JP3089110B2 - 炭酸カルシウム微粒子分散体の製造方法 - Google Patents

炭酸カルシウム微粒子分散体の製造方法

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JP3089110B2 JP04218246A JP21824692A JP3089110B2 JP 3089110 B2 JP3089110 B2 JP 3089110B2 JP 04218246 A JP04218246 A JP 04218246A JP 21824692 A JP21824692 A JP 21824692A JP 3089110 B2 JP3089110 B2 JP 3089110B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微細でかつ二次凝集が
少なく、分散性の良好な沈降製炭酸カルシウムの製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、沈降製炭酸カルシウムの工業的製
造方法としては、炭酸ガス法が広く採用されている。こ
の炭酸ガス法とは、天然に産する石灰石を焼成すること
により生石灰(酸化カルシウム)を得、この生石灰と水
を反応させ石灰乳(水酸化カルシウムの水懸濁液)を
得、この石灰乳に石灰石を焼成する際発生する炭酸ガス
を導通し反応させることにより炭酸カルシウムを得る方
法である。この様にして製造された炭酸カルシウムは、
その一次粒子の大きさに応じて、あるいは、配合時の物
性をさらに向上させる為、粒子表面に無機又は有機系の
様々な表面処理剤を表面処理することにより、ゴム、プ
ラスチック、紙、塗料等に配合され、広く大量に使用さ
れている。しかし乍ら、これら炭酸ガス法で製造される
沈降製炭酸カルシウムは、元来粒子間の凝集力が強く、
一次粒子が多数凝集して大きな二次凝集体を形成してお
り、中でも一次粒子径が0.2μm以下のものについて
はその凝集力が特に強く、多大なエネルギーを用いても
初期の一次粒子径を維持したまま二次凝集体を無くすこ
とは不可能とされている。
【0003】このような二次凝集体を多数含有する沈降
製炭酸カルシウムをゴム、プラスチック、紙、塗料等に
配合した場合、二次凝集粒子があたかも大きな一次粒子
のごとく挙動し、分散不良、強度低下、光沢低下、粘性
不足等の物性低下をきたし、本来微細な一次粒子に対し
て期待される様々な配合効果が得られない。同様に、こ
のような二次凝集体を多数含有する沈降製炭酸カルシウ
ムに無機又は有機系の様々な表面処理剤を表面処理して
も、二次凝集粒子表面を処理するにすぎず充分な効果を
発揮するに至らない。
【0004】現在まで、これら一次粒子凝集体を分散さ
せる方法は幾多報告されているが、特開昭59−579
13、特開昭60−210521等に開示されているご
とく、一般に炭酸化終了した沈降製炭酸カルシウムを一
旦フィルタープレス等で脱水し、固形分濃度60%以上
のプレスケーキとした後、ポリアクリル酸ナトリウム等
の分散剤により高濃度水懸濁液とするか、乾燥、粉末化
した後再び上記分散剤等を使用し水に懸濁させ、固形分
濃度60%以上の高濃度水懸濁液とし、その後、ボール
ミル、サンドグラインダーミル等により、強力に粉砕破
壊する方法が採用されている。
【0005】しかし乍ら、この様な方法は、高濃度水懸
濁液を得る為の方法として一旦プレスアップするか、あ
るいは乾燥粉末化する必要から多大のエネルギーの消費
が避けられず、また、ケディーミル、コーレスミキサー
等により湿式粉砕前に分散水懸濁液化工程を経なければ
ならないことによる多大のエネルギーの消費が不可欠の
為、経済的に不利であるばかりでなく、高濃度水懸濁液
を単に機械的に粉砕することから粉砕容器内において過
