JP3103473B2 - 水質浄化材及びその製造法 - Google Patents

水質浄化材及びその製造法

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JP3103473B2 JP06010550A JP1055094A JP3103473B2 JP 3103473 B2 JP3103473 B2 JP 3103473B2 JP 06010550 A JP06010550 A JP 06010550A JP 1055094 A JP1055094 A JP 1055094A JP 3103473 B2 JP3103473 B2 JP 3103473B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リン酸固定能の高い水
質浄化材及びその製造法に関し、更に詳細には、富栄養
化した下水および湖沼の底に堆積したヘドロ層に存在す
るリン酸を減少させ、その水質を改善し、向上しうるリ
ン酸固定能の高い水質浄化材及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、窒素やリンの負荷量の急速な増大
に起因したいわゆる富栄養化の現象が環境保全対策の視
点から問題となっている。ここで富栄養化とは湖沼の流
域から流れ込んだ窒素やリンなどの栄養塩類が湖内に蓄
積し、植物プランクトンを中心とする一次生産が高まっ
ていく現象である。この富栄養化が進行すると、アオコ
や赤潮のような有害な植物プランクトンが大発生し、湖
水は緑色または褐色となり、しばしば水産養殖に多大な
被害を与え、生活用水でもその安全性が懸念される。
【0003】富栄養化の原因であるリン酸は、主として
次の2経路により湖沼に供給される。 (a)流入水にリン酸が含まれ、これが湖沼に流入する
ことにより供給される経路。 (b)湖沼底部のヘドロ中に含まれているリン酸がヘド
ロから溶け出すか、湖沼に風が吹きヘドロが舞い上がる
ことにより供給される経路。
【0004】従来、湖沼にリン酸が供給される経路を絶
つ目的で、それぞれ次の方法が行われていた。 (a)の経路に対しては、排水処理と同様な付着生物
膜、微量有機物や臭気物質の活性炭による吸着除去、オ
ゾン酸化など新しい反応装置を用いて富栄養化した水道
原水を高度に浄化しうる技術開発。 (b)の経路に対しては、湖沼中に砂をまきヘドロを追
え込む方法。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法では何れも湖沼にリン酸が供給される経路を完全に
絶ち、富栄養化を防止するのは次の理由から困難であっ
た。即ち(a)の経路は、小規模な汚染源、例えば生活
雑排水、小規模工場排水などをすべて下水道に取り込
み、リン酸を完全に処理した後、再び河川に放流するの
が望ましいが、汚濁源が分散している湖沼流域に下水道
を完備することは、莫大な費用と時間を要し、必ずしも
得策とは言えない。また、集落、工場、場合により各家
庭毎という小さな汚濁源毎に排水処理装置を設置するの
は、莫大な費用と時間を要しない点で有利と言えるが、
排水毎にその特性に応じた処理技術が必要になるなどそ
の装置設計上、管理上において困難な点が多い。(b)
の経路は、湖沼中に砂をまきヘドロを追え込めたとして
も、ヘドロ中に存在するリン酸を除去するに到らず、抜
本的な解決とは言えない。
【0006】一方、河川、土壌、湖沼などは、それぞれ
浄化機能を有することが古くから知られ、例えば土壌は
土壌微生物による有機物の分解能が高く、粘土粒子によ
るリンの吸着能力が高い。
【0007】従って、富栄養化を防止するには、排水処
理装置にすべての浄化能力に頼らず、むしろその一部を
様々な自然系の浄化能力に分担させ、全体的にその浄化
能力を向上させるのが望ましいと言える。
【0008】本発明は、このような実情に鑑み創案され
たものであって、アルミニウム化合物もしくは鉄化合物
と、式(1)で表されるアロフェンを含む土壌とを焼成
した多孔質な焼結体を用いることにより、富栄養化した
湖沼に含まれるリン酸を吸着し、水質を向上しうるリン
酸固定能の高い水質浄化材及びその製造法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、土壌が有
する自然浄化機能に着目しその効果的な活用により、上
記課題を解決すべく鋭意研究した結果、アルミニウム化
合物もしくは鉄化合物と、次式(1);
【化2】 (式中、nは1.3〜2の数を示し、mは0より大きな
上限が2.5〜3の範囲の数を示す)で表されるアロフ
ェンを含む土壌とを特定温度範囲で焼成した焼結体とす
ることで、著しく高いリン酸固定能が発揮されるに止ま
