JP3139410B2 - グラフト重合方法 - Google Patents

グラフト重合方法

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JP3139410B2 JP09097633A JP9763397A JP3139410B2 JP 3139410 B2 JP3139410 B2 JP 3139410B2 JP 09097633 A JP09097633 A JP 09097633A JP 9763397 A JP9763397 A JP 9763397A JP 3139410 B2 JP3139410 B2 JP 3139410B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は基体表面へ重合性不
飽和化合物をグラフト重合させる新規な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】材料や材料表面の有効な改質手段として
種々のグラフト重合方法が知られている。これらを例示
すれば、放射線あるいはレドックス系開始剤、イオン
系開始剤と材料との反応やラジカル開始剤の連鎖移動を
利用し、材料中あるいは材料表面に活性点を生成させ、
これによって重合性不飽和化合物(以下、「重合性モノ
マー」という場合がある)を重合させる方法(Adv.
Polym.Sci.Vol.4、p111、1965
年など)、材料中に重合性不飽和結合を導入しこれを
利用して重合性モノマーを重合させる方法(J.Pol
ymer Sci.,Part−A,3,p1031,
1965年、特公平5−5845号公報などに記載)、
材料中に開始剤となる構造を導入しこれを利用して重
合性モノマーを重合させる方法(Tappi,Marc
h,56,p97,1973年、特開平6−28724
3号公報などに記載)などがある。これらの方法のなか
でも、の方法が好ましく使用されており、特に開始剤
を用いた系が広く利用されている。
【0003】グラフト重合開始剤(以下、単に「開始
剤」という場合がある)としてはレドックス系のものが
工業的に使用され、硝酸第二セリウムアンモニウム塩、
フェントン試薬(H2 2 /Fe系など)、マンガン系
などが知られている。これらの開始剤を用いたグラフト
重合では一般に水あるいは水混合溶媒系で重合が行われ
ている。これらのグラフト重合技術は親水性高分子への
グラフト重合の例として「増田房義著:高吸水性ポリマ
ー:高分子新素材 One Point−4:高分子学
会編集」や「J.Appl.Polymer Sc
i.,19,p1257,1975年」などに詳細に記
載されている。また従来のグラフト重合では、グラフト
重合を行う目的材料あるいは基体表面上へのグラフト重
合体の生成量(一般にグラフト率と呼ぶ)を、開始剤あ
るいは開始点の種類や構造、開始剤の濃度、重合性モノ
マー濃度や溶媒の選択によって制御している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のグ
ラフト重合方法、特にレドックス系開始剤を用いた系に
おいては、グラフト重合体の分子量の制御、グラフト率
の制御が難しく、また基体上に生成されるグラフト重合
体の形態や面積密度などの高次構造を制御することが困
難であった。つまり、基体表面上の単位面積当たりに結
合されるグラフト重合体となる重合性モノマーの分子数
は開始剤濃度等によって変化可能であるが、その結合密
度を表面上で不均一にする、例えば複数のグラフト重合
体の結合部からなる部分(ドメイン)と非グラフト部の
ドメインからなる表面構造を得ること等は困難であっ
た。一方、基体表面を部分的にマスキングし、非マスキ
ング部分のみにグラフト重合し、上記の高次構造を得る
試みもあるが(特公昭62−7931号公報)、プロセ
スが煩雑であるなどの制限があり実用的ではなく、さら
に繊維や粒子などの多面体形状の基体への適用は不可能
である。上記のような基体表面の高次構造修飾は立体空
間、電位、自由エネルギーなどの表面物性改質の手段と
して種々の用途で有用なものであるが、従来の方法で
は、高次構造の制御の自由度が低く、十分なものとは言
えない。また従来、基体表面に複数の機能を併せ持つ、
いわゆる機能表面を得る為には、基体にグラフトさせる
グラフト重合体自体を共重合体とすることが行われてき
たが、この場合ミクロの単位での表面物性改質であり、
グラフト重合体のある程度のマクロの集合によってのみ
発現し得る機能に関しては、このような表面物性改質で
は得ることができなかった。
【0005】また、従来のグラフト重合方法では、水系
溶媒中でグラフト重合を行うと、目的の材料にグラフト
されないポリマーの生成物(以下、「ホモポリマー」と
いう)が多く生成し、反応効率が低下するばかりか、生
成物の精製に多大な労力を要してしまうという課題があ
った。このホモポリマーの生成を抑制する方法として、
あらかじめ開始剤を水系の溶媒中で材料や基体と反応さ
せた後に、溶媒を非水系のものに置換しグラフト重合す
る技術(A.C.S.,Symp.Ser.,No.1
