JP3135577U - シート材成形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】補強シート材を備えた略円形のダイヤフラムの成形、或いは、該ダイヤフラム用の補強シート材の予備成形において、成形型の深さが大きい場合であっても、補強シート材のシワや裂損の発生を抑制して成形することが可能なシート材成形装置を提供する。
【解決手段】シート材成形装置は、介在させたシート材Sを押圧成形する一対の成形型と、成形型を離隔接近させる成形型移動装置と、少なくとも成形型による押圧前にシート材Sの周縁部を保持し、少なくとも成形型による押圧時にシート材Sに外方への張力を付与すると共に、成形型による押圧に伴いシート材Sの内方への移動を許容する張力付与装置10とを具備し、張力付与装置10は、少なくとも三方向以上の略等角度間隔でシート材Sの周縁部を把持する把持部11と、把持部11を外方に向かって付勢するコイルバネ部材15とを具備する。
【選択図】図2
【解決手段】シート材成形装置は、介在させたシート材Sを押圧成形する一対の成形型と、成形型を離隔接近させる成形型移動装置と、少なくとも成形型による押圧前にシート材Sの周縁部を保持し、少なくとも成形型による押圧時にシート材Sに外方への張力を付与すると共に、成形型による押圧に伴いシート材Sの内方への移動を許容する張力付与装置10とを具備し、張力付与装置10は、少なくとも三方向以上の略等角度間隔でシート材Sの周縁部を把持する把持部11と、把持部11を外方に向かって付勢するコイルバネ部材15とを具備する。
【選択図】図2
Description
本考案は、シート材成形装置に関するものであり、特に、補強シート材にゴムが積層されたダイヤフラムの成形、或いは、該ダイヤフラム用の補強シート材の予備成形に適したシート材成形装置に関するものである。
弁装置や圧力検知装置等の各種装置に用いられるゴム製のダイヤフラムには、強度を高めるために補強シート材を備えたものがあり、補強シート材の両面または片面にゴムが積層されている。従来このようなダイヤフラムの成形は、補強シート材と未加硫のゴムシートとを重畳させた状態で一対の成形型間に配し、両成形型で加圧しつつ加熱することによって行われている。
しかしながら、加圧加熱成形の際、ゴムは軟化して成形型内に拡がり易いのに対し、補強シート材は成形型に追随し難く、シワや裂損が生じるという問題があった。特に、成形型の深さが大きい場合(いわゆる「深絞り」の場合)は、上記の問題が顕著であった。
そこで、本考案は、上記の実情に鑑み、補強シート材を備えたダイヤフラムの成形、或いは、該ダイヤフラム用の補強シート材の予備成形において、成形型の深さが大きい場合であっても、補強シート材のシワや裂損の発生を抑制して成形することが可能なシート材成形装置の提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本考案に係るシート材成形装置は、「略円形のダイヤフラム用シート材を成形するシート材成形装置であって、介在させたシート材を押圧成形する一対の成形型と、該成形型を離隔接近させる成形型移動装置と、少なくとも前記成形型による押圧前にシート材の周縁部を保持し、少なくとも前記成形型による押圧時にシート材に外方への張力を付与すると共に、前記成形型による押圧に伴いシート材の内方への移動を許容する張力付与装置とを」具備している。
ダイヤフラム用「シート材」は、ダイヤフラムの強度を高める補強シート材であっても、重畳させた補強シート材及びゴムシート材であっても、或いは、カレンダリング加工等によって補強シート材にゴム層が積層された複合シート材であっても良い。ここで、補強シート材としては、ポリアミド系樹脂やポリエステル系樹脂の繊維を使用した織物や不織布など、ダイヤフラム用の補強シート材として周知のものを使用することができる。また、ゴムシート材や複合シート材を使用する場合のゴムとしては、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴムなど、従来よりダイヤフラムに使用されているゴムを用いることができる。また、複数種類のゴムを適宜配合して用いることもできる。
