JP3103707B2 - 切削工具用サーメット - Google Patents
切削工具用サーメットInfo
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、切削工具に使用される
サーメットに関し、より詳細には切削工具として耐摩耗
性を劣化させること無く、且つ靱性にも優れた切削工具
用サーメットに関する。
サーメットに関し、より詳細には切削工具として耐摩耗
性を劣化させること無く、且つ靱性にも優れた切削工具
用サーメットに関する。
【０００２】
【従来の技術】近年、切削工具用サーメットとして、周
期律表第４ａ，５ａ，６ａ族元素の炭化物、窒化物、炭
窒化物からなる硬質相と、鉄族金属からなる結合相によ
って構成されるサーメットが用いられるようになってい
る。
期律表第４ａ，５ａ，６ａ族元素の炭化物、窒化物、炭
窒化物からなる硬質相と、鉄族金属からなる結合相によ
って構成されるサーメットが用いられるようになってい
る。
【０００３】かかるサーメットとして、これまでＴｉＣ
を主成分とするＴｉＣ基サーメットを主流として、この
系に窒化物を添加したＴｉＣＮ基サーメットが数多く提
案されている。
を主成分とするＴｉＣ基サーメットを主流として、この
系に窒化物を添加したＴｉＣＮ基サーメットが数多く提
案されている。
【０００４】また、これらサーメットの表面部を改質す
ることにより、耐摩耗性または靭性を改善する試みがな
されている。
ることにより、耐摩耗性または靭性を改善する試みがな
されている。
【０００５】このような表面を改質したサーメットとし
ては、特公昭６０−３４６１８号公報に開示されるよう
なものが知られている。この公報に開示されるサーメッ
トでは、従来のサーメットは表層部に不均一層（表面へ
の金属相の浸み出しと、その内部の硬質層）が存在して
おり、これら表面部を研削しない工具を用いて切削する
と、表面が脆い為に欠けやすい欠点を有していることを
知見したため、表層まで均一なサーメットを得るべく、
焼成条件を改善することが開示されている。
ては、特公昭６０−３４６１８号公報に開示されるよう
なものが知られている。この公報に開示されるサーメッ
トでは、従来のサーメットは表層部に不均一層（表面へ
の金属相の浸み出しと、その内部の硬質層）が存在して
おり、これら表面部を研削しない工具を用いて切削する
と、表面が脆い為に欠けやすい欠点を有していることを
知見したため、表層まで均一なサーメットを得るべく、
焼成条件を改善することが開示されている。
【０００６】また、特公昭５９−１４５３４号公報及び
特公昭５９−１５９７０号公報では、表面から内部に向
かい連続的に硬くなる硬度分布を有し、且つ表面硬さが
内部硬さに対して５〜２０％低くなる表面軟化層を有す
るサーメットが開示されており、これにより優れた靭性
を有することができ、特に断続旋削やフライス切削等の
重切削において優れた性能を有することが開示されてい
る。
特公昭５９−１５９７０号公報では、表面から内部に向
かい連続的に硬くなる硬度分布を有し、且つ表面硬さが
内部硬さに対して５〜２０％低くなる表面軟化層を有す
るサーメットが開示されており、これにより優れた靭性
を有することができ、特に断続旋削やフライス切削等の
重切削において優れた性能を有することが開示されてい
る。
【０００７】さらに、特公昭５９ー１７１７６号公報で
は、表面から内部に向かい連続的に低くなる硬度分布を
有し、且つ表面硬さが内部硬さに対して５〜３０％高く
なる硬化表層を有するサーメットが開示されており、こ
れにより優れた耐摩耗性及び耐塑性変形性を有する焼結
硬質合金が得られることが開示されている。