87,p45,1982年など)があるが、反応不活性
な気体の下で溶媒を置換しなければならないなど、煩雑
かつ工業的には不向きなものである。
【0006】従って、本発明の目的は、グラフト重合を
行う対象となる基体表面に形成されるグラフト重合体の
量、密度等やグラフト率の制御の自由度が高く、特に基
体表面におけるグラフト重合体の構成する表面構造、例
えばグラフト重合体結合部分の集まりからなるドメイン
と非グラフト部との海島状(まだら状)などの高次構造
を自由に制御することが可能なグラフト重合方法を提供
することにある。また、本発明の目的は、従来の水系の
溶媒中での方法では重合し得ない非水系の重合性モノマ
ーであっても、容易にグラフト重合させることができる
グラフト重合方法を提供することにある。さらに、本発
明の目的は、重合時におけるホモポリマーの生成を容易
に抑制し得るグラフト重合方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明により達成される。すなわち本発明は、グラフト重合
開始剤を含む水系溶液および有機溶媒からなる懸濁液あ
るいは乳化液中の前記水系溶液の液滴と、グラフト重合
を行う対象となる基体表面とを反応させて、該基体表面
上に重合開始点を形成させ、その後該基体表面上の重合
開始点が形成された部分に重合性不飽和化合物をグラフ
ト重合させることを特徴とするグラフト重合方法であ
る。さらに本発明は、第1のグラフト重合として、グラ
フト重合開始剤を含む水系溶液および有機溶媒からなる
懸濁液あるいは乳化液中の前記水系溶液の液滴と、グラ
フト重合を行う対象となる基体の部分表面とを反応さ
せ、基体の前記重合開始点が形成された部分表面にのみ
重合性不飽和化合物をグラフト重合させ、さらに第2の
グラフト重合として、基体の第1のグラフト重合が未形
成の部分表面に、前記重合性不飽和化合物とは異なる重
合性不飽和化合物をグラフト重合させることを特徴とす
るグラフト重合方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のグラフト重合方法によれば、グラフト重合開始
剤を含む水系溶液(以下、「開始剤溶液」という場合が
ある)を有機溶媒中に懸濁状態(サスペンション状態)
あるいは乳化状態(エマルション状態)に分散させ、こ
れを基体と反応させることにより、反応面に選択的に重
合開始点を生成させることができる。したがってこの重
合開始点の形成されたドメインにおいて重合性モノマー
を選択的にグラフト重合することで、海島状にグラフト
重合体を形成させることもできる。つまり、非グラフト
面を残してグラフト重合体を形成させることが可能であ
る。
【0009】図1は本発明の方法によるグラフト重合の
過程を模式図として示したものである。図1において、
懸濁液或いは乳化液中の開始剤溶液の液滴が基体と接触
すると(a)、開始剤が基体と反応して重合開始点を形
成し(b)、この重合開始点に重合性モノマーがグラフ
トしグラフト重合体が形成される(c)。
【0010】基体表面に結合したグラフト重合体の集合
体が形成するドメインの大きさ、密度および形状等は、
懸濁液や乳化液中における開始剤溶液の形成する液滴の
大きさ、基体と開始剤溶液との割合(例えば液滴と基体
との表面積の比率)、懸濁液や乳化液の攪拌条件等によ
って制御することが可能である。例えば、開始剤溶液の
液滴の大きさを大きくすれば基体上に形成されるドメイ
ンの大きさも大きくなり、基体に対し開始剤溶液の配合
割合を大きくすればドメインの密度が高くなり、さらに
開始剤溶液の配合割合を大きくしていくと、基体上の全
面にグラフト重合体を形成させることもできる。また、
反応時懸濁液や乳化液を攪拌、剪断等することにより液
流を生じさせた場合、その液流に応じたドメイン形状と
なる。
【0011】具体的な条件としては、以下の通りであ
る。開始剤溶液を有機溶媒中に分散させて形成したサス
ペンションやエマルションの液滴の大きさ(液滴径)
は、0.001μm〜1mmの範囲、好ましくは0.0
01〜100μmの範囲、より好ましくは0.01〜1
0μmの範囲から選択される。このような懸濁液或いは
乳化液は、上記開始剤溶液と有機溶媒とを混合させた後
に、ロールミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機、
V型混合機、リボン型混合機、パドル型混合機、スクリ
ュー型混合機、ニーダー、加圧型ニーダー、双碗型ニー
ダー等の攪拌機または分散機で攪拌または分散すること
により調製することができ、該懸濁液或いは乳化液中の
開始剤溶液の液滴径は、攪拌の強さや時間、温度、有機
溶媒の種類、その他添加剤(例えば、界面活性剤)等に
より調整することができる。
【0012】基体と、開始剤溶液との表面積の比率は、
1:106 〜108 :1の範囲から選択される。基体
と、開始剤溶液との配合割合は体積比で1:1〜100
00:1の範囲から選択される。水系溶液に含有される
開始剤の濃度は0.1重量%〜80重量%の範囲が好ま
しい。また、有機溶媒中に分散される開始剤を含む水系