「成形型移動装置」は、一対をなす成形型を離隔接近させるために成形型の一方のみを移動させるものであっても、両方の成形型を共に移動させるものであっても良い。また、成形型を移動させる機構は特に限定されるものではないが、成形型を取り付けたロッドをエアシリンダや油圧シリンダで駆動して進退させるもの、電動モータの回転力をスクリュー螺子やラックとピニオン機構等により直線運動に変換して成形型を進退させるものを例示することができる。
「張力付与装置」は、「少なくとも前記成形型による押圧前に」シート材の周縁部を保持するものであれば、成形型が互いに離隔している状態で予めシート材を保持する構成であっても、成形型が互いに接近することによってシート材を保持することとなる構成であっても良い。また、「張力付与装置」は、「少なくとも前記成形型による押圧時に」シート材に外方への張力を付与するものであれば、成形型が互いに離隔しシート材に押圧力が加えられていない段階からシート材を外方に引張っている構成であっても、接近した成形型がシート材を押圧しシート材を内方に引き込もうとする力が作用した段階で、これに抗するように外方に向かう張力を発生させる構成であっても良い。
上記の構成により、本考案によれば、成形型が接近してシート材が押圧される際、張力付与装置によってシート材の周縁部が保持されており、且つ、シート材には外方へ向かう張力が付与されているため、成形型内にシート材が過剰に引き込まれることが防止される。これにより、シート材にシワが発生することを抑制して成形することができる。加えて、張力付与装置によるシート材の保持は固定的なものではなく、成形型によるシート材の押圧に伴ってシート材が内方に移動することを許容するものであるため、シート材に過剰な張力が加えられることが防止される。これにより、シート材が裂損することを抑制して成形することができる。
ここで、本考案に係る張力付与装置は、「少なくとも三方向以上で略等角度間隔にシート材の周縁部を把持する把持部と、該把持部を外方に向かって付勢するコイルバネ部材と
を」を具備するものとすることができる。
を」を具備するものとすることができる。
「把持部」としては、エアの脱気・吸気によりシート材の把持・開放を行うエアチャック、通電・非通電により把持・開放を切り替える電磁チャック、油圧やモータにより作動する二本指や三本指のハンドツール等を例示することができる。また、把持部においてシート材を把持する際にシート材の表側となる構成と裏側となる構成は、共に可動の構成であっても、一方が固定で他方が可動の構成であっても良い。
「把持部を外方に向かって付勢するコイルバネ部材」は、成形型によるシート材の押圧に伴って引き伸ばされる引張コイルバネであっても、成形型によるシート材の押圧に伴って圧縮される圧縮コイルバネであっても良い。
上記の構成により、本考案によれば、成形型が互いに離隔している段階から、シート材の周縁部を把持部によって把持しておくことができる。なお、把持部がシート材の周縁部を把持した段階では、シート材は単に保持されている状態であっても、コイルバネ部材による付勢によって既に外方に向かう張力が付与されている状態であっても良い。
この状態で成形型が接近してシート材を押圧すると、周縁部が把持部によって把持されていることにより、シート材には外方へ向かう張力が作用する。このとき、把持部は、少なくとも三方向以上の略等角度間隔でシート材の周縁部を把持しているため、略円形のダイヤフラム用シート材に対して、均一に近い引張力を付与することができる。そして、シート材は、外方への張力を受けつつ、コイルバネ部材による付勢より成形型による押圧力が勝る分だけ徐々に成形型の内方へ向かって移動する。これにより、シート材が成形型内に過剰に引き込まれてシワが発生することを抑制できると共に、シート材に過剰な張力が加えられて裂損することを抑制して、シート材を成形することができる。
なお、把持部の数は多いほど略円形のシート材により均一に近い張力を付与することができるが、その反面で、装置の構成が複雑となると共に、隣接する把持部が干渉するおそれも生ずる。従って、上記の構成において「前記把持部は、八方向で略等角度間隔にシート材を把持する」ものとすれば、装置が複雑になり過ぎず、隣接する把持部が干渉しない程度で、均一に近い張力を略円形のシート材に付与することができる。
本考案に係る張力付与装置は、「前記成形型の一方に伴って移動可能に設けられ前記成形型の接近時にシート材の片面の周縁部を押圧する円環状の押圧体と、該押圧体に対応する位置で前記押圧体を受ける押圧体受部と、前記押圧体及び前記押圧体受部の少なくとも何れか一方を互いが押圧し合う方向に付勢する圧縮コイルバネ部材とを」具備するものとすることもできる。
