JP3069692B2 - アルキニルメチル基で保護したカルボキシル基および水酸基の脱保護方法 - Google Patents

アルキニルメチル基で保護したカルボキシル基および水酸基の脱保護方法

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正一 楠本
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大阪大学長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルキニルメチル
基で保護したカルボキシル基および水酸基の脱保護方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】多数の水酸基やカルボキシル基を有する
複雑な化合物を化学合成することは、それらの新たな機
能の発見に極めて重要である。合成を進める上で、種々
の化学変換や結合の形成反応を行う場合に、反応部位以
外の水酸基やカルボキシル基は、その過程で変化しない
ように、適当な保護基によって「保護」しておく必要が
ある。しかし、その後の合成段階において、その中の特
定の水酸基やカルボキシル基に結合を形成する必要が生
じた場合には、それらに結合した保護基を選択的、効率
的に除去して「脱保護」する必要がある。これらの保
護、脱保護を自由に、選択的に行って、複雑な化合物を
合成するには、独立に導入できて、必要に応じて温和な
条件で互いに独立に除去できる多種類の保護基が必要で
ある。しかしながら、この目的に適う十分な方法は得ら
れていない。
【0003】
【発明が解決しようする課題】そこで、本発明は、水酸
基やカルボキシル基の新規な脱保護方法を提供し、これ
によって、従来は難しかった多くの水酸基やカルボキシ
ル基を有する化合物の効率的な合成等を可能にすること
を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、アルキニル
メチル誘導体を使用することにより、以下の構成の本発
明を完成した。 (1)アルキニルメチル基をカルボキシル基あるいは水
酸基に結合させて「保護」した後、Co2 (CO)8
の金属錯体あるいは金属の存在下で、トリフルオロ酢酸
等の強酸を作用させることにより、カルボキシル基ある
いは水酸基を遊離させて「脱保護」することを特徴とす
る。 (2)「脱保護」に際して、Co2 (CO)8 を使用し
た場合には、アルキンコバルト錯体の形成を介してカル
ボキシル基あるいは水酸基が遊離されることを特徴とす
る。 (3)「脱保護」に際して、Co2 (CO)8 をCH2
Cl2 等の非プロトン性溶媒に溶解させて作用させるこ
とを特徴とする。 (4)「保護」に際して、アルキニルメチル基がプロパ
ルギル基であると好ましい。 (5)上記の場合において、プロパルギルアルコールを
作用させることにより、これに結合しているプロパルギ
ル基を使用することを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
下記の構造1で表されるアルキニルメチルアルコールを
カルボン酸2aまたはアルコール2bと反応させると、
相当するアルキニルメチル誘導体3aまたは3bとなっ
て、それぞれのカルボキシル基または水酸基が保護され
る。3a、3bはトリフルオロ酢酸(TFA)を始め種
々の反応条件に安定であるが、コバルトカルボニル錯体
の存在下にTFAを作用させると、迅速かつ効率よく脱
保護され、元のカルボン酸2aまたはアルコール2bが
再生される。
【0006】
【化1】
【0007】なお、化学式中、R、R1 、R2 は、特に
制限されない。好ましくは、Rは、水素、アルキル基、
フェニル基、トリメチルシリル基等である。また、許容
されるアルキニルメチル基含有化合物を例示すると、塩
化アルキニルメチルの他、アルキニルメチルアルコール
等を挙げることができる。さらに、便宜上、2a、2b
で示すカルボン酸、アルコールは一価としたが、一価に
限られず、多価であってもよい。例えば、R1 およびR
2 は、アルキル基等、飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖、環
式の炭化水素、およびこれらの誘導体を包含する。
【0008】また、アルキニルメチル基の導入は、常法
により容易に行えるが、好ましくは、出発化合物をアル
キニルメチルアルコールに溶かし、酸を作用させるか、
出発化合物のカルボン酸を活性化した後、アルキニルメ
チルアルコールを作用させることで容易に行える。
【0009】さらに、アルキニルメチル基を脱離させ
て、遊離のカルボキシル基あるいは水酸基を得るには、
CH2 Cl2 等の非プロトン性の溶媒に溶解したCo2
(CO)8 等の金属錯体あるいは金属の存在下で、TF
A等の強酸を作用させるが、金属あるいは金属錯体とし
ては、Co2 (CO)8 の他、酢酸亜鉛、酢酸銅亜鉛
(共に、酢酸溶媒中で亜鉛あるいは銅亜鉛として存在)
を使用でき、非プロトン性の溶媒としては、CH2 Cl
2 の他、THF等も使用でき、強酸としては、TFAの
他には、HCl、HBr、CF3 SO3 H等の強酸を使
用できる。
【0010】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。実施例1において、プロパルギルアルコール3
(310μl、5.32mmol)をDCC(ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド)(1.43g、6.93mm
ol)、DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)(8
5.0mg、0.696mmol)、ジクロロメタン
(15.0ml、234mmol)に溶解し、これを表
1に示す出発化合物1(657mg、3.48mmo
l)に、氷冷下で混合し、窒素雰囲気下、氷冷下、2時
間攪拌し、生成物4を100%の収率で得た。なお、生
成物の精製は、中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーにより行った。実施例2において、出発化合物2
(5.26g、20mmol)をプロパルギルアルコー
ル3(50ml、160mmol)に溶解し、これに酸
として塩化トリメチルシリル(5.43g、100mm
ol)を加え、室温で5時間攪拌し、減圧濃縮した。残
渣を塩化メチレンから再結晶して、生成物5を収率57
%で得た。
【0011】実施例1の生成物4を出発化合物4とし
て、実施例3において、表2記載の条件で反応させ、カ
ルボキシル基を遊離させた。具体的には、次のとおりで
ある。7%のTFAを含んだCH2 Cl2 中に出発化合
物4(50.4mg、222μmol)を溶解し、これ
に窒素雰囲気下でCo2 (CO)8 (80.0mg、2
34μmol)を添加する。これを室温で30分間攪拌
した後、NaHCO3 の飽和水溶液と酢酸エチルを添加
した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4 上で乾燥
し、真空中で濃縮し、生成物1(43.8mg、収率9
9%)を得た。ここで、TFAとCo2 (CO)8 の添
加順序を逆にすると、副生成物を生じ、好ましくない。
なお、開裂したアルキンコバルト錯体は真空排気によっ
て除去した。
【0012】実施例4は、出発化合物5(0.26g、
1mmol)を用いた他は、実施例3と同様にして、水
酸基を遊離させた。一方、本発明にかかる保護状態にお
いて、両化合物4、5は、室温で48時間、単独のTF
Aに対して安定であった。また、他の保護基は、本発明
にかかる保護、脱保護の条件下で、安定であった。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】このように、プロパルギル基は、カルボキ
シル基および水酸基の保護基として優れていることがか
わる。なお、本発明の保護基により保護されている状態
では、種々のルイス酸、m−クロロ過安息香酸による酸
化反応、BH3 ・HNMe2 −BF3 −Et2 Oを用い
る還元反応、HCl等に対して安定である。
【0016】
【発明の効果】従来から知られていたt−ブトキシカル
ボニル基等は、保護基として使用でき、TFAの作用で
迅速かつ効率よく除去できるが、本発明のアルキルメチ
ル基は、そのままではTFA等に対して安定で、酸性条
件下での変換反応に対して、カルボキシル基や水酸基を
保護することができるにもかかわらず、必要に応じてコ
バルトカルボニル錯体等を作用させれば、同じTFA等
によって容易に除去して、カルボキシル基や水酸基を再
生することができる。この保護基を使用することによっ
て、糖質などの複雑な化合物の合成経路設計が大幅に自
由になる。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキニルメチル基をカルボキシル基あ
    るいは水酸基に結合させた後、金属または金属錯体の存
    在下で、強酸を作用させることにより、カルボキシル基
    あるいは水酸基を遊離させることを特徴とするアルキニ
    ルメチル基で保護したカルボキシル基および水酸基の脱
    保護方法。
  2. 【請求項2】 前記金属錯体がCo2 (CO)8 であ
    り、前記強酸がトリフルオロ酢酸であることを特徴とす
    る請求項1記載のアルキニルメチル基で保護したカルボ
    キシル基および水酸基の脱保護方法。
  3. 【請求項3】 アルキンコバルト錯体の形成を介してカ
    ルボキシル基あるいは水酸基が遊離されることを特徴と
    する請求項2記載のアルキニルメチル基で保護したカル
    ボキシル基および水酸基の脱保護方法。
  4. 【請求項4】 Co2 (CO)8 を、非プロトン性溶媒
    の溶液として使用することを特徴とする請求項2または
    3記載のアルキニルメチル基で保護したカルボキシル基
    および水酸基の脱保護方法。
  5. 【請求項5】 前記非プロトン性溶媒がCH2 Cl2
    あることを特徴とする請求項4記載のアルキニルメチル
    基で保護したカルボキシル基および水酸基の脱保護方
    法。
  6. 【請求項6】 アルキニルメチル基がプロパルギル基で
    あることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項
    に記載のアルキニルメチル基で保護したカルボキシル基
    および水酸基の脱保護方法。
  7. 【請求項7】 プロパルギル基を、プロパルギルアルコ
    ールから得ることを特徴とする請求項6記載のアルキニ
    ルメチル基で保護したカルボキシル基および水酸基の脱
    保護方法。
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