JP3105516B2 - 音響レンズ系 - Google Patents

音響レンズ系

Info

Publication number
JP3105516B2
JP3105516B2 JP02089319A JP8931990A JP3105516B2 JP 3105516 B2 JP3105516 B2 JP 3105516B2 JP 02089319 A JP02089319 A JP 02089319A JP 8931990 A JP8931990 A JP 8931990A JP 3105516 B2 JP3105516 B2 JP 3105516B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lens
sound
lens system
acoustic lens
axis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP02089319A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03288198A (ja
Inventor
晃 長谷川
正由 大村
愼一 今出
英嗣 生田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optic Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Optic Co Ltd filed Critical Olympus Optic Co Ltd
Priority to JP02089319A priority Critical patent/JP3105516B2/ja
Priority to US07/680,235 priority patent/US5333503A/en
Publication of JPH03288198A publication Critical patent/JPH03288198A/ja
Priority to US08/258,814 priority patent/US5481918A/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3105516B2 publication Critical patent/JP3105516B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G10MUSICAL INSTRUMENTS; ACOUSTICS
    • G10KSOUND-PRODUCING DEVICES; METHODS OR DEVICES FOR PROTECTING AGAINST, OR FOR DAMPING, NOISE OR OTHER ACOUSTIC WAVES IN GENERAL; ACOUSTICS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G10K11/00Methods or devices for transmitting, conducting or directing sound in general; Methods or devices for protecting against, or for damping, noise or other acoustic waves in general
    • G10K11/18Methods or devices for transmitting, conducting or directing sound
    • G10K11/26Sound-focusing or directing, e.g. scanning
    • G10K11/30Sound-focusing or directing, e.g. scanning using refraction, e.g. acoustic lenses

