JP3139032B2 - 低圧放電灯 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示装置や各種メ
−タのバックライトなどに好適するけい光ランプなどの
ような低圧放電灯に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置は、透過形液晶パネルの背
面から光を当てて液晶面を照射するようになっており、
このようなバックライトとしては所定の広がりを持つ液
晶面を全体として均等な明るさに照射することができる
熱陰極または冷陰極のけい光ランプが有効である。すな
わち、熱陰極または冷陰極のけい光ランプを使用する
と、これらけい光ランプは白熱電球に比べて発光効率に
優れるとともに発熱が少なく、長寿命であり、しかも長
い放電路を有するので発光面積が大きく、配光分布が均
等になり易いなどの利点があり、放電路の形状を屈曲し
た形状、例えばＵ字形、Ｗ字形などに構成し易く、発光
面が平面的に広くなるので所定の広がりを持つ表示面を
均等な明るさに照射するのに有利である。

【０００３】ところで、けい光ランプに代表される低圧
水銀蒸気放電灯は、一般に低温雰囲気で始動させようと
すると水銀の蒸気圧が低いため始動電圧が高くなり、定
格の光束を得るまでの立上がり時間が長くなるなどの不
具合があり、また安定点灯中においても周囲の温度が低
いと封入してある発光金属や発光ガスの蒸気圧が低くな
り、発光効率が低下するなどの不具合がある。

【０００４】このような始動特性や発光特性を解消する
ため、上記放電灯をヒ−タにより加熱する手段が提案さ
れている。放電灯をヒ−タで加熱すれば、周囲の温度に
影響されず、始動特性および発光特性を向上させること
ができる。

【０００５】ヒ−タとしては、面状発熱体の上下両面を
耐熱性絶縁フィルムでラミネ−トした、いわゆるラミネ
−トヒ−タが使用されており、このラミネ−トヒ−タは
発光管バルブの外側面に直接添設して取り付けられてい
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ラミネ−トヒ−タは面状発熱体の上下両面を耐熱性絶縁
フィルムでラミネ−トすることにより絶縁処理および補
強処理してあるため、バルブの外面に添設された場合に
は面状発熱体とバルブの間に耐熱性絶縁フィルムが介在
するから、面状発熱体の熱が耐熱性絶縁フィルムに妨げ
られてバルブに伝わり難く、バルブの加熱効率が良くな
い不具合がある。

【０００７】本発明はこのような事情にもとづきなされ
たもので、その目的とするところは、ヒ−タによるバル
ブの加熱効率が向上する低圧放電灯を提供しようとする
ものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の低圧放電
灯は、放電媒体が封入されたバルブと；耐熱性絶縁フィ
ルムの一面に金属製の面状発熱体が形成されており、こ
の発熱体がバルブ外面の非照明方向に接触するようにフ
ィルムの一面側がバルブの照明方向を除いた外側に配設
された面状ヒータと；を具備していることを特徴とす
る。請求項２は、請求項１記載の低圧放電灯において、
面状ヒータは、バルブの外側の接着剤を介して接着され
ていることを特徴とする。

【０００９】

【作用】請求項１の低圧放電灯は、耐熱性絶縁フィルム
の一面に形成された金属製の面状発熱体が、バルブ外面
の非照明方向に接触するようにフィルムの一面側がバル
ブの照明方向を除いた外側に配設したので、面状ヒータ
の製造が容易であるとともに、バルブの加熱効率が向上
でき、さらに照明方向にはフィルムが存在しないので光
出力が低下することはない。請求項２記載の低圧放電灯
は、請求項１の作用に加え、面状ヒータの接着が容易に
なる。

【００１０】

【実施例】以下本発明について、図１ないし図３に示す
一実施例にもとづき説明する。この実施例はメ−タの照
明装置に適用した例を示し、１は目盛盤である。この目
盛盤１は、アクリルなどのような光拡散性のプレ−トか
らなり、表面に周方向に沿う目盛り２を表示してある。
この目盛り２は図示しない指針で差し示される。

