JP3086948B2 - エアコン室外機の吊上装置と吊上方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は建物張出部等の下面
に設けられる締結部材に支持材でエアコン室外機を取り
付ける際に使用するための吊上装置、およびその吊上装
置を使用した吊上方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】室内の冷房または暖房を行う空調設備
（以下、エアコンという）は、一般に建物の屋内に設置
するエア循環装置（またはエア吹出装置）と屋外に設置
するエアコン室外機により構成される。このようなエア
コン室外機の設置は建物周辺に設置スペースが存在する
場合には問題ないが、マンションなどではそのようなス
ペースを確保することが難しい。そこで通常ベランダ上
にエアコン室外機を設置することになるが、その分だけ
ベランダの利用スペースが減少するという問題がある。
その問題を回避するため、上階のベランダの下部にエア
コン室外機を設置する方法が多く採用されるようになっ
てきた。なお、ベランダのような建物張出部の下面にエ
アコン室外機を設置するには、アンカーボルトまたはア
ンカーナットのような締結部材を予め建物張出部の下面
に取り付けておき、支持材でその締結部材にエアコン室
外機を取り付けて設置する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、建物張出部の
下面に取り付けられた締結部材に支持材でエアコン室外
機を取り付ける場合、狭隘で高所な場所において重量が
５０Ｋｇ程度もあるエアコン室外機を、脚立を利用し不
安定な状態のもと、人力で持ち上げ位置決めして取付操
作をしなければならない。そのため通常は３名以上の作
業者を必要とし、作業効率が低く安全性にも不安があっ
た。そこで本発明は、このような問題を解決できるエア
コン室外機の吊上装置、およびその吊上装置を使用した
吊上方法の提供を課題とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の請求項１に記載の発明は、建物張出部２０等の下面に
上下動自在に螺着される複数の締結部材２１が設けら
れ、夫々の締結部材２１を介して支持材２４，２５によ
りエアコン室外機２３を前記下面に取り付ける際に使用
するための吊上装置であって、本体２と、その本体２に
設けられ、その本体２を複数の前記締結部材２１にその
軸線に直交する方向から夫々脱着するための複数の掛合
手段３と、前記本体２に設けたエアコン室外機２３の吊
上手段４と、該吊上手段４を昇降操作するウインチ装置
５を備え、前記本体２を締結部材２１に装着した状態で
エアコン室外機２３を吊上手段４で吊り上げられるよう
に構成されていることを特徴とするエアコン室外機の吊
上装置である。上記発明の吊上装置を使用することによ
り、狭隘な場所でも１人で効率よく迅速且つ安全に、エ
アコン室外機を建物張出部等の下面に取り付け設置でき
る。しかも吊上装置は、エアコン室外機を取り付けるた
めの複数の締結部材を利用して建物張出部等の下面に取
り付けるので、専用の締結部材を設ける必要がない。そ
してエアコン室外機をほぼ取付完了後に、締結部材から
吊上装置を取り外すことができる。

【０００５】請求項２に記載の発明は、請求項１に記載
の発明の実施の形態であって、締結部材２１としてのボ
ルトが前記下面で方形状の各隅に４つ螺着される場合に
おいて、夫々の掛合手段３が対角線上にある２つの前記
締結部材２１にその軸線に直交する方向から本体２を夫
々脱着できるようになされているエアコン室外機の吊上
装置である。このように構成すると、より迅速に安定且
つ確実に本体を締結部材に装着することができる。請求
項３に記載の発明は、請求項２に記載の発明の実施の形
態であって、掛合手段３が本体２の一方の端部からその
本体の長手方向に延長する切込部１５ａを有する第１の
掛合部１５と、本体２の他方の端部から直角方向に延長
する切込部１６ａを有する第２の掛合部１６を備えてい
るエアコン室外機の吊上装置である。このように構成す
ると、吊上装置の構造をより簡単にできると共に、安定
且つ確実に本体を締結部材に装着することができる。

【０００６】請求項４に記載の発明は、建物張出部２０
等の下面に上下動自在に螺着される複数の締結部材２１
に支持材２４，２５を利用してエアコン室外機２３を取
り付ける際の該エアコン室外機２３の吊上方法であっ
て、請求項１〜請求項３のいずれかに記載の吊上装置の
本体２を複数の締結部材２１に側方から装着し、ウイン
チ装置５でエアコン室外機２３を所定位置まで吊り上げ
た後、支持材２４，２５によりエアコン室外機２３を締
結部材２１に取り付け、次いで吊上装置の本体２を夫々
の締結部材２１から側方に離脱させて取り外すことを特
徴とするエアコン室外機の吊上方法である。上記方法に
よれば、狭隘な場所でも１人で効率よく迅速且つ安全に
エアコン室外機を建物張出部等の下面に取り付けること
ができ、使用後は吊上装置を締結部材から簡単に取り外
すことができる。

【０００７】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１は本発明の吊上装置の１例を
示す斜視図で、吊上装置１は本体２と、本体２を建物張
出部の下面に螺着された複数の締結部材にその軸線に直
交する方向から夫々脱着するための複数の掛合手段３
と、本体２に設けた吊上手段４と、その吊上手段４を昇
降操作するウインチ装置５を備えている。この例で本体
２はＣ型鋼材により形成され、その開口部を下側にして
使用される。吊上手段４は締結バンド６と、その締結バ
ンド６の上部を水平に保持する板材７と、締結バンド６
の端部を締結すると共にその長さを調整できる調整バッ
クル８を備えている。

【０００８】ウインチ装置５は本体２の中間部にボルト
等により固定された滑車９と、本体２の一方の端部に設
けられた巻回部１０と、その巻回部１０に巻回されると
共に一方の端部が前記板材７部分に連結されるワイヤ１
１と、巻回部１０を回転する回転手段１２を備えてい
る。回転手段１２は可逆回転できる減速機付きの直流電
動機１３と操作部１４を有し、操作部１４には表面に正
回転ボタンと逆回転ボタンが設けられると共に、内部に
直流電動機１３へ電源を供給するための直流電源として
電池が収容されている。なお、電池は別に設ける電池ボ
ックスに収容することもできる。掛合手段３は、本体２
の一方の端部から長手方向に延長する切込部１５ａを有
する第１の掛合部１５と、本体２の他方の端部から直角
方向に延長する切込部１６ａを有する第２の掛合部１６
により構成されている。これら切込部１５ａ，１６ａは
後述するように、建物張出部２０の下面に螺着される締
結部材２１としてのボルトの軸部が挿入できる幅を有し
ている。

【０００９】図２は吊上装置１を建物張出部の下面に設
けた締結部材に装着した状態を示す斜視図である。建物
張出部２０は例えば上階のコンクリート製ベランダの床
部であって、エアコン室外機を取り付けるためにその下
面に埋設されたアッカーナット２２（図３）にボルトが
上下動自在に螺着された締結部材２１を有し、その締結
部材２１は、エアコン室外機の大きさに適合する間隔で
方形状の四隅に４箇所配置される。そして対角線にある
締結部材２１に、吊上装置１の二つの掛合手段３が夫々
締結部材２１の軸線に直交する方向から装着される。す
なわち、掛合手段３の第１の掛合部１５の切込部１５ａ
を一方の締結部材（ボルト）２１の軸部に側方から挿入
した状態で、本体２を水平に９０度回転して、第２の掛
合部１６の切込部１６ａを他方の締結部材２１の軸部に
挿入することにより装着される。

【００１０】図３は図２の III− III矢視の拡大断面図
である。締結部材２１としてのボルトは、建物張出部２
０のコンクリート中に埋設されたアンカーナット２２に
螺着され、その頭部により第１の掛合部１５が落下しな
いように保持される。なお、アンカーナットの代わりに
アンカーボルトをコンクリート中に埋設しておき、それ
にナットが上下動自在に螺着されたものとすることもで
きる。

【００１１】図４は本発明の吊上装置１によりエアコン
室外機２３を吊り上げている状態を示す斜視図である。
エアコン室外機２３は一対の上部支持材２４とそれに対
応する一対の下部支持材２５により、最終的に締結部材
２１を介して建物張出部２０の下面に固定される。上部
支持材２４は縦フランジと横フランジのそれぞれの両端
部付近に複数の長孔２６ａを設けた断面Ｌ型の水平材２
６と、縦フランジにおける２つの長孔２６ａにそれぞれ
ボルト結合し、長手方向に所定間隔で複数のボルト孔２
７ａを設けた一対の断面Ｃ型の垂直材２７により構成さ
れている。下部支持材２５はＣ型の底部材２８と、その
両端部から立設され長手方向に所定間隔で複数のボルト
孔２９ａを設けたＣ型の縦部材２９により構成されてい
る。

【００１２】次に図４〜図６により、本発明の吊上装置
１を使用してエアコン室外機２３を建物張出部２０の下
面に設置する方法を説明する。先ず、図４のように上部
支持材２４を締結部材２１に取り付ける。すなわち、締
結部材２１を構成する４本のボルトを外し、夫々の上部
支持材２４の水平材２６を建物張出部２０の下面へ押し
つけた状態でその横フランジの両端部の長孔２６ａに夫
々ボルトの軸部を挿通し、次いでコンクリート中に埋設
されたアンカーナット２２にそのボルトを緩く螺着す
る。次に前述のように、対角線に位置する締結部材２１
（ボルト）に吊上装置１の第１の掛合部１５と第２の掛
合部１６を水平方向から順次装着した後、吊上手段４の
締結バンド６でエアコン室外機２３を締結し、ウインチ
装置５を操作してエアコン室外機２３を吊り上げる。エ
アコン室外機２３が設置位置まで吊り上げられたら、上
部支持材２４のボルト孔２７ａと下部支持材２５のボル
ト孔２９ａを利用してそれらをボルト３０で結合する
（図５参照）ことにより、エアコン室外機２３は建物張
出部２０の下部に取り付けられて設置がほぼ完了する。
このとき４つのボルトは、緩くアンカーナットに螺着さ
れている。

【００１３】次に図５の点線のように、締結部材２１か
ら吊上装置１を取り外す。取り外しには先ず、吊上装置
１を矢印Ａのように水平に旋回して第２の掛合部１６を
締結部材２１から横方向に外し、次いで矢印Ｂのように
水平に移動して第１の掛合部１５を締結部材２１から横
方向に外せばよい。次いで、締結部材２１のボルトを締
結固定してエアコン室外機２３の設置を完了する。ま
た、エアコン室外機を取り外すときは、上記順序と逆の
工程を行なえばよい。このとき、巻回部の回転方向は逆
回転される。図６はこれらの操作における吊上装置１と
締結部材２１の関係を下方から見た部分拡大底面図であ
る。

【００１４】次に、図７は巻回部１０を回転する回転手
段１２の他の形態である。この例では図１のように直流
電動機１３と操作部１４を使用する代わりに、巻回部１
０にウォーム歯車機構３１を連結し、その軸先端に電動
レンチまたはドライバ等の回転工具３２の先端部を差し
込んで回転駆動できる駆動連結部３３が設けられる。こ
のように構成すると、本発明の吊上装置１をより簡便で
軽量なものにできる。

【００１５】

【発明の効果】以上のように本発明の吊上装置によれ
ば、狭隘な場所でも１人で効率よく迅速且つ安全にエア
コン室外機を建物張出部の下部に固定して設置できる。
しかも吊上装置は、エアコン室外機を固定するための複
数の締結部材を利用して建物張出部の下面に取り付ける
ので、専用の締結部材を設ける必要がない。そしてエア
コン室外機の支持材設置後に吊上装置を締結部材に緩く
固定し、エアコン室外機のほぼ取付完了後に締結部材か
ら吊上装置を容易に取り外すことができる。そして、締
結部材を締結固定することによりエアコン室外機の設置
を完全に完了できる。またエアコン室外機の取外しも、
取付けとは逆の順序により容易且つ安全に行うことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の吊上装置１の１例を示す斜視図。

【図２】本発明の吊上装置１を建物張出部の下部に設け
た締結部材に装着した状態を示す斜視図。

【図３】図２の III− III矢視の拡大断面図。

【図４】本発明の吊上装置１によりエアコン室外機２３
を吊り上げている状態を示す斜視図。

【図５】本発明の吊上装置１を締結部材２１から取り外
している状態を示す斜視図。

【図６】図５の吊上装置１と締結部材２１の関係を下方
から見た部分拡大底面図。

【図７】巻回部１０を回転する回転手段１２の他の形態
を示す側面図。

【符号の説明】

１ 吊上装置 ２ 本体 ３ 掛合手段 ４ 吊上手段 ５ ウインチ装置 ６ 締結バンド ７ 板材 ８ 調整バックル ９ 滑車 １０ 巻回部 １１ ワイヤ １２ 回転手段 １３ 直流電動機 １４ 操作部 １５ 第１の掛合部 １５ａ 切込部 １６ 第２の掛合部 １６ａ 切込部 ２０ 建物張出部 ２１ 締結部材 ２２ アンカーナット ２３ エアコン室外機 ２４ 上部支持材 ２５ 下部支持材 ２６ 水平材 ２６ａ 長孔 ２７ 垂直材 ２７ａ ボルト孔 ２８ 底部材 ２９ 縦部材 ２９ａ ボルト孔 ３０ ボルト ３１ ウォーム歯車機構 ３２ 回転工具 ３３ 駆動連結部

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建物張出部２０等の下面に上下動自在に
   螺着される複数の締結部材２１が設けられ、夫々の締結
   部材２１を介して支持材２４，２５によりエアコン室外
   機２３を前記下面に取り付ける際に使用するための吊上
   装置であって、 本体２と、 その本体２に設けられ、その本体２を複数の前記締結部
   材２１にその軸線に直交する方向から夫々脱着するため
   の複数の掛合手段３と、 前記本体２に設けたエアコン室外機２３の吊上手段４
   と、 該吊上手段４を昇降操作するウインチ装置５を備え、 前記本体２を締結部材２１に装着した状態でエアコン室
   外機２３を吊上手段４で吊り上げられるように構成され
   ていることを特徴とするエアコン室外機の吊上装置。
2. 【請求項２】 締結部材２１としてのボルトが前記下面
   で方形状の各隅に４つ螺着される場合において、 夫々の掛合手段３が対角線上にある２つの前記締結部材
   ２１にその軸線に直交する方向から本体２を夫々脱着で
   きるようになされている請求項１に記載のエアコン室外
   機の吊上装置。
3. 【請求項３】 掛合手段３が本体２の一方の端部からそ
   の本体の長手方向に延長する切込部１５ａを有する第１
   の掛合部１５と、 本体２の他方の端部から直角方向に延長する切込部１６
   ａを有する第２の掛合部１６を備えている請求項２に記
   載のエアコン室外機の吊上装置。
4. 【請求項４】 建物張出部２０等の下面に上下動自在に
   螺着される複数の締結部材２１に支持材２４，２５を利
   用してエアコン室外機２３を取り付ける際の該エアコン
   室外機２３の吊上方法であって、 請求項１〜請求項３のいずれかに記載の吊上装置の本体
   ２を複数の締結部材２１に側方から装着し、 ウインチ装置５でエアコン室外機２３を所定位置まで吊
   り上げた後、支持材２４，２５によりエアコン室外機２
   ３を締結部材２１に取り付け、 次いで吊上装置の本体２を夫々の締結部材２１から側方
   に離脱させて取り外すことを特徴とするエアコン室外機
   の吊上方法。