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Acoustics & Sound (AREA)
  • Multimedia (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
  • Ultra Sonic Daignosis Equipment (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、超音波などにより物体の像を形成する音響
レンズ系に関するものである。
〔従来技術〕
近年、各種の超音波診断装置、超音波顕微鏡など、超
音波を利用して対象物の観察、検査、診断などを行なう
装置が開発されている。これらの装置では音響レンズを
用いて音源から発生する超音波を所望の位置に集束さ
せ、物体からの反射波により物体の表面あるいは内部の
像を得るようになっている。しかし、従来知られている
音響レンズの多くは2次元的な結像機能を持たないた
め、物体表面のある広さの領域の像を得るには物体を移
動させることにより物体表面上で超音波の集束点を相対
的に移動させて走査を行う必要があり、機械的な構成が
大掛かりになるという問題があった。
これに対し、音響レンズに2次元的な結像機能を付与
し、物体を移動させることなくある広さの領域の像を得
ようとする装置が考案された。
第35図はこの種の超音波装置の一例を示すものであ
る。この装置は多数の微小な超音波素子を升目状に配列
してなるトランスデューサ1と、音響レンズ系2とを備
えている。トランスデューサ1の各超音波素子はパルス
発生器3により駆動されて超音波を発生し、かつ物体で
反射した超音波を受ける(受信器と検出器とを兼ねる)
ものである。なお、トランスデューサ1と物体との間は
水などで満たされている。
まず、一つの超音波素子がパルス状の超音波を発生
し、これが音響レンズ系2により物体に集束される。物
体で反射した超音波は逆に音響レンズ系2により元の超
音波素子上に集束され、この超音波素子で電気信号に変
換される。次いで同じ行の隣接する超音波素子が同様に
動作する。これを繰り返して1ラインの走査が終了した
ら次の列に移る。そして、全ての超音波素子がこの様な
動作を終了した時点で、この超音波トランスデューサ2
の大きさに対応する物体上の領域の像を表わす電気信号
が得られる。この信号を信号処理回路4で処理してモニ
ターTV5に物体像を表示する。
〔発明が解決しようとする問題点〕
このような装置に用いられる音響レンズは、その軸上
のみならず軸外においても良好な結像性能を有すること
が必要である。ところが、前記従来例では超音波を2次
元的に結像させるというアイデアは開示されているが、
それを実現する音響レンズの具体的構成に関しては何ら
開示がない。
本発明は、超音波などを2次元的に結像させる音響レ
ンズの性質について検討し、軸上のみならず軸外におい
ても良好な結像性能を持った音響レンズ系を得ることを
目的とするものである。
〔問題点を解決するための手段および作用〕
本発明は、物体より発する音波を結像させるための音
響レンズ系において、音束絞りに対して凹面を向けたレ
ンズと音束絞りに対して凸面を向けたレンズとを、音束
絞りの物体側及び像側に、前記音束絞りに対して凹面を
向けたレンズが前記音束絞りから遠い位置になるように
それぞれ配置し、前記音束絞りに対する凹面が非球面で
あることを特徴とするものである。
また、本発明は、物体より発する音波を結像させるた
めの音響レンズ系において、該レンズ系を構成する音響
レンズ系の少なくとも1つの面を非球面とし、前記音響
レンズ系は内部に音束絞りを備えており、前記非球面が
該音響レンズ系の軸から離れるにつれて曲率が緩くなる
ような形状を有し、以下の条件を満足することを特徴と
するものである。
ΣPOidOi>ΣPTjdTj ただし、PTj、POiは夫々前記音響レンズ系を構成する
各音響レンズの前記音束絞りに対して凸の面、凹の面の
屈折力、dTj、dOiは夫々各面の前記音束絞りからの距離
である。
さらに、本発明は、物体より発する音波を結像させる
ための音響レンズ系において、該レンズ系を構成する音
響レンズの少なくとも1つの面を非球面とし、前記音響
レンズ系は内部に音束絞りを備えており、前記非球面が
該音響レンズ系の軸から離れるにつれて曲率が緩くなる
ような形状を有し、以下の条件を満足することを特徴と
するものである。
RO<RT ただし、RT、ROは夫々前記音響レンズ系を構成する各
音響レンズの前記音束絞りに対して凸の面、凹の面の曲
率半径の平均値である。
以下、第1図ないし第10図に基づいて本発明の基本的
な考え方を説明する。
第1図は音波に関する屈折の法則を説明するものであ
る。図に示すように境界面6を挟んで2つの異なる媒質
が接しており、一方の媒質中から他方の媒質中へ音波が
進行していくものとする。図中矢印で示すように音波の
波面の法線の包絡線を音線と呼ぶことにすると、この音
線に対して幾何光学における光線に対するのと同じ屈折
の法則が成立する。すなわち、今、入射側の媒質I中の
ある周波数の超音波の速度をv1、射出側の媒質II中の同
じ周波数の超音波の速度をv2、境界面6に立てた法線と
音線とのなす角を入射側、射出側において夫々θ、θ
とすると、 sinθ1/sinθ=v1/v2 ……(1) という関係が成立する。したがって、v1/v2を両媒質の
相対屈折率と考えれば、音線の概念を用いることにより
幾何光学の考え方を応用して音響レンズの特性を解析す
ることができる。
第2図は以下の説明で用いる記号を与えるために、大
きさを持つ物体の像を形成する(すなわち画角を有す
る)音響レンズおよび結像に係わる音線を示した図であ
る。図において、7は第1面の曲率半径がr1,第2面の
曲率半径がr2の音響レンズであり、Oは物体、Iは物体
Oの音響レンズ7による像である。また、8は音響レン
ズの開口数を決定する音束絞りである。軸上マージナル
音線(軸上物点から出て音響レンズの開口の最も外側を
通る音線)9がレンズの軸となす角をθ、最大像高の軸
外主音線(軸外物点から出て音束絞りの中心を通る音
線)10が軸となす角、すなわち画角をω、軸外マージナ
ル音線(軸外物点から出て音響レンズの有効径の最も外
側を通る音線)11が軸外主音線10となす角をφ、軸外主
音線10の第1面への入射高をh、物体Oと第1面の面頂
との距離をs,第2面の面頂と像Iとの距離をs′、レン
ズの軸上厚をd,第1面とレンズの入射瞳との距離をEPと
する。
超音波装置では超音波の減衰を防ぐため、その伝搬経
路を水などの液体で満たしている。第1表に現時点で実
用上使用可能と考えられる音響レンズの媒質および水の
諸性質を一覧表としてまとめておく。通常、音響レンズ
の媒質は水などの液体より屈折率が低いので、結像レン
ズは軸上より周辺の方が肉厚の大きい凹レンズの形状と
なる。以下、簡単な例を引いてこのような音響レンズの
特性を検討する。
(1)全反射 まず、音響レンズ系のレンズ面における音波の全反射
について検討する。
音響レンズの形状は大きく2つのタイプに分けること
ができる。1つは第2図に示した物点および像点側に曲
率の強い凹面を有するものであり、もう1つは第3図に
示すように音響レンズ系が複数のレンズからなっていて
互いに対向する面が強い凹面となっており、物点および
像点側は平面あるいは緩い曲面となっているものであ
る。
まず、第2図について説明する。このタイプのレンズ
では、画角が大きくなるとレンズ表面での全反射により
