルギ)が回生される。し
たがって、アシストモータ40のトルクTaをクラッチ
モータ30により回生される電力により丁度賄えるよう
設定し、この回生電力を電源ラインL1,L2を介して
第2の駆動回路92に供給すれば、アシストモータ40
は、この回生電力により駆動することになる。
【0117】また、エンジン50が、図3中の回転数N
eが値N2でトルクTeが値T2の運転ポイントP2で
運転されており、駆動軸22が値N2の回転数Ndで回
転しているときを考える。このとき、アシストモータ4
0のトルクTaをT2−T1で求められる値として制御
すれば、アシストモータ40は回生制御され、図3中の
領域G2で表わされるエネルギ(電力)をクランクシャ
フト56から回生する。一方、クラッチモータ30は、
インナロータ34がアウタロータ32に対して回転数差
Nc(N1−N2)の回転数で駆動軸22の回転方向に
相対的に回転するから、通常のモータとして機能し、回
転数差Ncに応じた領域G1で表わされるエネルギを駆
動軸22に回転エネルギとして与える。したがって、ア
シストモータ40のトルクTaを、アシストモータ40
により回生される電力でクラッチモータ30により消費
される電力を丁度賄えるよう設定すれば、クラッチモー
タ30は、アシストモータ40により回生される電力に
よって駆動することになる。
【0118】したがって、変形例の動力出力装置20B
でも、第1実施例の動力出力装置20と同様に、アシス
トモータ40のトルクTaおよびクラッチモータ30の
トルクTcを、次式(14)および式(15)が成り立
つよう制御すれば、エンジン50から出力されるエネル
ギを自由にトルク変換して駆動軸22に付与することが
できる。また、変形例の動力出力装置20Bでも、第1
実施例の動力出力装置20と同様に、こうしたエンジン
50から出力される動力のすべてをトルク変換して駆動
軸22に出力する動作の他に、エンジン50から出力さ
れる動力(トルクTeと回転数Neとの積)を駆動軸2
2に要求される動力(トルクTdと回転数Ndとの積)
より大きくして余剰の電気エネルギを見い出し、バッテ
リ94の充電を伴う動作としたり、逆にエンジン50か
ら出力される動力を駆動軸22に要求される動力より小
さくして電気エネルギが不足するものし、バッテリ94
から放電を伴う動作とすることもできる。
【0119】Te×Ne=Tc×Nd …(14) Te+Ta=Tc=Td …(15)
【0120】したがって、変形例の動力出力装置20B
でも、第1実施例の動力出力装置20と同様に図4のト
ルク制御ルーチンを実行することができ、第1実施例の
動力出力装置20が奏する効果と同様に効果を奏するこ
とができる。なお、変形例の動力出力装置20Bでは、
アシストモータ40がクランクシャフト56に取り付け
られていることから、図6および図7の指令値設定ルー
チンに代えて図13および図14の指令値設定ルーチン
を実行する必要がある。以下、この変形例の動力出力装
置20Bの制御装置80により実行される図13および
図14の指令値設定ルーチンについて説明する。
【0121】本ルーチンが実行されると、変形例の動力
出力装置20Bにおける制御装置80の制御CPU90
は、まず、クラッチモータ30のトルクTcにトルク指
令値Td*を設定する(ステップS230)。変形例の
動力出力装置20Bでは、クラッチモータ30から出力
するトルクが駆動軸22に出力すべきトルクとなるから
である。続いて、設定したトルクTcでクラッチモータ
30が運転可能な回転数Ncの範囲について50rpm
毎の回転数の値を配列X(i)として設定する(ステッ
プS232)。前述したように、モータは、力行動作と
回生動作とを含めて回転数とトルクにより運転可能な範
囲の最大値および最小値が特性曲線として与えられるか
ら、トルクが与えられれば、可能な回転数の範囲は特性
曲線から上限値および下限値として求められる。実施例
では、この下限値から上限値の範囲について50rpm
を間隔として配列X(i)を設定するのである。なお、
配列X(i)を設定する際の回転数の間隔として、実施
例では50rpmとしたが、この値に限定されるもので
はなく如何なる値としてもよい。また、クラッチモータ
30の回転数Ncは、駆動軸22の回転数Ndが与えら
れれば、エンジン50の出力軸であるクランクシャフト
56の回転数Neと回転数Ndとの偏差であるから、ク
ラッチモータ30の回転数Ncを配列X(i)とするこ
とは、クランクシャフト56の回転数Neを配列X
(i)とするのと同値である。
【0122】そして、図6および図7の指令値設定ルー
チンと同様に、配列X(i)の数だけステップS234
ないしS264の処理を繰り返す。ここでも同様に、i
番目の配列X(i)のときの処理を代表して説明する。
制御装置80の制御CPU90は、まず、配列X(i)
が値0以上か否かを判定する(ステップS234)。配
列X(i)は、前述したようにクラッチモータ30の運
転可能な回転数であるから、クランクシャフト56の回
転数Neが駆動軸22の回転数Ndより大きいときには
正の値となり、逆に小さいときには負の値となる。
【0123】配列X(i)が値0以上のとき、即ちクラ
ンクシャフト56の回転数Neが駆動軸22の回転数N
dより大きいときには、制御装置80の制御CPU90
は、まず、トルクTcと配列X(i)とにより回生駆動
されるクラッチモータ30の損失Scを導出する処理を
行なう(ステップS240)。この変形例でも、損失S
cは、ROM90bに予め記憶されたトルクTcと回転
数Ncと損失Scとの関係をマップを用いて導出するも
のとした。続いて、クラッチモータ30により回生され
る電力Pcを次式(16)により算出すると共に(ステ
ップS241)、アシストモータ40の回転数Na
(i)を次式(17)により算出する(ステップS24
2)。アシストモータ40の回転数Na(i)が式(1
7)で算出できるのは、アシストモータ40の回転数N
aがクランクシャフト56の回転数Neに等しいからで
ある。
【0124】 Pc=Tc×X(i)−Sc …(16) Na(i)=Nd+X(i) …(17)
【0125】次に、アシストモータ40により消費され
る電力とアシストモータ40の損失Saとの和がクラッ
チモータ30により回生される電力Pcと充放電電力P
bとの差に等しくなるようアシストモータ40のトルク
Ta(i)と損失Saとを計算する(ステップS24
3)。即ち、次式(18)および式(19)が成立する
ようにアシストモータ40のトルクTa(i)と損失S
aとを計算するのである。この変形例でも損失Saは、
第1実施例の動力出力装置20と同様に、ROM90b
に予め記憶されたトルクTaと回転数Naと損失Saと
の関係をマップを用いて導出するものとした。なお、こ
のステップS243の処理は、式(18)にトルクTa
(i)と損失Saが含まれ、式(19)の損失Saはト
ルクTa(i)に基づいてマップにより導出されるか
ら、トルクTa(i)を順次変化させて式(19)によ
り各トルクTa(i)に対応する損失Saを求め、各ト
ルクTa(i)と損失Saとを式(18)に代入してこ
れが成立するトルクTa(i)と損失Saとを求める処
理となる。
【0126】 Pc−Pb=Ta(i)×Na(i)+Sa …(18) Sa=fsc1(Ta(i),Na(i)) …(19)
【0127】続いて、トルクTcと算出したトルクTa
(i)および回転数Na(i)とにより次式(20)お
よび式(21)によりエンジン50のトルクTe(i)
と回転数Ne(i)とを算出する(ステップS24
4)。ここで、式(20)のようにエンジン50のトル
クTeに設定するのは、エンジン50のトルクTeとア
シストモータ40のトルクTaとの和がクラッチモータ
30のトルクTcとなるからである。
【0128】 Te(i)=Tc−Ta(i) …(20) Ne(i)=Na(i) …(21)
【0129】そして、図6および図7の指令値設定ルー
チンのステップS145,S160ないしS164と同
一の処理のステップS245,S260ないしS264
の処理、即ち、エンジン50の損失Seの導出(ステッ
プS245)、全損失St(i)の算出(ステップS2
60)、配列カウンタiのインクリメント(ステップS
262)、配列X(i)の存在の確認(ステップS26
4)の処理を行なう。
【0130】一方、ステップS234で配列X(i)が
負の値であると判定されたとき、即ちクランクシャフト
56の回転数Neが駆動軸22の回転数Ndより小さい
ときには、制御装置80の制御CPU90は、まず、ト
ルクTcと配列X(i)とにより力行駆動されるクラッ
チモータ30の損失Scを導出する処理を行なう(ステ
ップS250)。この処理も、ROM90bに予め記憶
されたトルクTcと回転数Ncと損失Scとの関係をマ
ップを用いて行なわれる。続いて、クラッチモータ30
により消費される電力Pcを次式(22)により算出す
ると共に(ステップS251)、アシストモータ40の
回転数Na(i)を上式(17)により算出する(ステ
ップS252)。式(22)の右辺第1項に負符号が付
してあるのは、配列X(i)が負であるから、負符号を
加えて電力Pcを正の値として取り扱うためである。
【0131】 Pc=−Tc×X(i)+Sc …(22)
【0132】次に、アシストモータ40により回生され
る電力からアシストモータ40の損失Saを減じたもの
がクラッチモータ30により消費される電力Pcと充放
電電力Pbとの和に等しくなるようアシストモータ40
のトルクTa(i)と損失Saとを計算する(ステップ
S253)。即ち、次式(23)および式(24)が成
立するようにアシストモータ40のトルクTa(i)と
損失Saとを計算するのである。式(23)および式
(24)の式(18)および式(19)に対する相違
は、配列X(i)が負の値であるにも拘わらずクラッチ
モータ30により消費される電力Pcを正の値として用
いたことと、アシストモータ40が回生駆動されること
に基づく。なお、回生駆動されるアシストモータ40の
損失Saを導出する処理も、予めROM90bに記憶さ
れたマップを用いて行なった。また、このステップS2
53の処理では、ステップS243の処理と同様に、式
(23)にトルクTa(i)と損失Saが含まれ、式
(24)の損失SaはトルクTa(i)に基づいてマッ
プにより導出されるから、トルクTa(i)を順次変化
させて式(24)により各トルクTa(i)に対応する
損失Saを求め、各トルクTa(i)と損失Saとを式
(23)に代入してこれが成立するトルクTa(i)と
損失Saとを求める処理となる。
【0133】 Pc+Pb=Ta(i)×Na(i)−Sa …(23) Sa=fsc2(Ta(i),Na(i)) …(24)
【0134】続いて、ステップS244およびS245
の処理と同一のステップS254およびS255の処理
によりエンジン50のトルクTe(i)およびNe
(i)を求めると共にエンジン50の損失Seを導出
し、ステップS260ないしS264の処理を行なう。
【0135】こうしてすべての配列X(i)についてス
テップS234ないしS264の処理を終えて、ステッ
プS264で配列X(i)の存在が否定されると、制御
装置80の制御CPU90は、算出した全損失St
(i)のうち最も小さなものの配列カウンタiを決定し
(ステップS266)、この決定された配列カウンタi
における回転数Ne(i)およびトルクTe(i)をエ
ンジン50の目標回転数Ne*および目標トルクTe*
に設定すると共にトルク指令値Td*をクラッチモータ
30のトルク指令値Tc*に設定し、更に、トルクTa
(i)をアシストモータ40のトルク指令値Ta*に設
定する(ステップS268)。このように設定すること
により、装置全体の損失が最も小さな状態で、即ち装置
全体の効率が最も高い状態で、充放電電力Pbによるバ
ッテリ94の充放電を伴いながらトルク指令値Td*の
トルクを駆動軸22に出力することができる。
【0136】以上説明した変形例の動力出力装置20B
でも、第1実施例の動力出力装置20と同様に、装置の
全損失が最も小さな運転状態で、充放電電力Pbによる
バッテリ94の充放電を伴いながらトルク指令値Td*
のトルクを駆動軸22に出力することができる。しか
も、クラッチモータ30,アシストモータ40およびエ
ンジン50の各損失をそれぞれROM90bに記憶した
回転数とトルクと損失との関係を示すマップから導出す
るものとしたから、複雑な損失計算をする必要がなく、
短時間で全損失が最も小さな運転状態を各指令値に設定
することができる。
【0137】なお、変形例の動力出力装置20Bでも、
第1実施例の動力出力装置20と同様に、バッテリ94
の充放電を考慮しないものとしてもよい。また、各損失
を理論式や実験式などにより算出するものとしてもよい
し、駆動軸22の回転数Ndと駆動軸22に出力すべき
エネルギPdとバッテリ94の充放電電力Pbと全損失
が最も小さな各指令値(Te*,Ne*,Tc*,Ta
*)とを予めマップとしてROM90bに記憶してお
き、回転数NdとエネルギPdと充放電電力Pbとが与
えられたら、このマップから各指令値(Te*,Ne
*,Tc*,Ta*)を導出するものとしてもよい。
【0138】こうした変形例の動力出力装置20Bで
は、アシストモータ40をエンジン50とクラッチモー
タ30との間のクランクシャフト56に取り付けたが、
図15に例示する変形例の動力出力装置20Cのよう
に、アシストモータ40とクラッチモータ30とでエン
ジン50を挟持する配置としてもよい。
【0139】また、変形例の動力出力装置20Bを、図
16に例示する変形例の動力出力装置20Dのように、
クラッチモータとアシストモータとを一体となるよう構
成してもよい。こうした変形例の動力出力装置20Dで
は、図示するように、クラッチモータ30Dのアウタロ
ータ32Dがアシストモータ40Dのロータを兼ねる構
成となっており、アウタロータ32Dに嵌め込まれた永
久磁石35Dの内周面側の磁極に対してインナロータ3
4Dの三相コイル36に印加する電圧を制御することに
より、変形例の動力出力装置20Bのクラッチモータ3
0と同様の動作が可能となる。また、アウタロータ32
Dに嵌め込まれた永久磁石35Dの外周面側の磁極に対
してステータ43の三相コイル44に印加する電圧を制
御することにより、変形例の動力出力装置20Bのアシ
ストモータ40と同様の動作が可能となる。したがっ
て、変形例の動力出力装置20Dは、変形例の動力出力
装置20Bのすべての動作について全く同様に動作する
ことができる。この変形例の動力出力装置20Dによれ
ば、変形例の動力出力装置20Bが奏する効果、即ち第
1実施例の動力出力装置20が奏する効果の他に動力出
力装置の小型化および軽量化を図ることができるという
効果も奏する。
【0140】こうした第1実施例の動力出力装置20や
変形例の動力出力装置20Bは、アシストモータ40が
駆動軸22かクランクシャフト56のいずれかに取り付
けられていたが、図17の変形例の動力出力装置20E
に示すように、アシストモータ40Eを、クラッチCL
1,CL2により駆動軸22に取り付けた構成とした
り、クランクシャフト56に取り付ける構成としたりす
るものとしてもよい。変形例の動力出力装置20Eは、
図示するように、クランクシャフト56に取り付けられ
たインナロータ32Eと駆動軸22に取り付けられたア
ウタロータ34Eにより構成されるクラッチモータ30
Eと、クランクシャフト56と同軸上で中空の回転軸4
1に取り付けられたアシストモータ40Eと、クランク
シャフト56と回転軸41との接続および接続の解除を
行なうクラッチCL1と、クラッチモータ30Eのアウ
タロータ34Eを介して駆動軸22と回転軸41との接
続および接続の解除を行なうクラッチCL2とを備え
る。クラッチCL1,CL2は、図示しない油圧回路等
の駆動手段により駆動され、この駆動手段は、信号ライ
ンを介して制御装置80の制御CPU90によって駆動
制御を受けるようになっている。なお、回転軸41に
は、アシストモータ40Eの制御に必要な回転軸41の
回転角度を検出するレゾルバ41aが設けられている。
【0141】変形例の動力出力装置20Eは、クラッチ
CL1をオフ(接続の解除状態)とすると共にクラッチ
CL2をオン(接続状態)とすることにより、アシスト
モータ40Eが駆動軸22に取り付けられた構成とな
り、第1実施例の動力出力装置20と同一の構成とな
る。また、変形例の動力出力装置20Eは、クラッチC
L1をオンとすると共にクラッチCL2をオフとするこ
とにより、アシストモータ40Eがクランクシャフト5
6に取り付けられた構成となり、変形例の動力出力装置
20Bと同一の構成になる。したがって、変形例の動力
出力装置20Eは、クラッチCL1をオフとすると共に
クラッチCL2をオンとすることにより、第1実施例の
動力出力装置20により実行される図4のトルク制御ル
ーチンと図6および図7の指令値設定ルーチンとによる
制御を行なうことができ、クラッチCL1をオンとする
と共にクラッチCL2をオフとすることにより、変形例
の動力出力装置20Bにより実行される図4のトルク制
御ルーチンと図13および図14の指令値設定ルーチン
とによる制御を行なうことができる。この結果、変形例
の動力出力装置20Eは、第1実施例の動力出力装置2
0が奏する効果や変形例の動力出力装置20Bが奏する
効果を同様に奏することができる。
【0142】更に、変形例の動力出力装置20Eは、図
6および図7の指令値設定ルーチンにより求められる最
小の全損失と、図13および図14の指令値設定ルーチ
ンにより求められる最小の全損失とを比較し、いずれか
小さい方の指令値設定ルーチンにより設定される各指令
値を用いて運転するものとすることもできる。この場合
のトルク制御ルーチンの一例を図18に示す。以下に、
このトルク制御ルーチンに基づき上述の処理について説
明するが、本ルーチンのステップS300ないしS31
4の処理は、図4のトルク制御ルーチンのステップS1
00ないしS114の処理と同一であるから、その説明
は省略する。
【0143】ステップS309ないしS314により充
放電電力Pbを設定すると、制御装置80の制御CPU
90は、クラッチCL1をオフとすると共にクラッチC
L2をオンとした状態、即ち第1実施例の動力出力装置
20と同一の構成における最小の全損失S1を求める処
理を行なう(ステップS316)。具体的には、図6お
よび図7の指令値設定ルーチンを実行して最小の全損失
St(i)を求め、これを全損失S1に代入するのであ
る。続いて、クラッチCL1をオンとすると共にクラッ
チCL2をオフとした状態、即ち変形例の動力出力装置
20Bと同一の構成における最小の全損失S2を求める
処理を行なう(ステップS318)。具体的には、図1
3および図14の指令値設定ルーチンを実行して最小の
全損失St(i)を求め、これを全損失S2に代入する
のである。
【0144】次に、求めた全損失S1と全損失S2との
大きさを比較し(ステップS320)、全損失S1が全
損失S2より小さいときには、クラッチCL1をオフと
すると共にクラッチCL2をオンとして変形例の動力出
力装置20Eを第1実施例の動力出力装置20と同一の
構成とし(ステップS321)、全損失S1を求めた際
の各値、即ち図6および図7の指令値設定ルーチンを実
行した際の最小の全損失St(i)に対応する各値{T
e(i),Ne(i),Tc(i),X(i)}を各指
令値(Te*,Ne*,Tc*,Ta*)として設定す
る(ステップS322)。一方、全損失S1が全損失S
2より大きいときには、クラッチCL1をオンとすると
共にクラッチCL2をオフとして変形例の動力出力装置
20Eを変形例の動力出力装置20Bと同一の構成とし
(ステップS323)、全損失S2を求めた際の各値、
即ち図13および図14の指令値設定ルーチンを実行し
た際の最小の全損失St(i)に対応する各値{Te
(i),Ne(i),Td*,Ta(i)}を各指令値
(Te*,Ne*,Tc*,Ta*)として設定する
(ステップS324)。そして、設定した各指令値を用
いてクラッチモータ30E,アシストモータ40Eおよ
びエンジン50の各制御を行なう(ステップS326な
いしS330)。なお、このクラッチモータ30E,ア
シストモータ40Eおよびエンジン50の各制御は、図
4のトルク制御ルーチンにおけるステップS118ない
しS122と同一である。
【0145】以上説明した変形例の動力出力装置20E
によれば、変形例の動力出力装置20Eを第1実施例の
動力出力装置20と同一の構成とした際の最小の全損失
S1と、変形例の動力出力装置20Bと同一の構成とし
た際の最小の全損失S2とのうち、小さい方の構成で運
転されるようクラッチCL1,CL2を駆動すると共に
クラッチモータ30E,アシストモータ40Eおよびエ
ンジン50を制御するから、更に、装置全体を効率よく
運転することができる。
【0146】第1実施例の動力出力装置20やその変形
例では、FR型あるいはFF型の車両に動力出力装置を
搭載したが、図19に例示する変形例の動力出力装置2
0Fのように、4輪駆動車(4WD)に適用してもよ
い。この構成では、駆動軸22に機械的に結合していた
アシストモータ40を駆動軸22より分離して、車両の
後輪部に独立して配置し、このアシストモータ40によ
って後輪部の駆動輪27,29を駆動する。一方、駆動
軸22の先端はギヤ23を介してディファレンシャルギ
ヤ24に結合されており、この駆動軸22によって前輪
部の駆動輪26,28を駆動する。このような構成の下
においても、前述した第1実施例を実現することは可能
である。
【0147】また、第1実施例の動力出力装置20で
は、クラッチモータ30に対する電力の伝達手段として
回転リング38aとブラシ38bとからなるスリップリ
ング38を用いたが、回転リング−水銀接触、磁気エネ
ルギの半導体カップリング、回転トランス等を用いるこ
ともできる。
【0148】次に、本発明の第2の実施例としての動力
出力装置110について説明する。図20は第2実施例
としての動力出力装置110の概略構成を示す構成図、
図21は第2実施例の動力出力装置110の部分拡大
図、図22は第2実施例の動力出力装置110を組み込
んだ車両の概略構成を示す構成図である。
【0149】第2実施例の動力出力装置110が組み込
まれた車両は、図22に示すように、クランクシャフト
156にクラッチモータ30とアシストモータ40とが
取り付けられている代わりにプラネタリギヤ120,モ
ータMG1およびモータMG2が取り付けられている点
を除いて第1実施例の動力出力装置20が組み込まれた
車両(図2)と同様の構成をしている。したがって、第
2実施例の動力出力装置110の構成のうち第1実施例
の動力出力装置20と同一の構成については、値100
を加えた符号を付し、その説明は省略する。なお、第2
実施例の動力出力装置110の説明でも、明示しない限
り第1実施例の動力出力装置20の説明の際に用いた符
号はそのまま同じ意味で用いる。
【0150】図20に示すように、第2実施例の動力出
力装置110は、大きくは、エンジン150、エンジン
150のクランクシャフト156にプラネタリキャリア
124が機械的に結合されたプラネタリギヤ120、プ
ラネタリギヤ120のサンギヤ121に結合されたモー
タMG1、プラネタリギヤ120のリングギヤ122に
結合されたモータMG2およびモータMG1,MG2を
駆動制御する制御装置180から構成されている。
【0151】図21に示すように、プラネタリギヤ12
0は、クランクシャフト156に軸中心を貫通された中
空のサンギヤ軸125に結合されたサンギヤ121と、
クランクシャフト156と同軸のリングギヤ軸126に
結合されたリングギヤ122と、サンギヤ121とリン
グギヤ122との間に配置されサンギヤ121の外周を
自転しながら公転する複数のプラネタリピニオンギヤ1
23と、クランクシャフト156の端部に結合され各プ
ラネタリピニオンギヤ123の回転軸を軸支するプラネ
タリキャリア124とから構成されている。このプラネ
タリギヤ120では、サンギヤ121,リングギヤ12
2およびプラネタリキャリア124にそれぞれ結合され
たサンギヤ軸125,リングギヤ軸126およびプラネ
タリキャリア124(クランクシャフト156)の3軸
が動力の入出力軸とされ、3軸のうちいずれか2軸へ入
出力される動力が決定されると、残余の1軸に入出力さ
れる動力は決定された2軸へ入出力される動力に基づい
て定まる。なお、このプラネタリギヤ120の3軸への
動力の入出力についての詳細は後述する。
【0152】リングギヤ122には、動力の取り出し用
の動力取出ギヤ128がモータMG1側に結合されてい
る。この動力取出ギヤ128は、チェーンベルト129
により動力伝達ギヤ111に接続されており、動力取出
ギヤ128と動力伝達ギヤ111との間で動力の伝達が
なされる。図18に示すように、この動力伝達ギヤ11
1はディファレンシャルギヤ114にギヤ結合されてい
る。したがって、動力出力装置110から出力された動
力は、最終的に左右の駆動輪116,118に伝達され
る。
【0153】モータMG1は、同期電動発電機として構
成され、外周面に複数個(実施例では、N極が4個でS
極が4個)の永久磁石135を有するロータ132と、
回転磁界を形成する三相コイル134が巻回されたステ
ータ133とを備える。ロータ132は、プラネタリギ
ヤ120のサンギヤ121に結合されたサンギヤ軸12
5に結合されている。ステータ133は、無方向性電磁
鋼板の薄板を積層して形成されており、ケース115に
固定されている。このモータMG1は、永久磁石135
による磁界と三相コイル134によって形成される磁界
との相互作用によりロータ132を回転駆動する電動機
として動作し、永久磁石135による磁界とロータ13
2の回転との相互作用により三相コイル134の両端に
起電力を生じさせる発電機として動作する。なお、サン
ギヤ軸125には、その回転角度θsを検出するレゾル
バ139が設けられている。
【0154】モータMG2も、モータMG1と同様に同
期電動発電機として構成され、外周面に複数個(実施例
では、N極が4個でS極が4個)の永久磁石145を有
するロータ142と、回転磁界を形成する三相コイル1
44が巻回されたステータ143とを備える。ロータ1
42は、プラネタリギヤ120のリングギヤ122に結
合されたリングギヤ軸126に結合されており、ステー
タ143はケース115に固定されている。モータMG
2のステータ143も無方向性電磁鋼板の薄板を積層し
て形成されている。このモータMG2もモータMG1と
同様に、電動機あるいは発電機として動作する。なお、
リングギヤ軸126には、その回転角度θrを検出する
レゾルバ149が設けられている。
【0155】図20に示すように、第2実施例の動力出
力装置110が備える制御装置180は、第1実施例の
動力出力装置20が備える制御装置80と同様に構成さ
れている。すなわち、制御装置180は、モータMG1
を駆動する第1の駆動回路191、モータMG2を駆動
する第2の駆動回路192、両駆動回路191,192
