JP3140596U - ベアリング - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベアリング1の外筒2の内面両端に設けられたオイルシール部9を、外側オイルシール30と含油シール7と内側オイルシール8との三重構成にした。内側オイルシール8のリップ部8Lはベアリングの内方斜めに曲げられているので、ベアリングを摺動させる時にベアリング内のグリースを効率よく掬い上げて内部に保持し、流出を阻止する。グリース補給をする必要がなくなり、メンテナンスフリーにすることが出来た。
【選択図】図1
Description
ベアリング1は全体として円筒状とされており、その中央開口に軸6が挿通されている。外筒2の内面には軸方向に多くのボール転動体5が整列され、ベアリング1はこのボール転動体5を介して軸6と接触している。ボール転動体5は、外筒2内の厚み部分に施された循環路2Aを通って循環し得るようにされており、循環路2Aには潤滑剤としてグリースが充填されている。そのため、軸6に対してベアリング1を摺動させる場合、その摺動は滑らかに行われる。ボール転動体5は、この摺動の際に受ける力により徐々に移動され、循環路2Aを循環して行く。
リップ部3Lは、オイルシール3が軸6の表面と接触する部分のことであり、ベアリング1の外方斜めに曲げられた形状とされている。このような形状にしてある理由は、ベアリング1が軸6上を進行して行く際、軸6の進行方向表面に付着しているゴミ等を掬い上げて排除するためである。それにより、ゴミ等がベアリング1内に入って来ることが阻止される。
前記した従来のベアリングには、次のような問題点があった。
第1の問題点は、定期的にグリースの補給等の点検作業(メンテナンス作業)をしなければならず、手間が面倒であるという点である。
第2の問題点は、グリースの流出によりベアリングの動作環境が汚くなるという点である。
第3の問題点は、グリースの補給を怠った場合、ベアリングが軸上を走行する走行音が大になり、うるさくなると共に、ベアリングの寿命が短くなるという点である。
まず第1の問題点について説明する。従来のベアリングでは、使用期間が長くなるとベアリングの進行方向後方から、ベアリング内に充填してあるグリースが少しづつではあるが外部へ流出するようになる。図2のベアリング1では、グリースの流出阻止は、オイルシール3によって行われる。ボール転動体5に付着しているグリースは軸6に付着するが、軸6に付着したグリースはベアリング1が摺動する際、オイルシール3に擦り取られ、外部への流出が阻止される。しかし、オイルシール3が劣化して来てシール機能が悪くなると、うまくグリースを擦り取ることが出来ず、グリースがベアリング1の外部へ流出することになる。リップ部3Lの先端がベアリングの外方向へ曲げられていることも、グリースが内→外へ流出するのを助長する一因ともなっている。
なお、グリース不足に陥ると、滑らかな摺動が得られなくなると共にベアリングの寿命を縮めるから、そうなる前にグリースの補給をしてやる必要がある。ベアリングの動作状態を監視しつつ、そのような補給を行うことは、大変手間がかかり面倒なことである。
最後に、第3の問題点について説明する。ベアリング1内のボール転動体5は、転動する際に隣りのボール転動体5や循環路2Aの壁面等にぶつかって騒音を発する。この騒音は、ベアリング1を軸6に摺動させて走行させる場合に生ずるので走行音ということになるが、グリースが充分にある場合にはグリースに消音されて走行音は小さい。しかし、グリースが不足して来ると、消音作用も不十分になり、走行音は大になる。そして、走行音が大になるほどグリース不足になると、ベアリングの寿命を縮めることになる。
本考案は、以上のような問題点を解決することを課題とするものである。
(1)定期的にグリースの補給等の点検作業をする必要がなくなり、いわゆるメンテナンスフリーのベアリングを実現することが出来た。
ベアリングの内面両端のシール部を、リップ部が外方斜めに曲げられた外側オイルシールと、リップ部が内方斜めに曲げられた内側オイルシールと、それらの間に設けた含油シールとの三重で構成するという構造としたので、ベアリング内のグリースの流出が効率よく阻止されると共に、含油シールから潤滑油が自動的に供給されるようになった。そのため、グリース補給等をする必要がなくなり、メンテナンスフリーとすることが出来た。
(3)グリースの流出が効率よく阻止され、ベアリング内がグリース不足に陥ることがなくなったので、ベアリングの寿命が伸びると共にベアリング走行音が大になることもなくなった。
(4)外筒に防錆処理を施し、ボール転動体としてステンレス鋼のものを用いた場合には、ベアリングのどの部分からも錆を発生することがなく、完全防錆化を図ることが可能となる。
(5)外側オイルシール,内側オイルシール,含油シール、およびリテーナに、耐高温性材質のものを用いた場合には、高温環境下での使用が可能となる。
図1は本考案にかかわるベアリングを示す図である。符号は図2のものに対応し、7は含油シール、8は内側オイルシール、8Lはリップ部、9はオイルシール部、30は外側オイルシール、30Lはリップ部である。
図2と同じ符号の部分は、図2のものと同様の構造であり同様の機能を果しているので、それらについての説明は省略する。外側オイルシール30およびリップ部30Lは、それぞれ図2のオイルシール3およびリップ部3Lに相当するものである。
即ち本考案では、オイルシール部9を、外側に配設した外側オイルシール30と、内側に配設した内側オイルシール8と、両者の間に配設した含油シール7とを、軸方向に重ねて構成することとした。なお、これら3つのシール材は密接して配設するので、コンパクトに構成することが出来る。以下、順を追って説明する。
これは、図2の従来例に用いられていたオイルシール3と同様のものである。そのリップ部30Lは外方斜めに曲げられており、従来例のオイルシール3と同様の機能を果たす。つまり、リップ部30Lが曲げられた方向へベアリング1が摺動されるとき、進行方向の軸6表面上に付いているゴミ等を掬い上げて排除し、ベアリング1内に侵入するのを阻止する。
