JP3236472B2 - 電磁界重畳型対物レンズ - Google Patents

電磁界重畳型対物レンズ

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JP3236472B2 JP12633995A JP12633995A JP3236472B2 JP 3236472 B2 JP3236472 B2 JP 3236472B2 JP 12633995 A JP12633995 A JP 12633995A JP 12633995 A JP12633995 A JP 12633995A JP 3236472 B2 JP3236472 B2 JP 3236472B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査電子顕微鏡などの
対物レンズに用いて最適な高分解能の電磁界重畳型対物
レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体素子の微細化や複雑化に伴
って、これらの素子の製造過程における形状検査に、ウ
エハやマスク等の大型で平坦な物体をあらゆる方向から
観察する必要性が高まっている。この目的に合致する走
査電子顕微鏡用対物レンズとして、本発明者は、特開平
1−298566号に記載されたレンズを実用化し、既
に一定の成果を得ている。
【0003】この先願の発明を図1に示す。図中1は電
子線通過孔Pを有する円錐形ボビン、2はコイル、3は
ヨーク、4はウエハなどの平板状の試料であり、試料4
はヨーク3に沿って傾斜して配置されている。この構成
で、円錐形ボビン1の外側に数層にわたって巻き回され
るコイル2の巻き数を層ごとに変えるようにしており、
その結果、コイルの軸に沿った巻線数の分布が対物レン
ズの電子線入射側より電子線出射側で大きくなるように
構成されている。このように構成することにより、レン
ズ主面と磁場ピークを試料4に近付けることができる。
【0004】図2に示した構成は、図1の構成の変形で
あり、図1と同一番号は同一構成要素を示している。こ
の図2の構成では、ボビンとして、漏斗形ボビン5が設
けられている。そして、漏斗形ボビン5の外側(斜線
部)に数層にわたって巻き回されるコイル2の巻き数を
層ごとに変えてコイル2によって形成されるコイル外側
面がほぼ円錐状に形成されるように構成している。この
ため、コイル2の軸に沿った巻線数の分布が対物レンズ
の電子線入射側と電子線出射側に向けて徐々に少なくな
る。
【0005】この図2に示した対物レンズの軸上磁場分
布の場合、図1の対物レンズの軸上磁場分布に比べ、更
にレンズ主面と磁場ピークが試料4に近付くため、レン
ズ性能が更に向上する。
【0006】上述した図1および図2に示した対物レン
ズは、対物レンズ外形を頂角60°の円錐台状となし、
試料を60°まで傾斜可能にした上で、コイルの巻線分
布を円錐台頂面で多く、底面に近付くにしたがって少な
くしたことである。このような構成とすることにより、
対物レンズ主面を可能な限り円錐台頂面に近付けるよう
にした。周知のごとく、磁界型レンズの収差は、レンズ
主面が試料に近いほど小さくなるので、上記レンズは6
0°傾斜時にも小さい収差を達成することができる。
【0007】しかしながら、半導体の集積度の向上は急
速に進み、走査電子顕微鏡には更なる分解能の向上が要
求されるようになった。図3は最近提案された電磁界重
畳型対物レンズの断面図を示しているが、このレンズ
は、磁界レンズと電界レンズ(減速バイポテンシャル
型)を重畳させたものである。
【0008】図3において、6は磁界レンズの下側ヨー
ク、7は上側ヨーク、8はコイルである。磁界レンズの
上側ヨーク7の内側には、電界レンズの一方の電極9が
配置されているが、この電極9は円錐筒状に形成されて
いる。また、下側ヨーク6の先端部分には、電界レンズ
の他方の電極10が設けられており、図示していない
が、電極9と10との間には電圧が印加される。
【0009】図3は対物レンズの断面を示しており、実
際には断面は左右対称の形状となっているが、図では左