を制御する制御CPU190、二次電池であるバッテリ
194から構成されており、制御CPU190は、内部
に、ワーク用のRAM190a、処理プログラムを記憶
したROM190b、入出力ポート(図示せず)および
EFIECU170と通信を行なうシリアル通信ポート
(図示せず)を備える。この制御CPU190には、第
1実施例の制御CPU90と同様に、レゾルバ139か
らのサンギヤ軸125の回転角度θs、レゾルバ149
からのリングギヤ軸126の回転角度θr、アクセルペ
ダルポジションセンサ164aからのアクセルペダルポ
ジションAP、ブレーキペダルポジションセンサ165
aからのブレーキペダルポジションBP、シフトポジシ
ョンセンサ184からのシフトポジションSP、第1の
駆動回路191に設けられた2つの電流検出器195,
196からの電流値Iu1,Iv2、第2の駆動回路1
92に設けられた2つの電流検出器197,198から
の電流値Iu2,Iv2、残容量検出器199からのバ
ッテリ194の残容量BRMなどが、入力ポートを介して
入力されている。
【0156】また、制御CPU190からは、第1の駆
動回路191に設けられたスイッチング素子である6個
のトランジスタTr1ないしTr6を駆動する制御信号
SW1と、第2の駆動回路192に設けられたスイッチ
ング素子としての6個のトランジスタTr11ないしT
r16を駆動する制御信号SW2とが出力されている。
この第1の駆動回路191および第2の駆動回路192
内の各々6個のトランジスタTr1ないしTr6,トラ
ンジスタTr11ないしTr16は、それぞれトランジ
スタインバータを構成しており、それぞれ、一対の電源
ラインL1,L2に対してソース側とシンク側となるよ
う2個ずつペアで配置され、その接続点に、第1の駆動
回路191ではモータMG1の三相コイル134の各々
が、第2の駆動回路192ではモータMG2の三相コイ
ル144の各々が接続されている。電源ラインL1,L
2は、バッテリ194のプラス側とマイナス側に、それ
ぞれ接続されている。したがって、制御CPU190に
より対をなすトランジスタTr1ないしTr6,トラン
ジスタTr11ないしTr16のオン時間の割合を制御
信号SW1,SW2により順次制御し、三相コイル13
4,144に流れる電流をPWM制御によって擬似的な
正弦波にすると、三相コイル134,144により、回
転磁界が形成される。
【0157】次に、第2実施例の動力出力装置110の
動作について説明する。第2実施例の動力出力装置11
0の動作原理、特にトルク変換の原理は以下の通りであ
る。エンジン150を回転数NeとトルクTeとで表わ
される運転ポイントP1で運転し、このエンジン150
から出力されるエネルギPeと同一のエネルギであるが
異なる回転数NrとトルクTrとで表わされる運転ポイ
ントP2でリングギヤ軸126を運転する場合、即ち、
エンジン150から出力される動力をトルク変換してリ
ングギヤ軸126に作用させる場合について考える。こ
の時のエンジン150とリングギヤ軸126の回転数お
よびトルクの関係は、図23に示されている。
【0158】プラネタリギヤ120の3軸(サンギヤ軸
125,リングギヤ軸126およびプラネタリキャリア
124)における回転数やトルクの関係は、機構学の教
えるところによれば、図24および図25に例示する共
線図と呼ばれる図として表わすことができ、幾何学的に
解くことができる。なお、プラネタリギヤ120におけ
る3軸の回転数やトルクの関係は、上述の共線図を用い
なくても各軸のエネルギを計算することなどにより数式
的に解析することもできる。第2実施例では説明の容易
のため共線図を用いて説明する。
【0159】図24における縦軸は3軸の回転数軸であ
り、横軸は3軸の座標軸の位置の比を表わす。すなわ
ち、サンギヤ軸125とリングギヤ軸126の座標軸
S,Rを両端にとったとき、プラネタリキャリア124
の座標軸Cは、軸Sと軸Rを1:ρに内分する軸として
定められる。ここで、ρは、リングギヤ122の歯数に
対するサンギヤ121の歯数の比であり、次式(25)
で表わされる。
【0160】
【数5】
【0161】いま、エンジン150が回転数Neで運転
されており、リングギヤ軸126が回転数Nrで運転さ
れている場合を考えているから、エンジン150のクラ
ンクシャフト156が結合されているプラネタリキャリ
ア124の座標軸Cにエンジン150の回転数Neを、
リングギヤ軸126の座標軸Rに回転数Nrをプロット
することができる。この両点を通る直線を描けば、この
直線と座標軸Sとの交点で表わされる回転数としてサン
ギヤ軸125の回転数Nsを求めることができる。以
下、この直線を動作共線と呼ぶ。なお、回転数Nsは、
回転数Neと回転数Nrとを用いて比例計算式(次式
(26))により求めることができる。このようにプラ
ネタリギヤ120では、サンギヤ121,リングギヤ1
22およびプラネタリキャリア124のうちいずれか2
つの回転を決定すると、残余の1つの回転は、決定した
2つの回転に基づいて決定される。
【0162】
【数6】
【0163】次に、描かれた動作共線に、エンジン15
0のトルクTeをプラネタリキャリア124の座標軸C
を作用線として図中下から上に作用させる。このとき動
作共線は、トルクに対してはベクトルとしての力を作用
させたときの剛体として取り扱うことができるから、座
標軸C上に作用させたトルクTeは、向きが同じで異な
る作用線への力の分離の手法により、座標軸S上のトル
クTesと座標軸R上のトルクTerとに分離すること
ができる。このときトルクTesおよびTerの大きさ
は、次式(27)および式(28)によって表わされ
る。
【0164】
【数7】
【0165】動作共線がこの状態で安定であるために
は、動作共線の力の釣り合いをとればよい。すなわち、
座標軸S上には、トルクTesと大きさが同じで向きが
反対のトルクTm1を作用させ、座標軸R上には、リン
グギヤ軸126に出力するトルクと同じ大きさで向きが
反対のトルクTrとトルクTerとの合力に対し大きさ
が同じで向きが反対のトルクTm2を作用させるのであ
る。このトルクTm1はモータMG1により、トルクT
m2はモータMG2により作用させることができる。こ
のとき、モータMG1では回転の方向と逆向きにトルク
を作用させるから、モータMG1は発電機として動作す
ることになり、トルクTm1と回転数Nsとの積で表わ
される電気エネルギPm1をサンギヤ軸125から回生
する。モータMG2では、回転の方向とトルクの方向と
が同じであるから、モータMG2は電動機として動作
し、トルクTm2と回転数Nrとの積で表わされる電気
エネルギPm2を動力としてリングギヤ軸126に出力
する。
【0166】ここで、電気エネルギPm1と電気エネル
ギPm2とを等しくすれば、モータMG2で消費する電
力のすべてをモータMG1により回生して賄うことがで
きる。このためには、入力されたエネルギのすべてを出
力するものとすればよいから、エンジン150から出力
されるエネルギPeとリングギヤ軸126に出力される
エネルギPrとを等しくすればよい。すなわち、トルク
Teと回転数Neとの積で表わされるエネルギPeと、
トルクTrと回転数Nrとの積で表わされるエネルギP
rとを等しくするのである。図19に照らせば、運転ポ
イントP1で運転されているエンジン150から出力さ
れるトルクTeと回転数Neとで表わされる動力を、ト
ルク変換して、エネルギが同一でトルクTrと回転数N
rとで表わされる動力としてリングギヤ軸126に出力
するのである。前述したように、リングギヤ軸126に
出力された動力は、動力取出ギヤ128および動力伝達
ギヤ111により駆動軸112に伝達され、ディファレ
ンシャルギヤ114を介して駆動輪116,118に伝
達される。したがって、リングギヤ軸126に出力され
る動力と駆動輪116,118に伝達される動力とには
リニアな関係が成立するから、駆動輪116,118に
伝達される動力を、リングギヤ軸126に出力される動
力を制御することにより制御することができる。
【0167】図24に示す共線図ではサンギヤ軸125
の回転数Nsは正であったが、エンジン150の回転数
Neとリングギヤ軸126の回転数Nrとによっては、
図25に示す共線図のように負となる場合もある。この
ときには、モータMG1では、回転の方向とトルクの作
用する方向とが同じになるから、モータMG1は電動機
として動作し、トルクTm1と回転数Nsとの積で表わ
される電気エネルギPm1を消費する。一方、モータM
G2では、回転の方向とトルクの作用する方向とが逆に
なるから、モータMG2は発電機として動作し、トルク
Tm2と回転数Nrとの積で表わされる電気エネルギP
m2をリングギヤ軸126から回生することになる。こ
の場合、モータMG1で消費する電気エネルギPm1と
モータMG2で回生する電気エネルギPm2とを等しく
すれば、モータMG1で消費する電気エネルギPm1を
モータMG2で丁度賄うことができる。
【0168】以上の説明から解るように、第2実施例の
動力出力装置110では、リングギヤ軸126の回転数
Nrに拘わらず、エンジン150から出力される動力の
すべてをトルク変換してリングギヤ軸126に出力する
ことができる。このことは、第1実施例の動力出力装置
20と同様に、プラネタリギヤ120,モータMG1お
よびモータMG2とによるトルク変換の効率を100%
とすれば、エンジン150の運転ポイントは、リングギ
ヤ軸126に出力すべきエネルギPrと同一のエネルギ
を出力する運転ポイントであれば如何なるポイントであ
ってもよいこととなり、リングギヤ軸126に出力すべ
きエネルギPrと同一のエネルギを出力することを条件
にリングギヤ軸126の回転数Nrに拘わらず自由に定
めることができることを意味する。したがって、第2実
施例の動力出力装置110は、第1実施例の動力出力装
置20と同様に、エンジン150から出力される動力の
すべてをトルク変換してリングギヤ軸126に出力する
動作の他に、エンジン150から出力される動力(トル
クTeと回転数Neとの積)をリングギヤ軸126に要
求される動力(トルクTrと回転数Nrとの積)より大
きくして余剰の電気エネルギを見い出し、バッテリ19
4の充電を伴う動作としたり、逆にエンジン150から
出力される動力をリングギヤ軸126に要求される動力
より小さくして電気エネルギが不足するものし、バッテ
リ194から放電を伴う動作とすることもできる。な
お、第2実施例の動力出力装置110でも、プラネタリ
ギヤ120,モータMG1およびモータMG2によるト
ルク変換の効率は、実際には100%にならないが、説
明の容易のために100%として扱う。
【0169】こうした第2実施例の動力出力装置110
は、上述したように、プラネタリギヤ120の動作を考
慮する必要があるが、エンジン150の運転ポイントと
リングギヤ軸126の運転ポイントとを独立に設定でき
るから、第1実施例の動力出力装置20と同様な処理、
即ち図4のトルク制御ルーチンと同様な処理を行なうこ
とができる。図26に第2実施例の動力出力装置110
において実行されるトルク制御ルーチンの一例を示す。
図示するように、図26のトルク制御ルーチンは、図4
のトルク制御ルーチンと比較すると、駆動軸22の回転
数Ndおよび駆動軸22に出力すべきトルクTd*をリ
ングギヤ軸126の回転数Nrおよびリングギヤ軸12
6に出力すべきトルクTr*に変更すると共に、クラッ
チモータ30およびアシストモータ40をモータMG1
およびモータMG2に変更したものである。第2実施例
の動力出力装置110のリングギヤ軸126は、動力取
出ギヤ128,チェーンベルト129,動力伝達ギヤ1
11およびディファレンシャルギヤ114を介して駆動
輪116,118に接続されているから、第1実施例の
動力出力装置20の駆動軸22に相当する。したがっ
て、モータMG1およびモータMG2に関連する処理を
除けば、図26のトルク制御ルーチンは、図4のトルク
制御ルーチンと同一の処理ということができる。以下、
モータMG1およびモータMG2に関連する処理、即ち
ステップS416ないしS420の処理について説明す
る。なお、ステップS400のリングギヤ軸126の回
転数Nrの読み込みは、リングギヤ軸126に設けられ
たレゾルバ149により検出されるリングギヤ軸126
の回転角度θrから求めることができる。
【0170】ステップS416のエンジン150の目標
回転数Ne*および目標トルクTe*,モータMG1の
トルク指令値Tm1*,モータMG2のトルク指令値T
m2*の設定処理は、図27および図28に例示する指
令値設定ルーチンにより行なわれる。また、ステップS
418のモータMG1の制御は、図29に例示するモー
タMG1の制御ルーチンにより行なわれ、ステップS4
20のモータMG2の制御は、図30に例示するモータ
MG2の制御ルーチンにより行なわれる。図29のモー
タMG1の制御ルーチンと図30のモータMG2の制御
ルーチンは、第1実施例で説明した図9のアシストモー
タ制御ルーチンと同様であるので、ここでは、その説明
は省略する。以下、図27および図28の指令値設定ル
ーチンに基づき第2実施例の動力出力装置110による
各指令値の設定の様子について説明する。
【0171】本ルーチンが実行されると、制御装置18
0の制御CPU190は、まず、リングギヤ軸126の
回転数NrをモータMG2の回転数Nm2に設定する
(ステップS430)。続いて、設定した回転数Nm2
でモータMG2が運転可能なトルクTm2の範囲につい