「押圧体」は、成形型の一方に直接取り付けられた構成とすることも、成形型の一方を支持する部材に取り付けられた構成とすることもできる。また、押圧体においてシート材に当接する部分が円環状であれば、押圧体全体は開口を有する円板状であっても円筒状であっても良い。また、「押圧体受部」は、例えば、押圧体の円環状の部分と全面的に当接可能な円環状の構成とすることができる。或いは、押圧体に複数個所で当接可能な複数の柱状部材によって構成させることもできる。
「圧縮コイルバネ部材」は、押圧体側に設けられるものであっても、押圧体受部側に設けられるものであっても、両者に共に設けられるものであっても良い。
上記の構成により、本考案によれば、成形型が接近した際に、シート材が押圧体と押圧体受部との間に挟み込まれ、シート材の周縁部が保持される。そして、更に成形型が接近した状態では、圧縮コイルバネ部材による付勢によって押圧体と押圧体受部は互いに押圧し合い、シート材をしっかりと挟持する。そして、成形型によってシート材が押圧された状態では、周縁部が押圧体と押圧体受部とによって保持されていることにより、シート材には外方へ向かう張力が発生する。このとき、押圧体は円環状であるため、略円形のシート材の周縁部は円周状に挟持され、シート材に対して引張力を均一に付与することができる。
そして、シート材は外方への張力を受けつつ、圧縮コイルバネ部材による付勢、及び押圧体及び押圧体受部によって挟持されている部分に生ずる摩擦力より、成形型による押圧力が勝る分だけ徐々に成形型の内方に移動する。これにより、シート材が成形型内に過剰に引き込まれシワが発生することを抑制できると共に、シート材に過剰な張力が加えられて裂損することを抑制して、シート材を成形することができる。
本考案に係るシート材成形装置は、上記の二種の張力付与装置をそれぞれ「第一張力付与装置」及び「第二張力付与装置」として、共に具備するものとすることができる。かかる構成により、より確実にシワや裂損の発生を抑制して、シート材を成形することができる。
本考案に係るシート材成形装置は、上記構成に加え、「前記成形型の一方の凸部に出没自在に設けられると共に出方向に付勢された棒状のシート材予備押圧体を」具備するものとすることができる。
上記の構成により、本考案によれば、成形型の接近に伴い、シート材予備押圧体が成形型の凸部に先んじてシート材を押圧する。そのため、シート材予備押圧体によってシート材が予め窪ませられている状態で、成形型がシート材に当接することとなる。これにより、成形型の角部との当接により、シート材に局部的に過剰な張力が発生することを抑制することができ、シート材の裂損を効果的に抑制することができる。また、シート材予備押圧体が予めシート材を部分的に押えることにより、成形型がシート材を押圧し始める前段階からシート材予備押圧体とシート材との間に摩擦力が発生するため、成形型がシート材を押圧する際にシート材にずれが生じることを抑制することができる。
以上のように、本考案によれば、補強シート材を備えたダイヤフラムの成形、或いは、該ダイヤフラム用の補強シート材の予備成形において、成形型の深さが大きい場合であっても、補強シート材のシワや裂損の発生を抑制して成形することが可能なシート材成形装置を提供することができる。
以下、本考案の最良の一実施形態であるシート材成形装置について、図1乃至図7に基づいて説明する。ここで、図1は第一張力付与装置を具備するシート材成形装置の構成を模式的に示す正面図であり、図2は第一張力付与装置によるシート材の保持を模式的に示す平面図であり、図3は図1のシート材成形装置によるシート材の成形を説明する説明図であり、図4は第一張力付与装置の一具体例の動作を説明する説明図であり、図5は第一張力付与装置の他の具体例の動作を説明する説明図であり、図6は第二張力付与装置の動作を説明する説明図であり、図7はシート材予備押圧体の動作を説明する説明図である。
本実施形態のシート材成形装置1は、図1及び図2に示すように、略円形のダイヤフラム用シート材Sを成形するシート材成形装置1であって、介在させたシート材Sを押圧成形する一対の成形型2a,2bと、成形型2a,2bを離隔接近させる成形型移動装置3と、第一張力付与装置10とを具備している。ここで、第一張力付与装置10は、少なくとも三方向以上で略等角度間隔にシート材Sの周縁部を把持する把持部11と、把持部11を外方に向かって付勢するコイルバネ部材15とを具備している。