は、表面から内部に向かい連続的に低くなる硬度分布を
有し、且つ表面硬さが内部硬さに対して５〜３０％高く
なる硬化表層を有するサーメットが開示されており、こ
れにより優れた耐摩耗性及び耐塑性変形性を有する焼結
硬質合金が得られることが開示されている。
【０００８】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、特公
昭６０−３４６１８号公報に開示されるサーメットで
は、焼成条件を改善して表層まで均一な構造とすること
ができ、耐欠損性を向上することができるが、今度は靱
性が悪化するという問題があった。
昭６０−３４６１８号公報に開示されるサーメットで
は、焼成条件を改善して表層まで均一な構造とすること
ができ、耐欠損性を向上することができるが、今度は靱
性が悪化するという問題があった。
【０００９】また、特公昭５９−１４５３４号公報及び
特公昭５９−１５９７０号公報に開示されるサーメット
では、表面硬さが内部硬さに対して５〜２０％低くなる
表面軟化層の存在により靱性を向上することができる
が、耐摩耗性が劣化するという問題があった。
特公昭５９−１５９７０号公報に開示されるサーメット
では、表面硬さが内部硬さに対して５〜２０％低くなる
表面軟化層の存在により靱性を向上することができる
が、耐摩耗性が劣化するという問題があった。
【００１０】さらに、特公昭５９ー１７１７６号公報に
開示されるサーメットでは、表面硬さが内部硬さに対し
て５〜３０％高くなる硬化表層の存在により耐摩耗性を
向上することができるが、靱性が低下し耐欠損性が劣化
するという問題があった。
開示されるサーメットでは、表面硬さが内部硬さに対し
て５〜３０％高くなる硬化表層の存在により耐摩耗性を
向上することができるが、靱性が低下し耐欠損性が劣化
するという問題があった。
【００１１】このように、従来のサーメットでは耐摩耗
性と靭性とは相反する性能であり、耐摩耗性を改善すれ
ば靭性が劣化し、逆に靭性を改善すれば耐摩耗性が劣化
するというサーメットの本質的な改良は困難であった。
即ち、上記したいずれの方法でも耐摩耗性と靭性とを両
方ともに改善するということはできなかった。
性と靭性とは相反する性能であり、耐摩耗性を改善すれ
ば靭性が劣化し、逆に靭性を改善すれば耐摩耗性が劣化
するというサーメットの本質的な改良は困難であった。
即ち、上記したいずれの方法でも耐摩耗性と靭性とを両
方ともに改善するということはできなかった。
【００１２】
【問題点を解決するための手段】本発明者等はサーメッ
ト焼結体の表層部について種々検討したところ、硬化層
と軟化層の硬度および存在位置を調整することにより、
耐摩耗性および靭性をともに向上することができること
を知見し、本発明に至った。
ト焼結体の表層部について種々検討したところ、硬化層
と軟化層の硬度および存在位置を調整することにより、
耐摩耗性および靭性をともに向上することができること
を知見し、本発明に至った。
【００１３】即ち、本発明の切削工具用サーメットで
は、Ｔｉの炭化物、窒化物、炭窒化物及びこれらの複合
化合物のうちの少なくとも１種の主成分と、周期律表第
４ａ，５ａ，６ａ族の炭化物、窒化物、炭窒化物のうち
の少なくとも１種とからなる硬質相と、鉄族金属のうち
少なくとも１種からなる結合相よりなる切削工具用サー
メットにおいて、サーメット表面から２ｍｍの深さ位置
の硬度ｘよりも高い硬度を有する硬化層と、この硬化層
よりも深い位置に隣接して存在し硬度ｘよりも低い硬度
を有する軟化層を有し、表面から２ｍｍの深さ位置の硬
度ｘを有する前記硬化層と前記軟化層の間の境界点が表
面から０．１〜０．２ｍｍの間の深さ位置に存在すると
