歯ブラシは、歯垢をしっかりと落とすとともに歯茎を適度にマッサージすることにより虫歯や歯周病を予防する極めて重要な用具である。歯ブラシは、使用者に把持されるグリップ部と、このグリップ部の一端部にネック部を介して一体に連設され主面に毛束を植設してブラシ面として構成したヘッド部とを基本構成として形成される。歯ブラシは、基本構成に基づく様々なデザインとともにブラシ面や毛束の歯や歯茎に対する当たり角度や具合、毛束の形状や硬さ等に関する様々な理論、或いは使用者の好み等に基づいて、多種多様の構造を有するものが提供されている。
歯磨き方法では、上述した歯ブラシの形状とともにその使用方法も極めて重要であり、例えば持ち方として手の平で握るように把持するパームグリップ法が一般的であり、またブラシ面を手前に向ける方法と向こう側に向ける方法がある。パームグリップ法は、主として毛束の両脇部位を歯や歯茎に当てて歯磨きを行う方法であり、握る力が弱い老人や幼児等にとってしっかりとブラッシングを行うことが可能であり、持ちやすいこと、ブラシ面の全体で広範囲にブラッシングが可能であること等の特徴がある。しかしながら、パームグリップ法は、歯や歯茎に対して必要以上のブラシ圧がかかることにより、歯茎等を痛めやすいといった問題が指摘されている。なお、例えば、特許文献1や特許文献2には、使用勝手の向上を図ったパームグリップ型歯ブラシが開示されている。
歯磨き方法では、上述したパームグリップ法の欠点を改善する方法としてペングリップ法が推奨されるようになっている。ペングリップ法は、毛束の毛先部位を歯や歯茎に当てて歯磨きを行う方法であり、ブラシ圧をコントロールすることが容易であること、毛先の当たり位置を確認することが可能であること、歯と歯の隙間に毛先が入り込んで効果的なブラッシングが可能であること等の特徴がある。ペングリップ法については、最近では上述したパームグリップ法に変わる効率的かつ効果的な歯磨き方法として推奨されており、歯科医による歯磨き指導や歯ブラシのカタログ等においてその方法や効能等が種々紹介されている。
ところで、歯磨きにおいては、途中でグリップ部に歯磨き粉が混じった唾液等がヘッド部から流れ落ちてグリップ部分が滑りやすくなるといった状態がしばしば発生する。例えば特許文献3や特許文献4には、グリップ部分への唾液等の流れ落ちを防止してグリップ性の向上を図った歯ブラシが開示されている。しかしながら、かかる歯ブラシは、上述したペングリップ法により把持することが極めて困難な構造である。
特許文献5には、グリップ部の途中にリング状の指先掛合部を突設し、この指先掛合部に指を貫通させて把持することでさらにグリップ性の向上を図った歯ブラシが開示されている。しかしながら、かかる歯ブラシは、指先掛合部に破損や汚れが生じやすく、パームグリップ法によりより強く歯や歯茎をブラッシングするものである。
特許文献6には、グリップ部の後端部位に凸部を形成してグリップ部を把持する力を小さくすることにより、ブラシ圧を低減するようにした歯ブラシが開示されている。
特開2002−85157号公報
特開2003−347号公報
実開昭61−199232号公報
特開2003−347号公報
実開昭63−187928号公報
実開平4−118028号公報
歯磨き方法においては、上述した歯ブラシの選択や歯ブラシの持ち方ばかりでなく、歯ブラシの動かし方も重要である。歯磨き方法においては、歯ブラシが、従前では歯列に対して直交する方向(左右方向)に往復移動させると各歯の損耗が大きくなることから、各歯に対して上下方向に移動させるローリング法が推奨されていた。しかしながら、歯磨き方法については、最近ではこの上下方向移動から、例えばバス法或いはスクラッピング法と称される各歯毎に細かな振動を与えるように左右方向に頻繁に動かす方法が推奨されている。
