JP3088438B2 - イネワキシイ配列およびそれを利用したイネ種子の胚乳成分の改良法 - Google Patents

イネワキシイ配列およびそれを利用したイネ種子の胚乳成分の改良法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、イネのデンプン合成酵素の遺伝子およびこ
れを用いたイネ穀粒中のデンプンの質的向上を得る方法
に関するものである。
本発明のイネ・ワキシイ(waxy)配列を用いてアンチ
センス遺伝子はイネで有効に発現し、穀粒中のデンプン
合成を抑制することができるため、穀粒に含まれるデン
プンのアミロース含量を任意に変化させることが可能と
なり、米の食味性の著しい向上、あるいはモチ性の品種
の作出を可能にするものである。さらに、遺伝子の相同
性置換を利用してワキシイ(waxy)遺伝子の直接的改変
をも可能にするものである。
また、本発明は、このようにして形質転換されたイネ
自体にも関するものである。
(従来技術及び問題点) デンプンは光合成の最終産物である。それゆえ、デン
プンの生合成に関する研究は、植物生理、生化学におけ
る重要な研究課題の1つであるが、この生合成に関する
研究はあまり進んでいない。
デンプンはグルコースがα(1→4)結合した直鎖形
のアミロースと、α(1→6)結合による枝分れ構造を
もつアミロペクチンから構成されている。植物における
デンプン顆粒中のアミロース、アミロペクチンの含量比
は、植物種や品種によってそれぞれ固有の値をもってお
り、その高次構造もまた特有の形態をとっていることが
知られている。デンプン生合成の主酵素であるデンプン
合成酵素は、ADPグルコースあるいはUDPグルコースを基
質とし、アミロース分子の合成を行なう。これに対し、
アミロペクチン分子は、α(1→4)結合をつくるデン
プン合成酵素と、α(1→6)結合をつくるブランチン
グ(枝分れ)酵素が協調的に作用することによってつく
られる。アミロペクチンの枝分れ構造の形成機構に関す
る研究は、グリコーゲンでの枝分かれの機構の研究を参
考にして進められ、植物においてもグリコーゲンのブラ
ンチング酵素とよく似た性質の酵素が見つけられてい
る。
植物における貯蔵デンプンの生合成機構はデンプン合
成酵素の発見以来、植物生理・生化学の分野でかなり解
明が進められている。しかし、その遺伝的調節機構につ
いてはまだ不明な部分が多い。
コメのアミロース含量は第6染色体に座位するモチ性
遺伝子座の遺伝子ワキシイ(waxy)に関係していると考
えられている。この遺伝子産物として、ウルチ性品種の
胚乳では分子量約60,000ダルトンのWx蛋白が生産される
(Sano;Theor.Appl.Genet.,68,467(1984))。胚乳中
のアミロース含量はこの蛋白の量に比例する。すなわち
このWx蛋白が多く存在するほどアミロース含量が高い
(Sano et al.;Euphytica,35,1(1986))。なお、モチ
性品種の胚乳ではWx蛋白質が認められず、アミロースも
生産されない。モチ性を決める遺伝子はこの他に多くの
ものの存在が示唆されているが、分子生物学的にはほと
んどわかっていない。トウモロコシでの遺伝子解析の結
果では、Wx蛋白はUDPグルコースグリコシル転移酵素で
あり、ワキシイはこの構造遺伝子であろうと考えられて
いる(Kloesgen et al.;Mol.Gen.Genet.,203,237(198
6))。
穀類は我々にとって主要なカロリー供給源であり、か
つ脂質やタンパク質の重要な摂取源である。したがっ
て、穀類胚乳貯蔵成分の質的・量的改良は主要な育種目
種となっている。この目的達成のために穀類胚乳中の貯
蔵成分に関する遺伝資源の探索・収集とその遺伝・育種
学的評価が必要である。トウモロコシでは胚乳成分に関
する多様な遺伝的変異(突然変異)が見出されており、
それらはトウモロコシの品質改良に重要な役割を果たし
ている。さらに、これらの突然変異は生体内での遺伝的
制御機構の解明を行なう際の貴重な情報となる。
イネは粒食が主体であり、胚乳デンプン中の多糖類の
含有比率やデンプンの構造的変化が、コメの食味や調理
特性を大きく変える。とくにデンプン中のアミロース含
量は食味と密接な関係が指摘されており、低アミロース
品種の食味評価が高い。それゆえ、コメの食味改善には
胚乳デンプンの低アミロース化が有効である。
しかしながら、このような低アミロース品種を自然界
から発見することは極めて困難であるし、これを突然変
異処理によって得ることも非常に困難である。まして
や、アミロース含量をコントロールすること等にいたっ
ては、このような従来から行われている育種技術では不
可能といっても過言ではない位である。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、このような技術の現状に鑑み、低アミロー
ス品種ないしアミロース含量を所望に応じてコントロー
ルできる品種の創製を目的としてなされたものである
が、従来法には全くとらわれることなく発想の大転換を
行い、その結果、イネのアミロース含量を決定づける遺
伝子を単離同定し、これを用いた遺伝子工学的手法によ
る品種改良によって、所期の目的を達成することとし
た。
トウモロコシとオオムギのワキシイ遺伝子がすでにク
ローニングされ、塩基配列が明らかにされており(Kloe
sgen et al.;Mol.Gen.Genet.,203,237(1986)、Rohde
et al.;Nucl.Acids Res.,16,7185(1988))、この塩
基配列はEMBLデータベースより入手可能である。しかし
ながら、イネのワキシイ遺伝子の構造はこれらの塩基配
列よりある程度の推定はなされていたが、いまだその正
確な構造が明らかでなかった。本発明者らは、最近開発
され、その有用性が大きく取り上げられているPCR(pol
ymerase chain reaction)(Saiki et al.;Science 23
9,487(1988))に着目し、この技術を用いて、イネ・
ワキシイ遺伝子のクローニングの検討を行った。
PCRは2つの相向かい合うプライマーDNAを用い、この
あいだの配列をDNAポリメラーゼによって何度も合成を
繰り返すことにより、特定の領域の配列のみを高度に増
幅する技術である。PCRはDNA鎖の熱変性、プライマーと
のアニーリング、ポリメラーゼによる伸長反応を繰り返
し行うことによって、特定の断片を増幅することができ
る。温度変化を繰り返すためにDNAポリメラーゼは好熱
性のものを用いる。通常の反応系では、熱変性は94℃で
行ない、アニーリングは37℃から60℃で、ポリメラーゼ
反応は72℃で行なう。
トウモロコシとオオムギのワキシイ遺伝子の塩基配列
を比較したところ両者の配列はエキソン領域において良
い相同性を示した。PCRを用いて、ある領域の配列を増
幅するためにはプライマー配列が標的のDNA配列とうま
くパイブリダイズすることが必要である。プライマーと
の相同性が低いDNAを標的とした場合でもプライマー配
列がうまくハイブリダイズすることができれば、PCRは
うまく進み、目的とする領域の増幅に成功する。このよ
うなプライマーが標的DNAと何とかバイブリダイズする
ためには原理的にはアニーリングの温度を加減すればよ
い。しかし、プライマーとして正常に機能させ、DNAポ
リメラーゼ反応を進めるためにはプライマーの3′端領
域の配列が標的DNAと完全に密着する構造でなければな
らない。
そこで、本発明ではトウモロコシやオオムギなどの異
種の植物のワキシイの塩基配列をもとにしてイネ・ワキ
シイ配列を推定し、これをもとにPCRのプライマーのDNA
を合成し、これ用いてPCRを行なうことにより、きわめ
て効率的に目的とするイネのワキシイ遺伝子を得た。
本発明によって最初に得られたワキシイ遺伝子の断片
はイネのワキシイ遺伝子の全長を含んではいない。また
単離された3種の断片はそれぞれが塩基配列に一部相違
があった。これはPCRを行なった際のポリメラーゼ反応
の途中で点変異が起きやすいことによる。しかし、これ
らの配列を比較することによって本来のイネゲノムに存
在しているワキシイ遺伝子の配列は容易に推定された。
そこでこの相違点は部位特異的置換(Zoller and Smit
h;Methods in Enzymol.,100.468(1983))によって修
正がなされた。
特定の遺伝子をクローン化することができた場合、こ
れの逆鎖DNA塩基配列を用いて適用なプロモーター配列
と結合し、アンチセンス遺伝子とすることができる。こ
れを植物体に導入することによってアンチセンスRNAを
発現させ、これによって、特定の遺伝子の発現制御を行
なうことが可能となり、これによる実験例もいくつか報
告されている(Smith et al.;Nature,334,724(1988),
Krol et al.;Gene,72,45(1988)。
本発明によれば、本発明によってクローン化するのに
成功したイネ・ワキシイ遺伝子を用い、上記したアンチ
センス法を利用して、これをプロモーター配列と本来と
は逆方向に結合し、アンチセンス遺伝子とすることがで
きる。このアンチセンス遺伝子をイネ植物体に導入する
ことによってアンチセンスRNAを発現させ、これにより
イネ・ワキシイ遺伝子の発現をコントロールすることが
できる。
したがって本発明によってはじめて、イネ穀粒中のデ
ンプンのアミロース含量を低減ないしゼロとしたイネの
育種が可能となったのである。したがって本発明によれ
ば、用いるプロモーター配列を換えることにより、アミ
ロース含量を任意の値に変化させることができ、例え
ば、ウルチ性多収品種をモチ性多収品種に交換したり、
ウルチ性品種のアミロース含量を抑え、低アミロース含
量の高品質のコメを生産することが可能となる。
もちろん、各種のアンチセンス遺伝子の作成も可能で
あるので、上記したプロモーター配列の選択とも相まっ
て、この方法によってもアミロース含量が異なる各種の
イネを育種することができる。
本発明によって調製したアンチセンス遺伝子は、プラ
スミドと結合した後、エレクトロポーレーション法等常
法にしたがってイネのプロトプラストに導入し、得られ
た細胞をイネ植物体に再生すればよい。このようにし
て、アミロースを生成しないイネを栽培したり、アミロ
ースの生成量を自由にコントロールしたりすることがで
きる。
これとは逆に、所望するのであれば、本発明に係るイ
ネのワキシイ遺伝子を用いてイネを形質転換することに
よってアミロース含量の高いコメを得ることができるこ
とは当然のことである。
なお、本発明で得られた塩基配列は相互の間で、いく
つかの点で塩基置換による配列の相違が生じている。こ
れはPCRを行なった際に、偶然に生じたものであるが、
イネ・ワキシイ遺伝子に対するアンチセンス遺伝子を生
成した場合には、このような変化はこの効力になんら問
題を与えなかった。従って、この配列の一部を改変した
ものについても同等の効果を持つものと容易に推定され
る。さらに、この断片はイネ・ワキシイ遺伝子全体をク
ローン化する際に用いるプローブDNAとして非常に有効
である。また、このワキシイ遺伝子の一部を改変した
後、これをイネ植物体に再び導入することによって、イ
ネ・ワキシイ遺伝子の改造をも可能にするものである。
以下、本発明を実施例によって更に詳述する。
実施例1 (1)PCRプライマーの合成 本発明において得ようとするイネのワキシイ遺伝子の
配列はまだ報告されていない。従ってイネのワキシイそ
のものの配列をもとにしてプライマーを合成することが
できない。しかし、トウモロコシとオオムギのワキシイ
遺伝子の塩基配列はすでに報告されており、EMBLデータ
ベース(Release20.0)より入手することができた。両
者を比較したところ、トウモロコシとオオムギの間では
蛋白の配列をコードしているエキソン部分以外の配列で
は全く相同性がみられず、さらにエキソン部分でもシグ
ナルペプチド領域や、非翻訳領域ではほとんど相同性が
みられなかった。言い換えれば、両者にホモロジーがあ
る部分は、全体の遺伝子の中の成熟蛋白をコードしてい
る部分のみに限られることがわかった。
そこで、両者の間で相同性の高い部分のオオムギの配
列をもとにプライマー配列を決定した。配列は次に示
す。
これららプライマーDNAはApplied Biosystems社のDNA
合成機を用いて調製した。
なお、PCRのプライマーとして正常に機能するために
ある程度の相同性が必要である。しかし、トウモロコシ
とオオムギの配列の相同性を検討した結果、合成したプ
ライマーのイネに対するマッチングの度合が高くないこ
とが予想されたので、確率論的にマッチングの可能性を
増加させるために、プライマーをそれぞれ2種類ずつ合
成し、それぞれの組合せでPCR反応に供することとし
た。
(2)イネのワキシイ遺伝子のクローニング 材料としたイネ核DNAはRogersとBedichの方法(Plant
Mol.Biol.,,69(1985))に従って調製した。本実施
例で用いたプラスミドpUC13はファルマシアから購入し
た。PCR(polymerase chain reaction)機は、Perkin
Elmer Cetus社のものを用い、反応系はInnisとGelfand
の方法に従った(PCR Protocols.Innis et al.(Ed
s.),Academic Press,CA(1990),pp3−12)。
前項で合成したイネ・ワキシイ釣りだし用PCRプライ
マーを用いPCRを行なった。その結果、プライマー間の
領域の合成反応が進み、特定の断片の増幅を認めること
ができた。
得られた断片はpUC13のSma I部位に挿入することを試
みた。得られた断片を2度エタノール沈澱を繰り返すこ
とによって過剰のdNTPと塩を除去し、T4 DNAポリメラー
ゼを用いて末端の平滑化を行ない、これをpUC13のSma I
切断断片とT4 DNAリガーゼを用いてライゼーションを行
った。この反応液を大腸菌JM109に導入し、アンピシリ
ン耐性となった形質転換体の出現を待った。大腸菌の形
質転換は常法にしたがった(Sambrook et al.(Eds.),
Molecular cloning,Section1.53,Cold Spring Harbor
Laboratory Press)。その結果、多数の形質転換体が得
られた。これらのうちプライマーHVW−2とHVW−6の間
で増幅を行なった断片をクローン化した形質転換株から
選択した3株にはPCRによって増幅されたワキシイ断片
の長さに対応する挿入が見られた。これらのクローンに
含まれるプラスミドをpWX12,pWX15,pWX27と名付けた。
これらのプラスミドにはベクターに由来するマルチク
ローニングサイトが挿入断片であるイネのワキシイ遺伝
子の両側に存在する。これらのクローンは大量培養を行
い、プラスミドDNAの調製を行った。
(3)塩基配列の解析 pWX12,pWX15,pWX27はプラスミドDNAをアルカリ変性に
より調製した変性DNAを基質とし、塩基配列の決定を行
った。塩基配列の決定はダイデオキシ法によった(Mess
ing,Methods in Enzymol.,101,20−78(1983))。これ
により得られた挿入断片の全塩基配列を第1図から第3
図に示す。pWX12とpWX27は同じ向きであり、pWX15は逆
向きであった。これらの塩基配列相互にはそれぞれ数ヵ
所の塩基において相違がみられた。これはPCRの際に生
じた置換変異によるものであろうと思われる。また、こ
れらの塩基配列を総合することによって、イネゲノムに
存在している(塩基置換のない)ワキシイ遺伝子の配列
を推定した(第4図)。
さらに、この配列をトウモロコシとオオムギのワキシ
イ遺伝子の塩基配列と比較したところ、これらの間に良
好な相同性がみられ、得られた断片がイネのワキシイ遺
伝子の一部の配列であることが確認された。詳細な塩基
配列の比較の結果、イネとオオムギやトウモロコシの遺
伝子の間でもエキソンの部分に高い相同性がみられた
が、イントロンでの相同性は低かった。これはオオムギ
とトウモロコシの間での関係と一致した。
(4)部位特異的置換によるワキシイ配列の改変 前項で推定したイネのワキシイ遺伝子の塩基配列を得
るため、置換変異の生じた部分の修正を試みた。pWX12
の場合、2ヵ所においてTからCへの置換変異が起こっ
ている。そこでまで、この変異がある塩基を中心にし
て、これをTとし、この5′側および3′側にそれぞれ
8塩基づつ有機合成した。また、pWX12の配列をEcoR I
とHind IIIによって切り出して、M13ベクターに移しか
えた。これを先述の合成プライマーと、部位特異的変異
キット(宝酒造製Mutan−G)を使用してCからTへの
塩基置換を行なった。得られた配列はダイデオキシ法に
よって目的の配列であることを確認した。これにより取
得したイネのワキシイ遺伝子は、再びプラスミドpUC13
にクローン化した。これをpWX00と名付けた(第4
図)。
(5)アンチセンス遺伝子の構築 pWX12をEcoR Iで切断し、切断末端をT4 DNAポリメラ
ーゼ(宝酒造製、DNA bluntin kit)を用いて平滑化し
た。次にこれをXba Iにより切断を行ない、イネのワキ
シイ領域の切り出しを行なった。これをpBl221(CaMVの
35Sプロモーターを有する;Jefferson et al.;EMBO j.,
,3901(1987))のXba IとSma Iによる切断断片との
結合を行なった。pBI221はClontech社より入手した。結
合の結果、35Sプロモーターの下流にワキシイ遺伝子が
逆向きにつながったアンチセンス・ワキシイ遺伝子が作
成された。これをpWXA23と名付けた(第5図)。
(6)イネの形質転換 pWXA23プラスミドDNAを多田らの方法(Tada et al.;T
heor Appl.Genet.,in press(1990))に従い、イネ
(日本晴れ)のプロトプラスト細胞にエレクトロポレー
ショ法によって導入した。実験は2度行い、得られた細
胞は、藤村らの方法(Fujimura et al.;Plant Tissue C
ulture Lett.,,74(1985))に従い、植物体に再生し
た。これらの細胞より、DNAを抽出し、サザンハイブリ
ダイゼーションを行なったところ、5株にpWXA23に由来
すると思われるDNA断片が存在していた。これらの形質
転換植物から種子をとり、その胚乳デンプンのアミロー
ス含量をヨウ素呈色比色法によって定量した。その結果
を下表に示す。形質転換植物から得られた胚乳デンプン中のアミロース含量 アミロース含量(%) 形質転換株No.1 10.5 同 No.2 8.8 同 No.3 12.5 同 No.4 10.9 同 No.5 9.6 Nihonbare(ウルチ) 22.5 Koganemochi(モチ) 0.0 これらの結果から、pWXA23を導入した形質転換植物は
胚乳デンプンのアミロース含量が低く抑えられているこ
とが明かとなり、アンチセンス遺伝子として有効に働い
ていることが証明された。
(発明の効果) 本発明によってはじめて、イネのワキシイ(waxy)遺
伝子の構造が解明され、クローニングにも成功した。ま
た、そのアンチセンス遺伝子の構築及びそれを用いるイ
ネの形質転換にも成功したものである。
したがって、アンチセンス遺伝子の選択及び必要あれ
ばプロモーター配列の選択により、アミロース含量を低
減ないし、ゼロとすることが可能となり、アミロース含
量のコントロールを自由に行うことができる。すなわ
ち、本発明によって、例えばウルチ性多収品種をモチ性
多収品種に変換したり、ウルチ性品種のアミロース含量
を抑えて高品質のコメを生産することができ、我が国に
おける農業問題、特にコメに関する問題を有利に解決す
ることが可能となったのである。
もちろん上記とは逆に、イネのワキシイ(waxy)遺伝
子をアンチセンス遺伝子とすることなく、プロモーター
配列と結合してイネに導入して、アミロース生産量の高
いイネを育種することも可能である。
【図面の簡単な説明】
第1〜4図は、プラスミドpWX12,pWX15,pWX27,及びpWX0
0にそれぞれ挿入されているイネのワキシイ(waxy)配
列である。 第5図は、アンチセンス・ワキシイ遺伝子pWXA23の構築
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 A01H 5/00 C12N 5/00 GenBank/EMBL/DDBJ

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記に示される塩基配列によって規定され
    るDNAからなるイネ由来のワキシイ遺伝子のDNA断片を含
    むDNA断片。
  2. 【請求項2】下記に示される塩基配列によって規定され
    るDNAからなるイネ由来のワキシイ遺伝子のDNA断片を含
    むDNA断片であって、該DNA断片の逆鎖をアンチセンス法
    を利用してイネ植物体に導入した場合、イネ・ワキシイ
    遺伝子の発現をコントロールし得るDNA断片。
  3. 【請求項3】請求項2に記載のDNA断片の逆鎖DNAである
    DNA断片。
  4. 【請求項4】請求項2又は3に記載の塩基配列を有する
    2本鎖DNA。
  5. 【請求項5】請求項4に記載のDNAを、植物細胞内及び
    /又は微生物内で安定に存在できるベクターに組み込ん
    で得られるハイブリッドDNA。
  6. 【請求項6】請求項4に記載のDNAを、植物細胞内で発
    現可能な遺伝子のプロモーター配列と結合し得られたハ
    イブリッドDNA。
  7. 【請求項7】請求項6に記載のハイブリッドDNAを宿主
    イネ細胞に導入することにより得られる形質転換イネ細
    胞。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の形質転換イネ細胞より再
    生してなる形質転換イネ。
  9. 【請求項9】請求項7に記載の形質転換イネ細胞を用
    い、請求項4に記載のDNAに由来するRNAをイネ細胞内で
    生産する方法。
  10. 【請求項10】請求項9に記載の方法を用いてイネ・ワ
    キシイ遺伝子の発現量を制御する方法。
  11. 【請求項11】請求項9に記載の方法を用いてイネ穀粒
    の胚乳澱粉中のアミロース含量を変化させる方法。
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