JP3103743B2 - 電子銃 - Google Patents

電子銃

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JP3103743B2
JP3103743B2 JP07096531A JP9653195A JP3103743B2 JP 3103743 B2 JP3103743 B2 JP 3103743B2 JP 07096531 A JP07096531 A JP 07096531A JP 9653195 A JP9653195 A JP 9653195A JP 3103743 B2 JP3103743 B2 JP 3103743B2
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良雄 山崎
昌弘 野村
哲 大沢
七三雄 金子
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核燃料サイクル開発機構
石川島播磨重工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子銃、特に、ステム
と、ステムの一端に設けられたカソードと、カソードに
対向するアノードと、それらを内部に含むチェンバー
と、アノードを通過した電子ビームを電子銃外部へ射出
するビームポートとを有する電子銃に関する。
【0002】
【従来の技術】電子銃は、例えばブラウン管や電子顕微
鏡の一部として、または電子溶接などのために、用途に
応じて異なる大きさ及び性能のものが使用されている。
ここではこうした電子銃のうち、高エネルギー物理学に
おける電子線形加速器の入射部に使用されるものを説明
する。
【0003】図1は従来一般的な電子銃の概略構成図で
あり、電子線形加速器に用いられるものである。
【0004】図において、電子の放出源となるカソード
2はステム4の一端に設けられている。このカソード2
は熱によって電子を放出する熱電子カソードであり、例
えばBIカソード、すなわちタングステンをスポンジ状
にしてバリウム酸化物等を滲み込ませたものなどが採用
される。このカソード2と数センチメートルの距離に、
電子の引出し電極であるアノード6が対向して設けられ
ている。このアノード6はカソード2よりも高電位に保
たれ、カソード2によって放出された電子(以下「放出
電子」という)は両極板間で加速される。
【0005】ステム4はカソード2を支持加熱するため
の金属部材であり、このステム4に通常負の高電圧が印
加される。ステム4とアノード6の間に高電圧が印加さ
れる際、大気側の絶縁性を保つため、ステム4には全長
数十センチメートルに及ぶ縦長形状が採用され、その外
周は絶縁がいし8によって覆われている。カソード2と
アノード6はチェンバー10に納められ、このチェンバ
ー10内はイオンポンプまたはターボポンプ等の真空ポ
ンプ20によって非常に高い真空度に保たれる。一般
に、真空度は真空引きを継続するほど高まり、電子銃と
しては真空度が高いほど好ましいため、通常は常時真空
ポンプ20を運転している。高エネルギー研究所の電子
線形加速器の電子銃の場合、毎秒60リットルの真空引
きを行う2つのイオンポンプが使用されている。
【0006】チェンバー10には、電子ビームが射出さ
れる窓であるビームポート12が穿設されている。この
ビームポート12を通して電子ビームが所定のビームラ
イン14へ射出されため、ビームライン14はカソード
2とアノード6を結ぶ直線上に形成される。
【0007】以上の構成によってこの電子銃が電子ビー
ムを射出する様子を説明する。
【0008】まず、カソード2に熱が加えられ、電子の
放出が促進される。このとき、カソード2にはステム4
によって例えば−150kVの低電圧が印加され、一方
アノード6は0Vに保持されている。従って、放出電子
はカソード2、アノード6間の短かい距離で急速に加速
され、アノード6の隙間部分を通過し、ビームポート1
2からほぼ光速に近い初速度で射出される。この後、電
子ビームはビームライン14上の図示しない加速器内部
を通過し、所期の目的を達成する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の電子銃は上記の
構成により、電子ビームを射出することができるもの
の、この電子ビームについては、以下の理由により、適
宜特性の測定が必要である。
【0010】1.電子銃の動作確認 加速器に何等かの支障が発生した場合、原因の存在個所
を特定すべく、射出される電子ビームの特性を測定しな
ければならない。
【0011】2.カソード寿命の確認 カソード2には、電子が放出され易いようにバリウム酸
化物等の物質を含ませているが、電子銃の運転に伴い、
この物質が蒸発していく。その結果、熱を加えてもあま
り電子が出ない、いわゆる「カソード涸れ」と呼ばれる
