JP3108675B2 - 脂質代謝改善剤 - Google Patents

脂質代謝改善剤

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JP3108675B2 JP10066928A JP6692898A JP3108675B2 JP 3108675 B2 JP3108675 B2 JP 3108675B2 JP 10066928 A JP10066928 A JP 10066928A JP 6692898 A JP6692898 A JP 6692898A JP 3108675 B2 JP3108675 B2 JP 3108675B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は食餌脂質吸収阻害、
食後高脂血症改善作用を有する、高脂血症、動脈硬化
症、肥満などの予防・改善効果を期待できる脂質代謝改
善剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、食生活の向上ないし洋風化に伴っ
て、脂質の摂取量が増加している。国民栄養調査による
と、昭和63年以降は摂取エネルギーに占める脂質エネ
ルギー比率が適正比率の上限(25%)を超えており、
増加の一途を辿っている。なかでも若い世代を中心に、
動物性脂肪の摂取比率の増加が顕著である。このような
恒常的な脂肪の過剰摂取は、肥満や血清脂質の上昇を引
き起こし、それにともなうさまざまな合併症(例えば、
循環器系疾患、特に、冠・脳血管疾患、および、乳ガ
ン、大腸ガンなどのある種のガン等の成人病)の発症の
危険率が高まるなど、国民の健康保持、増進のうえから
社会問題となっている。
【0003】とりわけ、循環器系疾患発症のリスク要因
として従来から血中コレステロール濃度の上昇が挙げら
れており、さらに最近ではコレステロールとは独立した
要因として、血中トリグリセリド濃度も問題視されてい
る(Austin, M. A. Am. J. Epidem. 129,249-259(198
9), Carlson L. A. et al. Acta. Med. Scand. 206,351
-360(1979), Carlson L. A. et al. Acta. Med. Scand.
218,207-211(1985),Castelli, W. P. Am. Heart. J. 1
12,432-437(1986))。
【0004】脂肪や糖質を摂取すると一過性に食後高脂
血症が起こるが、過剰に摂取すると、食後高脂血症状態
が長く続く。高脂血症とは、血清コレステロール濃度の
上昇、および血清トリグリセリド濃度の上昇を含むが、
高コレステロール血症は動脈硬化の危険因子であること
がよく知られている。また、恒常的に脂肪を過剰に摂取
する状況では、血中トリグリセリド濃度の持続的な上昇
をきたし、血中トリグリセリド濃度の上昇は、高血圧症
や、虚血性心疾患などの動脈硬化性疾患の発症につなが
る危険性が高いことが指摘されている(中村 治雄、医
学のあゆみ 157,771-775(1991)、高トリグリセリド血
症ハンドブック、石川 俊次、薬の知識39,3-8(198
8))。
【0005】また、脂質の過剰摂取によるエネルギー過
剰は、肥満の原因となり、肥満は循環不全、動脈硬化、
糖尿病などの成人病の発症率を上昇させる。
【0006】このため、体脂肪除去あるいは食餌脂質の
低下を目的としたアプローチが精力的に行われており、
以下のような方法、薬物が提案されている。まず、脂肪
摂取量の抑制として、食事療法、脂肪代替品、食欲抑制
剤がある。しかし、食事療法は過度な制限食であること
が多く、脂質に富んだ美味な食品が豊富な現代社会にお
いて、長期的に実行するには非常な困難を伴う。また、
脂肪代替品として、様々な商品が開発されているが、自
然なおいしさ、本物の旨さを追求するグルメの時代に代
替品の味で満足することも容易ではない。更に、最近、
脂肪代替品のあるものでは重篤な副作用が発現すること
が注目されている。また、食欲抑制剤として、マジンド
ールやフェンフルラミン等が知られているが、医師のコ
ントロール下でしか投与できず、その副作用も報告され
ている(Hadler A. J. J. Clin.Pharm. 12,453(1972),
Stunkar D. A. et al. Lanset 1,503(1973))。
【0007】これらのような実行困難な方法に代わるア
プローチとして、脂肪などの摂取には制限を加えず、消
化管での脂質の吸収を抑える薬剤(ニコモール、ネオマ
イシン等)や、吸収した栄養物が脂肪として蓄積する事
を阻止するための薬剤(デヒドロエピアンドロステロン
等)も開発されているが、これらの医薬品においては副
作用の発現が不可避である。
