JP3103800B2 - 高電圧絶縁部材 - Google Patents
高電圧絶縁部材Info
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、電圧を絶縁する部
材の形状に係わり、特に高電圧放電を生じにくい荷電粒
子線用加速管、絶縁碍子等に関する。
材の形状に係わり、特に高電圧放電を生じにくい荷電粒
子線用加速管、絶縁碍子等に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来の高電圧絶縁部材は、例えば、特開
平４−３２２０１５号に記載のように、絶縁部材（この
例では円筒状碍子）の、導電性部材との接合部周辺に導
電性皮膜をほどこした溝を設け、縁面方向と電界方向を
違え、銀ロウ等の接合材が溝の外まで流れ出さないよう
にして、この接合部での微少放電を生じにくくし、大き
な放電の誘発を未然に防止しようとするものであった。
平４−３２２０１５号に記載のように、絶縁部材（この
例では円筒状碍子）の、導電性部材との接合部周辺に導
電性皮膜をほどこした溝を設け、縁面方向と電界方向を
違え、銀ロウ等の接合材が溝の外まで流れ出さないよう
にして、この接合部での微少放電を生じにくくし、大き
な放電の誘発を未然に防止しようとするものであった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、原理
的には放電防止に効果があるが、接合部が溝部の肩と導
電性部材の金具の影にかくれて検査しにくく、ここに細
かいゴミ等の異物がはいると取り除きにくく、サンドブ
ラスト等で接合部を完全にクリーニングすることが困難
であること、製作に際して絶縁部材に溝部をつくる加工
が新たに必要になること、溝の肩の絶縁部に電界が集中
し、導電性部材との間隙を精度良くコントロールしない
と、この部分で放電しやすくなる等の課題がある。
的には放電防止に効果があるが、接合部が溝部の肩と導
電性部材の金具の影にかくれて検査しにくく、ここに細
かいゴミ等の異物がはいると取り除きにくく、サンドブ
ラスト等で接合部を完全にクリーニングすることが困難
であること、製作に際して絶縁部材に溝部をつくる加工
が新たに必要になること、溝の肩の絶縁部に電界が集中
し、導電性部材との間隙を精度良くコントロールしない
と、この部分で放電しやすくなる等の課題がある。
【０００４】本発明は、絶縁部材への簡単な加工で銀ロ
ウ等の接合材の不必要なはみ出しを防いで放電防止に効
果があり、クリーニング等のメインテナンスも容易な高
電圧絶縁部材を提供することを目的とする。
ウ等の接合材の不必要なはみ出しを防いで放電防止に効
果があり、クリーニング等のメインテナンスも容易な高
電圧絶縁部材を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】絶縁部材の導電性部材と
の接合端面（上記従来技術の例では円筒状碍子の端面）
の周囲を、接合端面から絶縁部材の外周面にむかって異
なる傾斜で少なくとも二重に囲むよう面取りし、ロウ材
のはみ出しを、接合面に最も近い面取り面上にとどめる
ことにより上記課題を解決する。
の接合端面（上記従来技術の例では円筒状碍子の端面）
の周囲を、接合端面から絶縁部材の外周面にむかって異
なる傾斜で少なくとも二重に囲むよう面取りし、ロウ材
のはみ出しを、接合面に最も近い面取り面上にとどめる
ことにより上記課題を解決する。
【０００６】前記構造のような高電圧絶縁部材において
放電が問題となるとき、放電の道筋は、メタライズ層の
縁部に生じるロウ材のはみ出し上の微細な突起から微少
放電がはじまり、絶縁耐力が小さい絶縁部材表面を通り
他方の導電性部材へとぬけることが多い。
放電が問題となるとき、放電の道筋は、メタライズ層の
縁部に生じるロウ材のはみ出し上の微細な突起から微少
放電がはじまり、絶縁耐力が小さい絶縁部材表面を通り
他方の導電性部材へとぬけることが多い。
【０００７】本発明によれば、溶融したロウ材の表面張
力により、絶縁部材のメタライズ層の縁部に生じるロウ
材のはみ出しは、接合面に接した最も内側の面取り面上
に収まり、その外側へは及ばない。最も内側の面取り面
は、その外側の面取り面や絶縁部材側面にくらべて、そ
の沿面の電界方向の成分が小さい為、はみ出したロウ材
上の微細な突起に電界集中がしにくく微少放電がはじま
りにくい。微少放電により生じた２次電子も、最も内側
の面取り面上では加速されにくく、大きな放電に発展し
にくい。そのために安定して高電圧が印加できる。
力により、絶縁部材のメタライズ層の縁部に生じるロウ