より詳細に説明すると、本実施形態の成形型は、略凹状の第一成形型2aとこれと対応する略凸状の第二成形型2bとによって構成されている。また、本実施形態で対象とするダイヤフラムは比較的深さの大きい、いわゆる深絞りタイプであり、第一成形型2aの深さ及び第二成形型2bの高さは、それぞれ直径に対して20〜50%の設定となっている。
そして、第一成形型2aが架台61の上面に固定されており、第一成形型2aの外周面には加熱用ヒータ69が取り付けられている。架台61からは枠体が立設されており、枠体の上部フレーム63にはエアシリンダ3bが下向きに取り付けられ、このエアシリンダ3bによって駆動されるピストンロッド3aの下端には、成形型固定板62を介して第二成形型2bが下向きに取り付けられている。かかる構成により、エアシリンダ3bの駆動によりピストンロッド3aと共に第二成形型2bが昇降し、第一成形型2aと第二成形型2bとが互いに離隔接近する。
また、本実施形態のシート材成形装置1は、把持部11及びこれを付勢するコイルバネ部材15を八組具備しており、図2に示すように、略円形のシート材Sは周縁部において略等角度間隔で八方向から把持される。なお、図2及び次に示す図3では、コイルバネ部材15が引張コイルバネである場合を図示しているが、後述のように圧縮コイルバネを使用することもできる。
本実施形態のシート材成形装置1によるシート材Sの成形を、図3を用いて説明する。まず、図3(a)に示すように、成形型2a,2bが離隔した状態で第一成形型2aにシート材Sを載置する。このシート材Sとしては、接着剤を塗布した補強シート材、補強シート材とゴムシート材とを重畳させたもの、或いは、補強シート材にゴム層をカレンダリング加工した複合シート材を用いることができる。
次に、図3(b)に示すように、シート材Sの周縁部を把持部11によって把持する。図示ではコイルバネ部材15による付勢は未だシート材Sに対して作用しておらず、単にシート材Sの周縁部が把持部11によって保持された状態を例示しているが、コイルバネ部材15による付勢によりこの段階で既にシート材Sに対して外方に向かう張力が付与された状態とすることもできる。
図3(c)に示すように、第二成形型2bを降下させると、第二成形型2bによる押圧によってシート材Sが押圧され、シート材Sを第一成形型2a内に引き込むような力が作用する。このとき、シート材Sの周縁部は把持部11によって把持されており、把持部11はコイルバネ部材15によって外方に付勢されているため、シート材Sが過剰に内方に引き込まれることが抑制される。加えて、第二成形型2bによる押圧力がコイルバネ部材15の張力に勝る分だけ、シート材Sはコイルバネ部材15を引き伸ばしつつ徐々に第一成形型2aの内方に向かって移動するため、シート材Sに過剰な張力が付与されることが防止される。
そして、図3(d)に示すように、第一成形型2aと第二成形型2bとがシート材Sを挟み込んで嵌合した状態で、加圧及び加熱を所定時間行うことにより、シート材Sは成形型2a,2bの形状に応じた形状に賦形される。その後、図3(e)に示すように把持部11を開放し、図3(f)に示すように成形型2a,2bを離隔させれば、成形されたシート材Sを取り出すことができる。
次に、第一張力付与装置10の具体例について、図4を用いて説明する。本例の第一張力付与装置10aは、相反する方向に回動してそれぞれシート材Sを表面及び裏面から把持する一対の爪部31を備えた把持部11aと、把持部11aを外方に向かって付勢する引張コイルバネ部材15aとを具備している。より詳細に説明すると、把持部11aは、エアの脱気・吸気或いは通電・非通電によって一対の爪部21をそれぞれ回動させることにより、シート材Sを把持・開放する構成であり、それぞれの爪部21は当接面に形成された筋状の凹凸部で噛合してシート材Sをしっかりと把持する。また、把持部11aは、第一成形型2aに対して離隔接近するようガイド33に沿ってスライド可能な構成とされており、引張コイルバネ部材15aの一端は把持部11aに、他端は架台61に対して固定された後部プレート36に取り付けられている。
