JP3086053B2 - 架橋性塗料用樹脂 - Google Patents

架橋性塗料用樹脂

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JP3086053B2 JP04075541A JP7554192A JP3086053B2 JP 3086053 B2 JP3086053 B2 JP 3086053B2 JP 04075541 A JP04075541 A JP 04075541A JP 7554192 A JP7554192 A JP 7554192A JP 3086053 B2 JP3086053 B2 JP 3086053B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車および家電製品
等の塗装に用いられる架橋硬化型塗料の成分として好適
なグラフト共重合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】従来、自動車および家
電製品等の塗装に用いられる架橋硬化型塗料としては、
耐候性および外観に優れる点でアクリル系塗料が多く用
いられている。上記アクリル系塗料に用いられるアクリ
ル樹脂としては、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチ
ルおよびメタクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸ア
ルキルと共に、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルまた
はメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の官能基含有
単量体をラジカル共重合して得られる樹脂が一般的であ
り、該樹脂の有機溶剤溶液にメラミンまたは多価イソシ
アネート等の架橋剤を加えて得られる塗料は、塗装後焼
き付けることにより、3次元網目構造を有する強固な塗
膜を形成する。上記のように、アクリル系の架橋硬化型
塗料は、通常有機溶剤溶液として取り扱われているが、
最近公害問題および省資源の理由から有機溶剤の使用量
を減少したいとの要望があり、その一対応策として、塗
料溶液の固形分濃度を高めることすなわち塗料のハイソ
リッド化が検討されている。
【0003】塗料のハイソリッド化を行うに当たって
は、良好な塗工を維持するため、塗料溶液の粘度をある
水準以下に保つ必要がある。従って、ただ樹脂濃度を単
純に上げるという方法では無理があり、従来ハイソリッ
ド化に関して種々な検討がなされているが、最近では塗
料用樹脂の分子量を下げる方向での検討が主体的であ
る。しかしながら、アクリル樹脂の分子量を下げた場
合、硬化時に3次元網目構造の形成に関与し得ない、分
子中に官能基を持たないポリマー分子の割合が増加する
ため、その結果得られる塗膜の耐久性が低下するという
問題があった。
【0004】上記問題を解決するため、アクリル樹脂を
製造する単量体混合物中の官能基含有単量体の割合を増
し、かつその増加に合わせてメラミンまたは多価イソシ
アネート等の架橋剤の使用量も増加させるという方法が
あるが、この方法によると、全体として架橋密度が過度
になり、塗膜の柔軟性が損われるという新たな問題が生
じるという問題があった。他方、ハイソリッド化は、前
記方法すなわち樹脂の分子量を下げる方法とは別な方向
からも検討されている。
【0005】すなわち、分岐状ポリマーは、同一分子量
であっても直鎖状ポリマーより溶液粘度が低い点に着目
して、分岐状ポリマーを塗料用樹脂として用いる検討が
なされている。具体的には、例えば下記化2で表わされ
る多官能エポキシ化合物と、片末端にカルボキシル基を
有しかつ分子量が1,000〜100,000のアクリル樹
脂とを、エポキシ基とカルボキシル基の反応によって結
合させた重合体を塗料用に用いるという提案がある(特
公昭64−11076号公報)。
【化2】 (式中Rは脂肪族、脂環族または芳香族等の炭化水素残
基、またnは3〜6の整数) 上記提案による分岐状アクリルポリマーの溶液粘度は、
同等の平均分子量を有する直鎖状アクリルポリマーの溶
液粘度と比較して、30〜50%程低いので、該分岐状
ポリマーはハイソリッド塗料に適している。しかしなが
ら、上記分岐状アクリルポリマー1分子中の分岐の個数
は、前記化2におけるnの数によって制限され、多数の
分岐が導入されたポリマーを得ることは事実上不可能で
あり、上記方法は、より高度なハイソリッド化に対して
は適用困難であった。
【0006】他方、概念的には分岐状ポリマーの一種で
あるが、上記公報記載の分岐状ポリマーとは基本的思想
がまったく異なる分岐状ポリマーとして、ラジカル重合
性基を有するマクロモノマーと、アクリル酸エステルと
をラジカル共重合させて得られる、一般にマクロモノマ
ー法によるグラフト共重合体と言われる重合体が知られ
ている。上記グラフト共重合体の一用途として塗料用樹
脂も知られていたが、架橋硬化型塗料のハイソリッド化
の目的で、上記グラフト共重合体を用いた例は従来なか
った。例えば特開平1−245067号公報には、マク
ロモノマー法によるアクリル系グラフトコポリマーおよ
びポリイソシアネート化合物からなる2液型アクリルウ
レタン塗料に関する発明が、また特開昭63−1014
62号公報には、同法によるグラフトコポリマーからな
る常温乾燥型塗料に関する発明が、それぞれ提案されて
いるが、それらの発明においては、互いに異なる構成単
位によって形成される幹ポリマーおよび枝ポリマーに基
づく特性を利用して、得られる塗膜の物性を向上させる
ことを専ら目的とするに留まっている。事実、上記公報
に記載のグラフト共重合体からなる架橋硬化型塗料は、
高固形分濃度では溶液粘度が極めて高く、ハイソリッド
化は達成できなかったのである。
【0007】本発明者らは、上記課題を解決する塗料用
樹脂として、マクロモノマー単位を高い割合で含有す
る、マクロモノマー法によるグラフト共重合体に関して
特許出願をしているが(特願平02−22145号)、
該グラフト共重合体からなる塗料は塗膜の耐候性が今一
歩であり、改良が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、マクロモノマーと
して、下記化3で表されるマクロモノマーを用いること
により、得られるグラフト共重合体からなる塗料の塗膜
が耐候性に極めて優れていることを見出し、本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明は、下記化3で表さ
れるマクロモノマーを、他のラジカル重合性単量体と共
重合させて得られるグラフト共重合体であって、全構成
単位の合計量を基準として、マクロモノマー単位が50
〜97重量%であり、かつ架橋性官能基を含有し、重量
平均分子量が5000〜30,000であるグラフト共重
合体からなる架橋性塗料用樹脂である。
【化3】 (式中、R1 およびR2 は水素原子または炭素数が1〜
5のアルキル基であり、またZはラジカル重合性単量体
単位からなる重量平均分子量が1000〜10,000の
重合体)
【0009】以下、本発明について更に詳しく説明す
る。本発明において用いられるマクロモノマーを構成す
る重合体部分、すなわち前記式化1におけるZの重量平
均分子量は、前記のとおり、1,000〜10,000であ
り、好ましくは1,000〜5,000である。Zの重量平
均分子量が1,000未満であると、グラフト共重合体の
分岐効果による溶液粘度の低下が発現せず、一方10,0
00を越えると、グラフト共重合体の分子量が過大とな
り、塗料溶液の粘度が高くなり過ぎ、塗工性の点で架橋
硬化型塗料用樹脂としては不適当となる。なお、本発明
における重量平均分子量は、通常高分子の重量平均分子
量の測定に用いられる方法、例えばゲルパーミェーショ
ンクロマトグラフィー(以下GPCという)或いは低角
度光散乱法等によって測定される値である。
【0010】前記Zを構成する単量体としては、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エ
チルヘキシル、アクリル酸パーフルオロアルキル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリ
ル酸2−ヒドロキシプロピル、スチレン、α−メチルス
チレン、(メタ)アクリロニトリルおよびポリエチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ、こ
れらは単独でまたは2種以上併用して使用できる。本発
明におけるマクロモノマーは、そのZ単位中に、架橋性
官能基例えばヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル
酸2−ヒドロキシエチルまたは(メタ)アクリル酸2−
ヒドロキシプロピル等の単量体単位を適量含有すること
が好ましい。
【0011】上記マクロモノマーは、下記式化4で表さ
れる化合物と、分子の片末端にカルボキシル基を有する
重量平均分子量が1000〜10,000である重合体
を、第4級アンモニウム塩または第4級ホスホニウム塩
からなる触媒を用い、有機溶剤中で温度50℃以上好ま
しくは80〜95℃で反応させることによって得られ
る。
【化4】 (式中、R1 およびR2 は水素原子または炭素数が1〜
5のアルキル基である)
【0012】分子の片末端にカルボキシル基を有する上
記重合体は、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン
酸またはチオサリチル酸等の、カルボキシル基とチオー
ル基併せ有する連鎖移動剤の存在下に、前記Zを構成す
る単量体として挙げたラジカル重合性単量体を有機溶剤
中でラジカル重合させることにより得られる。また、そ
れ以外の方法、例えば4,4’−アゾビスシアノバレリ
ック酸やコハク酸パーオキシド等のカルボキシル基を有
するラジカル重合開始剤を使用して前記のラジカル重合
性単量体を重合する方法によっても良い。化4化合物
は、N−メチロールアクリルアミド、フェノールまたは
1,5−アルキル置換フェノール、およびエピクロルヒ
ドリンの3成分を原料として合成することもでき、また
市販品を用いることもできる。
【0013】本発明におけるグラフト共重合体は、上記
マクロモノマーおよび他のラジカル重合性単量体を共重
合して得られる重合体であって、全構成単位の合計量を
基準とするマクロモノマー単位の割合が50〜97重量
%であり、分子中に架橋性官能基を含有し、かつ重量平
均分子量が5,000〜30,000であるグラフト共重合
体である。グラフト共重合体の重量平均分子量が5,00
0未満であると、得られる塗膜の耐久性が劣り、一方3
0,000を越えると塗料溶液の粘度が高くなり塗工性に
劣る。グラフト共重合体におけるマクロモノマー単位の
割合が50重量%未満であると、高固形分濃度で溶液粘
度が高くなりハイソリッド塗料が得られず、一方マクロ
モノマー単位が97重量%を越えると高純度なグラフト
共重合体が得られず、塗料として使用する際、未重合の
マクロモノマーに起因して、塗膜の耐久性が劣る。
【0014】グラフト共重合体の幹ポリマーおよび/ま
たは枝ポリマー中には、架橋性官能基を存在させること
が必要であり、好ましい架橋性官能基としては、ヒドロ
キシル基、カルボキシル基、アミノ基、グリシジル基お
よび−CONH(CH2 OR)(式中Rは水素原子また
はアルキル基)等が挙げられ、それらは単独でまたは2
種以上併用で使用することができる。より好ましくは、
ヒドロキシル基およびカルボキシル基である。グラフト
共重合体における架橋性官能基の好ましい量は、官能基
の種類によって異なるが、当該官能基を有する単量体単
位の量で示すと、重合体を構成する全単量体単位の合計
量を基準にして0.5〜30重量%である。
【0015】グラフト共重合体を得るために、前記マク
ロモノマーと共重合させる他のラジカル重合性単量体と
しては、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)
アクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニル、スチレン、
α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メ
タ)アクリル酸パーフルオロアルキル、(メタ)アクリ
ル酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロ
キシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル
アミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシ
メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリロイルオキ
シプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0016】前記のとおり、本発明におけるグラフト共
重合体は、分子中に架橋性官能基を有する重合体であ
り、その原料として用いられるマクロモノマー1分子中
には、前記化3のとおり、架橋性官能基である水酸基が
1個付いており、それはグラフト共重合体に導入される
が、それだけでは塗膜における架橋の程度が不十分であ
るため、さらに架橋性官能基を有する単量体単位をグラ
フト共重合体中に導入させる必要がある。架橋性官能基
有する単量体単位を、前記式化1におけるZ部分に含ま
ないマクロモノマーを用いる場合には、グラフト共重合
体を合成する際に重合に供される共重合単量体として、
前記した単量体の内、例えば(メタ)アクリル酸、無水
マレイン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の架橋性官能基を
有する単量体を使用する必要がある。
【0017】また、グラフト共重合体は、(メタ)アク
リル酸アルキルに代表される(メタ)アクリル酸エステ
ル単位を主成分とする構成であることが好ましく、具体
的には、全構成単位の合計量を基準にして、マクロモノ
マーに由来する枝ポリマーおよびその他のラジカル重合
性単量体により形成される幹ポリマー中に存在する(メ
タ)アクリル酸エステル単位の合計量が、50重量%以
上であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル
単位を主成分とする構成のグラフトコポリマーは、耐候
性に優れるため、塗料用樹脂として特に好適である。よ
り好ましい(メタ)アクリル酸エステルは、メタクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルおよび(メタ)ア
クリル酸2−エチルヘキシルである。
【0018】本発明におけるグラフト共重合体は、前記
マクロモノマーおよび他のラジカル重合性単量体(以下
これらを重合性成分と総称する)を、トルエン、キシレ
ン、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトン
等の有機溶剤中で、温度60〜100℃程度でラジカル
共重合することにより得られる。重合開始剤としては、
2,2−アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと
いう)等のアゾ系化合物またはベンゾイルパーオキサイ
ド等の有機過酸化物が使用でき、その好ましい使用量
は、重合性成分の総モル数100モル当たり、1〜10
モルであり、さらに好ましくは5〜10モルである。
【0019】次に、上記グラフト共重合体を架橋硬化す
る方法について説明する。上記グラフト共重合体を硬化
させるために用いられる硬化剤としては、ヘキサメチロ
ール化メラミン、ヘキサブトキシ化メラミンまたはそれ
らの縮合物、ヘキサメチレンジイシソアネート、トリレ
ンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の
多価イソシアネートまたはそれらのアダクト体、多価カ
ルボン酸、およびトリエチレンテトラミン等の多価アミ
ン等が挙げられ、これらは以下に述べるような使われ方
で用いられる。
【0020】すなわち、架橋性官能基としてカルボキシ
ル基を有するグラフト共重合体を用いた塗料の硬化は、
前記ヘキサメチロール化メラミン、ヘキサブトキシ化メ
ラミンまたはそれらの縮合物等のアミノ樹脂を架橋剤と
して用い、120〜160℃で加熱して硬化させる。ヒ
ドロキシル基を有するグラフト共重合体を用いた場合に
は、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソ
シアネート、イソホロンジイソシアネート等の多価イソ
シアネートおよびそれらのアダクト体を架橋剤として併
用し、常温でまたは加熱して硬化させる。グリシジル基
を有するグラフト共重合体は、3級アミンまたは4級ア
ンモニウム塩等の硬化促進剤の存在下に、架橋剤として
多価カルボン酸を使用して、温度80〜200℃で加熱
硬化させるか、またはトリエチレンテトラミン等の多価
アミンを架橋剤として常温または加熱下で硬化させる。
上記の硬化における架橋剤の使用量は、上記架橋性官能
基を有する塗料用重合体の硬化において一般的に用いら
れる量で良く、例えばヒドロキシル基を有するグラフト
共重合体の場合、多価イソシアネートの使用量は、ヒド
ロキシル基に対して0.5〜1.5当量が適当である。ま
た、N−メチロールアミド基を有するグラフト共重合体
は、加熱によって自己架橋する。
【0021】以下、実施例および比較例を挙げて、本発
明をさらに具体的に説明する。
【実施例】
<実施例1>攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計
およびN2 ガス吹き込み口を備えたガラスフラスコに、
メタクリル酸メチル30部、メルカプト酢酸10部およ
びトルエン30部を仕込み、滴下ロートにはメタクリル
酸メチル(以下MMAという)70部、トルエン30部
およびAIBN0.15部の混合溶液を仕込んだ。ガラス
フラスコにN2 ガスを吹き込みながら、溶液温度を90
℃にして滴下ロートの溶液を3時間かけて滴下した。次
いで、上記反応系に、さらにトルエン40部とAIBN
0.8部からなる溶液を滴下ロートから1.5時間かけて滴
下した。その後さらに2時間、反応を継続させて重合を
完結させ、分子の片末端にカルボキシル基を有するポリ
メタクリル酸メチルを得た。得られた重合体は、GPC
によるポリスチレン換算の数平均分子量が1,300で重
量平均分子量が2,000であった。
【0022】上記反応で得られた重合体溶液に、重合禁
止剤ハイドロキノンモノメチルエーテル200ppm を添
加し、ついでエチルトリフェニルホスホニウムブロマイ
ドを触媒とし、重合体の酸価の1.1倍当量のN−〔4−
(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベ
ンジル〕アクリルアミドを加え、温度90℃に6時間維
持し、重合体末端のカルボキシル基と上記アクリルアミ
ドにおけるエポキシ基とを反応させた。酸価の減少から
求めた反応率は98%であった。以上の操作によって、
分子の片末端に重合性を有するポリメチルメタクリレー
ト型マクロモノマー溶液を得た。該溶液をメタノールと
水の混合溶液中に加え、マクロモノマーの再沈精製を行
い、それを単離した。
【0023】上記マクロモノマー、スチレン、ブチルメ
タクリレートおよび2−ヒドロキシエチルメタアクリレ
ートを重量比で55:10:25:10の割合で用い、
それら重合性成分の総モル数を基準にして、重合開始剤
AIBNを8.4%モル添加して、前記重合性成分の40
重量%トルエン溶液として、温度60℃で8時間重合さ
せた。得られた重合体溶液について、GPCより未重合
のマクロモノマーを測定した結果、仕込みのマクロモノ
マーに対して5.4重量%のマクロモノマーが残存するこ
とが分かった。これを基に計算で求めた、生成グラフト
共重合体の組成は、マクロモノマー単位、スチレン単
位、ブチルメタクリレート単位および2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート単位がそれぞれ54:10:26:
10重量%の割合であることが分かった。上記グラフト
共重合体の低角度光散乱法による重量平均分子量(M
w)、および溶液粘度(η)(重合体の40重量%アセ
トン溶液の、温度25℃でのウベローデ粘度計による粘
度。以下同じ)は次のとおりであった。 Mw:15,000 η:12.0cps
【0024】<実施例2>ガラスフラスコにスチレン9
部、メタクリル酸n−ブチル15部、メタクリル酸2−
ヒドロキシエチル(以下HEMAという)6部、メルカ
プトプロピオン酸3部およびトルエン30部を仕込み、
滴下ロートにはスチレン21部、メタクリル酸n−ブチ
ル35部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル14部、
メルカプトプロピオン酸7部、トルエン30部およびA
IBN0.15部を入れた以外は、すべて実施例1と同様
に重合を行い、分子の片末端にカルボキシル基を有する
重合体溶液を得た。得られた重合体のGPCによるポリ
スチレン換算の数平均分子量は1400で、重量平均分
子量は2400であった。
【0025】次に、実施例1と同様にして、上記重合体
溶液に重合禁止剤、触媒(テトラブチルアンモニウムク
ロリド)およびN−〔4−(2,3−エポキシプロポキ
シ)−3,5−ジメチルベンジル〕アクリルアミドを加
え、温度90℃に10時間維持して上記アクリルアミド
化合物の付加反応を行い、マクロモノマーを合成した。
酸価の減少から求めた反応率は99%であった。次に、
上記マクロモノマー70重量%、MMA12重量%およ
びスチレン18重量%の割合で仕込み、その他の条件は
実施例1と同様にして、グラフト共重合体を製造した。
重合生成物中には、仕込みのマクロモノマーに対して、
4重量%の未重合マクロモノマーが存在しており、これ
より生成グラフト共重合体における各単位の割合は、マ
クロモノマー単位、MMA単位、スチレン単位が69:
12:19重量%と判明した。このグラフト共重合体の
Mw及びηは、次のとおりであった。 Mw:24,000 η:15.2cps
【0026】<実施例3>実施例2のマクロモノマー9
0重量%およびスチレン10重量%の割合で使用し、そ
れら重合性成分の総モル数を基準にして、AIBN8.4
モル%および連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン7.
5モル%を添加して、重合性成分の濃度が40重量%ト
ルエン溶液として、60℃で8時間重合させた。生成重
合体中には未重合マクロモノマーが13重量%含まれて
おり、これより得られたグラフト共重合体中のマクロモ
ノマー単位は89重量%で、またスチレン単位は11重
量%と、計算により求められた。このグラフト共重合体
のMwおよびηは以下のとおりであった。 Mw=28,000、η=18.8cpsであった。
【0027】<実施例4>実施例2で使用したマクロモ
ノマーを用い、マクロモノマー70重量%、メタクリル
酸ブチル15重量%、スチレン12重量%およびメタク
リル酸3重量%の混合溶液を実施例1と同様な方法によ
り重合をして、グラフト共重合体を合成した。得られた
グラフト共重合体溶液中には、未重合マクロモノマーが
4重量%含まれていたことから、グラフト共重合体を構
成する各単位の割合は、マクロモノマー単位、メタクリ
ル酸ブチル単位、スチレン単位およびメタクリル酸単位
が69:16:12:3重量%と判明した。このグラフ
ト共重合体のMw及びηは次のとおりであった。 Mw=27,000 η=15.5cps
【0028】<比較例1〜2>MMA80重量%とHE
MA20重量%をトルエン−ブタノールの混合溶剤に溶
解し、単量体濃度が20重量%の溶液を調製し、該溶液
に単量体の総モル数を基準にして、AIBN8.4モル%
およびラウリルメルカプタン4モル%(比較例1)また
は1モル%(比較例2)添加した以外は、すべて前記実
施例と同様にして重合を行い、直鎖状ランダム共重合体
を得た。得られた重合体のMwおよびηは以下のとおり
であり、前記実施例で示された本発明におけるグラフト
共重合体の溶液粘度と比較して、分子量の割に溶液粘度
がかなり高いことが分かる。
【0029】<比較例3>トルエン106.2部が入った
80〜85℃のガラスフラスコ中に、N2 ガスを吹き込
みながら、滴下ロートからMMA80部、HEMA20
部、メルカプト酢酸10.6部およびAIBN2部からな
る混合溶液を3時間かけて連続滴下した。その後、更に
2時間重合を継続させて、片末端にカルボキシル基を持
つ重合体溶液を得た。得られた重合体の酸価は0.82mg
当量/gであった。次に、実施例1と同様にして、上記
酸価の1.1倍当量のグリシジルメタクリレートを重合体
溶液に加え、温度90℃で6時間維持することにより、
重合体の末端カルボキシル基とグリシジル基とを反応さ
せた。酸価の減少から求めた反応率は98.5%であっ
た。上記反応により、GPCによる数平均分子量が13
40で、重量平均分子量が2600の片末端メタクリロ
イル基型マクロモノマーを得た。
【0030】上記マクロモノマー、スチレンおよびMM
Aを重量比で45:25:30の割合で用い、それら重
合性成分の20重量%トルエン溶液を調製して、その溶
液に全重合性成分に対しAIBNを8.4モル%添加し
て、温度60℃で8時間重合をした。得られた重合体溶
液中には、未重合マクロモノマーが10重量%含まれて
いたことから、生成したグラフト共重合体の組成は、計
算により、マクロモノマー単位、スチレン単位およびM
MA単位がそれぞれ42、26、32重量%であること
が分かった。このグラフト共重合体のMwおよびηは、
Mw=14,000で、η=11.6cpsであった。
【0031】<比較例4>実施例2において得られた片
末端にカルボキシル基を持つ重合体、すなわち、マクロ
モノマー化する前の重合体をNaOHで中和した。触媒
テトラブチルアンモニウムブロマイドの存在下、中和後
の重合体と、該重合体中のカルボキシレートナトリウム
塩の量の1.1倍当量のクロルメチルスチレン(オルト体
とパラ体の混合品)を反応させて、マクロモノマーを合
成した。得られたマクロモノマー溶液を用い、メタノー
ル/水混合液で再沈精製してマクロモノマーを単離し
た。このマクロモノマーの数平均分子量は1500で、
重量平均分子量は2600であった。
【0032】上記マクロモノマーを使用して、マクロモ
ノマー70重量%、MMA12重量%およびスチレン1
8重量%の割合で仕込み、その他の条件は実施例1と同
様にしてグラフト共重合体を合成した。得られたグラフ
ト共重合体溶液中には、未重合マクロモノマーが8重量
%含まれていた。また、グラフト共重合体のMw=26,
000、η=16.1cpsであった。
【0033】塗膜の評価試験(1) 実施例1〜3および比較例3〜4で得たグラフト共重合
体をトルエンに溶解して、各々トルエンの50重量%溶
液に調製した。得られた各溶液中のグラフト共重合体に
含まれるヒドロキシル基の量に対して、1.1倍当量のヘ
キサメチレンジイソシアネートを加え、硬化性組成物の
溶液を得た。得られた溶液をガラス板に膜厚50μmに
なる様に塗布し、次いで120℃で1時間加熱硬化させ
た。上記方法で形成された塗膜について、サンシャイン
ウェザーメーター(スガ試験機製WEL−SUN−DC
63℃±3℃)によって耐候性試験を行った。400時
間後の塗膜の着色度合を目視で観察した結果、実施例1
〜3のグラフトポリマーを用いた塗膜は、わずかに黄変
していたのに対して、比較例3のグラフトポリマーを用
いた塗膜は明らかな黄変が見られた。また比較例4のグ
ラフトポリマーを用いた塗膜は黄褐色に変色していた。
【0034】塗膜の評価試験(2) 実施例4で得たグラフト共重合体を用い、架橋剤として
ヘキサメチロール化メラミンをグラフト共重合体に対し
て30重量%添加し、P−トルエンスルホン酸を触媒と
して、ガラス板に膜厚30μmとなる様に塗布した。次
いで、150℃で30分加熱硬化させて得た塗膜につい
て、サンシャインウェザーメーターによる耐候性試験を
行った。400時間経過後に目視で観察した結果、黄変
の程度はわずかであった。
【0035】
【発明の効果】本発明におけるグラフト共重合体によれ
ば、高固形分濃度であるにも拘わらず低粘度の架橋性樹
脂からなる塗料液が得られ、しかも形成される塗膜の耐
候性が極めて優れている。一般にマクロモノマー法によ
るグラフト共重合体の合成に用いられるマクロモノマー
には、マクロモノマーの一段階前の重合体を得る際に用
いられる連鎖移動剤に起因するイオウ原子を構成成分と
するC−S−C結合が含まれており、その結合のため
に、得られるグラフト共重合体からなる塗料は耐候性に
劣っていたが、本発明におけるグラフト共重合体は、上
記C−S−C結合の近傍にベンゼン環を含む嵩高い化学
構造を有するため、耐候性に優れるものと推測される。
フロントページの続き (72)発明者 日比野 浩 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東亞合成化学工業株式会社 名古屋総合 研究所内 (72)発明者 桑野 一幸 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 河上 毅 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 杉浦 護 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 審査官 小野寺 務 (56)参考文献 特開 平1−230613(JP,A) 特開 平1−263108(JP,A) 特開 平1−318027(JP,A) 特開 平2−67303(JP,A) 特開 平4−13747(JP,A) 特開 平4−103610(JP,A) 特開 平1−245001(JP,A) 特開 平5−43612(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 290/00 - 290/14 C08F 8/00 - 8/50 C08G 18/00 - 18/87 C09D 1/00 - 201/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記化1で表されるマクロモノマーを、他
    のラジカル重合性単量体と共重合させて得られるグラフ
    ト共重合体であって、全構成単位の合計量を基準とし
    て、マクロモノマー単位が50〜97重量%であり、か
    つ架橋性官能基を含有し、重量平均分子量が5000〜
    30,000であるグラフト共重合体からなる架橋性塗料
    用樹脂。 【化1】 (式中、R1 およびR2 は水素原子または炭素数が1〜
    5のアルキル基であり、またZはラジカル重合性単量体
    単位からなる重量平均分子量が1,000〜10,000の
    重合体)
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