【００１１】目盛盤１は背面に設けた光源装置により背
面照明されるようになっている。つまり３は平面形状が
馬蹄形をなした反射体であり、この反射体３は金属また
は合成樹脂により形成されて断面が略半円形をなしてい
る。したがって反射体３は全体形状が略Ｕ字形の樋状を
なしている。なお、この馬蹄形は上記目盛盤１の表面に
形成した目盛り２に沿う形状となっている。

【００１２】この反射体３の内面には白色または金属蒸
着膜などからなる反射面４が形成されている。この反射
体３には光源として冷陰極けい光ランプ１０が収容され
ている。冷陰極けい光ランプ１０は、平面が馬蹄形（Ｕ
字形）のバルブ１１を有し、このバルブ１１は断面が長
円形などのような偏平形状をなしている。なお、けい光
ランプ１０については後で説明する。

【００１３】反射体３に収容された上記冷陰極けい光ラ
ンプ１０が点灯されると、この光は直接または反射面４
により反射されて反射体３の開口部に向かう。この反射
体３の開口部には、アクリルなどからなる光拡散板５が
被せられている。光拡散板５も平面が馬蹄形をなしてい
る。上記反射体３の開口部に向かう光は、この光拡散板
５で拡散されて目盛盤１の背面を照射する。この背面照
明光は目盛盤１を拡散透過して表示目盛り２を浮きだた
せる。

【００１４】上記冷陰極けい光ランプ１０について、図
３を参照して説明する。冷陰極けい光ランプ１０は、上
記したようにＵ字形のバルブ１１からなり、このバルブ
１１は断面が偏平形状をなしている。バルブ１１の両端
部には冷陰極１２、１２が封装されており、このバルブ
１１の端面からはこれら冷陰極１２、１２に接続された
外部リード線１３、１３が導出されている。バルブ１１
の内面にはけい光体被膜１４が全面に亘り形成されてい
る。

【００１５】そして、バルブ１１の内部には放電媒体と
して所定量の水銀と、アルゴンやキセノンなどのような
希ガスが封入されている。そして、バルブ１１の下面に
は面状ヒ−タ１５が取着されている。面状ヒ−タ１５
は、バルブ１１の形状に沿って馬蹄形（Ｕ字形）をなし
ている。本実施例の面状ヒ−タ１５は片面構造であり、
例えばポリエステル樹脂シ−トなどのような耐熱性絶縁
フィルム１７の一面に例えばＳＵＳなどのような金属メ
ッシュからなる面状発熱体１６が形成されるように構成
されている。なお、耐熱性絶縁フィルム１７は面状発熱
体１６の絶縁保護の機能も奏するものであるから面状発
熱体１６の外郭線より大きな輪郭を有する幅広に形成さ
れている。

【００１６】このような面状ヒータは、面状発熱体１６
の一側面がバルブ１１の下面、つまりバルブ外面の非照
明方向に密着するようにしてバルブ１１に添設されてい
る。この場合、耐熱性絶縁フィルム１７は接着剤により
バルブ１１の下面に接着されている。

【００１７】このような構成の冷陰極けい光ランプ１０
は偏平な一面が反射体３の開口部に向いているので、広
い面からでる直射光を有効に利用することができる。そ
して、バルブ１１の外面には面状ヒ−タ１５を添設し、
このヒ−タ１５で加熱できるようにしてあるから、周囲
の温度が極めて低い場合にヒ−タ１５に通電してバルブ
１１を暖めると、ランプ１０の始動特性および発光特性
が向上する。

【００１８】しかも、本実施例の面状ヒ−タ１５は、面
状発熱体１６の一側面に耐熱性絶縁フィルム１７を配設
した片面構造であるから、両面ラミネートの場合に比べ
て柔軟性が増す。このため、バルブ１１の外面の曲面形
状に添うように曲げ易く、弾性復帰も少なくてバルブ１
１の外面から浮き上がることがなくなり、密着性が向上
する。

【００１９】加えて、面状発熱体１６の他側面が直接バ
ルブ１１の外面に接触しているから、面状発熱体１６の
熱伝導効率が良くなる。したがって、発熱体１５による
バルブ１１の加熱性能が向上することになる。