溶液の割合は0.01重量%〜10重量%の範囲が好ま
しい。また、反応時懸濁液や乳化液に液流を付与する方
法としては、回転羽根による方法、液体をノズルから噴
出する方法、気体中で開始剤溶液を噴出し基体と反応さ
せる方法等が挙げられる。
【0013】図2に、本発明のグラフト重合方法によっ
て形成された基体表面の高次構造例を模式図として示
す。(a)は、液滴径が均一な開始剤溶液を用いた場合
に基体表面上に形成されるグラフト重合体のドメイン構
造を示したものである。(b)は、液滴径に分布をもつ
開始剤溶液を用いた場合に基体表面上に形成されるグラ
フト重合体のドメイン構造を示したものである。(c)
は、基体に対する開始剤溶液の配合割合を増加させた場
合に基体表面上に形成されるグラフト重合体のドメイン
構造を示したものである。(d)は、基体に対する開始
剤溶液の配合割合をさらに増加させ、基体の全面にグラ
フト重合体が形成された状態を示したものである。
(e)は、開始剤溶液の液滴と、基体との反応過程にお
いて、高速攪拌によるシェアを付与した場合に基体表面
上に形成されるグラフト重合体のドメイン構造を示した
ものである。
【0014】さらに、本発明では種類の異なるグラフト
重合体の各ドメインを基体上に形成させることも可能で
ある。具体的には、図3に示す如く、まず第1のグラフ
ト重合として、開始剤溶液および有機溶媒からなる懸濁
液あるいは乳化液中の開始剤溶液の液滴と、基体の部分
表面とを反応させて重合開始点を部分的に形成させ、基
体の前記重合開始点が形成された部分表面にのみ重合性
モノマーをグラフトさせ、グラフト重合体Aを形成させ
(a)、次に第2のグラフト重合として、基体表面上の
第1のグラフト重合が未形成の部分表面に、他のグラフ
ト重合体Bを形成させる(b)。
【0015】このとき第2のグラフト重合を本発明の方
法により行えば、図4(a)に示す如くAB2つのグラ
フト重合体のドメインを有する表面状態とすることがで
きる。この場合に、AB2つのグラフト重合体の双方と
も形成されない、未反応な部分に対しさらに第3、第4
・・・第nとn回の本発明のグラフト重合を行い、n種
類のグラフト重合体からなるドメインを基体表面上に設
けることもできる。一方、第2のグラフト重合が従来の
水系溶媒中で行う方法の場合、或いは本発明の方法であ
って、基体に対し開始剤溶液の濃度を十分に高くした場
合には、図4(b)に示す如く、グラフト重合体Aが形
成されたドメインを有するとともに、該ドメイン以外は
全てグラフト重合体Bが形成された表面状態とすること
ができる。
【0016】次に、本発明の方法に用いられる材料につ
いて説明する。開始剤としては、水溶性のレドックス系
ラジカル重合開始剤が好ましく使用され、硝酸第二セリ
ウムアンモニウム塩などのセリウム塩系化合物、H2
2 /Fe系などのフェントン試薬、マンガン塩系化合
物、バナジウム塩系化合物、コバルト錯体などを使用す
ることが可能で、これと組み合わせて酸などの種々化合
物を添加しても構わない。開始剤を溶解する水系溶媒と
しては水、水とアルコールの混合物、水とエーテルとの
混合物や水とケトンとの混合物などを使用することがで
きる。開始剤を含む水系溶液を分散させる有機溶媒とし
ては芳香族系、脂肪族系、エステル系、エーテル系、ハ
ロゲン系等の各種溶媒が使用可能で、例示すればトルエ
ン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、
酢酸エチル、酢酸ブチル、塩化メチレンなどやその混合
溶媒が挙げられる。また、有機溶媒はグラフト重合時に
基体材料を溶解しないものが好ましい。
【0017】グラフト重合する基体としては、高分子な
どの有機化合物や無機化合物を使用することが可能であ
る。詳記すれば、分子内あるいは基体表面にヒドロキシ
基、アルデヒド基やアミノ基などの還元性基や不飽和二
重結合などの重合可能な基を有した高分子材料、無機材
料の表面に同様な基を反応等で導入した材料が挙げられ
る。特に、レドックス系の重合開始剤を用いた系におい
てはヒドロキシ基、アルデヒド基やアミノ基などの還元
性基を有した材料が好ましい。また、本発明の特徴とす
る重合開始剤を含む水系溶液の液滴との親和性から親水
性の高い材料が好ましい。これらを例示すればセルロー
スやメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロース、スルフォン化メチルセルロ
ースなどのセルロース誘導体、澱粉や上記セルロースと
類似した置換誘導体、海藻由来のアガロース、カラギー
ナンやアルギン酸、甲殻類由来のキチンやキトサンおよ
びその誘導体、植物由来のペクチンやコンニャクマンナ
ン、微生物由来のジュランガム、キサンタンガムやカー
ドラン、ヒアルロン酸などの多糖類やポリビニルアルコ
ールおよびその誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸および
その誘導体、ビニルアルコール−(メタ)アクリル酸共
重合体、ポリアリルアミンなどの合成高分子、天然タン
パク質やポリ(γ−グルタミン酸)、ポリ(ε−リジ