剰な粉砕破壊が行なわれる。かくして、炭酸カルシウム
の凝集体の分散が行なわれると同時に一次粒子の破壊も
行なわれ、その結果、表面状態が非常に不安定で再度二
次凝集体を形成する恐れがあり、かつ粒度分布の幅広い
不均一な炭酸カルシウムしか得られない。
【0006】また、特に特開昭60−210521につ
いては対象となる炭酸カルシウムとは普通軽質炭酸カル
シウムであって、平均粒子径1〜5μmという沈降製炭
酸カルシウムの中では比較的凝集力の小さいものを対象
としているにもかかわらず、上述のごとく多大のエネル
ギーを消費しなければ所望の物性を得ることが困難であ
るとされている。さらには、高濃度水懸濁液を得る為に
ポリアクリル酸ナトリウム等の分散機能を有する表面処
理剤を使用する場合、その為に使用用途が限定される等
様々な不利益が生じ、好ましい方法とは言い難い。
【0007】また、特開昭59−69425には、炭酸
ガス法により炭酸カルシウムを調整する炭酸化工程にお
いて、ストロンチウム塩又はバリウム塩を少量添加する
ことによる、分散性良好な沈降製炭酸カルシウムの製造
方法が提案されている。この方法によれば、良好な分散
性を有する沈降製炭酸カルシウムは調整し得るものの、
該方法で得られる炭酸カルシウム中には、炭酸化工程で
添加したストロンチウム塩又はバリウム塩が混在してお
り、これらストロンチウム塩、バリウム塩を経済的に有
利な方法で除去することが困難である為、使用用途によ
っては不都合が生じることが予想される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる実情
に鑑み、従来の沈降製炭酸カルシウム、特に微細な炭酸
カルシウムの分散方法の欠点を補い、かつ経済的に有利
に分散性の良好な炭酸カルシウムを得る製造方法を提供
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討の結果、湿式粉砕を行なうに当
たり、特定の条件を満足する様粉砕前の炭酸カルシウム
水懸濁液を調製し、二次凝集体を形成する原因と考えら
れるアルカリ物質の炭酸カルシウム固形分に対する割合
を減少させ、かつ一次粒子表面から該アルカリ物質を除
去することによる表面の不活性化を計ることにより、再
凝集を防ぎ、炭酸カルシウム水懸濁液中に不純物となり
得る第三成分を添加することなく、容易に微細かつ分散
性良好な沈降製炭酸カルシウムが得られることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、石灰乳に炭酸ガスを導通
して得られる沈降製炭酸カルシウムを湿式粉砕するに当
たり、下記a、b及びcの各条件を満たす様に予め濃縮
された炭酸カルシウム水懸濁液を用いることを特徴とす
る炭酸カルシウム微粒子分散体の製造方法を内容とする
ものである。 a.炭酸化反応終了時のpH(A)が、下記式を満たす
こと、 式 8.0≦A≦10.0(25℃における測定値) b.上記aにより得られた炭酸カルシウム水懸濁液を攪
拌及び/又は静置した後の該水懸濁液のpH(B)が、下
記式及びを同時に満たすこと、 式 10.5≦B(25℃における測定値) 式 B−A≧1.0 c.上記bにより得られた炭酸カルシウム水懸濁液の固
形分濃度(C%)を下記式及びを同時に満たす固形
分濃度(D%)に濃縮すること。 式 1.2C≦D 式 15≦D≦30
【0011】本発明において、石灰乳を調製するに用い
る生石灰は特に限定されるものではないが、石灰石の焼
成工程において生石灰個々の活性度を可能な限り均一に
し、炭酸化反応終了後のアルカリ物質の二次凝集体から
の溶出速度を均一にする為に、焼成する石灰石の大きさ
を10mm以下にするのが好ましい。また、使用する生石
灰の活性度についても特に規定されるものではないが、
炭酸化反応終了後のアルカリ物質の二次凝集体からの溶
出速度を速やかにする為には、活性度60以上の生石灰
を用いるのが好ましい。尚、本発明における生石灰の活
性度の測定方法は下記の通りである。 (生石灰の活性度の測定方法) (i)1リットルのビーカーに40℃の脱イオン水50
0mlを入れ、攪拌機で攪拌しながらフェノールフタレイ
ン溶液2〜3滴加える。 (ii)上記ビーカー中に直径2〜5mmに粗砕した生石灰
10gを一挙に投入すると同時にストップウォッチで計
時を始める。 (iii)1分経過後から、溶液わずかに赤味を呈するのを
持続する様4N−HClを継続して滴下する。 (iv)1分毎にそれまでの4N−HClの滴下量を記録
し、生石灰投入から10分経過後までの4N−HClの
滴下総量(単位ml)をもって活性度とする。 さらに、使用する水についても、炭酸化反応終了後のア
ルカリ物質の二次凝集体からの溶出速度を速やかにする
為には、溶出の妨げとなる水中の塩素イオン濃度を20
0ppm 以下とするのが好ましい。
【0012】石灰乳に炭酸ガスを導通して沈降製炭酸カ
ルシウムを得る方法に関しても特に制限はなく、石灰乳
中に炭酸ガスを導通する方法、炭酸ガスを噴霧石灰乳に
導通する方法等常法によればよい。また、炭酸化反応条
件に関しても、所望の微細炭酸カルシウムを得る方法で
あれば、石灰乳濃度、石灰乳温度、炭酸ガス濃度、炭酸
ガス導通量等の条件を任意に選択し炭酸化反応を開始す
ればよいが、炭酸化反応終了時点のpH(A)は、8.0
以上10.0以下としなければならない。炭酸化反応終
了時点のpHが8.0未満の場合、二次凝集体粒子の表面
を炭酸カルシウムが堅く覆い、アルカリ物質の溶出を妨
げ、一方、炭酸化反応終了時点のpHが10.0を越える
場合、二次凝集体を取り巻く残存のアルカリ物質濃度が
高くアルカリ物質の溶出を妨げる。次いで、得られた微
細炭酸カルシウムの水懸濁液を攪拌及び/又は静置する
ことにより該水懸濁液のpH(B)を10.5以上かつ攪
拌及び/又は静置する前後のpH値の差B−Aが1.0以
上となる様に調整する。攪拌及び/又は静置後のpHが1
0.5未満の場合、あるいは、攪拌及び/又は静置する
前後のpH値の差B−Aが1.0未満の場合、アルカリ物
質の溶出が不充分である為、以後の操作を行なっても分
散性良好な炭酸カルシウムは得られない。
【0013】この様にして得られた炭酸カルシウム水懸
濁液を濃縮することにより、固形分濃度を濃縮前に対し
て1.2倍以上かつ15%以上30%以下に調整した
後、湿式粉砕を行なえばよい。濃縮前後の固形分濃度の
比が1.2倍未満では、二次凝集体を形成する原因と考
えられるアルカリ物質の炭酸カルシウム固形分に対する
減少割合が不充分であり、濃縮後の固形分濃度が15%
未満では、粉砕効率が低く不利であり、濃縮後の固形分
濃度が30%を越える場合、微細な粒子が分散すること
による粘度上昇が大きく以後の操作が困難となる。ま
た、湿式粉砕を行なう際の炭酸カルシウム水懸濁液のpH
は、特に規定する必要はないが、10.0以上11.0
以下で行なうのが最も効率が良い。該水懸濁液のpHを上
記範囲に調整する場合は、炭酸ガスの導通及び/又は濃
縮前の攪拌及び/又は静置により得られたpH調整を行な
った炭酸カルシウム水懸濁液の添加により行なえばよ
い。
【0014】また、使用する濃縮機器は、フィルタープ
レスのごとき大掛かりな装置を必要とせず、オリーバー
フィルターなどの吸引濾過機あるいはロータリーフィル
ターなどの加圧濾過機等を用いればよく、さらに簡単な
方法として自然沈降による濃縮方法を採用してもよい。
ここで言う湿式粉砕とは、粉砕室内にガラスビーズ、ア
ルミナビーズ等のメディアを充填し、ディスク又はロー
ターを回転させ、該粉砕室中に供給される被粉砕物懸濁
液を粉砕する、一般にダイノーミル、サンドグラインダ
ーミル等と呼ばれる機器を使用し、粉砕することであ
る。また、湿式粉砕を行なった後は、そのままのpHにて
も使用可能であるが、PVCペーストゾル、シリコーン
1液シーリング剤等のごとく、使用時にアルカリ等によ
る弊害が有る場合は、湿式粉砕後の炭酸カルシウム水懸
濁液のpHを炭酸ガスの導通により、7.5以下にするの
が好ましい。これらに使用する微細な沈降製炭酸カルシ
ウムとは、通常1.0μm以下の一次粒子径を有する沈
降製炭酸カルシウムを言うが、本発明により製造する微
細かつ二次凝集体が極めて少なく分散性良好な沈降製炭
酸カルシウムの場合は、特に凝集性の強い一次粒子径
0.2μm以下のもの、より好ましくは0.07μm以
下のものを使用するのが、他の方法と比較して極めて効
果を発揮する。湿式粉砕を行なった後は、必要に応じ
て、通常一般的に行なわれる無機又は有機系の表面処理
剤による表面処理を行なった後、あるいは無処理のま
ま、脱水、乾燥等以後の工程に供給可能である。
【0015】上述のごとく、本発明により湿式粉砕を行
なう前に炭酸カルシウム水懸濁液を調製する事により、
湿式粉砕前に多大のエネルギーを消費して高濃度水懸濁
液を得る必要がなく、従来技術では経済的に不利とされ
ていた低い固形分濃度での湿式粉砕においても、短時
間、たとえば20分以内の滞留時間でも、また、低いシ
ェアー、たとえばディスク又はローターの周辺速度15
m/秒以下でも充分に1回の粉砕処理において分散が可
能であり、さらには、従来技術において発生する、粒子
表面の活性化に伴う再凝集も無く、一次粒子を破壊する
こともなく、粒度分布の均一な分散性良好な微粒子分散
体が得られる。また、本発明により調製される炭酸カル
シウムは、脱水乾燥して粉末化しても従来の炭酸カルシ
ウム粉体と比較し極めて良好な分散性を有している為、
各種表面処理剤により表面処理した後であっても、ゴ
ム、プラスチック、紙、塗料等様々な工業用用途に使用
し、良好な物性を発現する。
【0016】
【実施例】以下に実施例、比較例を示し本発明をより詳
細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定され
るものではない。 実施例1 1〜5mmの石灰石を用い電気炉にて焼成し、活性度80
の生石灰を得、該生石灰を塩素イオン濃度30ppm の水
にて水和することにより、比重1.055、温度8℃の
石灰乳を100リッター作成した。該石灰乳に炭酸ガス
濃度27重量%の炉ガス(以下炭酸ガスと略記する)を
20000リッター/時間の流速で導通し炭酸化反応を
行い、25℃におけるpHが8.4で固形分濃度12重量
%の炭酸カルシウムの水懸濁液を得た。この炭酸カルシ
ウムは、電子顕微鏡で観察した結果、一次粒子径が0.
05μmの炭酸カルシウムであった。その後25℃で5
時間攪拌し、炭酸カルシウム水懸濁液の25℃における
pHが10.7に達した時点で静置し、さらに5時間後に
その上澄み液を取り除くことにより、固形分濃度20重
量%に濃縮された炭酸カルシウム水懸濁液を得た。この
ものの25℃におけるpHは10.9であった。該濃縮炭
酸カルシウム水懸濁液を、湿式粉砕機ダイノーミルパイ
ロット型(WAB社製)を用い、ディスク周辺速度12
m/秒、メディア(0.8mm径ガラスビーズ)充填量見
掛け80%、滞留時間10分の粉砕条件で湿式粉砕し
た。本実施例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムの
遠心沈降式粒度分布測定機SA−CP3(島津製作所
製)による粒度分布測定結果を表1に示す。粒度分布の
測定結果から、本実施例で得られた水懸濁液中の炭酸カ
ルシウムは、極めて良好な分散性を有していることが確
認される。
【0017】実施例2 実施例1と同様の方法により、比重1.070、温度1
5℃の石灰乳を100リッター作成した。該石灰乳に炭
酸ガス濃度21重量%の炭酸ガスを10000リッター
/時間の流速で導通し炭酸化反応を行い、25℃におけ
るpHが9.8で固形分濃度15重量%の炭酸カルシウム
の水懸濁液を得た。この炭酸カルシウムは、電子顕微鏡
で観察した結果、一次粒子径が0.15μmの炭酸カル
シウムであった。その後30℃で24時間静置し、炭酸
カルシウム水懸濁液の25℃におけるpHが11.3に達
した時点で、オリーバーフィルターを用いて25重量%
に濃縮された炭酸カルシウム水懸濁液を得た。このもの
の25℃におけるpHは11.5であった。該濃縮炭酸カ
ルシウム水懸濁液を、実施例1と同様の方法で湿式粉砕
した。本実施例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウム
の遠心沈降式粒度分布測定機SA−CP3(島津製作所
製)による粒度分布測定結果を表1に示す。粒度分布の
測定結果から、本実施例で得られた水懸濁液中の炭酸カ
ルシウムは、極めて良好な分散性を有していることが確
認される。
【0018】実施例3 12〜15mmの石灰石を用い電気炉にて焼成して得た活
性度50の生石灰を用いることを除き、実施例1と同様
の方法で炭酸化反応を行い、25℃におけるpHが9.0
で固形分濃度12重量%の炭酸カルシウムの水懸濁液を
得た。この炭酸カルシウムは、電子顕微鏡で観察した結
果、一次粒子径が0.04μmの炭酸カルシウムであっ
た。その後35℃で12時間攪拌し、炭酸カルシウム水
懸濁液の25℃におけるpHが10.5に達した時点で、
オリーバーフィルターを用いて21重量%に濃縮された
炭酸カルシウム水懸濁液を得た。このものの25℃にお
けるpHは10.5であった。該濃縮炭酸カルシウム水懸
濁液を、湿式粉砕機ダイノミルパイロット型(WAB社
製)を用い、ディスク周辺速度15m/秒、メディア
(0.8mm径ガラスビーズ)充填量見掛け80%、滞留
時間15分の粉砕条件で湿式粉砕した。本実施例で得ら
れた水懸濁液中の炭酸カルシウムの遠心沈降式粒度分布
測定機SA−CP3(島津製作所製)による粒度分布測
定結果を表1に示す。粒度分布の測定結果から、本実施
例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムは、極めて良
好な分散性を有していることが確認される。
【0019】実施例4 実施例1記載の炭酸化反応により得られた炭酸カルシウ
ム水懸濁液を、25℃で12時間攪拌し、炭酸カルシウ
ム水懸濁液の25℃におけるpHが11.8に達した時点
で、オリーバーフィルターを用いて18重量%に濃縮さ
れた炭酸カルシウム水懸濁液を得た。このものの25℃
におけるpHは12.1であった。該炭酸カルシウム水懸
濁液に再び炭酸ガスを導通することにより、25℃にお
けるpHが10.3の濃縮された炭酸カルシウム水懸濁液
を得た。該濃縮炭酸カルシウム水懸濁液を、湿式粉砕機
ダイノミルパイロット型(WAB社製)を用い、ディス
ク周辺速度12m/秒、メディア(0.8mm径ガラスビ
ーズ)充填量見掛け80%、滞留時間5分の粉砕条件で
湿式粉砕した。本実施例で得られた水懸濁液中の炭酸カ
ルシウムの遠心沈降式粒度分布測定機SA−CP3(島
津製作所製)による粒度分布測定結果を表1に示す。粒
度分布の測定結果から、本実施例で得られた水懸濁液中
の炭酸カルシウムは、極めて良好な分散性を有している
ことが確認される。
【0020】比較例1 炭酸化反応終了時点のpHを7.2とすることを除き、実
施例1と同様の方法により一次粒子径0.05μm、固
形分濃度12重量%の炭酸カルシウム水懸濁液を得た。
このものは5日間静置した後の25℃におけるpHが8.
3であったが、上澄み液を除去することにより20重量
%の炭酸カルシウム水懸濁液を得た。該濃縮炭酸カルシ
ウム水懸濁液を、実施例1と同様の方法で湿式粉砕し
た。本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムの
遠心沈降式粒度分布測定機SA−CP3(島津製作所
製)による粒度分布測定結果を表2に示す。粒度分布の
測定結果から、本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カ
ルシウムは、実施例1と比較し、分散性が不良であるこ
とが確認される。
【0021】比較例2 実施例1で得られた25℃におけるpHが10.7の炭酸
カルシウム水懸濁液(12重量%)を濃縮しないでその
まま用い実施例1と同様の方法で湿式粉砕した。本比較
例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムの遠心沈降式
粒度分布測定機SA−CP3(島津製作所製)による粒
度分布測定結果を表2に示す。粒度分布の測定結果か
ら、本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウム
は、実施例1と比較し、分散性が不良であることが確認
される。
【0022】比較例3 実施例2と同様の炭酸化反応により得られた炭酸カルシ
ウム水懸濁液を、25℃で3時間攪拌し、炭酸カルシウ
ム水懸濁液の25℃におけるpHが10.5に達した時点
で、オリーバーフィルターを用いて25重量%に濃縮さ
れた炭酸カルシウム水懸濁液を得た。このものの25℃
におけるpHは10.7であった。該濃縮炭酸カルシウム
水懸濁液を、実施例1と同様の方法で湿式粉砕した。本
比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムの遠心沈
降式粒度分布測定機SA−CP3(島津製作所製)によ
る粒度分布測定結果を表2に示す。粒度分布の測定結果
から、本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウム
は、実施例2と比較し、分散性が不良であることが確認
される。
【0023】比較例4 実施例2で得られた25℃におけるpHが11.3で、固
形分濃度15重量%の炭酸カルシウム水懸濁液を、フィ
ルタープレスを用いて55重量%のプレスケーキとし
た。このものは、そのままの状態では流動性が無く、湿
式粉砕することが困難な為、ポリアクリル酸ソーダを炭
酸カルシウム固形分に対し1.2重量%添加し、ディゾ
ルバータイプの分散機により3時間攪拌することにより
流動性を保持した後、実施例1、2と同様の方法で湿式
粉砕した。このものの粉砕前の25℃におけるpHは1
0.5であった。本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸
カルシウムの遠心沈降式粒度分布測定機SA−CP3
(島津製作所製)による粒度分布測定結果を表2に示
す。粒度分布の測定結果から、本比較例で得られた水懸
濁液中の炭酸カルシウムは、実施例2と比較し、分散性
が不良であることが確認される。
【0024】表1、表2中A〜Eは、以下に示す数値を
表す。 A:炭酸化反応終了時点の25℃におけるpH値 B:得られた炭酸カルシウム水懸濁液を攪拌及び/又は
静置した後の25℃におけるpH値 C:炭酸化反応により得られた炭酸カルシウム水懸濁液
の固形分濃度(重量%) D:濃縮後の炭酸カルシウム水懸濁液の固形分濃度(重
量%) E:湿式粉砕しようとする濃縮された炭酸カルシウム水
懸濁液の25℃におけるpH値 表1、表2中のD25、D50、D75は、粒度分布測
定結果の粗粒子側から起算した、25重量%、50重量
%、75重量%の粒径を示している。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】応用例1 実施例1、4、比較例1、2により得られた炭酸カルシ
ウム水懸濁液、及び実施例1により得られた炭酸カルシ
ウム水懸濁液にさらに炭酸ガスを導通することにより2
5℃におけるpHが7.0としたもの(実施例1→pH7と
略記)に対し、脂肪酸ソーダを4.0重量%表面処理し
た後、フィルタープレスで脱水し、乾燥粉末化により各
々炭酸カルシウムの粉体を得た。これら5種の粉体を使
用し、下記配合により塩化ビニルペーストゾルを作成
し、その粘性及び貯蔵安定性を調べた。これらの結果を
表3に示す。表3の結果より、実施例の炭酸カルシウム
水懸濁液を原料として調製された粉体は、比較例の炭酸
カルシウム粉体と比較して、高い粘性及びチキソ性(T
I値)を示し、分散性が極めて良好であることが確認さ
れる。また、実施例1→pH7については、アルカリ物質
の除去がほぼ完全に行なわれていることから、貯蔵安定
性が極めて良好となっている。 (配合) 塩化ビニルペーストレジン (日本ゼオン121、日本ゼオン株式会社製) 100重量部 DOP 100重量部 ポリアミド(ヘンケルDSX140E、ヘンケル白水社製) 10重量部 溶剤(エステル系及び炭化水素系) 5重量部 炭酸カルシウム試料 70重量部
【0028】
【表3】
【0029】応用例2 実施例2及び比較例3、4により得られた炭酸カルシウ
ム水懸濁液に対し、脂肪酸ソーダを3.0重量%表面処
理した後、フィルタープレスで脱水し、乾燥粉末化によ
り各々炭酸カルシウムの粉体を得た。これら3種の粉体
を使用し、下記配合によりアクリル樹脂塗料を作成し、
その光沢及び分散性(JIS K5400による分散粒
度が10μm以下となるまでの分散時間)を調べた。こ
れらの結果を表4に示す。表4の結果より、実施例の炭
酸カルシウム水懸濁液を原料として調製された粉体は、
比較例の炭酸カルシウム粉体と比較して、高い光沢及び
分散性を示し、極めて良好であることが確認される。 (配合) アクリル樹脂 48.1重量部 チタン白 20.9重量部 炭酸カルシウム試料 10.2重量部 シンナー 20.8重量部
【0030】
【表4】
【0030】
【発明の効果】叙上の通り、本発明によれば、微細で且
つ二次凝集が少なく、分散性の良好な沈降製炭酸カルシ
ウムが工業的に有利に提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01F 11/18

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石灰乳に炭酸ガスを導通して得られる沈
    降製炭酸カルシウムを湿式粉砕するに当たり、下記a、
    b及びcの各条件を満たす様に予め濃縮された炭酸カル
    シウム水懸濁液を用いることを特徴とする炭酸カルシウ
    ム微粒子分散体の製造方法: a.炭酸化反応終了時のpH(A)が、下記式を満たす
    こと、 式 8.0≦A≦10.0(25℃における測定値) b.上記aにより得られた炭酸カルシウム水懸濁液を攪
    拌及び/又は静置した後の該水懸濁液のpH(B)が、下
    記式及びを同時に満たすこと、 式 10.5≦B(25℃における測定値) 式 B−A≧1.0 c.上記bにより得られた炭酸カルシウム水懸濁液の固
    形分濃度(C%)を下記式及びを同時に満たす固形
    分濃度(D%)に濃縮すること。 式 1.2C≦D 式 15≦D≦30
  2. 【請求項2】 石灰乳の原料である生石灰を製造する際
    に焼成炉に投入する石灰石の大きさが10mm以下である
    請求項1記載の炭酸カルシウム微粒子分散体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 使用する生石灰の活性度が60ml(4N
    −HCl)以上である請求項1記載の炭酸カルシウム微
    粒子分散体の製造方法。
  4. 【請求項4】 生石灰を水和して石灰乳を得る際に使用
    する水の塩素イオン濃度が200ppm 以下である請求項
    1記載の炭酸カルシウム微粒子分散体の製造方法。
  5. 【請求項5】 湿式粉砕する沈降製炭酸カルシウムの一
    次粒子径が0.2μm以下である請求項1記載の炭酸カ
    ルシウム微粒子分散体の製造方法。
  6. 【請求項6】 濃縮後の炭酸カルシウム水懸濁液のpH
    (E)を、下記式の範囲に調製する請求項1記載の炭
    酸カルシウム微粒子分散体の製造方法: 式 10.0≦E≦11.0(25℃における測定
    値)
  7. 【請求項7】 濃縮後の炭酸カルシウム水懸濁液のpH
    (E)を、湿式粉砕前に炭酸ガスの導通及び/又は請求
    項1記載の条件bにより得られた炭酸カルシウム水懸濁
    液の添加により調製する請求項6記載の炭酸カルシウム
    微粒子分散体の製造方法。
  8. 【請求項8】 湿式粉砕後の炭酸カルシウム水懸濁液の
    pHを炭酸ガスの導通により7.5(25℃における測定
    値)以下とする請求項1記載の炭酸カルシウム微粒子分
    散体の製造方法。
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