側の断面に電界レンズと電界の等ポテンシャル線を示
し、右側には磁界レンズと磁場の等ポテンシャル線を示
している。
【0010】このレンズは、電極先端から(4+α)m
mの位置において、試料を50°まで傾斜できる。な
お、このαは、試料を50°傾斜させた時、試料がレン
ズ外壁に接触しないための機械的クリアランスである。
このレンズは、例えば、ワーキングディスタンスWDが
4mmにおいて、減速比Vi/Vo=1/17とするこ
とにより、球面収差Cs=3.7mm、色収差Cc=
1.8mmが得られたとしている。なお、Viは電子線
の加速電圧(=エミッターから見た試料の電位)、Vo
は中間加速電圧(エミッター基準)である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】図3の構成の対物レン
ズの上記した収差の値は、図1,図2に示したレンズと
比べ、ほぼ1/10と非常に高性能であるが、以下に述
べるような欠点を有している。まず第1に試料を50°
程度までしか傾斜させることができない。試料の傾斜可
能角度は、大きいほど走査電子顕微鏡観察から得られる
情報が多くなり、50°では不足と考えられ、60°程
度が望ましい。
【0012】第2に次の4つの理由から試料を60°ま
で傾斜させるように設計し直すことができない。 下側磁極6を頂角60°としたとき、上側磁極7内径
と先端位置を同じに保った場合、これと下側磁極6が近
付き過ぎ、磁気飽和が比較的低い励磁で生じる。したが
って、使用可能な最大加速電圧が低くならざるを得な
い。
【0013】上記したの理由から、先端位置を上方
に上げれば、磁気飽和は避けられるが、磁界レンズ主面
が上方に移行し、重畳場レンズとしての性能も悪くな
る。
【0014】上記したの理由で上側磁極7内径を小
さくすれば、やはり磁気飽和は避けられるが、今度は高
電圧の電極と近付くことになり、放電が生じやすくなっ
て実用にはならない。また、電極内径を小さくすれば、
放電は避けられるが、レンズ性能が大幅に悪化する。
【0015】上記したの理由で、上電極電圧Voを
下げれば、放電を避けることができるが、減速比Vi/
Voが大きくなってしまい、性能は大幅に悪化する。 第3に、磁界レンズ単独性能が図1や図2に示したレン
ズと比べて悪い。図3に示したレンズは、電極耐電圧の
関係で、高電圧パイプの対地電圧(Vo−Vi)を一定
としている。したがって、加速電圧Viを大きくした
時、減速比Vi/Voは増加する。例えば、Vi=50
0V、Vo−Vi=8kVの時には、Vi/Vo=1/
17であるが、Vi=15kVの時には、Vi/Vo=
15/23=1/1.53まで大きくなる。ことのとき
の重畳場レンズの性能は、磁界単独レンズのそれとほぼ
等しくなる。図3の磁界レンズは、図1や図2の形状の
レンズが出現する以前の伝統的な形状をしており、磁界
レンズとして50°傾斜状態で最高性能を追及したもの
ではないので当然といえば当然である。
【0016】図4は高電圧パイプの対地電圧(Vo−V
i)を8kVに固定してViを0.5kVから15kV
まで変化させたときのCsとCcをグラフにしたもので
ある。このグラフではCs,Cc共に2本の曲線が描か
れているが、曲線Aは円錐頂点と光軸の交わる位置(作
動距離WD=4mm)に試料を配置したときに対応して
おり、曲線Bはその位置より2mm試料を下げたときに
対応したものである。
【0017】図中の一点鎖線は、図1の構成のレンズ
で、60°傾斜可能位置(機械的クリアランスを含んだ
位置)におけるCs,Ccの値を示している。このグラ
フから分かるように、加速電圧が4.4kV以上では、
Csは図1のレンズより悪化する。これは、重畳する磁
界レンズの性能が悪いためである。
【0018】本発明は、このような点に鑑みてなされた
もので、その目的は、CsとCcの値を小さくし、高分
解能の電磁界重畳型対物レンズを実現するにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、ほぼ
コニカル形状に形成された磁極と、この磁極の内側に配
置されたコイルと、コイルの内側に配置された絶縁体