【0008】その他にも、血中リポタンパク質リパーゼ
活性を高めて血中脂質の代謝を促す医薬品であるデキス
トラン硫酸、脂質代謝改善薬であるクロフィブラートや
ブラバスタチン等が現在用いられているが、これらの医
薬品の投与による副作用も懸念されている。
【0009】高コレステロール血症の治療においては、
コレステロールの生合成を抑えるような薬剤が知られて
いるが、これらの薬物の多くは副作用を伴う。
【0010】そこで、上記の医薬品に対して、副作用の
発現が少ないと考えられる食品素材の開発が期待され
る。食品素材では、種々の食物繊維が消化管内でのコレ
ステロールあるいは胆汁酸の吸収に干渉し、血中コレス
テロール濃度を低下させる事が知られている。有効な食
物繊維としては、ペクチン、グアーガム、コンニャクマ
ンナン、海藻多糖類、キトサン等が挙げられる。
【0011】近年、キトサンが、他の食物繊維と比較し
て、脂質消化吸収阻害作用において格別優れていること
が動物実験によって明らかとなった。例えば、ラットの
飼料中に5%程度キトサンを添加して飼育した際にはみ
かけの脂肪吸収率の抑制はおよそ50%にも及ぶと報告
されている(金内 理、化学と生物 34,553-557(199
6))。しかしながら、この摂取量を脂肪摂取量あたりで
ヒトに換算すると1日量として15gにもなり、その多
量摂取の結果、強い凝集力によって便秘になるなど、副
作用が現れる可能性が指摘されている。多くの場合、キ
トサン1日最大摂取量は2g以下に設定されている。
【0012】さらに、キトサンは消化管における脂肪の
吸収を抑制すると同時に、脂溶性ビタミンの吸収に悪影
響を及ぼす可能性がある。実際、キトサン摂取によって
体内のビタミンA,E血中濃度が減少するという報告が
なされている(金内 理、前出)。ビタミンEには、動
脈硬化を予防する効果があることから、このようなビタ
ミン吸収阻害作用はキトサンに固有の問題点であると考
えられる。
【0013】キトサンのコレステロール低下作用は、動
物のみならず、ヒトにおける試験成績が数多く報告され
ており、公知のものである(Sugano, M. et al. Nutr.
Rep.Int., 18, 531-537(1978)、辻 啓介、食品工業 3
6,50-56(1993)、平野 茂博、Food & Food Ingredients
Journal of Japan 159, 65-71(1994)、次田 隆志ら、
月刊フードケミカル45-50(1995)、金内 理、前出)。
しかし、キトサンはヒトに対しては有意に血中コレステ
ロール濃度を減少させるが、血中トリグリセリド値に関
する有意な抑制効果はないという報告もなされている
(辻 啓介、前出、次田ら、前出)。
【0014】上記のように、キトサンは消化管における
吸収阻害作用に基づくと考えられる血清コレステロール
濃度上昇抑制物質として優れた食品素材であるが、多量
摂取による副作用等の問題点がある。
【0015】他方、以下BOREPと称する、「タンパ
ク質又はタンパク質含有物をプロテアーゼ又は酸で加水
分解して製造され、平均ペプチド鎖長が3〜4である脂
質代謝改善作用を有するタンパク質水解物」は、脂肪摂
取による血清トリグリセリド濃度の上昇を顕著に抑制す
る作用を有することが明らかにされている(特公平5-87
052(WO89/06970,US08/608,045))。
【0016】BOREPの作用としては、膵リパーゼの
活性を抑えることによる消化管における脂質の吸収阻
害、リポタンパク質リパーゼの活性化によるキロミクロ
ン中のトリグリセリドの代謝促進、肝臓での脂肪酸のβ
酸化促進、繊維芽細胞から脂肪前駆細胞、脂肪前駆細胞
から脂肪細胞への変異の抑制、等が確認されており、消
化管での吸収阻害だけでなく、いったん消化吸収された
脂質の代謝を促進するという複数の機構により、血中ト
リグリセリド濃度を低下させると考えられる。
【0017】また、BOREPには、前述のキトサンに
みられる副作用(過剰摂取による副作用、脂溶性ビタミ
ン吸収阻害)はみられない。しかし、BOREPはキト
サンほどの顕著な血中コレステロール上昇抑制作用を示
さないという問題点がある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、脂質の消化
吸収を阻害するとともに、いったん吸収された脂質の代
謝を改善することによって、上記のような問題点を解決
し、恒常的な脂肪の過剰摂取と因果関係の強い、肥満並
びに高脂血症や動脈硬化症などの生活習慣病の予防効果
および改善効果を有する脂質代謝改善剤を提供すること
を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
ような事情に鑑み、タンパク質又はタンパク質含有物を