て1Nm毎のトルクの値を配列X(i)として設定する
(ステップS432)。第2実施例でも回転数Nm2で
モータMG2が運転可能なトルクTm2の範囲を1Nm
毎の間隔として配列X(i)に設定したが、この値に限
定されるものではなく如何なる値としてもよいのは言う
までもない。
【0172】続いて、配列X(i)が値0以上か否かを
判定する(ステップS434)。配列X(i)は、前述
したようにモータMG2の運転可能なトルクであるか
ら、モータMG2を図24の共線図に例示するように回
生駆動する場合には負の値となり、逆に図25の共線図
に例示するように力行駆動するときには正の値となる。
【0173】配列X(i)が値0以上のとき、即ちモー
タMG2が力行駆動されるトルクのときには、制御装置
180の制御CPU190は、まず、配列X(i)と回
転数Nm2とにより力行駆動されるモータMG2の損失
Sm2を導出する処理を行なう(ステップS440)。
第2実施例でも、モータMG2の損失Saは、ROM1
90bに記憶されたトルクTm2と回転数Nm2と損失
Sm2とのマップを用いて導出した。続いて、モータM
G2により消費される電力Pm2を次式(29)により
算出すると共に(ステップS441)、モータMG1の
トルクTm1(i)を次式(30)により算出する(ス
テップS442)。モータMG1のトルクTm1(i)
を求める式(30)は、モータMG1のTm1を配列X
(i)とした際ときの図24および図25の共線図の釣
り合いから求めることができる。
【0174】 Pm2=X(i)×Nm2+Sm2 …(29) Tm1(i)=ρ×(Tr*−X(i)) …(30)
【0175】次に、モータMG1により回生される電力
からモータMG1の損失Sm1を減じたものがモータM
G2により消費される電力Pm2と充放電電力Pb(正
の値のときが充電で負の値のときが放電)との和に等し
くなるようモータMG1の回転数Nm1と損失Sm1と
を計算する(ステップS443)。即ち、次式(31)
および式(32)が成立するようにモータMG1の回転
数Nm1と損失Sm1とを計算するのである。モータM
G1の損失Sm1も、トルクTm1と回転数Nm1と損
失Sm1とのマップを用いて導出した。なお、このステ
ップS443の処理では、式(31)に回転数Nm1と
損失Sm1が含まれ、式(32)の損失Sm1は回転数
Nm1に基づいてマップにより導出されるから、回転数
Nm1を順次変化させて式(32)により各回転数Nm
1に対応する損失Sm1を求め、各回転数Nm1と損失
Sm1とを式(31)に代入してこれが成立する回転数
Nm1と損失Sm1とを求める処理となる。
【0176】 Pm2+Pb=Tm1(i)×Nm1−Sm1 …(31) Sm1=fsc11(Tm1(i),Nm1) …(32)
【0177】続いて、算出したNm1を用いて次式(3
3)および式(34)によりエンジン150のトルクT
e(i)と回転数Ne(i)とを算出する(ステップS
444)。このエンジン150のトルクTe(i)や回
転数Ne(i)は、図24および図25の共線図の釣り
合いから求めることができる。
【0178】
【数8】
【0179】そして、求めたトルクTe(i)と回転数
Ne(i)との運転ポイントでエンジン150を運転し
たときの損失Seを導出する(ステップS445)。こ
のエンジン150の損失Seを導出する処理も、ROM
190bに記憶されたトルクTeと回転数Neと損失S
eとの関係を示すマップを用いて行なった。こうしてモ
ータMG2,モータMG1およびエンジン150の各損
失Sm2,Sm1,Seを求めると、これらの和をとっ
て配列X(i)のときの全損失St(i)を算出し(ス
テップS460)、配列カウンタiをインクリメントし
て(ステップS462)、インクリメントした配列カウ
ンタiに対応する配列X(i)が存在するか否かを判定
する(ステップS464)。
【0180】一方、ステップS434で配列X(i)が
負の値であると判定されたとき、即ちモータMG2が回
生駆動されるトルクのときには、制御装置180の制御
CPU190は、まず、配列X(i)と回転数Nm2と
により回生駆動されるモータMG2の損失Sm2を導出
する処理を行なう(ステップS450)。この処理も、
モータMG2が力行駆動されるときと同様に、予めRO
M190bに記憶されたマップから損失Sm2を導出す
るものとした。続いて、モータMG2により回生される
電力Pm2を次式(35)により算出すると共に(ステ
ップS451)、モータMG1のトルクTm1(i)を
上式(30)により算出する(ステップS452)。式
(35)の右辺第1項に負符号が付してあるのは、配列
X(i)が負であるから、負符号を加えて電力Pm2を
正の値として取り扱うためである。
【0181】 Pm2=−X(i)×Nm2−Sm2 …(35)
【0182】次に、モータMG1により消費される電力
とモータMG1の損失Sm1との和がモータMG2によ
り回生される電力Pm2と充放電電力Pbとの差とに等
しくなるようモータMG1の回転数Nm1と損失Sm1
とを計算する(ステップS453)。即ち、次式(3
6)および式(37)が成立するようにモータMG1の
回転数Nm1と損失Sm1とを計算するのである。式
(36)および式(37)の式(31)および式(3
2)に対する相違は、配列X(i)が負の値であるにも
拘わらずモータMG2により回生される電力Pm2を正
の値として用いたことおよびモータMG1が力行駆動さ
れることに基づく。なお、力行駆動されるモータMG1
の損失Sm2も、モータMG1が回生駆動されるときと
同様に、予めROM190bに記憶されたマップから導
出するものとした。また、このステップS453の処理
では、ステップS443の処理と同様に、式(36)に
回転数Nm1と損失Sm1が含まれ、式(37)の損失
Sm1は回転数Nm1に基づいてマップにより導出され
るから、回転数Nm1を順次変化させて式(37)によ
り各回転数Nm1に対応する損失Sm1を求め、各回転
数Nm1と損失Sm1とを式(36)に代入してこれが
成立する回転数Nm1と損失Sm1とを求める処理とな
る。
【0183】 Pm2−Pb=−Tm1(i)×Nm1+Sm1 …(36) Sm1=fsc12(Tm1(i),Nm1) …(37)
【0184】そして、ステップS444およびS445
の処理と同一のステップS454およびS455のエン
ジン150のトルクTe(i)と回転数Ne(i)とを
算出する処理とエンジン150の損失Seを導出する処
理を行ない、ステップS460ないしS464の処理を
行なう。
【0185】こうしてすべての配列X(i)についてス
テップS434ないしS464の処理を終えて、ステッ
プS464で配列X(i)の存在が否定されると、制御
装置180の制御CPU190は、算出した全損失St
(i)のうち最も小さなものの配列カウンタiを決定し
(ステップS466)、この決定された配列カウンタi
における回転数Ne(i)およびトルクTe(i)をエ
ンジン150の目標回転数Ne*および目標トルクTe
*に設定すると共にトルクTm1(i)をモータMG1
のトルク指令値Tm1*に設定し、更に、配列X(i)
をモータMG2のトルク指令値Tm2*に設定する(ス
テップS468)。このように設定することにより、装
置全体の損失が最も小さな状態で、即ち装置全体の効率
が最も高い状態で、充放電電力Pbによるバッテリ19
4の充放電を伴いながらトルク指令値Tr*のトルクを
リングギヤ軸126に出力することができる。
【0186】以上説明した第2実施例の動力出力装置1
10によれば、充放電電力Pbによるバッテリ194の
充放電を伴いながらトルク指令値Tr*のトルクをリン
グギヤ軸126に出力することが可能なモータMG1,
モータMG2およびエンジン150の運転状態のうち、
各損失の総計である全損失が最も小さな運転状態となる
ようモータMG1,モータMG2およびエンジン150
を運転するから、装置全体の効率をより高くすることが
できる。しかも、モータMG1,モータMG2およびエ
ンジン150の各損失をそれぞれROM190bに記憶
した回転数とトルクと損失との関係を示すマップから導
出するものとしたから、複雑な損失計算をする必要がな
く、短時間で全損失が最も小さな運転状態を各指令値に
設定することができる。
【0187】第2実施例の動力出力装置110では、バ
ッテリ194を充放電電力Pbにより充放電するものと
したが、バッテリ194の充放電を考慮しないものとし
てもよい。この場合、バッテリ194の残容量BRMが閾
値L1以上閾値H1以下の状態、即ち充放電電力Pbに
値0が設定された状態と同様の制御となる。こうすれ
ば、トルク指令値Tr*のトルクをリングギヤ軸126
に出力することが可能なモータMG1,モータMG2お
よびエンジン150の運転状態のうち、各損失の総計で
ある全損失が最も小さな運転状態となるようモータMG
1,モータMG2およびエンジン150を運転すること
ができる。
【0188】第2実施例の動力出力装置110では、モ
ータMG1,モータMG2およびエンジン150の各損
失をそれぞれROM190bに記憶した回転数とトルク
と損失との関係を示すマップから導出するものとした
が、それぞれの損失を理論式や実験式などにより算出す
るものとしてもよい。
【0189】第2実施例の動力出力装置110では、す
べての配列X(i)におけるモータMG1,モータMG
2およびエンジン150の各損失を導出すると共にこれ
らの和をとって全損失St(i)を求め、更にすべての
全損失St(i)のうち最も小さなものの配列カウンタ
iを決定し、その配列カウンタiに対応するトルクTe
(i)等により各指令値(Te*,Ne*,Tm1*,
Tm2*)を設定したが、リングギヤ軸126の回転数
Nrとリングギヤ軸126に出力すべきエネルギPrと
バッテリ194の充放電電力Pbと全損失が最も小さな
各指令値(Te*,Ne*,Tm1*,Tm2*)とを
予めマップとしてROM190bに記憶しておき、回転
数NrとエネルギPrと充放電電力Pbとが与えられた
ら、このマップから各指令値(Te*,Ne*,Tm1
*,Tm2*)を導出するものとしてもよい。こうすれ
ば、モータMG1やモータMG2、エンジン150の各
損失を導出したり、これらの和をとって全損失を算出し
たり、更にすべての全損失のうち最も小さなものを選出
するなどといった処理が不要となるから、極めて短時間
で容易に各指令値(Te*,Ne*,Tm1*,Tm2
*)を設定することができる。
【0190】第2実施例の動力出力装置110では、リ
ングギヤ軸126に出力された動力をリングギヤ122
に結合された動力取出ギヤ128を介してモータMG1
とモータMG2との間から取り出したが、図31の変形
例の動力出力装置110Aに示すように、リングギヤ軸
126を延出してケース115から取り出すものとして
もよい。また、図32の変形例の動力出力装置110B
に示すように、エンジン150側からプラネタリギヤ1
20,モータMG2,モータMG1の順になるよう配置
してもよい。この場合、サンギヤ軸125Bは中空でな
くてもよく、リングギヤ軸126Bは中空軸とする必要
がある。こうすれば、リングギヤ軸126Bに出力され
た動力をエンジン150とモータMG2との間から取り
出すことができる。
【0191】第2実施例の動力出力装置110では、モ
ータMG2をリングギヤ軸126に取り付けたが、図3
3に例示する変形例の動力出力装置110Cのように、
モータMG2をクランクシャフト156に取り付けるも
のとしてもよい。この変形例の動力出力装置110Cで
は、図33に示すように、プラネタリギヤ120のサン
ギヤ121に結合されたサンギヤ軸125Cにはモータ
MG1のロータ132が取り付けられており、プラネタ
リキャリア124には、第2実施例の動力出力装置11
0と同様に、エンジン150のクランクシャフト156
が取り付けられている。このクランクシャフト156に
は、モータMG2のロータ142と、クランクシャフト
156の回転角度θeを検出するレゾルバ157とが取
り付けられている。プラネタリギヤ120のリングギヤ
122に取り付けられたリングギヤ軸126Cは、その
回転角度θrを検出するレゾルバ149が取り付けられ
ているだけで、動力取出ギヤ128に結合されている。
【0192】この変形例の動力出力装置110Cは次の
ように動作する。エンジン150を回転数Neとトルク
Teとで表わされる運転ポイントP1で運転し、エンジ
ン150から出力されるエネルギPe(Pe=Ne×T
e)と同じエネルギPr(Pr=Nr×Tr)となる回
転数NrとトルクTrとで表わされる運転ポイントP2
でリングギヤ軸126Cを運転する場合、すなわち、エ
ンジン150から出力される動力をトルク変換してリン
グギヤ軸126Cに作用させる場合について考える。こ
の状態の共線図を図34および図35に例示する。
【0193】図34の共線図における動作共線の釣り合
いを考えると、次式(38)ないし式(41)が導き出
される。即ち、式(38)はエンジン150から入力さ
れるエネルギPeとリングギヤ軸126Cに出力される
エネルギPrの釣り合いから導き出され、式(39)は
クランクシャフト156を介してプラネタリキャリア1
24に入力されるエネルギの総和として導き出される。
また、式(40)および式(41)はプラネタリキャリ
ア124に作用するトルクを座標軸Sおよび座標軸Rを
作用線とするトルクに分離することにより導出される。
【0194】
【数9】
【0195】この動作共線がこの状態で安定であるため
には、動作共線の力の釣り合いがとれればよいから、ト