バス法は、毛先を歯茎に対して約45°の角度で当て、左右に小さく動かす歯磨き方法である。スクラッピング法は、毛先を歯茎に対して略直角に当て、同様にして左右に小さく動かす歯磨き方法である。
ところで、歯ブラシは、一般にグリップ部と、このグリップ部の一端部にネック部を介して一体に連設されて主面に毛束を植設したヘッド部とから構成される。従来の歯ブラシは、断面矩形に形成されたグリップ部の長辺面とヘッド部の主面が略同一面を構成するように形成されており、ペングリップで把持する場合にグリップ部の幅広の相対する短辺面を親指と人差し指が挟み込むようにして把持することになる。
従来の歯ブラシにおいては、上述した形状により幅狭部位を挟むようにするペングリップ法ではグリップ部を把持し難く、握りやすいパームグリップ法と比較して普及率が低い原因となっている。また、従来の歯ブラシにおいては、親指と人差し指で把持するグリップ部に歯磨き途中で歯磨き粉が混じった唾液等がヘッド部から流れ落ちてくることから、滑りやすくなり確実なグリップが保持されないために歯磨き効率が低下するといった問題もある。歯ブラシにおいては、上述した構造によりペングリップ法で把持された場合に、この滑りに伴う問題がさらに顕著となる。
従来の歯ブラシにおいては、ヘッド面の主面から毛束が突出した構造となっており、例えば携帯時や輸送時或いは保管時等において外部からの何らかの力が毛束に直接作用されて曲がり癖がついたり折れ曲がりが生じることがあった。したがって、従来の歯ブラシにおいては、硬質のケース等に収納して毛束を保護するようにしているが、コストアップとなるとともに嵩張るといった問題があった。なお、特許文献6に開示された歯ブラシは、グリップ部の後端部にブラシ面側に突出する凸部が形成されており、この凸部がある程度毛束の保護作用を奏することが期待される。しかしながら、この歯ブラシは、凸部の高さが毛束の先端よりも低いことから、毛先の保護には充分では無い。
また、歯ブラシは、個人毎に用いられるものであり色別で識別することができるように同一仕様でも常に3〜5色程度の色調のものが提供されている。しかしながら、歯ブラシは、一般的に好まれる色調のものに偏って購入されるために、仕入れ・在庫管理が面倒であった。さらに、歯ブラシは、旅館やホテル等においてアメニティグッズとして顧客に提供されるが、一般に同一色調若しくは男女用の2色であることが多く、複数人で宿泊した場合に誰が使用したものか識別が困難である。歯ブラシは、使用後にコップ等に立てかけられることから、その識別がますます困難であった。
さらに、幼稚園や保育園においては、園児に対して食後の歯磨きの習慣を身につけさせるために多くの幼児が一斉に歯ブラシを使用することが多い。従来の歯ブラシは、パームグリップ対応のものが多く、一般的に長尺である。かかる歯磨き行動では、幼児等が教師の注意にもかかわらずしばしばふざけ合いながら歯磨きをすることにより隣りの幼児の手が当たる等して歯ブラシの先で喉の奥の方まで傷付くといった事故が発生する虞もある。
したがって、本考案は、上述した従来の種々の問題を解決し、自然と効率的かつ効果的な歯磨きが行われるペングリップ法により把持されるようになり、毛束の変形の発生を抑制しかつ安全性の向上を図る歯ブラシを提供することを目的に提案されたものである。
上述した目的を達成する本考案にかかる歯ブラシは、グリップ部と、このグリップ部の一端部にネック部を介して一体に連設され主面に毛束を植設してブラシ面として構成したヘッド部とを備える。歯ブラシは、グリップ部が、ヘッド部のブラシ面と直交する方向を長軸辺とした略矩形断面形状に形成されるとともにネック部と対向する他端部側のブラシ面と平行な短軸辺がブラシ面と略同一面を構成するように形成され、ペングリップにより把持されて用いられる。