プロテアーゼ又は酸で加水分解して製造され、平均ペプ
チド鎖長が3〜4である脂質代謝改善作用を有するタン
パク質水解物(BOREPと称する)と、キトサンとを
実際に初めて混合して用いることにより、その配合剤
に、血中トリグリセリド濃度上昇抑制作用および血中コ
レステロール濃度上昇抑制作用において、予想外にも相
乗効果を見出し、さらに、投与量などにおいて、それぞ
れの成分の単一投与時にみられる問題点を補い、各成分
の単一投与時には見られなかった格別顕著な効果が発揮
されることを見出し、これらに基づいて本発明を完成し
た。特に当該混合物を用いることによって、キトサンの
摂取量を大幅に減じることができる。
【0020】即ち、本発明による脂質代謝改善剤は、B
OREPとキトサンとの混合物を有効成分として含有す
ることを特徴とする。
【0021】本発明で使用するBOREPは、例えば特
公平5-87052(国際公開番号WO89/06970)および国際公
開番号WO97/00890などに開示され、これらの公報の開示
に記載の方法又はそれに準ずる方法に従って製造するこ
とができる。また、本発明で使用するキトサンはそれ自
身公知であり、例えば、キチン・キトサン研究会編「最
後のバイオマス キチン、キトサン 1988年刊」に
詳細に記載されている。本発明でも、市販のものから適
当なものを選んで使用することができる。
【0022】BOREPとキトサンの配合重量比は、自
由に設定できるが、後述の実施例に示すように、好まし
くは4:1〜2:3であり、さらに好ましくは3:2程
度である。この配合重量比において高い相乗効果が得ら
れる。
【0023】本発明による脂質代謝改善剤は、動物
(例、ヒト、ウサギ、マウス等)に対して食餌脂質吸収
阻害作用、及び、食後高脂血症改善作用に基づくと考え
られる脂質代謝改善作用を示し、高脂血症(高トリグリ
セリド血症、高コレステロール血症)、動脈硬化症(ア
テローム性動脈硬化症、脳動脈硬化症、冠動脈硬化症、
末梢動脈硬化症等)高血圧症、肥満症の、予防・改善剤
として有用である。本発明による前記改善剤は、肥満
症、高脂血症、等の高血圧症を合併症とする疾患の予防
または改善に顕著な効果を奏し、とりわけ、高血圧症を
合併症とする動脈硬化症の予防・改善に好ましく用いら
れる。
【0024】本発明による脂質代謝改善剤は、それ自体
の標品(BOREP原体とキトサン原体の混合物)ある
いは適宜の担体、賦形剤、希釈剤等と混合し、カプセル
剤、錠剤、粉末、顆粒等の固形組成物として、経口的に
安全に投与することができる。これらの組成物は製剤化
工程において一般に用いる公知の方法に従って製剤化す
ることができる。
【0025】個々の成分の1日投与量は、例えば約45
0〜900mgの範囲のBOREPと、例えば約300
〜600mgの範囲のキトサンを有効に組み合わせるこ
とが出来る。当然ながら、これらの用量範囲は1日投与
量を分割するために必要な単位ベースで調節できる。好
ましくは、以下の実施例に記載するような錠剤を1日6
〜12錠、最も好ましくは1日8錠(BOREP600
mg、キトサン400mg)投与される。
【0026】本発明による脂質代謝改善剤は以上のよう
な製剤として提供されるばかりでなく、それを飲食品お
よび動物用飼料に含有させた形態として提供される。
れらの飲食品および動物用飼料は、脂質代謝改善用の用
途に用いられる。食品としては、健康食品、特定保健用
食品、一般の食品(チョコレート、ケーキ、ハム、ミー
トソース、シチュー、ミルク、プリン、カレー、ハヤシ
等)が挙げられる。これらの食品に本発明による脂質代
謝改善剤を0.1〜50%の割合で混合し、前記改善剤
が1日あたり750mg〜1200mgとなる範囲で投
与するのが好ましい。動物用飼料においては、前記改善
剤を0.05%〜5%の範囲で含有させることが好まし
い。本発明による脂質代謝改善剤を配合した動物用飼料
は、動物の高脂肪化を防ぐことにより、畜産、水産分野
における動物の肉質の改善に有用である。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の一成分であるBOREP
の製法は特公 平5-87052に開示されているが、その一
例は次のようである。動物性、植物性、微生物起源など
の任意のタンパク質又はタンパク質含有物を固形分とし
て水に5〜30重量%となるように分散させ、酸または
アルカリによってプロテアーゼの至適pHに調整し、プ
ロテアーゼを一度にまたは逐次的に添加して、20〜7
0℃の温度で3〜48時間、プロテアーゼを反応させて
加水分解する。
【0028】次に、得られたタンパク質分解物を噴霧乾
燥して、または当該タンパク質分解物にカルボキシメチ
ルセルロースあるいはデキストリンといった増量剤を適
量加えて、乾燥、固化することにより、脂質代謝改善効