材のはみ出しは、接合面に接した最も内側の面取り面上
に収まり、その外側へは及ばない。最も内側の面取り面
は、その外側の面取り面や絶縁部材側面にくらべて、そ
の沿面の電界方向の成分が小さい為、はみ出したロウ材
上の微細な突起に電界集中がしにくく微少放電がはじま
りにくい。微少放電により生じた２次電子も、最も内側
の面取り面上では加速されにくく、大きな放電に発展し
にくい。そのために安定して高電圧が印加できる。
【０００８】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態のひとつを図
１、図２により説明する。これは、電子顕微鏡用の加速
管に本発明を応用したものである。
１、図２により説明する。これは、電子顕微鏡用の加速
管に本発明を応用したものである。
【０００９】図１は加速管の主要部（加速管上下のフラ
ンジと加速電極を除いた部分）の縦断面の拡大図であ
り、電極支持リング３を挟んで円筒状碍子１が多段に積
み上げられている状態を示す。絶縁部材である円筒状碍
子１はアルミナセラミックス等から成る。この円筒状碍
子１は、図２に示すように、接合端面１０を平坦に仕上
げ、モリブデン−マンガン等の高融点金属粉末を含む導
電性皮膜２を施す（メタライズ処理）。第１の面取り面
５は端面の周囲を端面にむかってθ1（例えば１５度）
の角度で面取りした面である。さらにその周囲を端面に
むかってθ2（例えば４５度）の角度で面取りして第２
の面取り面６を形成する。ここで、θ1＜θ2である。
ンジと加速電極を除いた部分）の縦断面の拡大図であ
り、電極支持リング３を挟んで円筒状碍子１が多段に積
み上げられている状態を示す。絶縁部材である円筒状碍
子１はアルミナセラミックス等から成る。この円筒状碍
子１は、図２に示すように、接合端面１０を平坦に仕上
げ、モリブデン−マンガン等の高融点金属粉末を含む導
電性皮膜２を施す（メタライズ処理）。第１の面取り面
５は端面の周囲を端面にむかってθ1（例えば１５度）
の角度で面取りした面である。さらにその周囲を端面に
むかってθ2（例えば４５度）の角度で面取りして第２
の面取り面６を形成する。ここで、θ1＜θ2である。
【００１０】本実施例では面取り面５上の、端面１０に
接する側半分ほどにもメタライズ処理が施してあるが、
面取り面５上のメタライズ処理はなくてもよいし、端面
１０のメタライズ処理がはみだしても、また面取り面５
全面にあってもよい。ただし面取り面６にはメタライズ
処理がはみ出してはならない。メタライズ処理して導電
性皮膜をほどこした部分まではロウ材が流れるからであ
る。
接する側半分ほどにもメタライズ処理が施してあるが、
面取り面５上のメタライズ処理はなくてもよいし、端面
１０のメタライズ処理がはみだしても、また面取り面５
全面にあってもよい。ただし面取り面６にはメタライズ
処理がはみ出してはならない。メタライズ処理して導電
性皮膜をほどこした部分まではロウ材が流れるからであ
る。
【００１１】面取り面６と円筒状碍子１の側面との交差
部のエッジをとるために面取り面６の外側にさらに面と
り面を設けてもよい。あるいは面取り面６は錐面である
必要はなく、エッジ保護のため２方向に曲率を持つ曲面
としてもよい。
部のエッジをとるために面取り面６の外側にさらに面と
り面を設けてもよい。あるいは面取り面６は錐面である
必要はなく、エッジ保護のため２方向に曲率を持つ曲面
としてもよい。
【００１２】複数の円筒状碍子１を、導電性部材として
鉄−コバルト−ニッケル合金等から成る電極支持リング
３を介して、所定の段数だけ積み重ねて、円筒状碍子１
及び導電性皮膜２と電極支持リング３間を銀ロウ等のロ
ウ材４でロウ付けした後、その上下にフランジを溶接し
て多段加速管を形成する。
鉄−コバルト−ニッケル合金等から成る電極支持リング
３を介して、所定の段数だけ積み重ねて、円筒状碍子１
及び導電性皮膜２と電極支持リング３間を銀ロウ等のロ
ウ材４でロウ付けした後、その上下にフランジを溶接し
て多段加速管を形成する。
【００１３】加速管内部（円筒の内側）には電子を加速
する加速電極（図示せず）が電極支持リング３の各々に
とりつけられる。各電極支持リングと加速電極は加速管
外部からブリーダ抵抗（図示せず）等を介して、絶縁ガ
ス雰囲気中で所定の電位を与えられる。加速管内は真空
に排気され、電子はその真空中を走行し、加速電極によ
り円筒の軸方向に順次加速され最終的に所定のエネルギ
ーを得る。
する加速電極（図示せず）が電極支持リング３の各々に
とりつけられる。各電極支持リングと加速電極は加速管
外部からブリーダ抵抗（図示せず）等を介して、絶縁ガ