かかる構成により、把持部11aがシート材Sの周縁部を把持した状態で第二成形型2bが下降しシート材Sが押圧されると、図4(c)に示すように、引張コイルバネ部材15aの張力より第二成形型2bによる押圧力が勝る分だけ、把持部11aは引張コイルバネ部材15aを引き伸ばしつつ、ガイド33に沿って内方にスライドする。これにより、シート材Sは、引張コイルバネ部材15aによって外方に付勢されつつ、第一成形型2aの内方に向かって移動し、成形型2a,2bによって成形される。
第一張力付与装置10の他の例として、図5に示すような構成とすることもできる。本例の第一張力付与装置10bは、シート材Sを載置可能な固定片41と、回動軸P周りに回動し固定片41と協働してシート材Sを把持する可動片42を備えた把持部11bと、把持部11bを外方に向かって付勢する圧縮コイルバネ部材15bとを具備している。より詳細に説明すると、可動片42は、エアシリンダ46bによるピストンロッド46aの駆動に伴い、ピストンロッド46aの先端と連結された複数のアームを有するリンク機構47の動作を介して、回動軸P周りに固定片41側に回動する。このとき、固定片41に設けられた凹部43と可動片42に設けられた凸部44が係合することにより、介在させたシート材Sがしっかりと把持される。
また、圧縮コイルバネ部材15bは架台61に対して固定されており、固定片41、可動片42の回動軸Pが取り付けられたプレート48、及びエアシリンダ46bが取り付けられたプレート49は、何れも圧縮コイルバネ部材15bと同心の可動筒部45と一体化されている。
かかる構成により、把持部11bがシート材Sの周縁部を把持した状態で、第二成形型2bが下降しシート材Sが押圧されると、図5(c)に示すように、圧縮コイルバネ部材15bの張力より第二成形型2bによる押圧力が勝る分だけ、把持部11bは可動筒部45と共に圧縮コイルバネ部材15bを圧縮しつつ圧縮コイルバネ部材15bの軸に沿って内方にスライドする。これにより、シート材Sは、圧縮コイルバネ部材15bによって外方に付勢されつつ、第一成形型2aの内方に向かって移動し、成形型2a,2bによって成形される。
本実施形態のシート材成形装置1は、上記の第一張力付与装置10aまたは第一張力付与装置10bに替えて、以下のような第二張力付与装置20を具備する構成とすることができる。ここで、第二張力付与装置20は、図6に示すように、成形型固定板62から垂下された複数の支柱29によって支持された円環状の押圧体21と、押圧体21に対応する位置で架台61から立設されて押圧体21を受ける円筒状の押圧体受部22と、成形型固定板62と押圧体21との間で支柱29と同心に設けられた圧縮コイルバネ部材25とを具備している。
かかる構成により、第二成形型2bが下降すると、図6(b)に示すように押圧体21の下面と押圧体受部22の上面とがシート材Sを介在させた状態で当接し、シート材Sの周縁部が押圧体21と押圧体受部22によって円周状に挟持される。そして、更に第二成形型2bが下降すると、押圧体21は圧縮された圧縮コイルバネ部材25によって押圧体受部22に向かって付勢され、シート材Sを挟持する力が強められる。
図6(c)に示すように、下降した第二成形型2bによってシート材Sが押圧されると、シート材Sを第一成形型2aの内方に引き込むような力が作用するが、シート材Sは圧縮コイルバネ部材25によって挟持方向に付勢された押圧体21と押圧体受部22とによって挟持されているため、シート材Sに対して外方に向かう張力が作用し、シート材Sが過剰に引き込まれることが抑制される。加えて、圧縮コイルバネ部材25による付勢、及び押圧体21の下面と押圧体受部22の上面との間でシート材Sに作用する摩擦力より、第二成形型2bによる押圧力が勝る分だけ、シート材Sは徐々に第一成形型2aの内方に向かって移動し、成形型2a,2bによって成形される。
本実施形態のシート材成形装置1は、更に下記の構成のシート材予備押圧体50を備えるものとすることができる。ここでは、張力付与装置として第二張力付与装置20を備えるシート材成形装置1にシート材予備押圧体50が備えられる場合について、図7を用いて例示する。本実施形態のシート材予備押圧体50は、第二成形型2bの凸部の略中央に設けられた孔部59に対して出没自在な棒状の構成であり、孔部59に内設された圧縮コイルバネ部材55によって出方向に付勢されている。なお、図7では、シート材予備押圧体50の構成を明示するため、押圧体21を鎖線で図示している。