果を有するタンパク質水解物であるBOREPの固形物
を得ることができる。
【0029】BOREPの原材料としては上記のように
任意のタンパク質を用いることができるが、国際公開番
号WO97/00890に記載のようにヘモグロビンやミオグロビ
ン等のグロビンタンパク質が、血中トリグリセリド濃度
の上昇を抑制するという効果を強く奏しうるという点に
おいて特に好ましい。
【0030】なお、そのようなグロビンタンパク質の供
給源である動物の種類は特に限定されず、ウシ、ブタ、
ヒツジ、ヒト、ウマ等の血液を広く用いることが出来
る。
【0031】また、用いる加水分解酵素としては、例え
ば酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ又はアルカリ性
プロテアーゼの一種もしくは二種以上を用いることが出
来る。
【0032】このような、加水分解により得られたBO
REPの有効成分としては、数種のオリゴペプチドが確
認されており、例えば、国際出願番号WO97/00890では、
BOREPの構成成分の中でも、特に、Leu-Val-Val-Ty
r-Pro-Trp-Thr, Val-Thr-Leu, Val-Tyr-Proの3種のペ
プチドが、またWO97/35875では、Val-Val-Tyr-Proが、
いずれも血中トリグリセリド濃度上昇抑制作用において
優れていることが確認されている。
【0033】本発明のもう一つの成分であるキトサン
は、前述したように公知の物質であり、例えば、キチン
・キトサン研究会編「最後のバイオマス キチン、キト
サン1988年刊」に詳細に記載されている。本発明で
も、市販のものから適当なものを選んで使用することが
できる。
【0034】
【実施例】実施例1:血清脂質濃度上昇に対する抑制効
果(マウスを用いた実験)
【0035】固形飼料(CE−2、日本クレア株式会
社)で予備飼育して順化したICR雄性マウス(6〜7
週齢、33g程度)を無作為に6群(BOREP投与
群、キトサン投与群、および以下、本発明品と称するB
OREPとキトサンの混合物(BOREPとキトサンの
配合比率 4:1,3:1,3:2,2:3)投与群)
に分けて使用した。一夜絶食後、コレステロール5%添
加オリーブ油250mgと、上記の投与物をそれぞれの
群に経口投与し、投与2時間後に、血清トリグリセリド
濃度および血清コレステロール濃度を酵素法により測定
した。測定は和光純薬製の「トリグリセリドE−テス
ト」、「コレステロールE−テスト」を用い、キットに
指示されているプロトコールに従って行った。
【0036】測定濃度値から、各投与物における血清脂
質濃度上昇抑制作用の50%抑制率(ID50 mg/mouse)
を求めた結果(表中測定値)を以下の表1、表2に示
す。表中の比率(B:C)は本発明品におけるBORE
P:キトサンの配合比率を示す。本発明品のID50(表中
(b))はBOREP、キトサン単独のID50測定値に、そ
れぞれの配合比率をかけたものを加えて得られる相加効
果を想定した理論値である。相乗効果は、本発明品の計
算値に対する測定値の百分率で示す。この値が小さい
程、二成分の組み合わせによる相乗効果が大きいことを
意味する。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】表1、表2のデータを視覚的に把握、検討
するために、ID50測定値を図1、図2にそれぞれプロッ
トした。BOREPおよびキトサンの単独のID50を結ん
だ図中の直線は、相加効果の計算値(理論値)を連続的
にプロットしたものである。本発明品のID50測定値(図
中開四角で記したプロット)はこの直線よりも原点側に
プロットされ、いずれの配合比率においても相乗効果が
あることが認められた。
【0040】この実験からBOREPとキトサンを配合
することによって、トリグリセリド濃度上昇およびコレ
ステロール濃度上昇に対する抑制効果に関して、各成分
を単に混合した際に推測される効果に比較して、予想外
に強い相乗効果を発揮することが明らかとなった。
【0041】実施例2:血清脂質濃度上昇に対する抑制
効果(ウサギを用いた実験)
【0042】固形飼料(CR−1,日本クレア株式会
社)で予備飼育して順化したNZW雄性ウサギ(7週
齢、3〜4kg程度)16匹を無作為に4群(対照群、
BOREP投与群、キトサン投与群、および本発明品
(BOREPとキトサンの配合比率3:2)投与群)に
分けて使用した。
【0043】対照群はコレステロールを1%添加した飼
料で2週間飼育した。他の3群は前記コレステロール1
%添加飼料に、各投与物をそれぞれ5%添加した配合飼
料で2週間飼育した。この2週間の飼育期間の開始時,
1週間経過時,2週間経過時に耳介静脈から採血(0.
5〜1ml)し、血清トリグリセリド濃度および血清コ
レステロール濃度を酵素法で測定した。測定は和光純薬
製の「トリグリセリドE−テスト」、「コレステロール
E−テスト」を用いて行った。これらの結果を表3およ
び表4に示す。各投与群の対照群に対する効果(表中
a)、および本発明群に対する効果(表中b)を、有意
差検定法(Fisher's PLSD法)によって検討し、危険率P
<0.05の場合の差を有意であると判定した。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】対照群と比較して、BOREP、キトサン
および本発明品を投与した群の血清トリグリセリド濃度
および血清コレステロール濃度はともに低下した。BO
REPは、脂肪摂取による血清トリグリセリド濃度上昇
を有意に抑制することが知られていたが、反復摂取によ
って血清トリグリセリド濃度だけでなくコレステロール
濃度に対しても抑制効果を示すことが明かとなった。
【0047】さらに、飼育2週間後の結果から明らかな
ように、本発明品は、血清トリグリセリドおよび血清コ
レステロール濃度上昇の両方について、配合成分である
BOREPおよびキトサンの単独投与に比べて強い抑制
効果を示した。この結果から本発明品が、BOREP、
キトサン単独投与と比較して、食後高脂血症(高トリグ
リセリド血症、高コレステロール血症)抑制剤として有
用であることが示された。
【0048】実施例3:血清脂質濃度上昇に対する抑制
効果(ヒト試験)
【0049】血清トリグリセリドあるいはコレステロー
ル濃度が正常から境界領域のレベルの成人ボランティア
(男子12例、年齢27〜50歳)を対象とした。試験
はヘルシンキ宣言の趣旨に従って行い、被験者は試験に
関する十分な説明を受けたうえで、自らの意志で同意書
に署名した。試験は交叉法で行い、試験間の休止期間は
1週間とした。
【0050】試験方法の概要は以下の通りである。被験
者は前夜から12時間以上絶食し、翌朝9時に鶏卵5個
とバター50gで調理したオムレツを摂食した。食後、
BOREP投与群、キトサン投与群、本発明品(BOR
EPとキトサンの配合比率3:2)投与群はそれぞれの
成分を1g含有する錠剤を摂取した(本発明品投与群に
おいてはBOREP600mgおよびキトサン400m
g)。対照群については上記成分を含有しない錠剤を摂
取した。摂食したオムレツの栄養成分を表5に示す。
【0051】
【表5】
【0052】食事前(0時間)、食後1,2,3,4,
5,6時間に上腕静脈から採血を行い、血清を分離して
トリグリセリド濃度、総コレステロール濃度を酵素法で
測定した。測定は和光純薬製の「トリグリセリドE−テ
スト」、「コレステロールE−テスト」を用いて行っ
た。血清トリグリセリド濃度の経時的変化を図3に、血
清コレステロール濃度の経時的変化を図5に示す。
【0053】図3および図5に示すように、脂肪食を摂
取することによって血清トリグリセリド濃度および血清
コレステロール濃度は上昇し、BOREP、キトサンお
よび本発明品を投与することによって上昇が抑制され
た。図中の*は危険率P<0.05で、**は危険率P
<0.01で、本発明品投与群が、対照群、BOREP
投与群、キトサン投与群のいずれに対しても有意差を示
すことを表す。図3、図5から理解されるように、本発
明品の投与は、BOREP、キトサン単独投与に比較し
て、脂肪負荷後の血清トリグリセリド濃度上昇、および
血清コレステロール濃度上昇を有意に抑制した。
【0054】図4および図6は、それぞれ血清トリグリ
セリド濃度、血清コレステロール濃度に関する、0〜6
時間のAUC(血清中化合物濃度時間曲線下の面積)を
示す。これらのグラフから明らかなように、血清トリグ
リセリド増加量、血清コレステロール増加量の両方につ
いて、本発明品投与による抑制効果は、BOREP、キ
トサン単独投与による抑制効果と比較して強いものであ
った。
【0055】実施例4:錠剤の組成
【0056】本発明による脂質代謝改善剤の錠剤組成の
1例を以下に示す。
【0057】BOREP 75mg、キトサン 50m
g、コーンスターチ 10mg、結晶セルロース 20
mg、乳糖 適量、二酸化ケイ素 2mg、ショ糖脂肪
酸エステル 5mg、以上を錠剤とする(錠剤重量 2
15mg)。
【0058】以上の諸例から理解されるように、血清ト
リグリセリド濃度上昇抑制に特に有効なBOREPと、
血清コレステロール濃度上昇抑制に特に有効なキトサン
とを組み合わせてなる本発明の脂質代謝改善剤により、
血清トリグリセリド濃度上昇、血清コレステロール濃度
上昇の両方に対して、上記2成分を単用した際の効果に
比較して、予想外の強い効果(相乗効果)が得られた。
本発明の脂質代謝改善剤は、上記成分を単独で使用する
場合の投与量を大幅に減少させることが可能であり、そ
の結果、ヒトに対して無理のない摂取量で効果を発揮
し、特に高脂血症、動脈硬化症等の予防・改善剤として
有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 脂肪負荷後の血清トリグリセリド濃度上昇に
対する抑制効果についてのBOREPとキトサンの配合
による相乗効果のグラフ。
【図2】 脂肪負荷後の血清コレステロール濃度上昇に
対する抑制効果についてのBOREPとキトサンの配合
による相乗効果のグラフ。
【図3】 脂肪負荷後の血清トリグリセリド濃度に及ぼ
す発明品の効果の経時的検討のグラフ。
【図4】 脂肪負荷後の血清トリグリセリド増加量(A
UC0−6h)に及ぼす発明品の効果のグラフ。
【図5】 脂肪負荷後の血清コレステロール濃度に及ぼ
す発明品の効果の経時的検討のグラフ。
【図6】 脂肪負荷後の血清コレステロール増加量(A
UC0−6h)に及ぼす発明品の効果のグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61K 31/722 A61K 31/722 A61P 3/06 A61P 3/06 (72)発明者 福浜 千津子 大阪府池田市古江町180番地 阪急共栄 物産株式会社 薬理研究所内 (72)発明者 藤野 博昭 大阪府池田市古江町180番地 阪急共栄 物産株式会社 薬理研究所内 (56)参考文献 特開 平7−194316(JP,A) 国際公開89/6970(WO,A1) 国際公開97/890(WO,A1) NUTRITION REPORTS INTERNATIONAL,1978, Vol.18,No.9,pp.531−537 月刊フードケミカル、1995−2、第45 −50ページ 食品工業、1993、第36巻、第50−56ペ ージ FOODS AND FOOD IN GREDIENTS JOURNAL OF JAPAN,1994,No.159, pp.65−71 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 38/01 A23K 1/16 A23L 1/30 A23L 1/305 A61K 31/722 A61P 3/06 CA(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質又はタンパク質含有物をプロ
    テアーゼ又は酸で加水分解して製造され、平均ペプチド
    鎖長が3〜4である脂質代謝改善作用を有するタンパク
    質水解物と、キトサンとを有効成分として含有すること
    を特徴とする、脂質代謝改善剤。
  2. 【請求項2】 前記タンパク質水解物と、キトサンとの
    配合重量比が4:1〜2:3である請求項1記載の脂質
    代謝改善剤。
  3. 【請求項3】 前記タンパク質水解物と、キトサンとの
    配合重量比が3:2である請求項1記載の脂質代謝改善
    剤。
  4. 【請求項4】 食餌脂質吸収阻害剤である請求項1〜3
    のいずれか1項に記載の脂質代謝改善剤。
  5. 【請求項5】 食後高脂血症改善剤である請求項1〜3
    のいずれか1項に記載の脂質代謝改善剤。
  6. 【請求項6】 高脂血症、動脈硬化症、高血圧症、肥満
    症の、予防・改善剤である請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の脂質代謝改善剤。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の脂
    質代謝改善剤を含有する脂質代謝改善用飲食品。
  8. 【請求項8】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の脂
    質代謝改善剤を含有する脂質代謝改善用動物用飼料。
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