以上のように構成した歯ブラシにおいては、ブラシ面に対して高さ方向に幅広で薄厚となるグリップ部を親指と人差し指で挟むとともに中指で支えるペングリップの形態で自然に把持されるようになりかつ把持した状態でブラシ面の確認もスムーズに行われ、効率的かつ効果的であり歯や歯茎に対するブラシ圧のコントロールが容易な歯磨き方法であるペングリップの普及率の向上が図られるようになる。また、歯ブラシにおいては、毛束の先端部であるブラシ面がグリップ部の後端部と略同一面を構成することにより、外部からの力が毛束に直接作用されることによる曲がり癖や折れ曲がりの発生を抑制して例えばソフトケースに収納して携帯や輸送或いは保管の取り扱いを可能とする。
また、本考案にかかる歯ブラシは、グリップ部が、少なくとも把持する親指と人差し指の指先とこれらの指の付け根との間隔よりもやや長軸とされることにより全体が従来の一般的な歯ブラシと比較して短い長さで形成される。歯ブラシにおいては、短い全長により歯や歯茎に対する過剰なブラシ圧をさらに抑制してペングリップにより効率的かつ効果的な歯磨きを行うことが可能であり、また取り扱いの簡便化を図るとともに使用中における万一の事故発生でもダメージが低減されるようになる。
本考案にかかる歯ブラシは、グリップ部に、把持する少なくとも親指と人差し指の指先部位に対応して座ぐり付きの凹部若しくは貫通孔からなる指先掛合部が形成される。歯ブラシにおいては、親指や人差し指の指先部位が、幅広でありかつ指先掛合部に指先を掛け合わせてグリップ部を挟み込んで把持する。したがって、歯ブラシは、歯磨き動作の途中で歯磨き粉が混じった唾液等がヘッド部から流れ落ちてきても確実なグリップが保持されて効率的かつ効果的な歯磨きが行われる。
本考案にかかる歯ブラシは、グリップ部に、貫通孔を形成するとともに、この貫通孔に着色弾性材により形成した識別体が嵌め合わされる。また、本考案にかかる歯ブラシは、識別体が、グリップ部の貫通孔に嵌め合わされた状態でその表面を座ぐりの底部と略同一面を構成して嵌め合わされる。歯ブラシにおいては、適宜の色調の識別体を選択して貫通孔に嵌め合わせることにより自他識別が可能となりまた識別体がアクセントになってアメニティグッツとして好適となる。歯ブラシにおいては、貫通孔に対して弾性材を座ぐりの底部に嵌め合わせることにより指先掛合部の機能が保持されるとともに、さらにグリップ特性の向上が図られるようになる。
以上のように構成された本考案にかかる歯ブラシによれば、グリップ部がブラシ面に対して幅広で薄厚となる部位を把持されることでペングリップの形態が自然に採用され、歯や歯茎に対するブラシ面の状態を確認しながらかつ過大なブラシ圧を抑制して効率的かつ効果的な歯磨きを行うことを可能とする。また、歯ブラシによれば、毛束の先端部であるブラシ面とグリップ部の後端部とを略同一面となるように構成したことから、携帯時等においてブラシ面が当たって毛先が開いてしまうといった事態の発生が低減されて正常な状態での歯磨きが行われるようにする。
以下、本考案の実施の形態として図面に示した歯ブラシについて詳細に説明する。第1の実施の形態として図1乃至図3に示した歯ブラシ1も、合成樹脂材により、グリップ部2と、このグリップ部2の一端部にネック部3を介して一体に連設されたヘッド部4と、このヘッド部4の一方主面4Aに植設され先端部をブラシ面5Aとする毛束5とからなる基本的な構成を上述した従来のパームグリップ仕様の一般的な歯ブラシと同様とする。なお、以下の説明において、図1を基準として「上下」、「左右」等の用語を用いる。
歯ブラシ1も、ヘッド部4が矩形板状を基本形として、例えば大人用と子供用或いは男性用と女性用等の区分条件により様々な大きさに形成される。歯ブラシ1は、標準的な大きさのヘッド部4の主面4Aに、毛束5を長さ方向に平行して3〜4列、幅方向に平行して8列程度を植設する。歯ブラシ1は、毛束5に、所定の外径と長さを有する例えばナイロン繊維やポリプチレン繊維或いは豚毛等の天然繊維が用いられ、「硬め」、「普通」、「柔らかめ」等の硬さ区分でヘッド部4に設けられる。なお、本考案は、ヘッド部4や毛束5の詳細構成を要旨とするものでは無く、従来の歯ブラシと同等のものを利用することが可能である。
歯ブラシ1は、ネック部3が、ヘッド部4よりもやや幅狭とされた矩形断面を有することにより厚み方向に対してやや弾性変形自在な特性を有する。
歯ブラシ1は、グリップ部2が、従来の歯ブラシと同様に例えば大人用と子供用或いは男性用と女性用等の区分条件によりそれぞれ所定の長さを有して形成される。歯ブラシ1は、グリップ部2が、図1及び図3に示すようにブラシ面5Aと直交する方向を長軸辺とした略矩形断面形状に形成される。すなわち、グリップ部2は、短辺をネック部3とほぼ同幅としたやや薄厚とするとともに長辺を標準的な大人の指先幅とほぼ同等以上の高さとした図3に示すように縦長矩形の断面形状に形成される。
歯ブラシ1は、グリップ部2が、図1に示すようにネック部3を起点として右下り形状で形成され、全体として側面形状が略へ字状を呈している。歯ブラシ1は、グリップ部2の先端部2Aが、同図に示すようにブラシ面5Aに対して下方に位置するようにして形成される。
以上のように構成された歯ブラシ1は、グリップ部2をペングリップにより把持されて用いられる。勿論、歯ブラシ1は、グリップ部2をパームグリップにより把持して用いることも可能であるが、上述した形状によりごく自然かつ安定してペングリップにより把持される。すなわち、ペングリップは、歯ブラシ1のグリップ部2に対して、図2に示すように厚み方向の第1主面2B側に親指F1を当てがうとともに相対する第2面2C側に人差し指F2を当てがって親指F1と人差し指F2とにより摘まむようにする。ペングリップは、同図に示すようにグリップ部2の先端部2Aを親指F1と人差し指F2の付け根部位Tから手の甲へと導くようにするとともに、中指F3により下側面を支える。なお、ペングリップは、薬指F4や小指F5が歯ブラシ1の把持に使用されない。
歯ブラシ1においては、上述したようにグリップ部2が縦長矩形の断面形状を有することにより、ブラシ面5Aに対して高さ方向に幅広で薄厚となるグリップ部2を親指F1と人差し指F2で摘みかつ中指F3で支えるペングリップを自然形態として把持される。歯ブラシ1においては、図2に示すようにグリップ部2をペングリップで把持した状態でブラシ面5Aの状態も明確に確認することが可能であり、歯や歯茎に対して正確に位置合わせが行われるようになる。歯ブラシ1においては、グリップ部2をペングリップで把持することにより、歯や歯茎に対するブラシ圧の微妙なコントロールも可能となり、効率的かつ効果的な歯磨きが行われるようにする。
歯ブラシ1は、上述したようにグリップ部2の先端部2Aをブラシ面5Aから突出させて略へ字状の全体構造を呈する。歯ブラシ1は、例えばブラシ面5Aを上向きにして置いた場合に、ブラシ面5Aに対してグリップ部2の先端部2Aが上方に位置する。歯ブラシ1は、携帯時や輸送時或いは保管時等においてグリップ部2の先端部2Aがストッパ作用を奏してブラシ面5Aに外部圧力が作用されないようにして毛束5の拡がりや折れ曲がりの発生を防止する。歯ブラシ1は、毛束5を保護するハードケース等を不要とし、また大量の取り扱いも簡便化される。したがって、歯ブラシ1は、例えばホテル等においてアメニティグッツとして大量に使用される場合でも、その保管や各部屋への配布等の取り扱いも容易となる。
歯ブラシ1は、上述したようにグリップ部2が従来のパームグリップ仕様の一般的な歯ブラシと同等の長さで形成される。歯ブラシ1は、グリップ部2がペングリップで把持されることから、大きな長さを不要とする。第2の実施の形態として図4に示した歯ブラシ10は、グリップ部11が、短軸化されるとともにブラシ圧をさらに低減する構成に特徴を有している。歯ブラシ10は、グリップ部11を除くネック部3や毛束5を植設したヘッド部4が歯ブラシ1と同等に形成される。
歯ブラシ10は、グリップ部11が、上述したグリップ部2と同様にネック部3を起点として右下り形状で形成され全体として側面形状が略へ字状を呈して形成される。歯ブラシ10も、ブラシ面5Aに対して高さ方向に幅広で薄厚となるグリップ部11を親指F1と人差し指F2で摘まれかつ中指F3で下側面を支えるペングリップで把持される。
歯ブラシ10は、グリップ部11が、先端部11Aの近傍において下側面に円弧状の凹部12を形成し、この凹部12の前方部位に凸部13が構成されるようにする。歯ブラシ10は、グリップ部11の凸部13がブラシ面5Aから突出するようにして、上述した歯ブラシ1と同様に携帯時や輸送時或いは保管時等においてブラシ面5Aを保護する部位として作用する。
歯ブラシ10は、グリップ部11が、その全長Lを把持する親指F1と人差し指F2のそれぞれの指先とその付け根Tとの間隔Dよりもやや長軸とされ、上述した歯ブラシ1と比較して全体が短い長さで形成される。歯ブラシ10は、図4に示すようにペングリップで把持された状態で凹部12が付け根Tに収まり、先端部11Aが付け根Tを介して手の甲に乗った状態となる。
歯ブラシ10は、グリップ部11がペングリップで把持されることにより、手の大きさを大きく異にする大人用と子供(幼児)用に区分されるが、男性用と女性用に区分した長さとする必要は無い。歯ブラシ10は、男性用と女性用に区分することなく、一般大人用としてグリップ部11の全長Lを例えば40mm乃至60mm程度に形成したものであってもよい。歯ブラシ10は、品数の低減によりコスト低減が図られる。
歯ブラシ10においては、上述したペングリップで把持されることにより、グリップ部11の親指F1と人差し指F2による把持位置を支点として付け根Tを介して手の甲に乗ったグリップ部11の先端部11Aが力点を構成、ブラシ面5Aを作用点として歯磨き動作が行われる。歯ブラシ10においては、上述した短軸の構造により支点と力点の間隔が小さくなり、作用点であるブラシ面5Aに生じるブラシ圧が低減される。歯ブラシ10においては、グリップ部11に付け根Tに収まる円弧状の凹部12を形成したことにより力点における力が分散されてさらなるブラシ圧の低減が図られるとともに、この凹部12と凸部13が付け根Tに倣って当たることによりブレの発生が抑制されるようになる。
歯ブラシ10においては、全体が短軸に形成されるが、ペングリップで把持されることにより効率的かつ効果的な歯磨きが行われるようになる。歯ブラシ10においては、上述したブラシ面5Aと凸部13の構成により毛束5を痛めることなくソフトケースに収納して保管や運搬等が行われ、短軸化によりさらに取扱い性の向上とコスト低減が図られる。また、歯ブラシ10は、全体が短軸に形成されることにより、幼稚園等における多くの園児による歯磨きや行動或いは飛行中で歯磨きや行動等のように咥内への突込みが生じる虞がある場合でも、喉の奥の方までダメージが及ばないようにする。
第3の実施の形態として図5及び図6に示した歯ブラシ15は、グリップ部16が、短軸化されてブラシ圧を低減化するようにした構成について上述した歯ブラシ10と同様とし、さらに歯磨き時において把持特性の向上を図った構成に特徴を有している。歯ブラシ15も、グリップ部16を除くネック部3や毛束5を植設したヘッド部4が歯ブラシ1や歯ブラシ10と同等に形成される。
なお、歯ブラシ15は、ネック部3をやや長軸に形成することにより大きな弾性変形が生じるようにして歯や歯茎に対して押し当て状態が保持されるように構成する。歯ブラシ15は、全長を上述した歯ブラシ10と同等してネック部3をやや長軸とすることから、グリップ部16の長さが小さくなって把持特性が低下する。歯ブラシ15は、グリップ部16が、図5に示すように略変形菱形の形状とすることにより把持面積が保持されるように構成する。歯ブラシ15も、グリップ部16の先端部16A側において凹部12と凸部13が形成され、凸部13がブラシ面5Aよりも下方へと突出した構造である。
歯ブラシ15は、上述したようにグリップ部16が親指F1と人差し指F2により厚み方向に摘まれるようにして、パームグリップと比較して把持力が小さいペングリップにより把持される。歯ブラシ15においては、歯磨き動作の途中で歯磨き粉が混じった唾液等がヘッド部4からネック部3を介してグリップ部16へと流れ落ちてくるため、親指F1と人差し指F2の指先部位が滑りやすくなる。歯ブラシ15においては、グリップ部16のネック部3側に位置して、厚み方向の貫通孔からなる指先掛合部17を形成することにより、把持特性の向上が図られる。
歯ブラシ15には、グリップ部16をペングリップで把持した状態で、図5に示すように親指F1と人差し指F2の指先の対応部位に、貫通孔からなる指先掛合部17が形成される。指先掛合部17は、小さな外径の人差し指F2の指先よりもやや小さく所定の機械的強度が保持される内径を有する貫通孔により構成される。指先掛合部17には、図6に示すようにグリップ部16の貫通孔が開口する第1主面16Bと第2主面16Cにそれぞれ座ぐり18A、18Bが形成される。指先掛合部17は、これら座ぐり18A、18Bを形成することにより、親指F1や人差し指F2の指先のバラツキに対応可能であるとともに、指先に引掛かりを与えて把持状態が確実に保持されるようにする。
以上のように構成された歯ブラシ15においては、親指F1と人差し指F2の指先が第1主面16Bと第2主面16Cからそれぞれ指先掛合部17にはまり込んでグリップ部16を把持する。歯ブラシ15においては、歯磨き動作の途中で歯磨き粉が混じった唾液等がグリップ部16に流れ落ちてきても、指先が指先掛合部17にはまり込んだ親指F1と人差し指F2により把持状態が確実に保持される。歯ブラシ15においては、滑りによるブレが抑制されて効率的かつ効果的な歯磨きが行われる。
なお、歯ブラシ15においては、親指F1と人差し指F2との対応部位に貫通孔からなる指先掛合部17を形成したが、かかる指先掛合部17の構成に限定されない。指先掛合部17については、手の大きさのバラツキに対応するためにグリップ部16に複数個を形成するようにしてもよい。指先掛合部17については、グリップ部16の第1主面16Bと第2主面16Cにそれぞれ形成した断面円弧状の凹部であってもよく、また親指F1と人差し指F2の指先位置のズレに対応してこれら凹部が位置を異にして形成されるようにしてもよい。また、指先掛合部17は、円形に限定されず、軸方向の長孔或いは楕円凹部であってもよい。
第4の実施の形態として図7に示した歯ブラシ20も、グリップ部21を短軸化してブラシ圧を低減化するとともに歯磨き時において把持特性の向上を図った構成を上述した歯ブラシ15と同様とし、さらに複数人が同じ場所で使用する場合において有効な自他識別性を有する構成に特徴を有している。歯ブラシ15も、グリップ部21を除くネック部3や毛束5を植設したヘッド部4が歯ブラシ1や歯ブラシ10と同等に形成される。歯ブラシ15も、グリップ部21の下側面部に、先端部21Aに至る途中箇所にブラシ面5Aと略同一面を構成する頂点部21Bが形成されるとともに、厚み方向に貫通する座ぐり18を有する指先掛合部17が形成される。
歯ブラシ20は、ネック部3から右下がりの状態で連続するグリップ部21の下側面が先端部21Aと頂点部21Bとの間の領域を円弧状として逃がし側面22として構成される。歯ブラシ20は、逃がし側面22が、グリップ部21をペングリップにより把持した状態で親指F1と人差し指F2の付け根部位Tに当たって力点を構成するが、上述した円弧状の形状により力点における力を分散する作用を奏することでさらなるブラシ圧の低減が図られるようになる。なお、歯ブラシ20も、グリップ部21を全体が小さな外形に形成するが、図7に示すように上側面部21Cを上方へ突出させた形状とすることにより把持面積が保持されるように構成する。
歯ブラシ20にも、グリップ部21の先端部近傍に厚み方向に貫通する貫通孔23が形成され、この貫通孔23が紐掛け孔等に利用される。歯ブラシ20は、この貫通孔23を利用して識別体24をはめ込むことにより、自他識別が図られるようにする。識別体24は、適宜の色調で着色されたゴム材等の弾性材により、貫通孔23の内径よりもやや大きな外径を有する丸栓状に形成され、図9に示すように少なくとも一方側面側に先端径を貫通孔23の内径よりもやや小径とする面取り24Aが施される。
歯ブラシ20は、複数色の識別体24が用意され、使用者が好みの色調のものを選択して面取り24A側を嵌め込み側として貫通孔23内にはめ込まれる。歯ブラシ20は、識別体24の色調により自他識別が行われることで、複数人が同一場所で使用して歯ブラシ立て等に置いた場合でも他人のものと誤って使用されないようにする。歯ブラシ20は、複数色の識別体24を用いることにより、全体を異なる色調の樹脂材料で成形せずとも識別が可能であり在庫管理の煩わしさを低減するとともに識別体24がアクセントになってアメニティグッツとして好適となる。
歯ブラシ20は、上述した識別体24を図8に示すように指先掛合部17に嵌め合わせて用いるようにしてもよい。歯ブラシ20は、この場合に識別体24が、指先掛合部17の内径よりもやや大径とされるとともに、嵌め合わせ状態において両端面が座ぐり18の底部と略同一面を構成する厚みを有して形成される。歯ブラシ20は、同図に示すように識別体24をはめ込んだ指先掛合部17が座ぐり18の深さ分グリップ部21の第1主面21Dと第2主面21Eに対して凹部の形状が保持されるようにして、親指F1や人差し指F2の指先に引掛かりを与えて把持状態が確実に保持されるようにする。歯ブラシ20は、識別体24を弾性材により形成したことにより、親指F1や人差し指F2の指先にフィット感を与え、さらにグリップ特性の向上が図られるようにする。
なお、歯ブラシ20は、上述したように識別体24を複数の色調からなる丸栓状に形成するようにしたが、かかる形状に限定されるものでは無い。識別体24は、例えば貫通孔23や指先掛合部17に嵌め合わす栓部と、この栓部の先端部に一体に形成されグリップ部21の主面に突出するキャラクタや模様形状等からなる表示部とから構成してもよい。歯ブラシ20は、かかる識別体24を用いることにより、幼児、子供向け或いはアメニティグッツとしてさらに好適となる。
歯ブラシ20は、未使用時や保管或いは輸送時等において、例えば図7に示す半透明な塩化ビニール樹脂等で成形したベロ付きソフトケース25内に収納される。歯ブラシ20は、上述したようにグリップ部21がブラシ面5Aと直交する方向を長軸辺とした断面形状を有することにより、毛束5とグリップ部21とが同一向きとなるとともにブラシ面5Aが頂点部21Aで保護された状態でソフトケース25内に収納されることで毛先の変形が防止される。なお、上述した各歯ブラシ1、10、15も同様の形態でソフトケース内に収納されて毛先が保護される。
1 歯ブラシ、2 グリップ部、3 ネック部、4 ヘッド部、5 毛束、10 歯ブラシ、11 グリップ部、12 凹部、13 凸部、15 歯ブラシ、16 グリップ部、17 指先掛合部、18 座ぐり、20 歯ブラシ、21 グリップ部、22 逃がし側面、23 貫通孔、24 識別体、25 ソフトケース