内側オイルシール8は、リップ部8Lがベアリング1の内方斜めに曲げられたオイルシールである。内側オイルシール8の部材は、図2のオイルシール3と同様のものでよい。リップ部8Lが曲げられた方向へベアリング1が摺動されるとき、進行方向の軸6表面上に付いているグリースをリップ部8Lで掬い上げ、ベアリング1内に保持するので、グリースの外部への流出が阻止される。
図1でボール転動体5にはグリースが付着しているから、軸6の表面でボール転動体5が接触している表面にもグリースは付着している。そういう状態でベアリング1が図1の右方へ摺動された時には、左側にある内側オイルシール8が軸6に付着しているグリースを掬い上げてベアリング1内に保持する(流出阻止)。図1の左方へ摺動された時には、右側にある内側オイルシール8がグリースを掬い上げてベアリング1内に保持する。
グリースの掬い上げは、内側オイルシール8のリップ部8Lが内方斜めに曲げられていることにより、効率よく行われる。
含油シール7は、潤滑油が含ませてあるシールであり、部材としては例えばフェルトを用いることが出来る。含油シール7に含ませてある油により、長期に渡って潤滑効果を奏させることが可能となる。前記した2つのオイルシールの他に含油シール7を存在せしめることにより、外部からのゴミ等の侵入の阻止、および内部からのグリースの流出阻止を、さらに確実なものとすることが出来る。
なお、含油シール7の厚みは、どの程度の量の潤滑油を含ませておくかによって異なる。多く含ませておこうとすると、厚みは大にする必要がある。
先ず第1の効果は、定期的にグリースの補給等の点検作業をする必要がなくなり、いわゆるメンテナンスフリーのベアリングを実現することが出来るという効果である。
本考案では、両端のオイルシール部9に、内側に曲げたリップ部8Lを具えた内側オイルシール8を新たに設ける等して三重にしている。そのため、ベアリング1内のグリースが外部へ流出するのを効率よく阻止することが出来、殆ど流出しなくなった。その上、含油シール7から潤滑油が供給されて潤滑されるので、ベアリング1の潤滑という点では殆ど心配する必要がなくなった。
グリースの流出が阻止され、点検作業をしてやらなくとも使い続けられるようになったということは、別の観点から言えばベアリングの耐久性,信頼性を大幅に向上させたと言うことが出来る。
第3の効果は、使用しているうちにベアリングの走行音が大になるということはないという効果である。従来のベアリングでは、グリースの流出によりボール転動体5の循環路2A内のグリースが少なくなり、走行時にボール転動体5が周囲の壁面や他のボール転動体5と衝突して生ずる騒音が充分に消音されなくなり、走行音が大になっていた。しかし本考案では、グリースが殆ど流出しないので、充分な消音作用が維持され、使用しているうちに走行音が大になってしまうということはない。
また、外側オイルシール30,含油シール7,内側オイルシール8、およびリテーナ4に、耐高温性材質のものを選定してやれば、高温環境下でも使用可能なベアリングを実現することが出来る。
Claims (4)
- ボール転動体と、
中央開口を有すると共に筒の厚み部分に該ボール転動体の循環路を有する外筒と、
循環路に充填された潤滑剤と、
前記ボール転動体のためのリテーナと、
前記外筒の内面両端に設けられたオイルシール部と
を具え、前記中央開口に挿通された軸に前記ボール転動体が転動接触しつつ摺動されるベアリングにおいて、
前記オイルシール部を、
前記軸に接するリップ部がベアリングの外方斜めに曲げられた外側オイルシールと、
前記軸に接するリップ部がベアリングの内方斜めに曲げられた内側オイルシールと、
該内側オイルシールと前記外側オイルシールとの間に配設され、潤滑油を含ませられた含油シールと
を軸方向に重ねて構成した
ことを特徴とするベアリング。
- 含油シールの材料として、フェルト材を用いたことを特徴とする請求項1記載のベアリング。
- 外筒に防錆処理を施し、ボール転動体としてステンレス鋼のものを用いたことを特徴とする請求項1または2記載のベアリング。
- 外側オイルシール,内側オイルシール,含油シール、およびリテーナに、耐高温性材質のものを用いたことを特徴とする請求項1または2記載のベアリング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008000241U JP3140596U (ja) | 2008-01-21 | 2008-01-21 | ベアリング |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008000241U JP3140596U (ja) | 2008-01-21 | 2008-01-21 | ベアリング |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3140596U true JP3140596U (ja) | 2008-04-03 |
Family
ID=43290708
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2008000241U Expired - Lifetime JP3140596U (ja) | 2008-01-21 | 2008-01-21 | ベアリング |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3140596U (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2017109924A1 (ja) * | 2015-12-24 | 2018-10-18 | 三和テクノ株式会社 | 直動機構用サイドシールユニットおよび直動機構 |
-
2008
- 2008-01-21 JP JP2008000241U patent/JP3140596U/ja not_active Expired - Lifetime
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JPWO2017109924A1 (ja) * | 2015-12-24 | 2018-10-18 | 三和テクノ株式会社 | 直動機構用サイドシールユニットおよび直動機構 |
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