ともに、前記軟化層の最も硬度の低いピーク位置が前記
境界点から０．３ｍｍ以下の深さ位置に存在し、かつ前
記硬化層と前記軟化層とが焼成によって同時に形成され
たものであることを特徴とする。
は、Ｔｉの炭化物、窒化物、炭窒化物及びこれらの複合
化合物のうちの少なくとも１種の主成分と、周期律表第
４ａ，５ａ，６ａ族の炭化物、窒化物、炭窒化物のうち
の少なくとも１種とからなる硬質相と、鉄族金属のうち
少なくとも１種からなる結合相よりなる切削工具用サー
メットにおいて、サーメット表面から２ｍｍの深さ位置
の硬度ｘよりも高い硬度を有する硬化層と、この硬化層
よりも深い位置に隣接して存在し硬度ｘよりも低い硬度
を有する軟化層を有し、表面から２ｍｍの深さ位置の硬
度ｘを有する前記硬化層と前記軟化層の間の境界点が表
面から０．１〜０．２ｍｍの間の深さ位置に存在すると
ともに、前記軟化層の最も硬度の低いピーク位置が前記
境界点から０．３ｍｍ以下の深さ位置に存在し、かつ前
記硬化層と前記軟化層とが焼成によって同時に形成され
たものであることを特徴とする。
【００１４】本発明において、硬化層と軟化層の間のｘ
なる硬度を有する境界点を表面から０．１〜０．２ｍｍ
の間の深さ位置に存在させたのは、境界点が０．１ｍｍ
未満では耐摩耗性に影響を与える硬化層の効果が十分に
得られず、また逆に、０．２ｍｍよりも離れると、硬度
が高いため耐摩耗性は高いが靭性が著しく低下するから
である。ここで、硬化層の硬度は表面から２ｍｍの深さ
位置の硬度ｘよりも高く４ｘ以下の硬度とすることが望
ましい。これは硬化層の硬度が４ｘよりも高い場合には
靱性の低下が著しいからである。
なる硬度を有する境界点を表面から０．１〜０．２ｍｍ
の間の深さ位置に存在させたのは、境界点が０．１ｍｍ
未満では耐摩耗性に影響を与える硬化層の効果が十分に
得られず、また逆に、０．２ｍｍよりも離れると、硬度
が高いため耐摩耗性は高いが靭性が著しく低下するから
である。ここで、硬化層の硬度は表面から２ｍｍの深さ
位置の硬度ｘよりも高く４ｘ以下の硬度とすることが望
ましい。これは硬化層の硬度が４ｘよりも高い場合には
靱性の低下が著しいからである。
【００１５】また、軟化層の最も硬度の低いピーク位置
を境界点から０．３ｍｍ以下の深さ位置に存在させたの
は、０．３ｍｍよりも離れると、耐塑性変形性が劣化す
ることにより、良好な切削性能が得られないである。軟
化層の深さ位置は、特に軟化層の厚みを規定する硬度ｘ
となる深さ位置が、境界点から０．１〜０．３ｍｍであ
ることが望ましい。硬度ｘとなる深さ位置が境界点から
０．１ｍｍ未満であれば靱性向上の効果は小さく、０．
３ｍｍよりも離れると、耐塑性変形性が劣化して易いか
らである。ここで、軟化層の硬度は、ｘよりも低いこと
が必要であるが、一方０．６ｘ以上であることが望まし
い。これは、硬度ｘ以上では、靱性向上の効果が得られ
ず、また０．６ｘより小さいと、耐塑性変形性が劣化す
る虞があるからである。
を境界点から０．３ｍｍ以下の深さ位置に存在させたの
は、０．３ｍｍよりも離れると、耐塑性変形性が劣化す
ることにより、良好な切削性能が得られないである。軟
化層の深さ位置は、特に軟化層の厚みを規定する硬度ｘ
となる深さ位置が、境界点から０．１〜０．３ｍｍであ
ることが望ましい。硬度ｘとなる深さ位置が境界点から
０．１ｍｍ未満であれば靱性向上の効果は小さく、０．
３ｍｍよりも離れると、耐塑性変形性が劣化して易いか
らである。ここで、軟化層の硬度は、ｘよりも低いこと
が必要であるが、一方０．６ｘ以上であることが望まし
い。これは、硬度ｘ以上では、靱性向上の効果が得られ
ず、また０．６ｘより小さいと、耐塑性変形性が劣化す
る虞があるからである。