現象が発生する。こうしたカソード寿命の確認のために
も、電子ビームの測定が必要となる。
【0012】これらの理由によって電子ビームを測定す
る場合、モニタを予めビームライン14上に組み込むこ
とを想定しているか否かに従い、以下のごとくビームラ
イン14の設計方針が異なってくる。この際、当然なが
ら測定作業の内容にも差異が生じる。ここでモニタと
は、電子ビームが入射され、電子ビームの電流値とエミ
ッタンス特性(ビームの好ましくない横方向の運動量)
を測定する機器全体を指すものとする。
【0013】(1)組み込みを想定しない加速器の場合 測定はオフラインで行う。この様子は図2に示される通
りである。すなわち、電子銃自体を加速器入射部の取付
け位置から外し、モニタのある場所に再度設置して測定
する。従って主な作業としては、電子銃の移動、設置等
である。測定はビームライン14と無関係の場所で行わ
れるため、ビームライン14上の設計に当たって測定の
ための配慮は不要である。以下、このような測定をオフ
ライン測定と呼ぶことにする。
【0014】(2)組み込みを想定する加速器の場合 測定はオンラインで行う。この様子は図3に示される通
りである。モニタは予めビームライン14上に直列に設
置されているため、電子銃自体を移動する必要はない。
モニタが、ビームの残すイメージ電荷を測定するような
非破壊系機器の場合は、測定に当たって特別な作業は不
要だが、ビームをスクリーンに当てるような破壊系機器
の場合、真空中でスクリーンの開閉操作が必要となる。
(1)に比べて作業性はよいが、モニタがビームライン
14上直列に挿入されることになるため、モニタを含め
たビームライン14の最適設計を行う必要がある。以
下、このような測定をオンライン測定と呼ぶことにす
る。
【0015】[課題]このように、従来の電子銃を使用
する場合、測定に際してはオフライン/オンラインのい
ずれかの測定方法を採用する必要があった。この結果、
以下に述べる課題が生じることとなった。
【0016】1.オフラインの場合 作業工数が大きい。電子銃は高圧が印加されるため構造
全体が大きく、重量も数十〜数百kgとなる。これを取
り外してモニタに取り付け、測定後もとの状態に戻すた
めには、クレーン等を使用した作業が必要となる。当然
ながら、落下等の危険も伴う。
【0017】しかしながら、電子銃の場合、さらに大き
な問題はカソード2の劣化にある。つまり、一旦真空中
におかれたカソード2が大気圧にさらされると、カソー
ド表面が急激に劣化することが知られている。オフライ
ン測定の場合、ビームポート12等の開口部を完全密閉
しない限り、電子銃を取り外す時点で真空状態が破られ
る。通常こうした気圧変化が1、2回加えられるとカソ
ードは使用不可能なダメージを受ける。さらに、作業開
始前の真空度を再度達成するために、非常に長い時間を
要する。
【0018】一方、開口部を密閉した場合でも、測定の
間は真空ポンプ20による真空引きが中断されるため、
真空度は漸次低下する。この程度の低下によるカソード
2の劣化は少ないとしても、やはり真空引きに時間を要
する。
【0019】2.オンラインの場合 ビームの品質維持が難しい。モニタが電子ビームに及ぼ
す電磁的影響を相殺するよう、モニタの周囲に特別な磁
場設計、具体的にはコイル等による磁場修正が必要とな
る。通常モニタの形状は対称性を持つとは限らず、最適
設計は容易ではない。また、電子ビームの飛行距離はモ
ニタの分だけ延びることになり、この間電子は互いの反
発力によって発散するため、ビーム品質上も望ましくな
い。
【0020】[本発明の目的]本発明は上記課題を解決
するためになされたもので、その目的は、電子ビームの
射出方向を可変とすることによって、通常運転時とビー
ム測定時でビームラインを別経路として持つ電子銃の提
供にある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の電子銃は、ステムと、ステムの一端に設けら
れ、電子の放出源となるカソードと、放出された電子の
引出し電極となるアノードと、カソードおよびアノード
を内部に含む気密なチェンバーと、アノードを通過した
電子ビームを電子銃外部へ射出するビームポートとを有
し、電子ビームがカソードとアノードを結ぶ直線に沿っ
て前記ビームポートから射出される電子銃であって、前
記ステムはその軸のまわりに回転可能であり、かつ、そ
の軸は前記直線と垂直をなし、前記アノードは前記チェ
ンバーの内壁に固定され、かつ、その方向は前記ステム
の回転角が所定の値にあるとき前記カソードに対向し、
前記ビームポートは前記チェンバーに穿設され、かつ、
その位置は前記カソードから見て前記アノードの背
あるものである。
【0022】また本発明では、前記ステムが軸方向に移
動可能とされるものである。
【0023】また本発明は、前記アノードおよび前記ビ
ームポートを複数組設けたものである。
【0024】また本発明では、電子ビームの進行線を軸
と定義するとき、前記チェンバー内に生じる電界分布が
前記軸の近軸において軸対称をなす(以下「近軸対称」
という)ものである。
【0025】また本発明は、前記チェンバーに穿設さ
れ、かつ、その位置は前記カソードから見て前記アノー
ドの背にない補助ポートを有するものである。
【0026】また本発明は、前記チェンバーが前記ステ
ムの軸に対して回転対称な構造とされるものである。
【0027】
【作用】上記構成による本発明によれば、ステムはその
軸のまわりに回転可能であり、かつ、その軸は前記直線
と垂直をなすため、ステムの回転によって電子の放出方
向が変化する。一方アノードは、ステムの回転角が所定
の値にあるときカソードに対向し、その背面にはビーム
ポートが設けられている。従って、ステムの回転角を調
整することにより、電子ビームがアノード、ビームポー
トを介して所望のビームラインへ射出される。
【0028】また、前記ステムが軸方向に移動可能とさ
れる場合にあっては、ステムを軸方向に移動することに
より、電子ビームが所望のビームラインへ射出される。
【0029】前記アノードおよびビームポートが複数組
設けられている場合にあっては、ステムの回転または移
動により、複数のビームラインを実現することができ
る。
【0030】電子ビームの進行線を軸と定義し、前記チ
ェンバー内に生じる電界分布が近軸対称となる場合にあ
っては、チェンバー自体の構造によらず、電子が所望の
ビームラインへ向けて良好に飛行する。
【0031】補助ポートが設けられている場合にあって
は、このポートを通してカソードの保守または監視が行
われる。
【0032】前記チェンバーが前記ステムの軸に対して
回転対称な構造である場合には、前記チェンバー内に生
じる電界が回転軸に対して対称となる。
【0033】
【実施例】
実施例1.ここで本発明の好適な実施例について、適宜
図面を参照しながら説明する。
【0034】図4は実施例1に係る電子銃の概略構成図
である。この図において図1に対応する部材については
同一の符号を与え、理解に支障のない範囲でその説明を
省略する。
【0035】図1の電子銃と比較したとき、本実施例の
特徴はステム4とビームライン14が直交し、しかもそ
のステム4が回転可能な構造とされる点にある。すなわ
ち、図4に示す通り、従来とは異なり、ステム4の長手
方向が上下に配置されており、その上端はモーター等に
よる回転駆動部22によって支持されている。この回転
駆動部22により、ステム4はその軸に関して回転可能
とされる。
【0036】一方、カソード2はステム4の下端に設け
られ、ステム4の軸と直交する方向に電子を放出するよ
う取り付けられている。アノード6は従来通りチェンバ
ー10の内壁に設けられ、その背後にビームポート12
が穿設されている。図の位置において、カソード2とア
ノード6はちょうど対向する位置にある。
【0037】本実施例に特徴的なのは、前記アノード6
と正反対の位置に第二アノード24および第二ビームポ
ート26が設けられている点である。本実施例では、電
子ビームから見たアノード6およびビームポート12
が、それぞれ第二アノード24および第二ビームポート
26と全く同じ電界条件になるよう、ステム4の軸に対
して両者を回転対称としている。すなわち、両者の形状
およびステム4からの距離は全く等しく、ステム4が図
の位置から180°回転したとき、第二アノード24が
カソード2と対向することになる。この対称性を担保す
べく、本実施例では、チェンバー10自身もステム4の
軸に対して回転対称とする。図5は実施例1の電子銃の
上面図であり、チェンバー10は直方体とし、ステム4
の軸がチェンバー10上面によって形成される長方形の
重心を通っている。
【0038】図6はこの電子銃によって形成される2つ
のビームラインを説明する概念図である。ここでこの電
子銃を運転する様子を図4、5によって説明する。
【0039】[通常運転時]図6のように、加速器は図
中向かって右側に設けられているため、図に示す位置に
カソード2を固定する(以降この位置を「初期位置」と
いう)。この結果、従来通りカソード2とアノード6を
結ぶ直線上にビームライン14が形成される。
【0040】[ビーム測定時]モニタは図中左側に設け
られているため、ステム4を初期位置から180°回転
させる。この結果、カソード2と第二アノード24が対
向し、第二ビームライン28が形成され、測定が可能と
なる。このとき、ビームライン14上と第二ビームライ
ン28上は、電子ビームから見て全く同じ電界条件に保
持されているため、通常運転時と同じ特性の電子ビーム
を測定することができ、好都合である。
【0041】以上、本実施例の電子銃によれば、ステム