らず、富栄養化した湖沼の底に堆積したヘドロ層の厚み
をも減少させるという思わぬ効果をも見出し、本発明に
かかわる水質浄化材及びその製造法を完成した。
【0010】即ち、本発明の水質浄化材は、アルミニウ
ムもしくは鉄の化合物又はこれらの混合物と、式(1)
で表されるアロフェンを含む土壌とからなる多孔質な焼
結体を含有することを特徴とするものである。
【0011】また、本発明の水質浄化材の製造法は、ア
ルミニウム化合物もしくは鉄化合物と、式(1)で表さ
れるアロフェンを含む土壌と、水を混練した後、その混
練物を200〜700℃で焼成して焼結体を得ることを
特徴とするものである。
【0012】本発明の水質浄化材で用いる多孔質な焼結
体は、粒状物であり、その形状、粒子径及び単位量当た
りの表面積などは特に制限されるものではなく、これら
は使用方法及び使用条件に応じて適宜決定することがで
きる。本発明においては、平均粒子径が1〜20mmの
ものが好ましく、2〜5mmのものが特に好ましい。ま
た、浄化材内の孔隙率が10〜40%のものが好まし
く、20〜40%のものが特に好ましい。この多孔質な
焼結体は、アルミニウムもしくは鉄の化合物又はこれら
の混合物と、次式(1);
【化3】 (式中、nは1.3〜2の数を示し、mは0より大きな
上限が2.5〜3の範囲の数を示す)で表されるアロフ
ェンを含む土壌とからなるものであるが、これらの化合
物及び混合物の組成比は使用する原料に応じて異なるも
のである。また多孔質な焼結体は、前記元素以外の化合
物を含むこともでき、更に硫酸塩等の化合物を含むこと
もできる。
【0013】次に、本発明の水質浄化材の製造法につい
て説明する。
【0014】まず、アルミニウム化合物もしくは鉄化合
物と、式(1)で表されるアロフェンを含む土壌と、水
とを混練する。
【0015】アロフェンを含む土壌としては、次式
(1);
【化4】 (式中、nは1.3〜2の数を示し、mは0より大きな
上限が2.5〜3の範囲の数を示す)で表されるアロフ
ェン、その他n及びmが前記定義の範囲外のnSiO2
・Al2 3 ・mH2 Oを含む粘土などを挙げることが
できる。
【0016】このようなアロフェン等の化学組成物を含
む土壌としては、例えば一般に採取できる火山灰土(例
えば関東ロ−ム、特に武蔵野ロ−ムや立川ロ−ム)、粘
土などを使用することができる。
【0017】また、このような土壌に代えてアルミニウ
ム化合物もしくは鉄化合物又はアロフェン等の化学組成
物のみも使用することができるが、これらの場合には結
合剤として、火山灰土、粘土、硫酸アルミニウム、水酸
化カルシウム、炭酸カルシウムなどを併用することが好
ましい。
【0018】上記のアロフェンを含む土壌に混練するア
ルミニウム化合物としては、ポリ塩化アルミニウム、硫
酸アルミニウム又は水酸化アルミニウムを挙げることが
でき、鉄化合物としては、硫酸第一鉄を挙げることがで
きる。また、上記の物質は単独で又は2種以上組み合わ
せて混練することができる。例としては、硫酸第1鉄と
水酸化アルミニウムとの組み合わせ、硫酸第1鉄と硫酸
アルミニウムとの組み合わせなどを挙げることができ
る。
【0019】混練後の土壌中における、アルミニウム化
合物もしくは鉄化合物又はアロフェン等の化学組成物の
含有量は特に制限されるものではないが、目的とするリ
ン酸吸着性能をもつ多孔質な焼結体を得るためには、5
重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であ
ることが特に好ましい。
【0020】混練後の土壌と水の混合比は、土壌の種類
及びその含水率等に応じて適宜決定することができる。
通常は絶乾土壌に対して水を30〜50重量部混合す
る。
【0021】次に、アルミニウム化合物もしくは鉄化合
物を混練した土壌と、水の混練物を大気中で焼成する。
焼成温度は200〜700℃、好ましくは400〜50
0℃である。焼成温度が前記範囲外である場合は、いず
れの場合でも本発明の目的とする多孔質な焼結体を得る
ことができず、得られた焼結体の水中での安定性も低下
する(水中で分解したり、懸濁したりする)。具体的な
焼結温度範囲は原料となる土壌の種類等に応じて適宜決
定することができるが、例えば、一般に火山灰土の場合
は200〜600℃が適当であり、それ以外の土壌(粘
土を含む)の場合は200〜700℃が適当である。ま
た、焼成時間は、焼成原料の種類及び量等に応じて適宜
決定する。
【0022】このようにして得られた粒状の多孔質な焼
結体は、そのままで水質浄化材として使用することがで
きる。また必要に応じて適当な容器に充填したり、適当
な担体等に担持させたりしたのち、水質浄化材として使
用することができる。
【0023】本発明の水質浄化材は、リン酸固定能が優
れているため、リン酸の吸着・除去材として使用するこ
とができる。例えば、本発明の水質浄化材を富栄養化し
た湖沼にばら蒔くだけで、その底に堆積したヘドロ層に
存在するリン酸がヘドロから溶け出す際に、または風に
よりヘドロが舞い上がる際に、それぞれリン酸が上部の
水中に拡散してくる過程で、リン酸を吸着できる。これ
によりヘドロ層に存在するリン酸を徐々に除去でき、新
たに導入される流入水に含まれるリン酸がヘドロ層に蓄
積されることも防止できる。このことは、ヘドロ層に存
在するリン酸の除去を人為的に自然系の浄化能力に依存
せしめることができ、莫大な費用と時間が必要となる排
水処理装置などの浄化能力に頼らず、リン酸を簡易にし
かも確実に吸着、除去しうることを意味する。また、こ
の水質浄化材を濾過材料として使用することもできる。
その場合には排水処理装置等の浄化能力を大幅に向上さ
せることができ、上記ばら蒔き方法と併用すれば一層効
果的にリン酸の吸着、除去ができる。さらに、リン酸の
ほかに砒素吸着固定能がある。
【0024】また、本発明の水質浄化材は凝集剤として
も使用することができる。即ち、焼結体を富栄養化した
湖沼にばら蒔くことで水中の懸濁物質を凝集、沈降させ
ることができ、その結果リン酸がヘドロから溶け出した
り、風が原因でヘドロが舞い上がることに起因した上部
の水中に拡散することを防止できる。
【0025】さらに、本発明の水質浄化材は、焼結体を
例えばブロック状に焼結し、河川底に敷設することがで
きる。この場合には、沈降する段階において河川底で確
実に吸着固定することができる。
【0026】更に、本発明の水質浄化材を構成する焼結
体の原料として式(1)で表されるアロフェンを含む土
壌とポリ塩化アルミニウムとの混練物を用いた場合に
は、より一層凝集効果を高めることができる。これはポ
リ塩化アルミニウムが凝集効果を有することに由来す
る。このことは、焼結体が有するリン酸固定能とそれに
含まれるポリ塩化アルミニウムの凝集能とが相まって相
乗効果を生じ、富栄養化の程度を問わず、水質の改善と
向上が図れることを意味するものである。
【0027】以上のように、本発明の水質浄化材は、リ
ン酸あるいは砒素の吸着剤、凝集剤として使用すること
ができるが、その使用に際しては、必要に応じて活性
炭、ゼオライトなどの公知の吸着剤、塩化鉄、硫酸アル
ミニウム、ポリアクリルアミド等の公知の凝集剤等と併
用することができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の水質浄化材及びその製造法を
実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例
に限定されるものではない。
【0029】実施例1(ポリ塩化アルミニウムを含むリ
ン酸固定能の高い水質浄化材の製造) 主原料としてアロフェンを含む火山灰土5Kgに、水
0.7Kgと、アロフェンを含む火山灰土の乾燥重量に
対して4%のポリ塩化アルミニウムとを加え、十分に混
練した。これを直径3.5mmの細い穴から押し出し、
電気炉中、500°Cで15分間焼成して多孔質な焼結
体(平均粒子径2〜4mm、孔隙率25〜30%)を得
た。次に、得られた焼結体を水中に入れ、水に対する適
合性について調べた。その結果、その焼結体は水中で分
解したり、懸濁することもなかった。
【0030】実施例2(硫酸第一鉄を含むリン酸固定能
の高い水質浄化材の製造) 主原料としてアロフェンを含む火山灰土5Kgに、水
0.7Kgと、アロフェンを含む火山灰土の乾燥重量に
対して1%の硫酸第一鉄とを加え、十分に混練した。こ
れを直径3.5mmの細い穴から押し出し、電気炉中、
500°Cで15分間焼成して多孔質な焼結体(平均粒
子径2〜4mm、孔隙率25〜30%)を得た。次に、
得られた焼結体を水中に入れ、水に対する適合性につい
て調べた。その結果、その焼結体は水中で分解したり、
懸濁することもなかった。
【0031】実験例1〜3、比較例1〜2(水質浄化材
の凝集効果の評価) ヘドロ200mlに水道水またはリン酸水溶液を加え、
リン酸濃度が0、20、50ppmとなるように調製し
た。これらのヘドロを含むリン酸溶液1リットルにそれ
ぞれ実施例1、実施例2で製造した多孔質の焼結体から
なる水質浄化材15gを投入し、静置したままの条件下
で、水の透過率を経時的に測定し、凝集効果を評価し
た。リン酸濃度0の溶液を実験例1、20ppmの溶液
に実施例1の水質浄化材を投入したものを実験例2、5
0ppmの溶液に実施例2の水質浄化材を投入したもの
を実験例3とする。また、比較のため、上記と同様に調
製したリン酸濃度0、10ppmのヘドロを含む溶液
に、水質浄化材を投入しないで、水の透過率を経時的に
測定し、凝集効果を評価した。リン酸濃度0、10pp
mのものをそれぞれ比較例1〜2とする。これらの結果
を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】表1の結果から、実施例1、2で製造した
水質浄化材を投入した場合は投入直後から透明度が著し
く高くなり水質浄化材に凝集効果があることがわかる。
また、これらのうちでも特に実施例1のポリ塩化アルミ
ニウムを含有する水質浄化材を投入したものは凝集効果
に優れることがわかる。
【0034】実験例4、比較例3(ポリ塩化アルミニウ
ムを含有する水質浄化材のリン酸固定能の評価) 実施例1で得られた多孔質な焼結体からなるポリ塩化ア
ルミニウムを含有する水質浄化材15gをリン酸濃度5
0ppmに調製した1リットルの水中に投入し、静置し
たままの条件下で、水質浄化材のリン酸固定能を経時的
に評価した。これを実験例4とする。また比較例として
水質浄化材を投入しないものについてリン酸濃度の経時
変化を測定した。これを比較例3とする。これらの結果
を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2の結果から、実施例1で製造したポリ
塩化アルミニウムを含有する水質浄化材を投入した実験
例4は、水中のリン酸濃度が急激に低下し、0.2pp
mになった。したがって、実施例1で製造したポリ塩化
アルミニウムを含有する水質浄化材はリン酸固定能が高
いことがわかる。
【0037】実験例5、比較例4(ポリ塩化アルミニウ
ムを含有する水質浄化材のヘドロ中におけるリン酸固定
能の評価) ヘドロ200mlにリン酸水溶液を加え、リン酸濃度5
1.10ppmとなるように調製した。このヘドロを含
むリン酸溶液1リットルに実施例1で製造した多孔質の
焼結体からなるポリ塩化アルミニウムを含有する水質浄
化材15gを投入し、静置したままの条件下で、リン酸
固定能を経時的に評価した。これを実験例5とする。ま
た、比較のため、ヘドロ200mlにリン酸水溶液を加
え、リン酸濃度51.40ppmとなるように調製し、
水質浄化材を投入しないものについてリン酸濃度を経時
的に測定した。これを比較例4とする。これらの結果を
表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】表3の結果から水質浄化材の投入によっ
て、水中のリン酸濃度が急激に低下し、0.25ppm
まで低下することがわかる。したがって、ヘドロが存在
している場合にも、実施例1で製造したポリ塩化アルミ
ニウムを含有する水質浄化材はリン酸固定能が高いこと
がわかる。
【0040】実験例6、比較例5(硫酸第一鉄を含有す
る水質浄化材のリン酸固定能の評価) 実施例2で得られた多孔質な焼結体からなる硫酸第一鉄
を含有する水質浄化材15gをリン酸濃度50ppmに
調製した1リットルの水中に投入し、静置したままの条
件下で、水質浄化材のリン酸固定能を経時的に評価し
た。これを実験例6とする。また比較例として水質浄化
材を投入しないものについてリン酸濃度の経時変化を測
定した。これを比較例5とする。これらの結果を表4に
示す。
【0041】
【表4】
【0042】表4の結果から、実施例2で製造した硫酸
第一鉄を含有する水質浄化材を投入した実験例6は、水
中のリン酸濃度が急激に低下し、0.15ppmになっ
た。したがって、実施例2で製造した硫酸第一鉄を含有
する水質浄化材はリン酸固定能が高いことがわかる。ま
た、実験例4の結果とあわせて検討すると、実施例2で
製造した硫酸第一鉄を含有する水質浄化材は、実施例1
で製造したポリ塩化アルミニウムを含有し、硫酸第一鉄
は含有しない水質浄化材よりもリン酸固定能が高いこと
がわかる。
【0043】実験例7〜8、比較例6〜7(硫酸第一鉄
を含有する水質浄化材のヘドロ中におけるリン酸固定能
の評価) ヘドロ200mlにリン酸水溶液を加え、リン酸濃度
0.23、51.00ppmとなるように調製した。こ
のヘドロを含むリン酸溶液1リットルに実施例2で製造
した多孔質の焼結体からなる硫酸第一鉄を含有する水質
浄化材15gを投入し、静置したままの条件下で、リン
酸固定能を経時的に評価した。これらを実験例7、8と
する。また、比較のため、ヘドロ200mlにリン酸水
溶液を加え、リン酸濃度0.28、51.40ppmと
なるように調製し、水質浄化材を投入しないものについ
てリン酸濃度を経時的に測定した。これらを比較例6、
7とする。これらの結果を表5に示す。
【0044】
【表5】
【0045】表5の結果から水質浄化材の投入によっ
て、水中のリン酸濃度が急激に低下し、0.03、0.
11ppmまで低下することがわかる。したがって、ヘ
ドロが存在している場合にも、実施例2で製造した硫酸
第一鉄を含有する水質浄化材はリン酸固定能が高いこと
がわかる。
【0046】参考例1(硫酸アルミニウムを含むリン酸
固定能の高い水質浄化材の製造) 主原料として土壌(粘土。アロフェンを含んでいない)
5kgに、水0.9kg、前記土壌の乾燥重量に対して
10%の硫酸アルミニウム及び前記硫酸アルミニウムの
重量に対して35%の水酸化カルシウム(バインダー)
を加え、十分に混練した。次に、これを直径3.5mm
の細い穴から押し出し、電気炉中、500℃で15分間
焼成して多孔質な焼結体(平均粒子径2〜4mm、孔隙
率15〜20%)を得た。得られた焼結体を水中にい
れ、水に対する適合性について調べた。その結果、その
焼結体は水中で分解したり、懸濁したりすることがなか
った。
【0047】また、上記焼結体からなる水質浄化材を用
い、次の方法によりリン酸固定能を試験した。まず、水
質浄化材20gを、それぞれリン酸濃度が0.1、1、
10及び100ppmに調整された1リットルの水が入
った容器中に投入した。次に、この容器を上下に5回振
って内容物を混合し、その後静置した状態で保持し、水
質浄化材のリン酸固定能を経時的に測定した。また、対
照例として水質浄化材の代わりに砂20gを投入し、同
一条件でリン酸固定能を測定した。これらの結果を表6
に示す。
【0048】
【表6】
【0049】実施例3(水酸化アルミニウムを含むリン
酸固定能の高い水質浄化材の製造) 主原料としてアロフェンを含む火山灰土壌5kgに、水
0.7kg及び前記土壌の乾燥重量に対して10%の水
酸化アルミニウムを加え、十分に混練した。次に、これ
を直径3.5mmの細い穴から押し出し、電気炉中、5
00℃で15分間焼成して多孔質な焼結体(平均粒子径
2〜4mm、孔隙率25〜30%)を得た。得られた焼
結体を水中にいれ、水に対する適合性について調べた。
その結果、その焼結体は水中で分解したり、懸濁したり
することがなかった。
【0050】また、上記焼結体からなる水質浄化材を用
い、参考例1と同様の方法によりリン酸固定能を試験し
た。結果を表7に示す。
【0051】
【表7】
【0052】参考例2(硫酸第一鉄と水酸化アルミニウ
ムを含むリン酸固定能の高い水質浄化材の製造) 主原料として土壌(粘土。アロフェンを含んでいない)
5kgに、水0.8kg及び前記土壌の乾燥重量に対し
て5%の硫酸第一鉄、5%の水酸化アルミニウム及び
0.2%の炭酸カルシウム(バインダー)を加え、十分
に混練した。次に、これを直径3.5mmの細い穴から
押し出し、電気炉中、500℃で15分間焼成して多孔
質な焼結体体(平均粒子径2〜4mm、孔隙率15〜2
0%)を得た。得られた焼結体を水中にいれ、水に対す
る適合性について調べた。その結果、その焼結体は水中
で分解したり、懸濁したりすることがなかった。
【0053】また、上記焼結体からなる水質浄化材を用
い、参考例1と同様の方法によりリン酸固定能を試験し
た。結果を表8に示す。
【0054】
【表8】
【0055】参考例3(硫酸第一鉄と硫酸アルミニウム
を含むリン酸固定能の高い水質浄化材の製造) 主原料として硫酸第一鉄2kg、硫酸アルミニウム3k
g、水0.9kg及び水酸化カルシウム(バインダー)
1.3kgを十分に混練した。次に、これを直径3.5
mmの細い穴から押し出し、電気炉中、500℃で15
分間焼成して多孔質な焼結体体(平均粒子径2〜4m
m、孔隙率40〜60%)を得た。得られた焼結体を水
中にいれ、水に対する適合性について調べた。その結
果、その焼結体は水中で分解したり、懸濁したりするこ
とがなかった。
【0056】また、上記焼結体からなる水質浄化材を用
い、参考例1と同様の方法によりリン酸固定能を試験し
た。結果を表9に示す。
【0057】
【表9】
【0058】
【発明の効果】(A)本発明は、アルミニウムもしくは
鉄の化合物又はこれらの混合物と、式(1)で表される
アロフェンを含む土壌とからなる多孔質な焼結体を含有
する水質浄化材であり、土壌単独で焼成した場合よりも
高いリン酸固定能を発揮しうる水質浄化材である。従っ
て本発明に係る水質浄化材によれば、水中あるいはヘド
ロ層に存在するリン酸を水質浄化材に吸着し、除去せし
めることができ、莫大な費用と時間を必要とする排水処
理装置などの浄化能力に頼らず、富栄養化した水の改
善、向上を図ることができる。 (B)本発明は、凝集剤として作用しうる水質浄化材で
ある。従って、本発明に係る水質浄化材によれば、富栄
養化した湖沼の水と接触させることで水中の懸濁物質を
凝集、沈降させることができ、水の透明度を高めること
ができる。また、風が原因でヘドロが舞い上がることを
防止することができる。 (C)本発明は、アロフェン等の化学組成物が含有され
る土壌と、硫酸第一鉄もしくはポリ塩化アルミニウムと
を焼成した焼結体は、より一層凝集効果を高めることが
できる。また、本発明に係る水質浄化材によれば、凝集
効果が持続するため、水中の懸濁物質の除去効果を持続
することができ、さらに、凝集能はリン酸固定能と相ま
っていわば相乗効果を生じ、富栄養化の程度を問わず、
水質の改善と向上を図ることができる。 (D)本発明は、アロフェン等の化学組成物が含有され
る土壌と硫酸第一鉄とを焼成した焼結体はより一層リン
酸固定能を高めることができる。 (E)本発明は、アルミニウム化合物もしくは鉄化合物
と、式(1)で表されるアロフェンを含む土壌とを20
0〜700℃で焼成することで強固で多孔質な焼結体を
簡易に得る製造法である。従って本発明に係る製造法に
よる水質浄化材によれば、その孔隙率が大きく、水中で
分解したり、懸濁することもないので、富栄養化した湖
沼の水と接触させるだけで、水中に溶解しているリン酸
を長時間に亘って吸着しつづけることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−24635(JP,A) 特開 平2−21941(JP,A) 特開 平3−68445(JP,A) 特開 昭54−57482(JP,A) 特開 昭56−136648(JP,A) 特開 平3−188983(JP,A) 特開 昭51−42088(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 20/12 C02F 1/28 C04B 38/00 304

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムもしくは鉄の化合物又はこ
    れらの混合物と、次式(1); 【化1】 (式中、nは1.3〜2の数を示し、mは0より大きな
    上限が2.5〜3の範囲の数を示す)で表されるアロフ
    ェンを含む土壌とからなる多孔質な焼結体を含有するこ
    とを特徴とする水質浄化材。
  2. 【請求項2】 アルミニウム化合物もしくは鉄化合物
    と、式(1)で表されるアロフェンを含む土壌と、水を
    混練した後、その混練物を200〜700℃で焼成して
    焼結体を得ることを特徴とする水質浄化材の製造法。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウム化合物が、ポリ塩化ア
    ルミニウム、硫酸アルミニウム又は水酸化アルミニウム
    である請求項2記載の水質浄化材の製造法。
  4. 【請求項4】 前記鉄化合物が、硫酸第一鉄である請求
    項2記載の水質浄化材の製造法。
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