【００１６】本発明の切削工具用サーメットは例えば以
下のようにして得られる。例えば、所定量のＴｉＣ，Ｗ
Ｃ，Ｍｏ2 Ｃ，Ｎｉ等の各粉末を混合、粉砕した後所定
圧力で成形を行い、これを母材とする。次いで、この母
材よりもＮｉなどの金属量が多い混合粉末を例えばアセ
トン中で粉砕してスラリーを作製し、このスラリーを成
形体上に焼結体厚さが０．１〜０．３ｍｍとなるように
塗布し、焼結後強靭性の軟化層となる層を作製する。次
に、母材組成よりも金属量の少ない混合粉末を例えばア
セトン中で粉砕してスラリーを作製し、このスラリーを
焼結後軟化層となる層上に焼結体厚さが０．０５〜０．
２ｍｍとなるように塗布し、焼結後硬化層となる層を作
製する。このように各層が形成された成形体を１３００
〜１６００℃で０．５〜３時間真空雰囲気中で焼成する
ことにより本発明のサーメットが得られる。
下のようにして得られる。例えば、所定量のＴｉＣ，Ｗ
Ｃ，Ｍｏ2 Ｃ，Ｎｉ等の各粉末を混合、粉砕した後所定
圧力で成形を行い、これを母材とする。次いで、この母
材よりもＮｉなどの金属量が多い混合粉末を例えばアセ
トン中で粉砕してスラリーを作製し、このスラリーを成
形体上に焼結体厚さが０．１〜０．３ｍｍとなるように
塗布し、焼結後強靭性の軟化層となる層を作製する。次
に、母材組成よりも金属量の少ない混合粉末を例えばア
セトン中で粉砕してスラリーを作製し、このスラリーを
焼結後軟化層となる層上に焼結体厚さが０．０５〜０．
２ｍｍとなるように塗布し、焼結後硬化層となる層を作
製する。このように各層が形成された成形体を１３００
〜１６００℃で０．５〜３時間真空雰囲気中で焼成する
ことにより本発明のサーメットが得られる。
【００１７】
【作用】本発明の切削工具用サーメットでは、サーメッ
トの表層から０．１〜０．２ｍｍの深さに内部より硬度
の高い硬化層を設けることにより耐摩耗性の向上を図
り、この硬化層の存在により劣化した靭性を、境界点よ
り０．３ｍｍ以下の深さ位置にピーク位置を有する軟化
層を存在させることにより向上し、耐摩耗性及び靭性の
両方とも向上することができる。
トの表層から０．１〜０．２ｍｍの深さに内部より硬度
の高い硬化層を設けることにより耐摩耗性の向上を図
り、この硬化層の存在により劣化した靭性を、境界点よ
り０．３ｍｍ以下の深さ位置にピーク位置を有する軟化
層を存在させることにより向上し、耐摩耗性及び靭性の
両方とも向上することができる。
【００１８】
実施例１ 原料粉末としてＴｉＣＮ：５５重量％、ＷＣ：１０重量
％、Ｍｏ2 Ｃ：１０重量％、ＮｂＣ：１０重量％、Ｎ
ｉ：１０重量％、Ｃｏ：５重量％を混合、粉砕した後
１．５ｔｏｎ／ｃｍ2 の圧力で成形を行った。次いでＴ
ｉＣＮ：４０重量％、Ｍｏ2 Ｃ：１０重量％、Ｎｉ：５
０重量％の混合粉末をアセトン中で粉砕し、スラリーを
作製した。このスラリーを前記成形体上に焼結体厚さが
０．１ｍｍとなるように塗布し、焼結後軟化層となる層
を形成した。さらに、ＴｉＣ：１００重量％の粉末を上
記と同様にアセトン中で粉砕し、スラリーを作製した。
このスラリーを焼結後軟化層なる層上に焼結体厚さが
０．２ｍｍとなるように、焼結後硬化層となる層を作成
した。この成形体を１４７５℃で１時間真空中で焼結さ
せた。
％、Ｍｏ2 Ｃ：１０重量％、ＮｂＣ：１０重量％、Ｎ
ｉ：１０重量％、Ｃｏ：５重量％を混合、粉砕した後
１．５ｔｏｎ／ｃｍ2 の圧力で成形を行った。次いでＴ
ｉＣＮ：４０重量％、Ｍｏ2 Ｃ：１０重量％、Ｎｉ：５
０重量％の混合粉末をアセトン中で粉砕し、スラリーを
作製した。このスラリーを前記成形体上に焼結体厚さが
０．１ｍｍとなるように塗布し、焼結後軟化層となる層