4の回転操作だけで通常運転とビーム測定を切り換える
ことが可能となる。この結果、従来のオフライン測定に
伴う作業性と真空の保持、およびオンライン測定に伴う
ビームの品質維持とビームライン設計に関するすべての
課題を解決するものである。
【0042】なお、本実施例では、チェンバー10を直
方体としたが、これは他の形状、例えばステム4の軸を
回転軸とする円筒などであってもよい。
【0043】実施例2.実施例1の電子銃は2つのアノ
ードを持つことにより、2つのビームラインから1つ選
択することができた。しかし実際には、さらに多くのア
ノードを設けることにより、通常運転時および測定時の
ビームラインの経路を増やすこともできる。この場合、
例えば1つの電子銃で複数の加速器に電子ビームを供給
したり、測定原理の異なる複数モニタの設置等が可能と
なる。
【0044】実施例2はこうした要望に答える電子銃
で、その特徴はステム4の軸について回転対称な3つ以
上のアノードおよびビームポートを持つ点にある。
【0045】図7〜9は実施例2に係る電子銃の上面図
である。すなわち、図7ではチェンバー10が中空の正
三角柱で、アノードとビームポート(以下「アノード
等」という)が3組、図8ではチェンバー10が正四角
柱でアノード等が4組、図9ではチェンバー10が円筒
でアノード等が6組とされている。図7〜9において
は、アノードにはすべて符号6を、ビームポートには符
号12を与えている。
【0046】これらいずれの場合でも、ステム4の軸は
チェンバー10の上面の重心を通り、この点を中心にチ
ェンバー10およびアノード等が回転対称となってい
る。これは電子ビームから見てすべてのビームライン上
の電界条件を一致させるための配慮である。従って当然
ながら、図7〜9に示されるもの以外に、チェンバー1
0として任意の正多角柱を採用することができる。
【0047】以上、実施例2の電子銃によれば、実施例
1に比べてさらに多くのビームラインを設けることがで
き、電子銃の用途を広げることが可能となる。
【0048】なお、実施例2では、電界条件を一致させ
るためにチェンバー10等に対称的構造を採用したが、
チェンバー10等の設計の際にこうした対称性を確保す
ることが困難な場合には、以下の方法によって同様の目
的を達成することができる。
【0049】すなわち、電子ビームがアノードに向けて
直進するか否かは、ビームの進行線を軸としたとき、チ
ェンバー10内に生じる電界分布が近軸対称であるか否
かに依存する。つまり、電界が近軸対称であって電子か
ら見た電界構造が対称的であり、カソード・アノード間
の距離等他の条件が同じであれば、チェンバー10等の
構造自体は非対称的であっても何等差し支えはない。近
軸対称であるかどうかは、市販の電界解析プログラムな
どによる解析結果、および当該加速器が電子ビームに求
める直進性等の条件に従って判定することができる。
【0050】実施例3.実施例1、2においては、ステ
ム4が回転可能な構造とされる点に特徴があったが、実
施例3ではステム4を軸方向に移動可能な電子銃を説明
する。
【0051】図10は実施例3に係る電子銃の概略構成
図である。この図において図4に対応する部材について
は同一の符号を与え、説明を省略する。
【0052】実施例3の電子銃も実施例1同様、ステム
4とビームライン14が直交しているが、実施例1と異
なり、ステム4の上端がシリンダー機構等による摺動駆
動部30によって支持されている。この摺動駆動部30
により、ステム4はその軸方向に上下動が可能とされ
る。
【0053】本実施例に特徴的なのは、第二アノード2
4がアノード6と正反対の位置ではなく、真下にある点
である。
【0054】以上、この構成によれば、通常時はカソー
ド2をアノード6に対向する位置に固定し、ビームライ
ン14を形成すればよい。一方、測定時はカソード2を
第二アノード24に対向する位置に移動し、第二ビーム
ライン28を形成することになる。
【0055】なお、本実施例においては、実施例2で説
明した通り、電子ビームから見てビームライン14と第
二ビームライン28の電界条件が一致するよう、チェン
バー10の構造を配慮するものとする。すなわち、これ
ら2つのビームラインをそれぞれ軸とするとき、チェン
バー10内の電界分布が近軸対称となるようチェンバー
10を設計すればよい。
【0056】また本実施例では、アノード等を2組設け
たが、これは3組以上であってもよい。この場合はこれ
らを上下方向に配置すれば、必要な数のビームラインを
設けることができる。さらに本実施例の場合、実施例1
同様ステム4が回転も可能な構成とすれば、上下方向お
よび回転方向に多数のビームラインを設けることができ
る。
【0057】実施例4.上記の各実施例においては、ア
ノードとビームポートは常に組になっていたが、チェン
バー10内を保守または監視する目的に限れば、アノー
ドを持たない単なる補助ポートを設けてもよい。実施例
3では、通常のビームポート12の他に補助ポート32
を持つ電子銃を説明する。
【0058】図11、12はそれぞれ図8、9に対応す
る実施例3の電子銃の上面図である。すなわち、図11
ではチェンバー10が正四角柱であるため、通常のビー
ムポート12を2つ、補助ポート32を2つ交互に設け
ている。一方、図12ではチェンバー10が円柱である
ため、前記2種のポートをそれぞれ3つ交互に設けてい
る。これら2種のポートを交互に設けるのは、チェンバ
ー10の構造を回転対称に保つためである。このため、
実施例2の図7(正三角柱)に対応する電子銃は図示し
ていない。ただしこの場合も、通常のビームポート12
に対する近軸対称性が保たれる限り、回転対称以外の形
状または配置を採用することができる。
【0059】以上実施例4の構成によれば、補助ポート
32から電子ビームを射出することはできないものの、
このポートからカソード2を保守または監視することが
できる。すなわちこの補助ポート32にはアノードが併
設されていないため構造が単純であり、カソード2の交
換の際、交換窓として使用することができる。また、場
合によっては、補助ポート32からX線をカソード2に
当てて回析の様子を観察したり、補助ポート32に電子
顕微鏡を取り付ける等、各種監視作業を行うことが可能
となる。
【0060】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明の電子
銃によれば、ステムをその軸のまわりに回転させること
により、ビームラインの方向を変化させることができ
る。このため、例えば通常運転時にはモニタの入ってい
ない最適なビームラインに電子を射出し、一方、ビーム
特性測定時にはステムを回転させてモニタ専用のビーム
ラインに電子を射出する構成が可能となる。この結果、
従来のオフラインまたはオンライン測定に伴う課題を解
決するものである。
【0061】また、ステムが軸方向に移動可能な場合で
あっても、ステムの移動によって上記と同等の効果が得
られる。
【0062】アノードおよびビームポートが複数組設け
られている場合には、ステムの回転または移動により、
複数のビームラインから所望のビームラインを選択する
ことができる。
【0063】チェンバー内に生じる電界分布が近軸対称
な場合には、チェンバー自体が非対称な構造であっても
電子が所望のビームラインへ向けて飛行するため、チェ
ンバーの設計自由度が増加する。
【0064】補助ポートが設けられている場合には、こ
のポートにアノードが併設されていないため、このポー
トを通して容易にカソードの保守または監視を行うこと
ができる。
【0065】チェンバーがステムの軸に対して回転対称
な構造である場合には、チェンバー内に生じる電界が回
転軸に対して対称となるため、電子を所望のビームライ
ンへ向けて飛行させる際、好都合である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来一般的な電子銃の概略構成図である。
【図2】 従来の電子銃によってオフライン測定を行う
様子を示す図である。
【図3】 従来の電子銃によってオンライン測定を行う
様子を示す図である。
【図4】 実施例1に係る電子銃の概略構成図である。
【図5】 実施例1の電子銃の上面図である。
【図6】 実施例1の電子銃によって形成される2つの
ビームラインを説明する概念図である。
【図7】 実施例2に係る電子銃の上面図である。
【図8】 実施例2に係る別の電子銃の上面図である。
【図9】 実施例2に係る別の電子銃の上面図である。
【図10】 実施例3に係る電子銃の概略構成図であ
る。
【図11】 図8に対応する実施例3の電子銃の上面図
である。
【図12】 図9に対応する実施例3の電子銃の上面図
である。
【符号の説明】
2 カソード、4 ステム、6 アノード、8 絶縁が
いし、12 ビームポート、10 チェンバー、20
真空ポンプ、22 回転駆動部、24 第二アノード、
26 第二ビームポート、30 摺動駆動部、32 補
助ポート。
フロントページの続き (72)発明者 野村 昌弘 茨城県東茨城郡大洗町成田町4002 動力 炉・核燃料開発事業団大洗工学センター 内 (72)発明者 大沢 哲 茨城県つくば市大穂1−1 高エネルギ ー物理学研究所 放射光実験施設内 (72)発明者 金子 七三雄 東京都江東区豊洲三丁目1番15号 石川 島播磨重工業株式会社 東二テクニカル センター内 (56)参考文献 特開 昭51−142956(JP,A) 特開 昭59−191250(JP,A) 実開 昭50−80350(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 37/06 - 37/077 H05H 3/00 - 15/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステムと、ステムの一端に設けられ、電
