JP3108680B2 - 光磁気記録再生装置及び光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録再生装置及び光磁気記録媒体

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JP3108680B2
JP3108680B2 JP10181728A JP18172898A JP3108680B2 JP 3108680 B2 JP3108680 B2 JP 3108680B2 JP 10181728 A JP10181728 A JP 10181728A JP 18172898 A JP18172898 A JP 18172898A JP 3108680 B2 JP3108680 B2 JP 3108680B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光磁気記録装置に
適用される光磁気ディスク、光磁気テープ、光磁気カー
ド等の光磁気記録媒体とその記録方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】光磁気ディスクを含め、光メモリ素子の
記録密度は、記録、再生に使用される光ビームの記録媒
体上での大きさに依存する。最近、光ビームの大きさよ
り小さい記録ビットを再生する方法(後述する)が提案
されている。
【0003】通常、光記録において、光ビームは、集光
レンズにより回折限界まで絞りこまれているため、その
光強度分布がガウス分布になり、記録媒体上の温度分布
もほぼガウス分布になる。このため、ある温度以上の温
度を有する領域は、光ビームより小さくなっている。そ
こで、ある温度以上の領域のみを再生に関与させること
ができれば、記録密度は著しく向上することになる。
【0004】ここで、図21を参照しながら、上述の光
ビームの大きさより小さい記録ビットを再生できる光磁
気ディスクを以下に説明する。
【0005】この光磁気ディスクは、主として、読み出
し層33と記録層34とを備えている。記録層34は、
室温で高保磁力を有している。又、読み出し層33は室
温での保磁力は小さい。読み出し層33の再生部位の温
度が上昇すると記録層34の影響を受けて、磁化の向き
が記録層34の磁化の向きと一致する。即ち、読み出し
層33及び記録層34の2層間の交換結合力によって、
記録層34の磁化が読み出し層33に転写されるように
なっている。
【0006】上記構成によれば、記録は、通常の光熱磁
気記録方法で行われる。記録されたビットを再生するに
は、予め補助磁界発生装置36によって補助磁界を読み
出し層33に印加し、この読み出し層33の磁化の向き
が所定の向きに揃う(図中、上向き)ように初期化する
必要がある。次に、再生ビームを照射し、局部温度上昇
させて記録層34の磁化情報を読み出し層33に転写す
る。こうすると、再生ビームの照射された部位の中心部
の温度が上昇した部位のみの情報が再生できる。従っ
て、光ビームより小さな記録ビットでも読み出せる。
【0007】ここで、基板上に磁性体からなる垂直磁化
膜が形成された光磁気記録媒体に対して行われる従来の
記録再生方法について以下に詳述する。
【0008】情報を光磁気記録媒体に記録する際には、
先ず、光磁気記録媒体を強力な外部印加磁界等によって
初期化し、磁化の向きを揃えておく(例えば上向き、或
いは下向きのうちの何れかの向き)。その後、記録した
い部位に光ビームを照射して、照射部位の温度をキュリ
ー温度近傍以上、もしくは補償温度近傍以上に加熱し、
該照射部位の保磁力HCをゼロ又は略ゼロとした上で、
初期化の磁化の向きとは逆向きの外部磁界(バイアス磁
界)を印加して磁化の向きを反転させる。光ビームの照
射を停止すると、上記照射部位の温度は常温に戻るの
で、反転した磁化の向きは固定され、熱磁気的に情報が
記録される。
【0009】一方、記録された情報を再生する際には、
直線偏光した光ビームを光磁気記録媒体に照射して、そ
の反射光や透過光の偏光面の回転が磁化の向きによって
異なる磁気光学効果を利用して光学的に読み出しが行わ
れる。
【0010】以上のように、光磁気記録媒体の記録方法
は、書換可能な大容量記憶素子として注目されている
が、光磁気記録媒体を再使用(書き換え)するために
は、下記の方策を講じる必要がある。
【0011】(a)何らかの方法で光磁気記録媒体を初
期化する。
【0012】(b)光磁気記録媒体もしくは外部印加磁
界(バイアス磁界)発生装置を工夫して重ね書き(消去
動作をせずに行う書き換え)を可能にする。
【0013】しかし、上記(a)では、初期化装置が必
要となったり、ヘッドが2個必要となったりし、全体的
なコスト高を招来するか、或いは1個のヘッドを用いて
消去する場合は消去のために記録時と同じ時間が別途必
要とされる。また、上記(b)の外部印加磁界発生装置
を工夫する方法では、磁気記録の場合と同じように、ヘ
ッドクラッシュが問題となる。そのため、光磁気記録媒
体に工夫をする方法が最も有用となる。
【0014】光磁気記録媒体に工夫を凝らす方法として
は、記録層を交換結合2層膜とすることで、重ね書きが
可能となることが赤坂らにより既に報告されている(例
えば、Japan Journal Applied
Physics,Vol.28(1989),Supp
l.28−3,pp.367−370参照)。
【0015】ここで、重ね書きの手順について簡単に説
明する。初期化においては、図22に示す向きに初期化
磁界Hiniを印加することによって記録層34の磁化の
向きを揃える(例えば、下向き)。なお、初期化は常時
行われるか、或いは記録時のみに行われる。このとき、
図18に示すように、読み出し層33の保磁力H1は初
期化磁界Hiniよりも大きいので、読み出し層33の磁
化の反転は生じない。情報の記録は、光磁気記録媒体に
対して、記録磁界HWを印加しながら、高・低2レベル
に強度変調された光ビームを照射することによって行わ
れる。すなわち、図17中にIで示す高レベルの光ビー