を形成した。さらに、ＴｉＣ：１００重量％の粉末を上
記と同様にアセトン中で粉砕し、スラリーを作製した。
このスラリーを焼結後軟化層なる層上に焼結体厚さが
０．２ｍｍとなるように、焼結後硬化層となる層を作成
した。この成形体を１４７５℃で１時間真空中で焼結さ
せた。
【００１９】上記焼結体の硬度を、表面に対して垂直な
断面で、荷重２００ｇのマイクロビッカース硬度にて測
定したところ、表面から０．２ｍｍまでが硬化層となっ
ており、この硬化層の硬度は２６００ｋｇ／ｍｍ2 、硬
化層から０．１ｍｍが軟化層となっており、この軟化層
の硬度は１４５０ｋｇ／ｍｍ2 、表面から２ｍｍの内部
硬度は１６５０ｋｇ／ｍｍ2 であった。即ち、焼結体の
表面から２ｍｍの深さ位置の硬度ｘは１６５０ｋｇ／ｍ
ｍ2 であり、硬化層は１．５８ｘの硬度を有し、軟化層
は０．８８ｘの硬度を有しており、境界点の位置は表面
から０．２ｍｍであり、軟化層の最も低い硬度のピーク
位置は、境界点から０．０５ｍｍの深さ位置に存在して
いる。図１に本発明品の表面からの距離に対する硬度を
示す。
断面で、荷重２００ｇのマイクロビッカース硬度にて測
定したところ、表面から０．２ｍｍまでが硬化層となっ
ており、この硬化層の硬度は２６００ｋｇ／ｍｍ2 、硬
化層から０．１ｍｍが軟化層となっており、この軟化層
の硬度は１４５０ｋｇ／ｍｍ2 、表面から２ｍｍの内部
硬度は１６５０ｋｇ／ｍｍ2 であった。即ち、焼結体の
表面から２ｍｍの深さ位置の硬度ｘは１６５０ｋｇ／ｍ
ｍ2 であり、硬化層は１．５８ｘの硬度を有し、軟化層
は０．８８ｘの硬度を有しており、境界点の位置は表面
から０．２ｍｍであり、軟化層の最も低い硬度のピーク
位置は、境界点から０．０５ｍｍの深さ位置に存在して
いる。図１に本発明品の表面からの距離に対する硬度を
示す。
【００２０】比較合金として、上記内部と同一組成で軟
化層及び硬化層を有しない比較サーメット（１）、上記
と組成および硬化層厚みが同じで軟化層の最も低い硬度
のピーク位置が境界点から０．５ｍｍの比較サーメット
（２）、上記と組成および軟化層の最も低い硬度のピー
ク位置が同じで硬化表層厚みが０．４ｍｍの比較サーメ
ット（３）を作成した。
化層及び硬化層を有しない比較サーメット（１）、上記
と組成および硬化層厚みが同じで軟化層の最も低い硬度
のピーク位置が境界点から０．５ｍｍの比較サーメット
（２）、上記と組成および軟化層の最も低い硬度のピー
ク位置が同じで硬化表層厚みが０．４ｍｍの比較サーメ
ット（３）を作成した。
【００２１】上記試料を用いて下記に示す切削条件でテ
ストを行い、切削後のフランク摩耗量及び刃先の欠損率
を調べた。
ストを行い、切削後のフランク摩耗量及び刃先の欠損率
を調べた。
【００２２】（摩耗試験） 被削材 ＳＣＭ４３５ 切削速度 ２５０ｍ／ｍｉｎ 切り込み ２ｍｍ 送り ０．３ｍｍ／ｒｅｖ． 切削時間 １５ｍｉｎ （欠損試験） 被削材 ＳＣＭ４３５（４本溝入り） 切削速度 １００ｍ／ｍｉｎ 切り込み ２ｍｍ 送り ０．３ｍｍ／ｒｅｖ． 切削時間 ２ｍｉｎ 摩耗量は、当該サーメットで０．２４ｍｍであったのに
対し、比較サーメット（１）のサーメットで０．３０ｍ
ｍ、比較サーメット（２）で０．３６ｍｍ、比較サーメ
ット（３）で０．２１ｍｍとなり、比較サーメット
（１）（２）では大きな摩耗量となった。また欠損試験
では、当該サーメットで２５％の欠損率であったのに対
し、比較サーメット（１）では３２％、比較サーメット
（２）で１９％、比較サーメット（３）で３６％の欠損
率を示した。
対し、比較サーメット（１）のサーメットで０．３０ｍ
ｍ、比較サーメット（２）で０．３６ｍｍ、比較サーメ
ット（３）で０．２１ｍｍとなり、比較サーメット
