JP3068572U - カップ部を有する衣類 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ランジェリー等においてバストに沿った膨らみ
を持たせると共にバスト下部では身体にフィットさせ
る。 【解決手段】 ワイヤーなしのカップ部を有するランジ
ェリ、レオタードあるいは水着からなる衣類であって、
左右バストを囲むカップ布とバスト下部の前身頃下部布
の両方を少なくとも左右横方向に伸びを有する伸縮性素
材で形成すると共に、上記左右のカップ布の下端と前身
頃下部布の上端との縫着部において、カップ布側は引っ
張らず、前身頃下部布側は引っ張りながらカップ布と縫
着して、縫着後に前身頃下部布の戻る力により、左右カ
ップ布は縫着部を支点として前方へ立体的に膨らませる
と共に、バスト下部の前身頃下部布は縫着部に沿った部
分を身体にフィットさせる構成としている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、ランジェリー、レオタード、水着等のカップ部を有する衣類に関し 、ボディラインに沿った立体感と身体へのフィット感とを共に備えるものである 。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ランジェリーやレオタードなどワイヤーなしのカップ部を有するものは 、***の膨出に沿って立体的に造形するために、接ぎ手法やダーツ等でカップ部 に膨らみを持たせているが、カップ部や該カップ部の下部に縫着するボトム部に は、通常、非伸縮性で平滑性のある素材を用いると共に、身体との間に隙間を設 けてフィットさせない形状とすることにより、ブラジャー等のファンデーション の上から着用できる余裕を持たせる共に、ファンデーションとアウターとの中間 での滑りを良くする機能を持たせている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、ファンデーションとアウターとの間の中間着であるスリップ等 が身体にフィットしない上に非伸縮性素材で形成されていると、タイトシルエッ トのアウターを着用する場合などには、ファンデーションとアウターとの間で生 地がだぶつき、それがアウターに響きシルエットを崩す問題がある。また、裾周 り等の端縁については、所謂端始末を施しているため、端ラインがアウターに響 きやすくなっている。

【０００４】 さらに、胴回りなどは日常の動作においても動きの激しい部位であるため、非 伸縮性素材で形成していると、身体挙動への追従性が低く、裾のずり上がりやウ エストライン上での生地のだぶつきなどを生じる問題がある。

【０００５】 上記した問題に対しては、身体にフィットさせながらアウターに響かない立体 造形を図る必要があり、そのためには、当て布等を施すことなく、着用者のボデ ィラインに順応させて自然な丸みのあるラインを形成する必要がある。

【０００６】 本考案は上記した問題に鑑みてなされたものであり、ワイヤーを有しないスリ ップ等の衣類において、身体へのフィット感を高めることにより美麗なシルエッ トと適度な運動追従性を確保すると共に、各着用者のボディラインに沿った自然 な立体感をも併せ持たせることを主たる課題としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために、本考案は、ワイヤーなしのカップ部を有するラン ジェリー、レオタードあるいは水着からなる衣類であって、 左右バストを囲むカップ布とバスト下部の前身頃下部布の両方を少なくとも左 右横方向に伸びのある伸縮性素材で形成すると共に、上記左右のカップ布の下端 と前身頃下部布の上端との縫着部において、カップ布側は引っ張らず、前身頃下 部布側は引っ張りながらカップ布と縫着して、縫着後に前身頃下部布の戻る力に より、左右カップ布を縫着部を支点として前方へ立体的に膨らませると共に、バ スト下部の前身頃下部布は縫着部に沿った部分を身体にフィットさせる構成とし ているカップ部を有する衣類を提供している。

【０００８】 上記伸縮性素材は、その伸縮方向は左右横方向に伸びのあるワンウェイあるい は、ツーウェイのいずれでも良いが、左右横方向の伸び量が大きいツーウエイの ものが好ましく、トリコット、パワーネット、ラッシェルレース、天竺、フライス、 スムース等が好適に用いられる。いずれの場合も、上記前身頃下部布は、カッ プ布と縫着する上縁ラインを伸縮方向と一致するように裁断し、上記カップ布と 縫着する際に、前身頃下部布の上縁ラインを引っ張る一方、カップ布側は引っ張 らずに縫着している。