軸外の結像に与かる音束が減少し、回折の影響により軸
外の結像性能が劣化する。良好な性能を確保するには少
なくとも音束絞りを通過し得る音束のうち半分以上は像
面に到達する必要がある。したがって、少なくとも軸外
主音線が全反射により失われないようにしなければなら
ない。第4図は音響レンズ7の入射面近傍を拡大して示
したものであるが、上記の条件を満たすには軸外主音線
の第1面への入射角をω′、音響レンズ中の音速をv1,
音響レンズの入射側の媒質中の音速をv0とするとき、 ω′<sin-1(v0/v1) ……(2) という条件を満足しなければならない。すなわち、画角
を用いて書き直せば、 ω+sin-1(h/r1)<sin-1(v0/v1) ……(3) を満足することが必要となる。h≪r1の場合は左辺の第
2項は無視することができ、 ω<sin-1(v0/v1) ……(4) が条件となる。更に軸外マージナル音線11も全反射しな
いようにする場合には、 ω−φ+sin-1(h/r1)sin-1(v0/v1) ……(5) という条件を満足すれば良い。
一方、軸上音束においては主音線がレンズの軸と一致
するので、式(5)においてω=0としφをθで置き換
えればよい。すなわち、 sin-1(h/r1)−θ<sin-1(v0/v1) ……(6) という条件を満足すれば良い。角θがこの条件を満足し
ない軸上音線はレンズ表面で全反射されて失われること
になる。
次に第3図に示したタイプについて説明する。2つの
レンズ12、13の間は物空間および像空間と同じ媒質で満
たされているものとする。
このタイプの音響レンズでは第1面の曲率半径r1が大
きいので式(3)においてsin-1(h/r1)が小さくな
り、同じsin-1(v0/v1)に対してその分だけωを大きく
することができるので、広角化にはこのタイプのほうが
有利である。しかし、軸上音線に関してはsin-1(h/
r1)が小さい分だけθも小さくしなければならないの
で、大口径化には不利となる。したがって、必要とされ
る画角や口径比によって式(3),(5),(6)のい
ずれを満足させるかを決め、それに応じてレンズの形状
や材質を選択することが必要である。
(2)減衰 次にレンズ内部での音波の減衰について検討する。一
般にレンズ媒質の内部ではその外部の水などの液体中よ
り音波の減衰が激しい。このためレンズの肉厚は可能な
限り薄くすることが望ましい。
第5図は第2図に示したレンズの第1面および第2面
の近傍の厚さd1、d2の部分14、15を残して中央部を除去
し、その部分を水などの音波の減衰が少ない物質で埋め
たものである。このようにレンズを構成する物質の一部
をより音波の減衰が少ない物質で置き換えることによ
り、結像性能にほとんど影響することなく音波の減衰を
減らすことができる。実用上は、音響レンズ系の全長
(最も物体側の面から最も像側の面までの軸上の距離)
の中でのレンズ媒質の占める割合を半分以下にする、す
なわちレンズ系の全長をD、レンズ系を構成する各レン
ズの軸上厚をd1(物体側から順にi=1,2,…)とすると
き、 D/2>Σd1 ……(7) を満足するように各レンズの厚さを定めると良い。
(3)収差補正 次に、音響レンズの収差について説明する。画角を有
するレンズ系では軸上、軸外のいずれに対しても収差を
良好に補正することが重要である。そこでまず球面収差
について説明する。
第2図のタイプのレンズをモデルとして、球面収差を
補正するために条件を求めてみよう。簡単のためレンズ
は対称型(r1=−r2)、結像倍率は−1倍(s=−
s′)とする。v0/v1=n、軸上マージナル音線の第1
面への入射高をhM、音響レンズの焦点距離をfとする
と、このレンズの球面収差Δ(1/S′)は Δ(1/S′)=(h2/f3)(Aq2+Bqp+Cp2+D) ……(8) で与えられる。ただし、A、B、C、Dはレンズ媒質の
屈折率によって定まる係数、qはシェイプファクター、
pはポジションファクターで q=(r2+r1)/(r2−r1) ……(9) p=(s′+s)/(s′−s) ……(10) で定義されるものである。r1=−r2、s=−s′の条件
よりq=p=0であるから球面収差は Δ(1/S′)=(h2/f3)・D ……(11) となる。Dは屈折率により D=n2/8(n−1)…… (12) と表される。レンズの口径比、焦点距離を一定であると
すれば(h2/f3)は定数である(これをEと置く)か
ら、結局球面収差は Δ(1/S′)=n2/8(n−1)・E ……(13) となる。
第6図は右側の縦軸に球面収差、左側の縦軸にペッツ
バール和、横軸に屈折率をとって式(13)をグラフ化し
たものである。この図から明らかなように、屈折率が1
に近づくと球面収差が急激に大きくなる。Δ(1/S′)
=5E程度が球面収差の実用上の限界と考えると、 n≦0.83または1.27≦n ……(14) を満足するような媒質を選定すれば球面収差が良好に補
正された音響レンズを得ることができる。逆にこの範囲
を越えてレンズの屈折率が周囲の媒質に近づくと、球面
収差が大きくなって解像力が悪くなる。
次に軸外収差について説明する。軸外収差の中で最も
問題になるのは像面の湾曲である。実際の像面の湾曲は
ペッツバール和の大きさと非点収差とに分けられるが、
概略的にはペッツバール和を像面の湾曲の評価尺度とす
ることができる。
球面収差を検討した場合と同様に第2図に示したモデ
ルについて考察する。簡単のために第2図においてレン
ズの厚さdを0とすると、このレンズのペッツバール和
PSは PS=(1−1/n)(1/r)−(1/n−1)(1/r) =(2/r)(1−1/n) ……(15) で与えられる。ただし、r1=−r2=rとした。レンズの
焦点距離fは 1/f=2(n−1)/r ……(16) であるから、この式(15),(16)より PS=1/nf ……(17) となり、ペッツバール和はレンズ媒質の屈折率に反比例
することが分かる。
再び第6図を見ると、レンズの屈折率が周囲の媒質の
屈折率よりも小さい場合には球面収差の減少する方向と
ペッツバール和の増大する方向とが一致していることが
分かる。したがって、球面収差と像面平坦性とのバラン
スを考えてレンズ媒質を選定することが望ましい。な
お、像面の湾曲による解像力の低下を防止するため、超
音波素子を軸に垂直な面に対して湾曲した面上に配置す
ることが必要となる場合もある。
第2表に『焦点距離f=100、軸上厚d=20、倍率m
=−1、FナンバF/9.8、像高I=10のレンズを水中に
置く』という条件下で、種々の屈折率の媒質でレンズを
構成した場合に生ずる諸収差、レンズ面の曲率半径、レ
ンズ面での全反射角度を一覧表として示しておく。
以上の考察は第2図に示したタイプのレンズに関する
ものであるが、レンズの形状が異なる場合にも同様の傾
向を示すと考えて良い。すなわち、一般的にはq=p=
0という関係が成立しないが、その場合でも球面収差は
(8)式のq、pを含む項の最小値に最後の項Dが付加
された形となるため、上で解析した項Dに関する球面収
差の傾向はそのまま残るのである。また、像面の湾曲に
ついては単に式を簡略化するためにr1=−r2=rとした
だけで、ペッツバール和はレンズの焦点距離と屈折率に
依存するから、上述の結果がすべての場合に当てはまる
ことになる。
(4)非球面の導入 (1)ないし(3)で説明した考察により音響レンズ
の基本的構成は定まるが、さらに結像性能を向上させる
ためにレンズ面を非球面化することについて検討する。