（１）（２）では大きな摩耗量となった。また欠損試験
では、当該サーメットで２５％の欠損率であったのに対
し、比較サーメット（１）では３２％、比較サーメット
（２）で１９％、比較サーメット（３）で３６％の欠損
率を示した。
【００２３】また、本発明者等は、上記と同様の組成で
焼結後軟化層や硬化層となる層の厚みを種々変化させ、
表面からの境界点の深さ位置および軟化層の最も低い硬
度のピーク位置を変化させ、摩耗量及び刃先の欠損率を
調べる実験を行った。この結果を表１に記す。尚、表１
において、上記比較サーメット（１）を試料Ｎo.１に、
比較サーメット（２）を試料Ｎo.８に、比較サーメット
（３）を試料Ｎo.６に記載し、フランク摩耗および欠損
率については、比較サーメット（１）の摩耗量および欠
損率を１００％とし、これに対する比率を記載した。
焼結後軟化層や硬化層となる層の厚みを種々変化させ、
表面からの境界点の深さ位置および軟化層の最も低い硬
度のピーク位置を変化させ、摩耗量及び刃先の欠損率を
調べる実験を行った。この結果を表１に記す。尚、表１
において、上記比較サーメット（１）を試料Ｎo.１に、
比較サーメット（２）を試料Ｎo.８に、比較サーメット
（３）を試料Ｎo.６に記載し、フランク摩耗および欠損
率については、比較サーメット（１）の摩耗量および欠
損率を１００％とし、これに対する比率を記載した。
【００２４】
【表１】
【００２５】この表１より、本発明のサーメットでは摩
耗量が少なく、刃先の欠損率が小さく、耐摩耗性および
耐欠損性に優れていることが判る。
耗量が少なく、刃先の欠損率が小さく、耐摩耗性および
耐欠損性に優れていることが判る。
【００２６】実施例２ 原料粉末としてＴｉＣ：６５重量％、ＷＣ：１０重量
％、Ｍｏ2 Ｃ：１０重量％、Ｎｉ：１５重量％を混合、
粉砕した後１．５ｔｏｎ／ｃｍ2 の圧力で成形を行っ
た。次いでＴｉＣ：４５重量％、Ｍｏ2 Ｃ：５重量％、
Ｎｉ：５０重量％の混合粉末をアセトン中で粉砕し、ス
ラリーを作製した。このスラリーを前記成形体上に焼結
体厚みが０．１ｍｍとなるように塗布し、焼結後軟化層
となる層を形成した。さらに、ＴｉＣ：９７重量％、Ｃ
ｏ：３重量％の混合粉末を上記と同様にアセトン中で粉
砕してスラリーを作製し、このスラリーを焼結後軟化層
となる層上に焼結体厚さが０．２ｍｍとなるように、焼
結後硬化層となる層を形成した。この成形体を１４５０
℃で１時間真空中で焼結した。
％、Ｍｏ2 Ｃ：１０重量％、Ｎｉ：１５重量％を混合、
粉砕した後１．５ｔｏｎ／ｃｍ2 の圧力で成形を行っ
た。次いでＴｉＣ：４５重量％、Ｍｏ2 Ｃ：５重量％、
Ｎｉ：５０重量％の混合粉末をアセトン中で粉砕し、ス
ラリーを作製した。このスラリーを前記成形体上に焼結
体厚みが０．１ｍｍとなるように塗布し、焼結後軟化層
となる層を形成した。さらに、ＴｉＣ：９７重量％、Ｃ
ｏ：３重量％の混合粉末を上記と同様にアセトン中で粉
砕してスラリーを作製し、このスラリーを焼結後軟化層
となる層上に焼結体厚さが０．２ｍｍとなるように、焼
結後硬化層となる層を形成した。この成形体を１４５０
℃で１時間真空中で焼結した。
【００２７】上記焼結体の硬度を、表面に対して垂直な
断面で、荷重２００ｇのマイクロビッカース硬度にて測
定したところ、表面から０．２ｍｍまでが硬化層となっ
ており、この硬化層の硬度は２５００ｋｇ／ｍｍ2 、硬
化層から０．１ｍｍが軟化層となっており、この軟化層
の硬度は１４００ｋｇ／ｍｍ2 、表面から２ｍｍの内部
硬度は１６００ｋｇ／ｍｍ2 であった。即ち、焼結体の
表面から２ｍｍの深さ位置の硬度ｘは１６００ｋｇ／ｍ
ｍ2 であり、硬化層は１．５６ｘの硬度を有し、軟化層
