JP3093324B2 - スレーブフラッシュ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、他のフラッシュの発
光に同期して発光するスレーブフラッシュに関する。

【０００２】

【従来の技術】1つのフラッシュでは光量が不足する場
合、あるいは、異なる複数の方向から投光して撮影した
い場合には、従来から他のフラッシュに同期して発光す
るスレーブフラッシュが用いられている。

【０００３】従来のスレーブフラッシュは、他のフラッ
シュの発光を受光手段により検出して自動的に発光し、
予め設定された発光量に達すると発光を停止する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】一般の一眼レフカメラ
においては、スレーブフラッシュが従属するメインのフ
ラッシュとして、TTLオートストロボが用いられてい
る。TTLオートストロボは、被写体から反射されてフィ
ルム面に達する光量を測定し、一定の露出が得られたと
きに発光を停止させるシステムである。このようなTTL
オートストロボでは、発光量自体を撮影者が設定する必
要はない。

【０００５】しかしながら、上述したような従来のスレ
ーブフラッシュは、発光の停止タイミングを撮影者自身
が設定しなければならないため、設定が煩雑である。ま
た、メインのフラッシュはスレーブフラッシュによる光
量をも含めて制御されるが、スレーブフラッシュはその
ような制御を受けずに機能するため、全体として適正な
露出を得るための設定が困難となる。また、従来のスレ
ーブフラッシュには、その受光手段により検出された光
の立ち上がりが急峻であるとき、その光をメインのフラ
ッシュの発光であると判断しているものがある。しかし
このようなスレーブフラッシュはそれほど光量の大きく
ない外光の明滅もその立ち上がりが急であればメインの
フラッシュであると誤認識してしまい、誤動作すること
があるという問題を有している。

【０００６】

【発明の目的】この発明は、上述した従来技術の課題に
鑑みてなされたものであり、発光停止を自動的に制御す
ることができるとともに外光による誤動作を防止できる
スレーブフラッシュを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明にかかるスレー
ブフラッシュは、上記の目的を達成させるため、閃光を
発する発光部と、他のフラッシュの閃光を受光する受光
部と、受光部で受光した受光量の光量変化速度が第１の
所定速度を超えたときに第１のレベルを出力し、光量変
化速度が第２の所定速度以下となったときに第２のレベ
ルを出力する第１の比較演算回路と、受光部で受光した
受光量と所定光量を比較して、受光量が所定光量を超え
たときに第１のレベルを出力し、かつ受光量が所定光量
以下となったときに第２のレベルを出力する第２の比較
演算回路と、第１の比較演算回路の出力と第２の比較演
算回路の出力とがともに第１のレベルとなったときに発
光部の発光を開始させる発光開始回路と、第１の比較演
算回路の出力と第２の比較演算回路の出力のうち、少な
くとも一方が第２のレベルとなったときに発光部の発光
を停止させる発光停止回路とを有することを特徴とす
る。

【０００８】

【実施例】以下、この発明を図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、この発明の一実施例を示したものである。

【０００９】図1に示すように、一眼レフカメラ10には
被写体に向けて発光するストロボ20が電気的に接続され
ている。また、一眼レフカメラ10とは独立して、スレー
ブフラッシュ30が被写体Sを異なる方向から照明するよ
うに配置されている。

【００１０】カメラ10に接続されたストロボ20は、一眼
レフカメラ10の内部に設けられた受光素子11、調光回路
12と共にTTLオートストロボのシステムを構成してい
る。調光回路12は、図2に示したように受光素子(フォト
ダイオード)11の電圧を積分する積分回路12aと、フィル
ム感度Svに基づいて適正露出に相当する電圧を設定する
露出設定回路12bと、積分回路12aの積分出力と露出設定
回路12bの設定電圧とを比較するコンパレーター12cとを
有している。

【００１１】シャッターが開いてストロボ20が発光する
と、調光回路12は被写体Sから撮影レンズ13を介してフ
ィルム14に達する光量を受光素子11の出力に基づいて積
分する。コンパレーター12cの出力端子からは、積分電
圧が設定電圧を越えて露出に必要な光量が得られたとき
に発光停止(クエンチ)信号が出力され、ストロボ20の発
光が停止される。

【００１２】一方、スレーブフラッシュ30は、図1に示
したように発光部31と、ストロボ20の光を受ける受光部
32と、受光部からの信号を受けて発光部31の発光を開始
させる発光開始回路33、停止させる発光停止回路34とを
備えている。

【００１３】TTLオートストロボは、ストロボ20自身の
光量のみでなくスレーブフラッシュ30の光量をも含めて
適正露出が得られたときに発光を停止するため、TTLオ
ートストロボが発光停止するタイミングはスレーブフラ
ッシュの有無にかからわず、適正露出が得られたタイミ
ングである。

【００１４】そこでスレーブフラッシュ30は、発光開始
回路33が受光部32からの信号を受けてストロボ20の発光
開始を検出すると、これに同期して発光部31を発光を開
始させ、発光停止回路34が受光部32からの信号を受けて
ストロボ20の発光停止を検出すると、これに同期して発
光部31の発光を停止させる。これによりフィルム14には
適正な露出が得られることとなる。

【００１５】図3は、スレーブフラッシュ30の回路の一
例を示したものである。

【００１６】充電用スイッチSWがONされると、バッテリ
ーBATTの電圧がトランスにより昇圧されてメインコンデ
ンサC1へ充電され、充電電圧が一定の値以上となるとネ
オン管Neが点灯する。

【００１７】充電電圧が所定値以上となっているときに
発光制御回路100から発光開始信号が出力されると、メ
インコンデンサC1から電流が流れてスレーブフラッシュ
30の発光部31としてのキセノン管Xeが発光する。発光制
御回路100から発光停止信号が出力されると、キセノン
管Xeは消灯する。

【００１８】発光制御回路100は、受光部32を構成する
フォトトランジスタ32aと、これと直列に接続された分
圧抵抗R1と、基準電圧を設定する抵抗R2,R3と、時定数
回路101と、第1、第2の比較演算回路としてのコンパレ
ーターA,Bと、これらのアンドをとるアンド回路C等とか
ら構成されている。

【００１９】第1のコンパレーターAの反転入力端子には
2つの抵抗により分圧された基準電圧が印加され、非反
転入力端子にはフォトトランジスタ32aと抵抗R1とによ
り分圧された電圧が印加されている。第1のコンパレー
ターAの出力は、フォトトランジスタ32aの受光量が基準
電圧により定められたスレッシュホールドレベル以上と
なると立ち上がる。

【００２０】第2のコンパレーターBの反転入力端子には
上記と同様の基準電圧が印加され、非反転入力端子には
時定数回路101の電圧が印加される。第2のコンパレータ
ーBは微分回路として機能し、その出力はフォトトラン
ジスタ32aの受光量が急激に変化したときに反転する。

【００２１】次に、発光制御回路100の作用を図4に基づ
いて説明する。図4中、(A)はストロボ20の発光強度、
(B)は第1のコンパレーターAの出力信号、(C)は第2のコ
ンパレーターBの出力信号、(D)はアンド回路Cの出力信
号、(E)はスレーブフラッシュ30のキセノン管の発光量
をそれぞれ示している。

【００２２】時刻t0においてカメラに設けられたストロ
ボ20が発光を開始する。光量の急激な変化によってまず
第2のコンパレーターBの出力がハイレベルとなり、時刻
t1でストロボの発光量、すなわちフォトトランジスタ32
aの受光量が第1のコンパレーターAのスレッシュホール
ドレベルSHを越えたときに第1のコンパレーターAの出力
も立ち上がる。これと同時にアンド回路Cの出力がハイ
レベルとなり、絶縁ゲートバイポーラトランジスタIGBT
がONしてキセノン管Xeの発光を開始させる。

【００２３】時刻t2においてカメラ側のストロボがカメ
ラ側のクエンチ信号により発光停止すると、ストロボ20
の光量が急激に減少するため第2のコンパレーターBの出
力がローレベルとなる。これと同時にアンド回路Cの出
力もローレベルとなってパワートランジスタIGBTがOFF
し、キセノン管Xeの発光が停止される。

【００２４】その後、時刻t3でストロボ20の光量がスレ
ッシュホールドレベル以下となり、第1のコンパレータ
ーAの出力もローレベルに落ちる。

【００２５】このように、フォトトランジスタでの受光
量レベルと光量変化速度を併せてストロボ２０の発光を
判断することにより、ストロボ２０による光以外の定常
光、例えば大光量の定常照明光によるスレーブフラッシ
ュ３０の誤作動や、微小光量の急激な変化、例えばスト
ロボ２０以外の微小な照明光が一瞬明滅した場合等によ
るスレーブフラッシュ３０の誤作動を防止することがで
き、ストロボ２０の発光開始・発行停止のみを正確に検
出できる。

【００２６】

【効果】以上説明したように、この発明によれば、スレ
ーブフラッシュがカメラ側のフラッシュの発光開始、発
光停止を自ら検出して発光を制御するため、使用者が発
光量を手動的に設定しなくともよい。さらに、大光量定
常光による誤作動や周辺光量の微小な急変化による誤作
動を防止することもできる。

【００２７】特に、カメラ側でTTLオートストロボを使
用している場合には、このTTLオートストロボの作用に
よりスレーブフラッシュの光量をも含めて適正な露出が
得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の概略構成を示すブロック図であ
る。

【図２】 カメラ側の調光回路の回路図である。

【図３】 実施例にかかるスレーブフラッシュの回路図
である。

【図４】 カメラ側のフラッシュの発光量とスレーブフ
ラッシュ側の各回路の出力、スレーブフラッシュの発光
量の関連を示すグラフである。

【符号の説明】

10…カメラ 20…ストロボ 30…スレーブフラッシュ 31…発光部 32…受光部 33…発光開始回路 34…発光停止回路

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 閃光を発する発光部と、 他のフラッシュの閃光を受光する受光部と、 該受光部で受光した受光量の光量変化速度が第１の所定
   速度を超えたときに第１のレベルを出力し、該光量変化
   速度が第２の所定速度以下となったときに第２のレベル
   を出力する第１の比較演算回路と、 前記受光部で受光した前記受光量と所定光量を比較し
   て、前記受光量が該所定光量を超えたときに前記第１の
   レベルを出力し、かつ前記受光量が該所定光量以下とな
   ったときに前記第２のレベルを出力する第２の比較演算
   回路と、 前記第１の比較演算回路の出力と前記第２の比較演算回
   路の出力とがともに前記第１のレベルとなったときに 前
   記発光部の発光を開始させる発光開始回路と、前記第１の比較演算回路の出力と前記第２の比較演算回
   路の出力のうち、少なくとも一方が前記第２のレベルと
   なったときに 前記発光部の発光を停止させる発光停止回
   路とを有するスレーブフラッシュ。