ここで検討する非球面はレンズの軸の回りに回転対称な
ものに限るので、非球面の形状に関しては平面内の曲線
を考えれば十分である。ここでも説明を簡略にするた
め、非球面を以下の式で表すこととする。すなわち、レ
ンズの軸に沿ってz軸、これに垂直にy軸をとり原点で
y軸に接する円の半径をrとすると (z−r)+y2=r2 ……(18) であるが、これをzについて解くと z=y2/2r+y4/8r3+・・・ ……(19) となるので、この円から僅かに偏る非球面を面頂におけ
る曲率半径をr、非球面化の程度を表すパラメータをε
として z=y2/2r+(y4/8r3)(1−ε)+・・ ……(20) と表すことにする。非球面が2次曲面の場合はεは離心
率の2乗となり、ε<−1で双曲線、ε=−1で放物
線、−1<ε<0でz軸を長軸とする楕円、ε=0で
円、0<εでz軸を短軸とする楕円となる。
ここで再び第2図のレンズをモデルとして球面収差の
補正について考えてみよう。改めて非球面の入社側の媒
質中の音束をv0、射出側の媒質中の音束をv1として相対
屈折率をn1=v0/v1とすると、上記のような非球面の導
入により −y2ε(1−n1)/2r3 ……(21) で表される新たな球面収差が発生する。したがって、レ
ンズ全体の球面収差は式(13)に上記の成分を加え、更
に式(13)のEに式(16)を代入して Δ(1/S′)=(n−1)y2/2n2r3−y2ε(1−n)/
2r3 (22) となる。非球面の導入により球面収差を完全に補正する
条件はΔ(1/S′)=0であるから、この条件の下で式
(22)をεについて解くと ε=−(1/n1 ……(23) すなわち、 ε=−(v1/v0 ……(24) となる。このモデルではv1<v0であるから−1<ε<0
なり、非球面の形状は第7図に示すようにレンズ系の軸
を長軸とする楕円となる。
一方、第3図に示したタイプのものでは、絞りを挟ん
で互いに対向する面においてv1>v0であるからε<−1
となり、非球面の形状は第8図に示すように双曲線とな
る。
第7図から分かるように、このタイプのレンズ系では
軸から離れたところでの軸と面の接線とのなす角度の小
さくなる度合いが大きいため、軸外の音束に対しては全
反射がより起こりやすく、画角の大きいレンズ系には必
ずしも適していない。
第8図のタイプは第7図のものとは異なり軸から離れ
たところでの軸と面の接線とのなす角度の小さくなる度
合いは小さいので、全反射の心配をすることなく非球面
を導入して球面収差の補正を行うことができる。
(5)レンズ形状に関する総合的考察 ところで、像面の湾曲の内、非点収差は非球面で補正
できるがペッツバール和の補正は不可能である。このた
め、実際に収差補正を考慮してレンズ設計を行う場合に
は、まずペッツバール和が小さくなるようにレンズ系の
基本形状を定め、そこに非球面を導入して球面収差と非
点収差とを補正することになる。
非球面の形状に関しては球面収差の補正上、音響レン
ズの入射側の面のおいてはレンズ系の軸を長軸とする楕
円面、射出側の面においては双曲面が好ましい。この
内、後者は軸から離れるにつれて曲率が徐々に緩くなる
形状であるため、球面系で発生するマイナスの非点収差
による像面の湾曲を打消す作用を持ち、両収差を同時に
補正できるので好ましい。前者も同様な傾向を持っては
いるが、軸上での曲率が等しいとすれば後者よりも軸か
ら離れたときの曲率の緩くなる程度が弱いので、非点収
差を補正する作用は後者よりは弱い。
以上から、画角が狭い場合には第7図のタイプを選べ
ば全反射の項で述べたように開口数を大きくすることが
できるので回折による分解能の劣化の少ないレンズ系を
得ることができるので有利である。しかし、画角が広い
場合には第8図のタイプのレンズ系を選んだほうが全反
射も少なくかつ非点収差の補正もしやすいので有利であ
る。
なお、第7図のタイプを用いてある程度の画角を持っ
たレンズ系を得ようとする場合には、第9図に示すよう
に軸上マージナル音線が通過する位置の近傍から外側で
面と軸とのなす角度を大きくすることが全反射を防ぐ意
味で好ましい。このような形状は非点収差による像面湾
曲の補正にも寄与するので、その点でも好ましいもので
ある。
さて、第7図と第8図の長所を合せ持ったものとし
て、第10図のようなタイプのレンズ系がある。これは、
第3図のレンズ系で音束絞りと反対側の面に緩い曲率を
持たせたものである。すなわち、これらの面に全反射に
悪影響を及ぼさない程度の曲率を持たせて開口数を大き
くする効果を持たせ、開口絞りに向かい合った面に結像
作用の主な部分を負担させるようにしたものである。こ
の形状ならば球面収差の補正のために入射側面を楕円面
とした場合でも全反射を起こす虞はなく、画角も開口数
も大きくすることができる。そして、射出面を双曲面と
すれば、更に良好に収差補正を行なうことができる。こ
のためには、レンズの音束絞りに向いた面の曲率半径が
音束絞りの反対側の面の曲率半径より小さいこと、すな
わち、 R2<R1 ……(25) R3<R4 なる条件を満足することが必要である。なお、多数の音
響レンズからなるレンズ系においては、レンズ系全体の
画角や開口数に拘らず各音響レンズへ入射する音束の太
さや角度はまちまちとなるので、レンズの位置に応じて
先に解析したところにしたがって各面の曲率半径の大小
関係を検討する必要がある。しかし、少なくとも最も入
射側のレンズに関しては、開口数、画角両者を大きくす
るためには上記の条件を満足することが非常に好まし
い。また、多数の音響レンズからなるレンズ系の場合に
は、音束絞りに向かって凹となる面の曲率半径の平均値
をRO、音束絞りに向かって凸となる面の曲率半径の平均
値をRTとしたとき、 RO<RT ……(26) なる関係を満足するように各面の曲率半径を定めれば良
い。これはより一般的には以下のようにいうことができ
る。すなわち、音束絞りに向かって凹の面および凸の面
の屈折力を入射側から順に夫々POi、PTj、その面の開口
絞りからの距離を夫々dOi、dTjの絶対値をとするとき、 ΣPOidOi>ΣPTjdTj ……(27) なる条件を満足することである。これは絞りに向いた凹
面の屈折力のウエイトを高くすることに他ならない。
なお、上で第7図について述べたことは、第5図のよ
うにレンズの中央部を取り除いた場合にもそのまま通用
することである。第7図のタイプとは要するに物点、像
点に向いた面がその反対側の面よりも曲率が強いタイプ
ということである。
(6)反射防止 次に音響レンズの表面における音波の反射防止につい
て説明する。音響レンズの表面では全反射とは別に周囲
の媒質との音響インピーダンスの差による反射波が発生
し、これがノイズの原因となる。このため、できるかぎ
り表面反射を小さくすることが必要である。このために
音響レンズの表面に単層または多層からなる反射防止膜
を設ける。レンズ媒質の音響インピーダンスをZL、音響
レンズの周囲の媒質の音響インピーダンスをZW、反射防
止膜の音響インピーダンスを該膜が複数の層からなる場
合は音響レンズの近い側の層から順にZ1、Z2、・・とす
れば、各層の厚さをλ/4として(λは使用される超音波
の波長)以下の関係が成立する。
各反射防止膜の材料としてはポリエチレン、ポリイミ
ド、PVDF、ポリエステル、エポキシにタングステンなど
の粉末を混ぜたものがあげられる。これらの合成樹脂を
レンズ表面に熱圧着、高周波融着、塗布、注型などの方
法を用いて接着すれば良い。各反射防止膜の厚さがちょ
うどλ/4となる周波数で完全に音響インピーダンスがZW