ムが照射されると、読み出し層33および記録層34は
共にキュリー温度T1、T2付近又はそれ以上となる温度
Hまで昇温するようになっている。一方、図17中に
IIで示す低レベルの光ビームが照射されると、読み出
し層33のみがキュリー温度T1付近又はそれ以上とな
る温度TLまで昇温するようになっている。
【0016】したがって、光ビームIが照射されると、
記録層34の磁化は、記録磁界HWにより、上向き(図
22図参照)に反転し、読み出し層33の磁化の向きは
冷却の過程で界面に作用する交換結合力により記録層3
4の対応部位の磁化の向きと一致する。これにより、読
み出し層33の向きは上向きになる。
【0017】一方、光ビームIIが照射されると、記録
層34の磁化は記録磁界HWの影響で反転することはな
く(図18参照)、この場合、読み出し層33の向き
は、冷却の過程で記録層34の磁化の向きと一致するこ
とになる。したがって、読み出し層33の磁化の向き
は、下向きとなる(図22参照)。なお、図18に示す
ように、記録磁界HWは初期化磁界Hiniより十分小さく
なるように設定されている。又、図17中IIIで示す
ように、再生時の光ビームの強度は、記録時よりも十分
小さく設定されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の構
成では、再生動作に先立って、補助磁界発生装置36に
より補助磁界を印加しなければならない。また、再生時
に、記録層34から読み出し層33に転写された記録ビ
ットは、その部位の温度が下がっても、そのまま残って
しまう。このため、次の記録ビットを再生するために光
ビームを移動させると、前の記録ビットは依然として光
ビームの中に存在するので、この残存ビットも再生され
てしまい、これが雑音の原因となり、記録密度を向上さ
せる際の制限事項になる。
【0019】また、上記従来の光磁気記録媒体の記録方
法では、重ね書き時に非常に大きな外部印加磁界が必要
であり、読み出し層にキュリー温度の低い材料を使用し
ているので、光磁気光学効果が小さくなり、読み出され
る信号レベルが低くなるという問題点を有している。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の光磁気記録再生
装置は、情報を光磁気記録する記録層と、室温で面内磁
化で第1温度以上で前記記録層の磁化の方向に応じた垂
直磁化となる読み出し層と、を備えた光磁気記録媒体に
情報を記録再生する光磁気記録再生装置であって、再生
時に、前記光磁気記録媒体を第1温度以上に加熱する強
度の光ビームを照射する第1照射手段と、記録時に、前
記光磁気記録媒体に記録磁界を印加する手段と、前記記
録磁界が印加された状態で、前記第1照射手段よりも高
い強度の2種類の光ビームを前記光磁気記録媒体に照射
することで、前記読み出し層の磁化を利用して前記記録
層に情報を記録する第2照射手段と、を備えたものであ
る。
【0021】本発明の光磁気記録媒体は、垂直磁化によ
り情報を光磁気記録する記録層と、再生時に、前記記録
層における目標記録ビットに隣接する隣接記録ビットを
面内磁化によりマスクするとともに、目標記録ビット位
置において前記記録層と交換結合する磁性層と、を有し
てなるものである。
【0022】以下、本発明の作用を説明する。
【0023】本発明の光磁気記録再生装置によれば、記
録磁界を印加しながら、再生時に照射される光ビームよ
りも強度の高い、高・低2レベルに強度変調された光ビ
ームを照射することによって、読み出し層の磁化を利用
して記録層の所望部位に対する情報の記録、重ね書きの
各動作が行われる。
【0024】また、再生時は、光ビームの照射により照
射部位が温度上昇する。この温度上昇に伴って、第1温
度以上に加熱された部位は、面内磁化から垂直磁化に移
行する。温度上昇部位が面内磁化から垂直磁化に移行す
ると、温度上昇部位のみが磁気光学効果を示すようにな
り、該部位からの反射光に基づいて記録層に記録された
情報が再生される。
【0025】そして、光ビームが移動して次の記録ビッ
トを再生する時は、先の再生部位の温度は低下し、垂直
磁化から面内磁化に移行する。これに伴って、この温度
の低下した部位は磁気光学効果を示さなくなり、記録層
に記録された磁化は読み出し層の面内磁化にマスクされ
て読み出されることがなくなる。これにより、雑音の原
因である隣接ビットからの信号が混入することがなくな
る。なお、読み出し層としてGdCoを使用すると、保
磁力が小さいので、記録時の記録磁界に対する外乱要因
を小さくできる。
【0026】また、本発明の光磁気記録媒体は、再生時
に、記録層における目標の記録ビットに隣接する隣接ビ
ットを面内磁化によりマスクする。よって、再生時に隣
接ビットからの信号が混入するのを防止できる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態について図
1、及び図3乃至図7に基づいて説明すれば、以下のと
おりである。なお、以下の実施の形態における再生光ビ
ームを照射する手段が請求項における第1照射手段を構
成し、光ビームI,光ビームIIを照射する手段が請求
項における第2照射手段を構成する。また、読み出し層
が面内磁化から垂直磁化に移行する温度が請求項におけ
る第1温度である。
【0028】本実施の形態に係る光磁気記録媒体である
光磁気ディスクは、図1に示すように、基板1、透明誘
電体膜2、読み出し層3、記録層4、透明誘電体膜5、
オーバーコート膜9がこの順に積層された構成を有して
いる。
【0029】上記読み出し層3として使用される希土類
遷移金属の磁気状態図は図3に示すようになり、光磁気
ディスクが垂直磁化を示す範囲Aが非常に狭い。これ
は、希土類金属と遷移金属の磁気モーメントがつりあう
補償組成(図中Pで示す)の近辺でしか垂直磁化が現れ
ないからである。
【0030】ところで、希土類金属と遷移金属の磁気モ
ーメントは、それぞれ温度特性が異なり、高温では遷移
金属の磁気モーメントが希土類金属に比べて大きくな