と、電子ビーム通路を囲むように絶縁体の内側に配置さ
れた高抵抗体とを備えており、高抵抗体両端に電圧を印
加するように構成したことを特徴としている。
【0020】請求項2の発明は、請求項1記載の電磁界
重畳型対物レンズにおいて、高抵抗体を膜状に形成した
ことを特徴としている。請求項3の発明は、請求項1記
載の電磁界重畳型対物レンズにおいて、高抵抗体をパイ
プ状に形成したことを特徴としている。
【0021】請求項4の発明は、請求項1記載の電磁界
重畳型対物レンズにおいて、高抵抗体の内側に多数の導
電性パイプを配置したことを特徴としている。請求項5
の発明は、請求項1〜4記載の電磁界重畳型対物レンズ
において、コイルと高抵抗体との間に放熱用の材料を設
けたことを特徴としている。
【0022】請求項6の発明は、ほぼコニカル形状に形
成された磁極と、この磁極の内側に配置されたコイル
と、コイルの内側に配置された絶縁体と、絶縁体の内側
にリング状の高抵抗体と導電体とを積層した部材とを備
えており、この部材両端に電圧を印加するように構成し
たことを特徴としている。
【0023】請求項7の発明は、ほぼコニカル形状に形
成された磁極と、この磁極の内側に配置されたコイル
と、コイルの内側に配置された絶縁体と、絶縁体の内側
に多数のリング状の高抵抗体を積層した部材とを備えて
おり、このリング状の高抵抗体の間に金属を挾むように
し、部材両端に電圧を印加するように構成したことを特
徴としている。
【0024】
【作用】請求項1の発明は、ほぼコニカル形状に形成さ
れた磁極と、この磁極の内側に配置されたコイルと、コ
イルの内側に配置された絶縁体と、電子ビーム通路を囲
むように絶縁体の内側に配置された高抵抗体とを備えて
おり、高抵抗体両端に電圧を印加するように構成し、静
電レンズ作用が磁界レンズの磁束密度ピーク位置より試
料側で生じるようにした。
【0025】請求項2の発明は、請求項1記載の電磁界
重畳型対物レンズにおいて、高抵抗体を膜状に形成し
た。請求項3の発明は、請求項1記載の電磁界重畳型対
物レンズにおいて、高抵抗体をパイプ状に形成した。
【0026】請求項4の発明は、請求項1記載の電磁界
重畳型対物レンズにおいて、高抵抗体の内側に多数の導
電性パイプを配置し、高抵抗体の不均一性に伴う等電位
面の乱れを補正した。
【0027】請求項5の発明は、請求項1〜4記載の電
磁界重畳型対物レンズにおいて、コイルと高抵抗体との
間に放熱用の材料を設け、コイルの発熱を効率よく発散
させる。
【0028】請求項6の発明は、ほぼコニカル形状に形
成された磁極と、この磁極の内側に配置されたコイル
と、コイルの内側に配置された絶縁体と、絶縁体の内側
にリング状の高抵抗体と導電体とを積層した部材とを備
えており、この部材両端に電圧を印加するように構成
し、静電レンズ作用が磁界レンズの磁束密度ピーク位置
より試料側で生じるようにした。
【0029】請求項7の発明は、ほぼコニカル形状に形
成された磁極と、この磁極の内側に配置されたコイル
と、コイルの内側に配置された絶縁体と、絶縁体の内側
に多数のリング状の高抵抗体を積層した部材とを備えて
おり、このリング状の高抵抗体の間に金属を挾むように
し、部材両端に電圧を印加するように構成しし、静電レ
ンズ作用が磁界レンズの磁束密度ピーク位置より試料側
で生じるようにした。
【0030】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。図5は、本発明に基づく電磁界重畳型対物
レンズを示しており、11は円錐形状の磁性体で形成さ
れた磁極である。この円錐形状の磁極11は薄肉に形成
されており、この磁極11の内側の壁部に沿って薄肉形
状にコイル12が巻かれている。コイル12の内側に
は、コイル12の巻枠と放熱路を兼ねた銅などで形成さ
れた放熱部材13が配置されている。これら磁極11、
コイル12、放熱部材13により、円錐形状の磁界レン
ズが形成される。
【0031】上記円錐形状磁界レンズと同軸に、放熱部
材13の内側にセラミツクなどで形成された中空の絶縁
部材14が設けられている。この絶縁部材14の内側に
は、炭化シリコンなどの高抵抗材料の膜15が形成され
ている。この膜15の両端部の間には電源16から電圧
が印加される。その結果、高抵抗膜15の上端部(電子
銃側)には高電圧が印加され、高抵抗膜15の下端部
(試料側)は接地電位かあるいは小電圧が印加される。
【0032】なお、絶縁部材14の上部内壁部分17
は、メタライズ処理が施されており、また、絶縁部材1
4の下端部には高抵抗膜15に接続された電極18が設
けられていて、実際には、このメタライズ処理部17と
電極15とが電源16に接続される。このような構成の
動作を次に説明する。
【0033】コイル12に電流を流すと、磁界レンズ内
部に軸対称な磁界が生じる。得られる軸上磁束密度(B
z)分布は、図6に示すように磁性体磁極11の下端部
付近にピークを有することになる。従って、磁界レンズ
としてのレンズ主面は、試料(レンズの下部に配置され
る)に近付き、例えば、図3のレンズと比べて小さな収
差が得られることになる。
【0034】また、高抵抗膜15に電源16から高電圧
を印加すると、高抵抗膜15の上端部から下端部に向け
て微小な電流が流れ、高抵抗膜長手方向(電子線の光軸
方向)に電圧降下が生じる。このとき、高抵抗膜15の
形状や厚みが光軸に対して対称に作られているので、等
電位面は軸対称となる。図7は高抵抗膜15の内部空間
の等電位線(図7(a))と、軸上電位分布(図7
(a))を示している。
【0035】図5の構成で、電界と磁界を同時に励起し
たときの軸上磁束密度B、軸上電位V、電子軌道Tおよ
びCs,Ccの積分公式における被積分関数Rcs
(z),Rcc(z)の一例を図8に示す。この図8の
例では、高抵抗膜15の上端部に印加する対地電圧V1
を7kV、高抵抗膜15の下端部に印加する対地電圧V
2を0Vとし、加速電圧Viが500Vの電子に対して
計算したものである。
【0036】この図でZ=0は、機械的クリアランスを
含んで試料を60°傾斜可能位置を表している。なお、
このとき必要なアンペアターン(AT)は約500AT
であった。また、この例で得られたCs,Ccの値は、
それぞれ8.0mm,3.6mmであり、図3のレンズ
の加速電圧Vi=0.5kV、α=+2の時の値と同等
の値となる。
【0037】ここで、図3のレンズの軸上磁束密度B、
軸上電位V、電子軌道TおよびCs,Ccの積分公式に
おける被積分関数Rcs(z),Rcc(z)を図9に
示す。この図から分かるように、電界はレンズ先端の電
極間にのみ生じており、この電界の前半は発散レンズと
して働く。この作用により、電子の軌道は一旦半径方向
に大きくなり、その後、後半の集束作用によって試料上
に集束する。
【0038】これに対して、図5のレンズの電位分布
は、図8から分かるように、Z軸の広い範囲に分布して
いる。このレンズの軌道発散作用は、極めて小さく、図
8ではほとんど認識できないほどである。周知の如く、
電子レンズの球面収差の積分公式は、軌道半径の4乗に
比例する成分を含んでいるので、軌道の発散作用の小さ
い高抵抗パイプ形の静電レンズの方がギャップ形静電レ
ンズよりも球面収差が小さい。
【0039】ギャップ形で上極と下極とを離すと、電界
の存在範囲を広げることはできそうだが、実際にはその
ようにはならない。すなわち、ギャップの周囲には磁界
レンズ(下極電位と同電位)が有り、電位降下の大部分
が上極先端に近いところで起きてしまうからである。従
って、上極を持ち上げてギャップを広げることは、実質
的に電界レンズ全体を試料から遠ざけたことと同じにな
り、性能を大幅に悪化させる。
【0040】図8,図9から分かるように、静電レンズ
による集束作用が起こるのは、一次電子が十分減速され
てからである。すなわち、図5における電極18、図3
における電極10の近傍である。この位置を磁束密度の
ピーク位置より試料側に設定してあるので、複合レンズ
としての焦点距離が短くなり、収差係数の大幅な改善が
なされることになる。
【0041】図10は本発明の他の実施例を示してお
り、図5の実施例と同一ないしは類似の構成要素には同
一番号を付し、その詳細な説明は省略する。この実施例
では、絶縁部材14の内側には、高抵抗膜に代え、円筒
状の高抵抗体パイプ20が配置されている。また、絶縁
部材14の内側上部には、金属電極あるいは絶縁体内面
をメタライズして形成された電極21が設けられてい
る。
【0042】高抵抗体パイプ20としては、比抵抗が約
106Ω・cm〜109Ω・cmの範囲にある高抵抗体、
例えば、Si,SiC,CaZrO3などが用いられ
る。これらの高抵抗体物質は、空気中でも安定で、酸化
絶縁層ができにくく、散乱してきた電子が衝突しても、
帯電することがない特徴を有する。
【0043】この図10に示した実施例は、真っ直ぐな
筒状部分のみ高抵抗体パイプ20で形成したので、製造
が容易である利点を有している。もちろん、この利点
は、高抵抗体パイプ20ではなく、高抵抗膜を用いた場
合にも同様に発生する。なお、図10の構成で、最も電
界が強くなるのは、図でAとBとの間であるが、このA
B間には、均質な絶縁体が空間を占めており、真空のギ
ャップよりも絶縁耐圧が増すことになる。従って、真空
ギャップを用いる場合よりも狭い空間に大きな電圧を印
加することができるのでVi /Vo の小さいレンズが
実用になる。
【0044】図11は本発明の他の実施例を示してい
る。この実施例では、高抵抗体20の内側に電界補正用
金属リング22を複数個平行に配置している。高抵抗体
パイプ20は、部分的に厚さが異なるなどし、電界が正
確に軸対称に形成できない場合があるが、この実施例で
は、軸対称に平行に配置された金属パイプにより、高抵
抗体の不均一性に伴う等電位面の乱れを補正している。
なお、金属リング22を形成する場合には、多数の薄肉
の金属リングを高抵抗体パイプ20の内側に嵌合し、そ
の後、この金属リングを一定ピッチで切り離せば良い。
【0045】図12も本発明の他の実施例を示してい
る。この実施例では、絶縁部材14の内側に、高抵抗体
リング23と金属リング24とを積み重ねて配置し、結
果として、図5の実施例における高抵抗膜15や図10
の実施例における高抵抗体パイプ20と同様な効果を得
るようにしている。
【0046】図13も本発明の他の実施例を示してい
る。この実施例では、絶縁部材14の内側に、高抵抗体
リング25を積層して配置しているが、各リングの片面
あるいは両面はメタライズ処理26が施されている。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
基づく電磁界重畳型対物レンズは、ほぼコニカル形状に
形成された磁極と、この磁極の内側に配置されたコイル
と、コイルの内側に配置された絶縁体と、電子ビーム通
路を囲むように絶縁体の内側に配置された高抵抗体とを
備えており、高抵抗体両端に電圧を印加するように構成
し、静電レンズ作用が磁界レンズの磁束密度ピーク位置
より試料側で生じるようにした。この結果、CsとCc
との値を極めて小さくすることができ、高分解能の対物
レンズを提供することができる。
【0048】請求項2の発明は、請求項1記載の電磁界
重畳型対物レンズにおいて、高抵抗体を膜状に形成した
ので、請求項1の発明と同様な効果が得られる。請求項
3の発明は、請求項1記載の電磁界重畳型対物レンズに
おいて、高抵抗体をパイプ状に形成したので請求項1の
発明の効果に加えて、製造が容易な効果を有する。
【0049】請求項4の発明は、請求項1記載の電磁界
重畳型対物レンズにおいて、高抵抗体の内側に多数の導
電性パイプを配置し、高抵抗体の不均一性に伴う等電位
面の乱れを補正した。
【0050】請求項5の発明は、請求項1〜4記載の電
磁界重畳型対物レンズにおいて、コイルと高抵抗体との
間に放熱用の材料を設け、コイルの発熱を効率よく発散
させ、熱による影響を防止した。
【0051】請求項6の発明は、ほぼコニカル形状に形
成された磁極と、この磁極の内側に配置されたコイル
と、コイルの内側に配置された絶縁体と、絶縁体の内側
にリング状の高抵抗体と導電体とを積層した部材とを備
えており、この部材両端に電圧を印加するように構成
し、静電レンズ作用が磁界レンズの磁束密度ピーク位置
より試料側で生じるようにした。この結果、CsとCc
との値を極めて小さくすることができ、高分解能の対物
レンズを提供することができる。
【0052】請求項7の発明は、ほぼコニカル形状に形
成された磁極と、この磁極の内側に配置されたコイル
と、コイルの内側に配置された絶縁体と、絶縁体の内側
に多数のリング状の高抵抗体を積層した部材とを備えて
おり、このリング状の高抵抗体の間に金属を挾むように
し、部材両端に電圧を印加するように構成しし、静電レ
ンズ作用が磁界レンズの磁束密度ピーク位置より試料側
で生じるようにした。この結果、CsとCcとの値を極
めて小さくすることができ、高分解能の対物レンズを提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の円錐形状の対物レンズを示す図である。
【図2】従来の円錐形状の対物レンズを示す図である。
【図3】従来の電磁界重畳型対物レンズを示す図であ
る。
【図4】加速電圧に応じた球面収差Csとコマ収差Cc
を示す図である。
【図5】本発明に基づく電磁界重畳型対物レンズの一実
施例を示す図である。
【図6】図5の対物レンズの軸上磁束密度を示す図であ
る。
【図7】図5のレンズにおける高抵抗体内部空間の等電
位線と軸上電位を示す図である。
【図8】図5のレンズの軸上磁束密度B、軸上電位V、
電子軌道TおよびCs,Ccの積分公式における被積分
関数R(Cs),R(Cc)を示す図である。
【図9】図3のレンズの軸上磁束密度B、軸上電位V、
電子軌道TおよびCs,Ccの積分公式における被積分
関数Rを示す図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す図である。
【図11】本発明の他の実施例を示す図である。
【図12】本発明の他の実施例を示す図である。
【図13】本発明の他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
11 磁性体磁極 12 コイル 13 放熱部材 14 絶縁部材 15 高抵抗膜 16 電源 17 メタライズ処理部 18 電極
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 37/12 - 37/145 H01J 37/28

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ほぼコニカル形状に形成された磁極と、
    この磁極の内側に配置されたコイルと、コイルの内側に
    配置された絶縁体と、電子ビーム通路を囲むように絶縁
    体の内側に配置された高抵抗体とを備えており、高抵抗
    体両端に電圧を印加するように構成した電磁界重畳型対
    物レンズ。
  2. 【請求項2】 高抵抗体は膜状に形成された請求項1記
    載の電磁界重畳型対物レンズ。
  3. 【請求項3】 高抵抗体はパイプ状に形成された請求項
    1記載の電磁界重畳型対物レンズ。
  4. 【請求項4】 高抵抗体の内側に多数の導電性パイプを
    配置した請求項1記載の電磁界重畳型対物レンズ。
  5. 【請求項5】 コイルと高抵抗体との間に放熱用の材料
    が設けられた請求項1〜4記載の電磁界重畳型対物レン
    ズ。
  6. 【請求項6】 ほぼコニカル形状に形成された磁極と、
    この磁極の内側に配置されたコイルと、コイルの内側に
    配置された絶縁体と、絶縁体の内側にリング状の高抵抗
    体と導電体とを積層した部材とを備えており、この部材
    両端に電圧を印加するように構成した電磁界重畳型対物
    レンズ。
  7. 【請求項7】 ほぼコニカル形状に形成された磁極と、
    この磁極の内側に配置されたコイルと、コイルの内側に
    配置された絶縁体と、絶縁体の内側に多数のリング状の
    高抵抗体を積層した部材とを備えており、このリング状
    の高抵抗体の間に金属を挾むようにし、部材両端に電圧
    を印加するように構成した電磁界重畳型対物レンズ。
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