は０．８７５ｘの硬度を有しており、境界点の位置は表
面から０．２ｍｍであり、軟化層の最も低い硬度のピー
ク位置は、境界点から０．０５ｍｍの深さ位置に存在し
ている。
断面で、荷重２００ｇのマイクロビッカース硬度にて測
定したところ、表面から０．２ｍｍまでが硬化層となっ
ており、この硬化層の硬度は２５００ｋｇ／ｍｍ2 、硬
化層から０．１ｍｍが軟化層となっており、この軟化層
の硬度は１４００ｋｇ／ｍｍ2 、表面から２ｍｍの内部
硬度は１６００ｋｇ／ｍｍ2 であった。即ち、焼結体の
表面から２ｍｍの深さ位置の硬度ｘは１６００ｋｇ／ｍ
ｍ2 であり、硬化層は１．５６ｘの硬度を有し、軟化層
は０．８７５ｘの硬度を有しており、境界点の位置は表
面から０．２ｍｍであり、軟化層の最も低い硬度のピー
ク位置は、境界点から０．０５ｍｍの深さ位置に存在し
ている。
【００２８】比較合金として、強靭性層及び硬化表面を
有しない上記内部と同一組成のサーメットを作製した。
有しない上記内部と同一組成のサーメットを作製した。
【００２９】上記試料を用いて前記実施例１と同一の切
削条件でテストを行い、切削後のフランク摩耗量及び刃
先の欠損率を調べた。
削条件でテストを行い、切削後のフランク摩耗量及び刃
先の欠損率を調べた。
【００３０】摩耗量は、当該サーメットで０．２８ｍｍ
であったのに対し、比較サーメットでは０．４０ｍｍと
大きな摩耗量となった。また欠損試験では、当該サーメ
ットで３０％の欠損率であったのに対し、比較サーメッ
トでは４０％の欠損率を示した。
であったのに対し、比較サーメットでは０．４０ｍｍと
大きな摩耗量となった。また欠損試験では、当該サーメ
ットで３０％の欠損率であったのに対し、比較サーメッ
トでは４０％の欠損率を示した。
【００３１】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明の切削工具
用サーメットは、表面から２ｍｍの深さ位置の硬度ｘよ
りも高い硬化層と、この硬化層よりも深い位置に隣接し
て存在し硬度ｘよりも低い硬度を有する軟化層を有し、
硬化層と軟化層の間のｘなる硬度を有する境界点が表面
から０．１〜０．２ｍｍの間の深さ位置に存在するとと
もに、軟化層の最も低い硬度のピーク位置が境界点から
０．３ｍｍ以下の深さ位置に存在するので、内部より硬
度の高い硬化層を設けることにより耐摩耗性の向上を図
り、この硬化層の存在により劣化した靭性を内部硬度よ
り低い強靭性の軟化層を形成することにより向上し、耐
摩耗性及び靭性の両方とも向上することができる。
用サーメットは、表面から２ｍｍの深さ位置の硬度ｘよ
りも高い硬化層と、この硬化層よりも深い位置に隣接し
て存在し硬度ｘよりも低い硬度を有する軟化層を有し、
硬化層と軟化層の間のｘなる硬度を有する境界点が表面
から０．１〜０．２ｍｍの間の深さ位置に存在するとと
もに、軟化層の最も低い硬度のピーク位置が境界点から
０．３ｍｍ以下の深さ位置に存在するので、内部より硬
度の高い硬化層を設けることにより耐摩耗性の向上を図
り、この硬化層の存在により劣化した靭性を内部硬度よ
り低い強靭性の軟化層を形成することにより向上し、耐
摩耗性及び靭性の両方とも向上することができる。
【図１】本発明の切削工具用サーメットの表面からの距
離に対する硬度を示すグラフである。
離に対する硬度を示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項１】Ｔｉの炭化物、窒化物、炭窒化物及びこれ
らの複合化合物のうちの少なくとも１種の主成分と、周
期律表第４ａ，５ａ，６ａ族の炭化物、窒化物、炭窒化
物のうちの少なくとも１種とからなる硬質相と、鉄族金
属のうち少なくとも１種からなる結合相よりなる切削工
具用サーメットにおいて、 表面から２ｍｍの深さ位置の硬度ｘよりも高い硬度を有
する硬化層と、この硬化層よりも深い位置に隣接して存
在し硬度ｘよりも低い硬度を有する軟化層を有し、サー
メット表面から２ｍｍの深さ位置の硬度ｘを有する前記
硬化層と前記軟化層の間の境界点が表面から０．１〜
０．２ｍｍの間の深さ位置に存在するとともに、前記軟
化層の最も硬度の低いピーク位置が前記境界点から０．
３ｍｍ以下の深さ位置に存在し、かつ前記硬化層と前記
軟化層とが焼成によって同時に形成されたものであるこ
とを特徴とする切削工具用サーメット。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP05209133A JP3103707B2 (ja) | 1993-08-24 | 1993-08-24 | 切削工具用サーメット |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP05209133A JP3103707B2 (ja) | 1993-08-24 | 1993-08-24 | 切削工具用サーメット |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0762482A JPH0762482A (ja) | 1995-03-07 |
| JP3103707B2 true JP3103707B2 (ja) | 2000-10-30 |
Family
ID=16567843
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP05209133A Expired - Lifetime JP3103707B2 (ja) | 1993-08-24 | 1993-08-24 | 切削工具用サーメット |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3103707B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR102049523B1 (ko) * | 2018-02-20 | 2019-11-29 | 경운대학교 산학협력단 | 음료용 캔 용기의 덮개 |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP5532992B2 (ja) | 2010-02-10 | 2014-06-25 | セイコーエプソン株式会社 | 書画カメラ、書画カメラの制御方法およびプログラム |
| JP5676955B2 (ja) * | 2010-07-28 | 2015-02-25 | 京セラ株式会社 | 切削工具およびその製造方法 |
-
1993
- 1993-08-24 JP JP05209133A patent/JP3103707B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR102049523B1 (ko) * | 2018-02-20 | 2019-11-29 | 경운대학교 산학협력단 | 음료용 캔 용기의 덮개 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0762482A (ja) | 1995-03-07 |
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Legal Events
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