る。このため、室温の補償組成より希土類金属の含有量
を多くしておき、室温では垂直磁化を示さずに面内磁化
を示すようにしておく。そして、光ビームが照射された
部位の温度が上昇すると、遷移金属の磁気モーメントが
相対的に大きくなって、希土類金属の磁気モーメントと
つりあうようになり、全体として垂直磁化を示すように
なる。このような特性を備えた希土類遷移金属を読み出
し層に使用することで、本実施の形態は、光磁気ディス
クの記録密度を高くしている。
【0031】図4乃至図7は、読み出し層3に印加され
る外部印加磁界Hexと磁気カー回転角θKとの関係(ヒ
ステリシス特性)を示し、それぞれ、室温から温度T1
の磁気特性、温度T1から温度T2の磁気特性、温度T2
から温度T3の磁気特性および温度T3からキュリー温度
Cの磁気特性を示している。
【0032】温度T1から温度T3までの範囲では立ち上
がりの急峻なヒステリシス特性を示すが、室温から温度
1および温度T3からキュリー温度TCの範囲ではヒス
テリシス特性を示さないことがわかる。
【0033】なお、本実施の形態では、読み出し層3と
して、例えばGd0.28(Fe0.8Co0.20.72を使用し
ており、膜厚は50nmである。また、そのキュリー温
度は300℃から400℃程度である。上記した理由で
希土類金属の含有量を室温の補償組成より多くしてお
き、100℃前後(好ましくは70℃前後)で補償組成
になる(面内磁化から垂直磁化に移行する)ようにして
いる。
【0034】上記記録層4として、例えばDy0.23(F
0.82Co0.180.77を使用しており、膜厚は20nm
である。また、そのキュリー温度は150℃から250
℃に設定している。
【0035】上記透明誘電体膜2(第1透明誘電体膜)
は、例えばAlN、SiNやAlSiN等の誘電体膜か
らなり、その膜厚は再生光の波長の1/4を屈折率で除
した値程度に設定される。例えば、再生光の波長を80
0nmとすると透明誘電体膜2の膜厚は10nm〜80
nm程度となる。また透明誘電体膜5(第2透明誘電体
膜)は窒化物からなる保護膜であり膜厚は50nmであ
る。
【0036】上記の構成によれば、再生動作時に、基板
1の側から集光レンズ8を介して再生光ビーム7(垂直
入射光)が読み出し層3に照射される。この時、例えば
図1に示す磁化の向きに記録層4が記録されているとす
ると、再生光ビーム7の中心部付近に対応する、読み出
し層3の部位の温度のみが上昇し、70℃前後に達す
る。
【0037】これは、再生光ビーム7が、集光レンズに
より回折限界まで絞りこまれているため、その光強度分
布がガウス分布になり、光磁気ディスク上の再生部位の
温度分布もほぼガウス分布になるからである。このた
め、70℃以上の温度を有する領域は、光ビームより小
さくなっている。本実施の形態では、この70℃以上の
温度を有する領域のみを再生に関与させるので、光ビー
ムの径より小さい記録ビットの再生が行え、記録密度は
著しく向上することになる。
【0038】このように70℃以上の温度を有する領域
の磁化は、面内磁化から垂直磁化に移行する。つまり、
読み出し層3及び記録層4の2層間の交換結合力によ
り、記録層4の磁化の向きが読み出し層3に転写され
る。
【0039】なお、再生光ビーム7の中心部近辺に対応
する以外の読み出し層3の部位では、温度上昇が生じ
ず、従って面内磁化の状態が保持される。この結果、垂
直入射光に対して磁気光学効果を示さない。
【0040】このようにして、温度上昇部位が面内磁化
から垂直磁化に移行すると、再生光ビーム7の中心付近
のみが磁気光学カー効果を示すようになり、該部位から
の反射光に基づいて記録層4に記録された情報が再生さ
れる。
【0041】そして、再生光ビーム7が移動して次の記
録ビットを再生する時は、先の再生部位の温度は低下
し、垂直磁化から面内磁化に移行する。これに伴って、
この温度の低下した部位は磁気光学カー効果を示さなく
なる。したがって、該温度の低下した部位からは情報が
再生されなくなり、雑音の原因である隣接ビットからの
信号が混入することがなくなる。
【0042】この光磁気ディスクを使用して、情報の記
録再生を行えば、再生光ビームの中心付近のみが光磁気
光学効果を示すので、所定の再生信号量さえ確保できれ
ば、光ビームの径より小さい記録ビットの再生が行え、
記録密度を著しく高めることが可能である。
【0043】つまり、本実施の形態の構成によれば、再
生光ビーム7が照射されている部位の温度が70℃前後
まで上昇すると、面内磁化から垂直磁化に移行する一
方、周辺の部位を含むその他の部位は上記温度まで上昇
しないので、面内磁化の状態が保持される。従って、光
ビームの径より小さい記録ビットの再生が確実に行える
と共に、上記温度に達していない部位からは情報が再生
されなくなり、雑音の原因である隣接ビットからの信号
の混入を回避できる。
【0044】なお、読み出し層3は、上記のGd
0.28(Fe0.8Co0.20.72に限定されるものではな
い。読み出し層3としては、室温以上に補償温度を有
し、該補償温度付近で垂直磁化を示すものが良く、上記
したように、希土類遷移金属合金が好適である。所定の
組成範囲の希土類遷移金属アモルファス合金は、希土類
の磁化と遷移金属の磁化がつりあう補償温度を有する。
【0045】例えば、Gd0.25(Fe0.82Co0.18
0.75は、図11に示すような保磁力HCの温度依存性を
有しており、保磁力HCが無限大となる温度が補償温度
compであり、保磁力HCが0となり磁化が消失する温
度がキュリー温度TCである。図11の場合、補償温度
compは約100℃であり、キュリー温度TCは約31
0℃である。ここで、Gdx(FeyCo1-y1-x合金に
おいて、キュリー温度TCと補償温度Tcompの組成依存
性について図12乃至図14を参照しながら以下に説明
する。
【0046】GdxFe1-xは、図12に示すようなキュ
リー温度TCの組成依存性と、補償温度Tcompの組成依
存性とを有しており、図12より明らかなように、0.