からZLに変換されるが、この周波数から外れるにしたが
って完全にマッチングが取れなくなり反射率が増加して
いく。反射防止膜を多層にするに伴い反射率の小さい周
波数帯域が広くなる。超音波装置ではいわゆる距離分解
能(物体の前後の位置を判別する能力)を改善するため
に広い周波数帯域を持った超音波パルスを使用する必要
があるため、反射防止膜を設けることは単に音束のロス
を防ぐという以上の重要な意味を持つことである。ポリ
スチレンを素材とする音響レンズを水中で使用するとい
う条件下で反射防止膜を単層にした場合の具体例をあげ
ると、ZL(ポリスチレン)=2.39×106(kz/m2s)、ZW
(水)=1,52×106(kg/m2s)であるから上式よりZ1
1.91×106(kg/m2s)となる。ポリエチレンはZ1=1.92
×106(kg/m2s)という値を持つからこれを使用される
超音波の中心周波数の波長の1/4の厚さのシートにして
レンズ表面に熱圧着または接着剤にて接着すれば良い。
なお、反射防止膜の接着を容易にする上では各レンズ
面の曲率半径はなるべく大きいことが望ましい。
(7)迷音の除去 最後に迷音の除去について説明する。ここで迷音とい
うのは通常音響レンズの表面での反射などにより生じ、
本来の結像に与る音線とは別の経路を通って検出素子に
到達する音線のことである。このような音線は検出すべ
き信号に対するノイズとなるので、迷音の除去は超音波
装置のS/N比を向上させるために重要なことである。
迷音を除去する方法としては (a)音響レンズの表面、側面などで反射波を生ずる虞
のある音線をレンズ系に入射する前に予め除去する (b)レンズ系中での音波の反射を少なくする (c)レンズ系中で発生した迷音を像面に到達する前に
除去する。
などが考えられる。この内(a)に関しては第10図に示
すように、レンズ系の入射側に吸音材などの音波を反射
しない物質で構成された迷音絞り14を設けることが効果
的である。一方、(b)に関しては先に述べた反射防止
膜も寄与するが、更に第10図に示すように各音響レンズ
の側面に吸音材15、16を設けてこの面で迷音の発生を減
らすことができる。更に(c)に関しては、レンズ系の
音束絞り8や射出側に設けた迷音絞り17が効果的に機能
する。
〔実施例〕
各実施例では非球面が使用されているが、これはレン
ズ系の軸に沿ってx軸、これに垂直にy軸をとりx軸と
非球面との交点を原点としたとき以下の式で表わされる
ものである。
ただし、Cはこの非球面の軸上の曲率、Pは円錐係
数、A2jは2j次の非球面係数である。A2jが全て0の場合
は上式は球面を表わす。
実施例1 f=81.27 F/2.8 ω=7゜ r0=∞(物体) d0=150 n0=1 r1=−49.5606(*) d1=7.7492 n1=0.6696 r2=∞(開口絞り) d2=7.7492 n2=0.6696 r3=49.5606(*) d3=150 n3=1 r4=∞(像) P(1)=0.5515 A2i (1)=0(i=1,2,・・) P(3)=0.5515 A2i (3)=0(i=1,2,・・) β=1 v0/v1=0.6696 PS=0.1079 実施例2 f=77.91 F/1.64 ω=4.6゜ r0=∞(物体) d0=150 n0=1 r1=−49.5606(*) d1=3.7529 n1=0.6696 r2=∞(開口絞り) d2=3.7529 n2=0.6696 r3=49.5606(*) d3=150 n3=1 r4=∞(像) P(1)=0.5516 A2i (1)=0(i=1,2,・・) P(3)=0.5516 A2i (3)=0(i=1,2,・・) β=1 v0/v1=0.6696 PS=0.1032 実施例3 f=76.48 F/1.64 ω=4.6゜ r0=∞(物体) d0=150 n0=1 r1=−49.5606(*) d1=1.0 n1=0.6696 r2=∞ d2=1.4098 n2=1 r3=(開口絞り) d3=1.4098 n3=1 r4=∞ d4=1.0 n4=0.6696 r5=49.5606(*) d5=150 n5=1 r6=∞(像) P(1)=0.5516 A2i (1)=0(i=1,2,・・) P(3)=0.5516 A2i (3)=0(i=1,2,・・) β=1 v0/v1=0.6696 PS=0.102 実施例4 f=99.02 F/3.28 ω=9゜ r0=∞(物体) d0=150 n0=1 r1=∞ d1=1.0 n1=0.6696 r2=50.054(*) d2=35.6063 n2=1 r3=∞(開口絞り) d3=35.6063 n3=1 r4=−50.054(*) d4=1.0 n4=0.6696 r5=∞ d5=150 n5=1 r6=∞(像) P(2)=1.0 A4 (2)=−0.19761×10-5 A6 (2)=−0.15835×10-10 A8 (2)=−0.21668×10-12 P(4)=0.5516 A4 (4)=−0.19761×10-5 A6 (4)=−0.15835×10-10 A8 (4)=−0.21668×10-12 β=1 v0/v1=0.6696 PS=0.13 実施例5 f=128.84 F/1.64 ω=4.6゜ r0=∞(物体) d0=150 n0=1 r1=∞ d1=1.0 n1=0.6696 r2=50.054(*) d2=62.4276 n2=1 r3=∞(開口絞り) d3=62.4276 n3=1 r4=−50.054(*) d4=1.0 n4=0.6696 r5=∞ d5=150 n5=1 r6=∞(像) P(2)=−1.1465 A2i (2)=0(i=1,2,・・) P(4)=−1.1465 A2i (4)=0(i=1,2,・・) β=1 v0/v1=0.6696 PS=0.169 実施例6 f=94.23 F/2.624 ω=9.2゜ r0=∞(物体) d0=150 n0=1 r1=−210.6938(*) d1=1.0 n1=0.762 r2=43.2951(*) d2=29.7350 n2=1 r3=∞(開口絞り) d3=29.7350 n3=1 r4=−43.2951(*) d4=1.0 n4=0.762 r5=210.6938(*) d5=150 n5=1 r6=∞(像) P(1)=1.0 A4 (1)=−0.10332×10-5 A6 (1)=−0.14884×10-8 A8 (1)= 0.12663×10-11 P(2)=1.0 A4 (2)=−0.34938×10-5 A6 (2)=−0.12802×10-8 A8 (2)= 0.66805×10-12 P(4)=1.0 A4 (4)= 0.34938×10-5 A6 (4)= 0.12802×10-8 A8 (4)=−0.66805×10-12 P(5)=1.0 A4 (5)= 0.10332×10-5 A6 (5)= 0.14884×10-8 A8 (5)=−0.12663×10-11 β=1 v0/v1=0.762 PS=0.1092 実施例7 f=94.917 F/3.28 ω=9.2゜ r0=∞(物体) d0=150 n0=1 r1=−214.8905(*) d1=1.0 n1=0.762 r2=43.1245(*) d2=30.6147 n2=1 r3=∞(開口絞り) d3=30.6147 n3=1 r4=−43.1245(*) d4=1.0 n4=0.762 r5=214.8905(*) d5=150 n5=1 r6=∞(像) P(1)=1.0 A4 (1)=−0.14141×10-5 A6 (1)=−0.84857×10-9 A8 (1)= 0.17072×10-11 P(2)=1.0 A4 (2)=−0.36820×10-5 A6 (2)=−0.14204×10-8 A8 (2)= 0.16844×10-11 P(4)=1.0 A4 (4)= 0.36820×10-5 A6 (4)= 0.14204×10-8 A8 (4)=−0.16844×10-11 P(5)=1.0 A4 (5)= 0.14141×10-5 A6 (5)= 0.84857×10-8 A8 (5)=−0.17072×10-11 β=1 v0/v1=0.762 PS=0.11 実施例8 f=126.03 F/3.677 ω=14.5゜ r0=∞(物体) d0=190 n0=1 r1=∞(迷音絞り) d1=5.0 n1=1 r2=−136.0629(*) d2=12.9965 n2=0.6696 r3=176.3437 d3=33.5424 n3=1 r4=∞(開口絞り) d4=23.0486 n4=1 r5=−77.0553 d5=12.9977 n5=0.6696 r6=287.8483(*) d6=10.0 n6=1 r7=∞(迷音絞り) d7=188.259 n7=1 r8=∞(像) P(2)=1.0 A4 (2)= 0.84461×10-6 A6 (2)= 0.94866×10-12 P(6)=1.0 A4 (6)=−0.18899×10-6 A6 (6)=−0.317×10-10 β=1 v0/v1=0.6696 PS=0.122 実施例9 f=128.08 F/2.872 ω=13.5゜ r0=∞(物体) d0=160 n0=1 r1=∞(迷音絞り) d1=1.0 n1=0.6696 r2=95.0930(*) d2=28.491 n2=1 r3=∞ d3=1.0 n3=0.762 r4=94.6677(*) d4=37.5238 n4=1 r5=∞(開口絞り) d5=37.5238 n5=1 r6=−94.6677(*) d6=1.0 n6=0.762 r7=∞ d7=28.491 n7=1 r8=−95.0930(*) d8=1.0 n8=0.6696 r9=∞(迷音絞り) d9=160 n9=1 r10=∞(像) P(2)=1.0 P(4)=1.0 A4 (4)=−0.58491×10-6 A6 (4)=−0.24789×10-9 A8 (4)= 0.32596×10-13 P(6)=1.0 A4 (6)= 0.58491×10-6 A6 (6)= 0.24789×10-9 A8 (8)=−0.32596×10-13 P(8)=1.0 β=1 v0/v1=0.6696,0.762 PS=0.145 実施例10 f=126 F/2.82 ω=14.2゜ r0=∞(物体) d0=160 n0=1 r1=∞(迷音絞り) d1=1.0 n1=0.6696 r2=78.2721(*) d2=27.9934 n2=1 r3=−272.1705 d3=1.0 n3=0.6696 r4=∞ d4=31.7784 n4=1 r5=∞(開口絞り) d5=31.7784 n5=1 r6=∞ d6=1.0 n6=0.6696 r7=83.9282 d7=43.0056 n7=1 r8=−122.5614(*) d8=1.0 n8=0.6696 r9=∞(迷音絞り) d9=151.05 n9=1 r10=∞(像) P(2)=1.0 A4 (2)=−0.50262×10-6 P(8)=1.0 A4 (8)= 0.10253×10-5 β=1 v0/v1=0.6696 PS=0.1512 実施例11 f=115.65 F/2.3 ω=13.5゜ r0=∞(物体) d0=160 n0=1 r1=∞(迷音絞り) d1=1.0 n1=0.6696 r2=86.8198(*) d2=32.3569 n2=1 r3=−120.5843 d3=1.0 n3=0.6696 r4=∞ d4=33.1269 n4=1 r5=∞(開口絞り) d5=32.7272 n5=1 r6=∞ d6=1.0 n6=0.6696 r7=75.7517 d7=42.1819 n7=1 r8=−72.5114(*) d8=1.5 n8=0.6696 r9=∞(迷音絞り) d9=90.848 n9=1 r10=∞(像) P(2)=1.0 A4 (2)=−0.73163×10-6 P(8)=1.0 A4 (8)= 0.17805×10-5 β=0.7 v0/v1=0.6696 PS=0.178 実施例12 f=95.4 F/1.9685 ω=14゜ r0=∞(物体) d0=160 n0=1 r1=∞(迷音絞り) d1=1.0 n1=0.6696 r2=85.0(*) d2=45.5005 n2=1 r3=−94.4515 d3=1.0 n3=0.6696 r4=∞ d4=22.2171 n4=1 r5=∞(開口絞り) d5=24.1421 n5=1 r6=∞ d6=1.0 n6=0.6696 r7=53.7640 d7=38.4016 n7=1 r8=−53.1737(*) d8=1.5 n8=0.6696 r9=∞(迷音絞り) d9=56.335 n9=1 r10=∞(像) P(2)=1.0 A4 (2)=−0.11042×10-5 P(8)=1.0 A4 (8)= 0.49295×10-5 β=0.5 v0/v1=0.6696 PS=0.187 各実施例において、r1、r2・・は各レンズ面の曲率半
径、d1、d2・・は各レンズ面の間隔、n1、n2・・は各レ
ンズ面の間の媒質の屈折率である。曲率半径の後の
(*)はその面が非球面であることを示している。ま
た、fはレンズ系全体の屈折率、F/はエフナンバ、ωは
半画角、P(i)は第iレンズ面の円錐係数、A2j (i)は第i
レンズ面の2j次の非球面係数、βはレンズ系の結像倍
率、PSはレンズ系のペッツバール和である。
実施例1のレンズ形状を第11図、その収差図を第12図
に示す。この実施例は単レンズであり、両面が非球面に
なっている。画角が7゜とあまり大きくないので主とし
て球面収差を補正するために、非球面はレンズ系の軸を
長軸とする回転楕円面の一部になっている。レンズの媒
質はポリスチレンである。また、レンズの側面に設けた
溝18は音束絞りを設けるためのもので、この溝に吸音特
性の優れたシリコンゴムを充填することによりレンズ系
の開口を制限しかつ迷音を除去することができる。
次に、実施例2のレンズ形状を第13図、その収差図を
第14図に示す。実施例1と類似の構成であるがF/1.64の
大口径に亘って球面収差をとくに良好に補正したもので
ある。レンズ媒質はポリスチレンである。
次に、実施例3のレンズ形状を第15図、その収差図を
第16図に示す。この実施例は実施例2においてレンズ媒
質中での音波の減衰を少なくするためにレンズ系を2つ
のレンズに分けて肉厚を極力薄くし、中央部分を水で置
き換えたものである。レンズ媒質はポリスチレンであ
る。
次に、実施例4のレンズ形状を第17図、その収差図を
第18図に示す。この実施例は音束絞り8側に凹面を向け
その反対側が平面である1対のレンズからなるものであ
る。凹面はいずれも双曲面に近い形状を有し、球面収差
のみならず非点収差も充分に補正できるため、ω=9゜
と画角を大きくとることができる。各レンズの肉厚は極
力薄くしてレンズ媒質内での音波の減衰を防いでいる。
また、レンズ同士の間隔を拡げることで凹面の屈折力を
小さくし、曲率半径をなるべく大きくできるようにして
いる。このため、凹面が双曲面に近いことと合わせてレ
ンズの肉厚が軸から離れた位置でも比較的薄くなり、音
波の減衰が非常に少ない形状となっている。レンズ媒質