ルクTm1とトルクTcsとを等しく、かつ、トルクT
rとトルクTcrとを等しくすればよい。以上の関係か
らトルクTm1およびトルクTm2を求めれば、次式
(42)および式(43)のように表わされる。
【0196】
【数10】
【0197】したがって、モータMG1により式(4
2)で求められるトルクTm1をサンギヤ軸125Cに
作用させ、モータMG2により式(43)で求められる
トルクTm2をクランクシャフト156に作用させれ
ば、エンジン150から出力されるトルクTeおよび回
転数Neで表わされる動力をトルクTrおよび回転数N
rで表わされる動力にトルク変換してリングギヤ軸12
6Cに出力することができる。なお、この共線図の状態
では、モータMG1は、ロータ132の回転の方向とト
ルクの作用方向が逆になるから、発電機として動作し、
トルクTm1と回転数Nsとの積で表わされる電気エネ
ルギPm1を回生する。一方、モータMG2は、ロータ
142の回転の方向とトルクの作用方向が同じになるか
ら、電動機として動作し、トルクTm2と回転数Nrと
の積で表わされる電気エネルギPm2を消費する。
【0198】図34に示す共線図ではサンギヤ軸125
Cの回転数Nsは正であったが、エンジン150の回転
数Neとリングギヤ軸126Cの回転数Nrとによって
は、図35に示す共線図のように負となる場合もある。
このときには、モータMG1は、ロータ132の回転の
方向とトルクの作用する方向とが同じになるから、電動
機として動作し、トルクTm1と回転数Nsとの積で表
わされる電気エネルギPm1を消費する。一方、モータ
MG2は、ロータ142の回転の方向とトルクの作用す
る方向とが逆になるから、発電機として動作し、トルク
Tm2と回転数Nrとの積で表わされる電気エネルギP
m2をリングギヤ軸126Cから回生することになる。
【0199】以上説明したように、変形例の動力出力装
置110Cでも、第2実施例の動力出力装置110と同
様に、モータMG1とモータMG2を式(42)および
式(43)とにより算出されるトルクが出力されるよう
制御すれば、エンジン150から出力されるエネルギを
自由にトルク変換してリングギヤ軸126Cに出力する
ことができる。また、変形例の動力出力装置110Cで
も、第2実施例の動力出力装置110と同様に、こうし
たエンジン150から出力される動力のすべてをトルク
変換してリングギヤ軸126Cに出力する動作の他に、
エンジン150から出力される動力(トルクTeと回転
数Neとの積)をリングギヤ軸126に要求される動力
(トルクTrと回転数Nrとの積)より大きくして余剰
の電気エネルギを見い出し、バッテリ194の充電を伴
う動作としたり、逆にエンジン150から出力される動
力をリングギヤ軸126に要求される動力より小さくし
て電気エネルギが不足するものし、バッテリ194から
放電を伴う動作とすることもできる。
【0200】したがって、変形例の動力出力装置110
Cでも、第2実施例の動力出力装置110と同様に、図
22の充放電トルク制御ルーチンを実行することがで
き、第2実施例の動力出力装置110が奏する効果と同
様に効果を奏することができる。なお、変形例の動力出
力装置110Cでは、モータMG2がクランクシャフト
156に取り付けられているから、図27および図28
の指令値設定ルーチンに代えて図36および図37に例
示する指令値設定ルーチンを実行する必要がある。以
下、この変形例の動力出力装置110Cの制御装置18
0により実行される図36および図37の指令値設定ル
ーチンについて説明する。
【0201】本ルーチンが実行されると、変形例の動力
出力装置110Cにおける制御装置180の制御CPU
190は、まず、モータMG1のトルクTm1にトルク
指令値Tr*にギヤ比ρを乗じたものを設定する(ステ
ップS530)。このように設定できるのは、図34お
よび図35の共線図を用いて説明したように、変形例の
動力出力装置110Cではリングギヤ軸126にトルク
指令値Tr*を出力するためには、式(42)の関係を
満たす必要があるからである。続いて、設定したトルク
Tm1でモータMG1を運転可能な回転数Nm1の範囲
について50rpm毎の回転数の値を配列X(i)とし
て設定する(ステップS532)。この変形例の動力出
力装置110Cでも、モータの特性曲線から得られる下
限値から上限値の範囲について50rpmを間隔として
配列X(i)を設定したが、この値に限定されるもので
はなく如何なる値としてもよい。ここで、変形例の動力
出力装置110Cでは、配列X(i)としてモータMG
1の回転数Nm1を設定したが、リングギヤ軸126の
回転数NrとモータMG1の回転数Nm1(サンギヤ軸
125の回転数Ns)とを式(26)に代入することに
よりプラネタリキャリア124の回転数、即ちクランク
シャフト156の回転数Neを算出することができるか
ら、クランクシャフト156の回転数Neを配列X
(i)として設定してもよい。
【0202】次に、配列X(i)が値0以上か否かを判
定する(ステップS534)。配列X(i)は、前述し
たようにモータMG1の運転可能な回転数であるから、
モータMG1を図34の共線図に例示するように回生駆
動するときには正の値となり、逆に図35の共線図に例
示するように力行駆動ときには負の値となる。
【0203】配列X(i)が値0以上のとき、即ちモー
タMG1を回生駆動するときには、制御装置180の制
御CPU190は、まず、トルクTm1と配列X(i)
とにより回生駆動されるモータMG1の損失Seを導出
する処理を行なう(ステップS240)。この変形例で
も、損失Seは、ROM190bに予め記憶されたトル
クTm1と回転数Nm1と損失Sm1との関係をマップ
を用いて導出するものとした。続いて、モータMG1に
より回生される電力Pm1を次式(44)により算出す
ると共に(ステップS541)、モータMG2の回転数
Nm2を次式(45)により算出する(ステップS54
2)。
【0204】
【数11】
【0205】次に、モータMG2により消費される電力
とモータMG2の損失Sm2との和がモータMG1によ
り回生される電力Pm1と充放電電力Pbとの差に等し
くなるようモータMG2のトルクTm2(i)と損失S
m2とを計算する(ステップS543)。即ち、次式
(46)および式(47)が成立するようにモータMG
2のトルクTm2(i)と損失Sm2とを計算するので
ある。この変形例でも損失Sm2は、第2実施例の動力
出力装置110と同様に、ROM190bに予め記憶さ
れたトルクTm2と回転数Nm2と損失Sm2との関係
をマップを用いて導出するものとした。なお、このステ
ップS543の処理は、式(46)にトルクTm2
(i)と損失Sm2が含まれ、式(47)の損失Sm2
はトルクTm2(i)に基づいてマップにより導出され
るから、トルクTm2(i)を順次変化させて式(4
7)により各トルクTm2(i)に対応する損失Sm2
を求め、各トルクTm2(i)と損失Sm2とを式(4
6)に代入してこれが成立するトルクTm2(i)と損
失Sm2とを求める処理となる。
【0206】 Pm1−Pb=Tm2(i)×Nm2+Sm2 …(46) Sm2=fsc21(Tm2(i),Nm2) …(47)
【0207】続いて、算出したモータMG2のトルクT
m2(i)と回転数Nm2とを用いて次式(48)およ
び式(49)によりエンジン150のトルクTe(i)
と回転数Ne(i)とを算出する(ステップS54
4)。ここで、エンジン150のトルクTeを算出する
式(48)は、図34および図35の共線図における動
作共線の釣り合いから求めることができる。
【0208】 Te(i)=(1+ρ)×Tr*−Tm2(i) …(48) Ne(i)=Nm2 …(49)
【0209】そして、図27および図28の指令値設定
ルーチンのステップS445,S460ないしS464
と同一の処理のステップS545,S560ないしS5
64の処理、即ち、エンジン150の損失Seの導出
(ステップS545)、全損失St(i)の算出(ステ
ップS560)、配列カウンタiのインクリメント(ス
テップS562)、配列X(i)の存在の確認(ステッ
プS564)の処理を行なう。
【0210】一方、ステップS534で配列X(i)が
負の値であると判定されたとき、即ちモータMG1が力
行駆動されるときには、制御装置180の制御CPU1
90は、まず、トルクTm1と配列X(i)とにより力
行駆動されるモータMG1の損失Sm1を導出する処理
を行なう(ステップS550)。この処理も、ROM1
90bに予め記憶されたトルクTm1と回転数Nm1と
損失Sm1との関係をマップを用いて行なわれる。続い
て、モータMG1により消費される電力Pm1を次式
(50)により算出すると共に(ステップS551)、
モータMG2の回転数Nm2を上式(45)により算出
する(ステップS552)。式(50)の右辺第1項に
負符号が付してあるのは、配列X(i)が負であるか
ら、負符号を加えて電力Pm1を正の値として取り扱う
ためである。
【0211】 Pm1=−Tm1×X(i)+Sm1 …(50)
【0212】次に、モータMG2により回生される電力
からモータMG2の損失Sm2を減じたものがモータM
G1により消費される電力Pm1と充放電電力Pbとの
和に等しくなるようモータMG2のトルクTm2(i)
と損失Sm2とを計算する(ステップS553)。即
ち、次式(51)および式(52)が成立するようにモ
ータMG2のトルクTm2(i)と損失Sm2とを計算
するのである。式(51)および式(52)の式(4
6)および式(47)に対する相違は、配列X(i)が
負の値であるにも拘わらずモータMG1により消費され
る電力Pm1を正の値として用いたことと、モータMG
2が回生駆動されることに基づく。なお、回生駆動され
るモータMG2の損失Sm2を導出する処理も、予めR
OM190bに記憶されたマップを用いて行なった。ま
た、このステップS553の処理では、ステップS44
3の処理と同様に、式(51)にトルクTm2(i)と
損失Sm2が含まれ、式(52)の損失Sm2はトルク
Tm2(i)に基づいてマップにより導出されるから、
トルクTm2(i)を順次変化させて式(52)により
各トルクTm2(i)に対応する損失Sm2を求め、各
トルクTm2(i)と損失Sm2とを式(51)に代入
してこれが成立するトルクTm2(i)と損失Sm2と
を求める処理となる。
【0213】 Pm1+Pb=Tm2(i)×Nm2−Sm2 …(51) Sm2=fsc22(Tm2(i),Nm2) …(52)
【0214】続いて、ステップS544およびS545
の処理と同一のステップS554およびS555の処理
によりエンジン150のトルクTe(i)およびNe
(i)を求めると共にエンジン150の損失Seを導出
し、ステップS560ないしS564の処理を行なう。
【0215】こうしてすべての配列X(i)についてス
テップS534ないしS564の処理を終えて、ステッ
プS564で配列X(i)の存在が否定されると、制御
装置180の制御CPU190は、算出した全損失St
(i)のうち最も小さなものの配列カウンタiを決定し
(ステップS566)、この決定された配列カウンタi
における回転数Ne(i)およびトルクTe(i)をエ
ンジン150の目標回転数Ne*および目標トルクTe
*に設定すると共にトルクTm1をモータMG1のトル
ク指令値Tm1*に設定し、更に、トルクTm2(i)
をモータMG2のトルク指令値Tm2*に設定する(ス
テップS568)。このように設定することにより、装
置全体の損失が最も小さな状態で、即ち装置全体の効率
が最も高い状態で、充放電電力Pbによるバッテリ19
4の充放電を伴いながらトルク指令値Tr*のトルクを
リングギヤ軸126に出力することができる。
【0216】以上説明した変形例の動力出力装置110
Cでも、第2実施例の動力出力装置110と同様に、装
置の全損失が最も小さな運転状態で、充放電電力Pbに
よるバッテリ194の充放電を伴いながらトルク指令値
Tr*のトルクをリングギヤ軸126に出力することが
できる。しかも、モータMG1,モータMG2およびエ
ンジン150の各損失をそれぞれROM190bに記憶
した回転数とトルクと損失との関係を示すマップから導
出するものとしたから、複雑な損失計算をする必要がな
く、短時間で全損失が最も小さな運転状態を各指令値に
設定することができる。
【0217】なお、変形例の動力出力装置110Cで
も、第2実施例の動力出力装置110と同様に、バッテ
リ194の充放電を考慮しないものとしてもよい。ま
た、各損失を理論式や実験式などにより算出するものと
してもよいし、リングギヤ軸126の回転数Nrとリン
グギヤ軸126に出力すべきエネルギPrとバッテリ1
94の充放電電力Pbと全損失が最も小さな各指令値
(Te*,Ne*,Tm1*,Tm2*)とを予めマッ
プとしてROM190bに記憶しておき、回転数Nrと
エネルギPrと充放電電力Pbとが与えられたら、この
マップから各指令値(Te*,Ne*,Tm1*,Tm
2*)を導出するものとしてもよい。
【0218】変形例の動力出力装置110Cでは、エン
ジン150とモータMG1とによりモータMG2を挟持
する配置としたが、図38の変形例の動力出力装置11
0Dに示すように、モータMG1とモータMG2とでエ
ンジン150を挟持する配置としてもよい。また、変形
例の動力出力装置110Cでは、リングギヤ軸126C
に出力された動力をリングギヤ122に結合された動力
取出ギヤ128を介してモータMG1とモータMG2と