24<x<0.35の範囲で室温以上に補償温度を有す
る。また、GdxCo1-xは、図13に示すようなキュリ
ー温度TCの組成依存性と、補償温度Tcompの組成
依存性とを有しており、図13より明らかなように、
0.20<x<0.35の範囲で室温以上に補償温度を
有する。更に、Gdx(Fe0.78Co0.181-xは、図1
4に示すようなキュリー温度TCの組成依存性と、補償
温度Tcompの組成依存性とを有しており、図14より明
らかなように、0.22<x<0.35の範囲で室温以
上に補償温度を有する。上記合金は、補償温度付近で
は、垂直磁化を示す。
【0047】そこで、Gdx(FeyCo1-y1-x合金を
読み出し層3として使用する場合、Gdの組成比xが
0.20<x<0.35(この時、Feの組成比yは任
意)を満足すると、読み出し層3としての条件を満足す
る材料となる。同様に、Tbx(FeyCo1-y1-xは、
Tbの組成比xが0.20<x<0.30(この時、F
eの組成比yは任意)を満足すると、読み出し層3とし
ての条件を満足する材料となる。又、Dyx(FeyCo
1-y1-xは、Dyの組成比xが0.24<x<0.33
(この時、Feの組成比yは任意)を満足すると、読み
出し層3としての条件を満足する材料となる。更に、M
x(FeyCo1-y1-xは、Moの組成比xが0.25
<x<0.45(この時、Feの組成比yは任意)を満
足すると、読み出し層3としての条件を満足する材料と
なる。又、これらの材料を主体として微量の元素(N
d、Pr、Pt、Pd、Ni、Mn、Cr、Beのうち
の少なくとも1種類)が添加された組成のものでも、上
記の条件を満たす材料となる。
【0048】又、読み出し層3として、上記以外に、例
えば、Gd0.25Co0.75を使用することが好ましい。こ
の場合、上記実施の形態の効果に加えて、Gd0.25Co
0.75がGd0.28(Fe0.8Co0.20.72と比較して保磁
力が小さいので、記録時の外部印加磁界に対する外乱要
因を小さくできる。
【0049】ここで、上記実施の形態の構成に加えて、
反射膜が設けられた例について、図2を参照しながら以
下に説明する。
【0050】本実施の形態に係る光磁気記録媒体である
光磁気ディスクは、図2に示すように、基板11、透明
誘電体膜12、読み出し層13、記録層14、透明誘電
体膜15、反射膜16(反射部材)およびオーバーコー
ト膜19がこの順に積層された構成を有している。
【0051】なお、本実施の形態では磁気光学効果をエ
ンハンスするための反射膜16(Al等からなる)が設
けられている以外は、基板11、透明誘電体膜12、読
み出し層13、記録層14、透明誘電体膜15及びオー
バーコート膜19が、前記実施の形態の基板1、透明誘
電体膜2、読み出し層3、記録層4、透明誘電体膜5及
びオーバーコート膜9のそれぞれの構成及び諸特性と同
じであるので、詳細な説明をここでは省略する。ただ
し、膜厚は透明誘電体膜12が80nm、読み出し層1
3及び記録層14がそれぞれ15nm、透明誘電体膜1
5が30nm、反射膜16が50nmである。
【0052】上記の構成によれば、基板11の側から集
光レンズを介して再生光ビーム(何れも図示しない)が
読み出し層13に照射される。この時、入射された再生
光ビームのうち、記録層14および透明誘電体膜15を
透過した光ビームは、反射膜16で反射されるようにな
っている。
【0053】この時、記録層14が所定の磁化の向き
(例えば図1と同じ磁化の向き)に記録されているとす
ると、再生光ビームの中心部付近に対応する読み出し層
13の部位のみの温度が上昇し、70℃前後になる。こ
れは、再生光ビームの照射された部位の温度分布がガウ
ス分布であるからである。
【0054】このように70℃以上の温度を有する領域
では、保磁力が減少し、やがて零近くになり、該部位の
磁化は、面内磁化から垂直磁化に移行する。そして、読
み出し層13及び記録層14の2層間の交換結合力によ
り、記録層14の磁化の向きが読み出し層13に転写さ
れる。磁気光学カー効果により、該部位からの反射光に
基づいて記録層14に記録された情報が再生される。
【0055】なお、本実施の形態の場合、前記実施の形
態の構成に伴う効果に加えて、反射膜16により、磁気
光学効果がエンハンスされて磁気カー回転角が大きく取
れるので、高精度に情報の再生が行え、再生信号の品質
が向上する。
【0056】ところで、再生光ビームの中心部付近に対
応する以外の読み出し層13の部位では、温度上昇が生
じず、従って面内磁化の状態が保持される。この結果、
垂直入射光に対して磁気光学効果を示さない。
【0057】なお、上記読み出し層3は、上記Gd0.28
(Fe0.8Co0.20.72やGd0.25Co0.75に限定され
るものではなく、室温付近での磁気特性が完全な面内磁
化ではなく、磁化がほぼ面内方向を向いているものであ
ればよい。例えば、Dy0.3(Fe0.7Co0.30.7のよ
うな保磁力を比較的大きくできる材料が好ましい。この
時、Dyの代わりにTbが含有されるものでもよい。こ
の場合、ヒステリシス特性は、図8乃至図10に示すよ
うになる。
【0058】つまり、図8乃至図10は、読み出し層の
外部印加磁界Hexと磁気カー回転角θKとの関係(ヒス
テリシス特性)を示しており、それぞれ、室温から温度
1の磁気特性、温度T1から温度T2の磁気特性、温度
2からキュリー温度TCの磁気特性を示している。
【0059】このように、Dy0.3(Fe0.7Co0.3
0.7のような保磁力を比較的大きくできる材料を使用し
た場合、室温からキュリー温度TCの全範囲でヒステリ
シス特性を示し、特に温度T1からキュリー温度TCの範
囲では立ち上がりの急峻なヒステリシス特性を示すよう
になる。なお、上記温度T1、T2、T3およびTCは、前
述の図3で示した記号と同じ温度を示す。
【0060】又、上記実施の形態では、光磁気記録媒体
として光磁気ディスクについて説明したが、本発明はこ
れに限定されるものではなく、光磁気テープ、光磁気カ
ード等にも適用できる。
【0061】ここで、本実施の形態に係る光磁気記録媒
