JP3083550U - 卓上型供養具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】遺骨と墓碑の双方を楽な姿勢で目視しながら墓
参りと供養とを心行くまで行なうことができ、それでい
てコンパクトで場所をとらず、卓や机上などに配しても
文箱のごとく体裁のよい卓上型供養具を提供する。 【解決手段】遺骨を納める納骨部３と、該納骨部３より
も大きな容積を持ち内部に小型墓碑６を収容した墓部５
とを同一平面上に有する箱状本体１と、左右開閉自在な
扉を有し後側下部をもって前記箱状本体１の後側上端に
起伏自在に連結した仏壇兼蓋体２とを備え、前記箱状本
体１の後面には、前記仏壇兼蓋体２の起立時に支えとな
る開閉自在な支え扉体１１，１１を有している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は仏壇と墓の両機能を備えた卓上ないし机上配置型のコンパクトな供養 具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

人間の寿命は残念ながら限られており、健康な者でもいつの日か逝去すること を避けられない。こうした故人をまっつて供養する手段として、仏壇が古来より 用いられている。 しかし、一般に仏壇は大きく場所を取り、面積の限られた住居においては配置 に難渋を来しているのが一般である。また、故人の命日や彼岸には墓参りをして 霊を弔うのが通例であるが、墓所から遠隔な地にいる者は、そのためだけに帰参 して墓参りをすることは、時間的制約や経済面など種々の事情から困難なことが 多い。

【０００３】 このようなことから、故人を偲んでその供養をしたくとも、家庭で容易に営め ないのが実情であった。この対策として、小型化した簡易仏壇が種々提案されて いるが、これらは位牌や仏像を安置して礼拝するための壇としての機能を有する にとどまり、遺骨を葬る墓としての機能はないので、家庭に居て墓参りをするこ とは困難であった。 この対策として、実用新案登録第３０４７１０１号には墓参と追善供養を行な える仏壇が提案されている。この先行技術は、通常の縦型配置形式の仏壇におけ る下壇に空間を上下に区画する仕切り板を前後方向に摺動可能に取り付け、仕切 り板の上部にミニチュア墓碑を安置し、仕切り板の下部に納骨室を形成したもの であった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前記先行技術は、従来の仏壇と基本的形態が同じであるから、 縦長で大型のものとなり、屋内に配置するスペースの少ない場合には使用するこ とが難しいという問題があった。 また、目線よりかなり下の下壇に墓碑部分があるので、墓碑を眺めながら供養 をするときに、大きく屈まなければならず、これは無理な姿勢であるため苦痛を 招きやすく、これを避けるには、上壇を下壇から分離して別の場所に安置する操 作をしなければならない煩わしさがあった。

【０００５】 さらに、下壇内を仕切り板で上下に区画して墓部分と納骨部分を設けているの で、遺骨を供養しつつ同時に墓碑に冥福を祈ることができず、遺骨を供養すると きには、仕切り板の上部に配置したミニチュア墓碑をいったん別の場所に移し、 それから仕切り板を前方にずらしてでなければ遺骨を供養することができないと いう不便さがあった。

【０００６】 本考案は前記のような問題点を解消するためになされたもので、その目的とす るところは、遺骨と墓碑の双方を楽な姿勢で目視しながら墓参りと供養とを心行 くまで行なうことができ、それでいてコンパクトで場所をとらず、卓や机上など に配しても文箱のごとく体裁のよい卓上型供養具を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案の卓上型供養具は、遺骨を納める納骨部と、該 納骨部よりも大きな容積を持ち内部に小型墓碑を収容した墓部とを同一平面上に 有する箱状本体と、左右開閉自在な扉を有し後側下部をもって前記箱状本体の後 側上端に起伏自在に連結した仏壇兼蓋体とを備え、前記箱状本体の後面には、前 記仏壇兼蓋体の起立時に支えとなる開閉自在な支え扉体を有していることを特徴 としている。

【０００８】 好適には、支え扉体はこれに対して９０度程度屈折可能な内側扉体を連結して いる。また、納骨部と墓部は隠し蓋により常態において閉止されていることが好 ましい。箱状本体は、さらに、供養に必要なもの、故人が生前可愛がっていたペ ットの遺骨類、故人の遺品などを収納するための収納部とこれを閉止する隠し扉 ４ｃを有しているものを含んでいる。

【０００９】

【考案の実施の形態】

以下本考案の実施例を添付図面を参照して説明する。 図１ないし図４は本考案による卓上型供養具の一実施例を示しており、箱状本 体１と、仏壇を兼ねた蓋体２とからなっている。 前記箱状本体１は、木製の箱体に全体に漆塗りによる装飾面１００を形成し、 該装飾面１００のたとえば正面と側面には、さらに螺鈿模様などの加飾１０１を 施している。しかし場合によっては、合成樹脂成形体によつて作られていてもよ い。

【００１０】 前記箱状本体１は上面が開放されており、内部には仕切り１ａによって少なく とも２室が凹入形成され、一方の室には桐製などからなる内箱３ａが嵌装される ことにより納骨部３が画成されている。この納骨部３には故人の遺骨を収容した 骨壺３０が納められるようになっており、納骨部３の上部開口は漆塗りなどの表 面装飾を施した隠し蓋４ａによって閉止されるようになっている。

【００１１】 他方の室には桐製などからなる内箱３ｂが嵌装されることにより墓部５が画成 されている。墓部５は前記納骨部３よりも容積が大きく構成され、墓部５には墓 碑６が安置されている。墓碑６は御影石などの石材、合成樹脂、金属などから選 ばれた材料によって作られており、墓碑６の上あるいは近傍には、香炉類や花立 などの祭祀具７が配されている。納骨部３の上部開口は漆塗りなどの表面装飾を 施した隠し蓋４ｂによって閉止されるようになっている。

【００１２】 この実施例では、箱状本体１にはさらにもう１つの室が収納部８として設けら れている。この収納部８は、位牌あるいは、線香立て、鐘、線香、蝋燭、蝋燭立 て、経本など供養に必要なものを収納したり、別の故人の納骨あるいは故人が生 前可愛がっていたペットの遺骨を納めたり、故人の遺品を収納したりするためな どに適宜使用される。この収納部８も漆塗りなどの表面装飾を施した隠し蓋４ｃ によって上部開口が閉止されるようになっている。

【００１３】 仏壇兼用蓋体２は通常の仏壇と同じように所要の奥行きの箱状に構成され、左 右には扉体２ａ、２ａが左右両端を支点として開閉自在に枢着されており、扉体 ２ａ，２ａの近接縁部分には、閉止状態を保持するための止め具（図示せず）が 取り付けられている。また、内部の宮殿部分には少なくとも本尊の掛軸１６が張 設されている。 前記仏壇兼用蓋体２は黒塗り、カシュー塗りなどによつて仕上げられ、要部に は金箔などで加飾されている。

【００１４】 前記仏壇兼用蓋体２は後端部が蝶番９によって箱状本体１の後端部に起伏可能 に枢着されており、前端部には箱状本体１の前面部に設けた留め具と係合する係 止具が取り付けられ、箱状本体１と重合した状態でみだりに開放されないように なっている。

【００１５】 前記箱状本体１の背面部分には、幅方向両側に支枠１０，１０が設けられてお り、この支枠１０，１０に前記仏壇兼用蓋体２が起立されたときに下部を支える ための支え扉体１１，１１が蝶番１２，１２によって９０度程度開閉自在に枢着 されている。 前記支え扉体１１，１１の幅は仏壇兼用蓋体２の奥行きとほぼ整合しているが 、体裁を良くしまた支え面積を増加するために、両扉体１１，１１の幅方向内側 には蝶番１４，１４によって内側扉体１３，１３が屈曲可能に枢着されている。 扉体１１，１１と内側扉体１３，１３にそれぞれ所望の装飾１１０，１３０が施 されている。もちろん内側扉体１３，１３は箱状本体１の背面部分に固定された 飾り扉としてもよい。

【００１６】

【実施例の作用】

本考案による卓上型供養具は、図２のように通常は仏壇兼用蓋体２が閉じられ ており、このときの状態で、たとえば長さ約３００ｍｍ、高さ約２４０ｍｍ、幅 約２００ｍｍの各寸法に作られているため、机上や卓上に配するのに適したコン パクトなものとなる。 しかも箱状本体１の表面には螺鈿模様などの装飾１０１が施されており、箱状 本体１の背面の支え扉体１１，１１と内側扉体１３，１３は箱状本体１の背面と 一体をなすように平面化しているので装飾体として目視され、全体があたかも文 箱のような外観を呈するため美麗で体裁がよく、違和感を与えない。

【００１７】 供養にあたっては、箱状本体１の背部の左右の支え扉体１１，１１を開き、約 ９０度展開する。この状態で仏壇兼用蓋体２と箱状本体１との係合を解除し、仏 壇兼用蓋体２を持ち上げる。仏壇兼用蓋体２は蝶番９によって箱状本体１の後部 に枢着されているので、水平状態から９０度起立し、図４のように後端面両側が 前記支え扉体１１，１１によって支持される。したがって、体裁を悪化させる前 面側のステー類がないにもかかわらず、仏壇兼用蓋体２を安定的な起立状態とす ることができる。 図５のように支え扉体１１，１１と連結している内側扉体１３，１３を支え扉 体１１，１１に対して９０度屈曲させれば、仏壇兼用蓋体２の端面後部も支持さ れるので、より安定的にしっかりとした起立状態を維持することができる。

【００１８】 この状態で扉体２ａ、２ａを開けば仏壇となり、仏壇兼用蓋体２の内部に張っ ておいた本尊の掛軸あるてはさらに宮殿に収納しておいた位牌を拝しながら、日 常の供養を行なうことができる。 供養に必要な線香や灯明を付けたり、鐘を打ったりするときには、隠し蓋４ｃ を取れば、収納部８が開口するので、ここから必要なものを取出し、隠し蓋４ａ ，４ｂの上に配することにより容易に行なうことができる。

【００１９】 命日、盆、彼岸のときには、隠し蓋４ａ，４ｂを取り外せばよく、納骨部３と 墓部４は同一平面上にあるため、煩わしい操作を全く必要としない。これで図１ のように骨壺３０や墓碑６が露出されるので、墓碑と遺骨をみながら心行くまで 冥福を祈ることができる。 また、収納部８に遺品などを収納しておいた場合には、これを眺めたり、取り 出して故人を偲んだりすることができる。

【００２０】 供養が終わったときには、隠し蓋４ａ，４ｂを閉じ、扉体２ａ、２ａを閉じ、 仏壇兼用蓋体２を前方に倒し、支え扉体１１，１１を箱状本体１の背面に当接さ せればよく、簡単に図２のような文箱状態に戻すことができる。

【００２１】

【考案の効果】

以上説明した本考案の請求項１によるときには、遺骨を納める納骨部３と、該 納骨部３よりも大きな容積を持ち内部に小型墓碑６を収容した墓部５とを同一平 面上に有する箱状本体１と仏壇兼蓋体２を起立させることにより日常の供養を行 なうことができ、また遺骨と墓とが同一平面上にあるため、煩雑な操作をまった く要さず、楽な姿勢で命日、盆、彼岸の時期等において、遺骨と墓とを見ながら 心行くまで供養することができる。また、箱状本体１の後側上端に起伏自在に連 結した仏壇兼蓋体２とを備えているので、仏壇兼蓋体２を起立させて仏壇として 使用するときに安定して支えておくことができ、機械然としたステー類が墓部や 納骨部にまったくないため、体裁がよく美麗さや荘厳さをかもし出すことができ る。また、仏壇兼蓋体２を伏せた状態ではコンパクトな文箱のような体裁となる ため、卓上や机上などに配しておいても体裁がよく、違和感を与えることがない などのすぐれた効果が得られる。

【００２２】 請求項２によれば、支え扉体１１，１１はこれに対して９０度程度屈折可能な 内側扉体１３，１３を連結しているので、仏壇兼蓋体２を起立させたときにこれ の底面をさらにしっかりと支えることができるというすぐれた効果が得られる。

【００２３】 請求項３によれば、納骨部３と墓部５は隠し蓋４ａ，４ｂにより常態において 閉止されるようになっているので、日常の供養のときには遺骨と墓の存在を隠蔽 しておくことができ、また隠し蓋４ａ，４ｂを台として使用し位牌をはじめとす る供養に必要なものを配置することができるというすぐれた効果が得られる。 請求項４によれば、箱状本体１が、さらに、供養に必要なもの、故人が生前可 愛がっていたペットの遺骨類、故人の遺品などを収納するための収納部８とこれ を閉止する隠し扉４ｃを有しているので、供養に必要なさまざまなものを要時ま で露出させずに安置し、供養時に容易に取り出して仕様に供することができると いうすぐれた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による卓上型供養具の一実施例を仕様状
態で示す部分切欠斜視図である。

【図２】本考案卓上型供養具の一実施例を通常の状態で
示す部分切欠側面図である。

【図３】本考案卓上型供養具の一実施例を通常の状態で
示す背面図である。

【図４】本考案卓上型供養具の一実施例を使用状態で示
す縦断側面図である。

【図５】本考案卓上型供養具の一実施例を使用状態で示
す平面図である。

【符号の説明】

１ 箱状本体 ２ 仏壇兼蓋体 ３ 納骨部 ４ａ，４ｂ，４ｃ 隠し蓋 ５ 墓部 ６ 墓碑 ８ 収納部 １１，１１ 支え扉 １３，１３ 内側扉

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】遺骨を納める納骨部３と、該納骨部３より
   も大きな容積を持ち内部に小型墓碑６を収容した墓部５
   とを同一平面上に有する箱状本体１と、左右開閉自在な
   扉２ａ，２ａを有し後側下部をもって前記箱状本体１の
   後側上端に起伏自在に連結した仏壇兼蓋体２とを備え、
   前記箱状本体１の後面には、前記仏壇兼蓋体２の起立時
   に支えとなる開閉自在な支え扉体１１，１１を有してい
   ることを特徴とする卓上型供養具。
2. 【請求項２】支え扉体１１，１１はこれに対して９０度
   程度屈折可能な内側扉体１３，１３を連結している請求
   項１に記載の卓上型供養具。
3. 【請求項３】納骨部３と墓部５は隠し蓋４ａ，４ｂによ
   り常態において閉止されるようになっている請求項１に
   記載の卓上型供養具。
4. 【請求項４】箱状本体１が、さらに、供養に必要なも
   の、故人が生前可愛がっていたペットの遺骨類、故人の
   遺品など所望の物品を収納するための収納部８とこれを
   閉止する隠し扉４ｃを有している請求項１ないし３のい
   ずれかに記載の卓上型供養具。