の間から取り出したが、図39の変形例の動力出力装置
110Eに示すように、リングギヤ軸126Eを延出し
てケース115から取り出すものとしてもよい。
【0219】第2実施例の動力出力装置110やその変
形例では、FR型あるいはFF型の2輪駆動の車両に動
力出力装置を搭載するものとしたが、図40の変形例の
動力出力装置110Fに示すように、4輪駆動の車両に
適用するものとしてもよい。この構成では、リングギヤ
軸126に結合していたモータMG2をリングギヤ軸1
26より分離して、車両の後輪部に独立して配置し、こ
のモータMG2によって後輪部の駆動輪117,119
を駆動する。一方、リングギヤ軸126は動力取出ギヤ
128および動力伝達ギヤ111を介してディファレン
シャルギヤ114に結合されて前輪部の駆動輪116,
118を駆動する。このような構成の下においても、第
2実施例を実行することは可能である。
【0220】また、第2実施例の動力出力装置110や
その変形例では、3軸式動力入出力手段としてプラネタ
リギヤ120を用いたが、一方はサンギヤと他方はリン
グギヤとギヤ結合すると共に互いにギヤ結合しサンギヤ
の外周を自転しながら公転する2つ1組の複数組みのプ
ラネタリピニオンギヤを備えるダブルピニオンプラネタ
リギヤを用いるものとしてもよい。この他、3軸式動力
入出力手段として3軸のうちいずれか2軸に入出力され
る動力を決定すれば、この決定した動力に基づいて残余
の1軸に入出力される動力を決定されるものであれば如
何なる装置やギヤユニット等、例えば、ディファレンシ
ャルギヤ等を用いることもできる。
【0221】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【0222】例えば、上述した第1実施例の動力出力装
置20やその変形例のエンジン50、あるいは第2実施
例の動力出力装置110やその変形例のエンジン150
としてガソリンエンジンを用いたが、その他に、ディー
ゼルエンジンや、タービンエンジンや、ジェットエンジ
ンなど各種の内燃あるいは外燃機関を用いることもでき
る。
【0223】また、第1実施例の動力出力装置20やそ
の変形例のクラッチモータ30やアシストモータ40、
あるいは第2実施例の動力出力装置110やその変形例
のモータMG1やモータMG2にPM形(永久磁石形;
Permanent Magnet type)同期電動機を用いたが、回生
動作および力行動作の双方が可能なものであれば、その
他にも、VR形(可変リラクタンス形;Variable Reluc
tance type)同期電動機や、バーニアモータや、直流電
動機や、誘導電動機や、超電導モータや、ステップモー
タなどを用いることもできる。
【0224】あるいは、第1実施例の動力出力装置20
やその変形例あるいは第2実施例の動力出力装置110
やその変形例では、第1および第2の駆動回路91,9
2,191,192としてトランジスタインバータを用
いたが、その他に、IGBT(絶縁ゲートバイポーラモ
ードトランジスタ;Insulated Gate Bipolar mode Tran
sistor)インバータや、サイリスタインバータや、電圧
PWM(パルス幅変調;Pulse Width Modulation)イン
バータや、方形波インバータ(電圧形インバータ,電流
形インバータ)や、共振インバータなどを用いることも
できる。
【0225】また、バッテリ94,194としては、P
bバッテリ,NiMHバッテリ,Liバッテリなどを用
いることができるが、バッテリ194に代えてキャパシ
タを用いることもできる。
【0226】以上の実施例では、動力出力装置を車両に
搭載する場合について説明したが、本発明はこれに限定
されるものではなく、船舶,航空機などの交通手段や、
その他各種産業機械などに搭載することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としての動力出力装置2
0の概略構成を示す構成図である。
【図2】第1実施例の動力出力装置20を組み込んだ車
両の概略構成を示す構成図である。
【図3】第1実施例の動力出力装置20の動作原理を説
明するためのグラフである。
【図4】第1実施例の制御装置80により実行されるト
ルク制御ルーチンを例示するフローチャートである。
【図5】アクセルペダルポジションAPと回転数Ndと
トルク指令値Td*との関係を例示するマップである。
【図6】第1実施例の制御装置80により実行される指
令値設定ルーチンの一部を例示するフローチャートであ
る。
【図7】第1実施例の制御装置80により実行される指
令値設定ルーチンの一部を例示するフローチャートであ
る。
【図8】第1実施例の制御装置80により実行されるク
ラッチモータ制御ルーチンを例示するフローチャートで
ある。
【図9】第1実施例の制御装置80により実行されるア
シストモータ制御ルーチンを例示するフローチャートで
ある。
【図10】第1実施例の変形例のトルク制御ルーチンを
例示するフローチャートである。
【図11】第1実施例の変形例の動力出力装置20Aの
概略構成を示す構成図である。
【図12】第1実施例の変形例の動力出力装置20Bの
概略構成を示す構成図である。
【図13】変形例の動力出力装置20Bの制御装置80
により実行される指令値設定ルーチンの一部を例示する
フローチャートである。
【図14】変形例の動力出力装置20Bの制御装置80
により実行される指令値設定ルーチンの一部を例示する
フローチャートである。
【図15】第1実施例の変形例の動力出力装置20Cの
概略構成を示す構成図である。
【図16】第1実施例の変形例の動力出力装置20Dの
概略構成を示す構成図である。
【図17】第1実施例の変形例の動力出力装置20Eの
概略構成を示す構成図である。
【図18】変形例の動力出力装置20Eの制御装置80
により実行されるトルク制御ルーチンの一例を示すフロ
ーチャートである。
【図19】第1実施例の変形例である動力出力装置20
Fの概略構成を示す構成図である。
【図20】第2実施例としての動力出力装置110の概
略構成を示す構成図である。
【図21】第2実施例の動力出力装置110の部分拡大
図である。
【図22】第2実施例の動力出力装置110を組み込ん
だ車両の概略の構成を例示する構成図である。
【図23】第2実施例の動力出力装置110の動作原理
を説明するためのグラフである。
【図24】第2実施例におけるプラネタリギヤ120に
結合された3軸の回転数とトルクの関係を示す共線図で
ある。
【図25】第2実施例におけるプラネタリギヤ120に
結合された3軸の回転数とトルクの関係を示す共線図で
ある。
【図26】第2実施例の制御装置180により実行され
るトルク制御ルーチンを例示するフローチャートであ
る。
【図27】第2実施例の動力出力装置110の制御装置
180により実行される指令値設定ルーチンの一部を例
示するフローチャートである。
【図28】第2実施例の動力出力装置110の制御装置
180により実行される指令値設定ルーチンの一部を例
示するフローチャートである。
【図29】第2実施例の制御装置180により実行され
るモータMG1の制御ルーチンを例示するフローチャー
トである。
【図30】第2実施例の制御装置180により実行され
るモータMG2の制御ルーチンを例示するフローチャー
トである。
【図31】第2実施例の変形例である動力出力装置11
0Aの概略構成を示す構成図である。
【図32】第2実施例の変形例である動力出力装置11
0Bの概略構成を示す構成図である。
【図33】第2実施例の変形例である動力出力装置11
0Cの概略構成を示す構成図である。
【図34】変形例の動力出力装置110Cにおけるプラ
ネタリギヤ120に結合された3軸の回転数とトルクの
関係を示す共線図である。
【図35】変形例の動力出力装置110Cにおけるプラ
ネタリギヤ120に結合された3軸の回転数とトルクの
関係を示す共線図である。
【図36】変形例の動力出力装置110Cの制御装置1
80により実行される指令値設定ルーチンの一部を例示
するフローチャートである。
【図37】変形例の動力出力装置110Cの制御装置1
80により実行される指令値設定ルーチンの一部を例示
するフローチャートである。
【図38】第2実施例の変形例である動力出力装置11
0Dの概略構成を示す構成図である。
【図39】第2実施例の変形例である動力出力装置11
0Dの概略構成を示す構成図である。
【図40】第2実施例の変形例である動力出力装置11
0Dの概略構成を示す構成図である。
【符号の説明】
20…動力出力装置 20A〜20F…動力出力装置 22…駆動軸 23…ギヤ 24…ディファレンシャルギヤ 26,28…駆動輪 27,29…駆動輪 30…クラッチモータ 32…アウタロータ 34…インナロータ 35…永久磁石 36…三相コイル 38…スリップリング 38a…回転リング 38b…ブラシ 39…レゾルバ 40…アシストモータ 41…回転軸 41a…レゾルバ 42…ロータ 43…ステータ 44…三相コイル 45…ケース 46…永久磁石 48…レゾルバ 49…ベアリング 50…エンジン 51…燃料噴射弁 52…燃焼室 54…ピストン 56…クランクシャフト 58…イグナイタ 60…ディストリビュータ 62…点火プラグ 64…アクセルペダル 64a…アクセルペダルポジションセンサ 65…ブレーキペダル 65a…ブレーキペダルポジションセンサ 66…スロットルバルブ 67…スロットルバルブポジションセンサ 68…アクチュエータ 70…EFIECU 72…吸気管負圧センサ 74…水温センサ 76…回転数センサ 78…回転角度センサ 79…スタータスイッチ 80…制御装置 82…シフトレバー 84…シフトポジションセンサ 90…制御CPU 90a…RAM 90b…ROM 91…第1の駆動回路 92…第2の駆動回路 94…バッテリ 95,96…電流検出器 97,98…電流検出器 99…残容量検出器 110…動力出力装置 110A〜110F…動力出力装置 111…動力伝達ギヤ 112…駆動軸 114…ディファレンシャルギヤ 115…ケース 116,118…駆動輪 117,119…駆動輪 120…プラネタリギヤ 121…サンギヤ 122…リングギヤ 123…プラネタリピニオンギヤ 124…プラネタリキャリア 125…サンギヤ軸 126…リングギヤ軸 128…動力取出ギヤ 129…チェーンベルト 132…ロータ 133…ステータ 134…三相コイル 135…永久磁石 139…レゾルバ 142…ロータ 143…ステータ 144…三相コイル 145…永久磁石 149…レゾルバ 150…エンジン 156…クランクシャフト 157…レゾルバ 164a…アクセルペダルポジションセンサ 165a…ブレーキペダルポジションセンサ 170…EFIECU 180…制御装置 184…シフトポジションセンサ 190…制御CPU 190a…RAM 190b…ROM 191…第1の駆動回路 192…第2の駆動回路 194…バッテリ 195,196…電流検出器 197,198…電流検出器 199…残容量検出器 CL1…クラッチ CL2…クラッチ L1,L2…電源ライン Tr1〜Tr6…トランジスタ Tr11〜Tr16…トランジスタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金森 彰彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−98803(JP,A) 特開 平9−308012(JP,A) 特開 平9−201005(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60L 11/14 B60K 6/02

Claims (26)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動軸に動力を出力する動力出力装置で
    あって、 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸に結合される第1の回転軸と前記駆
    動軸に結合される第2の回転軸とを有し、前記第1の回
    転軸に入出力される動力と前記第2の回転軸に入出力さ
    れる動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入
    出力により調整するエネルギ調整手段と、 前記駆動軸または前記出力軸と動力のやり取りをする電
    動機と、 前記駆動軸に出力すべき目標動力を設定する目標動力設
    定手段と、 前記原動機から出力される動力をトルク変換により前記
    目標動力として前記駆動軸に出力可能な該原動機,該エ
    ネルギ調整手段および該電動機の運転状態の少なくとも
    2以上の組合せについて、それぞれ全損失を演算する損
    失演算手段と、 該演算された各全損失のうち最も小さな全損失となる運
    転状態の組合わせを前記原動機,前記エネルギ調整手段
    および前記電動機の目標運転状態として設定する目標運
    転状態設定手段と、 該設定された目標運転状態で運転されるよう前記原動
    機,前記エネルギ調整手段および前記電動機の運転を制
    御する運転制御手段とを備える動力出力装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の動力出力装置であって、 前記駆動軸の回転数を検出する回転数検出手段を備え、 前記電動機は、前記駆動軸と動力のやり取りをする電動
    機であり、 前記損失演算手段は、 前記回転数検出手段により検出された回転数で回転可能