ン)などのポリペプチド化合物などが挙げられる。ま
た、これらの高分子は3次元架橋構造体やいわゆる高分
子ゲルであっても構わない。また、基体材料はグラフト
重合時有機溶媒に溶解しないものが好ましい。基体は複
数材料から構成されていてもよく、例示すれば特定材
料、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレ
ン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリアセタール、ポリエーテル等の樹脂と上
記の還元性基をもつ高分子材料との積層体やブレンド体
が挙げられる。基体材料の形態としては、ブロック、フ
イルム、チューブ、繊維、粒子、マイクロカプセル、基
材上にコーティングしたものなど各種のものが使用可能
である。
【0018】グラフト重合に使用可能な重合性モノマー
としては(メタ)アクリレート系化合物、(メタ)アク
リル酸、スルフォン酸ビニル、(メタ)アクリルアミド
やその誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、スチレ
ンおよびそのハロゲン、アルキル、ヘテロ原子置換化合
物、エチレン、ブタジエン、イソプレン、プロピレン、
(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデ
ンなどの不飽和化合物やジビニルベンゼンなどのジビニ
ル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート
などのジ(メタ)アクリレート化合物、トリ(メタ)ア
クリレート化合物、テトラ(メタ)アクリレート化合
物、メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどのジ(メ
タ)アクリルアミド化合物などの架橋型モノマーの中か
ら1種あるいは混合物が挙げられる。
【0019】基体とそれに形成されるグラフト重合体の
組み合わせでは、基体としてセルロースやキチン、キト
サンなどを(フイルムや繊維など)用いた場合、それに
ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリスルフ
ォン酸ビニルやその塩およびそれらの共重合体や架橋体
等をグラフトしたものは、医療材料、吸水材料、衣料用
繊維、吸水繊維、吸着材などに利用することができる。
基体としてセルロース粒子や繊維を用いた場合、それに
アミノ基含有ポリマー、カルボキシル基やスルフォン酸
基を含有した含有したポリマーやその架橋体をグラフト
したものは、インク添加剤、増粘剤、凝集材、吸着材な
どに利用することができる。色材やインクに含まれるポ
リエステル系やスチレン系樹脂を含むポリマー粒子やポ
リウレア等のシェルをもつマイクロカプセルを基体とし
た場合、これにポリ(メタ)アクリル酸エステルや原子
含有するポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メ
タ)アクリル酸およびそれらの共重合体や架橋体等をグ
ラフトしたものは電子写真用トナーやインクジェット記
録用インクなどに利用可能である。基体として、でんぷ
ん、化学修飾セルロースやアガロースなどのゲルやその
粒子を用いた場合、それにポリ(メタ)アクリル酸、ポ
リマレイン酸、ポリスルフォン酸ビニルやその塩および
それらの共重合体や架橋体等をグラフトしたものは高吸
水性樹脂として利用できる。基体とグラフト重合体の組
み合わせ、用途は上記のものに限定されるものではな
い。
【0020】特に本発明の方法により基体表面に海島構
造を形成する方法は、例えば、トナー、キャリア等電子
写真材料の帯電制御、血液との適合性の高い医療材料、
アフィニイティクロマトグラフィー等のカラム材料等に
応用可能である。また、本発明の方法により基体表面に
2種以上のグラフト重合体を形成すれば、各グラフト重
合体に由来する複数の機能を併せ持つ基体表面を得るこ
とができ、上記のような電子写真用途、医療材料用途、
クロマトグラフィー用途等に応用可能である。
【0021】次に本発明のグラフト重合方法についてさ
らに詳細に説明する。開始剤を含む水系溶液を有機溶媒
中に分散させてサスペンションやエマルションを形成さ
せる場合、開始剤を含む水系溶液を所定量の有機溶媒中
であらかじめ振盪式や回転式攪拌装置による攪拌や超音
波照射装置による超音波付与など攪拌などの分散でサス
ペンションやエマルション化を行ったものを、反応系に
添加しても、反応系中に重合開始剤を含む水系溶液を添
加した後に同様にして分散を行っても構わない。この分
散過程では界面活性剤を添加することが好ましく、特に
o/w型の界面活性剤である低いH.L.B値(親水性
―疎水性バランス)をもつものが好ましく、例示すれば
ソルビトール系エステル類、エチレンオキサイド類など
が挙げられる。界面活性剤の好ましい添加量は有機溶媒
に対して0.01重量%〜10重量%の範囲である。
【0022】基体と上記の開始剤を含む水系溶液の液滴
とを有機溶媒中で振盪式や回転式攪拌装置による攪拌や
超音波照射装置による超音波付与などによって接触、反
応させることによって、基体表面にラジカルが生成し、
これが重合開始点となるが、重合性モノマーは、あらか
じめ反応系に添加しておいても、また基体上に重合開始
点を生成させた後に添加してもいずれでも構わない。上
記工程の好ましい操作は、基体と有機溶媒を混合し、こ
れに重合性モノマーを添加し、さらに別工程で開始剤を
含む水系溶液をサスペンション化あるいはエマルション
化した懸濁液或いは乳化液を添加して重合する、あるい
は、基体と有機溶媒を混合し、これに開始剤を含む水系
溶液をサスペンション化あるいはエマルション化した懸
濁液或いは乳化液を添加して、攪拌した後に重合性モノ
マーを添加して重合する。
【0023】なお、上記のラジカル重合の操作や反応は
従来技術同様に窒素、アルゴン、ヘリウムなどの反応不
活性な気体雰囲気下で行われることが好ましい。形成さ
れるグラフト重合体の分子量は従来技術と同様に開始剤
濃度や重合性モノマー濃度によって制御することがで
き、一般に開始剤濃度を下げる、あるいは重合性モノマ
ー濃度を高めるとグラフト重合体の分子量は高くなる。
【0024】本発明のグラフト重合方法では、重合開始
剤を含む水系溶液をサスペンション状あるいはエマルシ
ョン状にし、基体と反応させることで、反応面と非反応
面を形成させて基体表面にドメイン状に重合開始点を生
成させ、この開始点に選択的にグラフト重合することで
海島表面構造などの高次構造制御が可能なことをその特
徴の一つとする。つまり、グラフト重合による基体表面
の修飾において、表面の高次構造やモルフォロジーを自
由度高く、より精密に制御することができる。サスペン
ションやエマルションに含まれる開始剤溶液の液滴の大
きさやその濃度を変化させるとそれに応じて基体上に形
成される重合開始点のドメインの大きさや密度が変化
し、液滴が大きい場合は大きなドメインが、小さい場合
は小さなドメインとなり、このドメイン上にグラフト重
合体が形成され、また液滴の濃度に応じて基体表面のグ
ラフト重合体のドメインの密度が変化することから、基
体表面に形成されるグラフト重合体の構造や密度を任意
に制御できる。また、開始剤溶液の液滴と基体との接
触、反応過程において攪拌、回転力などを付与すること
で基体上に形成されるグラフト重合体ドメインの形状等
も制御可能である。
【0025】上記のような基体と開始剤との反応原理に
基づくグラフト重合であることから、基体として平面体
のみならず繊維や粒子などの多面体を用いても、その表
面構造の制御が可能である。また本発明の方法は、重合
開始点周囲を除いては有機溶媒系の重合反応系であるた
め、ラジカルの溶媒中への連鎖移動等が抑制され、よっ
てホモポリマーの生成が抑制され高いグラフト効率の重
合が行える。さらに本発明の方法は有機溶媒系の重合反
応系であるため、グラフト重合する重合性モノマーとし
ては、非水溶性モノマーを用いることが可能である。
【0026】
【実施例】
(実施例1)基体試料としてセロファンフイルム片(厚
み約25μm、大きさ1cm×1cm、比重約1.2、
体積約8.33cm3 、表面積約6666cm2 )10
gを攪拌装置付き反応容器に入れ、これに有機溶媒であ
るトルエン35mlを加えた。反応容器内を窒素置換
し、以後の工程は窒素下で実施した。重合開始剤として
硝酸第二セリウムアンモニウム塩0.135g、2N―
硝酸水溶液0.6ml(以上開始剤溶液として約0.7
2ml)を、界面活性剤としてソルゲン50(ソルビタ
ンモノステアレート:第一工業製薬製)0.04gを溶
解したトルエン溶液5mlに窒素下で混合し、攪拌して
懸濁溶液(開始剤溶液の液滴径:約8μm)を調製し、
これを反応容器内に添加し、攪拌し、セロファンフイル
ム片と2分間攪拌させて反応させた[基体:開始剤溶液
の液滴=1:1(表面積比)、12:1(体積比)]。
その後反応容器は25℃に設定した恒温バスに設置し
た。重合性モノマーとして非水溶性モノマーであるスチ
レン10gを加え、5時間グラフト重合を行った。重合
終了後、試料を蒸留水で洗浄し、乾燥させた。
【0027】試料の重量は約12.5gであり、その重
量増加からグラフト率は25%〔{(12.5−10)
/10}×100〕であった。また洗浄溶液に抽出され
たポリマー成分の重量を測定した結果、約0.1gであ
りホモポリマーはほとんど生成していないことが確認さ
れた。この試料のIR表面解析を行った結果、基体表面
の全面に均一にポリスチレンがグラフト重合されている
ことが分った。
【0028】(実施例2)基体試料としてセロファンフ
イルム片(厚み約25μm、大きさ1cm×1cm、比
重約1.2、体積約8.33cm3 、表面積約6666
cm2 )10gを攪拌装置付き反応容器に入れ、これに
有機溶媒であるトルエン35mlを加えた。反応容器内
を窒素置換し、以後の工程は窒素下で実施した。重合開
始剤として硝酸第二セリウムアンモニウム塩0.135
g、2N―硝酸水溶液0.6ml(以上開始剤溶液とし
て約0.72ml)を、界面活性剤としてソルゲン50
(ソルビタンモノステアレート:第一工業製薬製)0.
04gを溶解したトルエン溶液5mlに窒素下で混合
し、攪拌して懸濁溶液(開始剤溶液の液滴径:約8μ
m)を調製し、これを反応容器内に添加し、攪拌し、セ
ロファンフイルム片と2分間攪拌させて反応させた[基
体:開始剤溶液の液滴=1:1(表面積比)、12:1
(体積比)]。その後反応容器は25℃に設定した恒温
バスに設置した。重合性モノマーとしてアクリル酸10
gを加え、5時間グラフト重合を行った。重合終了後、
試料を蒸留水で洗浄し、乾燥させた。
【0029】試料の重量は約15.5gであり、その重
量増加からグラフト率は55%であった。また洗浄溶液
に抽出されたポリマー成分の重量を測定した結果、約
0.2gでありホモポリマーはほとんど生成していない
ことが確認された。この試料をカチオン性染料を用いて
グラフト重合体部分(ポリアクリル酸)を染色し、顕微
鏡観察した結果、基体表面に均一にグラフト重合されて
いることが分った。
【0030】(実施例3)基体試料としてセロファンフ
イルム片(厚み約25μm、大きさ1cm×1cm、比
重約1.2、体積約8.33cm3 、表面積約6666
cm2 )10gを攪拌装置付き反応容器に入れ、これに
有機溶媒であるトルエン35mlを加えた。反応容器内
を窒素置換し、以後の工程は窒素下で実施した。重合開
始剤として硝酸第二セリウムアンモニウム塩0.045
g、2N―硝酸水溶液0.2ml(以上開始剤溶液とし
て約0.24ml)を、界面活性剤としてソルゲン50
(ソルビタンモノステアレート:第一工業製薬製)0.
02gを溶解したトルエン溶液5mlに窒素下で混合
し、攪拌して懸濁溶液(開始剤溶液の液滴径:約8μ
m)を調製し、これを反応容器内に添加し、攪拌し、セ
ロファンフイルム片と2分間攪拌させて反応させた[基
体:開始剤溶液の液滴=3:1(表面積比)、35:1
(体積比)]。その後反応容器は25℃に設定した恒温
バスに設置した。重合性モノマーとしてアクリル酸10
gを加え、5時間グラフト重合を行った。重合終了後、
試料を蒸留水で洗浄し、乾燥させた。
【0031】試料の重量は約14.5gであり、その重
量増加からグラフト率は45%であった。また洗浄溶液
に抽出されたポリマー成分の重量を測定した結果、約
0.2gでありホモポリマーはほとんど生成していない
ことが確認された。この試料をカチオン性染料を用いて
グラフト重合体部分(ポリアクリル酸)を染色し、顕微
鏡観察した結果、染色部分と非染色部分の海島構造が観
測され、不均一な表面構造をもつことが分った。また染
色部分のドメインの大きさは約20〜50μmの範囲に
中心をもつものであった。
【0032】(実施例4)基体試料としてセロファンフ
イルム片(厚み約25μm、大きさ1cm×1cm、比
重約1.2、体積約8.33cm3 、表面積約6666
cm2 )10gを攪拌装置付き反応容器に入れ、これに
有機溶媒であるトルエン35mlを加えた。反応容器内
を窒素置換し、以後の工程は窒素下で実施した。重合開
始剤として硝酸第二セリウムアンモニウム塩0.045
g、2N―硝酸水溶液0.2ml(以上開始剤溶液とし
て約0.24ml)を、界面活性剤としてソルゲン50
(ソルビタンモノステアレート:第一工業製薬製)0.
2gを溶解したトルエン溶液5mlに窒素下で混合し、
攪拌して乳化溶液(開始剤溶液の液滴径:約1μm)を
調製し、これを反応容器内に添加し、攪拌し、セロファ
ンフイルム片と2分間攪拌させて反応させた[基体:開
始剤溶液の液滴=1:2(表面積比)、35:1(体積
比)]。その後反応容器は25℃に設定した恒温バスに
設置した。重合性モノマーとしてアクリル酸10gを加
え、25℃の温度で5時間グラフト重合を行った。重合
終了後、試料を蒸留水で洗浄し、乾燥させた。
【0033】試料の重量は約15.5gであり、その重
量増加からグラフト率は55%であった。また洗浄溶液
に抽出されたポリマー成分の重量を測定した結果、約
0.5gでありホモポリマーはほとんど生成していない
ことが確認された。この試料をカチオン性染料を用いて
グラフト重合体部分(ポリアクリル酸)を染色し、光学
顕微鏡観察した結果、染色部分と非染色部分の微細な海
島構造が観測され、不均一な表面構造をもつことが分っ
たが、染色部分のドメインの大きさは約5μm以下の微
細なものであった。さらに詳細に表面構造を観察する目
的でオスニム酸で処理した試料を電子顕微鏡で表面観察
した結果、1μm程度の微細なドメインをもつ海島構造
を形成していることが分った。
【0034】(実施例5)基体試料として実施例3で作
製したアクリル酸をグラフト重合したセロファンフイル
ム片(厚み約25μm、大きさ1cm×1cm)10g
を攪拌装置付き反応容器に入れ、これに有機溶媒である
トルエン35mlを加えた。反応容器内を窒素置換し、
以後の工程は窒素下で実施した。重合開始剤として硝酸
第二セリウムアンモニウム塩0.045g、2N―硝酸
水溶液0.2ml、を界面活性剤としてソルゲン50
(ソルビタンモノステアレート:第一工業製薬製)0.
02gを溶解したトルエン溶液5mlに窒素下で混合
し、攪拌して懸濁溶液(開始剤溶液の液滴径:約8μ
m)を調製し、これを反応容器内に添加し、攪拌し、セ
ロファンフイルム片と2分間攪拌させて反応させた。そ
の後反応容器は25℃に設定した恒温バスに設置した。
重合性モノマーとしてアクリル酸メチル10gを加え、
5時間グラフト重合を行った。重合終了後、試料を蒸留
水で洗浄し、乾燥させた。
【0035】試料の重量は約13.5gであり、その重
量増加からグラフト率は35%であった。また洗浄溶液
に抽出されたポリマー成分の重量を測定した結果、約
0.1gでありホモポリマーはほとんど生成していない
ことが確認された。これから、セルロースフイルム上に
ポリアクリル酸とともにポリアクリル酸メチルのグラフ
ト重合体が形成されたことが分る。また、実施例3と同
様な表面構造の観察からも不均一な表面構造を保持して
いることが確認できた。
【0036】(比較例1)基体試料として実施例1〜5
と同様なセロファンフイルム片(厚み約25μm、大き
さ1cm×1cm)10gを攪拌装置付き反応容器に入
れこれに水35mlを加えた。反応容器内を窒素置換
し、以後の工程は窒素下で実施した。重合開始剤として
硝酸第二セリウムアンモニウム塩0.135g、2N―
硝酸水溶液0.6ml、水5mlを窒素下で混合し、こ
れを反応容器内に添加し、攪拌し、セロファンフイルム
片と2分間攪拌させて反応させた。その後反応容器は2
5℃に設定した恒温バスに設置した。重合性モノマーと
して非水溶性モノマーであるスチレン10gを加え、グ
ラフト重合を行ったが、スチレンが水に溶解しないため
にグラフト重合は進行せず、基体上にグラフト重合体を
形成することができなかった。
【0037】(比較例2)基体試料として実施例と同様
なセロファンフイルム片(厚み約25μm、大きさ1c
m×1cm)10gを攪拌装置付き反応容器に入れ、こ
れにトルエン40mlを加えた。反応容器内を窒素置換
し、以後の工程は窒素下で実施した。重合開始剤として
硝酸第二セリウムアンモニウム塩0.135g、2N―
硝酸水溶液0.6mlを窒素下で混合し、これを反応容
器内に添加し、攪拌し、セロファンフイルム片と2分間
攪拌させて反応させたが、開始剤を含む水溶液はセロフ
ァンフイルム片の一部分に付着、反応したのみであっ
た。そのまま、反応容器を25℃に設定した恒温バスに
設置した。重合性モノマーとして非水溶性モノマーであ
るスチレン10gを加え、グラフト重合を5時間行っ
た。重合終了後、試料を蒸留水で洗浄し、乾燥させた。
【0038】試料の重量は約10.3gであり、その重
量増加からグラフト率は約3%であった。また溶液には
未反応の重合性モノマーを多く含まれていた。この試料
を詳細に観察すると、セロファンフイルムのごく一部の
片に形成されているのみであり、大部分のセロファンフ
イルム片にはグラフト重合体が形成されていなかった。
【0039】(比較例3)基体試料として実施例と同様
なセロファンフイルム片(厚み約25μm、大きさ1c
m×1cm)10gを攪拌装置付き反応容器に入れ、こ
れに水35mlを加えた。反応容器内を窒素置換し、以
後の工程は窒素下で実施した。重合開始剤として硝酸第
二セリウムアンモニウム塩0.045g、2N―硝酸水
溶液0.2ml、水5mlを窒素下で混合し、これを反
応容器内に添加し、攪拌し、セロファンフイルム片と2
分間攪拌させて反応させた。その後反応容器は25℃に
設定した恒温バスに設置した。重合性モノマーとしてア
クリル酸10gを加え、5時間グラフト重合を行った。
重合終了後、試料を蒸留水で洗浄し、乾燥させた。
【0040】試料の重量は約15.0gであり、その重
量増加からグラフト率は50%であった。また洗浄溶液
に抽出されたポリマー成分の重量を測定した結果、約3
gでありホモポリマーが多く生成しておりグラフト効率
が低いことが分った。この試料をカチオン性染料を用い
てグラフト重合体部分(ポリアクリル酸)を実施例と同
様に光学顕微鏡観察や電子顕微鏡観察した結果、均一に
グラフト重合体が表面に形成され、実施例3および4の
ような高次構造は得られないことが分った。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、グラフト重合の制御の
自由度が高く、特に基体表面におけるグラフト重合体の
構成する表面構造、例えばグラフト重合体結合部分の集
まりからなるドメインと非グラフト部との海島状などの
高次構造を自由に制御することが可能となる。また、本
発明によれば、従来の水系の溶媒中での方法では重合し
得ない非水系の重合性モノマーであっても、容易にグラ
フト重合させることができる。さらに、本発明によれ
ば、グラフト重合時におけるホモポリマーの生成を抑制
することができる。
【0042】本発明のグラフト重合方法は、種々の高分
子材料や無機材料の表面改質に広く応用することができ
る。例えば、電子写真用トナー、インク添加剤、機能性
色材、電子材料、機能紙、医療材料、酵素などの生理活
性材料の固定化材料、微生物固定化材料、細胞培養材
料、環境浄化材料、凝集剤、吸着材、吸水性材料、生分
解性材料などの製造に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のグラフト重合方法の過程を模式図に
よって説明したものである。
【図2】 本発明のグラフト重合方法により基体表面に
形成されたグラフト重合体の高次構造例を模式図として
示したものである。
【図3】 本発明のグラフト重合方法により複数種類の
グラフト重合体を形成させる過程を模式図として説明し
たものである。
【図4】 本発明のグラフト重合方法により基体表面に
形成された複数種類のグラフト重合体の高次構造例を模
式図として示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−193313(JP,A) 特開 平2−228309(JP,A) 特開 昭51−5391(JP,A) 特表 平6−508654(JP,A) 英国特許出願公開2279355(GB,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 291/00 C08J 7/16 WPI(DIALOG)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グラフト重合開始剤を含む水系溶液およ
    び有機溶媒からなる懸濁液あるいは乳化液中の前記水系
    溶液の液滴と、グラフト重合を行う対象となる基体表面
    とを反応させて、該基体表面上に重合開始点を形成さ
    せ、その後該基体表面上の重合開始点が形成された部分
    に重合性不飽和化合物をグラフト重合させることを特徴
    とするグラフト重合方法。
  2. 【請求項2】 水系溶液の液滴と基体表面との反応を基
    体の全面で起こさせて、重合開始点を基体の全面に形成
    させることを特徴とする請求項1に記載のグラフト重合
    方法。
  3. 【請求項3】 水系溶液の液滴と基体表面との反応を基
    体の部分表面で起こさせて、重合開始点を部分的に形成
    させ、基体の前記重合開始点が形成された部分表面にの
    みグラフト重合させることを特徴とする請求項1に記載
    のグラフト重合方法。
  4. 【請求項4】 第1のグラフト重合として、グラフト重
    合開始剤を含む水系溶液および有機溶媒からなる懸濁液
    あるいは乳化液中の前記水系溶液の液滴と、グラフト重
    合を行う対象となる基体の部分表面とを反応させて、重
    合開始点を部分的に形成させ、基体の前記重合開始点が
    形成された部分表面にのみ重合性不飽和化合物をグラフ
    ト重合させ、さらに第2のグラフト重合として、基体の
    第1のグラフト重合が未形成の部分表面に、前記重合性
    不飽和化合物とは異なる重合性不飽和化合物をグラフト
    重合させることを特徴とするグラフト重合方法。
  5. 【請求項5】 第2のグラフト重合が、請求項1に記載
    のグラフト重合方法によるものであることを特徴とする
    請求項4に記載のグラフト重合方法。
  6. 【請求項6】 さらに請求項1に記載のグラフト重合方
    法による第2以上のグラフト重合を順次行うことを特徴
    とする請求項4に記載のグラフト重合方法。
  7. 【請求項7】 グラフト重合開始剤の濃度が、水系溶液
    中の0.1〜80重量%であることを特徴とする請求項
    1または4に記載のグラフト重合方法。
  8. 【請求項8】 懸濁液あるいは乳化液中のグラフト重合
    開始剤を含む水系溶液の割合が、0.01〜10重量%
    であることを特徴とする請求項1または4に記載のグラ
    フト重合方法。
  9. 【請求項9】 グラフト重合を行う対象となる基体と、
    グラフト重合開始剤を含む水系溶液との配合割合が、体
    積比で1:1〜10000:1であることを特徴とする
    請求項1または4に記載のグラフト重合方法。
  10. 【請求項10】 重合性不飽和化合物がアクリル酸、ア
    クリル酸エステル、およびスチレンからなる群より選ば
    れるものであることを特徴とする請求項1または4に記
    載のグラフト重合方法。
  11. 【請求項11】 有機溶媒が非水系溶媒であることを特
    徴とする請求項1または4に記載のグラフト重合方法。
  12. 【請求項12】 グラフト重合を行う対象となる基体が
    多糖類系化合物であることを特徴とする請求項1または
    4に記載のグラフト重合方法。
  13. 【請求項13】 グラフト重合開始剤が水溶性のレドッ
    クス系ラジカル重合開始剤であることを特徴とする請求
    項1または4に記載のグラフト重合方法。
  14. 【請求項14】 グラフト重合開始剤を含む水系溶液お
    よび有機溶媒からなる懸濁液あるいは乳化液中に、さら
    に界面活性剤が含まれることを特徴とする請求項1また
    は4に記載のグラフト重合方法。
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