    子の放出源となるカソードと、放出された電子の引出し
    電極となるアノードと、カソードおよびアノードを内部
    に含む気密なチェンバーと、アノードを通過した電子ビ
    ームを電子銃外部へ射出するビームポートとを有し、電
    子ビームがカソードとアノードを結ぶ直線に沿って前記
    ビームポートから射出される電子銃において、 前記ステムはその軸のまわりに回転可能であり、かつ、
    その軸は前記直線と垂直をなし、 前記アノードは前記チェンバーの内壁に固定され、か
    つ、その方向は前記ステムの回転角が所定の値にあると
    き前記カソードに対向し、 前記ビームポートは前記チェンバーに穿設され、かつ、
    その位置は前記カソードから見て前記アノードの背後に
    あり、 前記アノードおよび前記ビームポートを複数組設けた
    とを特徴とする電子銃。
  2. 【請求項2】 ステムと、ステムの一端に設けられ、電
    子の放出源となるカソードと、放出された電子の引出し
    電極となるアノードと、カソードおよびアノードを内部
    に含む気密なチェンバーと、アノードを通過した電子ビ
    ームを電子銃外部へ射出するビームポートとを有し、電
    子ビームがカソードとアノードを結ぶ直線に沿って前記
    ビームポートから射出される電子銃において、 前記ステムはその軸方向に移動可能であり、かつ、その
    軸は前記直線と垂直をなし、 前記アノードは前記チェンバーの内壁に固定され、か
    つ、その方向は前記ステムの移動量が所定の値にあると
    き前記カソードに対向し、 前記ビームポートは前記チェンバーに穿設され、かつ、
    その位置は前記カソードから見て前記アノードの背後に
    あり、 前記アノードおよびビームポートを複数組設けた ことを
    特徴とする電子銃。
  3. 【請求項3】 ステムと、ステムの一端に設けられ、電
    子の放出源となるカソードと、放出された電子の引出し
    電極となるアノードと、カソードおよびアノードを内部
    に含む気密なチェンバーと、アノードを通過した電子ビ
    ームを電子銃 外部へ射出するビームポートとを有し、電
    子ビームがカソードとアノードを結ぶ直線に沿って前記
    ビームポートから射出される電子銃において、 前記ステムはその軸のまわりに回転可能であり、かつ、
    その軸は前記直線と垂直をなし、 前記アノードは前記チェンバーの内壁に固定され、か
    つ、その方向は前記ステムの回転角が所定の値にあると
    き前記カソードに対向し、 前記ビームポートは前記チェンバーに穿設され、かつ、
    その位置は前記カソードから見て前記アノードの背後に
    あり、 前記チェンバーに穿設され、かつ、その位置は前記カソ
    ードから見て前記アノードの背後にない補助ポートを有
    する ことを特徴とする電子銃。
  4. 【請求項4】 ステムと、ステムの一端に設けられ、電
    子の放出源となるカソードと、放出された電子の引出し
    電極となるアノードと、カソードおよびアノードを内部
    に含む気密なチェンバーと、アノードを通過した電子ビ
    ームを電子銃外部へ射出するビームポートとを有し、電
    子ビームがカソードとアノードを結ぶ直線に沿って前記
    ビームポートから射出される電子銃において、 前記ステムはその軸方向に移動可能であり、かつ、その
    軸は前記直線と垂直をなし、 前記アノードは前記チェンバーの内壁に固定され、か
    つ、その方向は前記ステムの移動量が所定の値にあると
    き前記カソードに対向し、 前記ビームポートは前記チェンバーに穿設され、かつ、
    その位置は前記カソードから見て前記アノードの背後に
    あり、 前記チェンバーに穿設され、かつその位置は前記カソー
    ドから見て前記アノードの背後にない補助ポートを有す
    ことを特徴とする電子銃。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の電子銃
    において、電子ビームの進行線を軸と定義するとき、前記チェンバ
    ー内に生じる電界分布が前記軸の近軸において軸対称を
    なす ことを特徴とする電子銃。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の電子銃
    において、 前記チェンバーは前記ステムの軸に対して回転対称な構
    造であることを特徴とする電子銃。
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