はポリスチレンである。
次に実施例5のレンズ形状を第19図、収差図を第20図
に示す。この実施例は第4実施例においてF/1.64と開口
を大きくし、特に球面収差を良好に補正したものであ
る。画角はω=4.6゜と狭いが高い解像力が得られる。
また、非球面は完全な双曲面になっている。レンズ媒質
はポリスチレンである。
次に、実施例6のレンズ形状を第21図、収差図を第22
図に示す。この実施例は実施例4では平面であった外側
の面に屈折力を持たせたもので、ある。レンズ媒質はTP
X004である。
次に、実施例7のレンズ形状を第23図、収差図を第24
図に示す。この実施例も実施例4では平面であった外側
の面に屈折力を持たせたもので、ある。レンズ媒質はTP
X004である 次に、実施例8のレンズ形状を第25図、収差図を第26
図に示す。この実施例では音束絞りに向かい合った凹面
は球面であり、絞りに向かって凸になる外側の面を非球
面としてこの非球面で僅かに像面の湾曲を補正したもの
である。またこのレンズ系では音束絞りのほかに入射側
および射出側に迷音絞りが設けられている。レンズ媒質
はポリスチレンである。
次に、実施例9のレンズ形状を第27図、収差図を第28
図に示す。この実施例は音束絞りに対して凹面をむけた
平凹レンズを音束絞りに対称に2枚ずつ設けたものであ
り、内側の2枚の凹面を非球面とすることにより球面収
差と非点収差を補正するようにしたものである。レンズ
系の全長が長くなるためレンズの外径も大きくなるが、
迷音絞りで軸外音束をカットし外径を制限している。レ
ンズ媒質は外側の2枚がポリスチレン、内側の2枚はTP
X004である。
次に、実施例10のレンズ形状を第29図、収差図を第30
図に示す。この実施例は音束絞りに対して凹面を向けた
レンズと平凹レンズと音束絞りに対して凸面を向けたレ
ンズと平凹レンズとを組合わせたものであり、外側の2
枚のレンズの凹面に非球面を導入することにより、球面
収差と非点収差とを補正したものである。このために、
この実施例では条件(27)を満足するように各面の曲率
半径を選んである。なお、図中の19はレンズを保持する
レンズ枠である。この枠自体をシリコンゴムなどの吸音
特性の優れた材料で構成することによりレンズの側面以
外の部分からの音波の反射も少なくなるため、ノイズ減
少の効果がある。レンズ媒質はポリスチレンである。
次に、実施例11のレンズ形状を第31図、収差図を第32
図に示す。実施例1ないし10はいずれも結像倍率が−1
×のものであったが、この実施例は結像倍率が−0.7×
となっている。各レンズの形状や非球面の使い方は実施
例10と同様である。レンズ媒質はポリスチレンである。
最後に、実施例12のレンズ形状を第33図、収差図を第
34図に示す。この実施例は実施例10と同様のレンズ形状
で結像倍率を−0.5×にしたものである。
〔発明の効果〕
本発明によれば、画角や開口数を大きくした場合にも
諸収差が良好に補正できるため、特に2次元的な大きさ
を有する物体像を得ようとする超音波装置の対物レンズ
として好適な音響レンズを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は音波の屈折の法則を説明するための図、第2図
ないし第4図は音響レンズにおける音線の入射状態を示
す図、第5図は音波の減衰が少ない音響レンズの構成を
示す図、第6図は音響レンズにおいて発生する球面収差
およびペッツバール和の大きさを示すグラフ、第7図な
いし第9図は音響レンズに用いられる非球面の形状を示
す図、第10図は迷音絞りおよび吸音材を設けた音響レン
ズの構成を示す図、第11図及び第12図は実施例1のレン
ズ形状および収差曲線図、第13図及び第14図は実施例2
のレンズ形状および収差曲線図、第15図及び第16図は実
施例3のレンズ形状および収差曲線図、第17図及び第18
図は実施例4のレンズ形状および収差曲線図、第19図及
び第20図は実施例5のレンズ形状および収差曲線図、第
21図及び第22図は実施例6のレンズ形状および収差曲線
図、第23図及び第24図は実施例7のレンズ形状および収
差曲線図、第25図及び第26図は実施例8のレンズ形状お
よび収差曲線図、第27図及び第28図は実施例9のレンズ
形状および収差曲線図、第29図及び第30図は実施例10の
レンズ形状および収差曲線図、第31図及び第32図は実施
例11のレンズ形状および収差曲線図、第33図及び第34図
は実施例12のレンズ形状および収差曲線図、第35図は従
来の超音波装置の構成の概略を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−50945(JP,A) 特開 昭55−58697(JP,A) 特開 昭48−3327(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10K 11/30 G01N 29/04 504 G03B 42/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】物体より発する音波を結像させるための音
    響レンズ系において、 音束絞りに対して凹面を向けたレンズと音束絞りに対し
    て凸面を向けたレンズとを、音束絞りの物体側及び像側
    に、前記音束絞りに対して凹面を向けたレンズが前記音
    束絞りから遠い位置になるようにそれぞれ配置し、 前記音束絞りに対する凹面が非球面であることを特徴と
    する音響レンズ系。
  2. 【請求項2】物体より発する音波を結像させるための音
    響レンズ系において、 該レンズ系を構成する音響レンズの少なくとも1つの面
    を非球面とし、 前記音響レンズ系は内部に音束絞りを備えており、 前記非球面が該音響レンズ系の軸から離れるにつれて曲
    率が緩くなるような形状を有し、 以下の条件を満足することを特徴とする音響レンズ系。 ΣPOidOi>ΣPTjdTj ただし、PTj、POiは夫々前記音響レンズ系を構成する各
    音響レンズの前記音束絞りに対して凸の面、凹の面の屈
    折力、dTj、dOiは夫々各面の前記音束絞りからの距離で
    ある。
  3. 【請求項3】物体より発する音波を結像させるための音
    響レンズ系において、 該レンズ系を構成する音響レンズの少なくとも1つの面
    を非球面とし、 前記音響レンズ系は内部に音束絞りを備えており、 前記非球面が該音響レンズ系の軸から離れるにつれて曲
    率が緩くなるような形状を有し、 以下の条件を満足することを特徴とする音響レンズ系。 RO<RT ただし、RT、ROは夫々前記音響レンズ系を構成する各音
    響レンズの前記音束絞りに対して凸の面、凹の面の曲率
    半径の平均値である。
JP02089319A 1990-04-03 1990-04-04 音響レンズ系 Expired - Fee Related JP3105516B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02089319A JP3105516B2 (ja) 1990-04-04 1990-04-04 音響レンズ系
US07/680,235 US5333503A (en) 1990-04-04 1991-04-03 Acoustic lens system
US08/258,814 US5481918A (en) 1990-04-03 1994-06-13 Acoustic lens system