かかる構成により、第二成形型2bが下降した際、図7(b)に示すように、第二成形型2bの凸部がシート材Sに当接するのに先んじて、まずシート材予備押圧体50がシート材Sに当接する。そして、更に第二成形型2bが下降すると、シート材Sが第二成形型2bに押圧されるのに先んじて、シート材予備押圧体50がシート材Sを押圧し変形させる。これにより、図7(c)に示すように、シート材予備押圧体50によってシート材Sが予め窪ませられている状態で、第二成形型2bがシート材Sに当接することとなり、過剰な張力がシート材Sに局部的に発生することを抑制することができる。
加えて、シート材予備押圧体50によって予めシート材Sが部分的に押えられることにより、シート材予備押圧体50とシート材Sとの間に摩擦力が発生しているため、第二成形型2bが押圧する際にシート材Sがずれることを抑制することができる。また、シート材予備押圧体50は、シート材Sを局部的に押圧する構成ではあるが、圧縮コイルバネ部材55によって孔部59に対して出没自在とされているため、シート材Sに無理な押圧力がかかることが防止され、シート材予備押圧体50による押圧でシート材Sに穴が開いたり破れたりするおそれが低減されている。
なお、第二成形型2bが更に下降し、シート材Sを介在させた状態でシート材予備押圧体50の先端が第一成形型2aに当接した以降は、第二成形型2bの下降に伴い、シート材予備押圧体50はシート材Sを押圧しつつ、圧縮コイルバネ部材55を圧縮しながら孔部59に挿入される。本実施形態では、第一成形型2a及び第二成形型2bが嵌合した状態で、シート材予備押圧体50が完全に孔部59内に没する設定とされており、成形されるシート材Sの形状がシート材予備押圧体50によって影響を受けるおそれのないものとなっている。
以上のように、本実施形態のシート材成形装置1によれば、第一張力付与装置10a,10bまたは第二張力付与装置20を具備することにより、第二成形型2bの下降によるシート材Sの押圧に伴い、シート材Sに対して外方に向かう張力が付与されるため、シート材Sが第一成形型2aに過剰に引き込まれてシワが発生することを抑制することができる。加えて、シート材Sに対して作用する張力は、コイルバネ部材15a,15b,25の付勢によるものであるため、シート材Sはコイルバネ部材15a,15b,25を圧縮または引張しつつ第一成形型2aの内方に向かって移動することができる。これにより、シート材Sに無理な張力が付与されることを防止することができ、シート材Sの裂損を抑制することができる。従って、本実施形態では成形型2a,2bの深さ(高さ)が大きい場合であるが、シワや裂損の発生を有効に抑制して成形することができる。
また、シート材予備押圧体50を備える場合は、シート材Sが予め窪ませられている状態で、且つ、シート材Sが予め部分的に押えられた状態で、第二成形型2bによってシート材Sを押圧させることができる。これにより、シート材Sの裂損やずれを抑制して成形することができる。
以上、本考案について好適な実施形態を挙げて説明したが、本考案はこの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本考案の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、張力付与装置として第一張力付与装置、第二張力付与装置の何れか一方を具備する場合を図示と共に例示したが、これに限定されず、第一張力付与装置と第二張力付与装置とを共に具備するシート材成形装置とすることができる。これにより、シワや裂損の発生をより確実に防止してシート材を成形することができる。
また、第二張力付与装置として、押圧体が圧縮コイルバネ部材によって付勢される構成を例示したが、これに限定されず、押圧体受部が圧縮コイルバネ部材によって押圧体に向かって付勢される構成、或いは、押圧体及び押圧体受部が共に圧縮コイルバネ部材によって相手側に向かって付勢される構成とすることができる。更に、押圧体受部が円筒状である場合を例示したが、これに限定されず、円環状の押圧体と当接可能な複数の柱状部材によって押圧体受部を構成させることもできる。
更に、第一成形型が架台に対して固定され、第二成形型が昇降することによって一対の成形型が離隔接近する場合を例示したが、これに限定されず、第二成形型側を固定し、第一成形型を昇降させる構成とすることもできる。