    な前記電動機の運転状態のうち少なくとも2以上のトル
    クを変数として前記2以上の組合せを設定する組合せ設
    定手段と、 該設定された組合せにおける前記原動機,前記エネルギ
    調整手段および前記電動機の各損失を演算すると共に該
    演算された各損失を合計して前記全損失とする全損失演
    算手段とを備える動力出力装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の動力出力装置であって、 前記駆動軸の回転数を検出する回転数検出手段を備え、 前記電動機は、前記出力軸と動力のやり取りをする電動
    機であり、 前記損失演算手段は、 前記回転数検出手段により検出された回転数と前記目標
    動力とから求められる前記駆動軸に出力すべきトルクを
    出力可能な前記エネルギ調整手段の運転状態のうち前記
    出力軸の少なくとも2以上の回転数を変数として前記2
    以上の組合せを設定する組合せ設定手段と、 該設定された組合せにおける前記原動機,前記エネルギ
    調整手段および前記電動機の各損失を演算すると共に該
    演算された各損失を合計して前記全損失とする全損失演
    算手段とを備える動力出力装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3いずれか記載の動力出
    力装置であって、 前記エネルギ調整手段による前記エネルギ偏差の調整に
    必要な電気エネルギの充放電と、前記電動機による動力
    のやり取りに必要な電気エネルギの充放電とが可能な蓄
    電手段と、 前記蓄電手段を充放電すべき目標電力を設定する目標電
    力設定手段とを備え、 前記損失演算手段は、前記原動機から出力される動力と
    前記目標電力とを用いてエネルギ変換により前記目標動
    力を前記駆動軸に出力すると共に該目標電力で前記蓄電
    手段を充放電可能な該原動機,該エネルギ調整手段およ
    び該電動機の運転状態の少なくとも2以上の組合せにつ
    いて、それぞれ全損失を演算する手段である動力出力装
    置。
  5. 【請求項5】 駆動軸に動力を出力する動力出力装置で
    あって、 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸に結合される第1の回転軸と前記駆
    動軸に結合される第2の回転軸とを有し、前記第1の回
    転軸に入出力される動力と前記第2の回転軸に入出力さ
    れる動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入
    出力により調整するエネルギ調整手段と、 前記駆動軸または前記出力軸と動力のやり取りをする電
    動機と、 前記駆動軸に出力すべき目標動力を設定する目標動力設
    定手段と、 前記原動機の運転可能な運転状態の各損失と、前記エネ
    ルギ調整手段の運転可能な運転状態の各損失と、前記電
    動機の運転可能な運転状態の各損失とを記憶する損失記
    憶手段と、 前記原動機から出力される動力を前記目標動力にトルク
    変換して前記駆動軸に出力可能な該原動機,該エネルギ
    調整手段および該電動機の運転状態の少なくとも2以上
    の組合せについて、それぞれ前記記憶手段に記憶された
    各損失から全損失を演算する損失演算手段と、 該演算された各全損失のうち最も小さな全損失となる運
    転状態の組合わせを前記原動機,前記エネルギ調整手段
    および前記電動機の目標運転状態として設定する目標運
    転状態設定手段と、 該設定された目標運転状態で運転されるよう前記原動
    機,前記エネルギ調整手段および前記電動機の運転を制
    御する運転制御手段とを備える動力出力装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の動力出力装置であって、 前記駆動軸の回転数を検出する回転数検出手段を備え、 前記電動機は、前記駆動軸と動力のやり取りをする電動
    機であり、 前記組合せ設定手段は、前記回転数検出手段により検出
    された回転数で回転可能な前記電動機の運転状態のうち
    少なくとも2以上のトルクを変数として前記2以上の組
    合せを設定する手段である動力出力装置。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の動力出力装置であって、 前記駆動軸の回転数を検出する回転数検出手段を備え、 前記電動機は、前記出力軸と動力のやり取りをする電動
    機であり、 前記組合せ設定手段は、前記回転数検出手段により検出
    された回転数と前記目標動力とから求められる前記駆動
    軸に出力すべきトルクを出力可能な前記エネルギ調整手
    段の運転状態のうち前記出力軸の少なくとも2以上の回
    転数を変数として前記2以上の組合せを設定する手段で
    ある動力出力装置。
  8. 【請求項8】 請求項5ないし7いずれか記載の動力出
    力装置であって、 前記エネルギ調整手段による前記エネルギ偏差の調整に
    必要な電気エネルギの充放電と、前記電動機による動力
    のやり取りに必要な電気エネルギの充放電とが可能な蓄
    電手段と、 前記蓄電手段を充放電すべき目標電力を設定する目標電
    力設定手段とを備え、 前記損失演算手段は、前記原動機から出力される動力と
    前記目標電力とを用いてエネルギ変換により前記目標動
    力を前記駆動軸に出力すると共に該目標電力で前記蓄電
    手段を充放電可能な該原動機,該エネルギ調整手段およ
    び該電動機の運転状態の少なくとも2以上の組合せにつ
    いて、それぞれ前記記憶手段に記憶された各損失から全
    損失を演算する手段である動力出力装置。
  9. 【請求項9】 請求項2または6記載の動力出力装置で
    あって、 前記組合せ設定手段は、 前記回転数検出手段により検出された回転数で回転可能
    な前記電動機の運転状態のうち少なくとも2以上のトル
    クを順次変数として導出する変数導出手段と、 該導出された変数と前記回転数検出手段により検出され
    た回転数とにより前記電動機の運転状態を設定する第1
    運転状態設定手段と、 該第1運転状態設定手段により設定された運転状態で該
    電動機を運転するのに必要な電気エネルギを入出力する
    と共に前記目標動力におけるトルクと前記変数との偏差
    のトルクを出力するようエネルギ調整手段の運転状態を
    設定する第2運転状態設定手段と、 該第2運転状態設定手段により設定された運転状態から
    定まる前記出力軸の回転数とトルクとにより前記原動機
    の運転状態を設定する第3運転状態設定手段とを備え、 前記第1ないし第3運転状態設定手段により設定された
    各運転状態を前記運転状態の組合せとして設定する手段
    である動力出力装置。
  10. 【請求項10】 請求項3または7記載の動力出力装置
    であって、 前記組合せ設定手段は、 前記回転数検出手段により検出された回転数と前記目標
    動力とから求められる前記駆動軸に出力すべきトルクを
    出力可能な前記エネルギ調整手段の運転状態のうち前記
    出力軸の少なくとも2以上の回転数を順次変数として導
    出する変数導出手段と、 該導出された変数と前記駆動軸に出力すべきトルクとに
    より前記エネルギ調整手段の運転状態を設定する第1運
    転状態設定手段と、 該第1運転状態設定手段により設定された運転状態で該
    エネルギ調整手段を運転するのに必要な電気エネルギを
    入出力するよう前記電動機の運転状態を設定する第2運
    転状態設定手段と、 該第2運転状態設定手段により設定された運転状態にお
    けるトルクと前記駆動軸に出力すべきトルクとの和と、
    前記変数とにより、前記原動機の運転状態を設定する第
    3運転状態設定手段とを備え、 前記第1ないし第3運転状態設定手段により設定された
    各運転状態を前記運転状態の組合せとして設定する手段
    である動力出力装置。
  11. 【請求項11】 請求項2に従属する請求項4または請
    求項6に従属する請求項8記載の動力出力装置であっ
    て、 前記組合せ設定手段は、 前記回転数検出手段により検出された回転数で回転可能
    な前記電動機の運転状態のうち少なくとも2以上のトル
    クを順次変数として導出する変数導出手段と、 該導出された変数と前記回転数検出手段により検出され
    た回転数とにより前記電動機の運転状態を設定する第1
    運転状態設定手段と、 該第1運転状態設定手段により設定された運転状態で該
    電動機を運転するのに必要な電気エネルギと前記目標電
    力に相当する電気エネルギとの和を入出力すると共に前
    記目標動力におけるトルクと前記変数との偏差のトルク
    を出力するようエネルギ調整手段の運転状態を設定する
    第2運転状態設定手段と、 該第2運転状態設定手段により設定された運転状態から
    定まる前記出力軸の回転数とトルクとにより前記原動機
    の運転状態を設定する第3運転状態設定手段とを備え、 前記第1ないし第3運転状態設定手段により設定された
    各運転状態を前記運転状態の組合せとして設定する手段
    である動力出力装置。
  12. 【請求項12】 請求項3に従属する請求項4または請
    求項7に従属する請求項8記載の動力出力装置であっ
    て、 前記組合せ設定手段は、 前記回転数検出手段により検出された回転数と前記目標
    動力とから求められる前記駆動軸に出力すべきトルクを
    出力可能な前記エネルギ調整手段の運転状態のうち前記
    出力軸の少なくとも2以上の回転数を順次変数として導
    出する変数導出手段と、 該導出された変数と前記駆動軸に出力すべきトルクとに
    より前記エネルギ調整手段の運転状態を設定する第1運
    転状態設定手段と、 該第1運転状態設定手段により設定された運転状態で該
    エネルギ調整手段を運転するのに必要な電気エネルギと
    前記目標電力に相当する電気エネルギとの和を入出力す
    るよう前記電動機の運転状態を設定する第2運転状態設
    定手段と、 該第2運転状態設定手段により設定された運転状態にお
    けるトルクと前記駆動軸に出力すべきトルクとの和と、
    前記変数とにより、前記原動機の運転状態を設定する第
    3運転状態設定手段とを備え、 前記第1ないし第3運転状態設定手段により設定された
    各運転状態を前記運転状態の組合せとして設定する手段
    である動力出力装置。
  13. 【請求項13】 駆動軸に動力を出力する動力出力装置
    であって、 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸に結合される第1の回転軸と前記駆
    動軸に結合される第2の回転軸とを有し、前記第1の回
    転軸に入出力される動力と前記第2の回転軸に入出力さ
    れる動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入
    出力により調整するエネルギ調整手段と、 前記駆動軸または前記出力軸と動力のやり取りをする電
    動機と、 前記原動機から出力される動力をトルク変換して駆動軸
    に出力可能な前記原動機,前記エネルギ調整手段および
    前記電動機の運転状態の組合せのうち、該原動機,該エ
    ネルギ調整手段および該電動機の各損失の総計が小さい
    運転状態の組合せを前記駆動軸に出力すべき各動力に対
    応させて記憶する組合せ記憶手段と、 前記駆動軸に出力すべき目標動力を設定する目標動力設
    定手段と、 該設定された目標動力と前記組合せ記憶手段により記憶
    された運転状態の組合せとに基づいて該目標動力に対応
    する前記原動機,前記エネルギ調整手段および前記電動
    機の運転状態を設定する運転状態設定手段と、 該設定された運転状態で運転されるよう前記原動機,前
    記エネルギ調整手段および前記電動機の運転を制御する
    運転制御手段とを備える動力出力装置。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の動力出力装置であっ
    て、 前記エネルギ調整手段による前記エネルギ偏差の調整に
    必要な電気エネルギの充放電と、前記電動機による動力
    のやり取りに必要な電気エネルギの充放電とが可能な蓄
    電手段と、 前記蓄電手段を充放電すべき目標電力を設定する目標電
    力設定手段とを備え、 前記組合せ記憶手段は、前記原動機から出力される動力
    を前記蓄電手段の充放電による電力とをエネルギ変換し
    て駆動軸に出力可能な前記原動機,前記エネルギ調整手
    段および前記電動機の運転状態の組合せのうち、該原動
    機,該エネルギ調整手段および該電動機の各損失の総計
    が小さい運転状態の組合せを前記駆動軸に出力すべき各
    動力と前記蓄電手段の充放電による電力とに対応させて
    記憶する手段であり、 前記運転状態設定手段は、前記目標動力設定手段により
    設定された目標動力と前記目標電力設定手段により設定