体の記録方法について説明すると、以下のとおりであ
る。
【0062】本実施の形態に係る光磁気記録媒体の記録
方法では、前述の図1で示した構成を有する光磁気記録
媒体を使用しており、前述の光磁気記録媒体とは読み出
し層3、記録層4の組成比、及び膜厚がそれぞれ異なっ
ている。
【0063】つまり、本実施の形態においては、読み出
し層3として、Gd0.24Fe0.62Co0.14が使用されて
おり、その膜厚は40nmである。また、そのキュリー
温度は250℃〜400℃である。室温では、前記した
理由により、希土類金属の含有量を多くしておき、15
0℃以上(好ましくは200℃〜300℃)で補償組成
になるようにしている。
【0064】上記記録層4としては、Dy0.23Fe0.63
Co0.14を使用しており、その膜厚は60nmである。
また、この記録層4のキュリー温度は150℃〜250
℃に設定されている。
【0065】上記構成の光磁気記録媒体に対して、低レ
ベルに強度変調された光ビーム(以下、簡単のために、
低レベルの光ビームと称す)、或いは高レベルに強度変
調された(以下、簡単のために、高レベルの光ビームと
称す)光ビームを照射した場合の記録動作、及び再生動
作について、図16及び図17を参照しながら以下に詳
細に説明する。なお、図16は、上記光磁気記録媒体に
おける読み出し層3、記録層4の垂直方向の保磁力の温
度依存性、及び記録磁界HWを示している。
【0066】記録磁界HWを印加しながら、高・低2レ
ベルに強度変調された光ビームを照射することによっ
て、記録動作が行われる。すなわち、図17中にIで示
す高レベルの光ビーム(以下、単に光ビームIと称す)
が照射されると、読み出し層3および記録層4が共にキ
ュリー温度T1、T2付近、又はそれ以上となる温度TH
まで昇温する(このとき、読み出し層3の保磁力が記録
層4の保磁力よりも大きい付近まで昇温する)ようにな
っている。一方、図17中にIIで示す低レベルの光ビ
ーム(以下、単に光ビームIIと称す)が照射される
と、記録層4のみがキュリー温度T2以上となる温度TL
まで昇温する(面内磁化から垂直磁化に移行する温度以
上、且つ補償温度以下の範囲で昇温する)ようになって
いる。
【0067】光ビームII(第2光ビーム)が照射され
ると、読み出し層3の照射部位の保磁力H1は十分小さ
いので、該照射部位の磁化の向きは記録磁界HWの向き
に従い、冷却の過程で2層間に作用する交換結合力によ
って記録層4に転写される(すなわち、図1中上向きに
なる)。これにより、記録層4の所望の部位に情報を記
録できる。
【0068】一方、光ビームI(第1光ビーム)が照射
されると、読み出し層3の照射部位は温度上昇し、その
補償温度に達するに伴って、上向きだった該照射部位の
磁化は略ゼロになる。そして、光ビームIが照射され続
けて、やがて補償温度を越えると、該照射部位の磁化は
ゼロから徐々に下向きに大きくなる。つまり、光ビーム
Iを照射することによって、読み出し層3の磁化の向き
は、光ビームIIを照射しながら記録磁界HWにより記
録された場合とは逆向き(すなわち、下向き)になる。
【0069】そして、光ビームIの照射が停止される
と、読み出し層3は、その冷却過程で、光ビームIIが
照射された場合に相当する温度まで下がる。しかし、こ
のとき、読み出し層3と記録層4の冷却過程における温
度変化が異なる(記録層4の方が読み出し層3よりも速
く冷却される)ので、先ず記録層4のみ低レベルの光ビ
ームが照射された温度TLとなり、読み出し層3の磁化
の向き(下向き)が記録層4に転写される(図1中の下
向きになる)。
【0070】その後、読み出し層3は、光ビームIIが
照射された場合に相当する温度まで下がり、記録磁界H
Wの向きにしたがって上向きになる(図1参照)。この
とき、記録層4の照射部位の磁化の向きは、その保磁力
2が記録磁界HWより十分大きいので、記録磁界HW
向きには従わない(下向きの状態を保持する)。これに
より、照射部位の情報の消去動作が完了する。
【0071】なお、消去部位に新たに別の情報を記録す
る(重ね書きする)場合、前述のように、記録磁界HW
を印加しながら、再度、光ビームIIを照射すればよ
い。
【0072】上記のようにして記録された情報は、以下
のようにして再生される。つまり、再生動作時の再生光
ビーム(図17中のIIIで示す強度)が照射される
と、読み出し層3の温度は上昇して70℃前後に達する
(図16中のTR)。つまり、読み出し層3が面内磁化
から垂直磁化に移行する温度となるので、記録層4、及
び読み出し層3の両層とも垂直磁気異方性を示すように
なる。このとき、記録磁界HWは印加されないか、或い
は印加されても記録層4の保磁力H2よりも十分小さい
ので、再生動作時には読み出し層3の磁化の向きは界面
に作用する交換結合力によって記録層4の対応する部位
の磁化の向きと一致するようになる。そして、読み出し
層3からの反射光の偏光面の回転を検出することによっ
て、情報の再生動作が完了する。
【0073】以上のように、本実施の形態の光磁気記録
媒体の記録方法によれば、重ね書き時に初期化磁界H
iniを印加する必要がなくなる。又、読み出し層3にキ
ュリー温度の高い材料を使用しているので磁気カー回転
角が大きくとれ、読み出される信号レベルが大きくなる
ので、信頼性が著しく向上する。更に、再生動作時の読
み出し層3は再生光ビーム中心部付近に対応する部位の
温度のみが上昇するので、読み出し層3の面内磁化から
垂直磁化に移行する温度となる部位は、光ビームの径よ
りも小さくなり、したがって光ビームの径よりも小さい
記録ビットの再生が行え、記録密度が著しく向上する。
【0074】なお、読み出し層3において、再生光ビー
ムの中心部付近に対応する部位以外は、温度上昇が生じ
ず、したがって面内磁化の状態が保持されることにな
る。この結果、垂直入射光に対して磁気光学効果を示さ
なくなる。
【0075】このようにして、温度上昇部位が面内磁化
から垂直磁化に移行すると、再生光ビームの中心付近の
みが磁気光学効果を示すようになり、該部位からの反射
光に基づいて記録層4に記録された情報が再生される。
そして、再生光ビームが移動して次の記録ビットを再生
するときには、先の再生部位の温度が低下し、垂直磁化
から面内磁化に移行する。これに伴って、この温度の低
下した部位は磁気光学効果を示さなくなり、雑音の原因
である隣接ビットからの信号が混入することがなくな
る。
【0076】読み出し層3は、上記Gd0.24Fe0.62
0.14に限定されるものではなく、例えばGd0.25Fe
0.75を使用することが好ましい。又、室温付近での磁気
特性が完全な面内磁化ではなく、Dy0.30Fe0.49Co
0.21のような保磁力を比較的大きくできる材料を使用す
ることが好ましい。記録層4もDy0.23Fe0.63Co
0.14に限定されるものではなく、垂直磁化を示す光磁気
材料が好ましい。
【0077】ところで、上記記録方法は、放熱層が設け
られた光磁気記録媒体に対しても適用できる。つまり、
この光磁気記録媒体は、図15に示すように、基板2
1、透明誘電体膜22、読み出し層23、記録層24、
放熱層25(放熱部材)、及びオーバーコート膜29が
この順に積層された構成である。
【0078】上記の放熱層25は膜厚100nmのAl
からなり、冷却時における読み出し層23と記録層24
の温度変化に明確な差を付与するために設けられてい
る。なお、基板21、透明誘電体膜22、読み出し層2
3、記録層24、及びオーバーコート膜29のそれぞれ
の構成、膜厚、及び諸特性は図1で説明した基板1、透
明誘電体膜2、読み出し層3、記録層4、及びオーバー
コート膜9と同じであるので、ここでは詳細な説明を省
略する。
【0079】上記構成の光磁気記録媒体を使用すれば、
特に高レベルの光ビームが照射された時の読み出し層2
3と記録層24との冷却過程における温度変化に明確な
差を付与することができる。つまり、記録層24が放熱
層25上に設けられているので、記録層24の方が読み
出し層23よりも速く冷却されることになる。これによ
り、放熱層25が設けられていない光磁気記録媒体を使
用して行う記録方法よりも、遙かに容易に重ね書きを行
うことができる。
【0080】なお、放熱層25の材料は上記Alに限定
されるものではなく、Ag、Cu等からなるものでもよ
く、読み出し層23および記録層24の双方よりも熱伝
導率が大きい材料が好ましい。
【0081】ここで、読み出し層と記録層との冷却過程
における温度変化に大きな差を付与することによって、
容易に重ね書きを行う他の例について説明する。なお、
ここで使用される光磁気記録媒体は、図2に示すよう
に、反射膜16が設けられた構成である。
【0082】上記構成の光磁気記録媒体を使用すれば、
特に高レベルの光ビームが照射された時の読み出し層1
3と記録層14との冷却過程における温度変化に大きな
差を付与することができる。つまり、入射された光ビー
ムのうち、記録層14および透明誘電体膜15を透過し
た光ビームは、反射膜16によって反射される。このと
き、反射膜16は、その熱伝導によって急速に記録層1
4の熱を逃がすと共に、磁気光学効果をエンハンスす
る。したがって、記録層14の方が読み出し層13より
も速く冷却されることになる。これにより、反射膜16
が設けられていない光磁気記録媒体を使用して行う記録
方法よりも、遙かに容易に重ね書きを行うことができる
と共に、高精度に情報の再生が行える。
【0083】なお、反射膜16は、Alに限定されるも
のではなく、Ni、Cr、Ag、Au、Pt等の光ビー
ム波長での反射率が50%以上の材料が好ましい。
【0084】ここで、前述の光磁気記録媒体を使用して
行う他の記録方法について、図19を参照しながら以下
に詳細に説明する。
【0085】ここで使用される光磁気記録媒体は、図
1、図2、又は図15に示したものである。記録動作
は、記録磁界HWを印加しながら、図19に示すような
強度変調された2種類の光ビームI(読み出し層の保磁
力が記録層の保磁力よりも大きい付近まで昇温するパワ
ーを有する)、II(読み出し層が面内磁化から垂直磁
化に移行する温度以上、且つ補償温度以下の範囲で昇温
する)を照射することにより行われる。
【0086】すなわち、図19中Iで示す光ビームが照
射されると、読み出し層3(13・23)及び記録層4
(14・24)が共にキュリー温度T1、T2付近または
それ以上となる温度THまで昇温(図16参照)するよ
うになっている。一方、図19中IIで示す光ビームが
照射されると、記録層4(14・24)のみがキュリー
温度T2以上となる温度TLまで昇温するようになってい
る。
【0087】なお、上記光ビームIは、図19に示すよ
うに、第1パルス部(図19のIで示すパルスのうち最
初のパルスに対応する)と第2パルス部(図19のIで
示すパルスのうち2つめのパルスに対応する)とからな
り、第2パルス部は、第1パルス部に対して所定の時間
だけ遅れて照射されるようになっている。
【0088】光ビームIIが照射されると、読み出し層
3(13・23)の照射部位の保磁力H1は十分小さい
(図16参照)ので、該照射部位の磁化の向きは記録磁
界HWの向きに従い、その冷却過程で2層間に作用する
交換結合力により記録層4(14・24)に転写される
(上記照射部位に対応する記録層4(14・24)の部
位の磁化の向きは、例えば、図1中上向きになる)。こ
れにより、情報を記録層4(14・24)の所望の部位
に記録できる。
【0089】光ビームIの第1パルス部が照射される
と、読み出し層3(13・23)の照射部位は温度上昇
し、その補償温度に達するに伴って、上向きだった該照
射部位の磁化は略ゼロになる。そして、光ビームIが照
射され続けて、やがて補償温度を越えると、該照射部位
の磁化はゼロから徐々に下向きに大きくなる。つまり、
光ビームIを照射することによって、読み出し層3(1
3・23)の磁化の向きは、光ビームIIを照射しなが
ら記録磁界HWにより記録された場合とは逆向き(すな
わち、下向き)になる。
【0090】そして、第1パルス部の照射が停止される
と、読み出し層3(13・23)は、その冷却過程で、