1 シート材成形装置
2a 第一成形型(成形型)
2b 第二成形型(成形型)
3 成形型移動装置
3a ピストンロッド(成形型移動装置)
3b エアシリンダ(成形型移動装置)
10,10a,10b 第一張力付与装置(張力付与装置)
11,11a,11b 把持部
15 コイルバネ部材
15a 引張コイルバネ部材(コイルバネ部材)
15b 圧縮コイルバネ部材(コイルバネ部材)
20 第二張力付与装置(張力付与装置)
21 押圧体
22 押圧体受部
25 圧縮コイルバネ部材
50 シート材予備押圧体
S シート材
2a 第一成形型(成形型)
2b 第二成形型(成形型)
3 成形型移動装置
3a ピストンロッド(成形型移動装置)
3b エアシリンダ(成形型移動装置)
10,10a,10b 第一張力付与装置(張力付与装置)
11,11a,11b 把持部
15 コイルバネ部材
15a 引張コイルバネ部材(コイルバネ部材)
15b 圧縮コイルバネ部材(コイルバネ部材)
20 第二張力付与装置(張力付与装置)
21 押圧体
22 押圧体受部
25 圧縮コイルバネ部材
50 シート材予備押圧体
S シート材
Claims (6)
- 略円形のダイヤフラム用シート材を成形するシート材成形装置であって、
介在させたシート材を押圧成形する一対の成形型と、
該成形型を離隔接近させる成形型移動装置と、
少なくとも前記成形型による押圧前にシート材の周縁部を保持し、少なくとも前記成形型による押圧時にシート材に外方への張力を付与すると共に、前記成形型による押圧に伴いシート材の内方への移動を許容する張力付与装置と
を具備することを特徴とするシート材成形装置。 - 前記張力付与装置は、
少なくとも三方向以上で略等角度間隔にシート材の周縁部を把持する把持部と、
該把持部を外方に向かって付勢するコイルバネ部材と
を具備することを特徴とする請求項1に記載のシート材成形装置。 - 前記張力付与装置は、
前記成形型の一方に伴って移動可能に設けられ前記成形型の接近時にシート材の片面の周縁部を押圧する円環状の押圧体と、
該押圧体に対応する位置で前記押圧体を受ける押圧体受部と、
前記押圧体及び前記押圧体受部の少なくとも何れか一方を互いが押圧し合う方向に付勢する圧縮コイルバネ部材と
を具備することを特徴とする請求項1に記載のシート材成形装置。 - 前記張力付与装置として、
少なくとも三方向以上で略等角度間隔にシート材の周縁部を把持する把持部、及び、該把持部を外方に向かって付勢するコイルバネ部材を備える第一張力付与装置と、
前記成形型の一方に伴って移動可能に設けられ前記成形型の接近時にシート材の片面の周縁部を押圧する円環状の押圧体、該押圧体に対応する位置で前記押圧体を受ける押圧体受部、及び、前記押圧体及び前記押圧体受部の少なくとも何れか一方を互いが押圧し合う方向に付勢する圧縮コイルバネ部材を備える第二張力付与装置と
を具備することを特徴とする請求項1に記載のシート材成形装置。 - 前記把持部は、八方向で略等角度間隔にシート材を把持することを特徴とする請求項2または請求項4に記載のシート材成形装置。
- 前記成形型の一方の凸部に出没自在に設けられると共に出方向に付勢された棒状のシート材予備押圧体を、更に具備することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一つに記載のシート材成形装置。
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JP2007005293U JP3135577U (ja) | 2007-07-10 | 2007-07-10 | シート材成形装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010060677A (ja) * | 2008-09-02 | 2010-03-18 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | フィルム表面形状測定用治具および測定方法 |
-
2007
- 2007-07-10 JP JP2007005293U patent/JP3135577U/ja not_active Expired - Fee Related
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