【０００９】 上記のように縫着することにより、左右カップ布は、ダーツや接ぎ手法による 膨らみではなく、前身頃下部布と縫着するカップ布下縁を支点とした前方への立 体的な膨出によって柔らかな膨らみを形成することができ、その立ち上がりの角 度や膨らみの量は、生地自体の伸縮性と上記縫着時の前身頃下部布の引張量によ り柔軟に変化し、カップ布を着用者のバストに自然に沿わせることができる。

【００１０】 また、上記のようにカップ部は前方に膨らむ一方、バスト下部の前身頃下部布 は引っ張った状態から元に戻ることによりカップ部とは逆に身体にフィットする ようになる。このため、バストの安定がよく、ファンデーションとアウターとの 中間着として着用するスリップやキャミソールのみでなく、肌に直接着用するシ ャツ等の肌着、さらにはレオタード、水着にも広く好適に用いることができる。

【００１１】 さらに、身体にフィットするため生地のダブつきがなく、また生地に伸縮性が あるため脇下やウエスト周りの身体挙動に対する追従性を有し、裾のズリ上がり やウエストラインでの生地溜まりを減らすことができるため、特にタイトシルエ ットなアウターを着用した場合などでも生地のダブつきが表面に現出せず、美麗 なシルエットを保つことができる。

【００１２】 本考案の上記構成のカップ部を有する衣類では、後身頃上部布と、後身頃下部 布の両方を少なくとも左右横方向に伸びのある伸縮性素材で形成すると共に、後 身頃下部布は引っ張らず、後身頃上部布は引っ張りながら後身頃上部布と縫着し 、縫着後に後身頃上部布の戻る力により、後身頃下部布は縫着部の上端を支点と して立体的な膨らませると共に、後身頃上部布の縫着部に沿った部分を身体にフ ィットさせている。

【００１３】 上記後身頃上部布および後身頃下部布に用いる伸縮性素材は、その伸縮方向は 左右横方向に伸びのあるワンウェイでも、ツーウェイでもよいが、左右横方向の 伸びが大きなツーウエイが好ましい。この後身頃上部布はその下縁ラインと伸縮 方向がほぼ一致するように裁断し、後身頃下部布と縫着する際は、後身頃上部布 側のみをその下縁ライン方向に引っ張った状態で縫着している。

【００１４】 上記した後身頃のボトム布とトップ布との縫着により、後身頃下部布は、後身 頃上部布との縫着部となる上縁を支点とした立ち上がりによって柔らかな膨らみ を形成することができ、その立ち上がりの角度や膨らみの量は、生地自体の伸縮 性と上記縫着時の引張量により柔軟に変化し、後身頃下部布を着用者の臀部の膨 らみに自然に沿わせることができる。

【００１５】 また、前身頃に加えて後身頃も伸縮性素材で形成して、身体にフィットするよ うに構成していることにより、窮屈感の強い補整下着とは異なる柔らかいフィッ ト感でボディラインの安定感を一層高めることができる。また、生地のだぶつき がなくなるため、寄り皺や折り皺が生じてアウターの表面に響くことも防止でき る。

【００１６】 上記前身頃下部布と後身頃布とを脇線近傍で縫着すると共に、左右カップ布と 後身頃上部布とを脇線近傍で縫着し、かつ、前身頃下部布と左右カップ布との縫 着ラインは脇側に向けて下方傾斜させ、後身頃上部布と後身頃下部布との縫着ラ インに連続させ、後身頃上部布と後身頃下部布との縫着ラインをウエストライン 近傍に位置させることが好ましい。

【００１７】 上記構成により、バスト下部の前身頃下部布の戻る力と後身頃上部布の戻る力 の相互に作用し、ウエスト周りに前後身頃布を身体に一層フィットさせてウエス トのくびれを造形できる。よって、ファンデーションを着用している場合は、そ のファンデーションで補整された美麗なボディラインを、そのままアウターに現 出させることができる一方、ファンデーションを着用していない場合でも、本考 案の衣類を着用することにより、立体的なバストとくびれたウエストからなる自 然なボディラインにフィットさせることができる。

【００１８】 上記左右のカップ布と前身頃下部布との縫着による膨らみと共に、カップ布自 体に膨らみを持たせることが好ましい。即ち、左右のカップ布を夫々一対の左右 分割布から形成し、これら左右布を縫着して接ぎ手法により左右のカップ布自体 を立体的に膨らませてもよい。あるいは、上記左右のカップ布にダーツあるいは ギャザーを設けて、前身頃下部布との下端縫着位置より立体的に膨らませてもよ い。このように、カップ布と前身頃下部布との上記縫着方法によるカップ布の前 方への立ち上がりに加えて、カップ布自体に膨らみを持たせることにより、カッ プ部をより一層立体的に形成することができ、バストサイズの大きい人でも心地 よいフィット感で着用することができる。

【００１９】 上記左右カップ布、前身頃下部布、後身頃上部布、後身頃下部布は端始末不要 の伸縮性素材からなり、カップ布と後身頃上部布の上端縁および、前身頃下部布 と後身頃下部布の裾周りを無縫製とすることが好ましい。これにより、所謂、縫 着により端始末やレース等による装飾が不要となり、端部での生地の重なり無く して、端縁がアウターに響くことを防止できる。

【００２０】

【考案の実施の形態】

以下、考案の実施形態を図面を参照して説明する。 図１乃至図４は本考案の第一実施形態に係るスリップ１０を示し、左右カップ 布１２、１３、前身頃下部布１５、後身頃上部布１６、後身頃下部布１７、およ び左右ストラップ１９で構成している。

【００２１】 上記布１２、１３、１５、１６、１７は、いずれも表面の平滑性を有し、端始 末不要で、最大伸縮方向を横方向とする、全体に伸縮性のあるストレッチラッシ ェルレースからなる生地で形成している。

【００２２】 上記左右カップ布１２、１３は、それぞれ左右に分割された中央カップ布１２ ａと脇側カップ布１２ｂ、同様に１３ａと１３ｂとよりなる。左右の中央カップ 布１２ａ、１３ａは、夫々左右の乳頭から前中心線Ｌ１側の***を覆う形状とし 、左右の脇側カップ布１２ｂ、１３ｂは左右の乳頭から両脇側の***さらに*** の脇側下部までを覆う形状としている。左右カップ布１２、１３は、中央カップ 布１２ａと脇側カップ布１２ｂとを縫着し、同様に、１３ａと１３ｂとを縫着し た後に、中央側端縁１２ｃ、１３ｃで互いに縫着してカップ部１１を形成してい る。このように左右カップ布１２、１３をそれぞれ接ぎ手法により、乳頭部分を 頂点として前方に立体的に膨らませながら***全体を覆う形状としている。これ ら左右カップ布１２、１３が連続するバスト下端縁１１ｂは、前中心線Ｌ１上を 頂点として脇側下部に向けて傾斜した山形ラインを形成している。このバスト下 端縁１１ｂは、前身頃下部布１５と縫着する前は、バスト下端外輪にフィットす るサイズよりも長寸としている。

【００２３】 上記前身頃下部布１５は、バスト下部から腹部さらに大腿部上部に当たる前側 スカート部分を形成し、上端縁１５ａはバージスライン付近の位置、下端縁１５ ｂを大腿部前面中央部に当たる位置、両側縁１５ｃ、１５ｄは両脇線Ｌ２、Ｌ３ 上とし、さらに、上端縁１５ａは、上記バスト下端縁１１ｂに対応して、前中心 線Ｌ１上を頂点として両脇側に向けて下方傾斜した山形ラインとしている。該上 端縁１５ａの長さは、バスト下端外輪にフィットするサイズで、上記バスト下端 縁１１ｂよりも短かく裁断している。

【００２４】 上記後身頃上部布１６は、肩甲骨下部からウエストラインまでの背面下部を覆 う形状で、適度にフィットする寸法としている。詳しくは、上端縁１６ａを肩甲 骨下部に当たる略直線状とし、両側縁１６ｃ、１６ｄは両脇線Ｌ２、Ｌ３と重な る位置とし、下端縁１６ｂはウエストライン近傍を通過する下方に湾曲した円弧 状をなし、両脇線Ｌ２、Ｌ３上で上記バスト下端縁１１ｂと連続し、後中心線Ｌ ４に向かって下方に湾曲させ、後中心線Ｌ４上でウエストラインよりもやや下部 を通過させている。上記上端縁１６ａから下端縁１６ｂにかけて、横幅は胴回り にフィットするサイズよりも長寸としている。

【００２５】 上記後身頃下部布１７は、ウエストライン下部から臀部、大腿部上部に当たる 後面スカート部を形成し、上端縁１７ａは、後身頃上部布１６の下端縁１６ｂに ほぼ対応する円弧形状とし、下端縁１７ｂは大腿部後面中央部に当たる位置とし 、両側縁１７ｃ、１７ｄは両脇線Ｌ２、Ｌ３上としている。上端縁１７ａは、胴 回りにフィットするサイズよりも余裕を持たせ、後身頃上部布１６の下端縁１６ ｂよりも長めに裁断している。

【００２６】 上記した左右カップ布１２、１３と前身頃下部布１５との縫着は、互いに縫着 した左右カップ布１２、１３で形成されるバスト下端縁１１ｂと前身頃下部布１ ５の上端縁１５ａとを縫着する時に、図２（Ａ）に示すように、バスト下端縁１ １ｂの左右両端と前身頃下部布１５の上端縁１５ａの左右両端とを夫々揃えるよ うに前身頃下部布１５のみを引っ張って、上端縁１５ａをバスト下端縁１１ｂの 長さに合わせた状態で縫着する。

【００２７】 一方、後身頃上部布１６と後身頃下部布１７との縫着に際しては、図２（Ｂ） に示すように後身頃上部布１６の下端縁１６ｂの左右両端と後身頃下部布１７の 上端縁１７ａの左右両端とを夫々揃えるように後身頃上部布１６のみを引っ張っ て、下端縁１６ｂを後身頃下部布１７の上端縁１７ａの長さに合わせた状態で縫 着する。

【００２８】 両脇線Ｌ２、Ｌ３においては、左カップ布１２の脇側端縁１２ｄと後身頃上部 布１６の右側端縁１６ｄを、前身頃下部布１５の左側端縁１５ｃと後身頃下部布 １７の右側端縁１７ｄを、右カップ布１３の脇側端縁１３ｄと後身頃上部布１６ の左側端縁１６ｃを、前身頃下部布１５の右側端縁１５ｄと後身頃下部布１７の 左側端縁１６ｄを、それぞれ縫着する。

【００２９】 上記左右カップ布１２、１３の上端と後身頃上部布１６の上端とは、長さ調節 可能なストラップ１９を介して連結している。

【００３０】 上記構成よりなるスリップ１０は、カップ部において、中央側カップ布１２ａ 、１３ａと脇側カップ布１２ｂ、１３ｂとを立体的に膨らみを持たせるように縫 製することに加えて、該左右カップ布１２、１３を前身頃下部布１５と縫着線Ｌ ５に沿って縫着する際に、図３（Ａ）に示すように、前身頃下部布１５のみを引 っ張って縫着している。これにより、図４（Ａ）に示すように、前身頃下部布１ ５がその伸縮性により戻ると、左右カップ布１２、１３は縫着部のバスト下端縁 １１ｂを支点としてバストの***に沿うように矢印に示す前方に立ち上がり、よ り一層立体的に柔らかく造形することができると共に、前身頃下部布１５の上端 部分はバスト下部に適度にフィットする。

【００３１】 後身頃においても、図３（Ｂ）に示すように、後身頃上部布１６のみを引っ張 って後身頃下部布１７と縫着することにより、図４（Ｂ）に示すように、後身頃 下部布１７が縫着線Ｌ６の上端縁１７ａを支点として矢印に示す後方に立ち上が り、臀部の***に沿って立体的に膨らむと共に、後身頃上部布１６はウエスト周 りに適度にフィットする。

【００３２】 さらに、図３（Ｃ）に示すように、ウエストライン上は、腹部側に配置された 前身頃下部布１５と、背部側に配置された後身頃上部布１６が身体にフィットし て矢印に示す方向に絞り合うことから、胴体中心への求心力が働き、ウエストの くびれを美しく形成することができる。

【００３３】 さらにまた、全体を平滑性のある伸縮性素材からなる生地で形成し、上記縫着 線Ｌ５、Ｌ６も伸縮可能であるため、補整下着と異なり、着用者のボディライン に順応して自然に柔らかくフィットする。さらに、立ったり座ったり、腕の上下 挙動などに対する追従性も確保できるため、アウターとファンデーションの間で の生地のダブつきやズリあがりを緩和でき、アウター着用時、特にタイトシルエ ットのアウター着用時における美麗なシルエットを保持できる。また、全ての布 を端始末不要の生地で形成したことも、アウターにラインを現出させず外観を美 しく保つ効果を発揮している。

【００３４】 図５（Ａ）は第１実施形態の第１変形例を示し、左右の中央カップ布１２ａ、 １３ａと脇側カップ布１２ｂ、１３ｂの形状を第１実施形態と相違させて、左右 カップ布１２、１３と前身頃下部布１５との縫着線Ｌ５を左右脇側で下方に大き く傾斜させている。即ち、脇側カップ布１２ｂ、１３ｂは、乳頭から脇側の*** および***の脇側下部を覆う形状であるが、その下端縁１１ｄは、中央側一端を バージスライン上、脇側他端をウエストライン付近として、腹部中央方向に湾曲 した緩やかな円弧を描きながら下方傾斜している。

【００３５】 本変形例においても、伸縮性素材の特性で着用者のボディラインに適応しなが ら、バストおよび臀部に当たる布に自然で柔らかい膨らみをもたせることにより 膨出部を安定させる一方で、腹部および背部では身体にフィットしてウエスト周 りの括れを形成するため、立体性とフィット感の両方を具備すると共に、生地の だぶつきや皺によるシルエットの崩れを解消することができる。

【００３６】 図５（Ｂ）は第１実施形態の第２変形例を示し、後身頃上部布１６と後身頃下 部布１７との縫着線Ｌ７を第１実施形態と相違させ、これに伴って後身頃下部布 １７を１対の左右ボトム布１８で形成している。他の箇所は第１実施形態と同様 であるため、同一符号を付して説明を省略する。

【００３７】 即ち、後身頃上部布１６の下端縁１６ｂは、ウエストラインのやや下部を通過 し、後中心線Ｌ４上で下方に尖る逆山形状としている。詳しくは、両脇線Ｌ２、 Ｌ３上でバスト下端縁１１ｂと連続し、後中心線Ｌ４に向かって上方に湾曲させ ながら臀部割れ目の上部まで下方傾斜させている。

【００３８】 また、後身頃下部布１７を形成する左右対称の一対のボトム布１８は、その上 端縁１８ａ、１８ｂを上記後身頃上部布１６の下端縁１６ｂのラインに対応させ 、該後身頃上部布１６側のみを引っ張って左右ボトム布１８をそれぞれ縫着した 後に、該左右ボトム布１８を後中心線Ｌ４で縫着している。

【００３９】 本変形例においても、ウエスト周りを前身頃下部布１５および後身頃上部布１ ６が覆い、いずれも身体にフィットするため、バストや臀部の膨らみを確保しな がらも、前後双方の身頃布によってウエスト周りを適度な伸縮性で絞りこんで括 れを形成することができ、立体的なボディラインをそのままアウターに現出させ ることができる。

【００４０】 図５（Ｃ）は第３変形例を示し、第１実施形態との相違点は、前身頃下部布１ ５と後身頃布１７の両脇での縫着線Ｌ７が、ウエストライン付近から下端縁１５ ｂ、１７ｂに近接するに従って後身頃側に湾曲させている点である。

【００４１】 即ち、前身頃下部布１５を上端縁１５ａから下端縁１５ｂに向けてやや大きめ に角度を付けて裾広がり形状に裁断している。一方、後身頃下部布１７は上端縁 １７ａから下端縁１７ｂにむけてやや裾窄まり形状に裁断し、前身頃側の下端縁 １５ｂの長さが後身頃側の下端縁１７ｂの長さより大寸となるようにしている。 他の点では第１実施形態と同一であるため同符号を付して説明を省略する。

【００４２】 本変形例では、脇部での縫着線Ｌ７が裾に近接するにつれて両脇線Ｌ２、Ｌ３ から外れて後身頃側に回りこむため、脇部でのアウターの縫着部と位置がずれ縫 いしろの重なりを回避できるため、ヒップより下部のサイドシルエットを一層す っきりと美しくすることができる。また、前身頃下部布１５の横方向の伸び量が 大きくなるため、歩行や立ち座りなどの脚部運動に対する追従性がよくなる。

【００４３】 図５（Ｄ）は第４変形例を示し、第１実施形態との相違点は、ストラップ１９ の代わりに、カップ部１１の上端縁１１ａおよび後身頃上部布１６の上端１６ａ を、それぞれ前後襟ぐりおよび肩ぐりに沿う形状として両肩上縁まで延在させ、 肩線上で左右カップ布１２、１３と後身頃上部布１６とを直接縫着している点で ある。前後の襟ぐりはいずれもＶ字型としている。

【００４４】 図６は第２実施形態を示し、第１実施形態との相違点は、左右カップ布１２、 １３をそれぞれ一枚布で形成し、***の乳頭より下部に当たる位置にギャザー部 ２５を設けてカップ布１２、１３自体に立体的な膨らみを持たせている点である 。

【００４５】 本実施形態においても、前身頃下部布１５とカップ布１２、１３を縫着する際 にカップ布１２、１３側のみを引っ張り、それによりカップ布１２、１３が前方 に立ち上がる点では上記第１実施形態と同一であり、さらに、ギャザー部２５に よってカップ布１２、１３自体が立体的に造形されているため、着用者のバスト に柔らかく沿いながら自然で立体性な膨らみを形成するとともに、バスト下でフ ィットすることによりバージスラインを安定させることができ、立体性とフィッ ト感の双方を兼ね備えることができる。

【００４６】 図７は第３実施形態を示し、ギャザー部２５の代わりに、左右***の乳頭から 前中心線Ｌ１側にやや近接しながら略直線状に垂下する各１本のダーツ部２６を 設けて、カップ布１２、１３自体に立体的な膨らみを持たせている。他の構成は 第１実施形態と同様であり、同一の作用効果を有する。

【００４７】 図８（Ａ）（Ｂ）はキャミソール３０に適用した第４実施形態を示し、（Ａ） は正面図、（Ｂ）は背面図であり、ボトムの裾の長さを短くした点だけを第１実 施形態と相違させている。図８（Ｃ）はスカートのボトムの内部に股布３１を設 けたテデイ３２に適用したもので、他の構成は（Ａ）（Ｂ）と同様で、同一符号 を付して説明を省略する。これらキャミソール３０およびテデイ３２のいずれも 、左右カップ部１２、１３と前身頃下部布１５、および後身頃上部布１６と後身 頃下部布１７とを第１実施形態と同様な縫製の仕方をしているため、カップ部を バストに沿った膨らみを持たせることが出来ると共にバスト下部を身体にフィッ トさせることができる。

【００４８】 図９（Ａ）（Ｂ）はシャツ４０に適用した第５実施形態を示し、図９（Ａ）は ノースリーブのシャツであり、図９（Ｂ）は長袖シャツからなる。いずれもカッ プ部から肩部にかける左右前身頃上側布４１、４２とその下部の下側布４３を備 え、下側布４３を第１実施形態と同様に引っ張った状態で上側布４１、４２と縫 着して、上側布４１、４２に膨らみを持たせる一方、下側布４３はバスト下部に フィットさせている。後身頃のトップ布４４は一枚布から形成している。

【００４９】 このように、シャツとして形成しても、バストに沿った膨らみを持たせると共 にバスト下部を身体にフィットさせることができるため、従来のシャツと異なり 、ボデイラインに沿わせることができる。

【００５０】 なお、本考案は上記実施形態に限定するものではなく、水着やレオタード等の アイテムを含めて広く適用できる。

【００５１】

【考案の効果】

以上の説明より明らかなように、本考案に係るカップ部を有するランジェリー 等では、前身頃下部布を引っ張ってカップ布と縫着し、また後身頃上部布を引っ 張って後身頃下部布と縫着することによって、バストと臀部に当たる生地が縫着 部を支点にして立体的に膨らませ、着用者のボディラインに順応してバストや臀 部の膨らみに柔らかく沿うため、上記フィット感に加えて立体性を具備すること ができる。よって、アウターとファンデーションの中間着としてのみでなく、肌 着として着用した場合でもボディラインが安定し、特に、バスト下で前身頃下部 布がフィットすることにより、膨出したバストを安定させることができ、良好な 着用感を得ることができる。

【００５２】 また、素材として伸縮性素材を用いて身体にフィットするよう形成されている ため、ウエストラインの括れを形成することができるとともに、身体挙動への追 従性がよく生地のだぶつきや皺を招来しにくいため、タイトシルエットなアウタ ーを着用した場合であっても内側での生地のだぶつきがアウターに響くことを防 止でき、全体のシルエットをすっきりと美しく保つことができる。また、端始末 不要な生地を用いているため、アウトラインのアウターへの現出も防ぐことがで きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 第１実施形態のスリップを示し、（Ａ）は正
面図、（Ｂ）は背面図である。

【図２】 （Ａ）は正面側の左右カップ布と前身頃下部
布の関係を示す図面、（Ｂ）は背面側の後身頃上部布と
後身頃下部布の関係を示す図面である。

【図３】 （Ａ）は左右カップ布と前身頃下部布との縫
着時の引張方向を示す図面、（Ｂ）は後身頃上部布と後
身頃下部布との縫着時の引張方向を示す図面、（Ｃ）は
サイドの引張方向を示す図面である。

【図４】 （Ａ）は前身頃側の縫着後の状態を示す図
面、（Ｂ）は後身頃側の縫着後の状態を示す図面であ
る。

【図５】 （Ａ）乃至（Ｄ）は第１実施形態の変形例を
示す図面である。

【図６】 第２実施形態を示す正面図である。

【図７】 第３実施形態を示す正面図である。

【図８】 第４実施形態を示し、（Ａ）はキャミソール
の正面図、（Ｂ）は（Ａ）の背面図、（Ｃ）はテデイの
正面図である。

【図９】 （Ａ）（Ｂ）は第５実施形態を示す正面図で
ある。

【符号の説明】

１０ スリップ １１ カップ部 １２，１３ 左右カップ布 １５ 前身頃下部布 １６ 後身頃上部布 １７ 後身頃下部布

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ワイヤーなしのカップ部を有するランジ
   ェリー、レオタードあるいは水着からなる衣類であっ
   て、 左右バストを囲むカップ布とバスト下部の前身頃下部布
   の両方を少なくとも左右横方向に伸びを有する伸縮性素
   材で形成すると共に、上記左右のカップ布の下端と前身
   頃下部布の上端との縫着部において、カップ布側は引っ
   張らず、前身頃下部布側は引っ張りながらカップ布と縫
   着して、縫着後に前身頃下部布の戻る力により、左右カ
   ップ布は縫着部を支点として前方へ立体的に膨らませる
   と共に、バスト下部の前身頃下部布は縫着部に沿った部
   分を身体にフィットさせる構成としているカップ部を有
   する衣類。
2. 【請求項２】 後身頃上部布と、後身頃下部布の両方を
   少なくとも左右横方向に伸びを有する伸縮性素材で形成
   すると共に、後身頃下部布は引っ張らず、後身頃上部布
   は引っ張りながら後身頃上部布と縫着し、縫着後に後身
   頃上部布の戻る力により、後身頃下部布は縫着部を支点
   として立体的に膨らませると共に、後身頃上部布は縫着
   部に沿った部分を身体にフィットさせる構成としている
   請求項１に記載のカップ部を有する衣類。
3. 【請求項３】 上記前身頃下部布と後身頃布とを脇線近
   傍で縫着すると共に、左右カップ布と後身頃上部布とを
   脇線近傍で縫着し、かつ、前身頃下部布と左右カップ布
   との縫着ラインは脇側に向けて下方傾斜させ、後身頃上
   部布と後身頃下部布との縫着ラインに連続させ、後身頃
   上部布と後身頃下部布との縫着ラインをウエストライン
   近傍に位置させている請求項２に記載のカップ部を有す
   る衣類。
4. 【請求項４】 上記左右のカップ布は、夫々一対の左右
   分割布から形成し、これら左右分割布を縫着して接ぎ手
   法により左右のカップ布自体を立体的に膨らませている
   請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載のカップ部
   を有する衣類。
5. 【請求項５】 上記左右のカップ布にダーツあるいはギ
   ャザーを設けて、前身頃下部布との下端縫着位置より立
   体的に膨らませている請求項１乃至請求項３のいずれか
   １項に記載のカップ部を有する衣類。
6. 【請求項６】 上記左右カップ布、前身頃下部布、後身
   頃上部布、後身頃下部布は端始末不要の伸縮性素材から
   なり、カップ布と後身頃上部布の上端縁および、前身頃
   下部布と後身頃下部布の裾周りを無縫製としている請求
   項２乃至請求項５のいずれか１項に記載のカップ部を有
   する衣類。