光ビームIIが照射された場合に相当する温度まで下が
る。しかし、このとき、読み出し層3(13・23)に
は、光ビームIの第2パルス部(高レベル以下の強度)
が照射されるので、記録層4(14・24)のみが光ビ
ームIIを照射した場合に相当する温度TLになり、読
み出し層3(13・23)の磁化の向きが記録層4(1
4・24)に転写される(例えば、図1中の下向きにな
る)。
【0091】その後、読み出し層3(13・23)が光
ビームIIを照射した場合に相当する温度まで下がり、
記録磁界HWの向きに従う(例えば、図1に示すように
上向きになる)。このとき、記録層4(14・24)の
磁化の向きは、その保磁力H2が記録磁界HWより十分
大きいので、記録磁界HWの向きに従わない。これによ
り、照射部位の情報の消去動作が完了する。
【0092】なお、消去部位に新たに別の情報を記録す
る(重ね書きする)場合、前述のように、記録磁界HW
を印加しながら、再度、光ビームIIを照射すればよ
い。
【0093】以上のように本記録方法によれば、特に高
レベルの光ビームが照射された時の読み出し層3(13
・23)と記録層4(14・24)の冷却過程における
温度変化が大きく異なるようにできる(記録層4(14
・24)の方がより速く冷却される)ため、遙かに容易
に重ね書きが行える。
【0094】ここで、上記の光磁気記録媒体を使用して
行う更に他の記録方法について、図20を参照しながら
以下に説明する。
【0095】ここで使用される光磁気記録媒体も、図
1、図2、又は図15に示したものである。記録動作
は、記録磁界HWを印加しながら、図20に示すような
強度変調された2種類の光ビームI(読み出し層の保磁
力が記録層の保磁力よりも大きい付近まで昇温するパワ
ーを有する)、II(読み出し層が面内磁化から垂直磁
化に移行する温度以上、且つ補償温度以下の範囲で昇温
する)を照射することにより行われる。
【0096】すなわち、図20中Iで示す光ビームが照
射されると、読み出し層3(13・23)及び記録層4
(14・24)が共にキュリー温度T1、T2付近または
それ以上となる温度THまで昇温(図16参照)するよ
うになっている。一方、図20中IIで示す光ビームが
照射されると、記録層4(14・24)のみがキュリー
温度T2以上となる温度TLまで昇温するようになってい
る。
【0097】なお、上記光ビームIは、図19に示すよ
うに、第1パルス部(図19のIで示すパルスのうち最
初のパルスに対応する)と第2パルス部(図19のIで
示すパルスで上記第1パルス部に後続する部分に対応す
る)とからなり、例えば第2パルス部は、第1パルス部
より光強度が小さくなっている。
【0098】光ビームIIが照射されると、読み出し層
3(13・23)の照射部位の保磁力H1は十分小さい
(図16参照)ので、該照射部位の磁化の向きは記録磁
界HWの向きに従い、その冷却過程で2層間に作用する
交換結合力により記録層4(14・24)に転写される
(上記照射部位に対応する記録層4の部位の磁化の向き
は、例えば、図1中上向きになる)。これにより、情報
を記録層4の所望の部位に記録できる。
【0099】光ビームIの第1パルス部が照射される
と、照射部位は補償温度を越える。そして、該照射部位
の磁化の向きは、記録磁界HWによって光ビームIIの
照射時とは逆向き(例えば、図1中下向き)になる。冷
却過程において、光ビームIIを照射した場合に相当す
る温度まで下がるが、ここで読み出し層3(13・2
3)には、光ビームIの第2パルス部が引続き暫く照射
されるので、記録層4(14・24)のみが光ビームI
Iを照射した場合に相当する温度TLになり、読み出し
層3(13・23)の磁化の向きが記録層4(14・2
4)に転写される(例えば、図1中下向きになる)。
【0100】その後、読み出し層3(13・23)が光
ビームIIを照射した場合に相当する温度まで下がり、
記録磁界HWの向きに従う(例えば、図1に示すように
上向きになる)。このとき、記録層4(14・24)の
磁化の向きは、その保磁力H2が記録磁界HWより十分大
きいので、記録磁界HWの向きに従わない。これによ
り、照射部位の情報の消去動作が完了する。
【0101】なお、消去部位に新たに別の情報を記録す
る(重ね書きする)場合、前述のように、記録磁界HW
を印加しながら、再度、光ビームIIを照射すればよ
い。
【0102】以上のように本記録方法によれば、特に高
レベルの光ビームが照射された時の読み出し層3(13
・23)と記録層4(14・24)の冷却過程における
温度変化が大きく異なるようにできる(記録層4(14
・24)の方がより速く冷却される)ため、遙かに容易
に重ね書きが行える。
【0103】なお、上記の第2パルス部の光強度は、第
1パルス部の光強度以下であればよい。
【0104】発明の詳細な説明の項においてなした具体
的な実施態様、又は実施例は、あくまでも本発明の技術
内容を明らかにするものであって、そのような具体例に
のみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発
明の精神と前記特許請求事項の範囲内で、いろいろと変
更して実施することができるものである。
【0105】
【発明の効果】本発明の光磁気記録再生装置によれば、
記録磁界を印加しながら、再生時に照射される光ビーム
よりも強度の高い、高・低2レベルに強度変調された光
ビームを照射することによって、読み出し層の磁化を利
用して記録層の所望部位に対する情報の記録、重ね書き
の各動作が行われる。
【0106】また、再生時は、光ビームの照射により照
射部位が温度上昇する。この温度上昇に伴って、第1温
度以上に加熱された部位は、面内磁化から垂直磁化に移
行する。温度上昇部位が面内磁化から垂直磁化に移行す
ると、温度上昇部位のみが磁気光学効果を示すようにな
り、該部位からの反射光に基づいて記録層に記録された
情報が再生される。
【0107】そして、光ビームが移動して次の記録ビッ
トを再生する時は、先の再生部位の温度は低下し、垂直
磁化から面内磁化に移行する。これに伴って、この温度
の低下した部位は磁気光学効果を示さなくなり、記録層
