JP3073178B2 - 高速車両のピラー構造 - Google Patents

高速車両のピラー構造

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JP3073178B2
JP3073178B2 JP09186989A JP18698997A JP3073178B2 JP 3073178 B2 JP3073178 B2 JP 3073178B2 JP 09186989 A JP09186989 A JP 09186989A JP 18698997 A JP18698997 A JP 18698997A JP 3073178 B2 JP3073178 B2 JP 3073178B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新幹線などの高速
車両のピラー構造に関し、さらに詳しくは先頭車両のピ
ラーの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図17は従来の窓枠構造によって窓枠部
1が構成される高速車両の先頭部2の一部の平面図であ
り、図18は図17に示される窓枠部1付近の側面図で
ある。なお、図17および図18においては、車体の幅
方向左半分だけが示されている。
【0003】新幹線などの高速車両において、先頭車両
の先頭部2は、トンネルに突入する際に、その先頭部2
に形成されて圧力波に起因してトンネルの出口で微気圧
波による衝撃音の発生を低減するために、より先鋭化
し、その形状が連続した3次元的曲面を組合せた流線形
状に形成され、複雑になってきている。このような高速
車両の車体は、強度を向上するために、鋼板およびアル
ミニウム合金板などの金属材料のたたき出しで外板とも
呼ばれる外壁4を形成し、この外壁4を鋼鉄製またはア
ルミニウム合金製の押出し形材から成るフレームに溶接
して取付け、高速車両の先頭部2を製造している。
【0004】図19は図17および図18の切断面線A
−Aから見た拡大断面図であり、図20は図17および
図18の切断面線B−Bから見た断面図であり、図21
は図20の切断面線C−Cから見た断面図である。前記
外壁4には、窓ガラス5,6の相互に隣接する側縁部
7,8を保持するピラー9が設けられる。このピラー9
は、各窓ガラス5,6に関して内側から外側に向かっ
て、すなわち図31の下から上に向かって内装化粧パネ
ル10、断面形状が略U字状のピラー本体11、断面形
状が略T字状の中間部材12および中間部材12に外部
側から固定される薄板状の押え部材13とがこの順序に
配置されて構成される。
【0005】中間部材12と押え部材13との間には、
各窓ガラス5,6の側縁部7,8がそれぞれ嵌まり込む
凹所14,15が形成され、各凹所14,15内には、
断面形状が略U字状に形成され、各窓ガラス5,6の側
縁部7,8に装着されるパッキン16,17、パッキン
16,17と中間部材12との間で前記パッキン16,
17に接触して配置される緩衝材18,19、各緩衝材
18,19と中間部材12との間に介在されるスペーサ
20,21、各パッキン16,17と中間部材12との
間に介在される内部側シール材22,23および各パッ
キン16,17と押え部材13との間に介在される外部
側シール材24,25とが設けられる。
【0006】押え部材13は、面状のシール材30を介
してボルト26によって中間部材12に固定される。前
記ピラー本体11、中間部材12および押え部材13
は、アルミニウム合金製の押し出し形材から成る。
【0007】このようなピラー9は、窓枠3に嵌め込ま
れ、長手方向両端部が内部側から支持された状態で、前
記押え部材13によって固定される。窓枠3の内面に
は、断面形状が略L字状の補強部材28が固定される。
またピラー本体11と中間部材12との間には、厚みが
たとえば12mm程度の平板状の補強部材29が介在さ
れる。この補強部材29の長手方向両端部は、溶接によ
って窓枠3および前記補強部材28に固定され、窓枠3
をピラー9の裏側から補強している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の技術
では、トンネル通過の際の圧力変動による各窓ガラス
5,6および窓枠3の変形に耐え得るために、窓枠3に
も大きな曲げ剛性が要求され、そのため各補強部材2
8,29はアルミニウム合金製とし、前記圧力変動によ
る変形を抑制している。しかしながら、ピラー本体1
1、中間部材12、押え部材13および各補強部材2
8,29は、いずれも金属製であるため、大きな曲げ剛
性が得られるものの、各窓ガラス5,6の形状に一致さ
せるために削りだし加工を行なわなければならず、製作
および取付に手間を要し、製造コストが高くなってしま
うという問題がある。また各補強部材28,29および
中間部材12などは内部側に露出するため、内装化粧パ
ネルを取付ける必要があり、この内装化粧パネル10の
製作および取付のためにコスト高となってしまうだけで
なく、内装化粧パネル10の幅が大きいために乗務員の
視界を妨げてしまうという問題がある。
【0009】本発明の目的は、広い視界が得られ、製造
および取付けに手間を要さず、安価に曲げ合成の高いピ
ラーを取付けることができるようにした高速車両のピラ
ー構造を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、高速車両の外壁に設けられる窓枠に取付けられるピ
ラーの構造であって、高弾性繊維を含む強化材料に、熱
硬化性合成樹脂を含浸させた前記外壁および窓枠と同様
な複合材料によって形成される外周層と、外周層内に配
置されて固定され、多数の空間を有するコアとを有し、
両側に配置される窓ガラスを内側から支持するピラー本
体と、各窓ガラス間でピラー本体に外部側から固定さ
れ、ピラー本体よりも剛性の高い材料から成る中間部材
と、中間部材に外部側から着脱可能に取付けられ、中間
部材を左右両側から挟むようにして配置される各窓ガラ
スの側縁部を、ピラー本体上に押付けて挟持する前記複
合材料から成る押え部材とを含むことを特徴とする高速
車両のピラー構造である。
【0011】本発明に従えば、窓ガラスはピラー本体に
よって内側から支持され、ピラー本体には中間部材が外
部側から固定され、中間部材には押え部材が外部側から
固定される。この押え部材によって、前記窓ガラスはピ
ラー本体上で押さえられた状態で保持される。これらの
ピラー本体および押え部材は、高弾性繊維を含む強化材
料に熱硬化性合成樹脂を含浸させた複合材料から成る。
高速車両に設けられる窓ガラスを挟持するためのピラー
本体および押え部材は、上述のように複合材料から成
り、成形が容易であり、アルミニウム合金などの金属材
料を加工して形成する場合に比べて、加工コストも少な
くて済む。また左右両側の窓ガラス間の隙間を埋めるよ
うに設けられる中間部材は、ピラー本体に固定されてい
わば一体化されて設けられ、この中間部材は、ピラー本
体よりも高い剛性を有するので、ピラーが大きな曲げ剛
性を有し、トンネル通過時の圧力変動によって大きく変
形することが防がれ、窓ガラスがピラーから外れること
が防がれるとともに、気密性および水密性が低下してし
まうという不具合が防がれる。たとえばピラー本体、中
間部材および押え部材がすべて複合材料から成る場合に
は、所定の剛性を得るために、各部材の肉厚が大きくな
るという問題があり、また上記ピラー本体、中間部材お
よび押え部材のすべてがアルミニウム合金などの金属材
料から成る場合には、従来の技術にも関連して述べたよ
うに、窓ガラスの形状に一致させるために削り出し加工
を行わなければならず、加工および組立に手間を要する
という問題がある。上記のようにピラー本体と押え部材
とを複合材料によって形成し、中間部材をさらに合成の
高い材料、たとえばステンレス鋼などの金属製とするこ
とによって、上記問題を解消し、ピラーの幅を従来より
も細くして広い視野を得ることが可能になるとともに、
加工上の手間および組立上の手間を少なくして、製造コ
ストを低減することができる。またピラー本体の外周層
および押え部材は、窓枠および外壁と同様な複合材料か
ら成るので、ピラー本体および押え部材と、窓枠および
外壁との熱膨張率の差が少なく、取付構造を簡単にし、
製造が容易になり、組立作業も簡単に行うことができる
ようになる。さらに押え部材は、外側から取外せるよう
に取付けられているので、窓ガラスを容易に取付けおよ
び取外しを行うことができ、各窓ガラスの交換が容易で
ある。
【0012】請求項2記載の本発明の、ピラー本体は、
硬質の熱硬化性発泡合成樹脂から成るコアに、前記複合
材料から成るシートを巻回してオートクレーブ成形され
ることを特徴とする。
【0013】本発明に従えば、硬質の熱可塑性合成樹脂
から成るコアに、上記の複合材料から成るシートを巻回
してオートクレーブ成形してピラー本体が形成されるの
で、従来のように、金属材料を削りだし加工して寸法調
整するという加工上の手間がなくなり、高い寸法精度で
ピラー本体が得られ、生産性が格段に向上される。また
ピラー本体の外周は、上記シートによる高弾性繊維を含
む複合材料から成るので、厚み方向に3層から成るサン
ドイッチ構造の高い曲げ剛性および高い疲労強度を有す
るピラー本体を実現することができ、トンネル通過時に
圧力変動などの繰り返し荷重に対して構造疲労を生じに
くくし、耐久性を向上することができる。
【0014】請求項3記載の本発明は、中間部材は、金
属製の中実角材から成ることを特徴とする。
【0015】本発明に従えば、上記の請求項1または2
に記載の構成において、中間部材が金属製、たとえばス
テンレス鋼から成る中実角材によって形成されるので、
高い曲げ剛性を中間部材によって負担することが可能と
なり、したがってピラー本体および押え部材の厚みがむ
やみに大きくならず、幅の細いピラーを実現することが
でき、広い視界を確保することが可能となる。
【0016】請求項4記載の本発明は、押え部材は、平
板状体であって、高弾性繊維を含む繊維強化材料に、熱
硬化性合成樹脂から成るマトリクスを含浸させた複合材
料から成ることを特徴とする。
【0017】本発明に従えば、押え部材もまた、上記の
ピラー本体と同様に、高弾性繊維を含む繊維強化材料に
熱硬化性合成樹脂から含浸させた複合材料から成るの
で、高い疲労強度を有し、長期にわたる繰返し荷重に対
して亀裂および破損が生じず、耐久性を向上することが
できる。
【0018】請求項5記載の本発明は、ピラー本体に
は、前記中間部材が外部から螺着される第1のねじ部材
によって連結されることを特徴とする。
【0019】本発明に従えば、ピラー本体に中間部材が
第1のねじ部材によって取付けられるので、ガラス窓の
交換時またはそのガラス窓と中間部材との間に介在され
るシール材およびガラス窓とピラー本体との間に介在さ
れるシール材を容易に交換することができ、窓ガラスお
よびシール材の交換に手間を要しない。
【0020】請求項6記載の本発明は、中間部材には、
前記押え部材が外部側から螺着される第2のねじ部材に
よって着脱可能に連結されることを特徴とする。
【0021】本発明に従えば、押え部材は第2のねじ部
材によって中間部材に着脱可能に連結されるので、中間
部材をピラー本体から外すことなく窓ガラスおよびシー
ル材の交換を容易に行うことが可能となる。
【0022】請求項7記載の本発明は、ピラー本体の中
間部材および窓ガラスを支持する外部側領域とは反対側
の内部側領域は、前記外部側領域から内側に離反するに
つれて相互に近接する方向に傾斜する面取り部が形成さ
れることを特徴とする。
【0023】本発明に従えば、ピラー本体の内部側領域
には、面取り部が形成されるので、内部側から外部を見
たときに、広い視界を得ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態の窓
枠構造を示し、図2の切断面線I−Iから見た拡大断面
図であり、図2は図1に示す窓枠構造が実施される高速
車両の先頭部41の左側半分の構体42を示す斜視図で
ある。新幹線などの高速車両の先頭部41の構体42
は、高弾性繊維を含む強化材料に熱硬化性合成樹脂を含
浸させた複合材料によって内層44および外層45が形
成され、これらの内層44および外層45間に多数の空
間を有するコア46が固定される外壁47を有する。こ
の外壁47には、図1の上下方向である厚み方向に貫通
した窓ガラス嵌合孔48が形成され、この窓ガラス嵌合
孔48に窓ガラス49が嵌まり込んだ状態で、窓ガラス
49の周縁部50を保持するように構成される。
【0025】このような外壁47は、運転室パーツ、天
井パーツ、スノープラウパーツおよび連結器カバーなど
の複数の部位に分割して製造され、前記構体42を構成
している。
【0026】外層45および内層44を構成する各プリ
プレグは、繊維強化熱硬化性合成樹脂製であり、たとえ
ば不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、ポリイミド樹
脂、またはエポキシ樹脂に、カーボン繊維またはアラミ
ド繊維が含浸された構成を有する。本発明の実施の形態
では、加熱硬化形エポキシ樹脂にカーボン繊維が含浸さ
れた構成を有する。カーボン繊維は、アラミド繊維に比
べて、強度の観点から好ましい。各プリプレグは、たて
糸とよこ糸とが、カーボン繊維、ガラス繊維およびアラ
ミド繊維のグループから選ばれる1つから成る平織また
は朱子織などの織物に、前述のように熱硬化性合成樹脂
が含浸されたものである。こうして下から上に順次積み
重ねられる複数層のプリプレグのたて糸の延びる方向
は、45度ずつ順次的に厚み方向に変化される。こうし
て熱融着されて熱硬化された複数層から成るプリプレグ
を有する外層45は、ほぼ等方性の引張強度を有する。
内層44もまた、外層45と同様な構成を有する。
【0027】コア46は、硬質発泡合成樹脂製である。
この硬質発泡合成樹脂としては、たとえばポリメタクリ
ルイミドが好適に用いられる。このポリメタクリルイミ
ドは、他の合成樹脂の発泡体と比較して、引張強度、圧
縮強度、弾性率、せん断強度などの機械的強度が大き
く、特に低温下での特性が優れ、さらに耐熱性、耐溶剤
性、断熱性に優れている。
【0028】外壁47には、窓ガラス嵌合孔48内に突
出し、窓ガラス49の周縁部50の内面52を支持する
内面支持部53と、内面支持部53の基端部から車両の
外側にほぼ垂直に屈曲して延び、窓ガラス49の外周面
54を支持する周縁支持部55とが前記内層44および
外層45に連なって一体的に形成される。外壁47には
また、前記複合材料から成り、周縁支持部55から窓ガ
ラス嵌合孔48内に突出する部分56によって、窓ガラ
ス49の周縁部50の外面57を押圧する押え部材58
が袋状ナット61とボルト62とによって着脱可能に取
付けられる。
【0029】図3は、袋状ナット61の具体的構成を示
す断面図である。袋状ナット61は、外層45の外表面
上で係合するフランジ63と、フランジ63側に拡開す
る環状の案内部64と、案内部64に軸線方向に一体的
に連なって形成され、案内部64に関して前記フランジ
63とは反対側の軸線方向一端部で半径方向外方に突出
するかしめ部65と、かしめ部65の軸線方向一端部に
連なり、内周面に内ねじ66が刻設される環状の螺合部
67と、螺合部67の軸線方向一端部を塞ぐ端壁68と
を有する。このような袋状ナット61は、ステンレス鋼
またはスチールから成る。
【0030】図4は、袋状ナット61の外層45への取
付け手順を示す断面図である。上記の袋状ナット61
は、外層45に取付けるにあたっては、まず外層45側
に袋状ナット61をフランジ63付近まで挿入すること
ができる穴69(図4(2)参照)をドリルなどの穿孔
工具によって形成し、図4(1)に示されるように、袋
状ナット61を、外周面に外ねじが刻設されたドリルの
チャック71に装着されたツール70に装着し、図4
(2)に示されるようにチャック71を回転駆動してツ
ール70を袋状ナット61の螺合部67に螺合させた状
態で、フランジ63の内周部がツール70の基端部に形
成される複数のリブ72の当接面73に当接するまで締
付けて外壁47に形成した前記穴69に差込む。
【0031】次に図4(3)に示されるように、ツール
70を回転させることによってかしめ部65が半径方向
外方に突出するように変形してかしめられ、外層45が
フランジ63とかしめ部65とによって挟着される。す
なわち、かしめ部65は螺合部67に比べて薄く形成さ
れており、前記ツール70の回転によって螺合部67は
フランジ63に近接する方向に軸線方向に圧縮され、か
しめ部65が半径方向外方に屈曲しながらフランジ63
とほぼ同一形になるまで突出して内層45の前記穴69
に臨む周縁部74をフランジ63に近接する方向に押え
付け、このようにして袋状ナット61が外壁47に埋設
された状態で固定される。その後、図4(4)に示され
るように、袋状ナット61からツール70を逆回転させ
て抜取り、図4(5)に示されるように、押え部材58
に形成したボルト挿通孔75に前記ボルト62の軸部を
挿通して袋状ナット61の螺合部67に螺着して締付
け、押え部材58が外壁47に取付けられる。このよう
に押え部材58はボルト62によって外壁47に着脱可
能に取付けられるので、窓ガラス49を外部から容易に
交換することができる。
【0032】このような袋状ナット61およびボルト6
2は、図1の紙面に垂直な周方向に間隔をあけて複数列
(本実施形態では2列)交互に設けられる。窓ガラス寄
りの袋状ナット61およびボルト62の列と、外側の列
とは幅方向(図1の左右方向)に約20mmの間隔を有
し、また前記周方向に75〜150mmの間隔をあけて
千鳥状に設けられる。このように千鳥状に周方向および
幅方向に間隔をあけて袋状ナット61およびボルト62
が設けられるので、図1に示されるように、外層45お
よび押え部材58の有効断面が少なくならず、袋状ナッ
ト61およびボルト62の挿通孔形成による強度の低
下、特に曲げ剛性の低下が防がれる。このように袋状ナ
ット61を用いることによって、外部から雨水あるいは
洗浄水がコア46の内部に侵入することが防がれ、水密
性が達成される。
【0033】上述したように、内面支持部53、周縁支
持部55および押え部材58の部分56によって、窓ガ
ラス49の周縁部50が嵌まり込む凹溝76が形成され
る。この凹溝76は、前述したように袋状ナット61お
よびボルト62によって押え部材58が外壁47に着脱
可能に設けられるので、押え部材58を取外すことによ
って、凹溝76は外方(図1の上方)に臨んで開放し、
窓ガラス49を容易に交換することができる。このよう
な窓ガラス49の周縁部50と内面支持部53、周縁支
持部55および押え部材58の部分56との間には、可
撓性および弾発性を有するたとえば合成ゴムから成る第
1〜第4パッキン77〜80が介在される。これらの第
1〜第4パッキン77〜80は、スペーサを構成する。
【0034】第1パッキン77は、その長手方向に垂直
な断面形状が略U字状であって、窓ガラス49の周縁部
50の周方向全周にわたって装着される。また内面支持
部53の窓ガラス49の周縁部50に臨む表面上には第
2パッキン78が配置され、周縁支持部55の窓ガラス
49の周縁部50に臨む表面上には第3パッキン79が
配置され、さらに押え部材58の部分56の前記窓ガラ
ス49の周縁部50に臨む表面上には第4パッキン80
が配置される。また内面支持部53の先端部と窓ガラス
49の周縁部50との間には第1湿式シール材81が充
填され、押え部材58の部分56と窓ガラス49の周縁
部50との間には第2湿式シール材82が充填され、さ
らに押え部材58の幅方向一端部、すなわち図1の左側
の端部と外層45との間には第3湿式シール材83が充
填される。これらの第1〜第3湿式シール材81〜83
によって高い気密性および水密性が達成される。
【0035】前記内層44および外層45間に介在され
るコア46のうち、内面支持部53および周縁支持部5
5の周囲に配置されるコア46aは、周方向に所定の幅
で分割され、この分割されたコア46の一部46aは、
前記複合材料から成る補強層86によって外囲され、固
定される。このような補強層86によって、前記分割さ
れたコアの一部46aの強度は格段に向上される。この
ようなコアの一部46aの具体的構成に関しては、後述
の図15および図16において詳述する。
【0036】コア46と、その一部である分割部分46
aとが分割された分割部87は、その厚み方向に内面8
9から外面88に向かうにつれて窓ガラス嵌合孔48か
ら離反する方向、すなわち図1の左方に傾斜して形成さ
れる。これによって、コアの一部46aがコア46の残
部46bとの接触面積を大きくすることができ、これに
よって窓枠側のコアの一部46aからその残部46bに
伝達される応力とを軽減することができる。また外壁4
7を窓枠43とともに加熱および加圧してオートクレー
ブ成形する際、オートクレーブ圧力はコアの厚み方向に
内側から外側に向かって作用するが、分割部87を傾斜
させることによって、この圧力の一部を、コアの残部4
6bから一部46aへの成形圧力として利用できる。こ
のためコアの残部46bがコアの一部46aによってし
っかりと押さえられ、しわおよびずれが防がれ、複合材
料として充分に信頼性の高い構造を実現することができ
る。
【0037】また前記コアの一部46aは、窓ガラス嵌
合孔48寄りの端部90が厚み方向に外面88から内面
89に向かって前記窓ガラス嵌合孔48から離反する方
向に傾斜して面張りされる。これによって窓ガラス49
の周縁部50付近が室内側から見てすっきりしたものと
なり、コアの一部46aをほぼ同一な厚みにした場合に
比べて無駄な空間を少なくすることができ、内装上の美
観を向上することができる。このことは、新幹線の先頭
車両の運転室では、乗務員に対して窓ガラス49の周縁
部50の周囲が室内側に突き出していることによる圧迫
感をなくし、広い視界を得る点においても重要である。
【0038】図5は図2の切断面線V−Vから見たピラ
ー98の断面図であり、図6は図2の切断面線VI−V
Iから見たピラー98の断面図である。前述した窓枠4
3の上縁部96と下縁部97とにわたって左右両側に設
けられるピラー98は、高弾性繊維を含む強化材料に、
熱硬化性合成樹脂を含浸させた前記窓枠43および外壁
47と同様な複合材料によって形成される外周層99、
および外周層99内に配置されて固定され、多数の空間
を有するコア100を有し、左右両側に配置される窓ガ
ラス49a,49b(総称する場合には添字a,bを省
略する)を内側から支持するピラー本体101と、各窓
ガラス49a,49b間でピラー本体101に外部側か
ら固定され、ピラー本体101よりも剛性の高い材料で
あるステンレス鋼製の中実棒から成る中間部材102
と、中間部材102に外部側から固定され、中間部材1
02を左右両側から挟むようにして配置される各窓ガラ
ス49a,49bの側縁部を、ピラー本体101上に押
付けて挟持する押え部材103とを含む。押え部材10
3は、複合材料から成る。
【0039】中間部材102には、その長手方向に間隔
をあけて複数のボルト挿通孔104が形成される。また
ピラー本体101の外周層99には、前述の図3に示さ
れる袋ナット61と同様な構成を有する袋ナット105
が固定される。中間部材102のボルト挿通孔104に
は、中間部材固定用ボルト106aが挿通して前記袋ナ
ット105に螺着され、このようにして中間部材102
がピラー本体101に固定される。押え部材103に
は、ボルト挿通孔107が形成される。また中間部材1
02には、前記ボルト挿通孔104から長手方向にずれ
た位置で内周面に内ねじが刻設される複数のねじ孔10
8が形成される。ボルト挿通孔107には、押え部材固
定用ボルト106bが挿通して中間部材102のねじ孔
108に螺合し、このようにして押え部材103が中間
部材102に固定される。
【0040】各窓ガラス49a,49bの周縁部50に
は、前述したように第1〜第4パッキン77〜80がそ
れぞれ設けられる。これらの第1〜第4パッキン77〜
80によって、ピラー本体101、中間部材102およ
び押え部材103から各窓ガラス49a,49bに伝達
される振動または衝撃力を緩和することができるととも
に、水密性を達成することができ、外部からピラー本体
101が配置される内部への水の侵入を遮断することが
できる。
【0041】ピラー本体101は、内部側(図5および
図6の下側)の角部が中心軸線を含む一鉛直面109に
関して左右対称に約45°で面取りされて傾斜部110
a,110bが形成される。これらの傾斜部110a,
110bによって、内部から外部を見たときに広い視界
を得ることができる。前記ピラー本体101の内部側の
表面には、内層部用の化粧シート111が直接貼りつけ
られてもよい。各窓ガラス49a,49bの周縁部50
と、押え部材103の幅方向(図5および図6の左右方
向)両端部との間の空間およびその近傍には、湿式シー
ル材112a,112bがそれぞれ充填され、水密性お
よび気密性を達成している。
【0042】図7は、図5および図6に示されるピラー
本体101の正面図であり、図8は図7の下方から見た
ピラー本体101の側面図である。ピラー本体101
は、前述したように、内部側の角部が面取りされて傾斜
部110a,110bが形成される。またピラー本体1
01の長手方向両端部における内部側、すなわち乗務員
室に臨む側の領域には、前記長手方向外側方になるにつ
れて平坦な内側表面113に対して角度θ1,θ2を成
して緩やかに傾斜した第2の傾斜部114a,114b
が形成される。またピラー本体101の長手方向両端部
における外部側には、平坦な外側表面115に関して角
度θ3,θ4を成して傾斜する第3の傾斜部116a,
116bが形成される。前記第2の傾斜部114a,1
14bの角度θ1,θ2は、たとえば約15°に選ばれ
る。また第3の傾斜部116a,116bの角度θ3,
θ4は、たとえば45°に選ばれる。各第3の傾斜部1
16a,116bは、前述の窓枠43の上縁部96およ
び下縁部97によってそれぞれ支持される。
【0043】図9は、図8の切断面線IX−IXから見
たピラー本体101の断面図である。ピラー本体101
は、前述したようにコア100が外周層99によって外
囲された構成を有する。コア100は、硬質の熱硬化性
発泡合成樹脂から成る。この硬質の熱硬化性発砲合成樹
脂としては、前述のポリメタクリルイミドが用いられ
る。また外周層99は、前記複合材料から成る複数のシ
ートであるプリプレグ118を巻回してオートクレーブ
成型された積層構造体から成る。プリプレグ118は、
内側表面側で両端部が重ねられ、そのため積層圧が強ま
り大きく形成される。これは、外部側からの圧力変動に
対して内側が引張りとなり、外側が圧縮となるような曲
げ応力に対して大きな強度のためである。このような複
数のプリプレグ118によって形成される外周層99
は、アルミニウム合金の約1/2の密度を有し、重量は
比較的軽い。
【0044】このような複合材料から成るピラー本体1
01の寸法を、内層化粧パネルが設けられるべき位置に
該当する寸法まで大きくし、ピラー本体101の内側の
表面に前述の化粧シート111を貼り付けることによっ
て、ピラー本体101の曲げ剛性を向上することができ
るだけでなく、化粧パネルを設ける場合に比べて製造コ
ストおよび取付コストを省略することができ、経済性が
向上される。またピラー本体101は、繊維強化複合材
料から成るので、内部側の角部を前述したように面取り
を行って傾斜部110a,110bを形成し、さらに角
部を丸く仕上げた形状に成形することは容易であり、ア
ルミニウム合金などの金属を加工する場合に比べて加工
コストも少なくて済む。したがって従来の金属製内装化
粧パネルの形状に近いデザインを安価なコストで容易に
実現することができる。
【0045】またピラー本体101の断面形状を大きく
することによって、外周層99の厚みを小さくすること
ができ、したがってプリプレグ118のプライ数(積重
枚数)を少なくすることができ、機械的強度を低下させ
ずに材料費および工程数を削減することができる。
【0046】また上記の構成によれば、左右の窓ガラス
49a,49b間の隙間を金属製の中実棒から成る中間
部材102によって埋め、そこに押え部材103を取付
用ボルト106bによって固定することによって、ピラ
ー98の幅を可及的に小さくし、内部から外部に向かっ
て広い視界を得ることができ、乗務員の視界を広く改善
することができる。
【0047】さらに複合材料によってピラー本体101
と中間部材102とを一体成形することが考えられるけ
れども、これは加工が難しくなるだけでなく、上記の押
え部材取付用ボルト106bを取付けることが困難とな
り、強度上ピラー本体101の幅を大きくしなければな
らなくなる。したがって複合材料から成るピラー本体1
01に金属製の中間部材102を組合せた構成とするこ
とは、前記ピラー本体101の幅を広げる必要がない点
で合理的である。仮に、ピラー本体101の幅を広げる
と、上述したように内部から外部を見たときの視界が狭
くなり、乗務員の視界が妨げられてしまうけれども、上
記の構成によれば、乗務員の視界を広くすることができ
る。
【0048】さらに前記外周層99、したがって各プリ
プレグ118は、強化材料として炭素繊維およびアラミ
ド繊維などの高弾性繊維を用いることによって、疲労強
度を格段に高くすることができ、トンネル通過時および
鳥衝突などによる繰返し荷重による構造疲労の問題を解
消することができる。
【0049】さらに前記押え部材103は、上記の高弾
性繊維を含む繊維強化材料に熱硬化性合成樹脂から成る
マトリクスを含浸させた複合材料から成る。このような
押え部材103によって、各窓ガラス49a,49bは
ピラー本体101との間で挟むようにして取付けられ、
押え部材103はボルト106aによって外側から取外
せるようにして取付けられているので、窓ガラス49
a,49bを容易に取付けおよび取外しを行うことがで
き、各窓ガラス49a,49bの交換が容易である。
【0050】また前述したように窓枠43および外壁4
7が複合材料から成る場合、ピラー本体101は同様の
複合材料によって形成されるので、熱膨張率の差が少な
く、取付構造が簡単であり、製造が容易であり、組立作
業も簡単に行うことができる。従来のような金属製ピラ
ーはほぼ中実棒と補強板とを溶接したものであり、外形
は小さくても剛性は高い。このような金属製ピラーと外
形寸法が同一で繊維強化複合材料によって同等の剛性を
確保しようとすると、炭素繊維などの高弾性繊維強化材
料を用いたとしても、肉厚の大きい構造となる割には剛
性は充分でなく、製造が困難であるけれども、繊維強化
複合材料から成るピラー本体101とステンレス鋼から
成る中間部材102とを組合せて用いることによって、
所用の剛性が得られ、かつ外形がむやみに大きくなら
ず、広い視界を確保することができる。
【0051】また上記のピラー98は、高い曲げ剛性を
有するので、トンネル通過時の圧力変動によって大きな
変形が生じることが防がれ、各窓ガラス49a,49b
が外れてしまうという不具合が防がれる。また変形がそ
れほど大きくない場合であっても、ピラー98と各窓ガ
ラス49a,49bとの間の気密性および水密性が低下
してしまうという不具合が防がれる。
【0052】図10はピラー98の窓枠43への取付構
造を示す断面図であり、図11は図10の切断面線XI
−XIから見た断面図である。前述のピラー98は、窓
枠43に取付けられる。図1に関連して述べたように、
サンドイッチ構造の窓枠43のコア46、したがって窓
ガラス嵌合孔48寄りに配置されるコアの一部46aの
内部の前記ピラー本体101の延長線上の部位に、コア
の一部46aよりも剛性の高い材料である複合材料から
成る一対の補強部材121a,121bが埋設されると
ともに、各補強部材121a,121bに直交して連結
され、かつ窓枠43の前記ピラー本体101を支持する
支持面122に沿って延びる隔壁123が埋設される。
【0053】各補強部材121a,121bは、コアの
一部46aの延びる方向、すなわち図10の紙面に垂直
な方向にピラー98の幅と同一の間隔をあけて配置され
る。このような補強部材121a,121bは、必要に
応じて3枚以上設けるようにしてもよい。またピラー本
体101の長手方向両端部は、複合材料から成るコーナ
部補強シート124a,124bが貼り付けられて一体
化され、ピラー本体101の長手方向両端部が窓枠43
の上縁部96および下縁部97にそれぞれ一体化されて
固定される。
【0054】図12は、ピラー本体101から外側の補
強部材121aへの曲げ荷重の伝達状態を説明するため
の図である。トンネル通過時または鳥衝突による衝撃力
の作用によってピラー本体101に内側に曲げようとす
る曲げモーメントMが生じると、ピラー本体101の長
手方向両端部には、前記曲げモーメントMによって偶力
F1,F2が発生する。このような偶力F1,F2が生
じる領域は、窓枠43内に埋め込まれた領域であって、
偶力F1,F2によってピラー本体101の長手方向両
端部にはせん断応力が発生する。このようなせん断応力
は、窓枠43の支持面122に押圧力として作用する。
この支持面122は、前述したように傾斜して形成さ
れ、この傾斜した支持面122にピラー本体101の第
3の傾斜部116a,116bが当接するため、前記せ
ん断荷重は窓枠43の厚み方向および延在方向に分散し
て伝達する。このような窓枠43に作用するせん断荷重
は、押え部材103に伝達し、押え部材103の外側へ
の押圧力は袋ナット105およびボルト106を介して
中間部材102に伝えられて負荷され、モーメントMは
ピラー本体101と中間部材102とによって抗され
る。この曲げモーメントMによってピラー本体101
は、内側の領域が引張り領域となるため、図9に示され
るように複数のプリプレグ118の両端部近傍が積重さ
れた厚肉領域118aが形成され、大きな圧縮強度によ
って前記曲げモーメントMに抗することができるように
構成される。
【0055】図13は、ピラー本体101から押え部材
103への曲げ荷重の伝達状態を説明するための図であ
る。ピラー本体101には、前述と同様な曲げモーメン
トMが作用したとき、内側(図13の右側)は圧縮領域
となり、外側は引張り領域となる。このような引張り領
域には、前述したように押え部材103の押え部129
が複数のボルト106によって固定され、各ボルト10
6には引張り力が作用する。このような引張り力に抗す
るために、押え部材103の基端部127は、複数のボ
ルト128によって窓枠43に固定される。基端部12
7は、これに連なる押え部129よりも幅広状とされ、
前記引張り力を分散して窓枠43に伝達することができ
る。
【0056】図14は、ピラー本体101から各コーナ
部補強シート124a,124bへの曲げ荷重の伝達状
態を説明するための図である。トンネル通過時の圧力変
動または鳥衝突による衝撃力の作用によってピラー本体
101にせん断力Hが作用すると、ピラー本体101に
はせん断応力が発生する。このようなせん断応力を小さ
くするためには、ピラー本体101から窓枠43にせん
断力Hを伝達して分散する必要があり、そのために前述
の各コーナ部補強シート124a,124bが設けられ
る。これらのコーナ部補強シート124a,124bに
よって、ピラー本体101の長手方向両端部から窓枠4
3にせん断荷重Hを確実に伝達して、ピラー本体101
に発生するせん断応力を低減して、ピラー本体101の
断面形状を小さくすることができる。
【0057】図15は窓枠43およびピラー98の製造
手順を示すフローチャートであり、図16は窓枠43お
よびピラー98の製造手順を示す図である。作業が開始
され、ステップa1で治工具が準備され、ステップa2
で外層45を形成する複数のプリプレグ118が図16
(1)に示されるように積層され、窓ガラス嵌合孔48
近傍となるコアの一部46aを配置する部位には、断面
形状が三角形のコア積重部分131が載置され、このコ
ア積重部分131上にはピラー98と窓枠43とを連結
するためのピラー接合シート132が乗載される。
【0058】ステップa3で、コアの一部46aには図
16(2)に示されるように、複数のプリプレグ119
が巻付けられ、図16(3)に示されるように、内側の
領域に両端部が重なるように積重される。ステップa4
で治具上に積重された外層45を形成するための複数の
プリプレグ118上に、コア46の残部46bを図16
(4)に示されるように載置するとともに、前記ステッ
プa3で製造したコアの一部46aを積重し、さらに窓
枠43を形成する部分の前記ピラー接合シート132上
にはピラー101を載置し、さらにコーナ部分補強シー
ト124(総称する場合には添字a,bを省略する)を
載置する。
【0059】次にステップa6で、図16(5)に示さ
れるように、内層44を形成する複数のプリプレグ13
0を積重するとともに、内側でピラーを接合するための
ピラー接合シート133を積重し、孔加工、袋状ナット
61の取付けおよび仕上げなどを行い、オートクレーブ
成形して製造作業が終了する。
【0060】このようにピラー98は、窓枠43に取付
けられるので、各窓ガラス49a,49bの面外方向の
力はピラー98からのせん断荷重として各コーナ部補強
シート124などを介して窓枠43に伝達されるが、そ
の内部に埋め込まれた各補強部材121a,121bお
よび隔壁123によってコア46、内層44および外層
45に拡散させることができ、ピラー98およびその取
付部における負荷を軽減することができる。またピラー
98のモーメント荷重は、ピラー内面側では直接に内層
44および外層45に各コーナ部補強シート124を介
して伝達され、ピラー外面側では押え部材103によっ
て内層44および外層45に伝達され、力の伝達経路と
して自然であり、安定して分散吸収し、外力に抗するこ
とができる。
【0061】さらに押え部材103の端末部には、荷重
が集中するが、押え部材103の基端部において幅を広
く取ることができ、これによってボルト128を充分な
数だけ打つことができ、ピラー98を窓枠43に大きな
強度で連結することができる。
【0062】またピラー98と窓枠43との間の力の伝
達は、それぞれ複合部材のせん断力および引張り力とい
った面内応力で伝達されるので、上述したような薄い複
合材料から成る各コーナ部補強シート124a,124
bおよびピラー接合シート130によって無理なく接合
することができる。従来のように金属製の金具で接続す
る場合には、曲げモーメントおよびせん断力を1つの金
具で同時に伝達するため、その金具の強度は大きくなっ
てしまうが、本実施の形態では曲げモーメントおよびせ
ん断力の各力の成分を個別に伝達する経路を形成してい
るため、軽量でかつ薄い部材によって伝達することがで
き、これによって各窓ガラス49a,49bおよびピラ
ー98が取付金具などに干渉するという不具合が生じな
い。
【0063】またピラー本体101、各補強部材121
a,121b、隔壁123、各コーナ部補強シート12
4a,124bおよびピラー接合シート132などは、
高弾性繊維を含む複合材料によって形成されるので、疲
労強度が高く、金属構造では防止し得ない構造疲労に対
して充分な強度を達成することができる。
【0064】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、窓ガラ
スはピラー本体によって内側から支持され、ピラー本体
には中間部材が外部側から固定され、中間部材には押え
部材が外部側から固定される。この押え部材によって、
前記窓ガラスはピラー本体上で押さえられた状態で保持
される。これらのピラー本体および押え部材は、高弾性
繊維を含む強化材料に熱硬化性合成樹脂を含浸させた複
合材料から成る。高速車両に設けられる窓ガラスを挟持
するためのピラー本体および押え部材は、上述のように
複合材料から成り、成形が容易であり、アルミニウム合
金などの金属材料を加工して形成する場合に比べて、加
工コストも少なくて済む。また左右両側の窓ガラス間の
隙間を埋めるように設けられる中間部材は、ピラー本体
に固定されていわば一体化されて設けられ、この中間部
材は、ピラー本体よりも高い剛性を有するので、ピラー
が大きな曲げ剛性を有し、トンネル通過時の圧力変動に
よって大きく変形することが防がれ、窓ガラスがピラー
から外れることが防がれるとともに、気密性および水密
性が低下してしまうという不具合が防がれる。たとえば
ピラー本体、中間部材および押え部材がすべて複合材料
から成る場合には、所定の剛性を得るために、各部材の
肉厚が大きくなるという問題があり、また上記ピラー本
体、中間部材および押え部材のすべてがアルミニウム合
金などの金属材料から成る場合には、従来の技術にも関
連して述べたように、窓ガラスの形状に一致させるため
に削り出し加工を行わなければならず、加工および組立
に手間を要するという問題がある。上記のようにピラー
本体と押え部材とを複合材料によって形成し、中間部材
をさらに合成の高い材料、たとえばステンレス鋼などの
金属製とすることによって、上記問題を解消し、ピラー
の幅を従来よりも細くして広い視野を得ることが可能に
なるとともに、加工上の手間および組立上の手間を少な
くして、製造コストを低減することができる。またピラ
ー本体の外周層および押え部材は、窓枠および外壁と同
様な複合材料から成るので、ピラー本体および押え部材
と、窓枠および外壁との熱膨張率の差が少なく、取付構
造を簡単にし、製造が容易になり、組立作業も簡単に行
うことができるようになる。さらに押え部材は、外側か
ら取外せるように取付けられているので、窓ガラスを容
易に取付けおよび取外しを行うことができ、各窓ガラス
の交換が容易である。
【0065】請求項2記載の本発明によれば、硬質の熱
可塑性合成樹脂から成るコアに、上記の複合材料から成
るシートを巻回してオートクレーブ成形してピラー本体
が形成されるので、従来のように、金属材料を削りだし
加工して寸法調整するという加工上の手間がなくなり、
高い寸法精度でピラー本体が得られ、生産性が格段に向
上される。またピラー本体の外周は、上記シートによる
高弾性繊維を含む複合材料から成るので、厚み方向に3
層から成るサンドイッチ構造の高い曲げ剛性および高い
疲労強度を有するピラー本体を実現することができ、ト
ンネル通過時に圧力変動などの繰り返し荷重に対して構
造疲労を生じにくくし、耐久性を向上することができ
る。
【0066】請求項3記載の本発明によれば、上記の請
求項1または2に記載の構成において、中間部材が金属
製、たとえばステンレス鋼から成る中実角材によって形
成されるので、高い曲げ剛性を中間部材によって負担す
ることが可能となり、したがってピラー本体および押え
部材の厚みがむやみに大きくならず、幅の細いピラーを
実現することができ、広い視界を確保することが可能と
なる。
【0067】請求項4記載の本発明によれば、押え部材
もまた、上記のピラー本体と同様に、高弾性繊維を含む
繊維強化材料に熱硬化性合成樹脂から含浸させた複合材
料から成るので、高い疲労強度を有し、長期にわたる繰
返し荷重に対して亀裂および破損が生じず、耐久性を向
上することができる。
【0068】請求項5記載の本発明によれば、ピラー本
体に中間部材が第1のねじ部材によって取付けられるの
で、ガラス窓の交換時またはそのガラス窓と中間部材と
の間に介在されるシール材およびガラス窓とピラー本体
との間に介在されるシール材を容易に交換することがで
き、窓ガラスおよびシール材の交換に手間を要しない。
【0069】請求項6記載の本発明によれば、押え部材
は第2のねじ部材によって中間部材に着脱可能に連結さ
れるので、中間部材をピラー本体から外すことなく窓ガ
ラスおよびシール材の交換を容易に行うことが可能とな
る。
【0070】請求項7記載の本発明によれば、ピラー本
体の内部側領域には、面取り部が形成されるので、内部
側から外部を見たときに、広い視界を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の窓枠構造を示し、図2
の切断面線II−IIから見た拡大断面図である。
【図2】図1に示す窓枠構造が実施される高速車両の先
頭部41の左側半分の構体42を示す斜視図である。
【図3】袋状ナット61の具体的構成を示す断面図であ
る。
【図4】袋状ナット61の外壁47への取付手順を示す
断面図である。
【図5】図2の切断面線V−Vから見たピラー98の断
面図である。
【図6】図2の切断面線VI−VIから見たピラー98
の断面図である。
【図7】図5および図6に示されるピラー本体101の
正面図である。
【図8】図7の下方から見たピラー本体101の側面図
である。
【図9】図8の切断面線IX−IXから見たピラー本体
101の断面図である。
【図10】ピラー98の窓枠43への取付構造を示す断
面図である。
【図11】図10の切断面線XI−XIから見た断面図
である。
【図12】ピラー本体101から窓枠取付部への曲げ荷
重の伝達状態を説明するための図である。
【図13】ピラー本体101から押え部材103への曲
げ荷重の伝達状態を説明するための図である。
【図14】ピラー本体101から各コーナ部補強シート
124a,124bへの曲げ荷重の伝達状態を説明する
ための図である。
【図15】窓枠43およびピラー98の製造手順を示す
フローチャートである。
【図16】窓枠43およびピラー98の製造手順を示す
図である。
【図17】従来の窓枠構造によって窓枠部1が構成され
る高速車両の先頭部2の一部の平面図である。
【図18】図17に示される窓枠部1付近の側面図であ
る。
【図19】図17および図18の切断面線A−Aから見
た拡大断面図である。
【図20】図17および図18の切断面線B−Bから見
た断面図である。
【図21】図20の切断面線C−Cから見た断面図であ
る。
【符号の説明】
41 先頭部 42 構体 43 窓枠 44 内層 45 外層 46,46a,46b コア 47 外壁 48 窓ガラス嵌合孔 49,49a,49b 窓ガラス 50 外壁47の周縁部 51 窓ガラス49の周縁部 52 内面 53 内面支持部 54 外周面 55 周縁支持部 56 突出する部分 57 外面 58,103 押え部材 61 袋状ナット 62 ボルト 63 フランジ 77〜80 パッキン 81〜83 シール材 86 補強層 87 分割部 96 上縁部 97 下縁部 98 ピラー 99 外周層 100 コア 101 ピラー本体 102 中間部材 110a,110b,114a,114b,116a,
116b 傾斜部 121a,121b 補強部材 122 支持面 123 隔壁 124a,124b コーナ部補強シート 127 基端部 129 押え部 132 ピラー接合シート
フロントページの続き (72)発明者 柳瀬 元昭 岐阜県各務原市川崎町1番地 川崎重工 業株式会社 岐阜工場内 (56)参考文献 特開 平8−207762(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B61D 25/00 B32B 5/28

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高速車両の外壁に設けられる窓枠に取付
    けられるピラーの構造であって、 高弾性繊維を含む強化材料に、熱硬化性合成樹脂を含浸
    させた前記外壁および窓枠と同様な複合材料によって形
    成される外周層と、外周層内に配置されて固定され、多
    数の空間を有するコアとを有し、両側に配置される窓ガ
    ラスを内側から支持するピラー本体と、 各窓ガラス間でピラー本体に外部側から固定され、ピラ
    ー本体よりも剛性の高い材料から成る中間部材と、 中間部材に外部側から着脱可能に取付けられ、中間部材
    を左右両側から挟むようにして配置される各窓ガラスの
    側縁部を、ピラー本体上に押付けて挟持する前記複合材
    料から成る押え部材とを含むことを特徴とする高速車両
    のピラー構造。
  2. 【請求項2】 ピラー本体は、硬質の熱硬化性発泡合成
    樹脂から成るコアに、前記複合材料から成るシートを巻
    回してオートクレーブ成形されることを特徴とする請求
    項1記載の高速車両のピラー構造。
  3. 【請求項3】 中間部材は、金属製の中実角材から成る
    ことを特徴とする請求項1または2記載の高速車両のピ
    ラー構造。
  4. 【請求項4】 押え部材は、平板状体であって、高弾性
    繊維を含む繊維強化材料に、熱硬化性合成樹脂から成る
    マトリクスを含浸させた複合材料から成ることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の高速車両のピラー
    構造。
  5. 【請求項5】 ピラー本体には、前記中間部材が外部か
    ら螺着される第1のねじ部材によって連結されることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高速車両の
    ピラー構造。
  6. 【請求項6】 中間部材には、前記押え部材が外部側か
    ら螺着される第2のねじ部材によって着脱可能に連結さ
    れることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の
    高速車両のピラー構造。
  7. 【請求項7】 ピラー本体の中間部材および窓ガラスを
    支持する外部側領域とは反対側の内部側領域は、前記外
    部側領域から内側に離反するにつれて相互に近接する方
    向に傾斜する面取り部が形成されることを特徴とする請
    求項1〜6のいずれかに記載の高速車両のピラー構造。
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