ス雰囲気中で所定の電位を与えられる。加速管内は真空
に排気され、電子はその真空中を走行し、加速電極によ
り円筒の軸方向に順次加速され最終的に所定のエネルギ
ーを得る。
【００１４】一般にこのような構造の加速管において
は、放電が最も発生しやすい場所は、絶縁性部材と導電
性部材と、真空もしくは絶縁性ガスの三者が接するとこ
ろである。すなわちロウ材４が円筒状碍子１に向かって
はみ出した縁部である。この部分のロウ材表面は、ロウ
材内部より先に冷えて固まるので、内部が遅れて固まる
ときに内部から引っ張られ、表面に微細な亀裂や突起が
できる。そこに電圧がかかると、電界集中をおこし微少
放電をおこしやすい。この微少放電から発生した電子流
が相対的に正となる電位方向に加速され、円筒状碍子１
内から発生する２次電子を伴って大きな電子流となり、
対向する正の電極に到達して大きな放電になる。
は、放電が最も発生しやすい場所は、絶縁性部材と導電
性部材と、真空もしくは絶縁性ガスの三者が接するとこ
ろである。すなわちロウ材４が円筒状碍子１に向かって
はみ出した縁部である。この部分のロウ材表面は、ロウ
材内部より先に冷えて固まるので、内部が遅れて固まる
ときに内部から引っ張られ、表面に微細な亀裂や突起が
できる。そこに電圧がかかると、電界集中をおこし微少
放電をおこしやすい。この微少放電から発生した電子流
が相対的に正となる電位方向に加速され、円筒状碍子１
内から発生する２次電子を伴って大きな電子流となり、
対向する正の電極に到達して大きな放電になる。
【００１５】本実施例においては、ロウ材融解時の表面
張力を利用することにより、面取り面５と電極支持リン
グ３とで挟まれた隙間に、ロウ材４を充填し、その周囲
の面取り面６には、はみださないようにすることが容易
にできる。さらにこの最も内側の面取り面（第１の面取
り面５）の一部まで導電性皮膜を施せば、ロウ材が誘導
されるので、そのはみ出しが、より均等に、確実に第１
の面取り面５内に収まり、上記のような放電しにくい構
造がより容易に達成される。
張力を利用することにより、面取り面５と電極支持リン
グ３とで挟まれた隙間に、ロウ材４を充填し、その周囲
の面取り面６には、はみださないようにすることが容易
にできる。さらにこの最も内側の面取り面（第１の面取
り面５）の一部まで導電性皮膜を施せば、ロウ材が誘導
されるので、そのはみ出しが、より均等に、確実に第１
の面取り面５内に収まり、上記のような放電しにくい構
造がより容易に達成される。
【００１６】本実施例では加速管への本発明の応用を示
したが、本発明はそれだけに限定されるものではなく、
ロウ付けする碍子の形状を円筒形、棒型等用途別に選ぶ
ことにより、加速管のように真空を保てる構造のものか
ら、単純な絶縁棒までいろいろな高電圧絶縁部材に応用
できる。接合部へ付着するの異物検査やサンドブラスト
によるクリーニングも前記従来技術の場合より容易であ
る。
したが、本発明はそれだけに限定されるものではなく、
ロウ付けする碍子の形状を円筒形、棒型等用途別に選ぶ
ことにより、加速管のように真空を保てる構造のものか
ら、単純な絶縁棒までいろいろな高電圧絶縁部材に応用
できる。接合部へ付着するの異物検査やサンドブラスト
によるクリーニングも前記従来技術の場合より容易であ
る。
【００１７】
【発明の効果】絶縁部材の端部を少なくとも２重に面取
りすることにより、絶縁部材と金属部材とをロウづけ接
合したときに生じるロウ材のはみ出しを、最も内側の面
取り面内に収めることができる。この最も内側の面取り
面は、その外側の面取り面や絶縁部材側面にくらべて、
その沿面の電界方向の成分が小さい為、はみ出したロウ
材上の微細な突起に電界が集中しても微少放電がはじま
りにくい。微少放電により生じた２次電子も、最も内側
の面取り面上では加速されにくく、大きな放電に発展し
にくい。そのために安定して高電圧が印加できる。
りすることにより、絶縁部材と金属部材とをロウづけ接
合したときに生じるロウ材のはみ出しを、最も内側の面
取り面内に収めることができる。この最も内側の面取り
面は、その外側の面取り面や絶縁部材側面にくらべて、
その沿面の電界方向の成分が小さい為、はみ出したロウ
材上の微細な突起に電界が集中しても微少放電がはじま
りにくい。微少放電により生じた２次電子も、最も内側
の面取り面上では加速されにくく、大きな放電に発展し
にくい。そのために安定して高電圧が印加できる。
【図１】本発明の一実施例で、加速管主要部の縦断面の
拡大図。
拡大図。
【図２】図１の一実施例の円筒状碍子の側面の縦断面の
拡大図。
拡大図。
１：円筒状碍子、２：導電性皮膜、３：電極支持リン
グ、４：ロウ材、５：円筒状碍子の第１の面取り面、
６：円筒状碍子の第２の面取り面、１０：円筒状碍子の
端面。
グ、４：ロウ材、５：円筒状碍子の第１の面取り面、
６：円筒状碍子の第２の面取り面、１０：円筒状碍子の
端面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古津 忠夫 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地株式会 社日立製作所基礎研究所内 (72)発明者 吉田 高穂 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地株式会 社日立製作所基礎研究所内 (72)発明者 松井 功 茨城県ひたちなか市市毛882番地株式会 社日立製作所計測器事業部内 (72)発明者 首藤 弘之 滋賀県蒲生郡蒲生町川合10−１京セラ株 式会社 滋賀工場 メタライズ部品事業 部内 (56)参考文献 特開 平１−130455（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−322015（ＪＰ，Ａ) 特開 平10−92363（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) H01B 17/56 H01B 17/50 H01J 37/04
Claims (2)
- 【請求項１】端部をロウ材で金属材料に接合される高電
圧絶縁部材であって、該絶縁部材の接合端面から少なく
とも二つの異なる角度の連続した面取り面を介して該絶
縁部材の周面に至ることを特徴とする高電圧絶縁部材。 - 【請求項２】前記接合端面に最も近い面取り面の全面ま
たは一部に導電性皮膜を施したことを特徴とする請求項
１に記載の高電圧絶縁部材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11064233A JP3103800B2 (ja) | 1999-03-11 | 1999-03-11 | 高電圧絶縁部材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11064233A JP3103800B2 (ja) | 1999-03-11 | 1999-03-11 | 高電圧絶縁部材 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000260242A JP2000260242A (ja) | 2000-09-22 |
| JP3103800B2 true JP3103800B2 (ja) | 2000-10-30 |
Family
ID=13252212
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11064233A Expired - Fee Related JP3103800B2 (ja) | 1999-03-11 | 1999-03-11 | 高電圧絶縁部材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3103800B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR101784224B1 (ko) * | 2015-10-29 | 2017-10-11 | 주식회사 해태디앤에스 | 수제 빙과 제조 장치 및 방법 |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP2406810B1 (en) | 2008-10-01 | 2014-09-17 | Mapper Lithography IP B.V. | Electrostatic lens structure |
-
1999
- 1999-03-11 JP JP11064233A patent/JP3103800B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR101784224B1 (ko) * | 2015-10-29 | 2017-10-11 | 주식회사 해태디앤에스 | 수제 빙과 제조 장치 및 방법 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2000260242A (ja) | 2000-09-22 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |