JP3068764B2 - 液晶カラーフィルター遮光層用インキ、これを用いた液晶カラーフィルターおよびその製造方法 - Google Patents
液晶カラーフィルター遮光層用インキ、これを用いた液晶カラーフィルターおよびその製造方法Info
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Description
の遮光層を印刷法にて作製するためのインキ、このイン
キを用いた液晶カラーフィルターおよびその製造方法に
関する。
イスとして用いられている液晶ディスプレーは、液晶カ
ラーフィルターを使用することで表示のカラー化を実現
している。この液晶カラーフィルターは、例えば図1ま
たは図2に示すように、1画素毎にパターン化された赤
(R)、緑(G)、青(B)の3色の透明着色層(3
R,3G,3B,3’R,3’G,3’B)と、前記各
透明着色層の間の光を遮断するためのブラックマトリッ
クスと呼ばれる遮光層2,2’とを透明基板1上に配置
して構成されている。
顔料分散法、染色法、電着法などのフォトリソグラフィ
ーを利用した方法があげられる。しかし、この方法は、
高価なフォトレジストを用いたり、レジストの塗布、乾
燥、露光、現像、硬化などの各工程に巨額の設備が必要
となるため、得られる液晶カラーフィルターの価格が高
くなるという問題がある。
キを透明基板上に印刷して遮光層を作製する方法、すな
わち印刷法を用いることが検討されている。この方法に
よれば、高価なフォトレジストが不要であり、かつ工程
が簡単であることから、安価に遮光層を形成することが
できる。しかしながら、通常のカーボンブラックは導電
性を有するため、カーボンブラック添加量の増加によっ
て遮光層の導電性が増大し、液晶の駆動方式がMIM方
式等である場合には、本来駆動すべきでない隣の画素が
誤って駆動してしまうなど、液晶の駆動が正常に行えな
くなるおそれがある。前記MIM方式等の液晶駆動方式
の場合、遮光層の体積抵抗が104 Ω・cm以上である
ことが要求されるものの、通常のカーボンブラックを用
いた場合には、絶縁抵抗の高いインキ樹脂を用いた場合
であっても、102 Ω・cm以下の体積抵抗しか得られ
ない。
遮光層の絶縁性を向上させるために、カーボンブラック
に代えて黒色顔料を用いることを検討した。黒色顔料と
しては、酸化鉄(鉄黒、例えばチタン工業(株)製の
「BL−100」、「BL−500」や戸田工業社製の
「KN−320」など)、黒色チタンブラック(酸化チ
タンの酸素を一部除去したもの、例えば三菱マテリアル
(株)製のチタンブラック10S、13Rなど)、硫酸
鉄などがあげられる。これらの黒色顔料はいずれも絶縁
性が高く、これらを用いてインキを作製した場合は、い
ずれも106 Ω・cm以上の体積抵抗を得ることができ
る。
光層には、前述の導電性のほかにも十分な遮光性を有す
ることが要求されており、上記例示の黒色顔料を用いた
場合には、いずれも遮光性が十分でなかった。遮光性
は、式: log(100/x) 〔式中、xは遮光層の光透過率(%)を示す。〕で求め
られる光学濃度(OD値)によって表され、液晶カラー
フィルターの遮光層には、一般に、2.0以上(光透過
率1.0%以下)、好ましくは2.5以上(光透過率約
0.3%以下)の光学濃度が必要とされている。一方、
上記した酸化鉄を用いたインキで作製された遮光層の光
学濃度は、その膜厚を標準的な厚さである1.5μmに
設定した場合で、1.0程度(光透過率10%程度)、
チタンブラックを用いたインキで作製された場合には、
1.5程度の光学濃度(光透過率約3%程度)しか得ら
れない。
が高い遮光層を安価に作製することのできる液晶カラー
フィルターの遮光層用インキを提供することである。本
発明の他の目的は、絶縁性が要求される液晶駆動方式に
おいても使用することができる液晶カラーフィルターを
提供することである。本発明のさらに他の目的は、絶縁
抵抗および光学濃度が高い遮光層を有する液晶カラーフ
ィルターを安価に製造する方法を提供することである。
は、カーボンブラックの吸油量やカーボンブラック粒子
の表面に存在する官能基に着目して鋭意研究を重ねた結
果、樹脂中に少なくともカーボンブラックを含むインキ
において、前記カーボンブラックが、カーボンブラック
100g当たり40〜130mlの吸油量を有し、95
0℃で7分間加熱したときの揮発減量分が3重量%以上
であり、かつ一次粒子径が15〜30nmであって、樹
脂100重量部に対して10〜50重量部の割合で配合
されるときは、絶縁抵抗が高く、かつ十分な光学濃度を
有する遮光層を安価に作製できるインキを提供できると
いう新たな知見を得、本発明の液晶カラーフィルター遮
光層用インキを完成するに至った。
板と、この透明基板上にパターン状に形成された複数の
透明着色層と、各透明着色層の境界部に設けた遮光層と
からなる液晶カラーフィルターにおいて、前記遮光層が
上記液晶カラーフィルター遮光層用インキを用いて形成
されていることを特徴とするものである。さらに、本発
明の液晶カラーフィルターの遮光層の製造方法は、透明
基板上に遮光層を形成し、次いでこの遮光層を境界にし
て、透明基板上に複数の透明着色層を設けるか、または
これとは逆に、透明基板上に複数の透明着色層を形成
し、次いで遮光層を設ける液晶カラーフィルターの製造
方法において、上記の液晶カラーフィルター遮光層用イ
ンキを用い、凹版オフセット印刷法により前記遮光層を
形成することを特徴とするものである。
十分な光学濃度を有する遮光層を安価に作製することが
でき、かつ表面が平坦で、パターンが精度よく再現され
た遮光層を作製することができる。以下、本発明のイン
キについて詳細に説明する。カーボンブラックの吸油量
は、カーボンブラック100gに吸着されるフタル酸ジ
ブチル(DBP)の量を示すものであり(JIS K
6221)、カーボンブラックのストラクチャーの大小
を判断する指標の1つである。このストラクチャーは、
カーボンブラックの単位粒子が鎖状に連係してできるも
のであって、カーボンブラックの電気伝導性を左右して
いる。
ブラックは、そのストラクチャーが大きく、電気伝導性
が高い。従って、かかるカーボンブラックを用いたイン
キによって形成された遮光層は、絶縁抵抗が低くなって
しまう。一方、吸油量が40mlよりも少ないカーボン
ブラックを用いた場合、インキのチキソトロピー性が不
十分である。従って、かかるインキにより遮光層を形成
した場合は、パターンの形状が乱れたり、表面の平坦性
が劣るなどの問題が生じる。
(株)フロンテック製の吸油量測定装置を用い、JIS
K6221で定める2枚羽根混合方式により測定し
た。カーボンブラックの揮発減量は、カーボンブラック
の表面にあるカルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキ
シル基などの官能基やエーテル結合などが加熱分解され
ることにより生じるものである。この揮発減量は、乾燥
したカーボンブラックの重量と、このカーボンブラック
を電気炉中にて950℃で7分間加熱して放冷した後の
カーボンブラックの重量とを用いて、以下の式から求め
られる。
試料の重量(g)、WR は加熱後の試料の重量(g)を
それぞれ示す。) カーボンブラック粒子の表面に前記した官能基等が少な
いカーボンブラック、すなわち揮発減量が3%よりも少
ないカーボンブラックは電気伝導性が高い。従って、か
かるカーボンブラックを用いて得られるインキによって
形成された遮光層は、体積抵抗が低くなってしまう。
ャンネル法、ファーネス法、ランプ法などのいずれの製
法によるものであってもよいが、特にチャンネル法で製
造されたカーボンブラックは粒子径が均一で、インキ樹
脂中での分散性が良好であるために、好適に用いられ
る。カーボンブラックの粒子径は、一次粒子径で15〜
30nmの範囲となるように設定される。カーボンブラ
ックの一次粒子径が前記範囲を超えるときは、インキ中
でのカーボンブラックの分散状態が極めて悪くなり、得
られる遮光層の表面に突起が生じたり、光学濃度が低下
するために好ましくない。一方、一次粒子径が前記範囲
を下回るときは、カーボンブラックの導電性が高くなる
ために好ましくない。
ックの量は、樹脂100重量部に対して10〜50重量
部の範囲である。カーボンブラックの量が前記範囲を下
回るときは、膜厚1.5μmの遮光層を形成した場合で
あっても2.0以上の光学濃度を得ることができない。
一方、カーボンブラックの量が前記範囲を超えるとき
は、パターンの形状が乱れたり、表面の平坦性が劣るな
どの印刷適性の悪化がみられたり、インキの絶縁抵抗が
高くなるおそれがあるために好ましくない。
明性、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、耐侯性などの液晶
カラーフィルターに要求される特性のほかに、印刷用の
版から被印刷物へのインキの転移性や、パターンの形
状、インキ膜表面の平坦性などといった印刷特性が良好
であることも要求される。このような特性をバランスよ
く満たすインキ樹脂としては、例えばポリエステル−メ
ラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、さらにはメラミ
ン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂などの紫外線硬
化型樹脂などがあげられる。
は、例えばn−ブチルアルコール、シクロヘキシルアル
コール、2−メチルシクロヘキシルアルコール、オクチ
ルアルコール、オレイルアルコール、デシルアルコー
ル、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール(トリ
デカノール)、ステアリルアルコール、セリルアルコー
ルなどのアルコール;メチルセロソルブ、エチルセロソ
ルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール(ジエチ
レングリコールモノブチルエーテル)、セロソルブアセ
テート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールア
セテート、ブチルカルビトールアセテートなどのアルキ
ルエーテル;トルエン、キシレン、テトラリン等の芳香
族炭化水素;シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノ
ン、イソホロン、ジアセトンアルコール等のケトンなど
が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、印
刷適性(インキ転移性など)や作業性などを考慮して適
宜選択すればよい。また、高級アルコールを使用する場
合には、インキの乾燥性や流動性を考慮して、これより
も乾燥速度が速いブチルカルビトール、ブチルセロソル
ブ、エチルカルビトール、ブチルセロソルブアセテー
ト、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオール等
を併用してもよい。
溶解性または分散性、得られるインキの粘度、作業性、
印刷適性などを考慮して適宜決定すればよく、通常、イ
ンキ総量に対して10〜60重量%、好ましくは20〜
40重量%程度添加するのが適当である。インキの粘度
としては、通常10〜30000ポアズ、好ましくは5
00〜10000ポアズ程度であるのが適当である。上
記範囲よりも粘度が低い場合は、ライン形状が乱れた
り、エッジにひげ等が発生するおそれがあるために好ま
しくない。一方、上記範囲よりも粘度が高い場合は、表
面の平坦性やインキ転移性などの印刷適性が著しく低下
するために好ましくない。
ンブラックおよび溶剤を所定量混合し、カーボンブラッ
クの分散性を向上させるために3本ロール等を使用して
混練することによって得られる。この際、あらかじめプ
ラネタリーミキサーなどで十分に混合しておくのが好ま
しい。また、カーボンブラックの粉体自体をボールミル
等で微粉末化するようにしてもよい。
いて詳細に説明する。本発明の液晶カラーフィルター
は、本発明のインキを用いて形成された遮光層を有す
る。前記遮光層は、通常ストライプパターンで形成さ
れ、非常に微細な線幅の、かつ十分な遮光性を有するこ
とが必要とされる。遮光層の線幅は、通常10〜40μ
m、好ましくは10〜30μmであり、遮光層の厚さ
は、インキ膜の乾燥時の厚さで0.5〜5μm程度であ
る。遮光層の厚さが前記範囲よりも厚い場合は、得られ
るカラーフィルターの表面の平坦性が悪くなるために好
ましくない。一方、前記範囲よりも薄い場合は、遮光層
の光学濃度が前述の範囲よりも低くなるおそれがある。
なお、遮光層の光学濃度は、遮光層の膜厚を平均的な厚
さである1.5μmに設定した場合で、2.0以上(光
透過率1.0%以下)、好ましくは2.5以上(光透過
率約0.3%以下)である。
色剤を添加した樹脂ワニスからなる透明の着色層である
が、必ずしもこれらの色に限定されるものではない。前
記ワニスとしては、例えばエポキシ樹脂系ワニス、ポリ
エステル樹脂系ワニス、メラミン樹脂系ワニス、アクリ
ル樹脂系ワニスまたはこれらの混合系などがあげられ
る。
とができるが、印刷法、特に凹版オフセット印刷により
形成するのが好ましく、これにより安価で精度のよい透
明着色層が得られる。また、透明着色層の厚さは、通常
1〜5μm程度、好ましくは1〜2μmの厚さに設定さ
れる。また、線幅は液晶ディスプレーの画面の大きさに
より異なるが、一般には70〜200μm程度である。
ラス、ソーダライムガラス、低アルカリガラス等のガラ
ス基板や、ポリエーテル、ポリサルホン、ポリアリレー
ト等のフィルムが使用可能である。かかる本発明の液晶
カラーフィルターは、例えば図1または図2に示すよう
な構造を有する。
造方法について詳細に説明する。本発明の液晶カラーフ
ィルターの製造方法としては、凹版オフセット印刷法に
より透明基板上に遮光層を形成すること以外は特に限定
されず、透明基板上に着色層を形成した後、この遮光層
を境界にして透明基板上に複数の透明着色層を形成して
もよく、あるいは透明基板上に透明着色層を形成した
後、この透明着色層を境界として、透明基板上に遮光層
を形成してもよい。
刷法を用いた理由は以下のとおりである。印刷法を用い
て遮光層を形成する場合、ピンホールが発生したり、ラ
イン形状や寸法精度が劣るといった問題がある。例え
ば、遮光層の表面にピンホールが発生した場合は、光学
濃度が低下してしまう。また、遮光層は、パターンの形
状やラインの再現において極めて微細なレベルでの再現
性を必要としているものの、従来の印刷法ではこれを十
分に満足するものが少ない。
を再現できる印刷法としては、スクリーン印刷法、水無
しオフセット印刷法および凹版オフセット印刷法があげ
られるが、液晶カラーフィルターにおける遮光層には線
幅が約10〜40μmもの超微細印刷が要求されてお
り、スクリーン印刷ではこのような微細なメッシュが作
製できず、メッシュの伸縮などにより寸法精度にも問題
が生じるほか、パターンの直線性も著しく劣るために好
ましくない。また、水無しオフセット印刷はインキの膜
厚が非常に薄く、インキの粘度も高いことからピンホー
ルが起こりやすく、また印刷されたパターンのエッジが
良好でなく、また連続印刷時において膜厚のばらつきが
大きいため、遮光層のような超微細印刷には適さない。
ンキの粘度を非常に低くすることができ、1回の印刷で
得られるインキの膜が厚いため、ラインの形状が優れて
おり、ラインの解像度も高いことから20μm程度の線
幅のパターンであっても精密に再現することが可能であ
る。従って、超微細パターンを忠実に再現でき、遮光層
を形成するための印刷法として最適である。
基板の表面に遮光層のパターンに対応した凹部を形成し
たものである。前記基板としては、例えばソーダライム
ガラス、ノンアルカリガラス、石英、低アルカリガラ
ス、低膨張ガラス、ステンレス、銅などが挙げられ、こ
れらのうち、ソーダライムガラスなどの軟質ガラスを用
いるのが、微細なパターンを高精度で再現するうえで特
に好ましい。
響しており、通常30μm以下、好ましくは15μm以
下である。凹部の深さが30μmよりも大きい場合はイ
ンキの膜が厚くなり、得られるカラーフィルターの表面
の平坦性が悪くなるために好ましくない。凹版オフセッ
ト印刷に用いられるオフセットブランケットとしては、
従来公知のものが使用できるが、その表面がシリコーン
ゴムからなるブランケットを用いた場合は、インキの転
写が良好であるために好ましい。
光層は、上述の凹版オフセット印刷法により本発明のイ
ンキを透明基板上に印刷した後、通常180〜250℃
の温度で加熱することによって形成される。また、本発
明の液晶カラーフィルターにおける透明着色層は、種々
の方法により形成することができるが、特に、前記各色
の着色剤を混合した樹脂ワニスを用い、印刷法によって
透明着色層を形成した場合は、安価に製造することがで
きる。さらに、前記印刷法として凹版オフセット印刷法
を用いた場合は、超微細なパターンを忠実に再現するこ
とができる。
0、粘度8000ポアズ〕100重量部に、カーボンブ
ラック5重量部、溶剤〔トリデカノール:ペンタデカノ
ール=1:1(体積比)の混合溶液〕8重量部を配合
し、ディゾルバーにて予備混合した後、3本ロールミル
にてカーボンブラックの平均粒子径が0.5μm以下に
なるように分散し、遮光層用インキを作製した。 実施例2〜6および比較例1〜7 カーボンブラックの種類、その添加量および溶剤の添加
量を変えた以外は、実施例1と同様にして遮光層用イン
キを作製した。
ブラックとその添加量および溶剤の添加量を表1に示
す。
ボンブラックのうち、「ラーベン3500」、「ラーベ
ン1040」および「ラーベン1020」はコロンビア
カーボン社の商品名、「三菱#2400」、「三菱#3
050」および「三菱#55」は三菱化学(株)の商品
名、「プリンテックスU」、「プリンテックスXE」お
よび「プリンテックス90」はデグッサ社の商品名であ
る。液晶カラーフィルターの作製 各実施例および比較例で得られたインキを用い、平台凹
版オフセット印刷機により印刷を行った。印刷に使用し
た凹版は、凹部の深さが10μm、線幅が20μmのス
トライプパターンが形成されたものである。オフセット
ブランケットは、ゴム硬度(JIS A)50度のシリ
コーンゴムの表面に平滑処理を行い、十点平均粗さ(R
z)=0.3μmにしたものを用いた。
にて80℃で30分間乾燥し、さらに230℃のクリー
ンオーブン中で2時間放置することにより、インキ膜を
完全に硬化させ、遮光層を形成させた。 (印刷特性)上記の方法で作製された遮光層を透過型光
学顕微鏡にて観察し、目視にて印刷形状の評価を行っ
た。印刷形状の評価の基準は以下のとおりである。
ス基板上に、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれ
のインキを順に印刷することにより透明着色層を形成
し、液晶カラーフィルターを得た。透明着色層の形成に
用いたインキは、従来公知の透明着色層用インキ樹脂お
よび顔料を用いて調整されたものである。また、印刷
は、ソーダライムガラス基板上に深さ10μm、幅12
0μmのストライプパターンが形成された凹版を用い、
凹版オフセット印刷法にて行った。用いたブランケット
は、遮光層の形成に用いたものと同じである。遮光層の特性および印刷特性の評価 本発明の遮光層用インキを用い、コーターにてガラス基
板の表面に、硬化後のインキ膜の厚さが1.5μmとな
るように塗布した。次いで、このガラス基板をホットプ
レートにて80℃で30分間乾燥し、さらに230℃の
クリーンオーブン中で2時間放置することにより、イン
キ膜(遮光層)を完全に硬化させた。
いて、以下の測定および評価を行った。 (絶縁性)遮光層の絶縁性は、アドバンテスト社のウル
トラハイレジスタンスメーターR8340Aを用い、印
加電圧100〜1000Vの範囲でインキ膜の体積抵抗
(Ω・cm)を測定して評価した。十分な絶縁性を示す
には、体積抵抗の値が10 4 Ω・cm以上、好ましくは
108 Ω・cm以上であるのが適当である。 (光学濃度)オリンパス(株)製の顕微分光計「OPS
−SP−100」を用い、遮光層の光学濃度(OD値)
を測定した(測定波長;550nm)。本発明のインキ
にて得られるインキ膜すなわち遮光層においては、膜厚
が1.5μmの場合、光学濃度が2.0以上、好ましく
は2.5以上であるのが適当である。 (分散性)本発明のインキを透明基板上に塗布したとき
の塗膜の状態を透過型光学顕微鏡にて観察し、インキ中
でのカーボンブラックの分散性を評価した。分散性の評
価の基準は以下のとおりである。
インキによれば、カーボンブラック100g当たりのフ
タル酸ジブチル(DBP)の吸着量が40〜130ml
の範囲であり、950℃で7分間加熱したときの揮発減
量分が3重量%以上であり、かつ一次粒子径が15〜3
0nmの範囲であるカーボンブラックを用いることか
ら、導電性の低いインキを得ることができる。従って、
かかるインキを用いることにより、高い絶縁性と高い光
学濃度を有する遮光層を得ることができる。
びその製造方法によれば、本発明のインキを用いて遮光
層を形成することにより、前記の特性を備えた遮光層を
有する液晶カラーフィルターが安価に得られる。さらに
得られる液晶カラーフィルターは、遮光層の光学濃度が
高く、かつ絶縁抵抗も高いことから、MIM方式などの
いずれの液晶駆動方式においても使用できる。
る。
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】樹脂中に少なくともカーボンブラックを含
むインキにおいて、前記カーボンブラックが、カーボン
ブラック100g当たり40〜130mlの吸油量を有
し、950℃で7分間加熱したときの揮発減量分が3重
量%以上であり、かつ一次粒子径が15〜30nmであ
って、樹脂100重量部に対して10〜50重量部の割
合で配合されることを特徴とする液晶カラーフィルター
遮光層用インキ。 - 【請求項2】透明基板と、この透明基板上にパターン状
に形成された複数の透明着色層と、各透明着色層の境界
部に設けた遮光層とからなる液晶カラーフィルターにお
いて、前記遮光層が請求項1記載の液晶カラーフィルタ
ー遮光層用インキを用いて形成されていることを特徴と
する液晶カラーフィルター。 - 【請求項3】透明基板上に遮光層を形成し、次いでこの
遮光層を境界にして、透明基板上に複数の透明着色層を
設けるか、またはこれとは逆に、透明基板上に複数の透
明着色層を形成し、次いで遮光層を隣接する透明着色層
の境界部に設ける液晶カラーフィルターの製造方法にお
いて、請求項1記載の液晶カラーフィルター遮光層用イ
ンキを用いて凹版オフセット印刷法により前記遮光層を
形成することを特徴とする液晶カラーフィルターの製造
方法。
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