に記録された磁化は読み出し層の面内磁化にマスクされ
て読み出されることがなくなる。これにより、雑音の原
因である隣接ビットからの信号が混入することがなくな
る。なお、読み出し層としてGdCoを使用すると、保
磁力が小さいので、記録時の記録磁界に対する外乱要因
を小さくできる。
【0108】更に、再生動作に先立って、初期化のため
の補助磁界発生装置が不要になるという効果も併せて奏
する。
【0109】また、本発明の光磁気記録媒体は、再生時
に、記録層における目標の記録ビットに隣接する隣接ビ
ットを面内磁化によりマスクする。よって、再生時に隣
接ビットからの信号が混入するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光磁気記録媒体に対して、再生動作を
していることを示す説明図である。
【図2】本発明の他の光磁気記録媒体の構成を示す説明
図である。
【図3】本発明の読み出し層の磁気状態図である。
【図4】室温から温度T1において、図3の読み出し層
に印加される外部印加磁界と磁気カー回転角との関係を
示す説明図である。
【図5】温度T1から温度T2において、図3の読み出し
層に印加される外部印加磁界と磁気カー回転角との関係
を示す説明図である。
【図6】温度T2から温度T3において、図3の読み出し
層に印加される外部印加磁界と磁気カー回転角との関係
を示す説明図である。
【図7】温度T3からキュリー温度TCにおいて、図3の
読み出し層に印加される外部印加磁界と磁気カー回転角
との関係を示す説明図である。
【図8】保磁力を比較的大きくできる材料を読み出し層
として使用した場合、室温から温度T1において、該読
み出し層に印加される外部印加磁界と磁気カー回転角と
の関係を示す説明図である。
【図9】保磁力を比較的大きくできる材料を読み出し層
として使用した場合、温度T1から温度T2において、該
読み出し層に印加される外部印加磁界と磁気カー回転角
との関係を示す説明図である。
【図10】保磁力を比較的大きくできる材料を読み出し
層として使用した場合、温度T2からキュリー温度TC
おいて、該読み出し層に印加される外部印加磁界と磁気
カー回転角との関係を示す説明図である。
【図11】Gd0.25(Fe0.82Co0.180.75の保磁力
Cの温度依存性を示す説明図である。
【図12】GdxFe1-xのキュリー温度TCの組成依存
性と、補償温度Tcompの組成依存性とを示す説明図であ
る。
【図13】GdxCo1-xのキュリー温度TCの組成依存
性と、補償温度Tcompの組成依存性とを示す説明図であ
る。
【図14】Gdx(Fe0.78Co0.181-xのキュリー温
度TCの組成依存性と、補償温度Tcompの組成依存性と
を示す説明図である。
【図15】本発明の更に他の光磁気記録媒体の構成を示
す説明図である。
【図16】本発明の光磁気ディスクの読み出し層と記録
層の保磁力の温度依存性を示す説明図である。
【図17】本発明および従来の光磁気ディスクに対し
て、記録、再生の各動作時に照射される光ビームを示す
説明図である。
【図18】従来の光磁気ディスクの読み出し層と記録層
の保磁力の温度依存性を示す説明図である。
【図19】本発明の記録方法で使用される光ビームを示
す説明図である。
【図20】本発明の他の記録方法で使用される光ビーム
を示す説明図である。
【図21】従来の光磁気ディスクに対して、再生動作を
していることを示すための説明図である。
【図22】従来の光磁気ディスクに対して、高・低2レ
ベルの光ビームを照射しながら、記録動作をしているこ
とを示す説明図である。
【符号の説明】
1 基板 2 透明誘電体膜 3 読み出し層 4 記録層 11 基板 12 透明誘電体膜 13 読み出し層 14 記録層 16 反射膜(反射部材) 21 基板 22 透明誘電体膜 23 読み出し層 24 記録層 25 放熱層(放熱部材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 賢司 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 中山 純一郎 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 片山 博之 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 三枝 理伸 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−158938(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 11/105

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報を光磁気記録する記録層と、室温で
    面内磁化で第1温度以上で前記記録層の磁化の方向に応
    じた垂直磁化となる読み出し層と、を備えた光磁気記録
    媒体に情報を記録再生する光磁気記録再生装置であっ
    て、 再生時に、前記光磁気記録媒体を第1温度以上に加熱す
    る強度の光ビームを照射する第1照射手段と、 記録時に、前記光磁気記録媒体に記録磁界を印加する手
    段と、 前記記録磁界が印加された状態で、前記第1照射手段よ
    りも高い強度の2種類の光ビームを前記光磁気記録媒体
    に照射することで、前記読み出し層の磁化を利用して前
    記記録層に情報を記録する第2照射手段と、を備えたこ
    とを特徴とする光磁気記録再生装置。
  2. 【請求項2】 垂直磁化により情報を光磁気記録する記
    録層と、 再生時に、前記記録層における目標記録ビットに隣接す
    る隣接記録ビットを面内磁化によりマスクするととも
    に、目標記録ビット位置において前記記録層と交換結合
    する磁性層と、を有してなることを特徴とする光磁気記
    録媒体。
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