JP3091771B2 - エミッタ短絡構造を有する半導体素子 - Google Patents
エミッタ短絡構造を有する半導体素子Info
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Description
体素子において、アノードエミッタとベースとの間にバ
ッファ層を介在させたエミッタ短絡構造を有する半導体
素子に関する。
トターンオフサイリスタ(GTO)、絶縁ゲートバイポ
ーラトランジスタ(IGBT)、及びMOS制御サイリ
スタ(MCT)などのバイポーラ形の3端子半導体素子
は、ターンオフ時の電流波形に見られる裾引き現象、い
わゆるテール電流があって、無視できない損失発生源に
なると共に、ターンオフ時間が大きくなる要因となって
いる。
オフ時間の増大はバイポーラ形の3端子半導体素子の高
周波インバータなどへの適用において、その取扱い可能
な電力量、及び動作周波数等を制限する要因となってい
る。
ッタとバッファを短絡する構造がある。この方法はp形
ゲートのSIThやGTOの場合にはアノードエミッタ
短絡構造と称され、原理的に過剰キャリアの注入量抑制
と、注出(引き出し)の高速化が可能という短絡効果を
有するのが特徴である。
するとターンオフ特性は向上するが、反面ターンオン特
性が低下するというトレードオフの傾向にあるため、実
際には短絡構造の適正化が重要となるが、本発明はこの
短絡構造の改善に関するものである。
領域の不純物密度がバッファと同じか又はそれ以上であ
って、その配置は素子の単位区画(例えば長さ3mm、幅
0.5mmの寸法を有する)内に、数ヶ所以下にする方法が
用いられ、短絡領域の間隔は大きい。
る静電誘導(SI)サイリスタの従来例の1区画分の断
面構造図であり、図12及び図13はそれぞれ図11の
II〜II' 線及びIII 〜III'線に沿った部分断面図であ
る。2はn形高抵抗領域、3はp形低抵抗領域、4はp
形領域、5はn形領域、6はn形低抵抗領域、7はn形
低抵抗からなる短絡領域、8はn形中抵抗領域(バッフ
ァ層)であり、2〜8はすべてシリコン半導体領域であ
る。
境界部には、図12に示すような格子状のp形領域4が
ゲート部として埋め込まれており、この格子状のp形領
域4に囲まれたn形高抵抗領域2の部分をチャンネルと
称し、負荷電流は主としてこのチャンネル部を流れる。
n形領域5の層の上部にはn形低抵抗領域6の層が重ね
られて、その上面にカソード電極10が設けられてい
る。
抗領域8の層が設けられ、その下部の中央部分にはp形
低抵抗領域3の層がpn接合を形成するごとく重ねられ
ると共に、周辺部分には図3に示すごとくn形低抵抗領
域が設けられて短絡領域7を構成しており、これらp形
低抵抗領域3と短絡領域7とからなる層の下面にアノー
ド電極9が設けられて、短絡領域7がn形中抵抗領域8
の層とアノード電極9とを短絡するごとく構成されてい
る。短絡領域7の不純物密度は、バッファのn形中抵抗
領域8の不純物密度と同じか、それ以上である。
層の周辺部は取り除かれ、格子状のp形領域4の周辺部
が露出せしめられており、この露出面にゲート電極11
が設けられている。このように構成された多数の区画が
単一の半導体基板内に配設されて、SIサイリスタを形
成している。このような各1区画は例えば幅約0.5 mm、
長さ約3mm程度の非常に小さいものであり、半導体基板
上に整然とこの区画が配設される。
形高抵抗領域2とn形中抵抗領域8の過剰な伝導電子
が、短絡領域7を経てアノード電極9へ流れる程度、い
わば短絡抵抗によってターンオン,ターンオフ及びオン
特性が変化する。このような短絡抵抗の面内分布を均一
化するには、更に短絡領域の間隔を小さくする方法が考
えられるが、短絡領域の不純物密度が高いために実施は
むずかしい。
絡抵抗が小さいほどn形中抵抗領域8とn形高抵抗領域
2に蓄積される伝導電子は少なくなるために、p形低抵
抗領域3からn形中抵抗領域8及びn形高抵抗領域2に
注入される正孔は減少し、特性面ではターンオン時間が
長くなり、またオン電圧は高くなる。従って、短絡抵抗
を大きくした方がオン特性は良くなる。
域6からの伝導電子注入が止まり、p形領域4とn形高
抵抗領域2の接合を起点として空乏層が形成された後
に、なおn形高抵抗領域2とn形中抵抗領域8の空乏化
しない部分にはキャリアが蓄積されており、これがテー
ル電流源となる。テール期間開始時の蓄積キャリアは短
絡抵抗が小さいほど少なく、従ってピークテール電流は
小さい。
短絡抵抗が小さいほど早くアノード電極9へ流出し、ひ
いては蓄積された正孔にはp形低抵抗領域3へ流出する
成分ができることから、テール電流の減衰は早くなる。
すなわち、ターンオン時間を短かくしかつオン電圧を低
くしながら、テール電流を小さくしかつテール電流の減
衰を早くするためには、短絡構造ひいては短絡抵抗の適
正化が重要となるが、従来の短絡構造には次の欠点があ
った。
(n形高抵抗領域2に相当)を用いて素子を製造する場
合には、フォトリソグラフ工程でp形領域4の格子状と
短絡領域の均等な関係を保つために、表面と裏面とのパ
ターン合わせを要するが、精度よく合わせることは困難
で、前述のチャンネルから短絡領域7までの平面距離が
不正確となり、はなはだしい場合にはチャンネルと短絡
領域とが重なるようなこともあり、短絡抵抗を正確に制
御することが困難である。
の配置には関係なく、n形中抵抗領域8の層とアノード
電極9との間の単位面積当りの短絡抵抗を均一になるよ
うにしておくことが望ましい。その方法として短絡領域
の間隔が小さくなるように分散配置することが考えられ
る。しかしオン特性を損なわない程度の短絡抵抗を得る
のは、短絡領域の不純物密度が高いために、実施はむず
かしい。
は静電誘導サイリスタ(SITh)、ゲートターンオフ
サイリスタ(GTO)、絶縁ゲートバイポーラトランジ
スタ(IGBT)及びMOS制御サイリスタ(MCT)
等のバイポーラ形の3端子半導体素子において、アノー
ドエミッタとベースとの間にバッファ層を介在させたエ
ミッタ短絡構造の適正化を図ることによりターンオン特
性とターンオフ特性との間のトレードオフ関係を改善し
た、アノードエミッタ短絡構造を有する半導体素子を提
供することである。
下記に示す通りである。即ち、本発明は第1の導電形の
高抵抗領域とエミッタを形成する第2の導電形の低抵抗
領域との間にバッファを形成する第1の導電形の中抵抗
領域を有する3端子半導体素子において、前記エミッタ
と並列に、前記バッファよりも低不純物密度であって、
不純物密度の範囲が1011〜1015cm-3の第1の導電形の短
絡領域を設け、かつ前記短絡領域の間隔を500 μm以下
となし、そして前記エミッタと前記短絡領域とに第1の
電極が接続されたことを特徴とするエミッタ短絡構造を
有する半導体素子としての構成を有するものであり、或
いはまた、前記第1の電極から前記バッファに至る間の
短絡抵抗が素子単位面積当り0.5 Ω・cm2 以上になされ
たことを特徴とするエミッタ短絡構造を有する半導体素
子としての構成を有するものであり、或いはまた、前記
3端子半導体素子が、静電誘導サイリスタ、ゲートター
ンオフサイリスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ
若しくはMOS制御サイリスタの内のいずれか1つの半
導体素子からなることを特徴とするエミッタ短絡構造を
有する半導体素子としての構成を有するものであり、或
いはまた、前記3端子半導体素子の少なくとも前記エミ
ッタ短絡領域がキャリアライフタイム制御され、かつ、
高抵抗化されたことを特徴とするエミッタ短絡構造を有
する半導体素子としての構造を有するものである。
づく数値を用いて説明する。
りも低い1011〜1015cm-3とすることで、1つの短絡領域
の短絡抵抗を従来よりも高くする。そして短絡領域の個
数が従来よりも多くなるように分散配置することによ
り、短絡領域の間隔を低減する。
与える効果を調べる下記の実験1を行った結果、素子の
単位面積当りの短絡抵抗とスイッチング損失について図
5に示される関係を得た。これより短絡抵抗が小さくな
るのに伴ってターンオフ損失はほぼ比例して減少し、タ
ーンオン損失は反比例して増大することがわかる。そし
て0.5 Ω・cm2 以下ではターンオン損失の増大が著しい
ことから短絡抵抗は0.5 Ω・cm2 以上が適する。
素子に対してライフタイム制御を行い、ターンオン損失
とターンオフ損失の関係を調べて図10に示される結果
を得た。これより金拡散でライフタイム制御を行うこと
によりターンオン損失とターンオフ損失のトレードオフ
がさらに改善されることがわかる。
リスタの1区画分の基本構造を図1に、そして図1のII
I 〜III'線に沿った部分断面図を図2と図3に示す。な
お図1乃至図3中の符号は図11で示したものと同じで
ある。図4はバッファと短絡領域の不純物密度分布を示
し、符号A,B,Cは図1中のものと対応している。
行である。
ファ層の抵抗rC と短絡領域の抵抗rA を計算で求め、
更に素子単位面積当りの短絡個数が並列接続された場合
の抵抗RS を求める。前記実験条件ではrA がrC より
も大きい。このような抵抗は容易に計算できることから
短絡構造の設計と素子特性の関係を検討するのに実用的
である。ここで抵抗RS について求める。1個の短絡領
域の面積を図2よりS(cm2 )とする。素子面積の短絡
数nはn=1/S(1/cm2 )となる。従って素子単位
面積当りの短絡抵抗RS は次式で表わせる。即ち、RS
=(rC +rA )/n=(rC +rA )S(Ω・cm2 )
となる。
も小さくする方向での試作を行い、短絡抵抗と素子のオ
ン電圧及びスイッチング特性等との関係を調べた。
波形例を図6乃至図8に示す。このようなスイッチング
波形から求めたターンオン損失及びターンオフ損失と短
絡抵抗との関係を図5に示す。これよりターンオフ損失
は短絡抵抗と正比例の関係にあり、ターンオン損失は短
絡抵抗とは反比例する関係にあることがわかる。
絡領域の間隔を微細化した短絡構造のSIサイリスタの
試作結果から、短絡抵抗を指標にして、ターンオン及び
ターンオフ損失の比率を調節することがよい。
長くなり、ひいては損失が増大することから、短絡抵抗
は0.5 Ω・cm2 以上が実用に適する。
タイム制御を実施する。
I'面側から金拡散を行う。拡散温度は最高で850 ℃とし
た。
拡散を所定の条件にて行った場合のスイッチング波形例
を図9に示す。このようなスイッチング波形から求めた
ターンオン損失とターンオフ損失を用いて、これらの損
失間のトレードオフ関係を調べたのを図10に示す。パ
ラメータは金拡散温度である。
つ短絡領域の間隔を小さくした素子に対して、更に金拡
散によるライフタイム制御を行うことは、ターンオン特
性とターンオフ特性のトレードオフの改善に有効であ
る。
散前のそれに比較して増大することが拡がり抵抗測定の
結果からわかる。このような短絡抵抗増大により素子の
ターンオンが容易になることは、短絡抵抗での発生電圧
による正孔の注入が促進されること、及び図5の関係か
ら明らかである。一方、キャリアのライフタイムが小さ
くなると、ターンオフ特性が改善されることは良く知ら
れている。以上の2つの効果が相まってターンオンとタ
ーンオフとのトレードオフ関係が改善される。
特性に応じて、実験1と実験2で示した中から適したも
のを選定することができる。更にライフタイム制御方法
として、プロトン照射等の放射線を使用することも可能
である。
並列集積した大面積半導体素子の面内特性分布の均一化
が図れることにより、素子全体の特性改善に有効な方法
を提供できる。また短絡構造の設計において、計算の容
易な短絡抵抗を指標とすることにより、素子のオン及び
オフ特性間のバランスを調整する方法を提供できる。更
にライフタイム制御を実施することにより、ターンオン
特性とターンオフ特性間のトレードオフを改善するのに
有効な方法を提供できる。
り、本発明の短絡構造の説明図である。
横軸は図1の断面構造図に対応する。
イッチング損失の関係を表わす実験結果である。
ある。
ある。
ある。
制御に金(Au)拡散を実施した一例のスイッチング波
形である。
オフ関係をライフタイム制御をパラメータで示した図で
ある。
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 第1の導電形の高抵抗領域とエミッタを
形成する第2の導電形の低抵抗領域との間にバッファを
形成する第1の導電形の中抵抗領域を有する3端子半導
体素子において、前記エミッタと並列に、前記バッファ
よりも低不純物密度であって、不純物密度の範囲が1011
〜1015cm-3の第1の導電形の短絡領域を設け、かつ前記
短絡領域の間隔を500 μm以下となし、そして前記エミ
ッタと前記短絡領域とに第1の電極が接続されたことを
特徴とするエミッタ短絡構造を有する半導体素子。 - 【請求項2】 前記第1の電極から前記バッファに至る
間の短絡抵抗が素子単位面積当り0.5 Ω・cm2 以上にな
されたことを特徴とする前記請求項1記載のエミッタ短
絡構造を有する半導体素子。 - 【請求項3】 前記3端子半導体素子が、静電誘導サイ
リスタ、ゲートターンオフサイリスタ、絶縁ゲートバイ
ポーラトランジスタ若しくはMOS制御サイリスタの内
のいずれか1つの半導体素子からなることを特徴とする
前記請求項1若しくは前記請求項2の内、いずれか1項
記載のエミッタ短絡構造を有する半導体素子。 - 【請求項4】 前記3端子半導体素子の少なくとも前記
エミッタ短絡領域がキャリアライフタイム制御され、か
つ、高抵抗化されたことを特徴とする前記請求項1乃至
3の内、いずれか1項記載のエミッタ短絡構造を有する
半導体素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03025629A JP3091771B2 (ja) | 1991-01-24 | 1991-01-24 | エミッタ短絡構造を有する半導体素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03025629A JP3091771B2 (ja) | 1991-01-24 | 1991-01-24 | エミッタ短絡構造を有する半導体素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04240775A JPH04240775A (ja) | 1992-08-28 |
JP3091771B2 true JP3091771B2 (ja) | 2000-09-25 |
Family
ID=12171161
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03025629A Expired - Lifetime JP3091771B2 (ja) | 1991-01-24 | 1991-01-24 | エミッタ短絡構造を有する半導体素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3091771B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005354031A (ja) | 2004-05-13 | 2005-12-22 | Mitsubishi Electric Corp | 半導体装置 |
EP2184781A1 (en) * | 2008-11-05 | 2010-05-12 | ABB Technology AG | Reverse-conducting semiconductor device |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0288169A (ja) * | 1988-09-24 | 1990-03-28 | Toyoda Mach Works Ltd | 数値制御研削盤 |
-
1991
- 1991-01-24 JP JP03025629A patent/JP3091771B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04240775A (ja) | 1992-08-28 |
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