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02089319A JP3105516B2 (ja) 1990-04-04 1990-04-04 音響レンズ系

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03288198A JPH03288198A (ja) 1991-12-18
JP3105516B2 true JP3105516B2 (ja) 2000-11-06

Family

ID=13967348

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP02089319A Expired - Fee Related JP3105516B2 (ja) 1990-04-03 1990-04-04 音響レンズ系

Country Status (2)

Country Link
US (2) US5333503A (ja)
JP (1) JP3105516B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6278656B1 (en) 1999-09-02 2001-08-21 Lightpath Technologies, Inc. Manipulation of acoustic waves using a functionally graded material and process for making the same
US20030049866A1 (en) * 2001-09-05 2003-03-13 Genicon Sciences Corporation Sample device preservation
US7263888B2 (en) * 2003-10-16 2007-09-04 General Electric Company Two dimensional phased arrays for volumetric ultrasonic inspection and methods of use
EP1945133B1 (en) * 2005-10-19 2017-03-29 Aluizio M. Cruz System and method for collecting and transmitting radiation
US20120289813A1 (en) * 2007-07-16 2012-11-15 Arnold Stephen C Acoustic Imaging Probe Incorporating Photoacoustic Excitation
US7770689B1 (en) * 2009-04-24 2010-08-10 Bacoustics, Llc Lens for concentrating low frequency ultrasonic energy
JP5483341B2 (ja) * 2010-02-19 2014-05-07 株式会社神戸製鋼所 超音波顕微鏡
JP5574927B2 (ja) * 2010-11-19 2014-08-20 キヤノン株式会社 測定装置
JP5851208B2 (ja) * 2011-11-07 2016-02-03 株式会社日立製作所 水中映像取得装置
CN111112037A (zh) * 2020-01-20 2020-05-08 重庆医科大学 透镜式多频聚焦超声换能器、换能***及其声焦域轴向长度的确定方法

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3618696A (en) * 1969-05-07 1971-11-09 Westinghouse Electric Corp Acoustic lens system
US3618692A (en) * 1969-11-04 1971-11-09 Universal Oil Prod Co Vehicle cab suspension
US3620326A (en) * 1970-02-20 1971-11-16 Us Navy Athermal acoustic lens
US3735336A (en) * 1971-03-10 1973-05-22 Ampex Acoustic lens
US3903909A (en) * 1971-10-15 1975-09-09 Tore H Noren Apparatus for washing, rinsing, and sterilizing dishes
US3982223A (en) * 1972-07-10 1976-09-21 Stanford Research Institute Composite acoustic lens
JPS4963401A (ja) * 1972-10-18 1974-06-19
US3866711A (en) * 1973-06-04 1975-02-18 Us Navy Solid ultrasonic lens doublet
US3958559A (en) * 1974-10-16 1976-05-25 New York Institute Of Technology Ultrasonic transducer
US4001766A (en) * 1975-02-26 1977-01-04 Westinghouse Electric Corporation Acoustic lens system
US4183249A (en) * 1975-03-07 1980-01-15 Varian Associates, Inc. Lens system for acoustical imaging
GB1546445A (en) * 1975-03-07 1979-05-23 Varian Associates Lens system for acoustical imaging
JPS55103600A (en) * 1979-02-05 1980-08-07 Tokyo Shibaura Electric Co Acoustic lense
US4332018A (en) * 1980-02-01 1982-05-25 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Navy Wide band mosaic lens antenna array
US4409839A (en) * 1981-07-01 1983-10-18 Siemens Ag Ultrasound camera
US4457175A (en) * 1982-05-17 1984-07-03 Siemens Ag Insonification apparatus for an ultrasound transmission system

Also Published As

Publication number Publication date
US5333503A (en) 1994-08-02
JPH03288198A (ja) 1991-12-18
US5481918A (en) 1996-01-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3105516B2 (ja) 音響レンズ系
JP4195292B2 (ja) 反射光学系及び反射屈折系を利用した結像システム
WO2013183302A1 (ja) 音響光学撮像装置
EP2037307A1 (en) Optical system
US20130301114A1 (en) Acousto-optic imaging device
JP6255268B2 (ja) 大開口数で撮像するための多重反射素子を有する反射屈折光学系
JP5479206B2 (ja) 反射屈折光学系及びそれを有する撮像装置
JPH0454928B2 (ja)
US3982223A (en) Composite acoustic lens
JP2007170888A (ja) 光学素子検査装置
JP2763326B2 (ja) 超音波用結像レンズ系
US4457175A (en) Insonification apparatus for an ultrasound transmission system
CN113311573B (zh) 包含一个非球面折反射全景成像光学***
US7046449B2 (en) Solid immersion lens and sample observation method using it
JPH03113362A (ja) 円錐状超音波偏向要素
CN116931245A (zh) 一种红外共聚焦成像***
JP2003005073A (ja) 軸外し反射光学系
JP3339934B2 (ja) f・θレンズ
JPH10142497A (ja) 赤外用光学系
CN115469436A (zh) 紧凑型全景环带光学***
US6237419B1 (en) Aspherical curved element transducer to inspect a part with curved entry surface
Choi et al. Development of an omnidirectional optical system based photoacoustic instrumentation
JP2000299806A (ja) 撮像装置
JPH116955A (ja) 光学系
RU2238576C1 (ru) Способ фокусировки волнового поля и устройство для его осуществления

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees