JP3140527B2 - インプラント材の表面処理方法 - Google Patents
インプラント材の表面処理方法Info
- Publication number
- JP3140527B2 JP3140527B2 JP04014047A JP1404792A JP3140527B2 JP 3140527 B2 JP3140527 B2 JP 3140527B2 JP 04014047 A JP04014047 A JP 04014047A JP 1404792 A JP1404792 A JP 1404792A JP 3140527 B2 JP3140527 B2 JP 3140527B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- implant material
- apatite
- implant
- aqueous solution
- surface treatment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Materials For Medical Uses (AREA)
- Dental Preparations (AREA)
- Dental Prosthetics (AREA)
Description
ンプラント材の表面処理に関する。
ス、有機高分子材料が利用されているが、一般に異物を
生体内に埋入した場合、材料の周囲の組織は異物に対し
てある種の生体反応を起こすことが知られている。この
場合、インプラント材が比較的生体組織に類似している
場合は同化吸収されるが、有害な金属等が埋入された場
合は、周囲組織はこの異物を速やかに離隔しようとして
繊維組織で包み込み、生体外に速やかに排出しようとす
る。一方、骨内埋込み材料では、アパタイトなどはほぼ
同化吸収を受けるのに対し、金属の場合は骨組織との直
接結合かもしくはきわめて薄い膜で覆われる。又関節、
骨、歯根等の生体硬組織用の材料には更に静的力学的強
度、耐疲労性などの動的強度、弾性率などについても周
囲の骨組織と調和する特性を必要とする。
み易い金属材料としてTi、Ti合金、Cr合金、Ni
合金、TaNb、貴金属等が利用されている。このTi
等は元来不銹材であると言われてはいるが、長期間体内
にとどまった場合は必ずしも不透であるとはいえない点
がある。即ち、体液と接する表面には微弱ながら腐食が
生じ、これが材料強度の低下や摺動部の摩耗を促進す
る。又金属の腐食の際に金属イオンが周囲の生体組織へ
移行する現象が見られるなどの弊害がある。
収し易い前記アパタイトを被覆処理する技術が既に提案
されている。即ち、本発明者等が既に提案した処理方法
は、燐酸とカルシウムの混合水溶液中にインプラント材
を挿入して、該インプラント材を陰極として前記水溶液
との間に通電(放電を含む)して、インプラント材の表
面に燐酸カルシウムを析出させる方法、即ちCa10(P
O4 )6 (OH)2 を析出させる方法である。しかしな
がら、この方法による場合、燐酸カルシウムの析出層内
にインプラント材の成形加工時に生じた工具材料等から
離脱、付着した不純物が残留しており、この不純物がイ
ンプラントの生体への植込み時に種々の障害を引き起す
欠点があった。
欠点を除去し、安定した植込みができる生体親和性の高
いインプラントの表面処理方法を提供することを目的と
する。
め、本発明は、燐酸塩とカルシウム化合物の混合水溶液
中にインプラント材を挿入し、該インプラント材を陰極
として上記混合水溶液との間に通電(放電を含む)を行
なって、インプラント材表面にアパタイトを析出させる
表面処理方法に於いて、上記通電によるアパタイト析出
処理の前処理として、上記インプラント材を弗化物水溶
液で洗浄しその表面に弗化物を付着させ、この弗化物が
付着した状態において上記通電を行なうことにより、弗
素化アパタイトを析出させることを特徴とする。
を弗化物水溶液で洗浄する表面処理を行なってから、ア
パタイトを析出する表面処理を行なうようにしたから、
インプラント材の表面に不純物が残留しない生体親和性
の高いアパタイトを析出させることができ、しかも析出
アパタイトとしては洗浄時に付着した弗素を取り込んだ
弗素化アパタイトCa10(PO4 )6 F2x(O
H)2-2x、やCa5 (PO 4 )3 F0.2-0.5 (OH)
0.5-0.8 を析出させることができる。
説明する。図1は、本発明に係るインプラント材の表面
処理を行なう際の洗浄工程説明図で、槽1内の底部に超
音波振動子2が挿入され、槽1内には洗浄液3が満たさ
れる。この洗浄液には弗化物水溶液、例えばHFの5%
水溶液が用いられ、この洗浄液3中にインプラント材4
を挿入して洗浄する。洗浄液3は振動子2によって超音
波振動が付与され、この超音波振動液3によりインプラ
ント材4の表面浄化処理が行なわれる。HF水溶液は腐
食性があり、インプラント材4の表面に付着する銅等を
微小量づつ溶解し、更に表面に付着した他の金属等不純
物を洗浄除去する。洗浄されたインプラント材4はコン
ベアベルト5により取り出すが、この洗浄処理されたイ
ンプラント材4の表面には洗浄液の弗化物が付着した状
態となる。
ト材の表面にアパタイトを析出せしめる処理を行なう工
程図で、図において、6は処理容器で、内部に処理混合
液7を貯蔵する。4は液中に挿入したインプラント材、
8は処理混合液7に通電するために容器6の底に浸漬し
た通電電極、9はインプラント材4と電極8との間に通
電する電源装置であって、通常パルス電源が用いられ、
又これに直流、交流、高周波等を重畳したものが利用さ
れる。
うなものが利用される。 (1)無機燐酸塩 燐酸ソーダ、ポリメタ燐酸、燐酸カルシウム、その他 (2)燐酸エルテル DMP、TMP、TBP、TEP、その他 (3)ATP、その他のヌクレオチド及び核酸類 (4)その他の燐酸有機化合物 燐酸セルローズ、燐酸澱粉、その他
合物としては次のようなものが用いられる。 (1)有機酸カルシウム塩 酢酸、酪酸、吉草酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、クエ
ン酸、アジピン酸等のカルシウム塩、その他 (2)キレートのカルシウム塩 EDTA、NTA、HEDTE等のカルシウム塩、その
他 (3)イオノフォアカルシウム塩 シクロペンタジェニル、クラウンエーテル、クリプタン
ト等のカルシウム塩、その他、 (4)無機化合物 CaCl2 、燐酸カルシウム、酸化カルシウム、その
他、 又、アルコキシド−(Ca)+アルコール−燐酸混合液
を用いることもできる。
挿入した状態で、インプラント材4を陰極として電源9
から通電すると、電解作用により酸素、水素ガス、水蒸
気等の多量のガス10が発生し、これが陰極側のインプラ
ント材4の表面に付着し、インプラント材を覆うように
なる。この電解発生ガスのために等価的には通電回路中
に直列抵抗が入ったことと同様になり、この抵抗はガス
発生量に比例して間隙抵抗値が増大する。インプラント
材の表面がこのガスで覆われた状態で電解電流を更に増
大して限界電流を越えると放電が発生するようになる。
即ち、電流を増大すると発生ガスも増加し、抵抗値がガ
スの発生量に比例して増大し、ジュール熱が発生し、加
熱が始まる。これによりインプラント材4の周辺の液の
温度が次第に上昇し、水蒸気と電解ガスなどのために発
生ガス部分で放電が発生するようになる。液7とインプ
ラント材4間で放電が発生するようになれば増々温度が
上昇し、それにつれて水蒸気とガスの発生量が増加して
インプラント材4の表面全体を包んだ状態になり、抵抗
値が更に増大して急速に加熱、昇温するようになる。イ
ンプラント材周辺の液が 100℃近くになると、水蒸気と
電解ガスのために発生ガス部分で放電が盛んに起り、こ
の液7とインプラント材4の表面間で放電状態が形成さ
れると、ますます加熱速度が速くなり、1,000 〜2,000
℃程度まで容易に加熱することができる。この放電の加
熱作用、衝撃効果、放電電解等によって活性化されたイ
ンプラント材4の表面には、洗浄工程で付着処理された
弗化物と混合水溶液7の成分の化学反応によって、弗素
を取り込んだ弗素化アパタイトCa10( PO4 )6F
2x(OH) 2-2xやCa5 (PO4 )3 F0.2-0.5 (O
H)0. 5-0.8 が析出する。なお式中のxは弗素の取り込
み量による弗素化度を示す。
昇によって更に焼付等の熱処理され、強く溶着して基材
との密着性を高め、強固なアパタイト膜が形成される。
又このアパタイト膜は基材に対して厚さ数μmから10数
μmの均一な被覆が容易に生成するので、インプラント
表面処理として有効に利用することができる。又この表
面処理後に熱処理を施すことが推奨され、これによりイ
ンプラント表面に強く焼き付いた強固なアパタイト被膜
を形成できる。
ト材(Ti材)を5%のHF水溶液中で超音波洗浄す
る。洗浄により表面の付着不純物を除去すると共に、表
面にHF水が付着したインプラント材を、クエン酸5%
と燐酸カルシウム20%の超飽和混合水溶液に更に燐酸を
体積比で1.5 %添加した混合水溶液中に挿入し、インプ
ラント材を陰極として電解液中放電を行なって表面処理
を行なった。通電条件は平均電圧60V、平均電流1Aで
1分間の処理によりインプラント材(Ti材)の表面に
厚さ約16μm程度のアパタイト膜を生成した。生成膜中
の析出はCa10(PO4)6 F2 (OH)が約89%であっ
た。
ラス質化することができ、線膨張係数が約8〜10×10-6
℃程度であって、インプラント材として極めて有効であ
った。即ちこの生成されたアパタイトは基材に強く密着
しており、生体親和性が高く、この薄膜形成によってT
iインプラント材を安全に骨内に埋め込むことができ
る。又、Tiインプラント材の表面はアパタイト形成処
理前にHF水で充分に洗浄されてインプラント加工時等
に付着した不純物が洗浄除去され、純なTi材表面に生
体親和性の高いアパタイト薄膜が形成処理されたもので
あるから、これによって極めて安定な埋込み状態が達成
できる。
た弗化物をアパタイト中に取り込んだ弗素化アパタイト
であり、アパタイト中に含まれるF- の結晶成長促進作
用及び溶解抑制作用により、極めて安定した植込みがで
きる。なお洗浄剤にはHF+HNO3 、HF+EPW、
HF+KOH等を用いることができ、洗浄液を攪拌流動
させながら洗浄処理を行なうことも推奨される。
を、 600メッシュに研磨した豚の象牙質内に埋入し、そ
の接着試験を行なったところ、7日で 70kgf/cm2 とな
り実用的に優れた効果が得られ、弗素化アパタイト被膜
の強度は 10.2kgf/mm2 であった。場合によっては更に
CaF2 を添加することも有効である。
の表面処理に当り、所要の成形加工したインプラント材
を始めに弗化物水溶液で洗浄し、表面の不純物を除去す
ると共に、洗浄液に含まれる弗化物をインプラント材の
表面に付着させる処理を施し、次いで燐酸塩とカルシウ
ム化合物の混合水溶液中で、インプラント材を陰極とし
て上記混合水溶液との間に通電(放電を含む)を行なっ
て、インプラント材の表面に弗素を取り込んだ弗素化ア
パタイトを析出させる表面処理を行なうようにしたか
ら、不純物が残留しないで極めて安全に骨内に埋込むこ
とができ、骨内インプラントとして生体親和性の高い良
好なアパタイト被膜が形成され、これにより、骨内に埋
入されたインプラント材は安定した生物学的同化吸収作
用を受けると同時にその部位に新生骨が形成促進され、
骨と一体的に強固に結合するようになる。又、析出する
アパタイトは洗浄時に付着した弗素をアパタイト中に取
り込んだ弗素化アパタイトであり、アパタイト中に含ま
れるF− の結晶成長作用及び溶解抑制作用によって極
めて安定した植込みが可能となる。
である。
Claims (2)
- 【請求項1】 燐酸塩とカルシウム化合物の混合水溶液
中にインプラント材を挿入し、該インプラント材を陰極
として上記混合水溶液との間に通電(放電を含む)を行
なって、インプラント材表面にアパタイトを析出させる
表面処理方法に於いて、上記通電によるアパタイト析出
処理の前処理として、上記インプラント材(4) を弗化物
水溶液(3) で洗浄しその表面に弗化物を付着させ、この
弗化物が付着した状態において上記通電を行なうことに
より、弗素化アパタイトを析出させることを特徴とする
インプラント材の表面処理方法。 - 【請求項2】 上記通電によるアパタイト析出処理の後
に所要の熱処理を施すことを特徴とする請求項1に記載
のインプラント材の表面処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04014047A JP3140527B2 (ja) | 1992-01-29 | 1992-01-29 | インプラント材の表面処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04014047A JP3140527B2 (ja) | 1992-01-29 | 1992-01-29 | インプラント材の表面処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05285213A JPH05285213A (ja) | 1993-11-02 |
JP3140527B2 true JP3140527B2 (ja) | 2001-03-05 |
Family
ID=11850188
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04014047A Expired - Fee Related JP3140527B2 (ja) | 1992-01-29 | 1992-01-29 | インプラント材の表面処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3140527B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7048870B1 (en) | 1993-12-20 | 2006-05-23 | Astrazeneca Ab | Metallic implant and process for treating a metallic implant |