【００２０】なお、上記実施例ではランプ１０を樋形状
の反射体３に収容したが、反射体３を省略してもよい。
つまり、ランプ１０として図４に示すアパーチャ形冷陰
極けい光ランプを用いると反射体３は不要になる。

【００２１】アパーチャ形冷陰極けい光ランプは、バル
ブ１１の内面に周方向の所定範囲を除いて反射膜２０お
よびこの反射膜２０の内面に周方向の所定範囲を除いて
けい光体被膜１４を形成し、これら反射膜２０およびけ
い光体被膜１４を形成しない部分が素通し部となってお
り、このような素通し部がバルブ１１の軸方向に沿って
連続して帯形状の光透過部２１を形成したものであり、
この光透過部２１をスリット部またはアパーチャ部と称
している。

【００２２】このような構成の場合は、上記光透過部２
１を介して光が放出されるので、照射方向に方向性が生
じ、格別な反射体３が不要になる。特に、図示のように
偏平な形状のバルブ１１の偏平な一側面に光透過部２１
を形成すれば、広い面積を有効に利用することができ
る。

【００２３】さらにまた、上記光透過部２１の表面に微
細な凹凸を形成して拡散面（図示しない）としたり、図
５に示す他の実施例のように、光透過部２１の外面に光
拡散被膜２２を形成すると、前述の光拡散板５を省略す
ることもできる。

【００２４】なお、本発明は、冷陰極けい光ランプに限
らず、熱陰極けい光ランプであっても実施可能である。
また、上記実施例の場合、耐熱性絶縁フィルム１７は接
着剤によりバルブ１１の下面に接着したが、熱収縮性チ
ューブ（図示しない）をバルブの外に被せてこの熱収縮
性チューブの収縮作用で面状ヒ−タ１５をバルブ１１の
下面に密着させるように押え付けてもよい。

【００２５】そして、バルブ１１内に水銀を封入した水
銀低圧放電灯の場合は、水銀蒸気圧が温度依存性が強い
ので上記ヒータ１５を設けると有効であるが、バルブ内
に水銀を封入しなくてキセノンなどのような希ガスのみ
で放電発光させる希ガス放電灯の場合であっても実施可
能である。

【００２６】また、けい光体被膜１４のないランプであ
ってもよい。さらに、ランプはＵ字形に限らずＷ字形や
環形または直管形であってもよく、断面形状も偏平であ
ることには限らない。

【００２７】請求項１の低圧放電灯によれば、耐熱性絶
縁フィルムの一面に形成された金属製の面状発熱体が、
バルブ外面の非照明方向に接触するようにフィルムの一
面側がバルブの照明方向を除いた外側に配設したので、
面状ヒータの製造が容易であるとともに、バルブの加熱
効率が向上でき、さらに照明方向にはフィルムが存在し
ないので光出力の低下を抑制することができる。請求項
２記載の低圧放電灯は、請求項１の作用に加え、面状ヒ
ータの接着が容易にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す計器の照明装置の分解
した斜視図。

【図２】同実施例の組立て状態の断面図。

【図３】同実施例のけい光ランプの断面図。

【図４】本発明の他の実施例を示すけい光ランプの断面
図。

【図５】本発明のさらに他の実施例を示すけい光ランプ
の断面図。

【符号の説明】

１０…冷陰極けい光ランプ、１１…バルブ、１２…冷陰
極、１４…けい光体被膜、１５…面状ヒータ、１６…面
状発熱体、１７…絶縁性フィルム。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−34846（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−155743（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−86046（ＪＰ，Ａ) 実開 昭52−29776（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H01J 61/52

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 放電媒体が封入されたバルブと； 耐熱性絶縁フィルムの一面に金属製の面状発熱体が形成
   されており、この発熱体がバルブ外面の非照明方向に接
   触するようにフィルムの一面側がバルブの照明方向を除
   いた外側に配設された面状ヒータと； を具備していることを特徴とする低圧放電灯。
2. 【請求項２】 面状ヒータは、バルブの外側の接着剤を
   介して接着されていることを特徴とする請求項１記載の
   低圧放電灯。