    された目標電力と前記組合せ記憶手段により記憶された
    運転状態の組合せとに基づいて、該目標動力と該目標電
    力とに対応する前記原動機,前記エネルギ調整手段およ
    び前記電動機の運転状態を設定する手段である動力出力
    装置。
  15. 【請求項15】 前記エネルギ調整手段は、前記第1の
    回転軸に結合された第1のロータと、前記第2の回転軸
    に結合され該第1のロータに対して相対的に回転可能な
    第2のロータとを有し、該両ロータ間の電磁的な結合を
    介して該両回転軸間の動力のやり取りをすると共に、該
    両ロータ間の電磁的な結合と該両ロータ間の回転数差と
    に基づいて電気エネルギを入出力する対ロータ電動機で
    ある請求項1ないし14いずれか記載の動力出力装置。
  16. 【請求項16】 前記電動機は、前記対ロータ電動機の
    第2のロータと、該第2のロータを回転可能なステータ
    とからなる請求項2または6に従属する請求項15記載
    の動力出力装置。
  17. 【請求項17】 前記電動機は、前記対ロータ電動機の
    第1のロータと、該第1のロータを回転可能なステータ
    とからなる請求項3または7に従属する請求項15記載
    の動力出力装置。
  18. 【請求項18】 請求項15記載の動力出力装置であっ
    て、 前記電動機は、第3の回転軸と動力のやり取りをする電
    動機であり、 前記第3の回転軸と前記出力軸との機械的な接続と該接
    続の解除とを行なう第1の接続手段と、 前記第3の回転軸と前記駆動軸との機械的な接続と該接
    続の解除とを行なう第2の接続手段とを備え、 前記損失演算手段は、前記第1の接続手段による接続が
    解除されると共に前記第2の接続手段による接続が行な
    われる接続状態および/または前記第1の接続手段によ
    る接続が行なわれると共に前記第2の接続手段による接
    続が解除される接続状態で、前記原動機から出力される
    動力をトルク変換により前記目標動力として前記駆動軸
    に出力可能な該原動機,該エネルギ調整手段および該電
    動機の運転状態の少なくとも2以上の組合せについて、
    それぞれ全損失を演算する手段であり、 前記目標運転状態設定手段は、前記演算された各全損失
    のうち最も小さな全損失となる前記接続状態と前記運転
    状態との組合わせを前記第1および第2の接続手段の目
    標接続状態と前記原動機,前記エネルギ調整手段および
    前記電動機の目標運転状態として設定する手段であり、 前記運転制御手段は、前記設定された目標接続状態とな
    るよう前記第1および第2の接続手段の接続を制御する
    と共に、前記設定された目標運転状態で運転されるよう
    前記原動機,前記エネルギ調整手段および前記電動機の
    運転を制御する手段である動力出力装置。
  19. 【請求項19】 請求項1ないし14いずれか記載の動
    力出力装置であって、 前記エネルギ調整手段は、 前記第1の回転軸および前記第2の回転軸と異なる第3
    の回転軸を有し、前記3つの回転軸のうちいずれか2つ
    の回転軸へ入出力される動力を決定したとき、該決定さ
    れた動力に基づいて残余の回転軸へ動力を入出力する3
    軸式動力入出力手段と、 前記第3の回転軸と動力のやり取りをする回転軸電動機
    とを備える動力出力装置。
  20. 【請求項20】 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸に結合される第1の回転軸と駆動軸
    に結合される第2の回転軸とを有し、前記第1の回転軸
    に入出力される動力と前記第2の回転軸に入出力される
    動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入出力
    により調整するエネルギ調整手段と、 前記駆動軸または前記出力軸と動力のやり取りをする電
    動機とを備え、前記駆動軸に動力を出力する動力出力装
    置の制御方法であって、(a)前記駆動軸に出力すべき
    目標動力を設定し、(b)前記原動機から出力される動
    力をトルク変換により前記目標動力として前記駆動軸に
    出力可能な該原動機,該エネルギ調整手段および該電動
    機の運転状態の少なくとも2以上の組合せについて、そ
    れぞれ全損失を演算し、(c)該演算された各全損失の
    うち最も小さな全損失となる運転状態の組合わせを前記
    原動機,前記エネルギ調整手段および前記電動機の目標
    運転状態として設定し、(d)該設定された目標運転状
    態で運転されるよう前記原動機,前記エネルギ調整手段
    および前記電動機の運転を制御する動力出力装置の制御
    方法。
  21. 【請求項21】 請求項20記載の動力出力装置の制御
    方法であって、 前記動力出力装置は、更に、前記エネルギ調整手段によ
    る前記エネルギ偏差の調整に必要な電気エネルギの充放
    電と、前記電動機による動力のやり取りに必要な電気エ
    ネルギの充放電とが可能な蓄電手段を備え、 前記ステップ(b)に代えて、 (b1)前記蓄電手段を充放電すべき目標電力を設定
    し、 (b2)前記原動機から出力される動力と前記目標電力
    とを用いてエネルギ変換により前記目標動力を前記駆動
    軸に出力すると共に該目標電力で前記蓄電手段を充放電
    可能な該原動機,該エネルギ調整手段および該電動機の
    運転状態の少なくとも2以上の組合せについて、それぞ
    れ全損失を演算する、ステップを備える動力出力装置の
    制御方法。
  22. 【請求項22】 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸に結合される第1の回転軸と駆動軸
    に結合される第2の回転軸とを有し、前記第1の回転軸
    に入出力される動力と前記第2の回転軸に入出力される
    動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入出力
    により調整するエネルギ調整手段と、 前記駆動軸または前記出力軸と動力のやり取りをする電
    動機と、 前記原動機の運転可能な運転状態の各損失と、前記エネ
    ルギ調整手段の運転可能な運転状態の各損失と、前記電
    動機の運転可能な運転状態の各損失とを記憶する損失記
    憶手段とを備え、前記駆動軸に動力を出力する動力出力
    装置の制御方法であって、(a)前記駆動軸に出力すべ
    き目標動力を設定し、(b)前記原動機から出力される
    動力を前記目標動力にトルク変換して前記駆動軸に出力
    可能な該原動機,該エネルギ調整手段および該電動機の
    運転状態の少なくとも2以上の組合せについて、それぞ
    れ前記記憶手段に記憶された各損失から全損失を演算
    し、(c)該演算された各全損失のうち最も小さな全損
    失となる運転状態の組合わせを前記原動機,前記エネル
    ギ調整手段および前記電動機の目標運転状態として設定
    し、(d)該設定された目標運転状態で運転されるよう
    前記原動機,前記エネルギ調整手段および前記電動機の
    運転を制御する動力出力装置の制御方法。
  23. 【請求項23】 請求項22記載の動力出力装置の制御
    方法であって、 前記動力出力装置は、更に、前記エネルギ調整手段によ
    る前記エネルギ偏差の調整に必要な電気エネルギの充放
    電と、前記電動機による動力のやり取りに必要な電気エ
    ネルギの充放電とが可能な蓄電手段を備え、 前記ステップ(b)に代えて、 (b1)前記蓄電手段を充放電すべき目標電力を設定
    し、 (b2)前記原動機から出力される動力と前記目標電力
    とを用いてエネルギ変換により前記目標動力を前記駆動
    軸に出力すると共に該目標電力で前記蓄電手段を充放電
    可能な該原動機,該エネルギ調整手段および該電動機の
    運転状態の少なくとも2以上の組合せについて、それぞ
    れ前記記憶手段に記憶された各損失から全損失を演算す
    る、ステップを備える動力出力装置の制御方法。
  24. 【請求項24】 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸に結合される第1の回転軸と駆動軸
    に結合される第2の回転軸とを有し、前記第1の回転軸
    に入出力される動力と前記第2の回転軸に入出力される
    動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入出力
    により調整するエネルギ調整手段と、 前記駆動軸または前記出力軸と動力のやり取りをする電
    動機と、 前記原動機から出力される動力をトルク変換して駆動軸
    に出力可能な前記原動機,前記エネルギ調整手段および
    前記電動機の運転状態の組合せのうち、該原動機,該エ
    ネルギ調整手段および該電動機の各損失の総計が小さい
    運転状態の組合せを前記駆動軸に出力すべき各動力に対
    応させて記憶する組合せ記憶手段とを備え、前記駆動軸
    に動力を出力する動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記駆動軸に出力すべき目標動力を設定し、
    (b)該設定された目標動力と前記組合せ記憶手段によ
    り記憶された運転状態の組合せとに基づいて該目標動力
    に対応する前記原動機,前記エネルギ調整手段および前
    記電動機の運転状態を設定し、(c)該設定された運転
    状態で運転されるよう前記原動機,前記エネルギ調整手
    段および前記電動機の運転を制御する動力出力装置の制
    御方法。
  25. 【請求項25】 請求項24記載の動力出力装置の制御
    方法であって、 前記動力出力装置は、前記組合せ記憶手段に代えて、 前記エネルギ調整手段による前記エネルギ偏差の調整に
    必要な電気エネルギの充放電と、前記電動機による動力
    のやり取りに必要な電気エネルギの充放電とが可能な蓄
    電手段と、 前記原動機から出力される動力を前記蓄電手段の充放電
    による電力とをエネルギ変換して駆動軸に出力可能な前
    記原動機,前記エネルギ調整手段および前記電動機の運
    転状態の組合せのうち、該原動機,該エネルギ調整手段
    および該電動機の各損失の総計が小さい運転状態の組合
    せを前記駆動軸に出力すべき各動力と前記蓄電手段の充
    放電による電力とに対応させて記憶する組合せ記憶手段
    とを備え、 前記ステップ(b)に代えて、 (b1)前記蓄電手段を充放電すべき目標電力を設定
    し、 (b2)前記設定された目標動力と前記設定された目標
    電力と前記組合せ記憶手段により記憶された運転状態の
    組合せとに基づいて、該目標動力と該目標電力とに対応
    する前記原動機,前記エネルギ調整手段および前記電動
    機の運転状態を設定する、ステップを備える動力出力装
    置の制御方法。
  26. 【請求項26】 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸に結合される第1の回転軸と駆動軸
    に結合される第2の回転軸とを有し、前記第1の回転軸
    に入出力される動力と前記第2の回転軸に入出力される
    動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入出力
    により調整するエネルギ調整手段と、 第3の回転軸と動力のやり取りをする電動機と、 前記第3の回転軸と前記出力軸との機械的な接続と該接
    続の解除とを行なう第1の接続手段と、 前記第3の回転軸と前記駆動軸との機械的な接続と該接
    続の解除とを行なう第2の接続手段とを備え、前記駆動
    軸に動力を出力する動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記駆動軸に出力すべき目標動力を設定し、
    (b)前記第1の接続手段による接続が解除されると共
    に前記第2の接続手段による接続が行なわれる接続状態
    および/または前記第1の接続手段による接続が行なわ
    れると共に前記第2の接続手段による接続が解除される
    接続状態で、前記原動機から出力される動力をトルク変
    換により前記目標動力として前記駆動軸に出力可能な該
    原動機,該エネルギ調整手段および該電動機の運転状態
    の少なくとも2以上の組合せについて、それぞれ全損失
    を演算し、(c)該演算された各全損失のうち最も小さ
    な全損失となる前記接続状態と前記運転状態との組合わ
    せを前記第1および第2の接続手段の目標接続状態と前
    記原動機,前記エネルギ調整手段および前記電動機の目
    標運転状態として設定し、(d)該設定された目標接続
    状態となるよう前記第1および第2の接続手段の接続を
    制御すると共に、前記設定された目標運転状態で運転さ
    れるよう前記原動機,前記エネルギ調整手段および前記
    電動機の運転を制御する動力出力装置の制御方法。
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