JP2005027930A (ja) * | 2003-07-08 | 2005-02-03 | Ishifuku Metal Ind Co Ltd | 骨補填材 |
DE102013201884A1 (de) * | 2013-02-05 | 2014-08-07 | Urs Brodbeck | Behandlungssystem zur Reinigung eines mit Biofilm verunreinigten Bauteils, insbesondere eines Implantat-Teils |
KR102068646B1 (ko) * | 2017-09-26 | 2020-02-24 | 김태훈 | 임플란트용 어버트먼트 |
-
1992
- 1992-01-29 JP JP04014047A patent/JP3140527B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05285213A (ja) | 1993-11-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101409304B1 (ko) | 임플란트, 특히 치과용 임플란트 | |
EP2663671B1 (en) | Metal treatment | |
CN102418132A (zh) | 纯钛或钛合金表面制备具有生物活性陶瓷涂层的方法 | |
JP4457230B2 (ja) | 医用インプラント材の表面処理方法 | |
JPH10102288A (ja) | リン酸カルシウム化合物のコーティング方法 | |
CN110494098B (zh) | 在等离子电解氧化工序中含有金属和硅的电解质组合物及牙科用植牙的制造方法 | |
JP3081316B2 (ja) | インプラント材の表面処理方法 | |
JP3140527B2 (ja) | インプラント材の表面処理方法 | |
JP2011072617A (ja) | 移植材とその製造方法 | |
JP3140452B2 (ja) | 生体内埋込材の表面処理方法 | |
JPH0999053A (ja) | インプラント表面改質方法 | |
de Souza Soares et al. | Surface morphology, roughness, and corrosion resistance of dental implants produced by additive manufacturing | |
JP2008125622A (ja) | 生分解性マグネシウム材 | |
JPH0731627A (ja) | インプラントとその製造方法 | |
JP2004183017A (ja) | 金属チタン系基材の表面処理方法及び金属チタン系医用材料 | |
CN101773412A (zh) | 一种牙种植体的表面活化方法 | |
JP2010515513A (ja) | 金属インプラント | |
JPH01310664A (ja) | 生体埋入用Ni−Ti系形状記億合金インプラントの表面処理方法 | |
JP2003235954A (ja) | 骨伝導性生体材料及びその製造方法 | |
JPH119679A (ja) | インプラントの製造方法 | |
US11952669B2 (en) | Compositions and methods for creating nanoscale surface geometries on metals of an implantable device | |
EP2180083B1 (en) | Surface treatment for titanium, alloys, containing titanium, alloys containing titatnium oxides, for medical, surgical and implantological use | |
JP3129041B2 (ja) | インプラント及びその製造方法 | |
JPH0747116A (ja) | インプラントの製造方法 | |
JPH0747115A (ja) | インプラント及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081215 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081215 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081215 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091215 Year of fee payment: 9 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |