JP3072493U

JP3072493U - 立体模様を有するプリント加工品

Info

Publication number: JP3072493U
Application number: JP2000002406U
Authority: JP
Inventors: 泰志村田
Original assignee: 小西マーク株式会社
Priority date: 2000-04-13
Filing date: 2000-04-13
Publication date: 2000-10-20
Anticipated expiration: 2006-04-13

Abstract

(57)【要約】【課題】光干渉作用により視線の角度によって様々な変
化模様が発現し、かつ立体模様を発現するプリント加工
品を提供する。【解決手段】基材(1)表面に印刷層を少なくとも２層重
ねて光干渉縞模様を発現するプリント加工品であって、
前記印刷層はドット、万線、斜線、点線、破線、波線、
格子及び任意の形状の網点から選ばれる少なくとも一つ
の柄で構成され、前記印刷柄は１インチ幅あたり１０〜
７５線または個数の密度で形成され、かつ前記少なくと
も２層の柄は所定の角度ずらしてスクリーン印刷版(2,
5)により印刷されている。複数層の印刷柄は、１層目の
印刷柄(4)と２層目以降の印刷柄(7)は１〜２０度の角度
でずらされていることが好ましい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案が属する技術分野】

本考案は光干渉作用により、視線の角度によって様々な変化模様が発現し、かつ立体模様を発現するプリント加工品に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から光学の分野においては、フォトグラフを用いて木目調の干渉縞や班紋によるモアレ模様を形成することは、一般的に行われていた。前記フォトグラフ法による光干渉縞は、透明または半透明のシートに細い線を重ね合せ、観察者の目にはあたかもシート内部に立体が存在しているかのごとき錯覚を起こさせる作用を有する。また印刷及び写真業界ではモアレはプリント欠点として嫌われ、モアレを防止することが多数研究されている。

【０００３】近年、衣類などの繊維製品に光干渉縞等のモアレ模様を付与したプリント加工品の開発の要請がある。しかしながら、いまだにこの要請に答える改善はなされていないのが現状である。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、前記課題を達成するため、光干渉作用により、視線の角度によって様々な変化模様が発現し、かつ立体模様を発現するプリント加工品を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するため、本考案の立体模様を有するプリント加工品は、基材表面に印刷層を少なくとも２層重ねて光干渉縞模様を発現するプリント加工品であって、前記印刷層はドット、万線、斜線、点線、破線、波線、格子及び任意の形状の網点から選ばれる少なくとも一つの柄で構成され、前記印刷柄は１インチ幅あたり１０〜７５線または個数の密度で形成され、かつ前記少なくとも２層の柄は所定の角度ずらしたスクリーン印刷版を使用して印刷されていることを特徴とする。この構成により、光干渉作用により視線の角度によって様々な変化模様が発現し、かつ立体模様を発現するプリント加工品を実現できる。前記印刷柄の密度が１インチ幅あたり１０線または個数未満では、光干渉作用はおこりにくく、逆に７５線または個数を越えるても同様に光干渉作用はおこりにくくなる。

【０００６】

【考案の実施の形態】

本考案の加工品においては、印刷柄密度の好ましい範囲は、１インチ幅あたり１６〜５５線または個数である。前記範囲の密度であれば、光干渉作用が効率よく発現する。

【０００７】また前記加工品においては、１層目の柄と２層目以降の柄が実質的に同一の柄であることが好ましい。ここで「実質的」とは、多少の相違は許容されるがほぼ同一の柄であることをいう。１層目の柄と２層目以降の柄が実質的に同一の柄であれば、光干渉作用が効率よく発現する。とくに１層目の柄と２層目以降の柄の１インチあたりの密度が実質的に同一であることが好ましい。

【０００８】また前記加工品においては、１層目の柄に使用するスクリーン印刷版と２層目以降の柄に使用するスクリーン印刷版が１〜２０度の範囲内の角度でずらされていることが好ましい。この範囲のずれであると、光干渉作用が効率よく発現する。前記の範囲を外れても多少の光干渉作用は発現する。

【０００９】また前記加工品においては、１層目の柄と２層目以降の柄が同一色または異なる色で形成されていることが好ましい。異なる色で形成する場合は、カラー１色とその上に透明色１色を組み合わせることも効果的である。

【００１０】また前記加工品においては、１層目の柄と２層目以降の柄の印刷層の厚みが８〜８０μｍの範囲あることが好ましい。

【００１１】また前記加工品においては、基材が織物、編み物、不織布及びシートから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。

【００１２】また前記加工品はスクリーン印刷により形成する。使用するインキは、熱硬化型、溶剤を使用した蒸発乾燥型、紫外線硬化型などのインキを使用でき、水性インキまたは油性インキを使用できる。

【００１３】次に図面を用いて本考案の実施例を説明する。

【００１４】（実施例１）以下の実施例、比較例においては下記の条件で実験を行った。（１）織物織物はプレーンなナイロン製織物（タフタの青色染色生地、目付け１１０ｇ／ｃｍ²）を使用した。（２）スクリーン印刷版使用したスクリーン印刷版は、８０メッシュ（１インチ間の目数）粗さのポリエステル繊維製の紗織物で、スクリーンの厚さが１５０μｍのスクリーン印刷版に３０線（３０個／インチ）、空間率６０％の大きさの網点柄を付けたものを使用した。（３）インキ使用したインキは、油性のポリウレタン系樹脂（樹脂成分が約３５〜４０重量％のシクロヘキサノン溶液）バインダーに、白の顔料を約３５重量％添加したもの（１層目用）と、前記バインダーに赤の顔料を約２０重量％添加したもの（２層目用）を準備した。（４）印刷操作１版目を白インキで印刷し、軽く乾燥（指触乾燥）した後、次に網点柄を所定の角度ずらしたすクリーン印刷版を用いて赤のインキで２版目を印刷した。２色プリント後、１２０℃で５分間の乾燥熱処理を行った。

【００１５】図１は本考案の一実施例の印刷の工程を示す概略図である。図１に示すように、織物１の上に柄４を有するスクリーン印刷版２を置き、インクをスクリーン印刷した。３はインクを通さない遮蔽シートである。

【００１６】次に１層目と同一の柄７を０〜２０度の範囲内の角度でずらせて２層目の柄を形成した。５は２層目のスクリーン印刷版、６はインクを通さない遮蔽シートである。

【００１７】なお図１は説明の都合上、印刷版として柄の配置を所定の角度ずらせたものを２枚用いた。

【００１８】図２〜６は前記のようにして形成したプリント加工品を説明する図である。まず図２は比較例を示すもので、１枚目のスクリーン印刷版２と２枚目のスクリーン印刷版５の模様の角度のずれが０度の場合である。この場合は模様が単に２重に積層されただけであるので、当然のことながら変化模様は発現しない。

【００１９】次に図３（実施例）は１枚目のスクリーン印刷版２と２枚目のスクリーン印刷版５の模様の角度のずれが５度の場合である。この場合は多重のひし形の大きな矩形模様が発現した。

【００２０】次に図４（実施例）は１枚目のスクリーン印刷版２と２枚目のスクリーン印刷版５の模様の角度のずれが１０度の場合である。この場合も多重のひし形で、図３よりはやや小さい矩形模様が発現した。

【００２１】次に図５（実施例）は１枚目のスクリーン印刷版２と２枚目のスクリーン印刷版５の模様の角度のずれが１５度の場合である。この場合は比較的シンプルなひし形で、図４よりはやや小さい矩形模様が発現した。

【００２２】次に図６（実施例）は１枚目のスクリーン印刷版２と２枚目のスクリーン印刷版５の模様の角度のずれが２０度の場合である。この場合も比較的シンプルなひし形で、図５よりはやや小さい矩形模様が発現した。

【００２３】以上の実施例、比較例のとおり、印刷物は光干渉作用により視線の角度によって、木目調の干渉縞やモアレのような班紋、または揺らぎを感じさせるような様々な変化模様が発現し、かつ立体模様を発現するプリント加工品を実現できた。

【００２４】以上のようにして得られたプリント加工品は、衣類の意匠模様、マークなどに有用である。

【００２５】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、基材表面に印刷層を少なくとも２層重ねて光干渉縞模様を発現するプリント加工品であって、前記印刷層はドット、万線、斜線、点線、破線、波線、格子及び任意の形状の網線から選ばれる少なくとも一つの柄で構成され、前記印刷柄は１インチ幅あたり１０〜７５線または個数の密度で形成され、かつ前記少なくとも２層の柄は所定の角度ずらして印刷されていることを特徴とする。この構成により、光干渉作用により視線の角度によって様々な変化模様が発現し、かつ立体模様を発現するプリント加工品を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の印刷の工程を示す概略図で
ある。

【図２】本考案の比較例のプリント加工品の模式図であ
る。

【図３】本考案の一実施例のプリント加工品の模式図
で、ずれ角度が５度のものを説明する図である。

【図４】本考案の一実施例のプリント加工品の模式図
で、ずれ角度が１０度のものを説明する図である。

【図５】本考案の一実施例のプリント加工品の模式図
で、ずれ角度が１５度のものを説明する図である。

【図６】本考案の一実施例のプリント加工品の模式図
で、ずれ角度が２０度のものを説明する図である。

【符号の説明】

１織物２第１層のスクリーン印刷版３第１層のスクリーン印刷版の遮蔽シート４第１層のスクリーン印刷版の柄５第２層のスクリーン印刷版６第２層のスクリーン印刷版の遮蔽シート７第２層のスクリーン印刷版の柄

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩＧ０３Ｆ 5/22 Ｇ０３Ｆ 5/22

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】基材表面に印刷層を少なくとも２層重ねて
光干渉縞模様を発現するプリント加工品であって、前記
印刷層はドット、万線、斜線、点線、破線、波線、格子
及び任意の形状の網点から選ばれる少なくとも一つの柄
で構成され、前記印刷柄は１インチ幅あたり１０〜７５
線または個数の密度で形成され、かつ前記少なくとも２
層の柄は所定の角度ずらして印刷されていることを特徴
とする立体模様を有するプリント加工品。
【請求項２】前記印刷柄は１インチ幅あたり１６〜５５
線または個数の密度で形成されている請求項１に記載の
プリント加工品。
【請求項３】１層目の印刷柄と２層目以降の印刷柄が実
質的に同一の柄である請求項１に記載のプリント加工
品。
【請求項４】１層目の印刷柄と２層目以降の印刷柄が１
〜２０度の範囲内の角度でずらされている請求項１また
は３に記載のプリント加工品。
【請求項５】１層目の印刷柄と２層目以降の印刷柄が同
一色または異なる色で形成されている請求項１、３また
は４に記載のプリント加工品。
【請求項６】印刷柄の層の厚みが８〜８０μｍの範囲で
ある請求項１に記載のプリント加工品。
【請求項７】基材が織物、編み物、不織布及びシートか
ら選ばれる少なくとも一つである請求項１に記載のプリ
ント加工品。